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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】滅菌袋
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/26 20060101AFI20220124BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220124BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20220124BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20220124BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A61L2/26
B65D65/40 D
B65D81/20 L
B65D30/02
B32B27/32 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020183484
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2016099799の分割
【原出願日】2016-05-18
(65)【公開番号】P2021013762
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598014294
【氏名又は名称】株式会社静幸産業
(73)【特許権者】
【識別番号】000206163
【氏名又は名称】東洋平成ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】薮 尚伸
(72)【発明者】
【氏名】青木 浩人
(72)【発明者】
【氏名】安間 隆文
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】大學 洋平
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0028575(US,A1)
【文献】特開2001-225426(JP,A)
【文献】特開2015-074197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌の透過を阻止可能かつ非通気性の第1シートと、細菌の透過を阻止可能かつ通気性の第2シートを備え、
これらシートどうしが、互いに対向されるとともに周縁部が封止されており、
前記第1シートが、
高密度ポリオレフィン及びポリプロピレンを含有し、密度が0.94g/cm未満である外側フィルムと、
高密度ポリオレフィン及び低密度ポリオレフィンを含有するとともに前記外側フィルムより前記第2シート側に配置された内側フィルムと、
ポリプロピレンを含有するとともに前記外側フィルムと前記内側フィルムとの間に挟まれた中間フィルムと、
を含む積層フィルムであることを特徴とする滅菌袋。
【請求項2】
前記内側フィルムが、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の滅菌袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療器材やヘルスケア製品などの被滅菌物を収容する滅菌袋に関し、特に、湿熱滅菌に適した滅菌袋に関する。
【背景技術】
【0002】
医療やヘルスケア等の分野では、種々の機器や材料の滅菌を求められることが多い。滅菌の手法としては、EOG滅菌、湿熱滅菌、過酸化水素滅菌、放射線滅菌等が挙げられる。例えば、湿熱滅菌は、被滅菌物を高温高圧蒸気に晒して滅菌するものである。
【0003】
特許文献1には、湿熱滅菌時に被滅菌物を収容する滅菌袋が開示されている。この滅菌袋は、通気性シートと、非通気性シートを重ね合わせるとともに、これらシートの周縁部どうしを封止したものである。通気性シートは、スパンボンド不織布にて構成されており、ガスは通すが、細菌は殆ど通さない。非通気性シートは、外側フィルムと中間フィルムと内側フィルムとの三層フィルム構造になっている。外側フィルム及び内側フィルムは、それぞれ高密度ポリエチレン等の高密度ポリオレフィンからなり、密度が0.94g/cm以上である。中間フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリオレフィンからなり、密度が0.94g/cm未満である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国公報US2010-028575号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被滅菌物を滅菌袋に入れて湿熱滅菌すると、処理後の安全衛生性が高まる。一方、滅菌袋には、耐熱性(耐オートクレーブ性)に加えて、バクテリアバリア性、シール強度、落下強度、耐屈曲性等が要求される。特に、湿熱滅菌処理によって熱劣化が起こり、処理後の輸送時の振動や屈曲操作等でピンホールが形成されやすい。
本発明は、湿熱滅菌に適応する耐熱性を有し、かつ湿熱滅菌処理後も耐屈曲性を確保できる滅菌袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る滅菌袋は、細菌の透過を阻止可能かつ非通気性の第1シートと、細菌の透過を阻止可能かつ通気性の第2シートを備え、これらシートどうしが、互いに対向されるとともに周縁部が封止されており、前記第1シートが、高密度ポリオレフィンを含有する外側フィルムと、前記外側フィルムより前記第2シート側の内側フィルムと、低密度ポリオレフィンを含有するとともに前記外側フィルムと前記内側フィルムとの間に挟まれた中間フィルムと、を含む積層フィルムであり、前記内側フィルム及び前記外側フィルムのうち少なくとも内側フィルムが、高密度ポリオレフィン及び低密度ポリオレフィンを含有し、かつ前記内側フィルム又は前記外側フィルムの密度が0.94g/cm未満であることを特徴とする。
好ましくは、本発明に係る滅菌袋は、細菌の透過を阻止可能かつ非通気性の第1シートと、細菌の透過を阻止可能かつ通気性の第2シートを備え、
これらシートどうしが、互いに対向されるとともに周縁部が封止されており、
前記第1シートが、
高密度ポリオレフィン及びポリプロピレンを含有し、密度が0.94g/cm未満である外側フィルムと、
高密度ポリオレフィン及び低密度ポリオレフィンを含有するとともに前記外側フィルムより前記第2シート側に配置された内側フィルムと、
ポリプロピレンを含有するとともに前記外側フィルムと前記内側フィルムとの間に挟まれた中間フィルムと、
を含む積層フィルムであることが好ましい。
前記内側フィルムが、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする。
【0007】
この滅菌袋によれば、湿熱滅菌に適応する耐熱性を確保できる。かつ、湿熱滅菌処理後も耐屈曲性を確保でき、例えば輸送時の振動や屈曲操作等でピンホールが形成されるのを防止できる。ひいては、細菌等が袋内に侵入するのを防止できる。また、第1シートと第2シートの周縁部の融着封止性を向上できる。
ここで、高密度ポリオレフィンは相対的に高密度のポリオレフィンを言い、低密度ポリオレフィンは相対的に低密度のポリオレフィンを言う。すなわち、中間フィルムの低密度ポリオレフィンは、外側フィルムの高密度ポリオレフィンよりも密度が低い。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
前記外側フィルムの高密度ポリオレフィンと、前記内側フィルムの高密度ポリオレフィンとは、同種成分であってもよく、異種成分であってもよい。
前記中間フィルムの低密度ポリオレフィンと、前記内側フィルムの低密度ポリオレフィンとは、同種成分であってもよく、異種成分であってもよい。
【0008】
前記内側フィルムの高密度ポリオレフィン(A)と低密度ポリオレフィン(B)との重量比は、(A):(B)=90:10~50:50であることが好ましい。
前記内側フィルムが、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。前記低密度ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが、より好ましい。
【0009】
前記中間フィルムが、ポリプロピレンを含有することが好ましい。
これによって、耐熱性を一層高めることができ、湿熱滅菌処理の滅菌袋の外観を良好に保つことができる。
中間フィルムが、ポリプロピレンに加えて、又はポリプロピレンに代えて、ポリエチレン(好ましくは低密度ポリエチレン、より好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン)を含有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、湿熱滅菌に対応可能な耐熱性を有し、かつ耐屈曲性に優れた滅菌袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る滅菌袋の平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う、前記滅菌袋の一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、滅菌袋1を示したものである。滅菌袋1は、非通気性の第1シート10と、通気性の第2シート20を備えている。2つのシート10,20が、互いに重ね合わされ、かつ三方の縁部どうしがヒートシールにて封止されることによって封止部1aが形成されている。シート10,20の残り一方の縁部どうし間には開口1eが形成されている。2つのシート10,20どうし間には袋内室1bが形成されている。
【0013】
第2シート20は、例えば多孔性材料にて構成され、滅菌ガス等の気体の透過を許容し、かつ細菌の透過を阻止する。このような多孔性材料として、高密度ポリオレフィン製不織布が挙げられる。具体的には、タイベック(デュポン社登録商標)が挙げられるが、これに限られるものではない。
【0014】
第1シート10は、気体の透過を阻止し、当然に細菌の透過をも阻止する。図2に示すように、第1シート10は、外側フィルム11と、中間フィルム12と、内側フィルム13を含む積層フィルムによって構成されている。 第1シート10は、例えば多層押し出し成型によって作製される。
なお、図2において、第1シート10の各フィルム11,12,13及び第2シート20の厚みは誇張されている。
【0015】
外側フィルム11は、滅菌袋1の外部に面している。外側フィルム11の材質は、高密度ポリオレフィンであり、好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)である。外側フィルム11の密度は、好ましくは0.93g/cm以上であり、より好ましくは0.94g/cm~0.96g/cm程度である。
【0016】
なお、外側フィルム11は、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレン(PP)との混合樹脂であってもよい。すなわち、外側フィルム11が、高密度ポリオレフィンだけでなく低密度ポリオレフィンをも含有していてもよい。外側フィルム11の密度が、0.94g/cm未満であってもよく、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとの重量比は、70:30~30:70であってもよく、50:50程度であってもよい。また、ポリプロピレンにはホモポリマーとコポリマーがあり、更にコポリマーにはランダムコポリマーとブロックコポリマーがある。本発明においては、耐衝撃性が優れるブロックコポリマーが好ましい。
【0017】
中間フィルム12は、外側フィルム11と内側フィルム13との間に挟まれるように配置されている。中間フィルム12の材質は、外側フィルム11を構成するポリオレフィンよりも低密度のポリオレフィンであり、具体的には、例えばポリプロピレン(PP)や、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
好ましくは、中間フィルム12は、ポリプロピレンを主成分として含有する。中間フィルム12におけるポリプロピレンの含有量は、好ましくは80wt%程度以上であり、より好ましくは90wt%程度以上であり、一層好ましくは100wt%(不可避的不純物を含み得る)である。
中間フィルム12が、ポリプロピレンに加えて、低密度ポリエチレン(好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン)を含有していてもよい。例えば、中間フィルム12が、ポリプロピレン90wt%程度以上、低密度ポリエチレン10wt%程度以下含有していてもよい。
中間フィルム12の密度は、好ましくは0.94g/cm未満であり、より好ましくは0.88g/cm~0.93g/cm程度である。
【0018】
内側フィルム13は、第2シート20に面している。内側フィルム13の三方の周縁部が第2シート20にヒートシールにて接合されている。内側フィルム13は、高密度ポリオレフィン及び低密度ポリオレフィンを含有している。好ましくは、内側フィルム13は、高密度ポリエチレン(HDPE)と、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有している。低密度ポリエチレンは、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
内側フィルム13における、(A)高密度ポリエチレンと、(B)低密度ポリエチレンとの重量比は、好ましくは、(A):(B)=90:10~50:50である。
内側フィルム13の密度は、0.94g/cm未満であり、好ましくは、0.91g/cm~0.935g/cm程度である。
なお、前記外側フィルム11が、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレン(PP)との混合樹脂(すなわち高密度ポリオレフィン及び低密度ポリオレフィンを含有する樹脂)であり、外側フィルム11の密度が0.94g/cm未満である場合には、内側フィルム13の密度は、0.94g/cmを上回っていてもよい。
【0019】
滅菌袋1は、例えば次のようにして使用される。
医療器材やヘルスケア製品などの被滅菌物(図示せず)を開口1eから袋内室1bへ収容して密封する。この被滅菌物入り滅菌袋1をオートクレーブ装置等の湿熱滅菌装置に入れて湿熱滅菌する。その後、被滅菌物入り滅菌袋1を密封状態のまま医療施設等へ運搬し、利用に供する。
【0020】
滅菌袋1によれば、第1シート10の外側フィルム11及び内側フィルム13が高密度ポリエチレンを含有することで、耐熱性を確保でき、湿熱滅菌処理時の高温環境に十分に耐えることができる。更に、中間フィルム12をポリプロピレン主体とすることで、耐熱性を一層高めることができる。これによって、滅菌袋1の外観を湿熱滅菌処理後も良好に保つことができる。更には、内側フィルム13を高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの混合樹脂とすることで、第1シート10の可撓性を向上でき、湿熱滅菌処理後も耐屈曲性を確保できる。したがって、輸送時の振動や屈曲操作等でピンホールが形成されるのを防止できる。ひいては、細菌等が滅菌袋1内に侵入するのを確実に防止することができる。
内側フィルム13が低密度ポリエチレンを含有するために、第2シート20との融着性を向上でき、第1シート10と第2シート20との周縁部を確実に融着して封止することができる。
【0021】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、第1シート10の各フィルム11,12,13が、不可避的不純物を含んでいてもよい。
第1シート10にPETフィルム等の他のフィルムが接着剤を介して積層されていてもよい。
滅菌袋1は、湿熱滅菌に限られず、EOG滅菌、過酸化水素滅菌、放射線滅菌等、種々の滅菌処理用の収容袋として適用できる。
滅菌袋1の収容対象物は、医療器材やヘルスケア製品に限られず、食品、その他の物であってもよい。
【実施例1】
【0022】
実施例を説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
<試料>
第1シート10として下記三層を有する積層フィルム構造の試料を用意した。
外側フィルム11:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE) 100wt%
密度 0.955g/cm
中間フィルム12:
材質 ポリプロピレン(PP) 100wt%
密度 0.90g/cm
内側フィルム13:
材質 (A)高密度ポリエチレン(HDPE)と、(B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合樹脂
重量比 (A):(B)=70:30
密度 0.938g/cm
試料の厚み(総厚)は、100μmであった。
【0023】
<融点>
試料の融点は、PEとPPにそれぞれ対応する2ピークの融点が存在し、これらを2回測定した。1回目が131.1℃と162.6℃であった。2回目が133.3℃と162.3℃であった。
<湿熱滅菌処理>
試料を下記の湿熱滅菌環境下に晒した。
雰囲気ガス: 125℃の加圧飽和蒸気
処理時間: 30min
<耐熱性評価>
湿熱滅菌処理後の試料を外観観察した。
縮み、シワ等は殆ど形成されておらず、外観は十分良好であった。
【0024】
<耐屈曲性試験>
湿熱滅菌処理後の試料について、ASTM F392/F392M-11に準じてゲルボフレックス試験を行った。
試料を200mm×280mmにカットして、200mmの辺が周方向、280mmの辺が軸方向になるよう、筒状に丸めた。
筒状にした試料をゲルボフレックス試験器にセットした。
ゲルボフレックス試験器として、株式会社東洋精機製作所製、型番5000ESを用いた。
この試験器によって、試料の両端部を把持した状態で、該試料を軸方向に潰しながら一定角度ねじった後、元に戻す動作を繰り返した。
軸方向に潰すストロークは、174mmであった。
ねじり角度は、440°であった。
繰り返し速度は、45cpmであった。
繰り返し回数、試験時間及び試験環境温度は、以下の2通りであった。
・900回、20分間、23℃ (ASTMの条件B)
・270回、6分間、10℃ (ASTMの条件C)
<耐屈曲性評価>
試験後の試料のピンホール数を以下のようにして計測した。
試料を開いて展ばし、濾紙上に載置した。この試料の上面に赤色インクを塗布した。その後、試料を撤去し、濾紙に付いた赤色インクの斑点の数を調べた。
その結果、ピンホール数は、条件Bで3個であり、条件Cでは見つからなかった。
【実施例2】
【0025】
<試料>
実施例2では、第1シート10として、下記の三層を有する積層フィルム構造の試料を用いた。
外側フィルム11:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE) 100wt%
密度 0.96g/cm
中間フィルム12:
材質 ポリプロピレン 100wt%
密度 0.90g/cm
内側フィルム13:
材質 (A)高密度ポリエチレン(HDPE)と、(B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合樹脂
重量比 (A):(B)=60:40
密度 0.936g/cm
試料の厚み(総厚)は、100μmであった。
【0026】
<融点>
試料の融点は、1回目が131.6℃と163.2℃であった。2回目が133℃と162.3℃であった。
<湿熱滅菌処理>
実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐熱性評価>
湿熱滅菌処理後の試料を外観観察した。
縮み、シワ等は少なく、外観は良好であった。
【0027】
<耐屈曲性試験>
湿熱滅菌処理後の試料について、実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐屈曲性評価>
試験後の試料のピンホール数を、実施例1と同様にして計測した。
その結果、ピンホール数は、条件Bで2個であり、条件Cでは見つからなかった。
【実施例3】
【0028】
<試料>
実施例3では、第1シート10として、下記の三層を有する積層フィルム構造の試料を用いた。
外側フィルム11:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE)とポリプロピレン(PP)との混合樹脂
重量比 50:50
密度 0.92g/cm
中間フィルム12:
材質 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
内側フィルム13:
材質 (A)高密度ポリエチレン(HDPE)と、(B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合樹脂
重量比 (A):(B)=90:10
密度 0.95g/cm
試料の厚み(総厚) 100μm
【0029】
<融点>
試料の融点は、1回目が130.3℃と162.6℃であった。2回目が131.9℃と162.2℃であった。
<湿熱滅菌処理>
実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐熱性評価>
湿熱滅菌処理後の試料を外観観察した。
縮み、シワ等は殆ど形成されておらず、外観は十分良好であった。
【0030】
<耐屈曲性試験>
湿熱滅菌処理後の試料について、実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐屈曲性評価>
試験後の試料のピンホール数を、実施例1と同様にして計測した。
その結果、ピンホール数は、条件Bで8個であり、条件Cでは見つからなかった。
【実施例4】
【0031】
<試料>
実施例4では、第1シート10として、下記の三層を有する積層フィルム構造の試料を用いた。
外側フィルム11:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE)とポリプロピレン(PP)との混合樹脂
重量比 50:50
密度 0.92g/cm
中間フィルム12:
材質 ポリプロピレン(PP)
内側フィルム13:
材質 (A)高密度ポリエチレン(HDPE)と、(B)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合樹脂
重量比 (A):(B)=90:10
密度 0.95g/cm
試料の厚み(総厚) 100μm
【0032】
<融点>
試料の融点は、1回目が130.5℃と163.5℃であった。2回目が132.9℃と162.9℃であった。
<湿熱滅菌処理>
実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐熱性評価>
湿熱滅菌処理後の試料を外観観察した。
縮み、シワ等は殆ど形成されておらず、外観は十分良好であった。
【0033】
<耐屈曲性試験>
湿熱滅菌処理後の試料について、実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐屈曲性評価>
試験後の試料のピンホール数を、実施例1と同様にして計測した。
その結果、ピンホール数は、条件Bで3個であり、条件Cでは見つからなかった。
【0034】
[比較例1]
<試料>
比較例1として、下記の三層を有する積層フィルム構造の試料を用意した。
外側フィルム11:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE) 100wt%
密度 0.96g/cm
中間フィルム12:
材質 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE) 100wt%
密度 0.925g/cm
内側フィルム13:
材質 高密度ポリエチレン(HDPE) 100wt%
密度 0.96g/cm
試料の厚み(総厚)は、100μmであった。
【0035】
<融点>
試料の融点は、1つ目が129℃、2つ目が130℃であった。
<湿熱滅菌処理>
実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐熱性評価>
湿熱滅菌処理後の試料を外観観察した。
縮み、シワ等が多く出来ており、外観は不良であった。
【0036】
<耐屈曲性試験>
湿熱滅菌処理後の試料について、実施例1と同じ条件で湿熱滅菌処理を行った。
<耐屈曲性評価>
試験後の試料のピンホール数を、実施例1と同様にして計測した。
その結果、ピンホール数は、条件Bで12個であり、条件Cで8個であった。
【0037】
実施例及び比較例の概要を表1にして示す。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば医療器材やヘルスケア製品などを収容して湿熱滅菌処理するための滅
菌袋に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 滅菌袋
1a 封止部
1b 袋内室
1e 開口
10 第1シート
11 外側フィルム
12 中間フィルム
13 内側フィルム
20 第2シート
図1
図2