(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】プラグイン方向に可動なロック要素を有するプラグソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020511760
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018073025
(87)【国際公開番号】W WO2019042939
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】102017215010.6
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァン,ラルフ
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110205(JP,A)
【文献】特開2001-052810(JP,A)
【文献】特開2014-120421(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147763(WO,A1)
【文献】特開2011-081952(JP,A)
【文献】特開2015-119518(JP,A)
【文献】特開2011-243342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0300733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電プラグを備えた電動自動車を充電するためのプラグソケット(1)であって、
前記充電プラグの少なくとも一部を受け入れるためにプラグイン方向(8)に開いており、前記プラグイン方向(8)に位置する挿入開口部(10)で終端する凹部(6)と、
前記充電プラグのラッチ要素(66)を係止するために前記プラグイン方向(8)に作用するアンダカット(16)と、
プラグイン位置(24)からブロック位置(50)へ可動なロック要素(20)であって、前記プラグイン位置(24)において前記凹部(6)に位置し、前記プラグイン方向(8)を横切る前記アンダカット(16)に重なるロック要素(20)とを有し、
前記ブロック位置(50)は、前記プラグイン位置(24)から前記プラグイン方向(8)へ離間し、前記ロック要素(20)は、前記プラグイン位置(24)よりも前記ブロック位置(50)において前記挿入開口部(10)の近くに位置し、
前記プラグイン位置(24)および/または前記プラグイン位置と前記ブロック位置(50)との間に位置する前記ロック要素(20)の中間位置(74)で、前記挿入開口部(10)に向かって前記ロック要素(20)上に向けて加えられる排出力(76)を生じさせる駆動部材(26)が設けられ、
前記排出力(76)は、前記ロック要素(20)により前記ラッチ要素(66)を前記プラグイン方向(8)に向けて排出させる力であり、
前記中間位置(74)で前記ロック要素(20)が前記ラッチ要素(66)に前記排出力(76)を作用させる、ことを特徴とするプラグソケット(1)。
【請求項2】
前記駆動部材(26)は、偏向デバイス(32)を介して前記ロック要素(20)に接続され、駆動部材側における前記偏向デバイス(32)の運動(36)が、前記プラグイン位置(24)から前記ブロック位置(50)への前記ロック要素(20)の運動(38)とは異なる方向であることを特徴とする、請求項1に記載のプラグソケット(1)。
【請求項3】
前記偏向デバイス(32)はスロット付ガイド(40)を有することを特徴とする、請求項2に記載のプラグソケット(1)。
【請求項4】
前記スロット付ガイド(40)は、スロット(42)内に案内される少なくとも1つの
ローラ(46)を有することを特徴とする、請求項3に記載のプラグソケット(1)。
【請求項5】
前記スロット付ガイド(40)は、前記プラグソケット(1)において直線状に案内されるスライダ(44)に形成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載のプラグソケット(1)。
【請求項6】
前記ブロック位置(50)において、前記ロック要素(20)は、前記アンダカット(16)と、前記プラグイン方向(8)を横切る前記アンダカット(16)とは反対側の壁(68)との間で前記凹部(6)に位置することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラグソケット(1)。
【請求項7】
前記ロック要素(20)は、前記プラグイン方向(8)に可動に、かつ
前記ロック要素(20)の運動(38)が前記プラグイン方向(8)に対して平行な方向のみに規制されるように、前記プラグソケット(1)
のガイド(48)に保持されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプラグソケット(1)。
【請求項8】
前記ロック要素(20)は、前記挿入開口部(10)とは反対側の前記凹部(6)の底部(12)に交差することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプラグソケット(1)。
【請求項9】
前記ロック要素(20)は、少なくとも前記凹部(6)内に入ることのできる領域においてピン状であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のプラグソケット(1)。
【請求項10】
前記駆動部材(26)は前記凹部(6)から水平に離間していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプラグソケット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグソケット、特に、充電プラグを備えた電動自動車を充電するための充電ソケットであって、充電プラグの少なくとも一部を受け入れるためにプラグイン方向に開いており、プラグイン方向に位置する挿入開口部で終端する凹部と、充電プラグのラッチ要素を係止するためにプラグイン方向に作用するアンダカットと、プラグイン位置からブロック位置へ可動なロック要素であって、ブロック位置において凹部に位置し、プラグイン方向を横切るアンダカットに重なるロック要素とを有する、プラグソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプラグソケットが公知であり、例えば、電動自動車を充電するために使用されている。ロック要素を用いて、充電プラグとプラグソケットとの係止がブロックされる。このブロック状態を解放しないと、充電プラグを充電ソケットから引き出すことができない。
【0003】
充電プラグ側のラッチ要素は、例えば、フック状であり、係止構成として構成されるアンダカットに嵌め込まれて、プラグソケットと充電プラグとを互いに係止することができる。ロック要素がブロック位置でアンダカットに重なると、充電プラグのラッチ要素はブロックされ、アンダカットから出ることができなくなる。これに対して、アンダカットへのラッチ要素の係合は、プラグイン位置で可能であるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記の特徴を有するプラグソケットを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、ブロック位置がプラグイン位置からプラグイン方向へ離間し、ロック要素が、プラグイン位置よりもブロック位置において挿入開口部の近くに位置するという点で、上記プラグソケットに関する本発明により解決される。
【0006】
したがって、ロック要素は、プラグイン位置からブロック位置へ挿入開口部に向かってプラグイン方向に動く。これにより、ロック要素がプラグイン位置からブロック位置へプラグイン方向を横切って動く公知の解決策と比較して、いくつかの利点が得られる。一方で、プラグソケットの高さが低く、これは多くの取付け状況において重要である。他方で、ロック要素の運動の方向が、プラグソケットに対する充電プラグの運動に一致する。プラグを挿入するときに、充電プラグの挿入運動がロック要素に直接作用する。したがって、プラグイン方向に垂直に可動であり、進入傾斜路を介して、したがって、制御が困難な摩擦によって押しのけなければならないロック要素の場合よりも、プラグ力をより容易に制御することができる。
【0007】
本発明による構成のさらなる利点は、係止されたラッチ要素の場合、ロック要素のブロック動作がロック要素の運動の方向に垂直に行われることである。したがって、最大の力でも、ロック要素を押しのけることができない。ロック要素がアンダカットとの重なりから出てブロック状態を解放しなければ、ロック要素を破壊しない限り充電プラグを取り外すことはできない。
【0008】
互いに独立し、各々単独で考慮される以下の有利な構成により、本発明をさらに改良することができる。
【0009】
第1の構成によれば、プラグイン位置および/またはプラグイン位置とブロック位置との間に位置するロック要素の中間位置に、挿入開口部に向かってロック要素上に向けて加えられる排出力を生じさせる駆動部材を設けることができる。この構成は、充電プラグがまだ完全に係止されていない、または完全に係止されなくなった場合、すなわちラッチ要素がアンダカットに位置していない場合に、ロック要素がエジェクタとしても機能するという利点を有する。これにより、プラグは完全に係止されていなければ排出されるため、ユーザは特に位置異常から保護される。これは、プラグイン方向を横切って可動なロック要素を有するプラグソケットとは対照的である。このようなロック要素の場合には、そのような排出は行われず、ロック要素の運動を監視して不完全な係止を検出しなければならない。
【0010】
駆動部材は、機械アクチュエータ、電気アクチュエータ、電磁アクチュエータ、および/または磁気アクチュエータ、例えばエンジン、機械ばね、油圧ばね、空気ばね、電磁石などであってよい。駆動部材はさらに、レバーまたはノブなどの手動デバイスであってもよい。これらの変形例の組合せも可能である。駆動部材の駆動運動は、並進運動および/または回転運動であってよい。
【0011】
さらに有利な構成によれば、駆動部材を、偏向デバイスを介してロック要素に接続することができる。偏向デバイスは、駆動部材の駆動運動を偏向させる。したがって、駆動部材側における偏向デバイスの運動は、プラグイン位置からブロック位置へのロック要素の運動とは異なる方向であってよい。偏向デバイスの運動の方向およびロック要素の運動の方向は、特に互いに垂直であってよい。偏向デバイスにより、駆動部材をプラグソケットにほとんどいずれの位置でも取り付けることができる。
【0012】
特に自動車産業において充電ソケットとして使用されるプラグソケットは、取付け方向に関しても、ユーザがプラグを常に同じ向きで差し込むように標準化されている。偏向デバイスにより、駆動部材を、例えばプラグソケットに対して横方向に取り付けて、通常は上方に限定される取付け空間を増加させないようにすることができる。
【0013】
偏向デバイスは、少なくともロック要素から駆動部材に向かう方向で自己抑制型であり、ロック要素に作用する力が偏向デバイスにおいて吸収され、駆動部材に伝わらないようにすることができる。
【0014】
上記の構成および/またはこの後の構成の1つにおける偏向デバイスは、駆動部材により直線状に動くロック要素を駆動部材と共に有するプラグソケット用ロックモジュールの一部であってもよい。そのようなロックモジュールは、既存のプラグソケットを改良または修理するために自動的に取り扱われ得る構造部品であってよい。
【0015】
偏向デバイスは、特にスロット付ガイドを有することができる。特に射出成型部品の場合、スロット付ガイドを容易に製造することができる。
【0016】
ロック要素の運動に必要な駆動力を最小限に維持するために、さらに有利な構成によるスロット付ガイドは、スロット内に案内される少なくとも1つの回転可能なローラを有することができる。ローラが回転可能であることにより、偏向デバイスの摩擦が低減する。ローラを、特にロック要素側に配置することができ、すなわち、ロック要素に直接取り付けることができる。スロットを、駆動部材に関連するスロット付ガイドの側に配置することができる。スロットをスリット状または溝状に構成することができる。
【0017】
運動トルクおよび支持トルクを正確に案内するために、少なくとも2つのスロット付ガイドを設けることが好ましい。特に、いずれにしても、2つのスロットのそれぞれにローラが存在してもよい。少なくとも2つのスロット付ガイドは、運動の方向を横切って互いに離間することができる。例えば、2つのスロット付ガイドは、プラグイン位置からブロック位置へ、ロック要素の運動の方向を横切って互いに離間することができる。スロット付ガイドは、出力側、ここではロック要素に対称に配置されることが好ましい。
【0018】
スロット付ガイドを、プラグソケットにおいて直線状に案内されるスライダに形成してもよい。
【0019】
スロット付ガイド、スロット、ローラ、ロック要素、および/またはスライダを各々、射出成型部品として、またはさらなる製造方法により、プラスチック材料から製造することができる。
【0020】
勿論、例えばロッドまたはカム駆動の形の、スロットに代わる偏向デバイスの他の構成が可能である。偏向デバイスを介在させずに、ロック要素を駆動部材によって直接駆動してもよい。
【0021】
スライダは、プラグイン方向を横切って、特にブロック位置からプラグイン位置へのロック要素の運動の方向を横切って案内されることが好ましい。スライダの運動の方向は、例えば、プラグソケットのプラグ面に平行であってよい。
【0022】
ブロック位置において、ロック要素は、好ましくは、アンダカットと、プラグイン方向を横切るアンダカットとは反対側の凹部の壁との間で凹部に位置する。このようにして、前述したように、充電プラグのラッチ要素を係止状態でブロックすることができる。ロック要素とアンダカットとの距離は、充電プラグ、特にラッチ要素の幾何形状によって規定される。
【0023】
ロック要素自体を、プラグイン方向に可動に、かつプラグイン方向を横切ってフォームフィットするように、プラグソケットに保持することができる。特に、ロック要素のフォームフィットによる案内は、ロック要素の運動の方向で、挿入開口部に向かう方向に離れてアンダカットまで、かつ/またはアンダカットを越えて延びることができる。フォームフィットによる案内により、ロック要素はその運動の方向を横切って支持され、ラッチ要素のブロックされた係止を力によって解放しようとしても、ロック要素が大きい力を吸収することができるようにもなっている。
【0024】
ロック要素をラム(ram)として形成することが好ましく、すなわち実質的にピン状に構成することができる。フォームフィットによる案内を可能にするために、ロック要素の断面が非円形であることが好ましい。
【0025】
さらに有利な構成によれば、ロック要素は、挿入開口部とは反対側の凹部の底部に交差することができる。底部とロック要素との間に封止カラーを配置することができる。
【0026】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明について、実施形態を用いて例として説明する。図中、機能および/または構造が互いに対応する要素については同一の参照符号を使用する。
【0027】
例示的な実施形態の特徴の組合せは、理解のためのものに過ぎない。上記実施形態に従って、特徴の技術的効果が特定の適用の場合に重要でなければ、その特徴を省略することができる。逆に、追加の特徴の技術的効果が特定の適用に必要であれば、記載される特徴の組合せを上記の少なくとも1つの追加の特徴によって補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるプラグソケットの構成の概略斜視図である。
【
図3】プラグイン位置における、
図1のプラグソケットの偏向デバイスの構成の概略斜視図である。
【
図4】ブロック位置における、
図3の偏向デバイスの概略斜視図である。
【
図5】偏向デバイスを含む、プラグソケットのロックモジュールの概略斜視図である。
【
図6】
図5のロックモジュールの偏向デバイスの概略分解図である。
【
図7】充電プラグ側のラッチ要素のブロックされた係止を、プラグソケットと共に示す概略斜視断面図である。
【
図8】充電プラグ側のラッチ要素とプラグソケットとの、ブロックされず解放された係止の概略斜視断面図である。
【
図9】充電プラグの排出中のプラグソケットの概略斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最初に、
図1および
図2を参照して、本発明によるプラグソケット1の構造について例として説明する。
【0030】
プラグソケット1は、例えば、相補的な充電プラグ(図示せず)を有する電気車両を充電するための充電ソケットである。プラグソケット1は、エネルギー伝達およびデータ伝送のためのコンタクト4を持つプラグ面2を有する。
【0031】
プラグソケット1は、充電プラグの一部を受け入れる凹部6をさらに有する。凹部6は、コンタクト4と同様に、例えばプラグイン方向8に開く。凹部6は、充電プラグを凹部6に差し込む挿入開口部10でプラグイン方向8に終端する。プラグイン方向8において挿入開口部10とは反対側の凹部6の端部に、底部12を配置することができる。
【0032】
凹部6を、コンタクト4を有するプラグソケット1の領域15から壁14によって分離することができる。そのような場合、凹部6は、単に、充電プラグ側のラッチ要素(
図1および
図2には示さず)を受け入れて係止するように機能する。業界標準により特定されている充電ソケットの向きで、凹部6を、特にコンタクトを有するプラグソケット領域15の上方に位置させることができる。
【0033】
充電プラグを係止するために、凹部6は、プラグイン方向8に作用するアンダカット16を有する。アンダカット16は、プラグイン方向8を横切って延びる凹部6の窪みである。アンダカット16は、アンダカット16と挿入開口部10との間に位置する、必ずしも中実ではないブロック本体18によって形成される。アンダカット16を、例えば、コンタクト4と凹部6との間に配置することができる。ブロック本体18は、プラグイン方向8を横切って延びる1つのリブから形成されていれば十分である。
【0034】
充電プラグを係止するために、ラッチフックまたは異なるラッチ突起が、アンダカット16内に係止される。ラッチフックを係止位置にブロックするために、プラグイン方向8に可動なロック要素20を設けることができる。ロック要素20を、ピン状またはラム(ram)状に構成することができる。ロック要素20は底部12を貫通する。封止カラー22を底部12とロック要素20との間に設けることができる。
【0035】
図1および
図2において、ロック要素20は、アンダカット16との重なりからプラグイン方向8に沿って動くプラグイン位置で示される。
【0036】
ロック要素20をプラグイン方向8に沿って直線状に動かすために、特に囲まれた駆動部材26を設けることができ、これは、単に例として、電動アクチュエータとして
図1および
図2に示される。駆動部材26およびロック要素20は、一体に取り扱うことのできるプラグソケット1のアセンブリであり得るロックモジュール28の一部であってよい。ロックモジュール28を、例えば、異なる構成の駆動部材26、あるいは他の位置に配置された、または異なるプラグソケットもしくは異なる位置に取り付けられた駆動部材26を有する他のモジュールと交換してもよい。標準に従って常に図示した向きで使用される
図1および
図2のプラグソケットの場合、駆動部材26は、例えば、プラグ面2を囲むハウジング30の側に位置する。これにより、特に小型の設計が可能になる。
【0037】
図3および
図4は、ロック要素20が偏向デバイス32によりプラグイン方向8へ動く様子を示す。偏向デバイス32は、駆動部材26とロック要素20との間に位置する。偏向デバイス32の駆動側34で、駆動部材26により、例えば、ロック要素20の運動の方向38、ここではプラグイン方向8とは異なる方向36への直線運動が生じる。図示した例示的な実施形態において、方向36、38は互いに少なくとも略垂直である。
【0038】
駆動運動の方向36を偏向させるために、偏向デバイス32は、少なくとも1つ、好ましくは2つのスロット付ガイド40を有する。
【0039】
プラグソケットまたはロックモジュール28において直線状に案内されるスライダ44に、スロット42が形成される。スロット付ガイドのスロット42は、例えば、駆動運動の方向36およびロック要素20の運動の方向38の両方に対して傾斜したスリットまたは溝である。傾斜の度合により、駆動運動とロック要素の運動との並進比が決まる。
図3および
図4は、単に例として、スロットが45°傾斜した直線状スリットであり得ることを示す。勿論、湾曲したスロット付進行部も可能である。
【0040】
ローラ46がスロット42内を進む。
図3および
図4は、スロット42を有するスライダが駆動部材26に接続され、スロット42で案内されるローラがロック要素20に接続されることを示す。この関係を逆にしてもよく、すなわち、スライダ44がロックモジュール28に接続され、ローラ46が駆動部材に接続されてもよい。しかしながら、この場合、図示した配置よりも、ロック要素20の運動の方向38の必要な構成体積が大きくなる。
【0041】
図示した構成において、運動の方向38を横切って互いに離間した2つのスロット付ガイド40が設けられ、ロック要素20に作用するトルクを支えることができるようになっている。加えて、ロック要素20に対称に配置された、図示した2つのスロット付ガイド40により、ロック要素20の運動をトルクなしで生じさせることができる。これにより、ロック要素20が食い込む危険が低減する。
【0042】
プラグソケット1またはロックモジュール28において、ロック要素20は、運動の方向38に可動に、かつ運動の方向38を横切ってフォームフィットするように保持される。フォームフィットはガイド48によって実現される。フォームフィットにより、運動の方向38を横切ってロック要素20に作用する力、したがって、偏向デバイス32に伝わらない力を吸収する。
【0043】
図3は、プラグイン位置24にあるロック要素20を示す。プラグイン位置24で、ロック要素20は、挿入開口部10から離れた、その運動の終点に位置する。
【0044】
ロック要素20を運動の方向38でブロック位置50へ動かすために、プラグイン方向8を少なくとも部分的に横切るアンダカット16に重なるまで、ロック要素20を挿入開口部10の方向で凹部6に入れる。ブロック位置50は
図4に示される。ブロック位置50は、挿入開口部10に位置するロック要素20の運動の終点を示す。
【0045】
図3によるプラグイン位置24で、スライダ44は、駆動部材26(図示せず)により方向36に動かされて、ブロック位置50に到達する。ローラ46は、この運動によりスロット42に沿って動く。ロック要素20の方向38のみへの運動を可能にするガイド48により、ローラ46とスロット42との相対運動が、プラグイン方向8へのロック要素の運動を生じさせる。
【0046】
ロック要素を
図4に示すブロック位置50からプラグイン位置24へ戻すために、スライダ44の運動を逆転させる。
【0047】
駆動力を一方向にしか加えることのできない駆動部材26を使用する場合、図示したようにスライダ44に作用し得る復元ばね52の使用が推奨される。駆動部材26がそれ自体で往復運動を生じさせることができる場合には、復元ばね52を省略してもよい。
【0048】
図3および
図4に関し、スロット42は連続した底部を有する必要はなく、さらには底部が全くなくてもよいことに言及しなければならない。例えば、ローラがロック要素20に閉じ込められて保持される場合には、スロット42は両側に完全に開いていてもよい。これに対して、ローラ46が装着されているだけである場合、ローラ46を閉じ込めて保持するために、例えばスロットに沿って延びることのできるバー54により少なくとも部分的に閉鎖することが推奨される。
【0049】
図5は、プラグイン位置24における、プラグソケット1のないロックモジュール28を示す。この構成では、ロックモジュール28をプラグソケット1に固定することができる。偏向デバイス32の要素が、再び
図6に分解図で示される。要素の構造および機能に関しては、
図3および
図4の説明を参照されたい。
【0050】
図6で、ロック要素20の運動の方向38を横切って延びるベース56からロック要素20が突出していることが認められる。また、ベース56は、ローラ46を装着する軸58を形成する。
【0051】
偏向デバイス32は、ロックモジュールのハウジング60に受け入れられる。ハウジング60は、カバー62により封止され、開口部64を有し、この開口部64を通って偏向デバイス32の駆動側34が突出することができる。
図5に示す駆動部材26を、開口部64の側に取り付けることができる。偏向デバイス32の駆動側34は、開口部64を通って駆動部材26内へ延びることができる。場合により、駆動部材26の一部が開口部64を通ってハウジング60内へ延びていてもよい。
【0052】
以下で、
図7~
図9を参照しながら、ロック要素20の機能について説明する。
【0053】
図7で、充電プラグ(図示せず)のラッチ要素66がアンダカット16に係止されている。ロック要素20は、アンダカット16に部分的に重なるブロック位置、すなわち、アンダカット16上に位置している。ラッチ要素66が係止されると、ロック要素20は、さらにラッチ要素66の上方または係止されたラッチ要素66と凹部6の壁68との間に位置して、ラッチ要素66がアンダカット16から出る運動をブロックする。アンダカット16から離れた側で、ロック要素20は凹部6の壁68に支持される。ガイド48を壁68によって形成することができる。したがって、アンダカット16から出る向きでありロック要素20の運動の方向38を横切る向きの偏向力70は、ロック要素20を介してプラグソケット1に直接、またはプラグソケット1のハウジング30に加わる。壁68は、ロック要素20のガイド48を形成することができる。
【0054】
図8は、プラグイン位置24にあるロック要素20を示す。ラッチ要素66は、アンダカット16から出たところであるか、またはアンダカット16に嵌まりつつある。ラッチ要素66はまだブロック本体18上に位置している。ロック要素20は、ラッチ要素66のために凹部6を解放する。
【0055】
あるいは、ロック要素20は、例えば、復元ばね52(
図3)の作用により、ラッチ要素66の前側72にあってもよい。
【0056】
しかしながら、図示した実施形態において、ロック要素20は、駆動部材26(
図1)を作動させた後にのみ、ブロック位置50の方向でプラグイン位置24から押し出される。このロック要素20のプロセスで、ラッチ要素66が
図7に示す係止位置にある場合、ロック要素20は単にラッチ要素66上を進み、係止位置をブロックする。これに対して、ラッチ要素66が完全に係止されず、
図8に示すように、充電プラグがプラグソケット1に不完全に挿入されることによって、ラッチ要素66がまだブロック本体18上にある場合には、ラッチ要素66、したがって充電プラグが、プラグイン位置24とブロック位置50との間のロック要素20のプロセスによって、プラグソケット1から押し出される。
【0057】
図9に示す、プラグイン位置24とブロック位置50との間のロック要素20の中間位置74において、プラグイン方向8に作用する排出力76が駆動部材26によって生じる。
【0058】
したがって、ロック要素20は、プラグソケット1において充電プラグの係止をブロックするように機能するだけでなく、係止の解放後、および/または不完全な係止の場合に充電プラグを排出するように機能する。
【符号の説明】
【0059】
1 プラグソケット
2 プラグ面
4 コンタクト
6 凹部
8 プラグイン方向
10 挿入開口部
12 底部
14 壁
15 コンタクトを有するプラグソケットの領域
16 アンダカット
18 ブロック本体
20 ロック要素
22 封止カラー
24 プラグイン位置
26 駆動部材
28 ロックモジュール
30 ハウジング
32 偏向デバイス
34 偏向デバイスの駆動側
36 駆動運動の方向
38 ロック要素の運動の方向
40 スロット付ガイド
42 スロット
44 スライダ
46 ローラ
48 ガイド
50 ブロック位置
52 復元ばね
54 スロットのバー
56 ロック要素のベース
58 ローラの軸
60 ロックモジュールのハウジング
62 カバー
64 ロックモジュールのハウジングの開口部
66 充電プラグのラッチ要素
68 凹部の壁
70 偏向力
72 ラッチ要素の前側
74 中間位置
76 排出力