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特許7012990飲料を入れた容器の発生する音色による飲料の識別方法
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  • 特許-飲料を入れた容器の発生する音色による飲料の識別方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】飲料を入れた容器の発生する音色による飲料の識別方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/14 20060101AFI20220124BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20220124BHJP
   G01N 29/036 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
G01N33/14
G01H3/00 Z
G01N29/036
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017123310
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2018136293
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2017032595
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
(72)【発明者】
【氏名】戸井 武司
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-110221(JP,A)
【文献】特開平10-033114(JP,A)
【文献】特開平06-094702(JP,A)
【文献】特開2006-017614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030881(US,A1)
【文献】川崎種一,流動食品の粘度データ,New Food Industry,1981年,Vol.23,No.1,pp.84-86
【文献】ママとサイエンス,グラスから音が出るしくみ,インターネット,2013年07月15日,https://web.archive.org/web/20130715154038/http://www.science-with-mama.com/prev/jiyukenkyu/summer08/senior/index.html,令和3年2月15日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00,33/14,
G01H 3/00,
A47G 19/22,
A63H 5/00,
G10K 1/07-1/08,
G01N 11/00,
G01N 29/036,
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器に飲料を入れて当該飲料容器を叩くことで発生する振動音の変化で飲料の種類を識別する方法であって、前記飲料容器に入れた飲料が水,清酒,ビール及び炭酸水のうち、いずれかの飲料であるかをその前記振動音の違いにて識別するものであり、
前記飲料容器は黄銅合金からなるものであることを特徴とする飲料の種類を識別する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に入れた飲料の種類により、その容器の打音が異なることに着目した飲料の識別方法又はそれを楽しむ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、ワイングラスやゴブレットグラス等の脚付きグラス(ステムグラス)を相互に軽く打ち付けると、音の響きがよいことに着目して、さらに音の響きを楽しめるように黄銅製の脚付き飲用容器を製作してみた。
このような飲用容器は軽く叩くことで、いわば、おりんにも似たような心地よい音色であった。
試作した上記容器に清酒を注ぎ、乾杯のごとき軽く打ち鳴らすと、長く余韻のある響きであった。
ところが、驚くべきことに、ビールを注いて軽く打ち鳴らすと、その響きが全く異なるものであった。
【0003】
早速、検索サイト,特許情報プラットホームにて調査したが、これに関連するものが発見されなかった。
特許文献1には、超音波の減衰量による液体判別装置及び方法を開示するが、容器の打音によるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-17614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、飲料を入れた容器の打音により、その飲料の種類を識別したり、その違いを楽しむ方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、飲料を入れた容器を叩くことで発生する音色にて飲料の種類を識別する方法に特徴がある。
ここで、音色は振動音の変化によるものであってよい。
【0007】
本発明にて識別する方法とは、その音色の違いにより、飲料の種類を当てる楽しみ方等、広い意味である。
【0008】
容器には、コリングラス,タンブラー,ビアグラス,ワイングラス,カクテルグラス,シャンパングラス,ゴブレットグラス,ブランデーグラス等の各種容器が含まれ、ここでのグラスとは、いわゆるガラス製のみならず、金属製も含まれる広い概念である。
金属製には、ステンレス,アルミ,チタン,黄銅,錫製等が例として挙げられる。
【0009】
飲料の種類としては、清酒,焼酎,ワイン,ウイスキー,ブランデー,リキュール,ウオッカ,ビール,ジュース,牛乳,炭酸水,水等、その種類に制限はない。
その中でも打音の変化が大きいのは、発泡性の飲料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、新しく見出された飲料の種類による容器の打音の変化に基づくものであり、飲料の製造工程や販売において、また飲料を飲んで楽しむ場面等、広い分野での応用が期待される。
また、発泡性の液体によって顕著に容器の振動が制限されることが本発明を通じで判明した。
逆にいえば、驚くべき減衰性を利用した、発泡性の液体のダンパー(振動制限装置)としての幅広い利用方法も考えられる。
発泡性の飲料かどうかは、透明な飲料や水溶液では、見た目ですぐにわからない場合が多く、簡便に乾杯などで、その音の鳴り方で判別がつく。
このことは、目の不自由な人などにとってはとても助かる機能である。
例えば振動により、ベルのように音量がほどほどあり、音の周波数のピークが顕著にあるような、ベルとしても利用できる容器にすれば発泡性の液体とそうでない液体とを判別する判別方法として利用でき、耳で聞いてすぐ判断できるので、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実験用に用いた飲用容器の断面図を示す。
図2】打音の周波数チャートを示す。
図3】注いだ飲料の種類による振動の差を示す。
図4】振動解析によるアニメーションを示し、(a)は一次モード、(b)は二次モードを示す。
図5】10gの水,炭酸水を入れた時の振動スペクトラムを示す。
図6】15gの水,炭酸水を入れた時の振動スペクトラムを示す。
図7】25gの水,炭酸水を入れた時の振動スペクトラムを示す。
図8】35gの水,炭酸水を入れた時の振動スペクトラムを示す。
図9】水に佐藤を1.5,3.0,4.5,6.0g加えた時のスペクトラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示した飲用容器10に清酒を約70%注いて、打音した時の周波数と、そのdBのチャートを示す。
周波数2,350Hz,5,437Hz,9,703Hz付近にて大きく、且つ長い音色であった。
これに対して、ビールを約70%注いて叩いたところ、非常に短い音色であった。
【0013】
次に、図1に示したような飲料容器を用いて、図3に示すように(a):空に下状態、(b):約半分の水を入れた状態、(c):炭酸水を入れた状態で音を鳴らして、その残響を調査した。
調査に用いた飲用容器は、黄銅合金からなり、開口部外径約40mm,肉厚1mm,容器の深さ約45mm,底部の内径約20mmのものである。
等価騒音レベルが70dBから50dBまで低下する残響時間を計測すると、(a)の空は約2.7秒,(b)の水を入れたものは約1.5秒であったのに対して、炭酸水を入れたものは0.1秒と非常に短かった。
【0014】
次に、振動モードを解析した。
図4(a)には、一次モードの振動、(b)には二次モードの振動のアニメーション図を示す。
図5は、容器に10gの水を入れた状態と、10gの炭酸水の入れた状態での振動スペクトラムを示す。
同様に、図6は15gの水又は炭酸水を入れた状態、図7は25gの水又は炭酸水を入れた状態、図8は35gの水又は炭酸水を入れた状態の各スペクトラムを示す。
水と炭酸水では明らかに相違し、入れる量によっても変化することが分かる。
図9は、15gの水に砂糖をそれぞれ1.5g,3.0g,4.5g,6.0gを加えて溶かした溶液を入れた状態の振動スペクトラムを示す。
砂糖の加える量によっても、振動が変化しているのが分かる。
【符号の説明】
【0015】
10 飲用容器
11 台部
12 脚部
13 本体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9