(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】車両通過情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20220124BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220124BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220124BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/01 C
G07B15/00 510
(21)【出願番号】P 2018206706
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518210823
【氏名又は名称】ETCマネジメントサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591030237
【氏名又は名称】日本ユニシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森 克実
(72)【発明者】
【氏名】片山 賢治
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-212982(JP,A)
【文献】特開2003-223660(JP,A)
【文献】特開2011-065501(JP,A)
【文献】特開平11-016087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07B 11/00-17/04
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向の通行が可能な車路における所定
の車線において、第1の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第1の取得部と、
前記車線において、前記第1の範囲よりも走行方向の下流側に位置する第2の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部および前記第2の取得部において取得された前記固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として記憶部に記憶する蓄積部と、
前記記憶部に記憶された前記車両通過情報の中から、所定の期間内に前記第1の取得部および前記第2の取得部によって取得された、同一の前記固有情報を含む複数の前記車両通過情報を抽出し、抽出された前記複数の前記車両通過情報において、前記第1の取得部によって前記固有情報が取得された時刻が、前記第2の取得部によって前記固有情報が取得された時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する情報精査部と、
前記情報精査部によって判断された前記正当な車両通過情報に基づいて前記車線における車両の計測結果を算出し、算出された前記計測結果を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、前記正当な車両通過情報に基づいて、前記車線における車両の通過台数に関する情報および前記第1の範囲と前記第2の範囲との間の通過時間に関する情報の少なくとも一方を前記計測結果として算出し、算出された前記計測結果を、ネットワークを介して接続された表示装置に送信する車両通過情報処理システム。
【請求項2】
双方向の通行が可能な車路における所定
の車線において、第1の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第1の取得部と、
前記車線において、前記第1の範囲よりも走行方向の下流側に位置する第2の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部および前記第2の取得部において取得された前記固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として記憶部に記憶する蓄積部と、
前記記憶部に記憶された前記車両通過情報の中から、所定の期間内に前記第1の取得部および前記第2の取得部によって取得された、同一の前記固有情報を含む複数の前記車両通過情報を抽出し、抽出された前記複数の前記車両通過情報において、前記第1の取得部によって前記固有情報が取得された時刻が、前記第2の取得部によって前記固有情報が取得された時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する情報精査部と、
前記情報精査部によって判断された前記正当な車両通過情報に基づいて前記車線における車両の計測結果を算出し、算出された前記計測結果を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、前記正当な車両通過情報および予め設定された前記第1の範囲および前記第2の範囲間の距離に関する情報に基づいて、前記車線の渋滞状況に関する情報を前記計測結果として算出し、算出された計測結果を、ネットワークを介して接続された表示装置に送信する車両通過情報処理システム。
【請求項3】
双方向の通行が可能な車路における所定
の車線において、第1の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第1の取得部と、
前記車線において、前記第1の範囲よりも走行方向の下流側に位置する第2の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも前記車線を走行する車両に設置された車載器から前記固有情報を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部および前記第2の取得部において取得された前記固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として記憶部に記憶する蓄積部と、
前記記憶部に記憶された前記車両通過情報の中から、所定の期間内に前記第1の取得部および前記第2の取得部によって取得された、同一の前記固有情報を含む複数の前記車両通過情報を抽出し、抽出された前記複数の前記車両通過情報において、前記第1の取得部によって前記固有情報が取得された時刻が、前記第2の取得部によって前記固有情報が取得された時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する情報精査部と、
前記情報精査部によって判断された前記正当な車両通過情報に基づいて前記車線における車両の計測結果を算出し、算出された前記計測結果を出力する出力部と、
を有し、
前記第1の取得部および前記第2の取得部は、車両の入退場を管理している施設または区域において、車両が進入するための車線と、前記施設または区域から車両が退出するための車線に一対ずつ設けられ、
前記出力部は、前記正当な車両通過情報に基づいて、前記施設または区域における車両の滞留台数に関する情報および混雑状況に関する情報の少なくとも一方を前記計測結果として算出し、算出された前記計測結果を、ネットワークを介して接続された表示装置に送信する車両通過情報処理システム。
【請求項4】
前記第1の取得部および前記第2の取得部が前記固有情報を取得可能な範囲は、前記車線の走行方向から視て前記車線を含む請求項1
~3のいずれかに記載の車両通過情報処理システム。
【請求項5】
前記車載器はETCカードを挿入可能なETC車載器であり、
前記第1の取得部および前記第2の取得部はそれぞれ、前記ETC車載器と通信可能なETCアンテナを含む路側機である請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両通過情報処理システム。
【請求項6】
前記固有情報は前記車載器の識別情報を含む請求項1~
5のいずれか一項に記載の車両通過情報処理システム。
【請求項7】
前記固有情報は前記車載器に挿入されたETCカードの識別情報を含む請求項1~
6のいずれか一項に記載の車両通過情報処理システム。
【請求項8】
前記車線は、複数の車線に区分される請求項1~
7のいずれか一項に記載の車両通過情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通過情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路側に設置したETCアンテナを用いて所定の地点を通過する車両に搭載された車載器の固有情報を無線通信により取得し、当該地点を通過する車両の数を計測したり、所定のエリアに流入する車両に課金したりする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術においては、ETCアンテナから照射される電波が、計測や課金の対象となる車線の範囲に限定して届くように、出力するビームをコントロールしたり、設置状態を調整したりすることが検討されている。しかし、このような方法によって電波の照射範囲を正確に制御することは難しい。さらに、ETCアンテナから照射された電波は、地面や車両によって反射されて、設置者の意図しないエリアに届いてしまうこともある。したがって、ETCアンテナから照射される電波が届く範囲を対象の車線に完全に限定することは、困難である。
【0005】
このような技術条件および環境条件の下では、ETCアンテナを用いて、所定の走行方向に向かう対象車線を走行する車両のみを対象として、正確に計測や課金を行うことは難しい。例えば、反対車線を走行する車両に電波が届かないように電波照射エリアを狭く設定すると、対象車線の車両に電波が届かずに対象となる車両を認識できないという問題がある。逆に、対象車線における車両の認識率を上げようとして電波照射エリアを広く設定すると、誤って反対車線を走行する車両を認識してしまう可能性が高まるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、対象の車線を通過する車両に関する情報を正確に計測し、計測された情報を可視化するための車両通過情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
車両通過情報処理システムは、双方向の走行が可能な車路における所定の走行車線において用いられ、第1の取得部、第2の取得部、蓄積部、情報精査部および出力部を有する。第1の取得部は、第1の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも当該車線を走行する車両に設置された車載器から固有情報を取得する。第2の取得部は、当該車線において、第1の範囲よりも走行方向の下流側に位置する第2の範囲内に進入した車載器から無線通信を介して固有情報を取得可能であり、少なくとも当該車線を走行する車両に設置された車載器から固有情報を取得する。蓄積部は、第1の取得部および第2の取得部において取得された固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として記憶部に記憶する。情報精査部は、記憶部に記憶された車両通過情報の中から、所定の期間内に第1の取得部および第2の取得部によって取得された、同一の固有情報を含む複数の車両通過情報を抽出し、抽出された複数の車両通過情報において、第1の取得部によって固有情報が取得された時刻が、第2の取得部によって固有情報が取得された時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する。出力部は、情報精査部によって判断された正当な車両通過情報に基づいて当該車線における車両の計測結果を算出し、算出された計測結果を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両通過情報処理システムによれば、所定の走行車線において、それぞれ第1および第2の範囲内に進入した車載器から固有情報を取得する第1および第2の取得部によって取得された固有情報が、取得された時刻と関連付けられて車両通過情報として記憶部に記憶される。第2の範囲は、第1の範囲よりも車線の走行方向の下流側に配置される。記憶された車両通過情報の中から、所定の期間内に第1および第2の取得部によって取得された、同一の固有情報を含む複数の車両通過情報が抽出される。抽出された複数の車両通過情報において、第1の取得部によって固有情報が取得された時刻が、第2の取得部によって固有情報が取得された時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報が正当な車両通過情報として判断される。車両通過情報処理システムは、情報精査部によって判断された正当な車両通過情報に基づいて対象車線における車両の計測結果を算出し、算出された計測結果を出力する。これにより、対象車線を通過する車両を正確に計測することができる。また、計測結果をリアルタイムで表示して可視化することができる。さらに、対象車線を通過する車両を正確に認識することができ、適切に課金を行ったりすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両通過情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図3】情報端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバーの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】サーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】サーバーにおいて記憶される車両通過情報の一例を示す図である。
【
図7】サーバーにおいて記憶される会員データベース情報の一例を示す図である。
【
図8】ETC車載器の概略構成を示すブロック図である。
【
図9】決済システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図10】サーバーによって実行される車両通過情報処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】同一の固有情報を含む複数の車両通過情報において、時刻Aが時刻Bよりも早いものを正当な車両通過情報として記憶する様子を例示する図である。
【
図12】情報端末において車両の通過台数に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
【
図13】情報端末において車線の渋滞状況に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
【
図14】情報端末において駐車場の混雑状況に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
(システムの全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る車両通過情報処理システムが適用されるシステムの概略構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、システム1は、路側機10a、10b(以下、まとめて路側機10とも称する。)、情報端末20、サーバー30、ETC車載器40、および決済システム50から構成される。路側機10a、10b、情報端末20、サーバー30、および決済システム50はネットワークを介して接続され、各構成は有線または無線の各種通信方式によって通信可能である。ETC車載器40は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の所定の通信規格によって路側機10と無線通信可能である。
【0014】
路側機10a、10bは、所定の走行車線(対象車線)において、所定の走行方向に向けて通過する車両の数を計測したり、当該車両に課金したりする基準となるポイントにそれぞれ設置される。路側機10a、10bは、所定の範囲に近接した車両に搭載されたETC車載器40と、DSRC等の通信規格によって無線通信を行う。また、路側機10a、10bは、ネットワークを介してサーバー30等と通信を行う。本実施形態では、路側機10a、10bは、それぞれ第1の取得部、第2の取得部として機能する。
【0015】
本実施形態では、路側機10a、10bは、同じ対象車線に設置され、少なくとも当該対象車線を走行する車両に設置された車載器から固有情報を取得する。路側機10a、10bが固有情報を取得可能な範囲100a、100b(第1の範囲、第2の範囲)は、対象車線の走行方向から視て対象車線を含む(覆う)ように設定される。
【0016】
また、本実施形態では、路側機10bが固有情報を取得可能な範囲は、路側機10aが固有情報を取得可能な範囲よりも、対象車線の走行方向の下流側に所定の間隔をあけて配置される。このような配置を容易に実現するために、たとえば、路側機10bは、路側機10aが設置される位置よりも対象車線の走行方向の下流側に所定の間隔をあけて設置される。しかし、路側機10a、10bの配置はこれに限定されない。たとえば、路側機10a、10bの配置に関わらず、各ETCアンテナ14の配置や出力するビームを調整することによって、路側機10bが固有情報を取得可能な範囲が、路側機10aが固有情報を取得可能な範囲よりも対象車線の走行方向の下流側に配置されるように調整してもよい。なお、双方向の通行が可能な車路は、中央線で走行方向の区分がなされている車路のほか、中央線のない車路であってもよい。また、対象車線は、さらに複数の車線に区分される片側複数車線の車路であってもよい。
【0017】
情報端末20は、ユーザーが各種サービスの提供を受けるためのユーザー登録を行うための端末である。情報端末20は、例えば、車両の運転者が使用するスマートフォン等の端末や、車両の運転者が利用する施設等に設置されるタブレットPCまたはノートPC等の端末である。情報端末20は、ネットワークを介してサーバー30等と通信を行う。
【0018】
サーバー30は、路側機10と共に、車両通過情報処理システムとして機能する。サーバー30は、路側機10、情報端末20、決済システム50等との間で各種情報を送受信して、車両通過情報処理を実行する。また、サーバー30は、路側機10と通信可能であり、路側機10から送信される情報を取得する。
【0019】
ETC車載器40は、車両に取り付けられ、所定の範囲(距離)に近接した路側機10との間で無線通信を行う。ETC車載器40は、挿入されたETCカードから各種情報を取得して路側機10に送信する。
【0020】
決済システム50は、銀行やクレジットカード会社等の決済機関(金融機関)または、それらの決済機関において決済を行うための各種業務を代行する決済代行業者に設置されるシステムである。
【0021】
以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
(路側機10)
図2は、路側機の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、路側機10は、制御部11、記憶部12、通信部13、ETCアンテナ14およびカメラ15を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0024】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0025】
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶するハードディスク等を備える。
【0026】
通信部13は、ネットワークを介して、他の端末や装置と通信するためのインターフェースを備える。通信部13は、例えば、サーバー30と各種データ等の送受信を行う。
【0027】
ETCアンテナ14は、所定の通信規格によってETC車載器40との間で無線通信を行うための構成である。路側機10は、ETCアンテナ14を介して、ETC車載器40から、ETC車載器40を識別するための固有情報であるWCN(Wireless Call Number)に代表される車載器IDを取得する。また、路側機10は、ETCアンテナ14を介して、ETC車載器40から、ETC車載器40に挿入されたETCカードを識別するための固有情報であるETCカード番号を取得する。ETCカード番号は暗号化された状態で取得され、例えば上位のサーバー30に送信される前に復号化されうる。
【0028】
カメラ15は、車両の画像を取得するための構成であり、たとえば入出場ゲートを通過する車両を撮像して画像を取得する。カメラ15によって取得された画像に基づいて、たとえば車両番号(車両のナンバー)等の情報が取得される。
【0029】
なお、本実施形態では、路側機10aのETCアンテナ14が第1の取得部として機能し、路側機10bのETCアンテナ14が第2の取得部として機能する。
【0030】
(情報端末20)
図3は、情報端末の概略構成を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、情報端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24および操作受付部25を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。情報端末20の制御部21、記憶部22および通信部23は、路側機10の制御部11、記憶部12および通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0032】
表示部24は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等を備え、各種情報を表示する。操作受付部25は、タッチセンサーや、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を備え、ユーザーの各種操作を受け付ける。表示部24および操作受付部25は、表示部24としての表示面に、操作受付部25としてのタッチセンサーを重畳することによって、タッチパネルを構成してもよい。
【0033】
情報端末20は、本実施形態において、表示装置として機能する。
【0034】
(サーバー30)
図4は、サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図5は、サーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。
図6は、サーバーにおいて記憶される情報の一例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、サーバー30は、制御部31、記憶部32および通信部33を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。サーバー30の制御部31、記憶部32および通信部33は、路側機10の制御部11、記憶部12および通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、サーバー30の制御部31は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、蓄積部311、情報精査部312および出力部313として機能する。
【0037】
蓄積部311は、路側機10aおよび路側機10bにおいて取得された固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として順次記憶部32に記憶して蓄積する。
【0038】
情報精査部312は、記憶部32に記憶された車両通過情報を確認して、所定の期間内に取得された同一の固有情報を含む複数の車両通過情報を抽出し、抽出された複数の車両通過情報において、路側機10aによって取得された固有情報に関連付けられた時刻が、路側機10bによって取得された固有情報に関連付けられた時刻よりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する。
【0039】
出力部313は、正当な車両通過情報に基づいて対象車線における車両の計測結果を算出または推定し、得られた計測結果を出力する。
【0040】
次に、サーバー30の記憶部32に記憶される情報について説明する。
【0041】
(車両通過情報)
図6は、サーバーにおいて記憶される車両通過情報の一例を示す図である。
【0042】
図6に示すように、サーバー30の記憶部32には、路側機10a、10bにおいて取得された情報が相互に関連付けられて車両通過情報として蓄積されている。
【0043】
本実施形態において、路側機10a、10bは、ETCアンテナ14を介してETC車載器40から固有情報を取得し、当該固有情報を取得した時刻を示す情報と共にサーバー30に送信する。サーバー30は、受信した各情報を関連付けて車両通過情報として蓄積する。
【0044】
取得時刻は、路側機10a、10bによって固有情報が取得された時刻を示す情報である。取得時刻として、路側機10a、10bによって固有情報が取得された時刻のかわりに、サーバー30が路側機10a、10bから固有情報を受信した時刻が蓄積されてもよい。
【0045】
固有情報は、路側機10a、10bによって取得された固有情報である。固有情報としては、例えば、WCN等の車載器IDや、ETCカード番号等を用いることができる。例えば、
図6に示す固有情報の「A101」としては、
図1に示す車両A101に搭載されたETC車載器40の車載器ID、または当該ETC車載器40に挿入されたETCカードのETCカード番号が記憶される。
【0046】
なお、
図6においては、路側機10aによって取得された情報と、路側機10bによって取得された情報とが別々に記憶されるものとして示されているが、これらの情報を一緒に記憶し、各レコードに取得された路側機10を示す情報を付してもよい。
【0047】
(会員データベース)
図7は、サーバーにおいて記憶される会員データベース情報の一例を示す図である。
【0048】
図7に示すように、サーバー30の記憶部32には、固有情報、ユーザー情報およびウォレット情報が互いに関連付けられて記憶される。
図7に示される情報は、情報端末20や路側機10を介して登録され、各レコードがユーザー登録された各会員の情報を示す会員データベースを構成する。
【0049】
固有情報は、路側機10が近接する車両から取得可能な情報であって、会員データベースに登録されたユーザーの情報と関連付けされる情報である。固有情報としては、車載器IDおよびETCカード番号の少なくとも一つが記憶される。
【0050】
ユーザー情報は、会員であるユーザーを識別するための識別情報、連絡先情報、および認証情報等である。識別情報としては、例えば、氏名、住所、生年月日、性別、ニックネーム、免許証番号等が記憶される。連絡先情報としては、例えば、電話番号、メールアドレス、SNSや各種メッセージサービスのID等が記憶される。認証情報は、会員専用のウェブサイト等にアクセスするための情報であり、例えば、ID、パスワード等が記憶される。
【0051】
ウォレット情報は、登録されたユーザーが各種料金の支払いに使用するウォレットを構成する情報である。ウォレット情報としては、所定のエリアにおいて課金される料金を支払うための利用券に関する情報や、利用券が不足する場合に利用券を購入したり不足額の支払いを行ったりするためのクレジットカード情報および銀行口座情報、ユーザーの属性情報等が記憶される。
【0052】
利用券の種類としては、ユーザー自身が購入した購入利用券、他者から付与された付与利用券、所定の数を集めることによって購入利用券または付与利用券と同様に使用可能な補助利用券等がある。
【0053】
購入利用券および付与利用券は、例えば、商業施設や娯楽施設の駐車券または入場券、有料道路等の通行券として使用される。購入利用券および付与利用券には、利用可能な所定のエリアが対応付けて記憶される。購入利用券および付与利用券には、複数のエリアが対応付けられてもよい。購入利用券および付与利用券は、回数券のように、10枚、20枚等の使用可能な枚数が対応付けられて記憶されてもよく、あるいは、プリペイドマネーのように、1000円、3000円等の使用可能な金額や、所定の価値に換算されうる10度、20度等の度数が対応付けられて記憶されてもよい。また、購入利用券および付与利用券は、定期券のように、1か月、3か月、半年等の利用可能な期間が対応付けられて記憶されてもよく、平日、休日、特定の曜日、昼間、夜間等の特定の日付や周期、時間帯が対応付けられて記憶されてもよい。
【0054】
補助利用券は、例えば多数の商店が出店するショッピングセンターの駐車場における駐車料金の支払い等において好適に使用される。以下、補助利用券が好適に使用されるシーンについて具体的に説明する。例えば、ショッピングセンター等の商業施設においては、当該施設において数千円等の一定の金額以上を利用した場合に無料駐車券や割引券を発行することが一般によく行われている。ユーザーがある店舗で一定金額以上を利用した場合、店舗はユーザーに無料駐車券等を発行し、ユーザーは無料駐車券を使用して駐車場から出場する。その後、店舗はユーザーに発行した駐車券の代金に対応する金額を駐車場の運営者に対して支払う。
【0055】
しかし、ショッピングセンター等においては、各店舗が店舗ごとのPOSシステムを持ち込んで利用することが多く、各店舗における各ユーザーの利用金額を統合して合算する仕組みがないことが多い。したがって、駐車券が発行されるのは、一つの店舗において一定の金額以上を利用した場合に限られていることが多い。また、例えば複数の店舗における利用金額を手作業で合算して駐車券を発行したとしても、発行した駐車券に対応する金額を各店舗における利用金額に応じて請求する必要があり、店舗やショッピングセンターの運営者の業務負担が大きい。そこで、本実施形態のように、各店舗が利用金額に応じて補助利用券を電子的に発行し、所定の数が集まった場合にユーザーが駐車券として使用できるようにすることで、ユーザーは複数の店舗での利用金額を合算して駐車券を獲得できる。また、各店舗も発行した補助利用券に応じた費用を支払えばよいため、各店舗やショッピングセンターの運営者の業務負担を減らすことができる。
【0056】
属性情報は、ユーザーの支払い能力や信頼性を判断するために使用される情報である。属性情報としては、例えば、職業情報、年収情報、過去の利用回数および利用金額等の利用実績、これらの情報に応じたユーザーランク情報等が記憶される。
【0057】
なお、記憶部32に記憶されるものとして説明した上記の情報は、サーバー30からネットワークを介して接続可能な外部ストレージに記憶され、必要に応じてサーバー30からアクセスして取得するように構成されてもよい。
【0058】
(ETC車載器40)
図8は、ETC車載器の概略構成を示すブロック図である。
【0059】
図8に示すように、ETC車載器40は、制御部41、記憶部42、通信部43、カード受付部44および出力部45を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。ETC車載器40の制御部41、記憶部42および通信部43は、路側機10の制御部11、記憶部12および通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0060】
カード受付部44は、ETCカードの挿入を受け付ける。カード受付部44は、挿入されたETCカードから、ETCカード番号を含む各種情報を取得する。制御部41は、カード受付部44において取得された情報を、通信部43を介して路側機10に送信する。
【0061】
出力部45は、光や音声を出力する構成であり、例えばETCカードの読み取り状態を表すインジケーターランプや音声案内を出力するスピーカー等によって構成される。
【0062】
記憶部42には、無線の基地局としてETC車載器40を識別するための固有情報であるWCN(Wireless Call Number)に代表される車載器IDが記憶されている。したがって、路側機10は、ETC車載器40と無線通信を行う際に、ETC車載器40の車載器IDを取得することができる。
【0063】
(決済システム50)
図9は、決済システムの概略構成を示すブロック図である。
【0064】
図9に示すように、決済システム50は、制御部51、記憶部52および通信部53を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。決済システム50の制御部51、記憶部52および通信部53は、路側機10の制御部11、記憶部12および通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0065】
決済システム50は、例えば、銀行やクレジットカード会社等の決済機関(金融機関)または、それらの決済機関において決済を行うための各種業務を代行する決済代行業者に設置されるシステムである。サーバー30は、決済システム50との間で情報を送受信することによって、クレジットカード決済や銀行口座振込等による、ユーザーのウォレットへの入金(利用券の購入に相当)を行うことができる。また、ユーザーのウォレットの残高が不足している場合に、クレジットカード決済や銀行口座振込等によって、不足分を補って支払いを行うことができる。
【0066】
なお、システム1は、路側機10、情報端末20、サーバー30、ETC車載器40、および決済システム50以外の構成を含んでもよい。また、路側機10、情報端末20、サーバー30、ETC車載器40、および決済システム50の各々は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでもよく、上述した構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。また、路側機10、情報端末20、サーバー30、ETC車載器40、および決済システム50の各々は、複数の装置によって構成されてもよく、一体的に構成されてもよい。また、ある構成が実施するものとして説明した機能を、他の構成が代わりに実施するようにしてもよい。
【0067】
システムにおける処理の概要を説明する。
【0068】
(処理の概要)
図10は、サーバーによって実行される車両通過情報処理の手順を示すフローチャートである。
図11は、同一の固有情報を含む複数の車両通過情報において、時刻Aが時刻Bよりも早いものを正当な車両通過情報として判断する様子を例示する図である。
図12は、情報端末において車両の通過台数に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
図13は、情報端末において車線の渋滞状況に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
図14は、情報端末において駐車場の混雑状況に関する情報が表示されている様子を例示する図である。
図10のフローチャートに示される処理は、サーバー30の記憶部32にプログラムとして記憶されており、制御部31が各部を制御することにより実行される。
【0069】
図10に示すように、サーバー30は、路側機10a、10bにおいて取得された固有情報と、当該固有情報が取得された時刻とを路側機10a、10bから順次受信し(ステップS101)、蓄積部として、受信した固有情報と時刻とを関連付けて車両通過情報として記憶部32に蓄積する(ステップS102)。具体的には、
図6に示すような情報が記憶部32に蓄積される。
図6に示すように、路側機10aによって固有情報が取得された時刻は時刻Aとして記憶され、路側機10bによって固有情報が取得された時刻は時刻Bとして記憶される。
【0070】
続いて、サーバー30は、記憶部32に蓄積された車両通過情報を確認し、通常、所定の期間内に路側機10aおよび路側機10bによって取得された、同一の固有情報を含む複数の車両通過情報を抽出する(ステップS103)。本実施形態では、複数の車両通過情報は、路側機10aおよび路側機10bそれぞれによって取得された2つ(1組)の車両通過情報である。2つ(1組)の車両通過情報は、通過した車両の数に応じて、複数の組が抽出される。所定の期間は、例えば、車両が路側機10aから路側機10bまでの区間を通過するために必要とされる時間に基づいて、例えば数秒~数分程度の時間が設定される。なお、信号待ちや渋滞が発生していると判断できる場合には、所定の期間を長めに設定してもよい。
【0071】
続いて、サーバー30は、情報精査部として、抽出された同一の固有情報を含む複数の車両通過情報において、時刻Aが時刻Bよりも早いか否かを判断する(ステップS104)。
【0072】
時刻Aが時刻Bよりも早い場合(ステップS104:YES)、サーバー30は、
図11に示すように、情報当該車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する(ステップS105)。
【0073】
時刻Aが時刻Bよりも早くない場合(ステップS104:NO)、または、時刻Aもしくは時刻Bのいずれか一方しか情報がない場合、サーバー30は、
図11に示すように、当該車両通過情報を不当な車両通過情報として除外する処理を行う(ステップS106)。サーバー30は、不当な車両通過情報を記憶部32から削除してもよく、あるいは、後続の処理において車両通過情報として使用しないように設定してもよい。
【0074】
続いて、サーバー30は、出力部として、ステップS105の処理において判断された正当な車両通過情報に基づいて、対象車線における車両の計測結果を算出し(ステップS107)、算出された計測結果を情報端末20において可視化して表示されるように出力する(ステップS108)。
【0075】
<出力パターン1>
例えば、サーバー30は、正当な車両通過情報に基づいて、対象車線における車両の通過台数に関する情報を計測結果として算出し、算出された計測結果を、情報端末20に送信する。具体的には、
図11の例では、正当な車両通過情報として判断された固有情報が2つであるため、通過台数は2台と算出される。算出された計測結果は、例えば計測作業者が所持するスマートフォン等の情報端末20にリアルタイムで送信され、情報端末20の表示部24において、例えば
図12の(a)に示すような画面において可視化して表示される。
【0076】
また、サーバー30は、計測者が必要に応じて様々に設定する情報に基づいて各種統計情報を出力し、例えば、時間毎の通過台数、範囲100aと範囲100bとの間の通過時間、所定の期間における平均通過台数等の各種統計情報を計測結果として算出してもよい。さらに、サーバー30は、車両通過情報に含まれる時刻A、Bと、記憶部32に予め設定された範囲100aおよび範囲100b間の距離に関する情報に基づいて、対象車線を走行する車両の速度を計測結果として算出してもよい。また、サーバー30は、複数の車両の速度を算出して、対象車線を走行する複数の車両における平均速度を計測結果として算出してもよい。このように算出された計測結果は、情報端末20にリアルタイムで送信され、情報端末20の表示部24において、例えば
図12の(b)に示すような画面として可視化して表示される。
【0077】
<出力パターン2>
また、サーバー30は、上記の出力パターン1と同様の方法で対象車線を走行する車両の速度を算出し、算出された速度から対象車線の渋滞状況に関する情報を計測結果として取得し、取得された計測結果を、情報端末20に送信する。例えば、サーバー30は、所定の期間内に通過した車両の速度の平均値が所定の閾値以下である場合、対象車線において渋滞が発生していると判断し、渋滞が発生している旨を示す情報および速度の平均値を計測結果として情報端末20に送信してもよい。また、サーバー30は、速度の平均値や、渋滞の状態が継続している時間の長さ等に応じて渋滞の程度を判断し、判断結果を渋滞状況に関する計測結果として情報端末20に送信してもよい。さらに、サーバー30は、同じ車線上の異なる地点に設置された複数の路側機10a、10bの対から取得した車両通過情報に基づいて、複数の地点における車両の速度を算出し、複数の地点における車両の速度に基づいて、渋滞の程度や渋滞の発生区間および距離等を取得してもよい。上記のように取得された計測結果は、例えば対象車線上に設置された情報端末20やユーザーが所持するスマートフォン等にリアルタイムで送信され、情報端末20の表示部24において、例えば
図13に示すような画面として可視化して表示される。
図13の例では、計測結果として2つの区間における渋滞の発生と、渋滞距離、当該区間における車両の走行速度がリアルタイムで示されている。
【0078】
<出力パターン3>
また、サーバー30は、駐車場等の車両を収容する施設または車両の入退場を管理する区域において、車両が進入するための車線に設けられた路側機10a、10bの対と、当該施設または区域から車両が退出するための車線に設けられた路側機10a、10bの対に接続され、当該施設または区域に滞留する車両の台数または混雑状況に関する情報を計測結果として算出してもよい。例えば、サーバー30は、上記の出力パターン1と同様の方法で算出された施設に進入する車線および施設から退出する車線における通過台数情報に基づいて、施設の混雑状況を計測結果として算出して情報端末20に送信する。この場合、サーバー30は、混雑中という情報や、空きに余裕がある状態であることを示す情報を、計測結果として算出する。また、サーバー30は、上記と同様の方法によって複数の施設における混雑状況に関する情報を計測結果としてまとめて算出してもよい。上記のように取得された計測結果は、例えば施設の近傍に設けられた案内ディスプレイ等の情報端末20にリアルタイムで送信され、情報端末20の表示部24において、例えば
図14に示すような画面として可視化して表示される。
図14の例では、4つの駐車場における混雑状況に関する情報が、「空有」または「混雑」を示すマークの表示によってリアルタイムで示されている。
【0079】
なお、サーバー30は、正当な車両通過情報を、対象の車線を通過する車両の計測以外の各種用途のために使用することができる。例えば、サーバー30は、正当な車両通過情報を、対象の車線を通過する車両に課金するサービスにおいて課金の対象となる車両を特定するための固有情報のリストとして使用することができる。この場合、サーバー30は、所定の料金算出方法に基づいて算出した料金を、会員データベースにおいて固有情報によって特定されるユーザーのウォレットに請求することができる。
【0080】
上記の実施形態によれば、以下のような効果が奏される。
【0081】
サーバー30は、所定の走行車線において、範囲100a、100b内に進入した車載器40から固有情報を取得する路側機10a、10bによって取得された固有情報を、当該固有情報が取得された時刻に関連付けて車両通過情報として記憶部32に記憶する。範囲100bは、範囲100aよりも車線の走行方向の下流側に配置される。サーバー30は、記憶された車両通過情報の中から、所定の期間内に路側機10a、10bによって取得された、同一の固有情報を含む複数の車両通過情報を抽出し、抽出された複数の車両通過情報において、路側機10aによって固有情報が取得された時刻Aが、路側機10bによって固有情報が取得された時刻Bよりも早い場合、当該複数の車両通過情報を正当な車両通過情報として判断する。サーバー30は、正当な車両通過情報に基づいて対象車線における車両の計測結果を算出し、算出された計測結果を出力する。
【0082】
上記のような構成とすることにより、対象車線を走行している車両に対応する固有情報は、まず対象車線の走行方向の上流側の路側機10aによって取得された後、下流側の路側機10bによって取得される。これに対して、例えば路側機10a、10bが、対象車線ではなく、対象車線に隣接する反対車線を走行する車両から固有情報を誤って取得した場合、当該車両に対応する固有情報は、路側機10bによって取得された後、路側機10aによって取得されるか、あるいは路側機10b、10aのいずれか一方にのみ取得される。したがって、サーバー30は、路側機10a、10bによって同一の固有情報が取得され、路側機10aによって取得された時刻が、路側機10bによって取得された時刻よりも早いものを正当な車両通過情報とすることにより、対象車線を通過する車両を正確に計測できる。さらに、サーバー30は、計測結果を即座に情報端末20に送信することによって、情報端末20において計測結果をリアルタイムで表示して可視化することができる。また、対象車線を通過する車両を正確に認識することができ、適切に課金を行ったりすることも可能となる。
【0083】
また、路側機10aおよび路側機10bが固有情報を取得可能な範囲100a、100bは、対象車線の走行方向から視て対象車線を含む。これにより、路側機10a、10bは共に、少なくとも対象車線を走行する車両から確実に固有情報を取得することができる。
【0084】
また、サーバー30は、正当な車両通過情報に基づいて対象車線における車両の通過台数に関する情報を計測結果として算出し、算出された計測結果を、ネットワークを介して接続された情報端末20に送信して表示させる。これにより、対象車線における車両の通過台数を計測する業務において、計測者が現地で長時間手作業によって通過台数をカウントすることなく、自動的かつ正確に、長期に渡って、通過台数を計測することができる。また、遠隔地にいるユーザーでも、リアルタイムで即時に計測結果を把握することができる。さらに、無線通信によって車載器40から取得する固有情報に基づいて計測を行うため、例えば、夜間、降雨、降雪時等で視界や計測環境が悪い場合でも、安全かつ確実に計測を行うことができる。
【0085】
また、サーバー30は、正当な車両通過情報および予め設定された範囲100aおよび範囲100b間の距離に関する情報に基づいて、対象車線を走行する車両の速度に関する情報を算出する。そして、サーバー30は、算出された速度に関する情報から対象車線の渋滞状況に関する情報を計測結果として取得し、取得された計測結果を、ネットワークを介して接続された情報端末20に送信して表示させる。これにより、サーバー30は、対象車線の渋滞情報を自動的かつ正確に把握することができる。さらに、サーバー30は、把握した渋滞情報を、車線上に設置された標識ディスプレイ装置やユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末20に送信して表示させることにより、正確な渋滞情報をリアルタイムでユーザーに提供できる。
【0086】
また、路側機10a、10bは、車両を収容する施設または車両の入退場を管理する区域において、車両が進入するための車線と、当該施設または区域から車両が退出するための車線に一対ずつ設けられる。そして、サーバー30は、正当な車両通過情報に基づいて、施設または区域における車両の滞留台数または混雑状況に関する情報を計測結果として算出する。サーバー30は、算出された計測結果を、ネットワークを介して接続された情報端末20に送信して表示される。これにより、サーバー30は、駐車場等の車両を収容する施設または特定の市街地等の車両の入退場を管理する区域の車両滞留台数および混雑状況を自動的かつ正確に把握することができる。さらに、サーバー30は、把握した施設または区域の空き状況を、施設または区域の近傍に設置された案内ディスプレイ装置やユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末20に送信して表示させることにより、正確な混雑状況をリアルタイムでユーザーに提供できる。
【0087】
また、路側機10としてはETC車載器40と通信可能なETCアンテナ14を含む路側機が用いられる。これにより、専用の設備を開発して設置したり、新たな装置を開発して車両に取り付けたりすることなく、既存の仕組みを効率的に活用して対象の車線を通過する車両を正確に認識することができる。
【0088】
また、固有情報は、ETC車載器40の識別情報である車載器IDを含む。これにより、車両に設置されたETC車載器40を認識できるため、車両の通過を簡単かつ確実に認識することができる。
【0089】
また、固有情報は、ETC車載器40に挿入されたETCカードの識別情報であるETCカード番号を含む。これにより、車両に設置されたETC車載器40に挿入されたETCカードを認識できるため、車両の通過を簡単かつ確実に認識することができる。
【0090】
また、対象車線は、複数の車線に区分されてもよい。これにより、車線の幅の広さや車線の数に関わらず、対象車線を通過する車両を正確に認識することができる。
【0091】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲内において、種々の変更や改良等が可能である。
【0092】
たとえば、上述した実施形態に係るシステム1の処理は、上述したフローチャートのステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態における車路は、中央線で区分されているかどうかによらない車線Aと車線Bを有する一般の道路のほか、車両の進入路と退出路が同一のゲート内に並設されている駐車場などの車両向け施設における車路であってもよい。
【0094】
また、上述した実施形態に係るシステム1の各装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記のプログラムは、例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記のプログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システム1の各装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 システム、
10、10a、10b 路側機、
11 制御部、
12 記憶部、
13 通信部、
14 ETCアンテナ、
15 カメラ、
20 情報端末、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
24 表示部、
25 操作受付部、
30 サーバー、
31 制御部、
32 記憶部、
33 通信部、
40 ETC車載器、
41 制御部、
42 記憶部、
43 通信部、
44 カード受付部、
45 出力部、
50 決済システム、
51 制御部、
52 記憶部、
53 通信部。