(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】SMAアクチュエータを備えるSIMカード解放機構
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20220121BHJP
G06K 19/00 20060101ALI20220121BHJP
H01R 13/633 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G06K7/00 056
G06K19/00 050
H01R13/633
(21)【出願番号】P 2020540531
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 IB2018059707
(87)【国際公開番号】W WO2019145768
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】102018000001887
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517067202
【氏名又は名称】アクチュエーター・ソリュ―ションズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ケプファー
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/144291(WO,A1)
【文献】特開平8-241758(JP,A)
【文献】特開2004-31238(JP,A)
【文献】特開2004-14456(JP,A)
【文献】特開平8-315086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
G06K 19/00-19/18
H01R 13/633
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスにロックされたSIMカードを解放するための機構であって、
- SIMカードホルダであって、デバイスケース(2)に形成されたアクセス開口部を閉じる外部カバー(1a)で構成された略矩形状のホルダフレーム(1)と、前記デバイスケース(2)へ向けて前記外部カバー(1a)から垂直に延在する2つの脚(1b)と、2つの前記脚(1b)に垂直に接続される内側側部(1c)と、を備え、前記SIMカードホルダは、前記外部カバー(1a)に隣接して位置するSIMカード受け入れ空間SCRSを画定する、SIMカードホルダと、
- 前記外部カバー(1a)が前記デバイスケース(2)の外面と同一平面上にあるように、前記SIMカードホルダを前記電子デバイスの内部にロックして維持する機械的な拘束具と、
- 好ましくは形状記憶合金ワイヤ(10)の形態の、作動時に前記機械的な拘束具を解放する形状記憶合金作動要素と、
- 前記機械的な拘束具が解放された際に前記SIMカードホルダを押し出すための弾性手段と、
を含み、
- 前記機械的な拘束具は、ばね仕掛けであり、
- 前記ホルダフレーム(1)の前記内側側部(1c)は、前記内側側部(1c)の長手方向の収縮を可能にする少なくとも1つのばね状の可撓性部分(9)を有しており、
- 前記形状記憶合金作動要素は、前記ホルダフレーム(1)の2つの前記脚(1b)の間において、好ましくは2つの前記脚(1b)に垂直に、延在しており、
- 前記SIMカード受け入れ空間SCRS内に納められたSIMカードが、前記内側側部(1c)の長手方向の収縮を妨げないように、前記SIMカード受け入れ空間SCRSは、長さ方向または厚さ方向のいずれかにおいて、2つの前記脚(1b)に沿って広がっており、
前記機構はさらに、
- 前記デバイスケース(2)の前記アクセス開口部に隣接して配置された2つの導電性パッド(11)と、
- 2つの前記脚(1b)に沿って前記ホルダフレーム(1)にそれぞれ配置される2つの導電性帯片(12)であって、前記導電性帯片(12)は、前記導電性パッド(11)に対応するポジションにおいて、前記形状記憶合金作動要素の端部と前記外部カバー(1a)の端部部分との間に延在する、導電性帯片(12)と、
を含むことを特徴とする機構。
【請求項2】
ばね仕掛けの前記機械的な拘束具は、好ましくは前記脚(1b)に垂直な、前記脚(1b)の前記端部部分と係合するように、関連するばね(5)によって押圧される一対の相対するロックピン(4)からなり、
前記脚(1b)には、対応するよう形状付けられた受け座(6)が形成されており、
前記ロックピン(4)の係合ポジションは、前記デバイスケース(2)に形成された端部ストッパー(7)によって画定されることを特徴とする請求項
1に記載の機構。
【請求項3】
前記形状記憶合金作動要素は、前記脚(1b)の前記端部部分に形成された前記受け座(6)に対応して配置されることを特徴とする請求項
2に記載の機構。
【請求項4】
前記SIMカードホルダを押し出すための前記弾性手段は、前記脚(1b)と整列された一対の押し出しばね(8)からなることを特徴とする請求項1から請求項
3いずれか一項に記載の機構。
【請求項5】
ガスケット(3)が、前記アクセス開口部の端部の付近にかつ前記導電性パッド(11)に対して外側に設けられており、
前記ガスケット(3)は、前記外部カバー(1a)と協働して、前記アクセス開口部を通って望ましくない物質が通過することを防止するのに適していることを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には携帯電話などの電子デバイスにロックされるSIMカードを解放するための機構に関し、当該機構は、作動要素として少なくとも1つの形状記憶合金(SMA)ワイヤを包含する。以下では、特にSIMカードについて説明するが、当該説明はSDメモリーカードなどの他のタイプのカードに明確に適用できることは明らかである。
【背景技術】
【0002】
SIMカードは、典型的には、SIMカードを受け入れるためのスペースを含む小さな矩形状のフレームであるSIMカードホルダと、片側において、当該ホルダがその受け座にある場合にデバイスケースにおけるアクセス開口部を閉じるカバーと、に保持されることが公知となっている。ホルダは、ばね仕掛けの機械的な拘束具によってデバイスにロックされており、当該拘束具は、ホルダカバーをデバイスケースの表面と同一平面上に維持し、それによってSIMカードはアクセス不可能となり、ホルダをその受け座から引き出すことができなくなる。カードホルダを解放して、カードホルダを引き出すことができるようにカードホルダをデバイスの外へ突き出すために、小さな穴が、ホルダ受け座に隣接して設けられており、当該穴は、拘束具の係合を機械的に解除してばねがホルダを突き出すことができるように、特定のピンまたは小さなペーパークリップの先端の形態の押し出しツールを導入するためのものである。
【0003】
この単純な構成には、穴が存在するため、拘束具解放機構および/またはデバイス全体の作動に非常に有害となり得る湿気、水およびほこりが侵入する可能性があるというさまざまな欠点がある。さらに、ホルダの解放にはかなり大きな力が必要となることがあり、そうした力は、また、拘束具解放機構および/またはデバイスを損傷する可能性があり、ホルダは、押し出しツールが穴に押し込まれひいてはホルダにアクセスするためにデバイスを部分的に取り壊すことが必要となる場合、その受け座にロックされたままとなる可能性がある。
【0004】
この解決法の別の欠点のある側面は、誰でも適切なツールを使用してホルダを解放できるため、盗難に対する防御が提供されないことである。これは、デバイスが盗難された場合、単純にSIMカードを取り換えることによって、別のユーザがデバイスを不正に使用するのを防止する情報が含まれ得る元のSIMカードが容易に取り換えられるため、不正なユーザによって当該デバイスが使用され得ることを意味する。
【0005】
さらにSIMカード自体が盗まれることがあり、それによって盗人が所有者に向けた機密情報、例えば銀行口座にアクセスしかつ/または支払いをするためのワンタイムパスワードを受け取るために、デバイスの正当な所有者を装うことがある。これは明らかに望ましくないため、デバイスの電源を入れずかつ初めにロック解除コード入力プロセスを実行させずに、デバイスからのSIMカードの取り外しを防止する方法が必要とされており、それは、デバイスの正当なユーザのみがデバイスのSIMカードにアクセスできることを保証するのに役立つことができる。
【0006】
特許文献1は、ロックを解除してホルダを押し出すために2つの電磁モーターを使用することによって、これら欠点を克服するSIMカードホルダの押し出し機構を開示するが、それゆえ非常にかさばっておりかつ高価となる。
【0007】
特許文献2は、SIMカードホルダ押し出し機構を開示しており、当該機構では、ホルダをロックするフックがSMAワイヤによって引き込まれ、そのため、より小型でかつより安価な機構が提供される。一般的に言うと、作動要素としてSMAワイヤを使用することは、他の作動システムと比べて、重量、サイズ、消費電力、およびコストの点でさまざまな利点をもたらし、そのため、そうした構成は特許文献1よりも明らかに良い改善策であるが、依然として欠点が存在する。
【0008】
実際に、アクチュエータとして使用されるSMAワイヤは、フックを効率的に引き込むのに十分な長さとなるように、ホルダ受け座の3つの内側側部に沿って延在している。これは、SMAワイヤが、丸みのある角部材に形成された溝を通過する2つの角で方向転換する必要があることを意味しており、それは、角部材が丸みのある形状であるにもかかわらず、機構をある程度かさばったものとし、またワイヤの応力点を構成するため、当該機構の信頼性に良くない影響を及ぼす。
【0009】
別の欠点は、SMAワイヤがデバイスの内部に取り付けられ、かつデバイスのプリント回路基板(PCB)のパッドにはんだ付けされた2つの接点を介して電力供給されるという事実により、もたらされる。これは、PCBは製造がより複雑でありかつ費用がかかること、およびSMAワイヤはデバイス内部の非常に小さなスペースに配置されているために電源を切った後の冷却にかなり長い時間がかかることを意味する。さらに、デバイスが高温環境に保持されることが原因となり、SMAワイヤの作動が非常に高い温度で開始した場合、SMAワイヤの過熱が発生することがあり、それによってSMAワイヤの事前設定されたアクティブ化時間は、当該SMAワイヤの最終的な温度を過剰にする。
【0010】
特許文献3は、類似しているがさらに複雑なメモリカードホルダ押し出し機構を開示しており、当該機構では、旋回アームがばね仕掛けの押し出しプレートに係合するよう動くように、ホルダをロックするピンがSMAワイヤによって後退される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8553419号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0018041号明細書
【文献】国際公開第96/18224号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そのため、本発明の目的は、公知の技術において依然として存在する欠点を克服するSMAアクチュエータを備えたSIMカード解放機構を提供することである。この目的は、請求項1に記載の特徴を有する機構によって達成され、一方で他の有利な付加的な特徴は従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の機構の主な利点は、以下の理由により、それらの欠点を回避すると同時に、従来技術の機構の便利な特徴の組み合わせを包含する:
- 当該機構は、アクチュエータとして、より短くかつ直線的なSMAワイヤを使用し、それによって、特許文献2で利用されている丸みのある角部材が省略されるため、より高い信頼性をもたらし、かつ当該機構のサイズをより小さくする;
- SMAワイヤはホルダに取り付けられており、それゆえホルダとともにデバイスから取り出されるため、SMAワイヤは、電源を切った後に冷却するために短い時間しか必要としない;
- 当該機構は、低コストのFETと、ホルダ受け座へのアクセス開口部に隣接して配置される2つの導電性パッドと、を介してSMAワイヤに簡単に電気接続されており、当該パッドは、ホルダが適所にロックされる場合に、ホルダに取り付けられかつSMAワイヤの端部に接続される2つの導電性帯片と接続される;
- カードホルダがデバイスケースに対して移動されるとすぐに導電性パッドと導電性帯片との接続が解除されるため、ホルダが解放されて押し出しばねによって突き出された場合すぐにSMAワイヤへの電力が遮断されるので、SMAワイヤの事前設定されたアクティブ化時間が存在しないため、当該機構は、環境温度に関係なく過熱するリスクを防ぐ。
【0014】
本発明に基づく機構のこれら利点および特性ならびに他の利点および特性は、別紙の図面を参照するその実施形態についての以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ホルダがロック状態にありかつSIMカードを保持する、本発明に基づく機構の概略正面図である。
【
図2】ホルダを解放するよう作動された機構の
図1と同様の図である。
【
図3】ホルダが解放状態になされた機構の
図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述の図面において、要素の寸法および寸法比は、正確でない場合があり、場合によっては、図の理解をより良くするために例えばSMAワイヤの寸法に関連して変更されている。
【0017】
これら図面は本発明に基づく機構を示しており、当該機構は上述のように慣習的にSIMカードホルダを含んでおり、SIMカードホルダは、デバイスケース2内に形成されたアクセス開口部を閉じる外部カバー1aで構成される略矩形状のフレーム1と、カバー1aからデバイスケース2へ向けて垂直に延在する2つの脚1bと、2つの脚1bと垂直に接続する内側側部1cと、を備えており、ホルダは、カバー1aに隣接して位置されるSIMカード受け入れ空間SCRSを画定し、当該SIMカード受け入れ空間SCRS内にSIMカードが納められる。
【0018】
強調すべきことに、直角/垂直との用語は、「本質的な用語」であると解釈されるべきであり、つまり本発明に基づく機構においては仮想上の垂直状態から少し逸脱することもあり、より具体的には受け入れ可能な許容誤差は典型的には±5°の範囲内にあり、すなわち形成される角度は85°から95°の間に含まれる。
【0019】
ガスケット3が、外部カバー1aと協働して(水やほこりなどの)望ましくない物質がアクセス開口部を通過することを防止するように、アクセス開口部に近接して設けられている。
【0020】
ホルダは、ホルダカバー1aをデバイスケース2の外面と同一平面上にあるように維持するばね仕掛けの機械的な拘束具によってデバイスにロックされる。より具体的には、図示された実施形態においては、そうした拘束具は、丸みのある先端部を備える一対の相対するロックピン4から構成され、丸みのある先端部は、好ましくは脚1bに垂直状態で脚1bの端部部分と係合するように、関連するばね5によって押圧され、当該脚1bには、対応するように形状付けられた受け座6が形成されている。ロックピン4の係合ポジションは、デバイスケースに形成される端部ストッパー7によって画定され、当該ポジションにおいて、ピン4は、ばね5がこれらピン4をさらにホルダフレーム1へ向けて押圧不可能となるように、当接した状態となる。
【0021】
機械的な拘束具が解放された際のホルダの取り出しは、バランスの取れた押圧を実現するために、好ましくは脚1bと整列された一対の取り出しばね8から構成される弾性手段によって提供されるが、これら取り出しばね8を異なる様式で配置することができかつ/または単一のばね8を好ましくは中心ポジションで使用することもできる。同様に、ピン4およびばね5を異なる様式で配置することができ、かつ/または単一ピンとばねとの組み合わせを使用することもできる。
【0022】
機械的な拘束具の解放は、好ましくはSMAワイヤ10の形態のSMA作動要素の活性化によって達成されるが、帯片などの別の形態のSMAアクチュエータも可能である。
【0023】
上述の様式化された構造は、本発明を特徴付ける以下の新規で独創的な特徴をさらに設けられており:
- SIMカード受け入れ空間SCRSは、脚1bの長さのほんの一部のみ、好ましくは脚1bの長さの約2分の1を占めるように、脚1bに沿ってすなわち長さ方向において広がっており、これに対して代替実施形態(図示せず)では、SIMカード受け入れ空間SCRSは、実質的に脚1bの長さ全体に沿って広がっているが、フレーム1の平面に垂直な方向つまり厚さ方向において脚1bに対して異なる平面上で広がっている;
- ホルダフレーム1の内側側部1cは少なくとも1つのばね状のフレキシブル部分9を有しており、フレキシブル部分9は、側部1cの長手方向の収縮を可能にする、つまり2つの脚1bは、
図1に図示されるロック状態に関連して互いに近接するように移動可能である。
- SMAワイヤ10は、2つの脚1bの間において、好ましくは2つの脚1bに対して直角状態でかつ端部受け座6に対応するように、に延在する;
- 2つの導電性パッド11が、ガスケット3に対して内側において、デバイスケース2のアクセス開口部に隣接して配置されている;
- 2つの導電性帯片12が、2つの脚1bのそれぞれに沿ってホルダフレーム1に配置されており、これら帯片12は、SMAワイヤ10の端部と、外部カバー1aのうち導電性パッド11に対応するポジションにおける端部部分との間に延在する。
【0024】
SMAワイヤ10を破損から保護するために、SMAワイヤ10は、2%の収縮を可能にするフレキシブルな接着剤によって、SIMカードホルダに接続できかつシールできる。
【0025】
本発明に基づく機構の単純かつ効果的な作動は、上述の説明から容易に理解されよう。
【0026】
図1のロック状態から出発して、デバイスが電源を入れられてロックが解除された状況で、SIMカードを解放するために、ユーザは、デバイス上で稼働するアプリケーションを開き(あるいは特許文献2で詳細に説明されるようにセットアップメニューなどに従って)、特定のコマンドを送る。このコマンドは、導電性帯片12と接触する導電性パッド11に電流を供給するよう短エネルギーパルスをもたらし、それによってSMAワイヤ10へ電流が流れる。
【0027】
図2に示されるように、SMAワイヤ10を通る電流の通過は、SMAワイヤ10を加熱して、その遷移温度へ到達した時に収縮させる。こうしたワイヤ10の収縮は、そのフレキシブル部分9において内側側部1cの収縮も引き起こし、それによって脚1bは、脚1bのうちSIMカード受け入れ空間SCRSを越えて延在する内側半分において、互いに近接するよう内側へ引っ張られる。結果的に、これら脚1bの端部受け座6はロックピン4から外れ、当該ロックピン4は、ストッパー7に接触したままとなる。
【0028】
したがって、留意すべきことに、本発明において、SMAワイヤはフック部材つまりロックピン4に作用せず、むしろロックピン4が係合するホルダ要素つまり受け座6に作用し、それによって上記機構は、特許文献2に開示される機構とは反対の方法で作動する。
【0029】
こうした状況で、取り出しばね8は、ホルダをデバイスケース2の外側へ押し出すことができ、そのため、SMAワイヤ10がすでに冷却されてホルダフレーム1がその変形されていないリセット形状を呈する
図3に示されるように、SIMカードの解放を達成できる。SMAワイヤ10がすでに必要な収縮を成し遂げており、そのためワイヤが過熱する危険性を効率的に抑えるため、ばね8がホルダを押し始めるとすぐに、パッド11と帯片12との接触が中断されることにも留意されたい。
【0030】
SIMカードホルダは、ピン4が受け座6と係合するよう跳ね返るまでばね5の抵抗力に打ち勝つべく脚1bの端部が丸みのあるロックピン4を横に押しのけるように、単純にSIMカードホルダをデバイスケース2内のその受け座へ向けて手動で押し戻すことによって、
図1のロック状態に復帰できる。明らかなことに、脚1bの端部と、ピン4の先端と、受け座6とは、この動作と解放動作とを容易にするような形状になされており、そのため、図面に図示される形状と異なる他の形状を選択することもできる(互いにスライドする2つの接触面が得られるように、例えばピン4は三角形状先端を備え、受け座6は三角形状凹部を備え、かつ脚1bはピン4の先端の傾斜に一致する斜めの端部を備える)。
【0031】
上述の代替的な実施形態は明確に同じ方法で作動するが、SIMカード受け入れ空間SCRSが実質的に脚1bの長さ全体に沿うが厚さ方向においては異なる平面上に延在しているため、ホルダは、それによってSIMカード受け入れ空間SCRS内に収められたSIMカードが内側側部1cの収縮を妨げないように、より短くかつより厚みがある点においてのみ異なっている。これによって、設計者は、デバイスケース内の幾何学的な収縮に基づいて、より長くかつより薄い、またはより短くより厚みのあるものを選択可能にする。
【0032】
本発明に基づく機構は、特定のタイプのSMAワイヤに限定されず、ジュール効果によって達成される任意のSMAワイヤを役立つように使用することもできる。それでもやはり、20μmから150μmの範囲の直径を有し、かつさまざまな供給元から市販されているニチノールの名称で当分野で幅広く知られているNi-Ti合金で作られるSMAワイヤを使用することが好ましく、例えばそうしたワイヤは、SAES Getters S.p.A.によりSmartflexの商品名で販売されており、50μmワイヤが特に優先して使用される。
【符号の説明】
【0033】
1 略矩形状のフレーム
1a 外部カバー
1b 脚
1c 内側側部
2 デバイスケース
3 ガスケット
4 ロックピン
5 機械的な拘束具
6 受け座
7 ストッパー
8 ばね
9 フレキシブル部分
10 形状記憶合金ワイヤ
11 導電性パッド
12 帯片