(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】TFTデバイス及び液晶表示パネルの静電気保護回路
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
H01L29/78 623
H01L29/78 618B
(21)【出願番号】P 2020509522
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2017110312
(87)【国際公開番号】W WO2019051978
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-02-18
(31)【優先権主張番号】201710828976.1
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】趙 陽
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0135846(US,A1)
【文献】特開2011-216721(JP,A)
【文献】国際公開第2012/137711(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0084293(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0291635(US,A1)
【文献】特開2012-182388(JP,A)
【文献】特開2010-182819(JP,A)
【文献】特開2002-151695(JP,A)
【文献】特開2014-220483(JP,A)
【文献】特開2011-228622(JP,A)
【文献】国際公開第2012/096154(WO,A1)
【文献】特開2015-119162(JP,A)
【文献】特開2011-119706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含み、
前記回折金属が前記チャネル領域の中間位置に位置し、
前記ソース金属の少なくとも一部及び前記ドレイン金属の少なくとも一部が平面視で前記ゲート金属と重な
り、
前記回折金属は、如何なる電位に接続されていないTFTデバイス。
【請求項2】
前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う請求項1に記載のTFTデバイス。
【請求項3】
前記IGZO層は、長方形であり、前記IGZO層の短辺に平行な第1次元と、前記IGZO層の長辺に平行な第2次元とを含み、前記回折金属が前記IGZO層の第1次元において前記IGZO層を覆う請求項2に記載のTFTデバイス。
【請求項4】
前記回折金属は、長方形であり、長辺及び短辺を含み、前記回折金属の長辺が前記IGZO層の第1次元に平行である請求項3に記載のTFTデバイス。
【請求項5】
前記IGZO層の表面に少なくとも1つの前記回折金属が形成されている請求項1に記載のTFTデバイス。
【請求項6】
前記IGZO層の表面には離間して設けられた第1回折金属と第2回折金属とが形成され、前記第1回折金属が前記ソース金属の近くに設けられ、前記第2回折金属が前記ドレイン金属の近くに設けられ、前記第1回折金属と前記ソース金属との離間長さは、前記第2回折金属と前記ドレイン金属との離間長さに等しい請求項5に記載のTFTデバイス。
【請求項7】
前記回折金属の長さは7μm~9μmであり、前記回折金属の幅は4μm~6μmである請求項1に記載のTFTデバイス。
【請求項8】
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含み、
前記ソース金属の少なくとも一部及び前記ドレイン金属の少なくとも一部が平面視で前記ゲート金属と重な
り、
前記回折金属は、如何なる電位に接続されていないTFTデバイス。
【請求項9】
前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う請求項8に記載のTFTデバイス。
【請求項10】
前記IGZO層は、長方形であり、前記IGZO層の短辺に平行な第1次元と、前記IGZO層の長辺に平行な第2次元とを含み、前記回折金属が前記IGZO層の第1次元において前記IGZO層を覆う請求項9に記載のTFTデバイス。
【請求項11】
前記回折金属は、長方形であり、長辺及び短辺を含み、前記回折金属の長辺が前記IGZO層の第1次元に平行である請求項10に記載のTFTデバイス。
【請求項12】
前記IGZO層の表面に少なくとも1つの前記回折金属が形成されている請求項8に記載のTFTデバイス。
【請求項13】
前記IGZO層の表面には離間して設けられた第1回折金属と第2回折金属とが形成され、前記第1回折金属が前記ソース金属の近くに設けられ、前記第2回折金属が前記ドレイン金属の近くに設けられ、前記第1回折金属と前記ソース金属との離間長さは、前記第2回折金属と前記ドレイン金属との離間長さに等しい請求項12に記載のTFTデバイス。
【請求項14】
前記回折金属の長さは7μm~9μmであり、前記回折金属の幅は4μm~6μmである請求項8に記載のTFTデバイス。
【請求項15】
液晶表示パネルの画素駆動回路の入力端子に設けられている液晶表示パネルの静電気保護回路であって、前記静電気保護回路は金属配線と、直列又は並列に接続される少なくとも2つのTFTデバイスとを含み、
前記TFTデバイスは、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含み、
前記ソース金属の少なくとも一部及び前記ドレイン金属の少なくとも一部が平面視で前記ゲート金属と重な
り、
前記回折金属は、如何なる電位に接続されていないことを特徴とする液晶表示パネルの静電気保護回路。
【請求項16】
前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う請求項15に記載の液晶表示パネルの静電気保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、特にTFTデバイス及び液晶表示パネルの静電気保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)液晶表示パネルには静電気破壊が多く存在するが、ESD(Electro-Static discharge,静電気放電回路/静電気保護回路)は、瞬時に放電される電流が、液晶表示パネルの画素アレイに流れ込んで画素内のTFTデバイスを破壊することがなく、画素アレイに流れ込んでもTFTデバイスのゲート又はソースドレインに大きな電圧が発生することを防止することができ、したがって、画素アレイに電流が流れ込む前に、複数のTFTを直並列接続してなる保護回路を設け、瞬間的に大電流が流れた場合に、直接ESDに流れることで、画素アレイを保護することができる。
【0003】
IGZO(indium gallium zinc oxide,インジウムガリウム亜鉛酸化物)TFTとは、TFTデバイスの能動層上に金属酸化物(IGZO)を堆積させることで、TFTデバイスのチャンネルキャリア移動度を大幅に向上させ、さらに画素の応答速度を向上させる。
【0004】
IGZO 4 MASK(IGZO TFT 4枚マスクプロセス)では、TFTのチャネルが大きいため、ソース、ドレイン金属とIGZO層とが同一マスクであり、3回のウェットエッチングによる、複数回のウェットエッチングでIGZO層がオーバーエッチングされ、TFTデバイスの性能に影響を与えてしまう。
【0005】
以上のようにして、従来技術のIGZO TFTの製造工程では、IGZO層を複数回エッチングすると、オーバーエッチングが発生し、TFTデバイスの性能に影響を与え、ひいては液晶表示パネルの画素応答速度に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、IGZO層のエッチングプロセスにおいて、IGZO層の複数回のエッチング後のオーバーエッチング程度を低減し、ひいてはIGZO層の完全性を保護することが可能なTFTデバイスを提供することにより、従来のIGZO TFT製造プロセスにおいてIGZO層を複数回エッチングすることによって生じるオーバーエッチングの技術的問題を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は下記の技術的手段を提供する。
【0008】
本発明は、TFTデバイスを提供し、該TFTデバイスは、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含み、
前記回折金属が前記チャネル領域の中間位置に位置する。
【0009】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う。
【0010】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層は、長方形であり、前記IGZO層の短辺に平行な第1次元と、前記IGZO層の長辺に平行な第2次元とを含み、前記回折金属が前記IGZO層の第1次元において前記IGZO層を覆う。
【0011】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属は、長方形であり、長辺及び短辺を含み、前記回折金属の長辺が前記IGZO層の第1次元に平行である。
【0012】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層の表面に少なくとも1つの前記回折金属が形成されている。
【0013】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層の表面には離間して設けられた第1回折金属と第2回折金属とが形成され、前記第1回折金属が前記ソース金属の近くに設けられ、前記第2回折金属が前記ドレイン金属の近くに設けられ、前記第1回折金属と前記ソース金属との離間長さは、前記第2回折金属と前記ドレイン金属との離間長さに等しい。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属の長さは7μm~9μmであり、前記回折金属の幅は4μm~6μmである。
【0015】
本発明は、TFTデバイスをさらに提供し、該TFTデバイスは、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含む。
【0016】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う。
【0017】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層は、長方形であり、前記IGZO層の短辺に平行な第1次元と、前記IGZO層の長辺に平行な第2次元とを含み、前記回折金属が前記IGZO層の第1次元において前記IGZO層を覆う。
【0018】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属は、長方形であり、長辺及び短辺を含み、前記回折金属の長辺が前記IGZO層の第1次元に平行である。
【0019】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層の表面に少なくとも1つの前記回折金属が形成されている。
【0020】
本発明の好ましい実施例によれば、前記IGZO層の表面には離間して設けられた第1回折金属と第2回折金属とが形成され、前記第1回折金属が前記ソース金属の近くに設けられ、前記第2回折金属が前記ドレイン金属の近くに設けられ、前記第1回折金属と前記ソース金属との離間長さは、前記第2回折金属と前記ドレイン金属との離間長さに等しい。
【0021】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属の長さは7μm~9μmであり、前記回折金属の幅は4μm~6μmである。
【0022】
本発明の上記目的によれば、液晶表示パネルの静電気保護回路を提供し、前記静電気保護回路が前記液晶表示パネルの画素駆動回路の入力端子に設けられ、前記静電気保護回路は金属配線と、直列又は並列に接続される少なくとも2つのTFTデバイスとを含み、
前記TFTデバイスは、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、
前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、
前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されているソース金属及びドレイン金属と、
前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属と、を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施例によれば、前記回折金属は前記IGZO層の表面の少なくとも一部を覆う。
【0024】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、従来技術のIGZO TFTデバイスに比べて、本発明に係るIGZO TFTデバイスは、IGZO層の表面に保護層を設けることにより、複数回のエッチング工程によるIGZO層へのオーバーエッチングを防止し、従来技術のIGZO TFTの製造工程において、IGZO層が複数回エッチングされると、オーバーエッチングされてTFTデバイスの性能に影響を与え、ひいては液晶表示パネルの画素応答速度に影響を与えてしまうという技術的問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に使用する添付図面を簡単に説明するが、以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【0026】
【
図1】本発明に係るTFTデバイスの膜層の構造概略図である。
【
図2】本発明に係るTFTデバイスの平面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための特定の実施例を例示するために、添付されている図面を参照して各実施例を説明する。[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、「側面]などの本発明で言及される方向の用語は、単に添付図面を参照する方向に過ぎない。従って、方向の用語は、本発明を説明して理解するために使用され、本発明を限定するためのものではない。図面において、構造的に同様の要素は同じ符号で示されている。
【0028】
本発明は、従来技術のIGZO TFTの製造工程では、IGZO層を複数回エッチングすると、オーバーエッチングが発生し、TFTデバイスの性能に影響を与え、ひいては液晶表示パネルの画素応答速度に影響を与えてしまうことについて、本実施例によれば該欠陥を解決することができる。
【0029】
図1に示すように、本発明に係るTFTデバイスは、ガラス基板101と、前記ガラス基板101の表面に形成されたゲート金属102と、前記ガラス基板101の表面に形成されて、前記ゲート金属102を覆うゲート絶縁層103と、前記ゲート絶縁層103の表面に形成されたIGZO層104と、前記IGZO層104の表面に形成されているソース金属105及びドレイン金属106であって、前記ソース金属105と前記ドレイン金属106との間にチャネル領域が形成されたソース金属105及びドレイン金属106と、前記IGZO層104の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属107と、を含む。
【0030】
前記ソース金属105とドレイン金属106とが前記IGZO層104に電気的に接続され、前記IGZO層104はソース金属105とドレイン金属106との間の電子移動を実現し、前記IGZO層104の長さ及び幅が、電子移動速度に影響を及ぼし、前記IGZO層104がオーバーエッチングされると、前記IGZO層104の表面にダメージが生じ、IGZO層104が規則パターンから異形にエッチングされ、IGZO層104の一部領域の幅が減少し、電子移動経路が変化し、ひいては電子移動速度を低下させる。
【0031】
IGZO TFT製造プロセスは、前記ソース金属105、前記ドレイン金属106及び前記IGZO層104のパターンを形成する工程において、IGZO層104の表面にフォトレジスト層が塗布され、1回のマスク工程を経た後、フォトレジスト層の表面に現像され、その後IGZO層104の表面のフォトレジスト層にウェットエッチングが3回行われ、材料制限によりIGZO層104は金属層よりもウェットエッチングの影響を受けやすいため、マスクを用いて露光した場合に、光照射量が小さいと前記ソース金属105、ドレイン金属106の露光深さが不足し、光照射量が大きいとIGZO層104の露光深さが深すぎてしまい、後続のウェットエッチングの過程で前記IGZO層104の形状が損なわれてしまう。
【0032】
前記回折金属107を形成する際に、前記回折金属107は、前記ソース金属105及び前記ドレイン金属106と同一のマスクを用いて形成され、前記回折金属107を形成するための遮光パターンを前記マスクの表面に追加する必要があり、前記マスクを用いて露光する際に、前記IGZO層104の露光領域に対応する表面に回折金属107を有し、前記回折金属107は、露光時に照射光の回折を実現することができることで、前記IGZO表面のフォトレジストに照射される光量を弱めるように、元々前記IGZO表面のフォトレジストに照射される方向を周囲に変える。
【0033】
前記回折金属107は、如何なる電位に接続されておらず、露光プロセスにおいて光照射を回折するためだけに用いられる。
【0034】
前記回折金属107は前記IGZO層104の表面の少なくとも一部を覆い、例えば、前記回折金属107は前記IGZO層104の面積の1/5を覆い、回折光照射の必要下で前記回折金属107の覆う面積が大きすぎて前記IGZO層104の膜厚に影響を及ぼすことを防止する。
【0035】
図2に示すように、本発明に係るTFTデバイスは、ガラス基板と、前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属201と、前記ゲート金属201及び前記ガラス基板の表面に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層202と、前記IGZO層202の表面に形成されたソース金属203及びドレイン金属204と、前記ソース金属203と前記ドレイン金属204との間に形成されたチャネル領域と、前記IGZO層202の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属205とを含む。
【0036】
前記IGZO層202は、長方形であり、前記IGZO層202の短辺に平行な第1次元と、前記IGZO層202の長辺に平行な第2次元とを含み、前記回折金属が前記IGZO層202の第1次元において前記IGZO層202を覆い、前記ソース金属203が前記IGZO層202の一端に近接し、前記ドレイン金属204が前記IGZO層202の他端に近接する。
【0037】
前記回折金属は、光の回折分布が均一になるように前記チャネル領域の中間位置に設けられており、前記チャネル領域のいずれか一方側にずれていると、前記回折金属から離れるチャネル領域の露光量が増大して、最終的に前記IGZO層202の表面膜厚が不均一になる。
【0038】
例えば、前記IGZO層202の表面に少なくとも1つの前記回折金属が形成され、別の例として、前記IGZO層202の表面に2つの前記回折金属が形成され、前記IGZO層202の表面には離間して設けられた第1回折金属2051と第2回折金属2052とが形成され、前記第1回折金属2051が前記ソース金属203の近くに設けられ、前記第2回折金属2052が前記ドレイン金属204の近くに設けられ、前記第1回折金属2051と前記ソース金属203との離間長さは、前記第2回折金属2052と前記ドレイン金属204との離間長さに等しい。
【0039】
離間して設けられた前記第1回折金属2051と前記第2回折金属2052とは、互いに光を繰り返し回折することができることにより、光の照度をさらに減らしてIGZO層202を保護する。
【0040】
本発明の上記目的によれば、液晶表示パネルの静電気保護回路を提供し、前記静電気保護回路が前記液晶表示パネルの画素駆動回路の入力端子に設けられ、前記静電気保護回路は金属配線と、直列又は並列に接続される少なくとも2つのTFTデバイスとを含み、前記TFTデバイスは、ガラス基板と、前記ガラス基板の表面に形成されたゲート金属と、前記ガラス基板の表面に形成されて、前記ゲート金属を覆うゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の表面に形成されたIGZO層と、前記IGZO層の表面に形成されているソース金属及びドレイン金属であって、前記ソース金属と前記ドレイン金属との間にチャネル領域が形成されたソース金属及びドレイン金属と、前記IGZO層の表面に形成されて、前記チャネル領域内に位置する回折金属とを含む。
【0041】
この好ましい実施例の静電気保護回路の動作原理は、上記の好ましい実施例のTFTデバイスの動作原理と一致するので、具体的には上記の好ましい実施例のTFTデバイスの動作原理を参照することができ、ここではその詳細な説明を省略する。
【0042】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、従来技術のIGZO TFTデバイスに比べて、本発明に係るIGZO TFTデバイスは、IGZO層202の表面に保護層を設けることにより、複数回のエッチング工程によるIGZO層へのオーバーエッチングを防止し、従来技術のIGZO TFTの製造工程において、IGZO層202が複数回エッチングされると、オーバーエッチングされてTFTデバイスの性能に影響を与え、ひいては液晶表示パネルの画素応答速度に影響を与えてしまうという技術的問題を解決する。
【0043】
以上、本発明は、好ましい実施例を参照して説明したが、上述した好ましい実施例は、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって準じされる。