(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板の切断方法およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220121BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20220121BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20220121BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
H01L21/78 B
B23K26/38 Z
B23K26/70
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2020508033
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 SG2018050467
(87)【国際公開番号】W WO2019054945
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-05-28
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520045217
【氏名又は名称】ジェニュイン ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】サルジョノ チェイナー
(72)【発明者】
【氏名】チョンケ ワン
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064418(JP,A)
【文献】特開2012-069919(JP,A)
【文献】特開2013-041999(JP,A)
【文献】特開2007-038274(JP,A)
【文献】特開2014-204033(JP,A)
【文献】特開2013-168417(JP,A)
【文献】特開2014-140855(JP,A)
【文献】国際公開第2013/100149(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/38
B23K 26/70
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザアブレーション処理によってポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板をパッケージへと単体化するためのシステムであって、
前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を保持するための治具と、
前記治具に載せる前の前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を予熱する
ように構成されたホットプレートを備えるバッファ・ステーションと、
レーザと
、からなり、
前記レーザが、前記治具に埋め込まれているトレンチに沿って切断し、
前記治具が、内部管系を有するベース板を通して液体を循環させることによって冷却される、システム。
【請求項2】
前記トレンチ
が1~3センチメートルの深さおよび1ミリメートル以上の幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記トレンチが0.5mm以上の幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
真空圧が、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を前記治具に保持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザが、10kHz以上の繰返し率のパルスレーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記バッファ・ステーションが、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板が予熱後の形態を保つように、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を急速に冷却するための高速冷却ガス用ガス抽出機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
圧縮空気またはガスの供給源が、圧縮空気またはガスを前記レーザの方向へ強制放出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
レーザ切断処理によってポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板をパッケージへと単体化する方法であって、
ホットプレートを備えるバッファ・ステーションにおいて前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を予熱するステップと、
前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を切断治具に載せるステップと、
真空引きして、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を前記切断治具に固定するステップと、
パルスレーザを作動させて、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を、前記切断治具に埋め込まれている一連のトレンチに沿って切断するステップと、
前記切断治具のベース板を通して液体を循環させて、前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を冷却するステップとを含む方法。
【請求項9】
前記ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板を、予熱後の形態を保つように、前記切断治具に載せる前に高速冷却ガスを噴射して冷却する追加のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
加圧された空気またはガスを前記レーザの方向に放出して、前記レーザによって融除された領域を冷却する追加のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
加圧された空気またはガスを前記レーザの方向に放出してデブリを除去する追加のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記切断治具のエッジに沿った1つまたは複数の排出開口を通してデブリおよび/または煙霧を排出する追加のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記パッケージを前記切断治具から除去して洗浄ステーションへ移動する追加のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路チップの作製に関し、より具体的には、レーザアブレーション処理によってポリマー樹脂または基板を集積回路へと単体化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチップまたはチップとも称される集積回路(「IC」)は、シリコンなどの半導体材料の小さく平坦な部分上の電子回路のセットである。多数の小さなトランジスタを統合すると、個別の電子部品から構築されたものよりも小さく、より安価で、より高速の回路をもたらす。ICは、コンピュータ、携帯電話、および他のデジタル家電を含む無数の電子デバイスにおいて使用されている。
【0003】
ディスクリート回路に対するICの主要な利点はコストおよび性能である。パッケージ化されたICは、使用する材料がディスクリート回路よりも非常に少ない。ICは一般的にはフォトリソグラフィによってユニットとしてプリントされるが、ディスクリート回路は一度に1つのトランジスタずつ構築される。ICの部品はサイズが小さく近接近であるので、急速にスイッチングすることができ、消費電力が比較的少ない。しかしながら、ICの設計や必要なフォトマスクの製作は割高である。この高価な初期コストは、ICが高生産量に対してのみ実用的であることを意味する。
【0004】
半導体デバイスの製作は、ICを作成するために使用される処理である。これは、一般的には、シリコンなどの半導体材料で作製されたウェーハ(すなわち基板)の切断から始まる。その後、一連のフォトリソグラフィ・ステップおよび化学処理ステップを用いてICを製作できる。
【0005】
ダイ作製は、集積回路(IC)のパッケージングおよびテストのためにウェーハを作製する処理である。ダイ作製は、一般的にはウェーハ取り付けおよびウェーハ・ダイシングを含む。ウェーハが個別のダイに切断される前にウェーハ取り付けが遂行される。このステップ中に、ウェーハは、リングに取り付けられたプラスチック・テープ上に取り付けられる。ダイシング、切断、または単体化は、ウェーハをより小さい部分に切断するステップを包含している。複数の同一の集積回路を含むウェーハは、個々のダイがそれらの回路のうち1つを含むように切断される。半導体ウェーハから個々の半導体ダイを単体化するために様々な方法および機器が使用され得る。一般的には、ダイヤモンドの切断ホイールまたはウェーハ・ソーを用いてスクライブ・グリッドに沿ってウェーハを切断するために、スクライビングまたはダイシングと呼ばれる技術が使用される。
【0006】
単体化の従来の方法は、ウェーハを個々のダイに切断するためにダイヤモンド・ソーイングを使用する。しかしながら、エポキシ・モールド化合物のパッケージのダイヤモンド・ソーイングには問題があり得る。一般的な問題には、エッジ・チッピング、エッジ亀裂、銅スミア、エッジの銅バリおよびはんだブリッジがある。水スラリまたは湿式化学スラリの使用は、これらの問題のうちいくつかを防止する上で助けになり得る。しかしながら、さらなる問題に、機械的ソーイング中の漏れがあり得る。他の問題には、機械的ソーが高コストであること、不安定なチップ寸法によるソー摩耗、およびダイシング速度が遅いことが含まれる。
【0007】
ダイヤモンド・ソーイングの別の制約には、直線の切断にしか適さないことがある。さらに、切断工具のアライメントおよび幅を許容するために、各スクライブ・グリッドが比較的大きな幅を有する必要がある。このことによって半導体ウェーハの大部分が浪費される。加えて、切断処理が遅く、半導体ウェーハ上のスクライブ・グリッドをすべて刻みつけるのに、大抵の場合1時間以上を必要とする。
【0008】
アブレイシブ・ウォーター・ジェット(AWJ)技術は、従来の方法に対していくらかの改善を提供する。小オリフィスを通された湿式化学スラリが、材料の半導体チップを切断するのに使用され得る。しかしながら、AWJにも短所がある。これは、一般に処理が遅いことである。一般的には、AWJは、湾曲した切断用にのみ使用されるときでさえ、毎時1000ユニット(UPH)未満に制限される。また、AWJは、洗浄および乾燥の形態の後処理が必要である。また、水は濾過して再利用され得るが、激しいAWJアクションによってガーネット粒径が縮小し、再利用することができなくなる。他の問題には、高い経費と、オペレータのための音響の保護/遮断を必要とする高いノイズレベルとが含まれる。
【0009】
レーザは、ダイの単体化と、ウェーハやパッケージのマーク付けのための改善された方法とをもたらす。レーザは、クワッドフラット・リードなし(QFN)、ファインピッチ・ボールグリッド・アレイ(FBGA)、およびマイクロ・セキュアデジタル(SD)またはマイクロ・セキュアデジタル(SD)(MMC)ならびにダイレクト・チップ・アタッチ(DCA)タイプ・パッケージなど、ICパッケージを単体化するための機械的方法に対する魅力的な代替形態として出現した。この技術はしばしばレーザ・ソーイングとも呼ばれ、輪郭付けされたパッケージならびに表面実装製品用に特に有効である。後者の場合、精密な切断のためのレーザの能力は、最大収量および最小フットプリントのために、電子機器をエッジに対して非常に接近して配置することを可能にする。レーザベースの単体化は、工具摩耗もワークピースに対する機械的応力もないので、「非接触処理」である。その上に、レーザ切断は一貫した結果をもたらし得る。しかしながら、レーザ技術は、有効であるためには、速度、コスト、およびエッジ粗さなどの問題に対処する必要がある。
【0010】
レーザが生成する熱がしばしば問題になる。レーザ単体化において、レーザ熱の熱的影響により、エッジの熱的損傷、材料の燃焼、および放出された材料によるアブレーションを含む重大な問題が生じる。ピコ秒(ps)、フェムト秒(fs)の超短パルスのレーザ、または紫外線(UV)レーザは、高コストであるため、パッケージのダイシング用に使用するには一般にコスト効率が悪い。さらに、フェムト秒レーザも、ピコ秒レーザも、UVレーザも、低出力であるために、ダイシングの工業スループット要件を満たすことができない。
【0011】
したがって、レーザを使用してこれらの制約を克服する、ポリマー樹脂モールド化合物ベースの基板のための改善されたレーザ切断システムおよび方法が必要とされている。この方法は、従来技術よりも短い時間で均一な単体化をもたらすとともに、より狭いスクライブ線を維持するべきである。
【発明の概要】
【0012】
以下の概要は、開示される実施形態に特有の革新的な特徴のうちいくつかの理解を容易にするために提供されるものであり、十分に説明するようには意図されていない。本明細書で開示される実施形態の様々な態様は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、および要約を全体として考慮に入れることによって十分に理解され得る。
【0013】
実施形態は、レーザアブレーション処理によってポリマー樹脂化合物をパッケージへと単体化するためのシステムを含む。このシステムは、バッファ・ステーション、レーザおよびポリマー樹脂化合物を保持するための治具を含むことができる。ポリマー樹脂化合物を治具に保持するために真空圧を使用することができる。レーザは、10kHz以上の繰返し率のパルスレーザであり得る。バッファ・ステーションは、高速冷却ガスを放射するためのガスインジェクタを任意選択で伴う加熱エレメントを含むことができる。さらに、圧縮空気またはガスの供給源は、圧縮空気またはガスをレーザの方向へ強制放出する。
【0014】
レーザは、治具に埋め込まれているトレンチに沿って切断し、治具は、内部管系を有するベース板を通して液体を循環させることによって冷却される。トレンチは、約1~3センチメートルの深さおよび1ミリメートル以上の幅を有し得る。代替の設計では、トレンチは0.5mm以上の幅を有する。
【0015】
実施形態は、レーザ切断処理によってポリマー樹脂化合物をパッケージへと単体化する方法も含む。この方法は、(a)ポリマー樹脂化合物を切断治具に載せるステップと、(b)真空引きして、ポリマー樹脂化合物を切断治具に固定するステップと、(c)パルスレーザを作動させて、ポリマー樹脂化合物を、切断治具に埋め込まれている一連のトレンチに沿って切断するステップと、(d)切断治具のベース板を通して液体を循環させて、ポリマー樹脂化合物を冷却するステップとを含む。
【0016】
この方法は、バッファ・ステーションにおいて基板を予熱する追加のステップと、基板を切断治具に載せる前に、任意選択で高速冷却ガスを噴射するステップとを含むことができる。融除された領域を冷却するため、および/またはデブリを除去するために、加圧された空気またはガスが使用され得る。パッケージは、切断された後に洗浄ステーションに送達され得る。
【0017】
〔導入部〕
本発明の第1の態様は、ポリマー樹脂モールド化合物のパッケージまたは基板をレーザアブレーション処理によってパッケージまたはチップにするレーザ単体化のシステムおよび方法である。
【0018】
本発明の第2の態様は、パルスレーザビームと、異なる速度およびレーザ・パラメータにおけるパスの複数の組み合わせとを使用するレーザ切断(すなわち順次の切断)方法である。
【0019】
本発明の第3の態様は、高いスループットとエッジ品質の最適の組み合わせを実現する複数のパスとして複数の順次の切断を使用するレーザ切断方法である。
【0020】
本発明の第4の態様は、トレンチを有する切断治具を使用するレーザ切断方法であり、ポリマー樹脂化合物はトレンチに沿って切断される。
【0021】
本発明の第5の態様は、液体を循環させる内部管を有するベース板を使用して切断治具および取り付けられた基板/チップを冷却するレーザ切断方法である。
【0022】
上記の概要ならびに例示の実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面とともに読むと一層よく理解される。本開示を説明するために、本開示の例示的構築が図面に示されている。しかしながら、本開示は、本明細書で開示された特定の方法および手段には限定されない。その上に、当業者なら図面が原寸に比例しないことを理解するであろう。可能な場合には、同種の要素は同一の番号によって指示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】単体化のために使用される基板およびレーザビームを表す図である。
【
図2A】レーザアブレーション処理によって、ポリマー樹脂モールド化合物のパッケージまたは基板をチップへと単体化するレーザ切断方法のステップを列記するフローチャートである。
【
図2B】レーザアブレーション処理の後にチップを洗浄するステップを列記するフローチャートである。
【
図3A】パッケージまたは基板が載せられていない切断治具の上面図である。
【
図3B】パッケージまたは基板が載せられていない切断治具の正面図である。
【
図5】切断治具を冷却するために、切断治具が取り付けられたベース板を通って循環する冷水の方向を表す図である。
【
図6A】OLGAを取り付けられたインタポーザのストリップ・パッケージを表す図である。
【
図6B】第1のステップにおける単体化を表す図である。
【
図6C】第2のステップにおける単体化を表す図である。
【
図6D】第3のステップにおける単体化を表す図である。
【
図6E】第4のステップにおける単体化を表す図である。
【
図6F】単体化の後の個々のパッケージを表す図である。
【
図6G】単体化の後の個々のパッケージのエッジを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔定義〕
本発明は主としてエポキシ・モールド化合物の単体化に関して説明されるが、本発明はそのように限定されることなく、小形部品の正確な成形およびモールディングを必要とする他の試みを支援するために使用され得ることが理解される。また、ポリマー樹脂化合物が参照されているが、この技術は他の基板へ容易に移すことができる。これらの非限定的な例において論じられる特定の値および構成は多様であり得、少なくとも1つの実施形態を示すためにのみ引用され、それらの範囲を制限するようには意図されていない。
【0025】
本明細書における「一実施形態/一態様」または「実施形態/態様」に対する参照は、実施形態/態様に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれることを意味する。本明細書の様々な位置における「一実施形態/一態様では」または「別の実施形態/態様では」というフレーズの使用は、必ずしもすべてが同一の実施形態/態様を参照するわけではなく、他の実施形態/態様を相互排除する個別または代替の実施形態/態様でもない。その上に、他のものによってではなく、いくつかの実施形態/態様によって示され得る様々な特徴が説明される。同様に、他の実施形態/態様ではなく、いくつかの実施形態/態様に関する要件であり得る様々な要件が説明される。実施形態および態様は、特定の例において互換的に使用され得る。
【0026】
本明細書で使用される用語は、本開示の文脈内で、各用語が使用される特定の文脈において、一般に当技術における通常の意味を有する。本開示を説明するために使用される特定の用語は、本開示の説明に関して実務者にさらなる手引きを提供するために、以下で、または本明細書の他のところで論じられる。便宜上、特定の用語が、たとえばイタリック体および/または引用符を使用して強調されることがある。強調の使用が、用語の範囲および意味に影響することはなく、用語の範囲および意味は、同一の文脈では強調の有無にかかわらず同一である。同一のことが複数のやり方で表現され得ることが理解されよう。
【0027】
結果的に、本明細書で論じた用語のうち任意の1つまたは複数の代替言語および同義語が使用され得る。また、用語には、本明細書で詳述される/論じられるかどうかにかかわらず、いかなる特別な重みも与えられることはない。特定の用語については同義語が与えられる。1つまたは複数の同義語の説明部において、他の同義語の使用が除外されることはない。本明細書で論じられる何らかの用語の例を含めて本明細書のどこかでの例の使用は例示でしかなく、本開示またはいかなる例示された用語の範囲や意味をさらに制限するようには意図されていない。同様に、本開示は、本明細書で示される様々な実施形態に限定されない。
【0028】
本開示の範囲をさらに制限する意図なしで、本開示の実施形態による、機器、装置、方法およびそれらに関する結果の例が以下で示される。例では、読者の便宜のためにタイトルまたはサブタイトルが使用されることがあるが、本開示の範囲を制限されるべきものではないことに留意されたい。本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、別段の定義がない限り、本開示が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。矛盾する場合には、定義を含めて本文献が制御する。
【0029】
「ダイ」という用語は、その上に機能回路が製作される半導体材料のブロックを指す。一般的には、集積回路は、フォトリソグラフィなどの処理によって電子品質シリコン(EGS)または他の半導体(GaAsなど)の単一のウェーハ上の大きなロットで生産される。ウェーハは、それぞれが回路の1つのコピーを含む多くの部分に切断される(「ダイシングされる」)。これらの部分の各々がダイと呼ばれる。
【0030】
埋め込みウェーハ・レベル・ボール・グリッド・アレイ(eWLB)は集積回路用のパッケージ技術である。パッケージの相互接続は、シリコンチップおよび注入化合物で作製された人工ウェーハ上に与えられる。eWLBは、伝統的なウェーハ・レベル・ボール・グリッド・アレイ技術(WLBまたはWLP:ウェーハ・レベル・パッケージ)のさらなる発展である。eWLB技術の背景の主たる推進力は、相互接続経路設定のためにより多くのスペースを可能にすることであった。
【0031】
「ガルバノメータ・スキャナ・レーザ」という用語は、ガルバノメータ・スキャナによって制御されたレーザビーム運動を指す。ガルバノメータ・スキャナは、入射レーザ光をXおよびYに偏向させる2つのガルボ・スキャンミラーを含む。2つのスキャンミラーの後に、レーザビームを合焦するための焦点レンズがある。上下ならびに前後に移動する2軸運動を実行すると、基板を単体化するためにレーザビームが走査される。ガルボ・スキャナの後の合焦されたビームは、基板を単体化するために使用される。
【0032】
「集積回路」、「IC」、「マイクロチップ」、「シリコンチップ」、「コンピュータ・チップ」または「チップ」という用語は、フォトリソグラフィ技術を使用して電子回路がエッチングされる、特別に作製されたシリコン(または別の半導体)の一部分を指す。シリコンチップは、論理ゲート、コンピュータ・プロセッサ、メモリおよび特別なデバイスを含むことができる。チップは脆弱であるため、通常は頑丈なプラスチック・パッケージによって取り囲まれている。チップとの電気接触は、パッケージから突出する金属脚によってもたらされる。
【0033】
「切り溝」という用語は、ソーによって後に残された狭いチャネルおよび(関連する)幅の測定値を指し、これは、ソー・ブレードの幅、ブレードの歯のセット、切断中に生じる揺れ量、および切断面から出た材料の量を含むいくつかの要因に依拠する。レーザを使用するとき、切り溝は、切断される材料の特性、ワークピースの厚さ、レンズの焦点距離、およびレーザにおいて使用される切削ガスのタイプに依拠する。
【0034】
「レーザアブレーション」という用語は、レーザビームを照射することによって固体の表面から材料を除去する処理を指す。低レーザ束において、吸収されたレーザ・エネルギーによって材料が加熱され、蒸発または昇華する。
【0035】
「有機ランド・グリッド・アレイ」すなわち「OLGA」という用語は、空気空洞およびパターニングされた導電トレースを伴う有機基板を有するリードレスパッケージを指す。特定の用途に依拠して、パッケージにおいて、ASICと、異なる波長を有するLEDとが統合される。接続は、パッケージの底面におけるリード(端子ピン)によってなされる。これらのリードはPCB上に直接はんだ付けされる。
【0036】
「パッケージの積み重ね」、または「パッケージ・オン・パッケージ」という用語は、個別の論理およびメモリ・ボールグリッド・アレイ(BGA)パッケージを垂直に結合するための集積回路のパッケージング方法を指す。2つ以上のパッケージが重なって設置される(すなわち、信号をルーティングするための標準インターフェースを介在させて積み重ねられる)。これによって、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、およびデジタルカメラなどのデバイスの部品密度をより高くすることができる。
【0037】
「フォトリソグラフィ」または「光リソグラフィ」という用語は、薄膜または基板の大部分の各部にパターニングするための微細加工において使用される処理を指す。フォトマスクから基板上の光感応化学物質「フォトレジスト」に幾何学模様を転写するために光が使用される。
【0038】
「単体化」、「ダイ切断」または「ダイシング」という用語は、複数の同一の集積回路をそれぞれ含むウェーハを、それらの回路のうち1つを含む個々のダイに切り分ける処理を指す。この処理は、スクライビングおよび分割、機械的ソーイングまたはレーザ切断を包含することができる。ダイシング処理に続いて、個々のシリコンチップがチップ・キャリアの中に封入され、次いで、コンピュータなどの電子デバイスの構築に使用するのに適切なものになる。
【0039】
本明細書で使用される他の技術用語は、種々の専門用語辞典によって例示されるように、それらが使用される技術における通常の意味を有する。これらの非限定的な例において論じられる特定の値および構成は多様であり得、少なくとも1つの実施形態を示すためにのみ引用され、それらの範囲を制限するようには意図されていない。
【0040】
〔好ましい実施形態の説明〕
ダイ作製は、一般的には基板のダイシングまたは切断が後に続く基板取り付けを含む。基板は一般的にはポリマー樹脂モールド化合物である。本発明は切断治具に基板を取り付けるために真空圧を利用する。その後、基板を各部分(すなわちチップ)へと切断するためにレーザ技術が使用される。
【0041】
図1は、レーザアブレーションによって切断される基板を表す。焦点レンズが、レーザビームを、レーザ・ソフト・アブレーション・スポット320における基板接触点へと導く。レーザビームは矢印305によって表された方向に移動する。レーザによってスクライブ線すなわち単体化ストリート315が形成される。レーザは、基板を個々のパッケージに分離するために、基板の上に複数回導かれる(すなわち、複数のパス)。パルスレーザビームは、異なる速度におけるパスとレーザ設定の組み合わせを用いて使用され得る。これによって、ユニットの高速の単体化が1つのパスで可能になる。
【0042】
ガス管も表されている。ガス管310の出口は、ガスまたは圧縮空気を単体化ストリートと平行な方向に導く。これは基板を冷却し、切断処理に由来する粒子またはデブリを除去する。表されるように、ガス管310は、切断ストリートに沿ったビーム運動の方向に整列される。
【0043】
切断中は基板を保持するために金属治具(図示せず)が使用される。この治具は、切断されている間にレーザビームが侵入することを可能にするためのトレンチを含む。さらに、この治具は、基板を冷却するための水を使用することができる。ベース板に内蔵された管によって水が循環し、治具から熱を奪うことによる、切断中の基板の冷却が可能になり得る。
【0044】
図2Aは、一実施形態によるレーザアブレーション処理によって基板をチップへと単体化するレーザ切断方法のフローチャート100である。この処理は基板取り付けと基板単体化に分離され得る。基板および/または単体化されたユニットを移動させるためにピッカ(ピックアンドプレース機またはロボット)が使用され得る。
【0045】
ステップ105において、バッファ・ステーション上に基板が配置される。バッファ・ステーションは、切断治具上に配置する前に高速冷却ガスの任意選択の噴射を伴う、基板を予熱するためのホットプレートを含むことができる。加熱されたポリマー樹脂化合物は、予熱後の形態を保つように、切断治具に載せられる前に高速冷却ガスによって急速に冷却され得る。このステップにより、切断治具上に配置される前に基板の反りが解放され得て、優れた真空密閉を保証する。
【0046】
その後、ステップ110において、ピックアップ・デバイスは、基板をバッファ・ステーションから切断治具(「治具」)に載せることができる。基板は、個々のチップに切断されている間は切断治具によってしっかりと保持される。基板は真空圧によって固定され得る。ステップ115は、基板に吸引力をかけて運動を防止するための真空の活性化を表す。真空穴は円(正方形ユニット)または長方形(矩形ユニット)であり得る。
【0047】
切断治具は、ステンレス鋼(SUS)またはアルミニウムなどの金属ベースの材料を用いて構築され得る。治具の最下部は、切断中にユニットの吸引を可能にするための少なくとも1つの真空チャンバを備えることができ、それによってユニットの運動を防止する。各ユニットは、切断治具から切り出されたアイランドに載せられ得、ユニットの表面の掻き傷/損傷を防止するために0.2mm~1.0mmの厚さ(好ましくはおよそ0.5mmの厚さ)のゴムの層で支持される。
【0048】
次のステップ120では、好ましくは下方に面する基板に対して切断(「単体化」)が遂行される。レーザは、パルスレーザビームを使用して基板を個々のチップに切断することができる。基板が、異なる速度およびレーザ・パラメータにおける複数のパスを使用して切断されるように、パルスレーザビームが使用される。これは、基板をより低い温度に維持するための助けになり、レーザビームからの加熱がより小さいので反るのが防止される。
【0049】
切断処理によるデブリは、ノズルを通って切断領域に導入される圧縮空気(たとえばN2、Ar、またはCO2)を使用して除去され得る。ノズルは圧縮空気を導入するように考えて配置され得、その結果レーザ切断ストリートと平行して整列される。デブリはチャンバの最下部から排出され得る。切断中に生成されたデブリおよび煙霧は、治具(図示せず)の側部および最下部に配置された排出開口を通って除去され得る。圧縮空気は、特にレーザ接触領域における切断ストリートを冷却すること、およびレーザが基板と接触したときの「スパーク」を防止することの助けにもなり得る。
【0050】
余熱は従来の方法のレーザ単体化に共通する問題である。この問題を克服するために、治具は、切断中に基板を冷却するために冷水を循環させるステップ125のためのシステムを含むことができる。冷水の温度は、22℃未満(好ましくはおよそ10℃以下)である。これは、切断中にユニットを冷却し、レーザによって生成した熱を切断領域から効果的に逃がす。
【0051】
ステップ130において、ガスまたは圧縮空気が、ノズルを通って切断領域に導入され得る。レーザビームは、圧縮ガスまたは空気とともに切断ノズルを通過することができる。これによって、ユニットの高速の単体化が1つのパスで可能になる。切断後に、切断治具に保持されている単体化されたユニットは、ステップ135において、デブリを除去するとともにユニットの表面に残された切断バリ/繊維を除去するために洗浄され得る。単体化中に蓄積したまたは定着したデブリを吹き飛ばすために、排気口が作動され得る。洗浄処理は、デブリがない単体化されたユニットを生産するためにブラッシングなどの追加のステップを含むことができる。
【0052】
図2Bは、一実施形態による自動機械のための洗浄ステップ101のフローチャート101である。ユニットはステップ140において真空搬送アームによって選出され、ステップ145において第1の洗浄ステーションに移動される。第1の洗浄ステーションにおいて、ユニットの上側が、アルコール溶液(たとえばIPA)または普通の脱イオン(DI)水で少し濡らされた柔らかい布地/スポンジを用いて洗浄される。次に、ユニットはステップ150において反転ステーションに移動されて180度反転され、別の搬送アームによって選出される。ユニットは、次に、ステップ155において、洗浄のために第2の洗浄ステーションに移動される。第1の洗浄ステーションと同様に、IPAなどのアルコール溶液またはDI水が使用され得る。ここでユニットの下側が洗浄される。次に、ユニットは、ステップ160においてグリッドのないテーブルまで移動され、テーブルに載ってピッカのピックアップ位置に移送される。回転するピッカ・ヘッドが各ユニットを選出し、ステップ165においてブラッシング・ステーションへ移動させることができ、その結果、ユニットは4つの側面のすべてがブラッシングされる。次いで、ユニットは、ステップ170において視覚検査カメラを通って移動され、トレーに降ろされる。残ったスクラップ・レールは別のピッカ・アームによって自動的に除去され、スクラップ・ビン(図示せず)に廃棄される。
【0053】
〔切断治具〕
単体化の好ましい方法では、切断治具は、単体化中に基板をしっかりと保持する。2つの構造上の特性により、基板は、反りまたは他の損傷に繋がる高温に到達することなく正確に切断され得る。切断中にレーザビームの侵入が可能になるようにトレンチ(すなわち治具のへこんだ領域)が埋め込まれている。内部配管を有するベースは、ベース板の中を冷水が循環することを可能にする。これは、切断中に治具から熱を除去して基板を冷却する。
【0054】
図3Aは、
図2Aの方法で使用される切断治具200の上面
図202を表す。トレンチは、中央部分にグリッドを形成する。基板は切断治具上に配置される。レーザが、トレンチに沿って切断するように導かれ、基板から個々のパッケージを形成する。
図3Bは、治具のトレンチ(狭い白色の垂直線)をさらに示すための前面
図210を表す。トレンチは、好ましくは約1~3センチメートルの深さおよび1ミリメートル以上の幅を有する。
【0055】
【0056】
細片を取り囲むレール(すなわちユニットのない細片の周囲)は、治具によって支持され、ピンを用いて配置されて、真空によって適所に保持され得る。細片レール上に保持するためのものと、ユニット上に保持するためのものの、2つの個別の真空ラインが設けられる。金属治具に切り込まれたトレンチが各ユニットを取り囲んでおり、各々が1cm~3cm(好ましくはおよそ2cm以上)の深さおよび幅の最小値(ユニット切り溝の幅+Xmm)を有する。Xの値は、各ユニットの幅および長手方向の寸法に依拠し、少なくとも0.5mm(以上)(好ましくは1mm)である。トレンチは、切断中にレーザビームを侵入させるとともに、切断から生じたデブリを収集するように設計されている。トレンチは各細片の切断後に高圧空気で洗浄され得る。真空穴は、円(正方形ユニットとともに使用する)または長方形(矩形ユニットとともに使用する)などの形状を有し得る。
【0057】
単体化中に基板を冷却するために水または別の流体が使用され得る。
図5は、切断治具が取り付けられ得るベース板を表す。冷水がベース板の中を循環して、切断治具および取り付けられた基板を冷却する。矢印は、一連のチューブまたは管を通る水流の方向を示す。
【0058】
切断治具は、切断チャンバの中に完全に密封され得る。切断から生じたデブリおよび煙霧は、チャンバの側部および最下部にある複数の排出開口を通って排出され得る。さらに、チャンバの最上部の空気ブローが、チャンバの内部の機械部品上に蓄積したかまたは定着したデブリに向けられ得る。これによって、デブリがチャンバの最下部から排出され得る。この目的のために、窒素、二酸化炭素または圧縮空気が使用され得る。圧縮空気がレーザ切断領域と平行に並ぶようにノズルが配置され得る。これは、対象物体と接触したときのレーザのスパークを最小化するための、切断領域の冷却ならびにデブリの洗浄の助けになる。
【0059】
〔レーザ〕
2つのタイプのレーザヘッド設計のうち1つが単体化するために使用され得る。1つの設計タイプはガルバノメータ・スキャナによって生成されるレーザビームである。レーザビームが基板の表面に対して垂直方向に侵入するのを可能にするために焦点レンズが使用される。焦点レンズは、切断される基板上のビームの出力強度およびその分布に依拠して、従来の焦点レンズ、F-θ焦点レンズまたはテレセントリック・レンズであり得る。一般的な単体化用途向けには、100mm×100mm以下の走査フィールドならばF-θ焦点レンズで十分である。この方法により、レーザビームが、異なる速度およびレーザ・パラメータにおけるパスの組み合わせを用いて基板を成形することが可能になる。代替形態では、圧縮ガス(N2/CO2)または空気とともに切断ノズルが使用され得る。これによって、ユニットの高速の単体化が1つのパスで可能になる。
【0060】
レーザは、低コストであり、必要な保守がなく/最小限で、切断処理に関する他の基準を満たすので、本発明の好ましい方法では切断のためにレーザを使用する。しかしながら、切断の手法は、高品質のエッジを有する基板を効率的に生産するための努力を含むべきである。
【0061】
基板のエッジ品質の最適化のために、周辺の加熱は最小限にするべきである。これは、材料に対してアブレーション閾値を超えて出力されるレーザパワーの合計の割合を最大化することを意味する。これをするやり方の1つは、短いパルス持続時間を有するレーザおよび高速の立ち上り時間を有するパルスを使用することである。各パルスによって生じる熱は小さく、次のパルスが達する前に放散するだけの時間がある。この点に関して、パルスレーザは連続波形(CW)レーザではないのが好ましい。パルスレーザは、ナノ秒(ns)近赤外(NIR)レーザ(Nd:YAGレーザまたはファイバレーザなど)またはパルス幅調整可能なns NIRレーザ(1ナノ秒から500ナノ秒のパルス幅など)であり得、10~200ワットの電力を有する。レーザはマルチラインかつ多層処理において与えられ得る。
【0062】
単体化処理は、材料を除去するためにレーザ・ソフト・アブレーション技術を使用することができる。高度なエッジ品質を達成するには、単体化の正確なニーズのためにいくつかのレーザ・パラメータを最適化する必要がある。パラメータは、レーザパルス持続時間、パルスレート、ドウェル時間、レーザパワー、モード品質および切断を含む。単体化処理は周期的パラメータ変更を用いて改善され得る。高い繰返し率の「洗浄パス」によって、切り溝の仕上げを改善することができる。
【0063】
周辺の熱的影響の制限に関して、レーザパルスの空間閉じ込めは時間的閉じ込めと同じくらい重要であり得る。拡散域ではなく、小さく強いスポットに合焦することができるレーザビームを使用することが決定的であり得る。このタイプのスポットは、横電磁(TEM00)単一モード出力を生じるようにレーザを設計することによって得られ、ビームは電力ピークが中央にある円形断面を有する。レーザに関する通則として、電力が増加するにつれて、高いモード品質を保つことがますます困難になる。しかしながら、単体化は、機械的ソーイングに匹敵する速度および費用効果を提供するために比較的高い電力レベルを必要とする可能性がある。そのため、レーザは、TEM00出力とともにこの高い電力レベルを提供するために、念入りに設計する必要がある。
【0064】
高いパルス繰返し率も望ましい。これによって、点線切断を生じることなく、材料にわたるレーザビームの高速掃引が可能になる。パッケージ単体化については、繰返し率が10kHz未満であると処理速度が制限されることになる。このため、10kHzよりも高いパルス繰返し率の単体化レーザを使用するのが好ましい。
【0065】
原理的に、レーザは、1回の切断で、1mmの総厚みでさえパッケージ全体を切り離すことができる。しかし、これを実現するのに必要なドウェル時間が、有害な熱的影響(すなわち粗い燃焼エッジ)を引き起こすおそれがある。複数の順次の切断を使用することによって、より優れた結果を得ることができる。たとえば、1mmまたは1.2mmなどそれ以上の厚さのパッケージに対して高いスループットとエッジ品質の最適の組み合わせを提供するのに、複数のパスが理想的であり得る。
【0066】
〔実施例〕
〔OLGAを取り付けられたインタポーザの単体化〕
図6Aは、OLGAを取り付けられたインタポーザのストリップ・パッケージをレーザ単体化するための一例を表す。樹脂モールド(すなわち基板)をパッケージへと単体化するために100ナノ秒(ns)のパルスNIRファイバレーザが使用される。上記で説明されたようにレーザの複数の走査が使用される。この例では3つの走査(すなわちライン)が使用されている。基板が個々のパッケージに分離されるまで、それぞれの走査によって、より滑らかでより完全な単体化ストリート315がもたらされる。
【0067】
第1の走査は、16Wの電力、300mm/sの速度および150KHzの周波数で遂行される。単体化の結果が
図6Bに表されている。単体化ストリート315に沿って直線の清浄な溝が形成されている。第2のステップは、28Wの電力、500mm/sの速度および150KHzの周波数で遂行される。単体化の結果が
図6Cに示されている。ステップ2のエッジ燃焼なしで特定の切断深さが生成される。
【0068】
第3のステップは、68Wの電力、750mm/sの速度および150KHzの周波数で遂行される。単体化の結果が
図6Dに示されている。単体化ストリート315に沿って直線の清浄な溝が形成されている。第4のステップは、45Wの電力、750mm/sの速度および200KHzの周波数で遂行される。単体化の結果が
図6Eに示されている。最終的な単体化ステップが完了し、その結果、基板が、
図6Fに示されるようにより小さいパッケージに分離される。320には、パッケージの下面図がパッケージ325の上面図とともに示されている。
【0069】
図6Gは、単体化の後の個々のパッケージのエッジを表す。チップは清浄な頂面および清浄で直線の側壁を有する。
【0070】
〔レーザの選択〕
レーザは、信頼できて、コスト効率が良く、切断処理に十分に適合するべきである。CWレーザではなくパルスレーザが使用される。たとえば、ナノ秒NIRファイバレーザまたは10~200ワットの電力を有するパルス幅調整可能なns NIRファイバレーザが使用され得る。Nd:YAGレーザなど他のタイプのレーザも使用され得る。
単体化処理
【0071】
レーザ・ソフト・アブレーションは、マルチライン、多層処理とともに使用され得る。パラメータを周期的に変化させると、処理の速度およびパッケージの品質を改善することができる。さらに、高い繰返し率の「洗浄パス」によって、切り溝の仕上げを改善することができる。
【0072】
本発明が、特定の実施形態および用途の観点から、要約された形態と詳述された形態の両方において説明されてきたが、これらの説明は、本発明の範囲を、いかなるそのような実施形態および用途にも限定するようには意図されておらず、本明細書で説明された方法およびシステムならびにそれらの運用の、説明された実施形態、用途および詳細における多くの置換、変更、および変形形態が、この発明の趣旨から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。