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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】支柱保護部材
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/22 20060101AFI20220124BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20220124BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
E04H17/22
E04H12/00 A
E02D27/42 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021117485
(22)【出願日】2021-07-15
【審査請求日】2021-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310020426
【氏名又は名称】有限会社渡辺製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真知子
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3115824(JP,U)
【文献】実開昭60-195336(JP,U)
【文献】特開2002-047662(JP,A)
【文献】特開2002-226983(JP,A)
【文献】特開平11-217838(JP,A)
【文献】特開2019-214875(JP,A)
【文献】特開2016-006249(JP,A)
【文献】特開2014-125830(JP,A)
【文献】特開昭49-056436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00-17/26
E04H 12/00
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に埋設して立てた金属製支柱の根元部を保護する支柱保護部材であって、
前記金属製支柱の前記地面の表面上に出た前記根元部の全周を側方から挟み込んで囲うと共に前記地面内部の基礎とは別体でこの基礎の上方に設置され且つ分割されたコンクリート製の複数の根巻きブロックを備え、
前記根巻きブロックには、前記金属製支柱の形状に沿った凹部と、前記凹部から外れた位置で横方向に貫通する横貫通孔とが形成され、
前記横貫通孔には、隣り合う前記根巻きブロックを連結する金属製の横連結部材を備えていることを特徴とする支柱保護部材。
【請求項2】
請求項1記載の支柱保護部材であって、
前記横貫通孔には、チューブが設けられていることを特徴とする支柱保護部材。
【請求項3】
請求項2記載の支柱保護部材であって、
前記根巻きブロックには、前記根巻きブロックの外周側で前記横貫通孔に連通する横ザグリ穴が形成され、
前記横連結部材は、前記横貫通孔に通される金属製の横用ボルトと、前記横用ボルトに締結される金属製の横用ナットとを備え、
前記横用ボルトの頭は、前記横ザグリ穴内に収納されており、前記根巻きブロックの外周の外方には露出しないことを特徴とする支柱保護部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の支柱保護部材であって、
前記根巻きブロックは、所定の高さに形成され、鉛直方向に複数段積み重ね可能に設けられていることを特徴とする支柱保護部材。
【請求項5】
請求項4記載の支柱保護部材あって、
積み重ねられた前記根巻きブロックを連結する縦連結部材を備えていることを特徴とする支柱保護部材。
【請求項6】
請求項5記載の支柱保護部材あって、
前記根巻きブロックには、前記横貫通孔から外れた位置で縦方向に貫通する縦貫通孔が形成され、
最上段の前記根巻きブロックには、上面側に前記縦貫通孔に連通する縦ザグリ穴が形成され、
前記縦連結部材は、前記縦貫通孔に通される縦用ボルトであることを特徴とする支柱保護部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項記載の支柱保護部材であって、
前記根巻きブロック間の隙間及び前記金属製支柱と前記根巻きブロックとの隙間には、コーキング材が設けられていることを特徴とする支柱保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に埋設して立てた看板等の金属製支柱の根元部を保護する支柱保護部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、看板、道路標識、フェンス、カーポート等は、地面に埋設して立てた金属製支柱に支持されているものがある。金属製支柱は地中内に設けたコンクリート等の基礎に埋設して固定されており、基礎の表面から上方へ金属製支柱が延びるように立てられている。
【0003】
看板等を支持する金属製支柱は外の環境に設置されており、台風などの強風を受けることで根元部に大きな外力が加わり破損のリスクが生じたり、雨や動物の尿がかけられることで根元部の腐食のリスクが生じたりする。この対策として、特許文献1、2に示す金属製支柱の根元部を保護する技術が知られている。
【0004】
特許文献1の技術は、金属製支柱の根元部に設置する腐食防止カバーであり、2分割された腐食防止カバーが根元部を挟み込むようにして設置されている。2つの腐食防止カバーは、金属製支柱の外周に沿った薄い肉厚のカバー本体部と、対向する2つのカバー本体部の合わせ部分に形成されたフランジ部と、設置状態でカバー本体部の地面側に形成されたつば部とを備えている。
【0005】
金属製支柱の根元部を2つの腐食防止カバーで挟み、つば部を地面に当接させ、フランジ部をボルトとナットで締結して腐食防止カバーを設置する。2つの腐食防止カバーの合わせ部分や、腐食防止カバーと金属製支柱の隙間にはコーキング材が塗布されている。
【0006】
しかし、特許文献1の腐食防止カバーは、板状の薄い肉厚の部材の表面にボルトとナットが露出しており、ボルトとナットが雨風に晒されて錆びる虞がある。金属製の腐食防止カバーを金属製のボルト及びナットで締結した場合、金属と金属の接触により接触部分が腐食し易くなる。
【0007】
特許文献2の技術は、金属製支柱の根元部の周囲を、ビニ-ルエステル樹脂溶液を塗布した下塗層、ガラスファイバ-層、サ-フェイスマット層などからなる重防食根巻積層で囲い、さらに重防食根巻積層の下部周囲の地表基礎に凹部を形成し、この凹部にレジンコンクリートを充填して固定する技術である。
【0008】
しかし、特許文献2の技術では、金属製支柱の根元部の周囲全体を一体化したレジンコンクリートで保護しており、地表基礎部に凹部を形成してからレジンコンクリートを充填するため、金属製支柱を設置して年数が経ってから後付けで保護構造を設けるには手間と加工コストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5805337号公報
【文献】特開2001-164761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、設置された金属製支柱に簡単に取り付けられると共に金属製の連結部材との接触部分の腐食を防止できる支柱保護部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
地面に埋設して立てた金属製支柱の根元部を保護する支柱保護部材であって、
前記金属製支柱の前記地面の表面上に出た前記根元部の全周を側方から挟み込んで囲うと共に前記地面内部の基礎とは別体でこの基礎の上方に設置され且つ分割されたコンクリート製の複数の根巻きブロックを備え、
前記根巻きブロックには、前記金属製支柱の形状に沿った凹部と、前記凹部から外れた位置で横方向に貫通する横貫通孔とが形成され、
前記横貫通孔には、隣り合う前記根巻きブロックを連結する金属製の横連結部材を備えていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、分割されたコンクリート製の複数の根巻きブロックには、金属製支柱の形状に沿った凹部が形成されているので、簡単に金属製支柱に対して位置合わせして根元部の全周を側方から挟み込んで囲うことができる。このため、支柱保護部材を設置された金属製支柱に簡単に取り付けることができる。さらに、隣り合う根巻きブロックを横連通孔に横連結部材を通して連結するので、分割された根巻きブロックを簡単に1つの塊にすることができると共に、連結部材の外部への露出を少なくして連結部材の腐食を防止できる。さらに、根巻きブロックがコンクリート製であるため、金属製の横連結部材との接触部分の腐食を防止できる。
【0013】
好ましくは、前記横貫通孔には、チューブが設けられていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、横貫通孔にチューブが設けられているので、金属製の横連結部材を通して連結する場合であっても、コンクリート製の横貫通孔に引っ掛かることなく円滑に抜き差しすることができ、取り付け取り外しを容易にし、支柱保護部材を設置された金属製支柱に簡単に取り付けることができる。
【0015】
好ましくは、前記根巻きブロックには、前記根巻きブロックの外周側で前記横貫通孔に連通する横ザグリ穴が形成され、
前記横連結部材は、前記横貫通孔に通される金属製の横用ボルトと、前記横用ボルトに締結される金属製の横用ナットとを備え、

前記横用ボルトの頭は、前記横ザグリ穴内に収納されており、前記根巻きブロックの外周の外方には露出しないことを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、根巻きブロックの横貫通孔に横用ボルトを挿通して横用ナットで連結するので、根巻きブロックを根元部に簡単に取り付けることができる。さらに、分割された根巻ブロックを横用ボルト及び横用ナットにより横方向に締め付けるので、根巻きブロックを金属製支柱の根元部にしっかりと固定することができる。さらに、横ザグリ穴に横用ボルトの頭が収納されるので、上からの雨が横用ボルトの頭に当たることを防止でき、横用ボルトの腐食を防止することができる。さらにまた、横用ナットを取り外し、横用ボルトを横貫通孔から抜き取るだけで、根巻きブロックの連結を解除することができるため、金属製支柱の点検時や根巻ブロックの交換時に金属製支柱から容易に取り外すことができる。
【0017】
好ましくは、前記根巻きブロックは、所定の高さに形成され、鉛直方向に複数段積み重ね可能に設けられていることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、根巻きブロックは、鉛直方向に複数段積み重ねられるので、根巻きブロック一つ一つの重さを軽くして持ち運び易くでき、根巻きブロックを根元部に簡単に取り付けることができる。さらに、鉛直方向に根巻きブロックを積み重ねられるので、金属製支柱の長さや根元部の状態に応じで根巻ブロックの高さを調整できる。
【0019】
好ましくは、積み重ねられた前記根巻きブロックを連結する縦連結部材を備えている。
【0020】
かかる構成によれば、積み重ねられた根巻きブロックを縦連結部材で連結するので、上下に積み重ねられた根巻きブロックがずれないようにすることができる。
【0021】
好ましくは、前記根巻きブロックには、前記横貫通孔から外れた位置で縦方向に貫通する縦貫通孔が形成され、
最上段の前記根巻きブロックには、上面側に前記縦貫通孔に連通する縦ザグリ穴が形成され、
前記縦連結部材は、前記縦貫通孔に通される縦用ボルトであることを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、根巻きブロックの縦貫通孔に縦用ボルトを挿通するだけなので、根巻きブロックを根元部に簡単に取り付けることができる。さらに、縦ザグリ穴に縦用ボルトの頭が収納されるので、縦用ボルトの頭を保護することができる。
【0023】
好ましくは、前記根巻きブロック間の隙間及び前記金属製支柱と前記根巻ブロックとの隙間には、コーキング材が設けられていることを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、根巻きブロック間の隙間及び金属製支柱と根巻ブロックとの隙間にはコーキング材が設けられているので、隙間からの水の浸入をコーキング材の塗布だけで容易に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
設置された金属製支柱に簡単に取り付けられると共に金属製の連結部材との接触部分の腐食を防止できる支柱保護部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例に係る支柱保護部材の金属製支柱への取り付け前と取り付け後を説明する図である。
図2】本発明の実施例に係る支柱保護部材を金属製支柱に取り付けた状態を説明するする図である。
図3】本発明の実施例に係る支柱保護部材の正面部分断面図である。
図4】本発明の実施例に係る最上段の根巻きブロックと中段の根巻きブロックの平面部分断面図である。
図5】本発明の実施例に係る支柱保護部材の横用ボルト位置での断面図と縦用ボルト位置での断面図である。
図6】本発明の実施例に係る支柱保護部材の取り付けを説明する作用図である。
図7】本発明の別態様に係る支柱保護部材の平面図である。
図8】本発明のさらなる別態様に係る支柱保護部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例
【0028】
図1の(A)は支柱保護部材30を取り付ける前の看板11の状態を示す斜視図であり、看板11は金属製支柱10を介して地面20に設置されている。金属製支柱10は地面20の表面22から上方へ延びるように立てられており、金属製支柱10のうち地面20との境目12から上方側の根元部13は、雨や動物の尿がかけられることで腐食する虞がある。また、看板11に強風が当たることにより、金属製支柱10の根元部13に外力が加わることもある。このため、金属製支柱10の根元部13を保護することが必要となる場合がある。なお、実施例では、金属製支柱10は看板11を支持するものとしたが、これに限定されず、金属製支柱10は道路標識、フェンス、カーポートなどを支持するものであってもよい。
【0029】
図1の(B)は支柱保護部材30を取り付けた後の看板11の状態を示す斜視図であり、看板11は金属製支柱10を介して地面20に設置され、金属製支柱10の根元部13は支柱保護部材30で囲われている。支柱保護部材30は、コンクリート製のブロック状に形成された根巻ブロック31を備えている。コンクリートの材質は、一般的に使用されているものであれば種類は問わない。
【0030】
図2(A)は支柱保護部材30を金属製支柱10に取り付けた状態を説明する側面図であり、金属製支柱10は、地面20内部の基礎21に埋設された埋設部14と、この埋設部14に繋がり地面20(又は基礎21)の表面22から上方に延びている根元部13とを備えている。分割された根巻きブロック31は3段に積み重ねられている。
【0031】
図2(B)は支柱保護部材30を金属製支柱10に取り付けて金属製の横連結部材40と縦連結部材50を締結する状態を説明する斜視図であり、金属製支柱10の根元部13は、その全周を側方から分割された複数の根巻きブロック31に囲われている。具体的には、3段に積み重ねられた根巻きブロック31のそれぞれは、同じ高さ(同じ段数)の位置で2つに分割されており、2つに分割された根巻きブロック31によって根元部13の全周が側方から挟み込んで囲われている。なお、図2(A)と図2(B)とでは、看板11に対する分割した根巻きブロック31の方向が異なるが、看板11に対して根巻きブロック31の分割位置の方向はいずれであってもよい。
【0032】
同じ高さ(同じ段数)の位置にある2つの根巻きブロック31は横連結部材40によって連結されている。平面視で同じ位置にて積み重ねられた根巻きブロック31は縦連結部材50によって連結されている。
【0033】
次に根巻きブロック31の形状について説明する。
図3は~図5を参照する。図3は支柱保護部材30の正面部分断面図であり、図4(A)は最上段の根巻きブロック31の平面部分断面図であり、図4(B)は中段の根巻きブロック31の平面部分断面図であり、図5(A)は横用ボルト41位置での断面図であり、図5(B)は縦用ボルト51位置での断面図である。
【0034】
根巻きブロック31は平面視でU字状(コ字状)であり、向かい合う根巻きブロック31の対向する面は、金属製支柱10の形状に沿った凹部32が形成されている。金属支柱10の断面は矩形状であり、この矩形状に沿った形状となるように凹部32が形成されている。根巻きブロック31には、凹部32から外れた位置で横方向に貫通する横貫通孔33と、根巻きブロック31の外周34側で横貫通孔33に連通する横ザグリ穴35とが形成されている。2つの根巻きブロック31を合わせると、全体として平面視で矩形状となる。
【0035】
根巻きブロック31は、所定の高さに形成され、鉛直方向に複数段積み重ね可能に設けられている。根巻きブロック31には、横貫通孔33から外れた位置で縦方向に貫通する縦貫通孔37が形成されている。最上段の根巻きブロック31には、上面側に中央から外側に向かって下方に傾斜して雨を外方に流す傾斜面39と、縦貫通孔37に連通する縦ザグリ穴38とが形成されている。中段の根巻きブロック31には、傾斜面39及び縦ザグリ穴38は形成されていない。
【0036】
横貫通孔33の内周面には横連結部材40を通す際に滑り易くするための樹脂製のチューブ36が設けられている。横貫通孔33の内周面にチューブ36が設けられていることで、金属製の横連結部材40内周面に直接接触することがないため内周面のコンクリートの破損を防止できると共に横貫通孔33に引っ掛かることなく円滑に抜き差しすることができる。最下段の根巻きブロック31には、縦貫通孔37が上方から上下方向の途中まで形成されており、この縦貫通穴37に縦連結部材50が入っている。なお、実施例では、チューブ36を例えばいわゆる塩ビ管と言われる樹脂製のものとしたが、これに限定されず、金属製や木製としてもよい。
【0037】
次に横連結部材40と縦連結部材50について説明する。
横連結部材40は、隣り合う根巻きブロック31を連結するものであり、横貫通孔33に通される金属製の横用ボルト41と、この横用ボルト41に通されるワッシャ43と、横用ボルト41に締結される横用ナット42とを備えている。横貫通孔33の内周面には樹脂製のチューブ36が設けられているので、横用ボルト41を滑らせて横貫通孔33に通し易くすることができる。横用ボルト41の頭及びワッシャ43は、横ザグリ穴35内に収納されており、根巻きブロック31の外周34の外方には露出しない。
【0038】
縦連結部材50は、積み重ねられた根巻きブロック31が横方向にずれないように連結するものであり、縦貫通孔37に通される金属製の縦用ボルト51を備えている。なお、縦用ボルト51はワッシャに通して締結しても差し支えない。縦用ボルト51の頭は、縦ザグリ穴38に収納されており、傾斜面39の外方には露出しない。なお、縦用ボルト51を締結した後の縦ザグリ穴には、コーキング材60を塗布することで雨水がザ縦ザグリ穴38に溜まることを防止できる。なお、実施例では、縦用ボルト51を最下段の根巻きブロック31の縦貫通孔37に通すだけ、又はねじ込むものとしたが、これに限定されず、最下段の根巻きブロック31の縦用貫通孔37の下部にナットを設け、このナットに縦用ボルト51を締結してもよい。これにより、積み重ねられた根巻きブロック31をよりしっかりと固定することができる。
【0039】
次に以上に述べた支柱保護部材30の取り付けの作用を説明する。
図6(A)に示すように、地面20の表面22に置くようにして分割された根巻ブロック31を置き、根巻ブロック31の凹部32で金属製支柱10の根元部13を囲うようにして2つの根巻きブロック31で挟み込む。横連結部材40で隣り合う根巻きブロック31を連結して1段目を取り付ける。
【0040】
次に1段目の根巻きブロック31の上に2段目の根巻きブロック31の一方を配置する。根巻きブロック31の他方を矢印(1)のように設置し、横ボルト41を矢印(2)のように通して横用ナット42に締結して2断面を取り付ける。同様にして3段目の根巻きブロック31を取り付ける。
【0041】
図6(B)に示すように、縦用ザグリ穴38に縦用ボルト51を入れ、さらに縦貫通孔37(図5(B)参照)に挿通して最下段の根巻きブロック31の縦貫通穴37にねじ込む。これで積み重ねた根巻きブロック31が連結される。
【0042】
根巻きブロック31間の隙間に弾性及び可撓性を有するバックアップ材61を挟み、さらにコーキング材60を根巻きブロック31間の隙間や、金属製支柱10と根巻きブロック31との隙間に塗布する。
【0043】
次に別態様に係る支柱保護部材30について説明する。なお、前述の支柱保護部材30と同様の構成については符号を振って説明を省略する。
図7(A)に示すように、金属製支柱10は断面視で円形状に形成されている。根巻きブロック31の凹部32は、金属製支柱10の形状に沿うように円弧状に形成されている。2つの根巻きブロック31を合わせると、全体として平面視で円形状となる。
【0044】
図7(B)に示すように、根巻きブロック31は平面視で3つに分割され、扇形状を呈している。なお、実施例では根巻きブロック31の中心角を等しく120度としているが、異なる角度としても差し支えない。隣り合う根巻きブロック31を連結する横連結部材40も3つ配置されている。これらの横連結部材40に平面視で重ならない位置に縦連結部材50が3つ配置されている。
【0045】
次にさらなる別態様に係る支柱保護部材30について説明する。
図8(A)に示すように、金属製支柱10の根元部13に腐食部64が発生している場合、金属製支柱10の根元部13に鉄板62を配置し溶接する。鉄板62は金属製支柱10にボルト止めしてもよい。そうすると、鉄板62を配置した部分が、その上方の鉄板62を配置していない部分に比較して、外形が大きくなる。
【0046】
図8(B)に示すように、1段目の根巻きブロック31は、根元部13の鉄板62が収納できるように凹部32(図4(B)参照)が拡張された拡張部63を備えている。2段目の根巻きブロック31にも根元部13の鉄板62が収納できるように凹部32(図4(B)参照)が拡張された拡張部63を備えている。3段目の根巻きブロック31は、通常の凹部32を備えている。
【0047】
このように、金属製支柱10の根元部13に腐食が発生したことにより鉄板62による補強が必要になった場合でも、その外方を拡張部63が形成された根巻きブロック31と、通常の根巻きブロック31によって、適切に鉄板62部分を保護すると共に鉄板62がない部分も保護することができる。
【0048】
次に以上に述べた支柱保護部材10の作用、効果を説明する。
本発明の実施例によれば、分割されたコンクリート製の複数の根巻きブロック31には、金属製支柱の形状に沿った凹部32が形成されているので、簡単に金属製支柱10に対して位置合わせして根元部13の全周を側方から挟み込んで囲うことができる。このため、支柱保護部材30を設置された金属製支柱10に簡単に取り付けることができる。さらに、隣り合う根巻きブロック31を横連通孔33に横連結部材40を通して連結するので、分割された根巻きブロック31を簡単に1つの塊にすることができると共に、横連結部材40の外部への露出を少なくして横連結部材40の腐食を防止できる。さらに、根巻きブロック31がコンクリート製であるため、金属製の横連結部材40との接触部分の腐食を防止できる。
【0049】
さらに、横貫通孔33にチューブ36が設けられているので、金属製の横連結部材40を通して連結する場合であっても、コンクリート製の横貫通孔33に引っ掛かることなく円滑に抜き差しすることができ、取り付け取り外しを容易にし、支柱保護部材30を設置された金属製支柱10に簡単に取り付けることができる。
【0050】
さらに、根巻きブロック31の横貫通孔33に横用ボルト41を挿通して横用ナット42で連結するので、根巻きブロック31を根元部13に簡単に取り付けることができる。さらに、分割された根巻ブロック31を横用ボルト41及び横用ナット42により横方向に締め付けるので、根巻きブロック31を金属製支柱10の根元部13にしっかりと固定することができる。さらに、横ザグリ穴35に横用ボルト41の頭が収納されるので、上からの雨が横用ボルト41の頭に当たることを防止でき、金属製の横用ボルト41の腐食を防止することができる。さらにまた、横用ナット42を取り外し、横用ボルト41を横貫通孔33から抜き取るだけで、根巻きブロック31の連結を解除することができるため、金属製支柱10の点検時や根巻ブロック31の交換時に金属製支柱10から容易に取り外すことができる。
【0051】
さらに、根巻きブロック31は、鉛直方向に複数段積み重ねられるので、根巻きブロック31一つ一つの重さを軽くして持ち運び易くでき、根巻きブロック31を根元部13に簡単に取り付けることができる。さらに、鉛直方向に根巻きブロック31を積み重ねられるので、金属製支柱10の長さや根元部13の状態に応じで根巻ブロック31の高さを調整できる。
【0052】
さらに、積み重ねられた根巻きブロック31を縦連結部材50で連結するので、上下に積み重ねられた根巻きブロック31がずれないようにすることができる。
【0053】
さらに、根巻きブロック31の縦貫通孔37に縦用ボルト51を挿通するだけなので、根巻きブロック31を根元部13に簡単に取り付けることができる。さらに、縦ザグリ穴38に縦用ボルト51の頭が収納されるので、縦用ボルト41の頭を保護することができる。
【0054】
さらに、根巻きブロック31間の隙間及び金属製支柱10と根巻ブロック31との隙間にはコーキング材60が設けられているので、隙間からの水の浸入をコーキング材の塗布だけで容易に防ぐことができる。
【0055】
尚、実施例では、根巻きブロック31の外形が矩形状の場合は凹部32も矩形状とし、根巻きブロック31の外形が円形の場合は凹部32を円弧状としたが、これに限定されず根巻きブロック31の外形を矩形状として凹部32を円弧状とすることや、その逆もよく、根元部13を保護できれば根巻きブロック31の外形と凹部32の形状の組み合せは問わない。
【0056】
また、実施例では、根巻きブロック31を3段積み重ねたが、これに限定されず、根巻きブロック31を1段、2段、4段としてもよく、根元部13を保護できれば段数は問わない。
【0057】
また、実施例では、根巻きブロック31の平面視における組み合わせた全体の外形の寸法を300mm、1つの根巻きブロック31の高さを80mmとしたが、これに限定されず、巻きブロック31の外形の寸法を200mm、250mm、350mm、400mmなどとしてもよく、1つの根巻きブロック31の高さを70mm、90mm、100mmなどと適宜変更してもよい。また、実施例では、平面視で矩形状とした場合の組み合わせた全体の外形寸法の縦と横の比率を1:1としたがこれに限定されず、いわゆる白銀比といわれる1:1.414(約5:7)や、いわゆる黄金比といわれる1:1.618(約5:8)の比率となる長方形としてもよい。さらには、側面視における、高さと横(外形)の寸法の比率を1:1.414(約5:7)や、1:1.618(約5:8)としてもよく、外形の縦、横、高さの寸法比率や大きさはいずれであってもよい。
【0058】
また、平面視で分割した各根巻きブロック31に縦貫通孔37を形成したが、これに限定されず、平面視で分割した根巻きブロック31の1つにのみ縦貫通孔37を形成して他の根巻きブロック31に縦貫通孔37を形成しなくてもよく、全体として縦方向に積み重ねた根巻きブロック31を連結できれば、縦貫通孔37の数は問わない。また、根巻きブロック31の表面にはカラー塗装を施してもよい。根巻きブロック31の表面にカラー塗装を施すことにより視認性を向上させることができる。さらに、例えば看板やこの看板を支持する金属製支柱10に応じて根巻きブロック31の表面にカラー塗装を施すことで全体のイメージを向上させることもできる。
【0059】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は地面に埋設して立てた看板等の金属製支柱の根元部を保護する支柱保護部材に好適である。
【符号の説明】
【0061】
10…金属製支柱、11…看板、13…根元部、20…地面、21…基礎、22…表面、30…支柱保護部材、31…根巻きブロック、32…凹部、33…横貫通孔、34…外周、35…横ザグリ穴、36…チューブ、37…縦貫通孔、38…縦ザグリ穴、39…傾斜面、40…横連結部材、41…横用ボルト、42…横用ナット、50…縦連結部材、51…縦用ボルト、60…コーキング材、61…バックアップ材、62…鉄板、63…拡張部。

【要約】
【課題】設置された金属製支柱に簡単に取り付けられると共に金属製の連結部材との接触部分の腐食を防止できる支柱保護部材を提供すること。
【解決手段】支柱保護部材10は、地面20に埋設して立てた金属製支柱10の根元部13を保護するものである。支柱保護部材10は、金属製支柱10の地面20の表面22上に出た根元部13の全周を側方から挟み込んで囲うと共に分割されたコンクリート製の複数の根巻きブロック31を備えている。根巻きブロック31には金属製支柱10の形状に沿った凹部32が形成されている。
【選択図】図3

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