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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】積層体パレット一体品、及びパレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/48 20060101AFI20220124BHJP
   B65D 19/44 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B65D85/48
B65D19/44 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018134407
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020011748
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 豊英
(72)【発明者】
【氏名】大藤 正直
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/102117(WO,A1)
【文献】特開2011-126724(JP,A)
【文献】国際公開第2009/008413(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/095643(WO,A1)
【文献】特開2013-126877(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0438921(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/48
B65D 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラス板と保護シートとが交互に積層された状態の積層体と、前記積層体を縦姿勢で保持可能であるパレットとを備えた積層体パレット一体品であって、
前記パレットは、前記縦姿勢の前記積層体の背面側を支持する支持面を形成する背面部を有し、
前記支持面は、前記ガラス板と対向する第一対向領域と、前記保護シートのうち前記ガラス板から食み出した部分と対向する第二対向領域とを有し、
前記第二対向領域に、押込みが可能な変化面が設けられ
前記変化面は、前記押込みに応じて移動することを特徴とする積層体パレット一体品。
【請求項2】
前記変化面は板状部材で形成され、前記板状部材は前記支持面と平行な軸まわりに傾動可能に構成されている請求項に記載の積層体パレット一体品。
【請求項3】
前記板状部材は、前記押込みに抗する向きに付勢されている請求項に記載の積層体パレット一体品。
【請求項4】
前記変化面が、金属で形成されている請求項1~の何れか一項に記載の積層体パレット一体品。
【請求項5】
前記変化面が、前記第一対向領域の上方に位置する請求項1~の何れか一項に記載の積層体パレット一体品。
【請求項6】
前記変化面が、矩形状であり、長手方向に分割されている請求項1~の何れか一項に記載の積層体パレット一体品。
【請求項7】
複数のガラス板と保護シートとが交互に積層された状態の積層体を縦姿勢で保持可能であるパレットであって、
前記縦姿勢の前記積層体の背面側を支持する支持面を形成する背面部を備え、
前記支持面は、前記ガラス板と対向する第一対向領域と、前記保護シートのうち前記ガラス板から食み出した部分と対向する第二対向領域とを有し、
前記第二対向領域には、押込みが可能な変化面が設けられ
前記変化面は、前記押込みに応じて移動することを特徴とするパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体パレット一体品、及びパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の大型化及び薄肉化に伴い、ガラス基板の梱包に際しては、ガラス基板を縦姿勢で積層した状態で行う場合がある。また、ガラス基板を縦姿勢で積層した状態で梱包するためのパレットとしては、複数のガラス基板を縦姿勢で積層してなる積層体の底辺を支持する底辺支持部と、積層体の背面を支持する背面支持部と、背面支持部と積層体との間に配設される緩衝板とを備えたものが公知である(例えば、特許文献1を参照)。なお、本明細書において、縦姿勢は、ガラス基板の表面が鉛直面と平行な垂直姿勢と、ガラス基板の表面が鉛直面に対して傾斜した傾斜姿勢を含むものとする。
【0003】
また、この種の積層体は、上記構成のパレット上で梱包された状態で、ガラスメーカーから例えばパネルメーカーなどに納入された後、アンパッカー装置と呼ばれる開梱装置で、パレット上からガラス基板を取出す方式が主流になっている。この際、アンパッカー装置としては、ガラス基板を真空吸着するための吸着パッドと、ガラス基板の間に介在する合紙を真空吸着するための吸着パッドとを具備したものがある(何れも、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-63274号公報
【文献】特開2011-98395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように、吸着パッドを具備したアンパッカー装置を用いて、パレット上からガラス基板を取出す場合、合紙をガラス基板上から移動させ、排出する作業が必要となる。この際、合紙の排出作業は、合紙のうちガラス基板から食み出した部分を吸着パッドで吸着して保持する動作と、保持した合紙をパレット上から退避させる動作とに大別できる。このうち、合紙を吸着保持する動作については、例えば特許文献2に記載のように、吸着パッドを押込んだときの合紙の背面側への倒れ込みを想定して、ガラス基板の積層方向に対して垂直な向きよりも斜め上方から吸着パッドを接近させる動作を採ることがある。しかしながら、この方法では、合紙及びガラス基板が残り少なくなると、合紙と背面支持部(あるいは緩衝板)までの距離が近くなるため、それまでよりも吸着パッドを押込んだ際の合紙の倒れ込み角度が小さくなる。これでは、吸着パッドの押込み角度と、合紙の倒れ込み角度とにずれが生じ、吸着パッドが合紙に対して部分的に接触することになるため、合紙を安定して吸着保持することが難しい。
【0006】
また、合紙及びガラス基板が残り少なくなると、吸着パッドによって合紙が背面支持部に強く押し付けられた状態で、吸着パッドをパレットの背面支持部に沿って斜め上方に移動させることになるため、吸着パッドで保持した合紙をパレット上から退避させると、背面支持部と合紙に作用する摩擦抵抗の増加によって合紙が吸着パッドから外れて落下するおそれが生じる。
【0007】
以上の事情に鑑み、パレット上の積層体から合紙などの保護シートを排出するに当たって、保護シートが残り少なくなった場合においても、保護シートを安定して吸着保持できるようにすることを、解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題の解決は、本発明に係る積層体パレット一体品により達成される。すなわち、この一体品は、複数のガラス板と保護シートとが交互に積層された状態の積層体と、積層体を縦姿勢で保持可能であるパレットとを備えた積層体パレット一体品であって、パレットは、縦姿勢の積層体の背面側を支持する支持面を形成する背面部を有し、支持面は、ガラス板と対向する第一対向領域と、保護シートのうちガラス板から食み出した部分と対向する第二対向領域とを有し、第二対向領域に、押込みが可能な変化面が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0009】
このように、本発明に係る積層体パレット一体品では、ガラス板と保護シートとを縦姿勢で交互に積層した状態の積層体の背面を支持する支持面のうち、ガラス板から食み出した保護シートと対向する領域(第二対向領域)に、押込みが可能な変化面を設けた。上記構成によれば、保護シート及びガラス板が残り少なくなると、吸着パッドによって保護シートと共に変化面が押し込まれることから、保護シートを必要十分な量だけ倒れ込ませることができる。従って、保護シートと吸着パッドとの接触状態を安定させて、確実に保護シートを吸着保持することが可能となる。また、保護シートと共に変化面が押し込まれることにより、保護シートに作用する摩擦抵抗を軽減できるので、吸着パッドから保護シートが外れて落下するのを防止できる。
【0010】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が、押込みに応じて変形してもよい。
【0011】
このように変化面を、例えばゴムやスポンジといった弾性体で形成し、押込みに応じて変形するように構成することによって、吸着パッドの押込みに応じて保護シートを必要十分な量だけ確実に倒れ込ませることができると共に、保護シートに作用する摩擦抵抗を確実に軽減できる。
【0012】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が、押込みに応じて移動してもよい。
【0013】
このように変化面を、押込みに応じて移動するように構成することによって、吸着パッドの押込みに応じて保護シートを必要十分な量だけ確実に倒れ込ませることができると共に、保護シートに作用する摩擦抵抗を確実に軽減できる。
【0014】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が板状部材で形成され、板状部材は支持面と平行な軸まわりに傾動可能に構成されてもよい。
【0015】
このように、変化面を板状部材で形成すれば、押込んだ際の保護シートの形状が安定する。例えば板状部材の表面を平坦形状にすることで、押込んだ際の保護シートの形状が略平坦形状で安定する。よって、保護シートを吸着パッド等により安定して吸着保持することが可能となる。また、上記構成によれば、比較的容易に変化面を第二対向領域に設けることができる。よって、パレットの改良も必要最小限で済み、低コストに本技術課題の解決を図ることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、板状部材が、押込みに抗する向きに付勢されてもよい。
【0017】
上述のように板状部材を構成することで、押込みが解消されるのに伴い、板状部材を自動的に押込み前の位置又は姿勢に復帰させることができる。また、板状部材を付勢するだけであれば、非常に簡素な構成で済むため、パレットの改良コストも抑えられる。
【0018】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が、金属で形成されてもよい。
【0019】
このように、変化面を金属で形成することによって、ゴムやスポンジよりも摩擦抵抗を軽減することができ、変化面の耐久性も良好である。このため、長期にわたって変化面を有するパレットを使用することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が、第一対向領域の上方に位置してもよい。
【0021】
変化面を第一対向領域の上方に設けることで、例えば保護シートを吸着保持した状態から持ち上げてパレット外に排出する場合に、当該変化面が有効に作用する。すなわち、パレットの周囲に比べて上方は作業スペースを確保し易いため、第一対向領域の上方に変化面を設けることで、作業スペースの面で効率よく開梱作業を行うことができると共に、その際の保護シートの排出を円滑に実施することが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る積層体パレット一体品においては、変化面が、矩形状であり、長手方向に分割されてもよい。
【0023】
吸着パッド等による保護シートの吸着保持位置(押込んだ状態の位置)は予め所定の位置に設定されているのに対し、パレット上に搭載される積層体の位置、寸法は製品ごとに少なからず相違する。そのため、矩形状の変化面の長手方向(例えば水平方向)に沿って並べた吸着パッドを一律で同じ位置で保護シートに向けて押込んだ際、その押込み量は長手方向で異なる場合がある。これに対して、本構成のように、変化面を長手方向で分割することにより、例えば変化面を板状部材で形成している場合であっても、長手方向で変化面の押込み度合い(この場合、板状部材の傾動度合い)を板状部材ごとに異ならせて、押込み量の長手方向でのばらつきを吸収することができる。
【0024】
また、前記課題の解決は、本発明に係るパレットによっても達成される。すなわち、このパレットは、複数のガラス板と保護シートとが交互に積層された状態の積層体を縦姿勢で保持可能であるパレットであって、縦姿勢の積層体の背面側を支持する支持面を形成する背面部を備え、支持面は、ガラス板と対向する第一対向領域と、保護シートのうちガラス板から食み出した部分と対向する第二対向領域とを有し、第二対向領域には、押込みが可能な変化面が設けられている点をもって特徴付けられる。
【0025】
このように、本発明に係るパレットにおいても、ガラス板と保護シートとを縦姿勢で交互に積層した状態の積層体の背面を支持する支持面のうち、ガラス板から食み出した保護シートと対向する領域(第二対向領域)に、押込みが可能な変化面を設けた。そのため、上記構成によれば、本発明に係る一体品と同様、保護シート及びガラス板が残り少なくなると、吸着パッドによって保護シートと共に変化面が押し込まれることから、保護シートを必要十分な量だけ倒れ込ませることができる。従って、保護シートと吸着パッドとの接触状態を安定させて、確実に保護シートを吸着保持することが可能となる。また、保護シートと共に変化面が押し込まれることにより、保護シートに作用する摩擦抵抗を軽減できるので、吸着パッドから保護シートが外れて落下するのを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
以上に述べたように、本発明に係る積層体パレット一体品、及びパレットによれば、パレット上の積層体から合紙等の保護シートを排出するに当たって、合紙が残り少なくなった場合においても、合紙を安定して吸着保持できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第一実施形態に係る積層体パレット一体品の斜視図である。
図2図1に示す積層体パレット一体品の側面図である。
図3図2に示す積層体パレット一体品の要部を矢印Aの向きから見た図である。
図4図2に示す積層体パレット一体品の要部拡大側面図である。
図5図1に示す積層体パレット一体品を梱包してなるガラス板梱包体の斜視図である。
図6図1に示す積層体パレット一体品から合紙を排出する手順の一例を示す要部拡大側面図で、(a)は押込み時における要部拡大側面図、(b)はスライド時における要部拡大側面図である。
図7】合紙が残り少ない場合に、図1に示す積層体パレット一体品から合紙を排出する手順の一例を示す要部拡大側面図である。
図8】本発明との比較に係る積層体パレット一体品から合紙を排出する手順の一例を示す要部拡大側面図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る積層体パレット一体品の要部拡大側面図で、(a)は積層時における要部拡大側面図、(b)は合紙が残り少ない場合のスライド時における要部拡大側面図である。
図10】本発明の第三実施形態に係る積層体パレット一体品の要部拡大側面図で、(a)は積層時における要部拡大側面図、(b)は合紙が残り少ない場合のスライド時における要部拡大側面図である。
図11】本発明の第四実施形態に係る積層体パレット一体品の要部拡大側面図で、(a)は積層時における要部拡大側面図、(b)は合紙が残り少ない場合のスライド時における要部拡大側面図である。
図12】本発明の第五実施形態に係る積層体パレット一体品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<本発明の第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態を、図1図8を参照して説明する。なお、以下の全ての実施形態では、積層対象となるガラス板をフラットパネルディスプレイ用ガラス基板とし、このガラス基板が合紙を介して積層された状態の積層体をパレット上に搭載している場合を例にとって説明する。
【0029】
図1は、本発明の第一実施形態に係る積層体パレット一体品1の斜視図を示している。また、図2は、この積層体パレット一体品1の側面図、図3は、積層体パレット一体品1を図2に示す矢印Aの向きから見た図をそれぞれ示している。これら図1図3に示すように、この積層体パレット一体品1は、パレット2と、このパレット2上に搭載される積層体3とを備える。
【0030】
ここで、積層体3は、複数枚のガラス板Gと合紙Iとを縦姿勢(本実施形態では傾斜姿勢)で交互に積層してなる。本実施形態では、ガラス板Gと合紙Iはともに矩形状をなし、積層体3の最も背面側には合紙Iが配置されている。
【0031】
ここで、積層体3に関する諸元の一例について述べると、ガラス板Gの大きさは730mm×920mm~2250mm×2600mm、ガラス板Gの厚さは300μm~1100μmである。ガラス板Gとともに積層体3を構成する合紙Iは、例えば純パルプ紙である。合紙Iの大きさ(面積)は、通常、ガラス板Gより大きく、ガラス板G同士が直接接触しないようにガラス板Gと交互に配置される。これにより、ガラス板Gと合紙Iとが交互に積層された状態の積層体3が構成される。
【0032】
パレット2は、積層体3の底辺3a側に位置する基台部4と、積層体3の背面3b側に位置する背面部5とを主に備える。本実施形態では、基台部4は、積層体3の底辺3aを支持する底辺支持部6と、底辺支持部6と積層体3との間に配設される受け板7とを有する。また、背面部5は、基台部4から起立し、積層体3の背面3bを支持する背面支持部8と、背面支持部8と積層体3との間に配設される緩衝板9とを有する。なお、上述した受け板7や緩衝板9は、一枚であってもよいし、複数枚であってもよい。本実施形態では、ともに一枚の受け板7と緩衝板9とが、底辺支持部6上と背面支持部8上とにそれぞれ配設されている。
【0033】
底辺支持部6の上面6aは、図2に示すように、水平方向に対して所定の角度θ1(例えば5°~25°)で、背面部5から遠ざかるにつれて上方に移行する向きに傾斜している。また、背面支持部8の前面8aは、同じく図2に示すように、鉛直方向に対して所定の角度θ2(例えば5°~25°)で、底辺支持部6から遠ざかるにつれて後方に移行する向きに傾斜している。この際、背面支持部8の前面8aは、底辺支持部6の上面6aに対して例えば略直角をなしている。また、受け板7の上面7aが水平方向に対してなす角度は、底辺支持部6の上面6aが水平方向に対してなす角度θ1と同じであり、緩衝板9の前面9aのうち少なくともガラス板Gと対向する領域が鉛直方向に対してなす角度は、背面支持部8の前面8aが鉛直方向に対してなす角度θ2と同じである。
【0034】
なお、底辺側の緩衝板となる受け板7と、背面側の緩衝板9はともに、発泡樹脂など適度な緩衝性と機械的強度を併せ持つ材質で形成することが可能である。具体例を挙げると、受け板7と緩衝板9はともに発泡ポリプロピレンや発泡ポリエチレン、ウレタン(発泡ウレタン及び無発泡ウレタンを含む)、発泡スチレン、発泡メラミンを主たる材質として形成される。
【0035】
また、緩衝板9の幅方向寸法は、図3に示すように、背面支持部8の前面8aの幅方向寸法よりも小さく、前面8aの上部と両側部がそれぞれ緩衝板9から食み出した状態となっている。ここで、緩衝板9の幅方向は、縦姿勢でパレット2上に積層されたガラス板Gの幅方向と同じであり、ガラス板Gの水平方向に伸びる辺の長手方向である。また、この際、積層体3の面積は、緩衝板9の前面9aの面積より小さく、図1に示すように積層体3をパレット2上に載置した状態では、緩衝板9の両側部が積層体3から食み出した状態となっている。また、緩衝板9の上部は、図4に示すように、ガラス板Gから食み出す一方で、合紙Iは緩衝板9の上部から食み出した位置関係となっている。従って、少なくともガラス板Gの全面は、合紙Iを介して緩衝板9の前面9aで支持された状態となっている。
【0036】
また、ガラス板Gと合紙Iとのサイズを比較した場合、ガラス板Gの面積は合紙Iの面積より小さく、ガラス板Gと合紙Iとを縦姿勢で交互に積層した状態では、図4に拡大して示すように、ガラス板Gの上辺側で合紙Iがガラス板Gから食み出した状態となっている。この場合、緩衝板9の上端に隣接して板状部材10が配設され、板状部材10の前面10aが、合紙Iのうちガラス板Gの上辺から食み出した部分と対向している。また、図示は省略するが、本実施形態では、ガラス板Gの両側辺側で合紙Iがガラス板Gから食み出すと共に、緩衝板9の前面9aがその両側辺側で合紙Iから食み出した状態となっている。以上より、本実施形態では、緩衝板9の前面9a及び板状部材10の前面10aが本発明に係る支持面に相当する。また、緩衝板9の前面9aのうちガラス板Gの全面と対向する領域が本発明に係る第一対向領域11aに相当し、前面9aのうちガラス板Gの側辺から食み出した合紙Iと対向する領域と、板状部材10の前面10aのうちガラス板Gの上辺から食み出した合紙Iと対向する領域とが本発明に係る第二対向領域11bに相当する。
【0037】
第二対向領域11bには、押込み可能な変化面12が設けられている(図4を参照)。本実施形態では、第二対向領域11bのうちガラス板Gの上辺側でガラス板Gから食み出した合紙Iと対向する部分に矩形状の変化面12が設けられている。この場合、変化面12は、可動する板状部材10の前面10aで形成されており、板状部材10は、例えば付勢部材13を介して背面支持部8と連結されることにより、所定の向きの押込みに抗する向きに付勢されている。本実施形態では、板状部材10の上端が付勢部材13を介して背面支持部8に連結されており、これにより、板状部材10がその上端で水平方向に伸びる軸まわりに傾動可能とされている。さらに言えば、合紙Iの押込みに応じて、第一対向領域11aに対する変化面12の傾斜角θ3が変化する。なお、付勢部材13としては、例えば圧縮コイル、ねじりコイルばね、薄板ばねなどのスプリング、ゴム板など、凡そ合紙Iの押込みに抗する向きに付勢力を発生させ得る限りにおいて任意の材質、構造を有する要素が採用可能である。なお、本実施形態では、付勢部材13によって板状部材10と背面支持部8とを傾動可能に連結すると共に板状部材10を付勢するが、蝶番等の連結部材によって板状部材10と背面支持部8とを傾動可能に連結した状態で圧縮コイル等の付勢部材によって板状部材10を付勢してもよい。
【0038】
また、この板状部材10の前面10a(変化面12)は、何らの負荷(押込み力等)が作用していない状態(図4に示す状態)では、第一対向領域11aから遠ざかるにつれてガラス板Gの積層方向Xで第一対向領域11aよりも低い側(図4でいえば左下側)に後退するよう、前面10aが緩衝板9の前面9aに対して傾いている。また、第一対向領域11aに対する前面10aの傾斜角θ3は、後述する保持手段としての吸着パッド14の押込み方向Y(図6を参照)に対して適宜の範囲に設定され、例えば前面10aの法線方向が押込み方向Yと略一致するよう、所定の大きさに設定される。
【0039】
また、前面10a(変化面12)の幅方向寸法は、例えばガラス板Gの上辺側で食み出した合紙Iとその幅方向全域で対向するように設定されている(図1及び図3を参照)。また、前面10aの幅方向に直交する向き(図3でいえば上下方向)の寸法は、例えばガラス板Gの上辺側で食み出した合紙Iとその上下方向全域で対向するように設定されている。
【0040】
板状部材10の材質は任意であり、例えばステンレスなどの金属が採用可能である。この場合、板状部材10の前面10aで構成される変化面12も同じ金属で形成される。あるいは、板状部材10を金属以外の材料で形成し、その表面に金属膜などを形成することで、変化面12を金属製としてもよい。もちろん、板状部材10と変化面12とを異なる金属で形成してもよい。
【0041】
上記構成の積層体パレット一体品1は、例えば所定の形態で梱包され、出荷される。図5は、図1に係る積層体パレット一体品1の積層体3を梱包してなる梱包体15の一例を示している。図5に示すように、この梱包体15は、上述した積層体パレット一体品1と、積層体3を束縛するベルト16と、ベルト16と積層体3の前面との間に配設される押さえ部材17と、ベルト16の積層体3の側部との間に配設されるサイドストッパ18とを備える。ベルト16の長手方向両端は、例えば図1に示すように、積層体3がパレット2上の所定位置に縦姿勢で搭載された状態で、背面支持部8に設けられたフック19に掛けられ、二重にした状態で、押さえ部材17の前面上で図示しないラチェット等により締め付けた状態で固定される。これにより、積層体3が前後左右方向への移動を規制された状態で、パレット2に固定される。なお、この際、図5に示すように、積層体3の最も前面側にフレーム板20を載置し、このフレーム板20と積層体3、及び押さえ部材17をベルト16で背面支持部8側に押圧してもよい。
【0042】
出荷先では、梱包体15の開梱作業が行われ、パレット2上の積層体3からガラス板Gの取出しが行われる。以下、ガラス板Gの取出し時における合紙Iの排出手順を、本発明の作用効果と共に、主に図6図8に基づき説明する。
【0043】
開梱作業は、例えばアンパッカー装置と呼ばれる開梱装置により行われる。ここで、アンパッカー装置は、ガラス板Gを真空吸着するための第一の吸着パッド(図示は省略)と、ガラス板Gの間に介在する合紙Iを真空吸着するための第二の吸着パッド(図6に示す吸着パッド14)とを備えており、第一の吸着パッドで積層体3上のガラス板Gを吸着保持し、パレット2上からガラス板Gを取出すと共に、第二の吸着パッド(吸着パッド14)で合紙Iを吸着保持し、パレット2外に排出する。
【0044】
ここで、合紙Iの排出作業は、合紙Iのうちガラス板Gから食み出した部分を吸着パッド14で吸着保持する動作と、吸着保持した合紙Iをパレット2上から退避させる動作とに大別される。具体的には、合紙Iを吸着保持する動作については、例えば図6(a)に示すように、吸着パッド14を押込んだときの合紙Iの背面支持部8側への倒れ込みを想定して、ガラス板Gの積層方向Xに対して垂直な向きよりも斜め上方から吸着パッドを接近させる動作が採用される。このように所定の方向Yから、積層体3の最も前面側に位置する合紙Iのうちガラス板Gから食み出した部分に向けて吸着パッド14を押込む。そして、吸着パッド14を合紙Iと密着させた状態で合紙Iを真空吸着し、合紙Iの上縁部を吸着パッド14で保持する。
【0045】
然る後、吸着パッド14を合紙Iに押込んだ状態を維持しながらガラス板Gの平面方向に沿って吸着パッド14を移動させることで、合紙Iを積層体3上から退避させる。本実施形態では、図6(b)に示すように、吸着パッド14を例えば水平方向に伸びる所定の軸まわりに回動させることで、吸着パッド14を合紙Iに押込んだ状態を維持しながら、吸着パッド14を上方に移動させる。これにより、合紙Iの背面側に位置するガラス板Gとの密着状態を解消して、合紙Iのみを上方に排出する。以上の動作を、第一の吸着パッド(図示は省略)によるガラス板Gの取出し動作と交互に繰り返すことで、ガラス板Gと合紙Iとが交互にパレット2上から排出される。
【0046】
ところで、上述のように吸着パッド14を操作して合紙Iをパレット2上から排出する場合、合紙I及びガラス板Gが残り少なくなると、吸着パッド14と合紙Iとの接触状態が変化するため、従来構成のパレットでは、安定して合紙Iを吸着保持することが難しくなる。すなわち、吸着パッド14が、常に一定の角度(押込み方向Y)で合紙Iに向けて押込まれる場合、図8に示すように、第二対向領域11bに変化面12が設けられていない従来構成のパレット102では、合紙Iが残り少なくなった状態で吸着パッド14に押込まれた際、合紙Iの背面側への倒れ込みが第二対向領域11b(緩衝板9の前面9a)により規制される。その結果、合紙Iの残り枚数が十分であったとき(図6(a))よりも、吸着パッド14を押込んだ際の合紙Iの倒れ込み角度が小さくなる(図8を参照)。これでは、吸着パッド14の押込み角度と、合紙Iの倒れ込み角度とにずれが生じ、吸着パッド14が合紙Iに対して部分的に接触することになるため、合紙Iを安定して吸着保持することが難しい。
【0047】
これに対して、本発明に係る積層体パレット一体品1では、図4等に示すように、積層体3の背面3bを支持する支持面(ここでは緩衝板9の前面9aと板状部材10の前面10a)のうち、ガラス板Gから食み出した合紙Iと対向する第二対向領域11bに、押込みが可能な変化面12を設けた。上記構成によれば、吸着パッド14によって合紙Iと共に変化面12が押し込まれることから、合紙Iを必要十分な量だけ倒れ込ませることができる(図7を参照)。以上より、本発明に係る積層体パレット一体品1によれば、合紙Iの残り枚数に関係なく、合紙Iと吸着パッド14との接触状態を安定させて、確実に合紙Iを吸着保持することが可能となる。
【0048】
また、本発明に係る積層体パレット一体品1では、合紙Iに作用する背面側への押込み力を変化面12で吸収しながら、合紙Iを支持することができる。よって、吸着パッド14で合紙Iを背面側に押込みながら、合紙Iをガラス板Gの表面に沿った向き(積層方向Xに直交する向き)に移動させる際に、合紙Iに作用する摩擦抵抗を軽減することができる。以上より、本発明に係る積層体パレット一体品1によれば、吸着パッド14から合紙Iが外れる事態を回避して、合紙Iのみを確実にパレット2上から排出することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、変化面12を可動する板状部材10の前面10aで形成し、この板状部材10をガラス板Gの支持面となる第一対向領域11aと平行な軸まわりに傾動可能に構成した。このように、変化面12を板状部材10の前面10aで形成すれば、押込んだ際の合紙Iの形状が、板状部材10の形状に倣った状態で安定する。よって、合紙Iを吸着パッド14により安定して吸着保持することが可能となる。また、上記構成によれば、吸着パッド14の押込みに応じて、適切な姿勢(倒れ込み角度)まで合紙Iを倒れ込ませることができる。これにより、吸着パッド14と合紙Iとの接触状態を安定させることができるので、摩擦抵抗を軽減しつつも、合紙Iをより確実に吸着保持した状態で排出することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、板状部材10を、押込みに抗する向きに付勢されるようにしたので、合紙Iの背面側への押込みが解消されるのに伴い、板状部材10を自動的に押込み前の位置又は姿勢に復帰(例えば図7に示す姿勢から図4に示す姿勢に復帰)させることができる。従って、合紙Iの残り枚数によって合紙Iの押込み態様が変化する場合であっても、合紙Iに作用する摩擦抵抗を安定的に軽減することが可能となる。また、板状部材10を付勢するだけであれば、非常に簡素な構成で済むため、パレットの改良コストも抑えられる。
【0051】
また、本実施形態では、板状部材10の前面10a(変化面12)は、何らの負荷(押込み力等)が作用していない状態(図4に示す状態)では、第一対向領域11aから遠ざかるにつれてガラス板Gの積層方向Xで第一対向領域11aよりも低い側(図4でいえば左下側)に後退するよう、前面10aが緩衝板9の前面9aに対して傾いている。これにより、吸着パッド14を押込んだ際に合紙Iが倒れ込みやすくなるので、合紙Iの残り枚数に関係なく、合紙Iと吸着パッド14との接触状態をさらに安定させて、より確実に合紙Iを吸着保持することが可能となる。このように板状部材10の前面10a(変化面12)を緩衝板9の前面9aに対して傾ける場合、板状部材10の前面10a(変化面12)の傾斜角θ3は、前面10aの法線方向が押込み方向Yと略一致するように設定されることが好ましい。この場合、板状部材10の前面10aの傾きを確保できる程度に、緩衝板9を厚くすることが好ましい。
【0052】
以上、本発明に係る積層体パレット一体品、及びパレットの第一実施形態を説明したが、この積層体パレット一体品、及びパレットは、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
【0053】
<本発明の第二実施形態>
例えば変化面12について、第一実施形態では緩衝板9の上端に隣接して可動する板状部材10を設け、この板状部材10の前面10aで変化面12を形成した場合を説明したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。図9(a)及び(b)は、本発明の第二実施形態に係る積層体パレット一体品21の要部拡大側面図を示している。図9(a)に示すように、本実施形態に係る積層体パレット一体品21では、背面支持部8の前面8aのうち合紙Iと対向する第二対向領域11bに、前面8aに対して窪んだ状態の窪み部22が設けられており、この窪み部22上に板状部材10が取付けられている。この場合も、可動する板状部材10の前面10aで変化面23が形成されており、板状部材10の上端が付勢部材13を介して窪み部22の内側面に連結されることで、板状部材10を窪み部22内で傾動可能としている。上記構成によれば、例えば背面支持部8の前面8a上に傾動可能な板状部材10を設ける場合(図4を参照)よりも、板状部材10の傾動を許容するスペースを板状部材10の背面側に大きく設けることができる(図9(b)を参照)。これにより、吸着パッド14の押込み角度や押込み量の許容範囲を広げることができるので、合紙Iを安定して吸着保持しつつも、押込み力を吸収して摩擦抵抗を軽減することにより確実に合紙Iのみをパレット2上から排出することが可能となる。なお、図9では、板状部材10の前面10a下端を緩衝板9の前面9a(第一対向領域11a)よりも若干低く設定しているが、逆に高く設定してもかまわない。あるいは、板状部材10の前面10a下端と緩衝板9の前面9aとを同じ高さとしてもよい。
【0054】
本実施形態では、板状部材10の前面10a(変化面23)は、何らの負荷(押込み力等)が作用していない状態(図9(a)に示す状態)では、緩衝板9の前面9aと平行である。また、本実施形態では、板状部材10の上端を支点として傾動可能とされている。このため、合紙I及びガラス板Gが残り少なくなると、吸着パッド14を押込んだ際に吸着パッド14の押込み方向Y(吸着面の法線方向)と、前面10aの法線方向とにずれが生じるが、吸着パッド14を水平方向に伸びる所定の軸まわりに回動させる過程で吸着パッド14の角度が変化して吸着パッド14の吸着面の法線方向と前面10aの法線方向が一致する。これにより、合紙Iの残り枚数に関係なく、確実に合紙Iを吸着保持することが可能となる。
【0055】
本実施形態のように背面支持部8に窪み部22を設ける場合、背面支持部8を内部が空洞の箱状とすることが好ましい。これにより、梁を設けなくても背面支持部8の剛性を確保できるので、窪み部22を容易に設けることが可能となる。
【0056】
<本発明の第三実施形態>
また、上述した本発明の第一及び第二実施形態では、板状部材10の上端を支点として板状部材10が傾動する形態を採用した場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態を採用することも可能である。図10(a)及び(b)は、本発明の第三実施形態に係る積層体パレット一体品31の要部拡大側面図を示している。図10(a)に示すように、本実施形態に係る板状部材10は、第二実施形態と同様、背面支持部8の前面8aに設けた窪み部22上に取付けられている。その一方で、板状部材10はその下端で付勢部材13を介して窪み部22の内側面に連結されている。これにより板状部材10は、その下端を支点として傾動可能とされるので、板状部材10の前面10aで構成される変化面32もまたその下端を支点として傾動可能とされる(図10(b)を参照)。この構成によっても、板状部材10の傾動を許容するスペースを板状部材10の背面側に大きく設けることができる。これにより、吸着パッド14の押込み角度や押込み量の許容範囲を広げることができるので、合紙Iを安定して吸着保持しつつも、押込み力を吸収して摩擦抵抗を軽減することにより確実に合紙Iのみをパレット2上から排出することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、板状部材10の前面10a(変化面32)は、何らの負荷(押込み力等)が作用していない状態(図10(a)に示す状態)では、緩衝板9の前面9aと平行である。また、本実施形態の板状部材10は、板状部材10の下端(第一対向領域11aに近い側の端部)を支点として傾動可能とされている。このため、合紙I及びガラス板Gが残り少なくなると、吸着パッド14によって合紙Iと共に変化面32を押し込む過程、あるいは、吸着パッド14を水平方向に伸びる所定の軸まわりに回動させる過程で前面10aが倒れ込み、吸着パッド14の吸着面の法線方向と前面10aの法線方向が一致する。これにより、合紙Iの残り枚数に関係なく、確実に合紙Iを吸着保持することが可能となる。
【0058】
<本発明の第四実施形態>
また、以上の実施形態では、板状部材10を傾動可能として、この板状部材10の前面10aで構成される変化面12,23,32を移動(傾動)させる場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。図11(a)及び(b)は、本発明の第四実施形態に係る積層体パレット一体品41の要部拡大側面図を示している。図11(a)に示すように、本実施形態に係る積層体パレット一体品41においては、緩衝板9の上端に隣接して弾性板42が配設され、この弾性板42の前面43で変化面44が形成されている。この場合、緩衝板9の前面9a及び弾性板42の前面43が本発明に係る支持面に相当する。弾性板42は、例えば緩衝板9よりも変形し易い材料、具体的には吸着パッド14の押込みに応じて前面43が変形可能な弾性体(ゴム、スポンジなど)で形成される。上記構成によれば、合紙Iに対する吸着時の押込みに対してより柔軟に対応することができる。従って、吸着パッド14による押込み態様が安定しない場合であっても、確実に摩擦抵抗を軽減することが可能となる。
【0059】
<本発明の第五実施形態>
図12は、本発明の第五実施形態に係る積層体パレット一体品51の斜視図を示している。図12において、積層体3は二点鎖線で描いている。本実施形態に係る積層体パレット一体品51は、全体として矩形状の変化面52a~52cが、その長手方向に分割されている点において、上記実施形態に係る積層体パレット一体品1,21,31,41と相違している。具体的には、水平方向に分割され、かつ別個独立に可動(本実施形態では傾動)する複数の板状部材53a~53cの前面53a1~53c1でそれぞれ変化面52a~52cが形成されている。上記構成によれば、吸着パッド14(図6等を参照)による合紙Iの押込み量が、水平方向でばらつく場合であっても、板状部材53a~53cの傾動度合いを板状部材53a~53cごとに異ならせて、押込み量の水平方向でのばらつきを吸収することができる。よって、本構成によれば、水平方向での押込み量のばらつきを吸収しつつ、合紙Iに作用する摩擦抵抗をその水平方向全域にわたって効果的に軽減することが可能となる。なお、図12では、変化面を水平方向に三分割した場合を例示したが、もちろん用途に応じて水平方向に二分割、あるいは四分割以上することも可能である。
【0060】
もちろん、変化面12,23,32,44,52a~52cの形態は任意であり、押込みが可能である限りにおいて、上記例示した形態以外の形態をとることが可能である。例えば詳細は割愛するが、図4に示す板状部材10が、押込みに応じて、傾斜角θ3を変えることなく背面支持部8に近づく、言い換えると傾斜角θ3は一定で積層方向Xに平行移動するように構成することも可能である。
【0061】
また、以上の説明では、第二対向領域11bのうち、ガラス板Gの上辺から食み出した合紙Iと対向する領域に変化面12,23,32,44,52a~52cを設けた場合を例示したが、もちろんこれ以外の位置に変化面12,23,32,44,52を設けることも可能である。例えば、図示は省略するが、ガラス板Gの側辺側から食み出した合紙Iを吸着保持して、水平方向に合紙Iを移動させてパレット2上から排出する場合、第二対向領域11bのうち、ガラス板Gの側辺から食み出した合紙Iと対向する領域に、変化面12,23,32,44,52a~52cを設けることも可能である。
【0062】
また、以上の説明では、ガラス板Gを積層する際の保護シートとして合紙Iを用いた場合を説明したが、もちろんこれに限る必要はない。例えば、合紙以外の紙を保護シートとして使用することも可能である。あるいは、紙以外の材質(例えば樹脂)で形成されたシートを保護シートとして使用することも可能である。要は、ガラス板Gを積層した状態でパレット2上に搭載するに際して、又はパレット2上からのガラス板Gの取出しに際して、ガラス板Gを保護する(ガラス板Gを傷付けない)限りにおいて、任意の材質、形態のシートが使用可能である。
【0063】
また、以上の説明では、積層体パレット一体品1を梱包して梱包体15とした状態で出荷先等に搬送し、搬送先で開梱(ガラス板Gの取出し)を行う場合を例示したが、本発明に係る積層体パレット一体品1,21,31,41,51は、上記以外の用途に適用することも可能である。すなわち、ガラス板Gの取出し時にガラス板Gが縦姿勢で積層された状態でパレット2上に搭載されている限りにおいて、その形態は任意であり、パレット2が必ずしも梱包を前提とした形態である必要はない。例えば図示は省略するが、搬送時にはガラス板G(積層体3)が水平姿勢で積層された状態で、ガラス板Gの取出し時には、ガラス板Gが縦姿勢で積層された状態となるように構成したパレットに、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,21,31,41,51 積層体パレット一体品
2 パレット
3 積層体
4 基台部
5 背面部
6 底辺支持部
7 受け板
8 背面支持部
8a 前面
9 緩衝板
9a 前面
10,53a~53c 板状部材
10a,53a1~53c1 前面
11a 第一対向領域
11b 第二対向領域
12,23,32,44,52 a~52c 変化面
13 付勢部材
14 吸着パッド
15 梱包体
16 ベルト
17 押さえ部材
18 サイドストッパ
19 フック
20 フレーム板
22 窪み部
42 弾性板
G ガラス板
I 合紙
X 積層方向
Y 合紙の押込み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12