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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】フレキシブル耐衝撃保護カバー
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220121BHJP
   B32B 1/06 20060101ALI20220121BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20220121BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 302
B32B1/06
B32B7/12
B32B27/18 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020532814
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2017116582
(87)【国際公開番号】W WO2019113967
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】516013631
【氏名又は名称】シェンジェン ロイオル テクノロジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN ROYOLE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ガン ジョウ
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107415343(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0186003(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105667036(CN,A)
【文献】中国実用新案第205130550(CN,U)
【文献】特開2006-192825(JP,A)
【文献】特表2016-517359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板及びフィルムを備え、前記フレキシブル基板にはキャビティが設けられており、前記キャビティには剪断増粘流体が充填されており、前記フィルムは前記フレキシブル基板に固定されて前記フレキシブル基板を覆うことにより、剪断増粘流体で充填された前記キャビティを密封するフレキシブル耐衝撃保護材から作製され、前記フレキシブル基板は、保護しようとするOLEDデバイスの形状と一致する形状を有する透明基板であり、前記キャビティは、OLEDデバイスの発光層画素構造に対応して設置され、前記フィルムは、透明なフィルムであり、前記透明基板に貼り付けられ且つ固定されて前記キャビティを密封し、前記キャビティに充填された剪断増粘流体は光透過性材料を選択し、
前記フレキシブル基板及び前記フィルムは両方ともフレキシブル高分子材料であり、
前記フレキシブル高分子材料は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートの中の少なくとも一種である、
ことを特徴とするフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項2】
前記フィルムは、接着又はホットメルトによって前記フレキシブル基板に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項3】
前記フレキシブル基板及び前記フィルムはそれぞれ一種のフレキシブル高分子材料からなるか、又は前記フレキシブル基板及び前記フィルムはそれぞれ二種以上のフレキシブル高分子材料が複合されてなる、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項4】
前記剪断増粘流体は、分散相及び分散媒体を含み、前記分散相は前記分散媒体中に分散されて懸濁液又はゲルを形成する、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項5】
前記分散相はナノ粒子であり、前記ナノ粒子の粒子サイズは20~500nmである、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項6】
前記ナノ粒子は、球形、楕円球形、パイ形、又はエッジのない不規則な形状の粒子である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項7】
前記分散相は、天然ミネラルを粉砕して形成されたナノ粒子、又は高分子ポリマーで作製されたナノ粒子である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項8】
前記分散相は、二酸化ケイ素、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、炭酸カルシウム、Al又はガラス微小球の中の少なくとも一種である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項9】
前記分散媒体は、水、有機溶液、塩溶液の中の一種又はいくつかの複合物である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項10】
前記有機溶液は、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、ビニルエタノール、ポリエチレングリコールの中の少なくとも一種である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項11】
前記塩溶液は、緩衝液又は塩化ナトリウム溶液である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項12】
前記複合物は、グリセリンと水の混合物である、
ことを特徴とする請求項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー
【請求項13】
複数のキャビティが設けられ、複数のキャビティは前記フレキシブル基板にアレイ状に配置され、前記キャビティの形状及びサイズは、前記発光層画素の形状及びサイズと一致する、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー。
【請求項14】
前記キャビティの横断面形状は曲線形又は多角形である、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー。
【請求項15】
前記フレキシブル基板の表面には反射防止コーティング及び防眩コーティングの中の少なくとも一方が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー。
【請求項16】
前記フレキシブル基板の表面には硬化層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のフレキシブル耐衝撃保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル表示技術分野に関するものであり、フレキシブル材料に関するものであり、特にフレキシブル耐衝撃保護材及びそのフレキシブル耐衝撃保護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、フレキシブルディスプレイは表示技術の重要な発展方向にあり、可撓性表示技術を実現するために、多くの技術的課題を克服する必要があり、その中のフレキシブルディスプレイの保護カバーは、可撓性表示技術の発展を制限する重要なボトルネックの1つです。
【0003】
来のハードスクリーン保護カバーは主にガラスカバーであり、表示モジュールに耐擦傷性や耐衝撃性などの優れた物理的保護を提供することができるが、曲げることはできず、可撓性表示技術要件を満たすことはできない。既存のフレキシブルカバーの解決策は、高分子フィルムに硬化層をコーティングすることであり、耐擦傷性の問題はある程度解決できるが、耐衝撃性はない。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術問題は、従来の技術の欠陥に鑑みて、曲げ要件を満たし、耐衝撃性能を有するフレキシブル耐衝撃保護材を提供することである。
【0005】
本発明がさらに解決しようとする技術問題は、曲げ要件を満たし、耐衝撃性能を有するフレキシブル耐衝撃保護カバーを提供することである。
【0006】
上記の技術問題を解決するために、本発明が採用する技術方案は、フレキシブル耐衝撃保護材を提供することである。フレキシブル耐衝撃保護材は、フレキシブル基板及びフィルムを備え、フレキシブル基板にはキャビティが設けられており、キャビティには剪断増粘流体が充填されており、フィルムはフレキシブル基板に固定されてフレキシブル基板を覆うことにより、剪断増粘流体で充填されたキャビティを密封する。
【0007】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、フィルムは接着又はホットメルトによってフレキシブル基板に固定されることが好ましい。
【0008】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、レキシブル基板及びフィルムは両方ともフレキシブル高分子材料であることが好ましい。
【0009】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、フレキシブル基板及びフィルムはそれぞれ一種のフレキシブル高分子材料からなるか、又はフレキシブル基板及びフィルムはそれぞれ二種以上のフレキシブル高分子材料が複合されてなることが好ましい。
【0010】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、フレキシブル高分子材料は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートの中の少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、剪断増粘流体は、分散相及び分散媒体を含み、分散相は分散媒体中に分散されて懸濁液又はゲルを形成することが好ましい。
【0012】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、分散相はナノ粒子であり、ナノ粒子の粒子サイズは20~500nmであることが好ましい。
【0013】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、ナノ粒子は、球形、楕円球形、パイ形、又はエッジのない不規則な形状の粒子であることが好ましい。
【0014】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、分散相は、天然ミネラルを粉砕して形成されたナノ粒子、又は高分子ポリマーで作製されたナノ粒子であることが好ましい。
【0015】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、分散相は、二酸化ケイ素、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、炭酸カルシウム、Al又はガラス微小球の中の少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、分散媒体は、水、有機溶液、塩溶液の中の一種又はいくつかの複合物であることが好ましい。
【0017】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、有機溶液は、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、ビニルエタノール、ポリエチレングリコールの中の少なくとも一種であることが好ましい。
【0018】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、塩溶液は、緩衝液又は塩化ナトリウム溶液であることが好ましい。
【0019】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護材において、複合物は、グリセリンと水の混合物であることが好ましい。
【0020】
フレキシブル耐衝撃保護カバーは、上述したフレキシブル耐衝撃保護材から作製され、フレキシブル基板は、保護しようとするOLEDデバイスの形状と一致する形状を有する透明基板であり、キャビティは、OLEDデバイスの発光層画素構造に対応して設置され、フィルムは、透明なフィルムであり、透明基板に貼り付けられ且つ固定されてキャビティを密封し、キャビティに充填された剪断増粘流体は光透過性材料を選択する。
【0021】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護カバーにおいて、複数のキャビティが設けられ、複数のキャビティはフレキシブル基板にアレイ状に配置され、キャビティの形状及びサイズは、発光層画素の形状及びサイズと一致することが好ましい。
【0022】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護カバーにおいて、キャビティの横断面形状は曲線形又は多角形であることが好ましい。
【0023】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護カバーにおいて、フレキシブル基板の表面には反射防止コーティング及び防眩コーティングの中の少なくとも一方が設けられていることが好ましい。
【0024】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護カバーにおいて、フレキシブル基板の表面には硬化層が設けられていることが好ましい。
【0025】
さらに、フレキシブル耐衝撃保護カバーにおいて、剪断増粘流体は光透過性の材料を使用することが好ましい。
【0026】
本発明は、以下の技術的効果を有する:
本発明のフレキシブル耐衝撃保護材は、フレキシブル基板を主体として、フレキシブル基板に剪断増粘流体(STF)が封入されており、剪断増粘流体は優れる衝撃吸収能力を有し、即ち、通常の状態では非常に柔らかであるが、高速の衝撃又は押圧に遭遇すると、材料の粘度が急激に増加して固くなり、固体に近く、従って外力を消化し、外力がなくなると、材料は元の柔らかい状態に戻る。フレキシブル耐衝撃保護材は、可撓性を有するので曲げることができ、優れる耐衝撃性も有する。
【0027】
本発明フレキシブル耐衝撃保護カバーは、フレキシブル耐衝撃保護材で作製されたプレート構造であり、ディスプレイデバイスのカバーとして使用され、高速の衝撃又は押圧に遭遇すると、剪断増粘流体の粘度が急激に増加して固くなり、固体に近く、従って外力を消化し、外力がなくなると、カバーは元の柔らかい状態に戻る。フレキシブル耐衝撃保護カバーは、可撓性を有するので曲げることができ、優れる耐衝撃性も有し、可撓性表示の応用分野を拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、添付された図面及び実施形態を結合して、本発明をさらに説明する。
図1図1は、本発明の実施例1の構造を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施例2の構造を示す概略図である。
図3図3は、本発明の実施例2のキャビティの構造を示す概略図である。
図4図4は、本発明の実施例2のキャビティの構造を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施例2のキャビティの構造を示す概略図である。
図6図6は、本発明の実施例2の第二実施形態の構造を示す概略図である。
図7図7は、本発明の実施例2の第三実施形態の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術特徴、目的及び効果をより明確に理解するために、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0030】
実施例1において、図1に示されたように、フレキシブル耐衝撃保護材は、フレキシブル基板101及びフィルム300を備え、フレキシブル基板101にはキャビティ200が設けられており、キャビティ200には剪断増粘流体が充填されており、フィルム300はフレキシブル基板101に固定されてフレキシブル基板101を覆うことにより、剪断増粘流体で充填されたキャビティ200を密封する。
【0031】
湾曲回復の特性を達成するために、フレキシブル基板101はフレキシブル高分子材料で作られる。高分子材料の分野では、多い材料は湾曲を実現することができるが、フレキシブル基板101は一種のフレキシブル高分子材料からなるか、又はフレキシブル基板101は二種以上のフレキシブル高分子材料が複合されてなることが好ましい。フレキシブル高分子材料は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートの中の少なくとも一種であることが最も好ましい。
【0032】
本実施形態では、フレキシブル基板101はポリカーボネートで作られる。本発明の実施に影響しないかぎり、上記の材料は任意に替えることができる。フレキシブル基板101の形状は、保護しようとするディスプレイデバイスの構造と一致し、本発明は具体的に限定せず、適用可能な形状は本発明の要件を満たす。
【0033】
フレキシブル基板101にはキャビティ200が設けられており、キャビティ200は剪断増粘流体を充填するために用いられる。キャビティ200の深さは、先ず以下の要件を満たすことを必要として、即ち充填された剪断増粘流体によって生成される衝撃吸収能力は少なくとも通常の状況下でディスプレイデバイスが受ける衝撃に耐えることができ、例えば、高い所から落下するか、又は物体の衝撃などである。次に、フレキシブル基板101の厚さに基づいてキャビティ200の深さ、数量及び設置位置を確定する。好ましくは、複数のキャビティ200が設けられ、複数のキャビティ200はフレキシブル基板101にアレイ状に配置される。
【0034】
ナノインプリント技術によって、フレキシブル基板101にキャビティ200を設けることができる。例えば、熱インプリント技術によって、フレキシブル基板101に所望のパターンをインプリントすることにより、キャビティ200を形成する。
【0035】
フィルム300は、キャビティ200を密封するために用いられる。フィルム300とキャビティ200は1対1で提供されることができ、各フィルム300は対応する1つのキャビティ200を密封し、又は複数のフィルム300を設置し、1つのフィルム300は複数のキャビティ200に対応し、又は1つのフィルム300を設置し、すべてのキャビティ200は1つのフィルム300で密封することができる。密封方式も様々であり、フィルム300は接着又はホットメルトによってフレキシブル基板101に固定されることができる。フィルム300の材料もフレキシブル高分子材料であり、フレキシブル基板101の材料と同じであることができ、異なってもよい。フィルム300は、ホットメルト接着剤、UV硬化接着剤又はホットメルトによって、フレキシブル基板101に貼り付けられる。本実施形態において、フィルム300はポリカーボネートで作られる。ットメルト接着剤によってフィルム300とフレキシブル基板との間を接着固定することにより、キャビティ200を密封することができる。
【0036】
耐衝撃性の役割を発揮する部分は、キャビティ200に充填された剪断増粘流体である。剪断増粘流体は、分散相及び分散媒体を含み、分散相は分散媒体中に分散されて懸濁液又はゲルを形成する。
【0037】
分散相はナノ粒子であり、ナノ粒子の粒子サイズは20~500nmである。例えば、20nm、50nm、80nm、100nm、150nm、180nm、220nm、250nm、300nm、370nm、440nm、480nm、500nmを選択することができ、粒径の具体的な選択は、分散相の総量、耐衝撃性の要件及び分散相の製造工程条件などを総合的に検討して確定することができ、これに対して限定しない。ナノ粒子は、球形、楕円球形、パイ形、又はエッジのない不規則な形状の粒子である。分散相は、天然ミネラルを粉砕して形成されたナノ粒子、又は高分子ポリマーで作製されたナノ粒子である。分散相は、シリカ、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、炭酸カルシウム、Al又はガラス微小球の中の少なくとも一種である。上記の材料は、本発明の実施に影響しないかぎり、任意に替えることができる。
【0038】
分散媒体は、水、有機溶液、塩溶液の中の一種又はいくつかの複合物である。有機溶液は、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、ビニルエタノール、ポリエチレングリコールの中の少なくとも一種である。塩溶液は、緩衝液又は塩化ナトリウム溶液である。複合物は、グリセリンと水の混合物である。上記の材料は、本発明の実施に影響しないかぎり、任意に替えることができる。
【0039】
異なる分散媒体には、異なる分散相が使用される。例えば、二酸化ケイ素はイソプロパノールに分散され、炭酸カルシウムはポリエチレングリコールに分散され、ガラス微小球は水に分散され、ポリスチレンは水とグリセリンの混合物に分散される。具体的には、実際の需要によって、分散相と分散媒体を選択することができ、これに対して限定しない。
【0040】
実施例2において、フレキシブル耐衝撃保護カバーは、実施例1に記載されたフレキシブル耐衝撃保護材から作製される。OLEDデバイスの形状に応じて、フレキシブル耐衝撃保護材を板状構造又はシート状構造に作製される。
【0041】
具体的には、フレキシブル基板は、保護しようとするOLEDデバイスの形状と一致する形状を有する透明基板100であり、キャビティ200は、OLEDデバイスの発光層画素構造に対応して設置され、フィルムは300は、透明なフィルムであり、且つ透明基板100に貼り付けられ且つ固定されてキャビティ200を密封し、キャビティ200に充填された剪断増粘流体は光透過性材料を選択する。
【0042】
フィルム300は、透明基板100の上表面を覆い、且つ透明基板100に固定される。フィルム300は、剪断増粘流体で満たされたキャビティ200を密封する。本発明のフレキシブル耐衝撃保護材で表示モジュールの保護カバーを作製することができ、透明基板は可撓性及び透明性の基本的要件を満たす。可撓性とは、繰り返して湾曲されてから回復できることを意味する。透明性とは、表示モジュールの表示を影響しないことを意味する。剪断増粘流体で満たされたキャビティ200の形状は、発光層画素構造に対応して、発光層画素構造に対する光学的影響を低減する。
【0043】
可撓性材料のみで表示モジュールの表面を覆ってカバーとして使用する場合、厚さが制限されて、耐衝撃性が弱いので、本発明の実施形態では、透明基板に剪断増粘流体を封入する。剪断増粘流体は、通常の状態では非常に柔らかであり、カバー全体の湾曲性能に影響しない。さらに、剪断増粘流体は特殊な特性を有し、即ち、通常の状態では非常に柔らかであるが、高速の衝撃又は押圧に遭遇すると、材料の粘度が急激に増加して固くなり、固体に近く、従って外力を消化し、可撓性材料の耐衝撃性を向上させる。外力がなくなると、材料は元の柔らかい状態に戻り、材料の湾曲性能を実現する。
【0044】
図2に示されたように、構造的に、カバーは、透明基板100及びフィルム300を備える。透明基板100には、剪断増粘流体を充填するためのキャビティ200が設けられている。フィルム300は、透明基板に固定されて透明基板を覆うことにより、剪断増粘流体が充填されたキャビティ200を密封する。
【0045】
透明基板100は、保護カバーを作製するための主体構造であり、その材料は透明高分子材料を選択し、同様に、湾曲されてから回復する特性を実現するために、透明基板の材料は実施例1の材料と同じであり、フレキシブル高分子材料を選択することができる。従って選択した材料は透明性と可撓性の2つの特性を有する。一種のフレキシブル透明高分子材料からなるか、二種以上のフレキシブル透明高分子材料が複合されてなることができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレートの中の少なくとも一種であることが好ましい。本実施形態において、透明基板100はポリカーボネートからなる。上記の材料は、本発明の実施に影響しないかぎり、任意に替えることができる。透明基板100の形状は、保護しようとするディスプレイデバイスの構造と一致し、本発明は具体的に限定せず、適用可能な形状は本発明の要件を満たす。
【0046】
透明基板100にはキャビティ200が設けられており、キャビティ200は光透過性剪断増粘流体を充填するために用いられる。キャビティ200の深さは、先ず以下の要件を満たすことを必要として、即ち充填された剪断増粘流体によって生成される衝撃吸収能力は少なくとも通常の状況下でディスプレイデバイスが受ける衝撃に耐えることができ、例えば、高い所から落下するか、又は物体の衝撃などである。次に、透明基板101の厚さに基づいてキャビティ200の深さ、数量及び設置位置を確定する。好ましくは、複数のキャビティ200が設けられ、複数のキャビティ200は透明基板101にアレイ状に配置される。
【0047】
異なる透明性及び耐衝撃性要件に基づいて、透明基板100の構造寸法要件、キャビティ200の構造、位置寸法、数量などは、発光層画素に関連する。キャビティ200の形状及び寸法は、発光層画素の形状及び寸法と一致し、材料不均一によって引き起こされる光学的影響を低減する。一般的に、キャビティの寸法及び形状は、発光層画素の構造と一致するように設計することができ、又は1つのキャビティが1つの画素ユニットに対応するか、又は1つの領域の画素繰り返しユニットに対応する。
【0048】
キャビティ200の横断面形状は曲線形又は多角形であることが好ましい。図3に示されたように、キャビティ200の形状は円柱形であり、横断面は円形である。図4に示されたように、キャビティ200の形状は直方体形であり、横断面は長方形である。図5に示されたように、キャビティ200の形状は六角柱形であり、横断面は六角形である。
【0049】
ナノインプリント技術によって、透明基板にキャビティ200を設けることができる。例えば、熱インプリント技術によって、透明基板に所望のパターンをインプリントすることにより、キャビティ200を形成する。
【0050】
フィルム300は、キャビティ200を密封するために用いられる。フィルム300とキャビティ200は1対1で提供されることができ、各フィルム300は対応する1つのキャビティ200を密封し、又は複数のフィルム300を設置し、1つのフィルム300は複数のキャビティ200に対応し、又は1つのフィルム300を設置し、すべてのキャビティ200は1つのフィルム300で密封することができる。密封方式も様々であり、フィルム300は接着又はホットメルトによって透明基板100に固定されることができる。フィルム300の材料もフレキシブル透明高分子材料であり、透明基板100の材料と同じであることができ、異なってもよい。フィルム300は、ホットメルト接着剤、UV硬化接着剤又はホットメルトによって、透明基板100に貼り付けられる。本実施形態において、フィルム300はポリカーボネートで作られる。ットメルト接着剤によってフィルム300と透明基板との間を接着固定することにより、キャビティ200を密封することができる。
【0051】
上記の構成に加えて、透明基板100の表面に、反射防止コーティング400及び防眩コーティング500の中の少なくとも一方が設置されてもよい。図6に示されたように、透明基板100の表面には反射防止コーティング400及び防眩コーティング500が同時に設置されている。他の実施形態において、透明基板100の表面に反射防止コーティング400のみ又は防眩コーティング500のみを設置することもできる。反射防止コーティング400又は防眩コーティング500は、ディスプレイデバイスの内部空気界面での反射を低減する。反射防止コーティング400及び防眩コーティング500は、既存の材料及び技術を使用して塗布することができ、ここでは繰り返さない。
【0052】
擦傷をさらに防止するために、図7に示されたように、透明基板100の表面には硬化層600を設置することができ、表面擦傷によって表示を影響することを減少する。硬化層600も既存の材料及び技術を使用して塗布することができ、ここでは繰り返さない。
【0053】
反射防止コーティング400、防眩コーティング500及び硬化層600の中の一種又は二種を選択して設置することができ、三種を全部設置することもでき、設置順序は、硬化層は最外層に設置され、反射防止コーティング400及び防眩コーティング500は内層に設置され、両者の順序は任意に選択することができる。
【0054】
耐衝撃性の役割を発揮する部分は、キャビティ200に充填された剪断増粘流体である。剪断増粘流体は、分散相及び分散媒体を含み、分散相は分散媒体中に分散されて懸濁液又はゲルを形成する。剪断増粘流体の選択は、上述した実施例と同じであり、ここでは繰り返さない。本実施例において、二酸化ケイ素を選択して分散相とし、イソプロパノールを選択して分散媒体とする。
【0055】
耐衝撃テスト
【0056】
テスト手順:
1、ポリカーボネート材料を選択し、ナノインプリント技術を使用してキャビティを有する透明基板を製作する。
2、透明基板のキャビティに光透過性の剪断増粘流体を充填する。
3、溶融プレス方式によってキャビティの上にフィルムを附着して、厚さが0.25nmである透明基板を得る。
4、光学接着剤によって、パッケージされた透明基板をディスプレイデバイスパネルの表面に貼り付ける。
5、ポリカーボネート材料を使用して同じ厚さのキャビティのない透明基板を作製する。比較例として、同様に光学接着剤によってディスプレイデバイスパネルの表面に貼り付ける。
6、50gの鋼球を5cmの高さから上記の2つのディスプレイパネルの表面に自由に落下させてから、ディスプレイパネルの機能及び作動情況を検査する。
【0057】
テスト結果:
【表1】
【0058】
上記のテストから以下の内容を見つけることができ、即ち、本発明のディスプレイパネルは、20回の衝撃があっても依然として正常に作動することができるが、比較例は、2回の衝撃があると、表示できなくなり、本発明のカバーは優れる耐衝撃性能を有することを説明する。従って、本発明の材料を採用すると、湾曲と耐衝撃性の両方を達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7