(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
A61B17/00 700
(21)【出願番号】P 2020540467
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2018104623
(87)【国際公開番号】W WO2019140928
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】201810059205.5
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515206104
【氏名又は名称】チョンチン ハイフー メディカル テクノロジー カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フ、ホンビン
(72)【発明者】
【氏名】イェ、ファンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フ、ビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジェンミン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、イン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン、ホンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】フ、リアン
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ハオラン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フ、ジェン
(72)【発明者】
【氏名】マ、ウェンイン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522246(JP,A)
【文献】特表2013-517853(JP,A)
【文献】特開平08-252261(JP,A)
【文献】特開平07-194611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0058678(US,A1)
【文献】米国特許第05131392(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02886159(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103520844(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1966109(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
17/22 - 17/225
A61N 7/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサと治療ベッドを含む骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器であって、
前記超音波トランスデューサは、発出面と、超音波を生成するための発出ユニットとを含み、前記発出面は第1の切り欠き、第2の切り欠き、第3の切り欠きを有する球面であり、
前記球面の球面直径は400mm~800mmであり、且つ前記球面の1つの球心面は主球心面であり、
前記球心面は球心を含む平面であり、側面からみて、前記第1の切り欠きと第2の切り欠きは
、前記主球心面に
平行な切り口の前記球面との2つの交差箇所
をそれぞれ
有し、前記第3の切り欠きは前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きを接続し、前記主球心面の両側からそれぞれ100mm~200mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面内で円弧形であり、前記円弧形の開口は前記第3の切り欠きに
より形成し、前記円弧形
の中心角は180度よりも大きく且つ300度未満であり、前記発出面は超音波を反射する能力を有し、前記発出ユニットによって生成された超音波は前記発出面
の球心に集束され、
前記治療ベッドは、人体が砕石位で仰臥するためのものであり、前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記人体の骨盤腔部は前記発出面
の球心部分に位置し、両脚はそれぞれ前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きを介して前記発出面外に突き出て、胴体上部は前記第3の切り欠きを介して前記発出面外に突き出る
ことを特徴とする骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項2】
前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きの縁が、第1の平面と第2の平面にそれぞれ位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項3】
前記第1の平面と前記第2の平面がいずれも前記主球心面に平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項4】
前記第1の平面と前記第2の平面との間の距離が200mm~400mmである
ことを特徴とする請求項3に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項5】
前記第1の平面と前記主球心面との間の距離が、前記第2の平面と前記主球心面との間の距離と等しい
ことを特徴とする請求項3に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項6】
前記発出面
の球面の直径が420mm~600mmであり、
前記主球心面の両側からそれぞれ100mm~150mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面での円弧形
の中心角が180度より大きく且つ300度未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項7】
前記発出面は前記主球心面に平行な任意の断面においていずれも円弧形であり、前記円弧形
の中心角は200度より大きく且つ260度未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項8】
前記発出面は、前記主球心面に平行な任意の断面における円弧形の開口の向きが同一であり、且つ前記円弧形
の中心角が等しい
ことを特徴とする請求項7に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項9】
前記発出面は前記主球心面に対して対称的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項10】
前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第1の領域から発出された超音波が前記人体の腹部を介して骨盤腔部に入り、
前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第2の領域から発出された超音波が前記人体の尾骨と恥骨結合間の領域を介して骨盤腔部に入る
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項11】
前記発出面の第1の領域から前記人体の腹部を経て前記骨盤腔部にイメージング超音波を発射して骨盤腔部画像を形成する第1のBスキャン超音波ヘッド及び/又は、
前記発出面の第2領域から前記人体の会陰を経てイメージング超音波を前記骨盤腔部に発射して骨盤腔部画像を形成するための第2のBスキャン超音波ヘッドをさらに含む
ことを特徴とする請求項10に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項12】
前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサは別体構造であり、
前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサを接近又は離隔させる移動ユニットをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項13】
前記人体の表面と前記発出面との間に音伝達媒体を保持するための媒体収容ユニットをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項14】
前記超音波トランスデューサが前記治療ベッドに対して移動するように駆動する駆動ユニットをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項15】
骨盤腔部の画像を形成するイメージングユニットをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項16】
前記発出ユニットにより生成された超音波の周波数が0.4MHz~1.5MHzである
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項17】
前記発出ユニットにより生成された超音波の音響パワーが0W~1200Wである
ことを特徴とする請求項1に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【請求項18】
前記発出ユニットにより生成された超音波の音響パワーが0W~800Wである
ことを特徴とする請求項17に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度焦点式超音波治療技術分野に属し、具体的に骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器に関するものである。
【技術背景】
【0002】
高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound、HIFU)技術は、肝癌、乳腺癌、腎癌、骨腫瘍、子宮筋腫等の良性、悪性腫瘍の治療に幅広く使用されており、これは超音波の集束性と貫通性を利用して超音波を人体の病変部分に集束し、焦点領域の高エネルギー密度の機械エネルギーを熱エネルギーに変換し、病変組織を凝固壊死させる(超音波熱焼灼とも呼ばれる)ものである。また、音響チャンネル上の超音波エネルギー密度が比較的低いため、病変組織周辺と音響チャンネル上の正常な組織は影響を受けず、又は受ける影響が許容されるものであるよう確保できる。
【0003】
従来の体外高密度焦点式超音波治療で使用されている超音波トランスデューサの発出面はほとんどが球冠面であり、それが発出する超音波は進行波であり、形成される焦点領域はシガー形や紡錘形に近似し、音響軸方向での長さは長く、一般的に10mmを上回るが、その他の2つの短軸寸法は2mm~3mmであり(超音波周波数が1MHzである時を例とする)、このような焦点領域の寸法はやや大きく、エネルギーの集束に影響するだけでなく、治療の安全性の確保に不利である。このほか、従来の超音波トランスデューサから発出された超音波は、骨や気体を含む器官等の不均一な組織によって散乱、反射され、その伝播が重篤な非線形になり、音響チャンネル内の組織に損傷を与えるとともに、焦点領域に予見できない変位と歪みが生じ、焦点領域の位置決めに影響する。
【0004】
従来の超音波トランスデューサの欠点により、それは治療における応用において多くの制限を受ける。例えば、前立腺肥大や前立腺がんは成人男性の一般的な疾病であり、中国において40~79歳の男性の前立腺肥大の発病率は約50%で、80歳以上の発病率は80%に上る。しかし、前立腺は骨盤腔内にあり、周囲には骨や気体を含む器官等の不均一な組織が大量に存在するため、体外から発射された超音波が不均一な組織を通って前立腺に精確に集束されるのは困難である。従って、従来の前立腺疾患の集束超音波治療では、尿道又は直腸を経て超音波トランスデューサを体内に導入する必要があり、これにより、患者の快適さが劣ることになり、尿道又は直腸の損傷を引き起こしやすい上、超音波トランスデューサの寸法には制限があり、エネルギーが低く、移動が不便であるため、治療効果、効率、完全度等はいずれも劣る。さらに、従来の超音波の焦点領域はシガー形であるため、焦点領域を必要な位置に精確に限定することは困難であり、焦点領域の一部が病変組織にある場合、焦点領域のその他の部分は正常組織を超えて、正常な組織に損傷を与える可能性があり、治療の安全性が低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来の前立腺疾患集束超音波治療機器の治療効果、効率及び安全性が好ましくないという課題を少なくとも部分的に解決し、治療効率が高く、効果が好ましく安全性が好ましい骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器を提供する。
【0006】
本発明の技術課題を解決するために採用される技術案は、超音波トランスデューサ、治療ベッドを含み、
前記超音波トランスデューサは、発出面と、超音波を生成するための発出ユニットとを含み、前記発出面は第1の切り欠き、第2の切り欠き、第3の切り欠きを有する球面であり、前記球面の球面直径は400mm~800mmであり、且つ前記球面の1つの球心面は主球心面であり、前記球心面は球心を含む平面であり、側面からみて、前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きは、前記主球心面に平行な切り口の前記球面との2つの交差箇所をそれぞれ有し、前記第3の切り欠きは前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きを接続し、前記球心面の両側からそれぞれ100mm~200mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面内で円弧形であり、前記円弧形の開口は前記第3の切り欠きにより形成し、前記円弧形の中心角は180度よりも大きく且つ300度未満であり、前記発出面は超音波を反射する能力を有し、前記発出ユニットによって生成された超音波は前記発出面の球心に集束され、
前記治療ベッドは、人体が砕石位で仰臥するためのものであり、前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記人体の骨盤腔部は前記発出面の球心部分に位置し、両脚は前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きをそれぞれ介して前記発出面外に突き出て、胴体上部は前記第3の切り欠きを介して前記発出面外に突き出る
骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器というものである。
【0007】
好ましくは、前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きの縁が、第1の平面と前記第2の平面にそれぞれ位置する。
【0008】
さらに好ましくは、前記第1の平面と前記第2の平面がいずれも前記主球心面に平行である。
【0009】
さらに好ましくは、前記第1の平面と前記第2の平面との間の距離が200mm~400mmである。
【0010】
さらに好ましくは、前記第1の平面と前記主球心面との間の距離が、前記第2の平面と前記主球心面との間の距離と等しい。
【0011】
好ましくは、前記発出面の球面の直径が420mm~600mmであり、
前記主球心面の両側からそれぞれ100mm~150mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面での円弧形の中心角が180度より大きく且つ300度未満である。
【0012】
好ましくは、前記発出面は前記主球心面に平行な任意の断面においていずれも円弧形であり、前記円弧形の中心角は200度より大きく且つ260度未満である。
【0013】
さらに好ましくは、前記発出面は、前記主球心面に平行な任意の断面における円弧形の開口の向きが同一であり、且つ前記円弧形の中心角が等しい。
【0014】
好ましくは、前記発出面は前記主球心面に対して対称的に配置されている。
【0015】
好ましくは、前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第1の領域から発出された超音波が前記人体の腹部を介して骨盤腔部に入る。
【0016】
前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第2の領域から発出された超音波が前記人体の尾骨と恥骨結合間の領域を介して骨盤腔部に入る。
【0017】
前記骨盤疾病体外集束超音波治療機器は、
前記発出面の第1の領域から前記人体の腹部を経て前記骨盤腔部にイメージング超音波を発射して骨盤腔部画像を形成する第1のBスキャン超音波ヘッド及び/又は、
前記発出面の第2領域から前記人体の会陰を経てイメージング超音波を前記骨盤腔部に発射して骨盤腔部画像を形成するための第2のBスキャン超音波ヘッド
をさらに含むことがさらに好ましい。
【0018】
前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサは別体構造であり、
前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサを接近又は離隔させる移動ユニットをさらに含むことが好ましい。
【0019】
好ましくは、前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、
前記人体の表面と前記発出面との間に音伝達媒体を保持するための媒体収容ユニットをさらに備える。
【0020】
好ましくは、前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、
前記超音波トランスデューサが前記治療ベッドに対して移動するように駆動する駆動ユニットをさらに備える。
【0021】
好ましくは、前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、
骨盤腔部の画像を形成するイメージングユニットをさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記発出ユニットによって生成された超音波の周波数が0.4MHz~1.5MHzである。
【0023】
好ましくは、前記発出ユニットの超音波の音響パワーが0W~1200Wである。
【0024】
好ましくは、前記発出ユニットの超音波の音響パワーが0W~800Wである。
【0025】
本発明の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、特定の「C字型」超音波トランスデューサを用いる。このような超音波トランスデューサの焦点領域は球状に接近し、寸法が小さく、エネルギー密度が高いため、その治療効果は好ましく、効率が高く、正常組織への影響は小さく、安全性に優れる上、上記超音波トランスデューサによって生成された超音波集束効果は骨等の不均一な組織からの影響が小さく、人体が特定の体位で治療ベッドの上に仰臥して、骨盤腔部が超音波トランスデューサの焦点領域付近に位置するようにすることで、超音波を音響チャンネルの最大化という方式で人体に入れることができる。従って、上記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、体外集束超音波という方式により骨盤腔内器官の疾病を治療でき、その超音波トランスデューサの超音波発射面(つまり、発出面)の寸法をより大きくすることができ、単位面積で発射した超音波エネルギーが同一である状況において、超音波が人体に入る音響窓の面積をより大きくし、焦点領域で得られるエネルギー密度をより高くし、さらには治療効果を改善し、治療効率を向上させ、治療の快適性を向上させ、操作の利便性を向上させ、人体への損傷を低減し、治療の安全性を向上させる。
【0026】
本発明の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、例えば前立腺癌、前立腺肥大、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸癌、卵巣癌、直腸癌、結腸癌等の骨盤腔内器官の疾病治療に適し、特に前立腺疾患の治療に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は本発明の実施例の超音波トランスデューサの構造概念図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例の超音波トランスデューサにおける発出面の構造概念図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例の超音波トランスデューサにおける発出面の、主球心面に平行な方向に沿う構造概念図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例の超音波トランスデューサにおける発出面の、主球心面に垂直な方向に沿う構造概念図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例の超音波トランスデューサにおける発出面の、主球心面に平行な断面での構造概念図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器の別体時の側面構造概念図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器の別体時の俯瞰構造概念図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が組み合わせられた時の側面構造概念図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が組み合わせられた時の俯瞰構造概念図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が組み合わせられた時に人体と組み合わせた側面構造概念図である。
【
図11】
図11は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が組み合わせられた時に人体と組み合わせた俯瞰構造概念図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器がフリーフィールドにおいて焦点に形成したキャビテーション領域の写真である。
【
図13】
図13は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器がインビトロの牛肝臓に対して超音波照射を行った後に形成された生物組織壊死領域の写真である。
【
図14】
図14は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が骨盤腔内のインビトロの牛の筋肉に対して超音波照射を行う実験装置図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が骨盤腔内のインビトロの牛の筋肉に対して超音波照射処理を行う時のBスキャン超音波画像である。
【
図16】
図16は本発明の実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が骨盤腔内のインビトロの牛の筋肉組織に対して超音波照射を行った後に形成された生物組織壊死領域の写真である。
【符号の説明】
【0028】
図面符号:1超音波トランスデューサ、11ハウジング、12上カバー、13 圧電アレイエレメント、14エンドカバー、 2治療ベッド、 3発出面、 31第1の切り欠き、 32第2の切り欠き、33第3の切り欠き、35第1の領域、36第2の領域、41第1のBスキャン超音波ヘッド、42第2のBスキャン超音波ヘッド、91第1の平面、92第2の平面、99主球心面。
【具体的な実施の形態】
【0029】
本発明の技術案を当業者がよりよく理解できるように、以下では図面と具体的な実施の形態を組み合わせて本発明についてさらに詳細に説明する。
【0030】
実施例1:
図1~16に示すように、本実施例は、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器を提供する。
【0031】
上記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療では、特定の形式の超音波トランスデューサ1を用い、人体を特定の体位で仰臥させ、骨盤腔部が超音波トランスデューサ1に入るようにすることで、超音波トランスデューサ1から発出された超音波が人体の骨盤腔部内の特定位置に集束でき、骨盤腔における器官の疾病、例えば前立腺癌、前立腺肥大、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸癌、卵巣癌、直腸癌、結腸癌等を治療し、特に前立腺疾患の治療に適用される。
【0032】
本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、超音波トランスデューサ1と治療ベッド2とを含み、
超音波トランスデューサ1は発出面3と、超音波を生成するための発出ユニットとを含み、発出面3は第1の切り欠き31、第2の切り欠き32、第3の切り欠き33を有する球面であり、前記球面の球面直径は400mm~800mmであり、且つ球面の1つの球心面は主球心面99で、前記球心面は球心を含む平面であり、側面から見て、第1の切り欠き31と第2の切り欠き32は、主球心面99に平行な切り口の球面との2つの交差箇所をそれぞれ有し、第3の切り欠き33は第1の切り欠き31と第2の切欠き32を接続し、主球心面99の両側からそれぞれ100mm~200mmの範囲内において、発出面3は主球心面99と平行な断面内で円弧形であり、円弧形の開口は第3の切り欠き33により形成し、円弧形の中心角は180度より大きく且つ300度未満であり、発出面3は超音波を反射する能力を有し、且つ発出ユニットによって生成された超音波は発出面3の球心に集焦される。
【0033】
治療ベッド2は人体が砕石位で仰臥するためのものであり、人体が砕石位で治療ベッド2に仰臥する時、発出面3の球心部分は人体の骨盤腔内にあり、両脚はそれぞれ第1の切り欠き31と第2の切り欠き32を介して発出面3外に突き出て、胴体上部は第3の切り欠き33を介して発出面3外に突き出る。
【0034】
本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は超音波トランスデューサ1を有し、超音波トランスデューサ1は発出ユニットを有し、発出ユニットは超音波を生成するデバイスであって、例えば、発出ユニットの材料は圧電セラミックスまたは1-3型圧電複合材料等を含んでもよい。発出ユニットの形状、数、位置等を設計することにより、発出ユニットは、発出面3の各位置に相当する箇所から超音波を発出することができる上、各位置で発出された超音波は発出面3に沿って当該位置の法線方向において伝播し、これら超音波は最終的に必要な位置に集束することができる(直接集束又は反射を経た後の集束を含む)。
【0035】
具体的に、
図1に示すように、発出面3は所定形状を有する透音面としてよく、発出ユニット(例えば圧電アレイエレメント13)は発出面3の後ろに配置できる。または、発出面3は直接、発出ユニット自体の発射面であってもよい。
【0036】
具体的に、発出ユニットは異なる形式を用いてもよい。例えば、発出ユニットは、発出面3の異なる位置に設けられた複数の圧電アレイエレメント13(例えば、矩形の圧電セラミックシート)であってよく、即ち、複数の圧電アレイエレメント13は発出面3を「接ぎ合わせ」出す。または、発出ユニットは、発出面3と同一の形状を直接有してもよい(例えば、発出ユニットは異形圧電セラミックシートである)。
【0037】
勿論、
図1に示すように、超音波トランスデューサ1では、発出面3と発出ユニットのほか、発出ユニットの駆動回路、密閉駆動回路と発出ユニットのハウジング(例えば、発出ユニットのハウジングはハウジング11、上カバー12、下カバー、エンドカバー14等を含んでよい)等の他の部材をさらに含んでもよく、ここでは詳細に説明しない。
【0038】
従来の球冠面式の発出面と異なり、本実施例の超音波トランスデューサ1の発出面3は、3つの部分を欠いた球面に相当し、当該球面の直径範囲は400mm~800mmであってよく、420mm~600mmが好ましい。
【0039】
図2~4に示すように、以上の発出面3が欠く2つの部分(第1の切り欠き31と第2の切り欠き32)は球面の直径上の両端における部分であり、当該直径に垂直な球心面(即ち、球心を通過する表面)は主球心面99であり、発出面3が欠く第3の部分(第3の切り欠き33)は、上記第1の切り欠き31と第2の切り欠き32とを側面から接続する部分である。
【0040】
言い換えれば、主球心面99のある平面を水平方向とし、主球心面99の直径に垂直な方向を鉛直方向とすれば、球面に対して、その鉛直方向の表面上の頂端と底端をそれぞれ一部分切り取ってから、その側面をさらに一部分切り取ることができ、当該側面の切り取られた部分は頂端と底端の切り口を接続し、その残りの球面は上記発出面3である。
【0041】
そのうち、主球心面99の両側それぞれ100mm~200mm(100mm~150mmが好ましく、両側の距離は異なってもよい)の範囲内において、発出面3は主球心面99に平行な断面において截取された形状が円弧形であり、当該円弧形の中心角は180度より大きく且つ300度未満であり、好ましくは200度より大きく且つ260度未満であって、その開口は上記第3の切り欠き33に対応する。言い換えれば、少なくとも主球心面99に近づく一部分の範囲内に、上記第3切欠き33が球面を切り取る範囲は制限され、残された部分に対応する中心角は以上の範囲であるべきである。
【0042】
さらに、上記発出面3は超音波を反射する能力を有し、少なくとも一部の位置において上記第3の切り欠き33は「半分未満」の球面しか切り取られていないため、
図5に示すように、中心角が180度を超える円弧部分から発出された超音波は対向する発出面3に反射されて戻り、当該180度を超える円弧部分も、対向する発出面3が発出した超音波を反射することができ、さらには一部の領域(
図5における斜線部分)内において超音波を戻すことができ、定在波を形成し、超音波の集束状況と焦点領域の形態を変更する。また、円弧の開口に対応する部分から発出された超音波は反射されないため、円弧のこの部分から発出される超音波は依然として進行波である。
【0043】
言い換えれば、本実施例の超音波トランスデューサ1が生成する超音波は実際に進行波と定在波の組み合わせという形式であるため、その伝播、集束等に変更が生じる。具体的に、当該超音波トランスデューサ1はもとのシガー形の焦点領域の長軸を圧縮できるため、焦点領域をより球形に接近させ、寸法を小さくし、エネルギー密度を向上させ、治療効果と効率を改善し、正常組織への損傷を低減し、安全性を向上させる。また、当該超音波トランスデューサ1は、超音波が人体内に伝播する時の、組織の不均一性及び骨組織等のその超音波集束への不利な影響を低減でき、焦点領域の変位と歪みを低減でき、焦点領域の精確な位置決めに有利である。
【0044】
好ましくは、第1の切り欠き31と第2の切り欠き32の縁が第1の平面91と第2の平面92にそれぞれ位置する。より好ましくは、第1の平面91と第2の平面92がいずれも主球心面99に平行である。
【0045】
図3に示すように、上記第1の切り欠き31と第2の切り欠き32は平面によって截取された球冠であることが好ましく、2つの平行平面によって截取された球冠がより好ましく、即ち、截取された2つの球冠の底面は互いに平行であることが好ましい。これにより、第1の切欠き31と第2の切欠き32を除去した球面は、2つの球台底面を突合わせて得られた構造に相当する。勿論、2つの球台の底面はいずれも主球心面99であり、両者の高さは異なってもよい。上記形式の発出面3の形状は球台に接近し、比較的規則的で構造が簡単である。
【0046】
勿論、上記第1の切り欠き31と第2の切り欠き32は、互いに平行でない平面又は非平面の曲面によって截取してもよく、どちらも実行可能である。
【0047】
より好ましくは、第1の平面91と第2の平面92との間の距離が200mm~400mmであり、200mm~300mmが好ましい。
【0048】
言い換えれば、第1の切り欠き31と第2の切り欠き32との間の距離(即ち、発出面3の鉛直方向での寸法)は上記範囲内にあることが好ましく(勿論、発出面3に対応する球面の直径は上記距離よりも大きくあるべきである)、このような発出面3は面積が十分であり、治療に適した超音波を生成することができるとともに、その寸法もあまり大きくなく、人体の両脚を伸ばすことが許容される。
【0049】
より好ましくは、第1の平面91と主球心面99との間の距離が、第2の平面92と主球心面99との間の距離と等しい。
【0050】
言い換えれば、第1の切り欠き31と第2の切り欠き32は、球心と距離が等しい2つの平面によって截取することが好ましいため、これら寸法は等しく且つ対称的に分布し、焦点領域の対称と人体両脚を置くことに有利である。
【0051】
勿論、第1の切り欠き31、第2の切り欠き32と球心との距離が異なっていても、又は形状が根本的に異なっていてもよく、どちらも実行可能である。
【0052】
好ましくは、発出面3は主球心面99に平行な任意の断面においていずれも円弧形であり、円弧形の中心角は180度より大きく且つ300度未満である。
【0053】
以上では、少なくとも主球心面99の近傍において、発出面3は主球心面99に平行な断面内で円弧形であると限定しているが、より好ましい方式として、発出面3は主球心面99に平行な任意の断面内でいずれも上記円弧形であってよく、これにより発出面3は鉛直方向の各位置で定常波の生成ができることを保証する。
【0054】
勿論、発出面3の一部の位置は主球心面99に平行な断面内で円弧形でない(例えば、分かれた2つの円弧である)ことも可能である。
【0055】
さらに好ましくは、主球心面99に平行な任意の断面における発出面3の円弧形の開口の向きが同一であり、且つ円弧形の中心角が等しい。
【0056】
言い換えれば、鉛直方向の異なる位置において上記第3の切欠き33は向きが同一であり且つ対応する中心角も同一であることが好ましく、即ち、第3の切欠き33は主球心面99に垂直な平面によって截取されることが好ましい。
【0057】
図4に示すように、主球心面99に垂直な方向から見ると、上記発出面3は、「C字形」に類似する形状である。
【0058】
好ましくは、発出面3は主球心面99に対して対称的に配置される。
【0059】
図3に示すように、発出面3は主球心面99に対して対称的に分布することが好ましく、即ち、主球心面99の両側の発出面3の形式は同一であることが好ましい。よって、それが形成する音場、焦点領域も主球心面99に対して対称で、より規則的で制御しやすい。
【0060】
図6~11に示すように、上記治療ベッド2は治療時に人体を支持するためのものである。具体的には、人が治療ベッド2に仰臥し、両脚を持ち上げて両側へ開き、砕石位を呈するというものである。
【0061】
従って、
図10、11に示すように、超音波トランスデューサ1の第3の切り欠き33を治療ベッド2に向け、第1の切り欠き31と第2の切り欠き32をそれぞれ両側へ向けるように設置すれば、球心が人体の骨盤腔内部に位置する時、人体の胴体上部は第3の切欠き33を介して発出面3外に突き出ることができるとともに、人体の両脚もそれぞれ第1の切欠き31と第2の切欠き32を介して発出面3外に突き出る。
【0062】
ここから分かるように、人体が超音波トランスデューサ1との間でこのような姿勢を呈するようにしようとすれば、超音波トランスデューサ1(発出面3)の寸法、中心角は一定の要求を満たさなければならず、発出面3のパラメータについての上記限定はまさに超音波トランスデューサ1を人体に適合させることができる。
【0063】
勿論、人体を砕石位で治療ベッド2に仰臥させるために、治療ベッド2は椅子、レッグサポート等の構造を有するべきであるが、ここでは詳細に説明しない。
【0064】
勿論、実際の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器では、超音波トランスデューサ1を吊り下げることはできず、相応のハウジング、支持構造、駆動回路等をさらに有するが、簡潔にするためにこれら構造は図面において示していない。
【0065】
本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、特定の「C字形」超音波トランスデューサ1を用いるため、このような超音波トランスデューサ1の焦点領域は球形に接近し、寸法が小さく、エネルギー密度が高いため、治療効果が好ましく、効率が高く、正常組織への影響は小さく、安全性が好ましい。
【0066】
さらに、上記超音波トランスデューサ1が生成する超音波の伝播は、骨等の不均一な組織からの影響が小さく、また、人体が特定の姿勢で治療ベッド2に仰臥して、骨盤腔内の特定の組織器官が超音波トランスデューサ1の焦点領域の付近にあるようにすることで、超音波が音響チャネルの最大化という方式で人体の骨盤腔に入ることを許容し、骨盤腔内の特定組織器官上の特定病変部位を治療しやすい。
【0067】
従って、上記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、体外集束超音波という方式により骨盤腔器官の疾病を治療することができる。よって、その超音波トランスデューサの超音波発射面(つまり、発出面3)の寸法をより大きくすることができ、単位面積で発射した超音波エネルギーが同一である状況において、超音波が人体に入る音響窓の面積を大きくし、焦点領域で得られるエネルギー密度をより高くして、治療効果を改善し、治療効率を向上させ、治療の快適性を向上させ、操作の利便性を向上させ、人体への損傷を低減し、治療の安全性を向上させる。
【0068】
好ましくは、治療ベッド2と超音波トランスデューサ1は別体構造であり、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は治療ベッド2と超音波トランスデューサ1を接近又は離隔させるための移動ユニットをさらに含む。
【0069】
図10、11に示すように、上記発出面3のパラメータに基づき、トランスデューサの発出面3に対応する球心が人体の骨盤腔内にある場合、人の腹部、背中と発出面3の端部との間の距離は比較的小さいため、治療ベッド2が超音波トランスデューサ1の付近に位置決めされていれば、会陰を治療ベッド2と超音波トランスデューサ1との間の隙間に入れるのは困難である。従って、
図6、7に示すように、治療ベッド2と超音波トランスデューサ1は別体であることが好ましい。また、治療ベッド2は、移動ユニット(例えば、車輪、レール等)により超音波トランスデューサ1に接近又は離隔させることができ、このようにすることで、治療ベッド2が超音波トランスデューサ1から離れている時に、人体はまず砕石位で治療ベッド2に仰臥し、その後、治療ベッド2を超音波トランスデューサ1に近づけ、会陰が第3の切り欠き33を貫通して発出面3内に入るように連動し、
図10、11に示す構造が得られる。
【0070】
好ましくは、人体が砕石位で治療ベッド2に仰臥する時、発出面3の第1の領域35から発出された超音波は人体の腹部を介して骨盤腔部に入り、人体が砕石位で治療ベッド2に仰臥する時、発出面3の第2の領域36から発出された超音波は、人体の尾骨と恥骨結合間の領域を介して骨盤腔部に入る。
【0071】
人体の骨盤腔部の大部分は骨盤骨に囲まれ、骨は超音波に対して比較的強い遮断作用を有する。これに対し、腹部には骨がなく、尾骨と恥骨結合間の領域(会陰、肛門等を含む)の骨は比較的少ないため、超音波はこの2つの位置を介して骨盤腔に入り、受ける阻害は最小限である。従って、好ましくは、
図10に示すように、超音波トランスデューサ1の発出面3は少なくとも第1の領域35と第2の領域36を有し、これら2つの領域から発出された超音波は腹部、及び尾骨と恥骨結合間との領域をそれぞれ介して骨盤腔に入ることができ、音響チャンネルの最大化を実現する。
【0072】
勿論、発出面3も第1の領域35と第2の領域36間に位置する領域を有するべきであり、第1の領域35と第2の領域36間の中心角は通常150度未満であるため、
図10に示すように、実際の発出面3は第1の領域35と第2の領域36を超える部分、例えば、仙骨に対応する部分を有するべきであり、最終的に、発出面3全体の各位置から発出される超音波は共同でより好ましい音場を形成することができる。
【0073】
好ましくは、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、骨盤腔部画像を形成するためのイメージングユニットをさらに含む。
【0074】
言い換えば、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、骨盤腔部画像を形成するためのイメージングユニット(例えば、Bスキャン超音波、CT、MRI、又はそれらの組み合わせ)をさらに含み、治療前に病変位置を位置決めして、治療中に治療部位の周囲の画像をリアルタイムで形成することで、治療効果を随時評価し、治療案を調整する。
【0075】
具体的に、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、
発出面3の第1の領域35から人体の腹部を経て骨盤腔部にイメージング超音波を発射して骨盤腔部画像を形成する第1のBスキャン超音波ヘッド41及び/又は、
発出面3の第2領域36から人体の会陰を経てイメージング超音波を骨盤腔部に発射して骨盤腔部画像を形成するための第2のBスキャン超音波ヘッド42をさらに含んでよい。
【0076】
言い換えれば、Bスキャン超音波を用いて骨盤腔部の画像を形成して監視を実現できるが、Bスキャン超音波も超音波イメージングを用いるため、骨に遮断されることもある。従って、
図10に示すように、Bスキャン超音波ヘッドも上記第1の領域35と第2の領域36内に設けられるべきであり、これら位置から骨を避けて画像を取得し、画像が明瞭であることを保証して、超音波治療に対するBスキャン超音波ヘッドの影響をできるだけ低減する。具体的に、第1のBスキャン超音波ヘッド41は第1の領域35の中に設けられて腹部を介して超音波イメージングを送信し、第2のBスキャン超音波ヘッド42は第2の領域36の特定の位置に設けられ、つまり会陰部(肛門等の位置ではない)を介して超音波イメージングを送信する。
【0077】
人体が砕石位で仰臥するため、第1のBスキャン超音波ヘッド41と鉛直方向との間の角度は約30度であり、第2のBスキャン超音波ヘッド42と鉛直方向との間の角度は約80度である。
【0078】
具体的に、Bスキャン超音波ヘッドは発出面3の対応する位置に設けられ、非接触の方式でイメージングを行ってよく、または
図10に示すように、Bスキャン超音波ヘッドは発出面3から突出し且つ伸縮可能であってもよく、これにより需要に応じて、その中の1つ又は2つのBスキャン超音波ヘッドが張り出して人体に接触してイメージングするように選択してよい。
【0079】
従って、本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、特定の位置にBスキャン超音波ヘッドを設置することにより、できるだけ治療超音波に影響を及ぼさないという状況において、最好の位置から最高品質の超音波画像を得ることができる。また、上記超音波スキャンヘッドは発出面3(即ち、超音波トランスデューサ1)に設けられているため、超音波トランスデューサ1が移動する時に、超音波トランスデューサ1に伴って一緒に移動し、最好のイメージング位置を随時合わせる。
【0080】
好ましくは、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、超音波トランスデューサ1が治療ベッド2に対して移動するよう駆動するための駆動ユニットをさらに含む。
【0081】
従って、治療時に超音波焦点領域を病変位置に置く必要があるが、体型、疾病の種類、治療状態等によって精確な病変位置も異なるため、治療過程において焦点領域位置をリアルタイムで調整する必要がある。よって、駆動ユニットを設置して超音波トランスデューサ1が移動するように駆動し、さらには焦点領域を連動して移動させる。
【0082】
そのうち、上記移動は3つの互いに垂直な軸方向上の平行移動を含んでよく、このような移動により、焦点領域を平行移動させるか、又は、上記移動は、超音波トランスデューサ1を異なる軸に沿って回動させることを含んでもよく、これにより超音波を異なる方向から人体に入らせる。
【0083】
好ましくは、骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、人体表面と発出面3との間に音の伝達媒体を保持するための媒体収容ユニットをさらに含む。
【0084】
空気伝播における超音波の減衰を低減するために、超音波トランスデューサ1の発出面3と人体との間に脱気水等の音伝達媒体を設置してよい。このために、好ましくは、音伝達媒体(例えば、脱気水)を収容できる媒体収納ユニットを設置することで、本実施例の超音波トランスデューサ1の発出面3と超音波が入ろうとする人体の表面との間に音伝達媒体を充満させる。当該媒体収納ユニットは水槽等の形式であってもよく、ここでは詳細に説明しない。
【0085】
好ましくは、発出ユニットによって生成された超音波の周波数が0.4MHz~1.5MHzである。
【0086】
本実施例では、発出ユニットによって生成された超音波の音響パワーが0W~1200Wである。好ましくは、発出ユニットによって生成された超音波の音響パワーが0W~800Wである。
【0087】
上記形式の超音波トランスデューサ1に関して、これを骨盤腔内器官の疾病の治療に用いる時、これが発出する超音波パラメータは上記範囲内にあることが好ましく、これにより好ましい治療効果に達する。
【0088】
本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、200Wの音響パワーで超音波を脱気水に発射し、焦点領域で水のキャビテーションを発生させる。第1の切り欠き31部分から撮影されたキャビテーション部位の写真は
図12の通りである。上記写真のキャビテーション領域(即ち、焦点領域)は円形に接近し、寸法は1.8mm * 1.2mmで、縦横比は3:2であることが分かり、これは、従来の進行波集束超音波トランスデューサとの比較において、本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器が用いる集束超音波トランスデューサの焦点領域の長軸は明らかに圧縮され、シガー形から近似球形に変化し、寸法が小さくなり、エネルギー密度が高くなり、形状がより規則的である。
【0089】
本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器を用い、400Wの音響パワーで超音波をインビトロの牛肝臓に2秒間照射すると、
図13に示すように、深度80mmの標的領域は短時間で明らかな損傷が形成され、損傷はシャトル形状を呈し、境界がはっきりしており、損傷範囲の寸法は4.4mm * 1.5mmであり、縦横比が3:1よりも小さく、従来の集束超音波トランスデューサによってもたらされる損傷の縦横比(一般には5:1より大きい)よりも低い。このことも、本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器の焦点領域の形状がより規則的であることを示している。
【0090】
図14に示すように、骨盤骨を骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器の超音波トランスデューサ1内側の所定位置に置き、これで人体骨盤の所在位置を模擬し、その後、インビトロの牛筋肉組織を骨盤骨内に置く。
図15に示すように、焦点領域を人体直腸から10 mmに相当する箇所に位置決めし、前立腺の治療過程を模擬する。超音波パワーは400 W、標的領域の深度は55 mm、超音波照射時間は2秒* 5回である。超音波を照射した後の牛筋肉組織は
図16に示すように、標的領域の損傷が明らかで、境界がはっきりしており、包膜に損傷がなく、模擬された直腸/前立腺界面には損傷が形成されていないことが分かる。これは、本実施例の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器によって発出された超音波は、人体の骨等の不均一な組織からの影響が少なく、実際の人体環境に直面した時に、依然として音響チャネルの最大化を実現できるとともに、寸法が小さく、形態が優れ、位置が精確である焦点領域を形成し、良好な治療効果と効率に達するだけでなく、正常な組織への損傷を回避していることを示している。
【0091】
上述した実施形態は本発明の原理を説明するための例示的な実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されない。当業者は、本発明の精神や主旨を逸脱しない範囲で種々の変形と改良が可能であり、これらも本発明の請求範囲に含まれると見なされる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 超音波トランスデューサと治療ベッドを含む骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器であって、
前記超音波トランスデューサは、発出面と、超音波を生成するための発出ユニットとを含み、前記発出面は第1の切り欠き、第2の切り欠き、第3の切り欠きを有する球面であり、対応する球面直径は400mm~800mmであり、且つ前記球面の1つの球心面は主球心面であり、前記第1の切り欠きと第2の切り欠きは前記主球心面に垂直な直径が前記球面との2つの交差箇所にそれぞれ位置し、前記第3の切り欠きは前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きを接続し、前記主球心面の両側からそれぞれ100mm~200 mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面内で円弧形であり、前記円弧形の開口は前記第3の切り欠きに対応し、前記円弧形に対応する中心角は180度よりも大きく且つ300度未満であり、前記発出面は超音波を反射する能力を有し、前記発出ユニットによって生成された超音波は前記発出面に対応する球心に集束され、
前記治療ベッドは、人体が砕石位で仰臥するためのものであり、前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記人体の骨盤腔部は前記発出面に対応する球心部分に位置し、両脚はそれぞれ前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きを介して前記発出面外に突き出て、胴体上部は前記第3の切り欠きを介して前記発出面外に突き出る
ことを特徴とする骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[2] 前記第1の切り欠きと前記第2の切り欠きの縁が、第1の平面と第2の平面にそれぞれ位置する
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[3] 前記第1の平面と前記第2の平面がいずれも前記主球心面に平行である
ことを特徴とする[2]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[4] 前記第1の平面と前記第2の平面との間の距離が200mm~400mmである
ことを特徴とする[3]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[5] 前記第1の平面と前記主球心面との間の距離が、前記第2の平面と前記主球心面との間の距離と等しい
ことを特徴とする[3]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[6] 前記発出面に対応する球面の直径が420mm~600mmであり、
前記主球心面の両側からそれぞれ100mm~150mmの範囲内において、前記発出面は前記主球心面に平行な断面での円弧形に対応する中心角が180度より大きく且つ300度未満である ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[7] 前記発出面は前記主球心面に平行な任意の断面においていずれも円弧形であり、前記円弧形に対応する中心角は200度より大きく且つ260度未満である
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[8] 前記発出面は、前記主球心面に平行な任意の断面における円弧形の開口の向きが同一であり、且つ前記円弧形に対応する中心角が等しい
ことを特徴とする[7]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[9] 前記発出面は前記主球心面に対して対称的に配置されていることを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[10] 前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第1の領域から発出された超音波が前記人体の腹部を介して骨盤腔部に入り、
前記人体が砕石位で前記治療ベッドに仰臥する時、前記発出面の第2の領域から発出された超音波が前記人体の尾骨と恥骨結合間の領域を介して骨盤腔部に入る
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[11] 前記発出面の第1の領域から前記人体の腹部を経て前記骨盤腔部にイメージング超音波を発射して骨盤腔部画像を形成する第1のBスキャン超音波ヘッド及び/又は、
前記発出面の第2領域から前記人体の会陰を経てイメージング超音波を前記骨盤腔部に発射して骨盤腔部画像を形成するための第2のBスキャン超音波ヘッドをさらに含む
ことを特徴とする[10]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[12] 前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサは別体構造であり、
前記骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器は、前記治療ベッドと前記超音波トランスデューサを接近又は離隔させる移動ユニットをさらに含む
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[13] 前記人体の表面と前記発出面との間に音伝達媒体を保持するための媒体収容ユニットをさらに備える
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[14] 前記超音波トランスデューサが前記治療ベッドに対して移動するように駆動する駆動ユニットをさらに備える
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[15] 骨盤腔部の画像を形成するイメージングユニットをさらに含む
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[16] 前記発出ユニットにより生成された超音波の周波数が0.4MHz~1.5MHzである
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[17] 前記発出ユニットにより生成された超音波の音響パワーが0W~1200Wである
ことを特徴とする[1]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。
[18] 前記発出ユニットにより生成された超音波の音響パワーが0W~800Wである
ことを特徴とする[17]に記載の骨盤腔疾病用体外集束超音波治療機器。