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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】クランプ
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20220121BHJP
   F16L 23/04 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
F16B2/10 D
F16B2/10 B
F16L23/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020555403
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2019058440
(87)【国際公開番号】W WO2019206590
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】1806906.2
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517329052
【氏名又は名称】バイオ ピュア テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シリトー クリス
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ニック
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0227221(US,A1)
【文献】特開2016-186314(JP,A)
【文献】実公昭38-004638(JP,Y1)
【文献】特開平11-241793(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02065628(EP,A2)
【文献】英国特許出願公開第02549564(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00- 2/26
F16L 23/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプであって、
第1の弧状部分と、
ヒンジを介して前記第1の弧状部分に接続された第2の弧状部分と、
前記第1および第2の弧状部分を閉位置にロックするためのラチェット機構と、
を含み、
前記第1および第2の弧状部分は各々、溝の開口部から溝の基部に向かって半径方向に先細になる円周方向の溝を含み、
前記第1および第2の弧状部分のうちの1つの前記溝は、180度を超える角度範囲を有し、当該1つの前記溝は、前記溝の円周方向における両端間の中間の位置よりも前記溝の両端の位置でより狭い幅の開口部を有する、クランプ。
【請求項2】
前記溝の基部は、前記溝の円周方向における両端間で一定の幅を有する、請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記溝の開口部は、前記溝の円周方向における両端間の中間の位置で最も広い、請求項1または2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記ラチェット機構は、前記第2の弧状部分を備えた線形ラックと、前記第1の弧状部分を備えた、前記線形ラックを受け入れるための爪と、を含み、
前記線形ラックは、1つまたは複数の非対称の歯を含み、前記爪は、前記線形ラックの歯と係合するように構成された指を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、しかし排他的にでなく、バイオテクノロジー、製薬および食品産業で使用するためのフランジ付きチューブまたはコネクタを接続するためのクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
無菌状態を維持するために、搬送される流体を外部環境から隔離する必要があるバイオテクノロジー、製薬および食品産業では、衛生器具間を迅速かつ効果的に液密接続する機能が特に重要である。
【0003】
例えば、トライクランプフィッティングを使用して、各々がホースに挿入されている一対のホーステールフィッティングを接続することができる。トライクランプフィッティングは、一般に、互いにヒンジで接続された2つの半円形部分で構成される。半円形部分のうちの1つの自由端は、半円形部分に対して旋回することができるボルト上に配置された蝶ナットを含む。他の半円形部分は、ボルトを受け入れるスロットを規定する二叉分岐部分を含む。蝶ナットは、クランプを閉位置にロックするように、二叉分岐部分と係合するように引っ張ることができる。半円形部分は、概してそれらの間にガスケットを有するホーステールフィッティングのフランジをシール係合に引き込むための内向きの先細りの溝を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、クランプであって、第1の弧状部分と、ヒンジを介して第1の弧状部分に接続された第2の弧状部分と、第1および第2の弧状部分を閉位置にロックするためのラチェット機構と、を含み、第1および第2の弧状部分は各々、溝の開口部から溝の基部に向かって半径方向に先細になる円周方向の溝を含み、第1および第2の弧状部分のうちの1つの溝は、180度を超える角度範囲を有し、両端間の位置よりも溝の両端でより狭い幅の開口部を有する、クランプが提供される。
【0005】
溝の基部は、対向する端部間で一定の幅を有してもよい。
【0006】
溝の開口部は、対向する端部間の中間で最も広くてもよい。
【0007】
ラチェット機構は、第2の弧状部分を備えた線形ラックと、第1の弧状部分を備えた、線形ラックを受け入れるための爪と、を含んでもよい。形ラックは、1つまたは複数の非対称の歯を含んでよく、前記爪は、前記線形ラックの歯と係合するように構成された指を含んでもよい。
【0008】
クランプは、強化ポリマー材料から形成されてもよい。
【0009】
本発明をよりよく理解し、それがどのように実施され得るかをより明確に示すために、ここで、例として、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、開位置にある本発明の実施形態によるクランプの斜視図である。
図2図2は、閉位置にある図1のクランプの側面図である。
図3図3は、クランプの下部の斜視図である。
図4図4は、使用中のクランプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2は、本発明の実施形態によるクランプ2を示す。クランプ2は、第1の下部弧状部分4aおよび第2の上部弧状部分4bを備える。
【0012】
第1および第2の弧状部分(弓形部分)4a、4bは、互いにヒンジで接続されている。具体的には、第1の弧状部分4aは、互いに横方向に間隔を置いて配置された一対のヒンジアーム6a、6bを備える。ヒンジアーム6a、6bは弧状であり、180°よりわずかに大きい範囲を有する。したがって、ヒンジアーム6a、6bは、凹部を規定する。
【0013】
第2の弧状部分4bは、ヒンジローブ8を備える。円筒形のスタブシャフト10a、10bは、ヒンジローブ8の各側面から突出している。スタブシャフト10a、10bは、スナップフィット接続を形成するために、ヒンジアーム6a、6bによって規定される凹部内に受け入れられるようなサイズになっている。したがって、第1および第2の弧状部分4a、4bは、図1に示されるような閉位置と、図2に示されるような開位置との間で回転することができる。
【0014】
ヒンジローブ8の放射状の端面は、ヒンジローブ8の周りに互いに角度的に間隔を置いて配置された一対の戻り止め突起12a、12bを備える。戻り止め突起12a、12b(一方の突起、突起12aのみが図1に見え、他方は第1の弧状部分4aの後ろに隠されている)は、第1の弧状部分4aのエッジ14とインターフェースする。具体的には、クランプ2を開くとき、戻り止め突起12aは、図3に最もよく示されるように、戻り止め突起12a、12bがエッジ14にまたがるように、エッジ14上に強制されなければならない。この位置では、戻り止め突起12aはクランプ2が閉じるのを防ぎ、戻り止め突起12bはクランプ2がそれ以上開くのを防ぐ。したがって、戻り止め突起12a、12bは、クランプを開位置に保持して、使用の容易さを改善する。しかしながら、クランプ2は、エッジ14を越えて戻り止め突起12bを強制するのに十分な力を加えることによって、第2の弧状部分4bを第1の弧状部分4aから切り離すために、スタブシャフト10a、10bをヒンジアーム6a、6bから解放するためにさらに開くことができる。同様に、エッジ14を越えて戻り止め突起12aを強制するのに十分な力を加えることによって、クランプを閉じることができる。戻り止め突起12a、12bは、クランプ2の変形を通してエッジ14を通過することができる。例えば、変形は、戻り止め突起12a、12b、エッジ14、スタブシャフト10a、10b、およびヒンジアーム6a、6bのうちの1つまたは複数で発生し得る。戻り止め突起12a、12bの変形が付勢機構の変形によって可能になるように、戻り止め突起12a、12bは、ばねなどの付勢機構によって移動可能で、外側に付勢されてもよい。
【0015】
第1および第2の弧状部分4a、4bの遠位の自由端は、クランプ2を閉位置にロックするためのラチェット機構を備える。具体的には、第2の弧状部分4bは、第2の弧状部分4bから実質的に円周方向に突出する舌部18(ラック)を備える。舌部18は、各々が1つまたは複数の歯を備えている対向する側面20a、20bを備える。
【0016】
第1の弧状部分4aは、舌部18を受け入れる受容部分22を備える。受容部分22は、クランプ2のいずれかの側面にある爪部分34a、34bによって規定される。爪部分34a、34bは、それらの下端でのみ接続されている。したがって、爪部分34a、34bは片持ち梁であり、それらの下端を中心に旋回することができる。解放タブ50a、50bは、各爪部分34a、34bから垂直に突出している。
【0017】
爪部分34a、34bの各々は、爪部分34a、34bのヒンジ付き端部から離間された一対の指36a、36b(図1では一対の指36bのみが見える;他の実施形態では1本の指のみを使用できる)を備える。指36a、36bは、それぞれ、舌部18の対向する側面20a、20bの歯と係合するように構成される。
【0018】
舌部18は、ヒンジ周りに第2の弧状部分4bの回転中に歯が指36a、36bと平行に保たれるように、その長さに沿って湾曲している。
【0019】
指36a、36bの各対は、第1の上指および第2の下指を形成する。第1の指は第2の指よりも大きくてもよい。第1の指は、主にクランプが閉じているときに使用され得る。第2の指は、舌部18と係合し、クランプが圧力下にあるときに接触面積を増加させるために使用される。これにより、2本の指の間で負荷が効果的に分散され、万一、第1の指が滑った場合のバックアップとして機能する。両方の指を一緒に結合するために、両方の指の間の最も内側の縁にリブを設けることができる。このリブは両方の指を補強し、オートクレーブ処理後の加圧中の変形を防ぐ。指36a、36bの間のリブを受け入れるために、対応するスロットを舌部18に設けてもよい。
【0020】
垂直方向の力が解放タブ50a、50bに加えられると、爪部分34a、34bが舌部18から離れるように移動するように、爪部分34a、34bは、クランクされている。これにより、クランプを開くのに必要な力が軽減される。
【0021】
爪部分34a、34bの動きを制限するために、一対のタブストップ54a、54bが設けられる。タブストップ54a、54bは、それぞれ解放タブ50a、50bの下に配置され、クランプ2を開くためにそれらが引き下げられるときに、解放タブ50a、50bに接触する。したがって、タブストップ54a、54bは、爪部分34a、34bが過度に開かれ、さもなければそれらを永久的に変形させる可能性があることを防止する。タブストップ54a、54bはまた、ユーザが解放タブ50a、50bの下に指を置くことを防止し、したがって、クランプを開く正しい方法をユーザに伝えるという二次的な目的を果たす。
【0022】
図1に示されるように、舌部18の放射状の端面は、爪部分34a、34bの間に見える、その長さに沿った目盛りまたは他のしるしを含み得、したがって、受容部分22内の舌部18の位置、したがって弧状部分4a、4bの相対位置の指標を提供する。したがって、目盛りを使用して、クランプ2が十分に閉じていることを確認できる。爪部分34a、34bは、舌部18上の目盛りの相対位置を定義するために使用される矢印などの参照標識を備えていてもよい。
【0023】
第1および第2の弧状部分4a、4bは各々、実質的に半円形の(円周方向)溝16a、16bを備える。溝16a、16bの側壁は、溝の幅がその開口部からその基部まで半径方向に先細になるように(すなわち、溝が小さい半径よりも大きい半径で狭くなるように)、互いに対して角度が付けられている。図2に示す閉位置では、第1および第2の弧状部分4a、4bの半円形溝16a、16bが合流して、実質的に連続した円形チャネルを形成する。
【0024】
図3は、下側の弧状部分4aを単独で示している。溝16aの基部(すなわち、溝16aの半径方向外側の範囲)は、溝の長さに沿って一定の幅を有することができるが、溝への開口部の幅(その半径方向内側の範囲、すなわち、溝16aの最も広い部分)溝16a)は、その長さに沿って変化し得る。具体的には、図3に示すように、溝16aの開口部は、ヒンジ端部に隣接する(すなわち、ヒンジアーム6a、6bの近くの)溝16aの第1の端部に第1の幅wを有し得、ラチェット端部に隣接して(すなわち、受容部分22の近くで)第1の端部の反対側にある溝16aの第2の端部に第2の幅wを有し得、および溝16aの第1の端部と第2の端部との間の中間の溝の中央に第3の幅wを有し得る。第3の幅wは、第1の幅wおよび第2の幅wよりも大きい。第1の幅wと第2の幅wとは同じであってもよい。したがって、溝への開口部の幅は、ヒンジに隣接する第1の端部から溝16aの中点に向かって増加し、次いで、ラチェット機構に隣接する第2の端部に向かって幅が減少する。
【0025】
図4に示されるように、クランプ2は、ホースの2つのセクションを一緒に結合するために使用される一対のホーステールフィッティング40a、40bを接続するために使用され得る。テールフィッティング40a、40bは、ホースに挿入されるバーブ42a、42bおよびフランジ44a、44bを備える。
【0026】
使用中、クランプ2が図2に示される開位置にある状態で、フランジ44a、44bは、ガスケットシール46が間に配置された第1の弧状部分4aの半円形溝16aに受け入れられる。図示されるように、フランジ44a、44bの対向する表面は、ガスケットシール46を受け入れるための円形の溝を備えていてもよい。次に、クランプ2は、第2の弧状部分4bがフランジ44a、44bを越えて受け入れられるように閉じられる。この閉位置では、舌部18は受容部分22に受容され、舌部18の歯は、爪要素28の指36a、36bと係合する。
【0027】
舌部18の歯は、舌部18が受容部分22に挿入されるにつれて指36a、36bが歯の上に乗るが、舌部18が受容部分22から引っ込められる場合に歯と係合するように、非対称である。したがって、第1および第2の弧状部分4a、4bは、歯が指36a、36bを徐々に通過するように一緒に圧搾することができる。溝16a、16bの先細りの形状のために、この作用により、フランジ44a、44bが互いに向かって強制され、それらの間に配置されたガスケットシール46を圧縮する。したがって、クランプ2は、テールフィッティング40a、40bとの間に液密シールを提供することができ、ラチェット機構は、第1および第2の弧状部材4a、4bが所望の圧縮レベルで閉位置に保持されることを確実にする。
【0028】
図2に示されるように、下部弧状部分4aは、実際には、180度を超える角度範囲を有する。換言すれば、第1および第2の弧状部分4a、4bは等しく半分ではなく、第1の弧状部分4aは192度を超えて延びる。これにより、クランプする前にコンポーネントを保持できる。
【0029】
前述のように、溝16aへの開口部は、両端部よりも中央部の方が広い。溝16aの対向する端部は、典型的には、それらがクランプ2に組み立てられるときにフィッティング40a、40bのフランジ44a、44bとの最初の接触領域である。逆に、それらは、フランジ44a、44bがクランプ2から取り外される(または逃げる)ときの最後の接触領域である。両端の開口部の幅が狭い溝16aを採用することにより(180度を超える角度範囲と組み合わせて)、フィッティング40a、40bのより良好な保持が提供される。これは、下部弧状部分4a自体が、2つのフィッティングおよび圧縮ガスケットシールを分解することなくその溝に保持できることを意味する。この特徴は、組み立て作業者が手を離して別のタスク(例えば、クランプを閉じる)を実行できるので、非常に便利である。
【0030】
上記の溝16aのプロファイルは、上部弧状部分4bの溝16bにも使用できることが理解されよう。溝の両端は狭くなっているが、溝の最も広い点が両端の中間にある必要はない。溝の開口部の幅は、中心から端に向かって滑らかに減少するか、または代わりに、一定の幅の中央セクションと、中央セクションの両側に、それらの間の遷移を伴うより狭い幅を有する2つのセクションとを含み得る。
【0031】
上記の溝16aの形状は、上記のものとは異なるラチェット機構およびヒンジ構造を有するクランプとともに使用することができる。
【0032】
明細書における不必要な労力の重複およびテキストの繰り返しを回避するために、本発明の1つまたはいくつかの態様または実施形態のみに関連して特定の特徴が説明されている。しかしながら、技術的に可能である場合、本発明の任意の態様または実施形態に関連して記載された特徴は、本発明の他の任意の態様または実施形態とともに使用することもできることを理解されたい。
【0033】
第1および第2の弧状部分は半円形である必要はなく、追加の(弧状または非弧状)部分を第1および第2の弧状部分の間に配置することができることが理解されよう。したがって、第2の弧状部分は、1つまたは複数の追加部分を介して第1の弧状部分にヒンジで接続することができる。
【0034】
本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正または適合させることができる。
図1
図2
図3
図4