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7012822フタラジノン系化合物、その製造方法、医薬組成物及びその使用
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  • -フタラジノン系化合物、その製造方法、医薬組成物及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】フタラジノン系化合物、その製造方法、医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20220204BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D401/14
C07D403/04
C07D405/14
C07D413/14
A61K31/501
A61K31/5377
A61K31/506
A61P1/16
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/18
A61P31/20
A61P31/22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020506941
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 CN2018099806
(87)【国際公開番号】W WO2019029656
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】201710681892.X
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507388845
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 有洪
(72)【発明者】
【氏名】左 建平
(72)【発明者】
【氏名】陸 棟
(72)【発明者】
【氏名】楊 莉
(72)【発明者】
【氏名】曽 麗敏
(72)【発明者】
【氏名】劉 菲菲
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲ユン▼▲ジョア▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 五紅
(72)【発明者】
【氏名】童 賢崑
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第91/012251(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/055270(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106467495(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0164910(US,A1)
【文献】Dong Lu et al.,ACS Infectious Diseases,2017年,Vol.3, No.3,p.199-205
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
【化1】
Rが、Cl又はCNであり、
、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり、
Aが、ピリジル基、ピリミジニル基又はピラジニル基であり、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基がそれぞれが独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメチル基、ヒドロキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシメチル基、アセトキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシ基、メトキシエトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、グリシジルアミノ基、アセチルアミノ基、オキセタニルアミノ基、メトキシメチルアミノ基、メトキシエチルアミノ基、メトキシプロピルアミノ基、エトキシエチルアミノ基、エトキシプロピルアミノ基、メトキシカルボニルエチルアミノ基、メトキシカルボニルプロピルアミノ基、エトキシカルボニルメチルアミノ基、エトキシカルボニルエチルアミノ基、エトキシカルボニルプロピルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、ヒドロキシプロピルアミノ基、ヒドロキシブチルアミノ基、シクロブチルアミノ基、アゼチジニル基、N,N-ジメチルアミノメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノエチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノプロピルアミノ基、N,N-ジメチルアミノブチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノブチルアミノ基、5-モルホリニルメチル基、エチルアミノエチルアミノ基、エチルアミノプロピルアミノ基、エチルアミノブチルアミノ基、メトキシエトキシエトキシエチルアミノ基、エトキシエトキシエチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルエチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルプロピルアミノ基、t-ブトキシカルボニルメトキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシプロピルアミノ基、カルボキシメトキシエチルアミノ基、6-モルホリニルメチル基、6-(テトラヒドロフラニル)メチルアミノ基、メタンスルホニルエチルアミノ基、(2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル)-メチルアミノ基、2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ基、2-ヒドロキシプロピルアミノ基、トリフルオロメチルエチルアミノ基からなる群より選択され、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基からなる群より選択され、
前記薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物のアニオン塩又はカチオン塩であり
前記溶媒和物は、式Iの化合物と薬理学的に許容される溶媒との複合物である、
式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメチル基、ヒドロキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシメチル基、アセトキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、グリシジルアミノ基、アセチルアミノ基、オキセタニルアミノ基、メトキシメチルアミノ基、シクロブチルアミノ基、アゼチジニル基、N,N-ジメチルアミノメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノエチルアミノ基、6-モルホリニルメチル基、6-(テトラヒドロフラニル)メチルアミノ基からなる群より選択される、
化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
前記化合物が以下の式I-I~I-Vで示される構造の化合物から選ばれ、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
R、R、R、R、Rの定義は、請求項1と同じである、
化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項4】
合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
前記化合物が以下の式I-I~I-Vで示される構造の化合物から選ばれ、
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
一般式I-Iでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、1~2個のN原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選ばれる1~2つの置換基で置換されたアミノ基であり、
一般式I-IIでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、又はイソブチル基であり、
一般式I-IIIでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、又は-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はブチル基であり、
一般式I-IVでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、アセチル基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニルメトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、メタンスルホニル基、2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、トリフルオロエチル基、又はメチル基、エチル基、t-ブトキシカルボニル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基であり、
一般式I-Vでは、Rが、Cl又はCNを表し;R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基からなる群より選択され;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、アセチル基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニルメトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、メタンスルホニル基、2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、トリフルオロエチル基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基である、
化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
一般式I-IVでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基であり、
一般式I-Vでは、Rが、Cl又はCNを表し;R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基からなる群より選択され;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基である、
化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
前記化合物は、当該化合物の一つ又は複数の光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はラセミ混合物を含み、
前記薬理学的に許容される塩は、前記化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩を含み;前記アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はセシウムを含み;前記アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、又はストロンチウムを含み;前記薬理学的に許容される塩は、前記化合物と有機塩基により形成される塩を含み;又は、前記薬理学的に許容される塩は、前記化合物と酸により形成される塩を含み;
前記薬理学的に許容される溶媒は、水、エタノール、酢酸、N,N-ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドを含む、
ことを特徴とする化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
前記有機塩基は、トリアルキルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N-アルキルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含み、
前記酸は、無機酸、又は有機酸を含んでもよく;前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、又は炭酸を含み;前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グルタミン酸、又はパモ酸を含み、
前記薬理学的に許容される溶媒は、水である、
ことを特徴とする化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項8】
化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物であって、
前記化合物は、
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
の一つである化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物の製造方法であって、
前記化合物の製造方法は、以下のスキームのいずれかの工程を含み、
スキーム1:
【化32】
a-1 I
化合物a-1が鈴木カップリング反応により、化合物Iが製造され、
R、R、R、R、Aの定義は、請求項1~8の対応する定義と同じであり、
スキーム2:
【化33】
b-1 b-2 I
化合物b-1と化合物b-2は、求核置換反応により、化合物Iが製造され、
R、R、R、R、R、Aの定義は、請求項1~8の対応する定義と同じである、
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物の製造方法。
【請求項10】
治療的に有効な量の請求項1~8のいずれかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物の中の一種又は多種、及び任意に存在する薬理学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
B型肝炎疾患を予防及び/又は治療する医薬の製造における、請求項1~8のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物、又は請求項10に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
B型肝炎ウイルス阻害剤の製造における、請求項1~8のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物、又は請求項10に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、HIV、ヘルペスウイルス、又はヒトパピローマウイルスを含むウイルスの複製を阻害する医薬の製造における、請求項1~8のいずれかに記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、若しくは溶媒和物、又は請求項10に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フタラジノン系化合物、その製造方法、医薬組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関(WHO)の統計によると、現在では世界中に、20億人がB型肝炎ウイルス(HBV)に感染したことがあり、そして約3.5~4.0億人が慢性感染に属する。毎年、約100万人がB型肝炎ウイルス感染による肝硬変、肝不全、肝癌などの合併症で死亡する。したがって、B型肝炎ウイルス感染は、依然として公衆の健康に対して深刻な脅威を与える世界的な疾患である。
【0003】
現在、インターフェロンとヌクレオシド系抗HBV薬は、B型肝炎ウイルス感染の治療の主要な二つの手段である。しかし、インターフェロンは、耐性が悪く、副作用が多く、値段が高いなどの欠点が存在する。一方、現在市販している6種類のヌクレオシド系医薬(ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビルカーン、テルビブジン、テノホビル、とクレブジン)は、いずれもB型肝炎ウイルス逆転写酵素に作用し、長期治療において、異なる程度の薬物耐性及び副作用が生じるため、これらの薬物の適用が大幅に制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、新規な標的に作用し、新規な機構と新規な構造母核を有する非ヌクレオシド系低分子抗HBV薬の研究開発は、ますます緊迫となり、現在、薬物化学分野における関心のある研究課題であり、理論的、経済的、社会的な面で、非常に重要な意義を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フタラジノンを母核構造とする式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを提供している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】試験例2の非変性アガロースゲル電気泳動図であり、ここで、capsidがキャプシドを示し、Capsid-associated HBV DNAがキャプシド関連のHBV DNAを示し、Controlが対照群を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、以下の技術案を提供する。
【0008】
式Iの化合物、又は薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグであって、
【化1】
そのうち、
Rが、Cl又はCNであり、
、Rが、それぞれ独立してHであり、
Aが、ヘテロアリール基であり、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基がそれぞれが独立して、H、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよい複素環基、置換されてもよい複素鎖状炭化水素基、置換されていてもよいアルコキシ基、アルカノイルオキシ基、-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基がそれぞれが独立して、H、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、アルカノイルオキシ基からなる群より選択され、
、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、アルカノイルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよい複素環基、-N(Q)(Q)からなる群より選択され、
或いは、R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ、アルカノイルオキシ基、任意に置換された複素環基、-N(Q)(Q)からなる群より選択され、
前記「置換されていてもよい」基において、置換基が、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、複素環基、-N(Q)(Q)からなる群より選択され、
或いは、「置換されていてもよい」基において、置換基が、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、複素環基、-N(Q)(Q)からなる群より選択され、
ここで、
nが、0~10からなる群より選択される整数であり、
、Qが、それぞれ独立して、H、アルキル基又はアルコキシカルボニル基であり、
或いは、Q、Qが、それぞれ独立して、H、アルキル基であってもよく、
好ましくは、
が、1、2又は3つの置換基を表し、
が、1又は2つの置換基を表し、
前記「ヘテロアリール基」が、N、O及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリール基であり、N、O及びSからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を含む6~10員のヘテロアリール基であってもよく、前記ヘテロアリール基が、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、フラニル基、インドリル基、アザインドリル基、ナフチジル基、又はキノリニル基を含んでもよく、
前記「ハロゲン」が、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含み、
前記「アルキル基」、「ハロアルキル基」、「アルキルスルホニル基」、「アルコキシカルボニル基」、「アルコキシアルコキシ基」に含まれるアルキル基が、C~C18直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であってもよく、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であってもよく、前記アルキル基が、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチルを含んでもよく、前記「ハロアルキル」が、トリフルオロメチル基を含んでもよく、
前記「アルコキシ基」が、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基であり、前記アルコキシ基が、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基であってもよく、前記アルコキシ基が、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基であってもよく、前記アルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチル基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基を含んでもよく、
前記「アルカノイルオキシ基」が、C~C直鎖状又は分岐鎖状アルカノイルオキシ基であり、アセトキシ基を含んでもよく、
前記「シクロアルキル基」が、C~Cシクロアルキル基であり、前記シクロアルキル基が、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を含んでもよく、
前記「複素環基」における複素環構造が、環内にN、O、Sからなる群より選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子を含む飽和若しくは不飽和の3~10員の単環式又は多環式の非芳香族環構造であり、前記複素環基が、環内にN原子を含む3~6員飽和環であってもよく、前記複素環基が、環内にN、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を含む4~6員非芳香族環構造であってもよく、前記複素環基が、ピロリジン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロフラン環を含んでもよく、
前記「複素鎖状炭化水素基」における複素鎖状炭化水素構造が、鎖内にN、Oからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を含む飽和若しくは不飽和のC~C直鎖状又は分岐鎖状の複素鎖状構造であり、前記複素鎖状炭化水素基が、鎖内にN、Oからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を含む飽和若しくは不飽和のC~C直鎖状又は分岐鎖状の複素鎖状構造であってもよく、前記複素鎖状炭化水素基が、鎖内に1~3個のOを含む飽和若しくは不飽和のC~C直鎖状又は分岐鎖状の複素鎖状構造であってもよく、
前記「アルカノイル基」が、C~C直鎖状又は分岐鎖状のアルカノイル基であり、前記アルカノイル基が、ホルミル基、アセチル基を含んでもよく、
nが、0~5からなる群より選択される整数であり、nが、0、1、2、3又は4であってもよい。
【0009】
前記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグにおけるいずれか1つ又は複数の水素が重水素で置換されてもよく、R、Rで表される水素がそれぞれ独立して重水素で置換されてもよく、Rで表される一つ又は複数の置換基におけるいずれか1つ又は複数の水素が重水素で置換されてもよく、Rで表される1つ又は複数のH、アルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよい複素鎖状炭化水素基、-(CHn+1におけるいずれか1つ又は複数の水素が重水素で置換されてもよい。
【0010】
或いは、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグでは、
Rが、Cl又はCNであり、
、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり、
Aが、ピリジル基、ピリミジニル基又はピラジニル基であり、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基がそれぞれが独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメチル基、ヒドロキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシメチル基、アセトキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシ基、メトキシエトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、グリシジルアミノ基、アセチルアミノ基、オキセタニルアミノ基、メトキシメチルアミノ基、メトキシエチルアミノ基、メトキシプロピルアミノ基、エトキシエチルアミノ基、エトキシプロピルアミノ基、メトキシカルボニルエチルアミノ基、メトキシカルボニルプロピルアミノ基、エトキシカルボニルメチルアミノ基、エトキシカルボニルエチルアミノ基、エトキシカルボニルプロピルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、ヒドロキシプロピルアミノ基、ヒドロキシブチルアミノ基、シクロブチルアミノ基、アゼチジニル基、N,N-ジメチルアミノメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノエチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノプロピルアミノ基、N,N-ジメチルアミノブチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノブチルアミノ基、5-モルホリニルメチル基、エチルアミノエチルアミノ基、エチルアミノプロピルアミノ基、エチルアミノブチルアミノ基、メトキシエトキシエトキシエチルアミノ基、エトキシエトキシエチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルエチルアミノ基、t-ブトキシカルボニルプロピルアミノ基、t-ブトキシカルボニルメトキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシプロピルアミノ基、カルボキシメトキシエチルアミノ基、6-モルホリニルメチル基、6-(テトラヒドロフラニル)メチルアミノ基、メタンスルホニルエチルアミノ基、(2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル)-メチルアミノ基、2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ基、2-ヒドロキシプロピルアミノ基、トリフルオロメチルエチルアミノ基からなる群より選択され、
或いは、Rが、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメチル基、ヒドロキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシメチル基、アセトキシメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいメトキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、グリシジルアミノ基、アセチルアミノ基、オキセタニルアミノ基、メトキシメチルアミノ基、シクロブチルアミノ基、アゼチジニル基、N,N-ジメチルアミノメチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノエチルアミノ基、6-モルホリニルメチル基、6-(テトラヒドロフラニル)メチルアミノ基からなる群より選択され、
が、一つ又は複数の置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基からなる群より選択される。
【0011】
或いは、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグでは、前記式Iの化合物が以下の式I-I~I-Vで示される構造の化合物から選ばれる。
【0012】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0013】
ここで、R、R、R、R、Rの定義は、以上と同じである。
【0014】
好ましくは、一般式I-Iでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり; Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、1~2個のN原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選ばれる1~2つの置換基で置換されたアミノ基である。
【0015】
好ましくは、一般式I-IIでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、又はイソブチル基である。
【0016】
好ましくは、一般式I-IIIでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、又は-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基である。
【0017】
好ましくは、一般式I-IVでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基(好ましくは、1個のN原子を含有する3~6員の飽和複素環基)、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、アセチル基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニルメトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基、t-ブトキシカルボニル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基、メタンスルホニル基、2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、トリフルオロエチル基である。
【0018】
或いは、一般式I-IVでは、R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基(好ましくは、1個のN原子を含有する3~6員の飽和複素環基)、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基である。
【0019】
好ましくは、一般式I-Vでは、Rが、Cl又はCNを表し;R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基からなる群より選択され;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、アセチル基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニルメトキシ基、カルボキシ基、カルボキシメトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基、メタンスルホニル基、2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、トリフルオロエチル基である。
【0020】
或いは、一般式I-Vでは、Rが、Cl又はCNを表し;R、Rが、それぞれ独立して、H又はDであり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1、2又は3つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、C~Cシクロアルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよい任意の炭素原子がO原子で置換されたC~C直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、1つ又は複数のDで置換されてもよいC~C直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、N原子を含有する3~6員の飽和複素環基、1つ又は複数のDで置換されてもよい-(CHn+1、-N(R)-(CH(R)からなる群より選択され;nが、0、1、2、3又は4であり;Rが、一つ又は複数の置換基を表し、好ましくは1又は2つの置換基を表し、前記置換基が、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基からなる群より選択され;R、Rが、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、C~Cシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、N、Oからなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の非芳香族複素環基、又はメチル基、エチル基からなる群より選択される1~2つの置換基で置換されたアミノ基である。
【0021】
或いは、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグは、
前記式Iの化合物は、式Iの化合物の一つ又は複数の光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はラセミ混合物を含み、
前記薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物のアニオン塩及びカチオン塩を含んでもよく、前記薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を含んでもよく、前記アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムを含み、アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムを含んでもよく、前記薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物と有機塩基との塩を含んでもよく、前記有機塩基は、トリアルキルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N-アルキルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含んでもよく、前記トリアルキルアミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミンを含んでもよく、前記N-アルキルモルホリンは、N-メチルモルホリンを含んでもよく、前記薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物と酸との塩を含んでもよく、前記酸は、無機酸、有機酸を含んでもよく、前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸を含んでもよく、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グルタミン酸、パモ酸を含んでもよく、
前記溶媒和物は、式Iの化合物と薬理学的に許容される溶媒との複合物であってもよく、前記薬理学的に許容される溶媒は、水、エタノール、酢酸、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを含んでもよく、好ましくは、前記薬理学的に許容される溶媒は、水であることを特徴とする。
【0022】
前記プロドラッグとは、薬物が化学構造上の変更により得られた、体外で活性がないか比較的に小さく、体内で酵素的又は非酵素的変換により活性薬物を放出して薬理学的効果を発揮する化合物を意味する。本発明におけるプロドラッグの形態は、特に限定されなく、体内で酵素的又は化学的作用により活性を持つ原薬を放出して、予期された薬理学的効果を発揮できればよく、キャリアプロドラッグ又は生物学的プロドラッグであってもよい。
【0023】
或いは、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグは、前記式Iの化合物が以下の化合物の一つであることを特徴とする。
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】
【0041】
【化24】
【0042】
【化25】
【0043】
【化26】
【0044】
本発明は、さらに、以下のスキームのいずれかの工程を含む、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの製造方法を提供し、前記式Iの化合物の製造方法は、下記スキームのいずれかを含むことを特徴とする、即ち:
スキーム1:
【化27】
a-1 I
化合物a-1が鈴木カップリング反応により、化合物Iが製造され、
ここで、R、R、R、R、R、Aの定義は、以上と同じであり、
スキーム2:
【化28】
b-1 b-2 I
化合物b-1と化合物b-2は、求核置換反応により、化合物Iが製造され、
ここで、R、R、R、R、R、Aの定義は、以上と同じである。
【0045】
或いは、以上の製造方法は、以下のスキームのいずれかにおける工程を含むことを特徴とする。
スキーム1:
【化29】
【0046】
一般式H1で示される化合物は、加水分解により一般式H2で示される化合物が得られ、一般式H2で示される化合物は、p-クロロベンジルクロライドH3との求核置換反応により、一般式H4で示される化合物が得られ、最後に、金属触媒又は塩基の作用下で、鈴木カップリング反応により、一般式H5で示されるフタラジノン系化合物が得られる。
【0047】
ここで、Rは、Hであり、R、R、R、R、Aの定義は、以上と同じであり、
スキーム2:
【化30】
一般式H6で示される化合物は、まず一般式H7で示されるグリニャール試薬に製造され、次に無水フタル酸との付加反応により、一般式H8で示される化合物が得られ、一般式H8で示される化合物は、ヒドラジン水和物との閉環反応により、一般式H9で示される化合物が得られ、一般式H9で示される化合物は、p-クロロベンジルクロライドH3との求核置換反応により、一般式H10で示される化合物が得られ、
ここで、R、R、R、R、Rの定義は、以上と同じであり、ただし、Rは、Hではない。
【0048】
好ましくは、上記方法では、前記加水分解反応は、酸性又は塩基性条件下、溶媒中で行われ、前記酸は、酢酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる一つ又は複数であり、前記塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシドからなる群より選ばれる一つ又は複数であり、前記溶媒は、エタノール、メタノール、水、酢酸からなる群より選ばれる一つ又は複数である。
【0049】
好ましくは、上記方法では、前記求核置換反応は、塩基の存在下、溶媒中で行われ、前記塩基は、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、又は水酸化ナトリウムの一つ又は複数であり、前記溶媒は、好ましくは、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランの一つ又は複数である。
【0050】
好ましくは、上記方法では、前記鈴木カップリング反応は、溶媒中で、金属触媒、塩基及びリガンドの存在下、加熱条件下で行われ、前記溶媒は、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン又は1,4-ジオキサンであり、前記加熱条件は、加熱還流か、マイクロ波加熱であり、前記塩基は、好ましくは、炭酸セシウム、炭酸カリウム、カリウムt-ブトキシド及びナトリウムt-ブトキシドの一つ又は複数であり、前記金属触媒は、好ましくは、パラジウムアセテート、Pd(PPh又はPd(dppf)Clの一つ又は複数であり、前記リガンドは、好ましくは、トリフェニルホスフィン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ジフェニルホスフィノビナフチル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6'-ジメトキシ-ビフェニル、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)-ビフェニルの一つ又は複数である。
【0051】
好ましくは、上記方法では、上記製造されたグリニャール試薬は、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、及びリチウムの塩であってもよい。
【0052】
上記式Iの化合物の薬理学的に許容される塩は、式Iの化合物を対応する酸の飽和アルコール溶液で反応させることにより製造することができ、例えば、式Iで示されるフタラジノン系化合物を飽和HClメタノール溶液に溶解させ、室温で30分間撹拌し、溶媒を蒸発させることにより、対応する式Iの化合物の塩酸塩が得られる。
【0053】
本発明は、さらに、治療的に有効な量の上記式Iの化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの一種又は多種、および任意に存在する薬理学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0054】
前記薬理学的に許容される担体とは、例えば、製薬分野で慣用の医薬担体を意味し、例えば、水などの希釈剤;デンプン、スクロースなどの充填剤;セルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのバインダー;グリセロールなどの保湿剤;寒天、炭酸カルシウム及び重炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチルアルコールなどの界面活性剤;カオリン及びベントナイトなどの吸着担体;タルク、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム、及びポリエチレングリコール等の滑沢剤が挙げられる。また、上記医薬組成物に、さらに、甘味料、香料等のその他の賦形剤を添加することができる。
【0055】
上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は医薬組成物は、そのような治療を必要とする患者に、経口、直腸又は非経口投与の方法により投与することができる。経口投与の場合に、これらは、一般的に、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤、又は水性若しくは油性懸濁液などの液体製剤、又はシロップなどの他の液体製剤として製造することができる。非経口投与の場合、注射液、水性又は油性懸濁液等として製造することができる。
【0056】
本発明は、さらに、B型肝炎疾患を予防及び/又は治療する医薬の製造における、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0057】
本発明は、さらに、B型肝炎ウイルス阻害剤の製造における、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0058】
本発明は、さらに、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、HIV、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルスを含むウイルスの複製を阻害する医薬の製造における、上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を提供する。
【0059】
本発明は、さらに、有効量の上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を投与することを含む、B型肝炎疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0060】
本発明は、さらに、有効量の上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を投与することを含む、B型肝炎ウイルスを阻害する方法を提供する。
【0061】
本発明は、さらに、有効量の上記式Iの化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ、又は上記医薬組成物の使用を投与することを含む、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、HIV、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルスを含むウイルスの複製を阻害する方法を提供する。
【0062】
ある局面の特定の実施形態によれば、化合物が、ウイルスRNAのキャプシド形成を阻害することにより抗ウイルス活性を発揮し、細胞レベルでHBV DNA複製に対する高い阻害活性を有し、HepG2.2.15細胞の増殖に対して毒性が比較的に低い。
【0063】
ある局面の特定の実施形態によれば、化合物が、より良好な肝臓指向性をもち、安定的に肝臓に存在して濃縮することができ、有効なB型肝炎ウイルス阻害剤である。
【実施例
【0064】
以下、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、ここで記載される具体的な実施形態は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0065】
以下の実施例では、プロトン核磁気共鳴スペクトルはBrukerAMX-400型、Gemini-300型又はAMX-600型核磁気共鳴装置で記録され、化学シフトδの単位はppmである。比旋光度は、Perkin-Elmer241型自動旋光計により測定され、使用されたマイクロ波は、CEM-discoveryマイクロ波反応器であった。カラムクロマトグラフィーで使用されたシリカゲル(200~300メッシュ)は、青島海洋化工サブプラント製のものであった。薄層クロマトグラフィーは、煙台化工研究所製のGF254高効プレートを使用した。分取薄層クロマトグラフィープレートは、中国科学院上海薬物研究所製のものであり、固定相は、それぞれ青島海洋化工社製と中国医薬(グループ)上海化学試薬社製のGF254(HG/T2354-92)シリカゲルとカルボキシメチルセルロースナトリウム(800~1200)で製造された。特に説明しない限り、全ての溶媒は分析グレードの試薬であり、使用された試薬は、国薬集団化学試薬有限公司から購入された。ヨウ素、UV蛍光などの方法により着色した。有機溶媒の減圧留去は、ロータリーエバポレーターで行われた。
【0066】
<実施例1>
化合物I-1の合成スキームは、以下に示した。
【化31】
【0067】
工程a:
3,6-ジクロロフタラジン(10g、50.3mmol)を、酢酸(150mL)に溶解し、120℃で6時間還流した。反応の完了をTLCにより検知した後、反応を停止し、反応物を室温に冷却し、そしてロータリーエバポレーターで酢酸を減圧留去して、白色固体2(8.5g、94%)が得られた。
【0068】
工程b:
フタラジノン2(1.0g、5.5mmol)をDMF(70mL)に溶解し、順次、p-クロロベンジルクロリド(1.1g、6.6mmol)及びCsCO(2.1g、6.6mmol)を加えた。反応系を50℃で5時間撹拌した後、反応の完了をTLCにより検知した。反応溶液に、酢酸エチル(100mL)と水(100mL)を加え、有機層を水(100mL×4)及び飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=100:0~10:1)により単離精製して、白色固体3が得られた(1.5g、88%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.49 - 8.44 (m, 1H), 8.02 - 7.99 (m, 1H), 7.88 (dtd, J = 16.4, 7.3, 1.4 Hz, 2H), 7.50 - 7.43 (m, 2H), 7.34 - 7.30 (m, 2H), 5.34 (s, 2H). MS (ESI): 305.1 [M+H]+.
【0069】
工程c:
3(100mg、0.33mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)と水(5mL)の混合溶媒に溶解し、次いでピリジン-4-ボロン酸(52.9mg、0.43mmol)、Pd(PPh(76.0mg、0.033mmol)、及びKPO(139mg、0.66mmol)を順次に加えた。Nで3回置換した後、100℃で一晩反応した。翌日、反応の完了をTLCにより検知した後、反応系を室温に冷却した。ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去した後、残留物を酢酸エチル(30mL)で抽出し、溶解し、そして有機層を水(30mL×3)及び飽和食塩水(30mL)で順次洗浄した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、生成物I-1が得られた(92mg、81%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.69 (dd, J = 4.5, 1.7 Hz, 2H), 7.66 (dd, J = 4.5, 1.7 Hz, 2H), 7.58 (dt, J = 8.1, 2.0 Hz, 1H), 7.44 - 7.40 (m, 2H), 7.34 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.46 - 7.40 (m, 2H), 7.33 - 7.27 (m, 2H), 5.36 (s, 2H).
【0070】
実施例1と同様の方法で以下の化合物を製造した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
【表10】
【0081】
【表11】
【0082】
【表12】
【0083】
【表13】
【0084】
【表14】
【0085】
【表15】
【0086】
【表16】
【0087】
【表17】
【0088】
【表18】
【0089】
【表19】
【0090】
【表20】
【0091】
【表21】
【0092】
<実施例2>
化合物I-24の合成スキームは、以下に示した。
【化32】
【0093】
工程a:
p-クロロベンズアルデヒド(1g、7.1mmol)を無水メタノール(50mL)に溶解し、NaBD(360mg、8.5mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させた。残留物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に溶解し、有機層を水(100mL×4)及び飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色固体5が得られた(0.9g、90%)。
【0094】
工程b:
5(500mg、3.5mmol)をトルエン(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(2mL、14mmol)及び塩化メタンスルホニル(0.32mL、4.2mmol)を順次に加えて、室温で2時間撹拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去した。残留物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に溶解し、有機層を水(100mL×4)及び飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。
【0095】
前記工程の粗生成物(500mg、2.3mmol)をDMF(40mL)に溶解し、6-クロロ-フタラジノン(化合物2)(407mg、2.3mmol)及びCsCO(750mg、2.3mmol)を順次に加えた。反応系を50℃で5時間撹拌した後、反応の完了をTLCにより検知した。反応溶液に酢酸エチル(100mL)と水(100mL)を加えて、有機層を水(100mL×4)及び飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色固体6が得られた(490mg、70%)。
【0096】
工程c:
6(100mg、0.33mmol)を1,4-ジオキサン(20mL)と水(5mL)の混合溶媒に溶解し、次いで2-フルオロ-メチルピリジン-3-ボロン酸(52.9mg、0.43mmol)、Pd(PPh(76.0mg、0.033mmol)、及びKPO(139mg、0.66mmol)を順次に加えた。Nで3回置換した後、100℃で一晩反応した。翌日、反応の完了をTLCにより検知した後、反応系を室温に冷却した。ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去した後、残留物を酢酸エチル(30mL)で抽出し、溶解し、そして有機層を水(30mL×3)及び飽和食塩水(30mL)で順次洗浄した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、生成物I-24が得られた(84mg、75%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.56 - 8.47 (m, 1H), 7.80 (tdd, J = 8.9, 8.3, 4.5 Hz, 3H), 7.47 (dd, J = 9.0, 2.6 Hz, 3H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.26 (dd, J = 7.5, 1.5 Hz, 1H), 5.41 (s, 1H), 2.65 (s, 3H).
【0097】
実施例2と同様の方法で以下の化合物を製造した。
【0098】
【表22】
【0099】
【表23】
【0100】
<実施例3>
化合物V-1の合成スキームは、以下に示した。
【化33】
【0101】
工程a:
2-フルオロ-3-ブロモ-6-メチルピリジン(500mg、2.6mmol)を無水THF(50mL)に溶解し、マグネシウム削り屑(126mg、5.2mmol)を加えた。Nで3回置換し、室温で1時間撹拌した後、4-フルオロフタル酸無水物(474mg、2.8mmol)のTHF溶液を加えて、室温で一晩反応した。翌日、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去した、残留物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)に溶解し、有機層を水(30mL×3)及び飽和食塩水(30mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色固体7が得られた(0.6g、80%)。
【0102】
工程b:
7(0.6g、2.1mmol)を無水エタノール(30mL)に溶解し、85%ヒドラジン水和物(79μL)を加えて、5時間還流した。ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去し、粗生成物8が得られた(384mg、67%)。
【0103】
工程c:
前記工程の粗生成物(300mg、1.1mmol)をDMF(40mL)に溶解し、ハロゲン化物(1.3mmol)及びCsCO(429mg、1.3mmol)を順次に加えた。反応系を50℃で5時間撹拌した後、反応の完了をTLCにより検知した。反応溶液に酢酸エチル(100mL)と水(100mL)を加えて、有機層を水(100mL×4)及び飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色結晶V-1が得られた(327mg、75%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.66 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.35 (d, J = 35.0 Hz, 4H), 4.87 (s, 2H), 2.68 (s, 3H).
【0104】
実施例3と同様の方法で以下の化合物を製造した。
【0105】
【表24】
【0106】
【表25】
【0107】
【表26】
【0108】
【表27】
【0109】
<実施例4>
【化34】
【0110】
工程a:
IV-5(150mg、0.4mmol)を無水エタノール(10mL)に溶解し、2-メトキシエチルアミン(0.35mL、4mmol)を加え、還流で一晩反応した。翌日、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去した、残留物を酢酸エチル(50mL)と水(50mL)に溶解し、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで1/2時間乾燥した後、濃縮して粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色固体IV-26が得られた(0.9g、52%)。1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.52 - 8.47 (m, 1H), 7.83 - 7.76 (m, 2H), 7.67 - 7.52 (m, 7H), 6.43 (dd, J = 8.2, 1.8 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 5.26 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 3.72 - 3.53 (m, 4H), 3.43 (s, 3H).。
【0111】
工程b:
IV-26(80mg、0.19mmol)を無水アセトニトリル(10mL)に溶解し、N-クロロスクシンイミド(25mg、0.19mmol)を加えて、5時間還流した。ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去して、粗生成物が得られた。前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、白色固体IV-27が得られた(73mg、85%)。1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.52 - 8.45 (m, 1H), 7.85 - 7.77 (m, 2H), 7.66 - 7.61 (m, 3H), 7.59 - 7.56 (m, 3H), 5.71 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 5.47 (s, 2H), 3.76 - 3.69 (m, 2H), 3.63 (dd, J = 5.3, 4.2 Hz, 2H), 3.44 (s, 3H).
【0112】
【表28】
【0113】
【表29】
【0114】
【表30】
【0115】
【表31】
【0116】
【表32】
【0117】
【表33】
【0118】
【表34】
【0119】
【表35】
【0120】
【表36】
【0121】
【表37】
【0122】
【表38】
【0123】
【表39】
【0124】
【表40】
【0125】
【表41】
【0126】
【表42】
【0127】
【表43】
【0128】
<試験実施例1:HBV DNAの複製能力に対する実施例で製造した化合物の影響>
1.実験材料
1.1 スクリーニングシステム
安定的に全長HBVをトランスフェクトしたヒト肝癌細胞HepG2.2.15細胞株(中国科学院上海薬物研究所から提供)。
【0129】
1.2 実験機器
インキュベータ(ThermoForma3111);マイクロプレートリーダー(Molecular Devices Spectra Max 190)、電子天秤、顕微鏡、生物学的安全キャビネット(Heal Force safe 15)、遠心分離機(Eppendorf Centrifuge 5810R)、リアルタイムPCR(FASTA GEN-DNA fast2000)
【0130】
1.3 実験薬及び試薬
陽性薬及び構成:ラミブジン(3TC)、中国科学院上海薬物研究所薬物化学グループにより合成され、DMEM/高グルコース培地で(ダルベッコ改変イーグル培地、Hyclone社製)40mMストック溶液を調製した。
【0131】
他の溶液と構成:
DMEM/高グルコース培地:ダルベッコ改変イーグル培地1×(Hyclone社製)リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.3、1L):NaCl,8.0g;NaHPO,1.16g;KHPO,0.2g;KCl:0.2g。
MTT溶液:MTT(Sigma社)、PBSで5mg/mLに調製した。
DNA抽出キット:DNeasy(R) Blood&Tissue(Qiagen社)
【0132】
2.実験方法
2.1 細胞培養
従来の方法により、HepG2.2.15細胞を継代培養した。使用された培地は、DMEMであり、10%(v/v)のウシ血清及び選択的抗生物質G418を含み、37℃、5%COのインキュベーターで8日間培養した(4日目に培地交換をした)。
【0133】
2.2 試験化合物及び陽性薬の調製
試験化合物は、DMSOを含む40mMストック溶液に調製し、10%HycloneTM Fetal Bovine Serumを含むDMEM培地で所定の最高濃度の溶液に調製して、希釈した。陽性薬は、ラミブジンであり、同様に10%HycloneTM Fetal Bovine Serumで所定の濃度に調製した。
【0134】
2.3 細胞毒性のMTTアッセイ
HepG2.2.15細胞を96ウェルプレートに5×10細胞/ウェルで播種し、上記の方法により薬剤の作用下で8日間培養し、200μLの上清を取り出した後、MTT溶液を加えた。4時間培養後、溶解物を加えた。12時間培養した後、OD570をマイクロプレートリーダーで測定し、コントロールウェルの吸光度と比較して、生細胞の割合を計算し、半数細胞毒性に必要な濃度CC50を計算した。
【0135】
2.4 細胞培養上清中のHBV DNA含有量の測定
HepG2.2.15細胞を異なる濃度の化合物で8日間処理し(4日目に培地を交換した)、培養上清を吸引し、上清中の成熟ウイルス粒子に含まれるHBV DNAをリアルタイムPCR法により定量的に検出した。
【0136】
HepG2.2.15細胞上清DNAをカラム抽出した(Qiagen、DNeasy(登録商標) Blood&Tissue Handbook)
【0137】
1)96ウェルプレートから上清DNAを収集し、各ウェル200μLで、同じEPチューブに重複のウェルを収集し、4000rcf×5分間遠心分離し、上清を採取した。
2)200上清を取り、1.5mLのEPチューブに加え、20μLのプロテイナーゼKと200μLのBuffer ALを加え(Qiagen、DNeasy(登録商標) Blood&Tissue Kit)、ボルテックスして完全に混合し、56℃で10分間インキュベートした。
3)200エタノールを加え、ボルテックスして完全に混合した。
4)工程3)のすべての液体を2mL廃液回収チューブにおけるDNeasy Mini Spin Column(Qiagen、DNeasy(登録商標)) Blood&Tissue Kit)に加え、6000rcf×1分間で遠心分離し、上清を捨てた。
5)DNeasy Mini Spin Columnを新しい2mL廃液回収チューブに入れ、500μLのBuffer AW1(Qiagen、DNeasy(登録商標) Blood&Tissue Kit)を加えて、6000rcf×1分間で遠心分離し、上清を捨てた。
6)DNeasy Mini Spin Columnを新しい2mL廃液回収チューブに入れ、500μLのBuffer AW2(Qiagen、DNeasy(登録商標) Blood&Tissue Kit)を加えて、20000rcf×3分間で遠心分離し、上清を捨てた。
7)DNeasy Mini Spin Columnを新しい1.5mLのEPチューブに入れ、50μLのBuffer AE(Qiagen、DNeasy(登録商標) Blood&Tissue Kit)を吸出して、そのままDNeasy Mini Spin Columnの膜に加え、室温で5分間放置し、6000rcf×1分間遠心分離して膜上のDNAを抽出し、DNeasy Mini Spin Columnを廃棄し、DNA試料を-20℃で回収した。
【0138】
上清HBV DNAのリアルタイムPCR検出(B型肝炎ウイルス核酸定量検出キット、Daan Gene社)
【0139】
1)検量線:1e~1eIU/mL、1μLをロードし、ブランクウェルを設置して、反応系が汚染されているか否かを確認した。
2)1μLのDNA試料を順番に加えた。
3)酵素と反応緩衝液の添加:最初に2本のチューブにおける反応液に酵素を加え、均一に混合した後に、軽く遠心分離して氷上において、ロード後に酵素反応溶液19μLを加え、添加する際にDNA試料に汚染しないように触れないことを確保した。
4)シールフィルムを取り付け、遠心分離した。
5)PCR反応:
第一段階:93℃、2分間
第二段階:10サイクル
第1の工程:93℃、45秒間
第2の工程:55℃、1分間
第三段階:45サイクル
第1の工程:93℃、30秒間
第2の工程:55℃、45秒間
試料:20μL
検出:第三段階の第2の工程(55℃、45秒間)の完了後にデータを収集した。
【0140】
2.8 データ処理
実験データをOriginソフトウェアで統計解析し、IC50を計算した。
実験結果:
実験結果を表1に示した。
【0141】
【表44】
【0142】
【表45】
【0143】
IC50は、実施例の化合物のHBV DNA複製に対する阻害が半数(50%)となる濃度である。
【0144】
試験結果から分かるように、実施例の化合物のIC50はいずれも10μM未満であり、細胞レベルでHBV DNA複製を阻害する高い活性を持ち、かつHepG2.2.15細胞の増殖に対する毒性が低かった。
【0145】
<試験例2:実施例で製造した化合物のB型肝炎ウイルスキャプシドに対する影響>
非変性アガロースゲル電気泳動
1×10個の細胞を分解して、100μLの細胞溶解液(50mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.5%Nonidet P-40)を加え、氷上で15分間溶解し、5分ごとにボルテックスして、細胞溶解を確実にした。4℃、10000×gで10分間遠心して、細胞核と細胞片を除去した。20μLの細胞溶解液を取り、1.2%または1.8%アガロースゲルのゲルウェルに加えて、70V、4℃で2.5時間電気泳動した。試料は二部作製された。電気泳動後、膜をサイフォンで一晩転写した。一方の試料をニトロセルロース膜(AmershamTM Hybond-ECL、GE)に移し、ウエスタンキャプション法を使用して抗HBcAg抗体(Abcam)でキャプシドを検出した。他方の試料を変性液(1.5M NaCl、0.5M NaOH)で45分間のin situゲル変性し、中和溶液(1.5M NaCl、1M Tris-HCl、pH 7.4)で45分間中和し、ナイロン膜(AmershamTM Hybond-N+、GE)に移し、その後にサザンブロット法によりHBV特異的プローブでキャプシド内の核酸レベルを検出した。結果を図1に示した。
【0146】
図1に示した結果から、化合物I-11、I-26、I-10、I-9、I-24、I-3、及びI-12は、いずれも、より速い電気泳動移動速度を持つ異常キャプシドの生成を誘導でき、かつキャプシドにおけるB型肝炎ウイルスDNAの含有量が大幅に減少し、ウイルスキャプシドのアセンブリを阻害することにより化合物が抗HBV活性を発揮したことが確認された。
【0147】
<試験例3:マウスでの実施例で製造した化合物の組織分布>
1.試料前処理方法
血漿と組織試料を採取した:10μL~1.5mLの遠心管において、100μLの内部標準溶液(5.00ng/mLベラパミルと50.0ng/mLグリベンクラミドアセトニトリル溶液)を加え、60秒間ボルテックスした後、遠心力12000rpmで3分間遠心した。75μLの上清を、等容積の水を含む96ウェルの試料プレートに移し、振動してから試料をロードして解析し、注入量をいずれも10μLにした。
【0148】
2.検量線と品質管理試料の準備
内部標準:適切な量のベラパミル及びグリベンクラミド標準物質を正確に量り、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解及び希釈し、よく振って濃度2000μg/mLのストック溶液を調製し、5.00ng/mL及び50.0ng/mLの濃度の内部標準作業溶液に希釈した。
【0149】
ストック溶液:適切な量の化合物を正確に量り、DMSOで2.00mg/mLのストック溶液を調製した。
【0150】
作業溶液:ストック溶液を、各濃度勾配を得るための勾配により希釈された。5.00μLの参照標準作業溶液を45.0μLのブランクラット血漿とブランク組織に加えた。次に、「試料処理方法」の項での説明に従って処理した。
【0151】
3.被験物質製剤の調製
投与溶液:一定量の化合物を正確に量り、2.5%DMSO+97.5%(0.5%MC)の比率に従って2.00mg/mLの乳白色懸濁液を調製した。
【0152】
各動物をイソフルランで麻酔した後、眼窩から採取した約0.1mLの血液と肝臓を、EDTAK2で抗凝固させた。PO群の採取時点は、被験物質投与の1時間後、3時間後、8時間後であった。血液検体を採取して、分析した。比較化合物I-70及びI-88を使用し、結果を以下の表2に示した。
【0153】
【化35】
【0154】
【化36】
【0155】
【表46】
【0156】
表2の試験結果から、実施例の化合物は、比較化合物よりもはるかに優れた代謝特性(すなわち、肝臓での代謝安定性)を有した。化合物I-10、I-11、IV-5、IV-15は、マウスでの良好な肝臓指向性を持ち、安定して存在し、肝臓で濃縮された一方、血漿レベルが低いことがわかった。
【0157】
実施例の化合物は、ウイルスRNAのキャプシド化を阻害することにより抗ウイルス活性を発揮し、細胞レベルでHBV DNA複製を阻害する効果的な活性を有し、HepG2.2.15細胞の増殖に対する毒性が低く、より良好な肝臓指向性を持ち、肝臓に安定して存在し、濃縮され、効果的なB型肝炎ウイルス阻害剤である。
【0158】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態の特定の詳細に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で、本発明の技術的解決策に対して様々な簡単な変形を行うことができる。当該変形は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
図1