(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ステイン塗料組成物、光硬化性塗料組成物、塗料材料および多孔質材料の塗装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20220124BHJP
C09D 15/00 20060101ALI20220124BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220124BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20220124BHJP
C09D 7/47 20180101ALI20220124BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20220124BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20220124BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20220124BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D15/00
C09D7/61
C09D7/65
C09D7/47
C09D7/43
C09D5/02
C09D4/00
B05D7/24 303A
B05D7/24 302Z
B05D7/24 301T
(21)【出願番号】P 2017155148
(22)【出願日】2017-08-10
【審査請求日】2020-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】392007566
【氏名又は名称】ナトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 秀之
(72)【発明者】
【氏名】友廣 真吾
(72)【発明者】
【氏名】榊原 太一
【審査官】宮地 慧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-109741(JP,A)
【文献】特開2001-181552(JP,A)
【文献】特開2007-237022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価金属カチオン(A1)、
前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、
着色顔料(B)、
水性樹脂(C)および
水(D)
を含
み、
前記多価金属カチオン(A1)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記対アニオン(A2)が、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むステイン塗料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のステイン塗料組成物であって、
前記着色顔料(B)が、ノニオン系分散剤により分散された顔料を含むステイン塗料組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステイン塗料組成物であって、
前記水性樹脂(C)が、ノニオン系樹脂エマルジョン粒子を含むステイン塗料組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のステイン塗料組成物であって、
組成物中における前記多価金属カチオン(A1)の含有量が0.1mol/100g以上であるステイン塗料組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、消泡剤(E)を含むステイン塗料組成物。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、レベリング剤(F)を含むステイン塗料組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、レオロジーコントロール剤(G)を含むステイン塗料組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料の表面に塗布するための光硬化性塗料組成物であって、
1分子中に、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物。
【請求項9】
請求項
8に記載の光硬化性塗料組成物であって、
前記親水性基が、窒素原子含有基、ヒドロキシ基およびポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つである光硬化性塗料組成物。
【請求項10】
第1容器に収容された第1塗料組成物と、第2容器に収容された第2塗料組成物とを含む塗料材料であって、
前記第1塗料組成物が、多価金属カチオン(A1)、前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、着色顔料(B)、水性樹脂(C)および水(E)を含むステイン塗料組成物であり、
前記第2塗料組成物が、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物であ
り、
前記多価金属カチオン(A1)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記対アニオン(A2)が、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、塗料材料。
【請求項11】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のステイン塗料組成物により多孔質材料を塗装する第1塗装工程および
請求項
8または
9に記載の光硬化性塗料組成物により前記多孔質材料を塗装する第2塗装工程
をこの順に含む、多孔質材料の塗装体の製造方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の多孔質材料の塗装体の製造方法であって、
前記多孔質材料が、木材である、塗装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステイン塗料組成物、光硬化性塗料組成物、塗料材料および多孔質材料の塗装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材等の多孔質材料を着色する塗料として、多孔質材料への浸透性を有するステイン塗料組成物がある。
ステイン塗料組成物には、有機溶剤系のものと、水性のものとが知られているが、環境対応の点から、近年、水性のステイン塗料組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、水性樹脂、水分散着色剤および繊維状珪酸マグネシウム質鉱物類の粉末を含有することを特徴とする水性ステイン組成物が開示されている。
また、特許文献2には、pH7以下のアクリル樹脂からなる水性樹脂および水分散着色剤を含有してなり、かつ、pHが7以下であることを特徴とする水性ステイン組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-109741号公報
【文献】特開2001-181552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、環境対応の点などから、水性のステイン塗料組成物が検討されている。
しかし、水性のステイン塗料組成物で木材を着色塗装した場合、木材の種類などによっては、
図1の左図に示すように、木材繊維の一部が木材表面で立ち上がり、そのまま固まって突起となってしまう場合があった。このような事象は、「目ブクレ」「毛羽立ち」などと呼ばれる。
木材には、通常、ステイン塗料組成物の塗装後、表面保護のための硬化型塗料(下塗り、中塗り、上塗りなど)を重ね塗るが、突起が存在したまま硬化性塗料を重ね塗りすると、表面がでこぼこで、商品価値が低い塗装体ができあがってしまう。よって、突起が発生した場合には、硬化型塗料を重ね塗る前に、木材表面を研磨して突起を削る追加工程を設けなければならない。このような追加工程は、コストアップ等の要因となってしまう。
このような問題点により、これまで、水性のステイン塗料組成物は敬遠されがちであり、環境面の問題はありつつも有機溶剤系のステイン塗料組成物を使用せざるをえない状況があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的の1つは、水性のステイン塗料組成物において、目ブクレまたは毛羽立ちを抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、水性のステイン塗料組成物に含有させる成分に着目して、種々の検討を行った。その結果、以下に提供される発明をなし、上記課題を達成できることを見出した。
【0007】
本発明によれば、
多価金属カチオン(A1)、
前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、
着色顔料(B)、
水性樹脂(C)および
水(D)
を含み、
前記多価金属カチオン(A1)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記対アニオン(A2)が、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、ステイン塗料組成物
が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
前記のステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料の表面に塗布するための光硬化性塗料組成物であって、
1分子中に、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物
が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
第1容器に収容された第1塗料組成物と、第2容器に収容された第2塗料組成物とを含む塗料材料であって、
第1塗料組成物が、多価金属カチオン(A1)、多価金属カチオンの対アニオン(A2)、着色顔料(B)、水性樹脂(C)および水(E)を含むステイン塗料組成物であり、
第2塗料組成物が、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物であり、
前記多価金属カチオン(A1)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記対アニオン(A2)が、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、塗料材料
が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
上記のステイン塗料組成物により多孔質材料を塗装する第1塗装工程および
上記の光硬化性塗料組成物により前記多孔質材料を塗装する第2塗装工程
をこの順に含む、多孔質材料の塗装体の製造方法
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水性のステイン塗料組成物において、目ブクレまたは毛羽立ちを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】「目ブクレ」について説明するための写真である。
図1の左側の写真は、従来の水性ステイン塗料組成物を用いて木材を塗装したときの木材表面の写真であり、多くの「目ブクレ」が発生している。
図1の右側の写真は、本発明のステイン塗料組成物を用いて木材を塗装したときの木材表面の写真であり、目ブクレのない平滑な表面の着色木材が得られている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書中、成分量や温度などの説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
本明細書中、「(メタ)アクリル」との表記は、特に断らない限り、アクリルとメタクリルとを包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表現についても同様である。
本明細書における基(原子団)の表記について、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0014】
<ステイン塗料組成物>
ステイン塗料組成物の実施形態について説明する。
本実施形態のステイン塗料組成物は、多価金属カチオン(A1)、多価金属カチオンの対アニオン(A2)、着色顔料(B)、水性樹脂(C)および水(D)を含む。
【0015】
本実施形態のステイン塗料組成物は、上記の構成により、目ブクレまたは毛羽立ちを抑えることが可能となる。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように説明することができる。
【0016】
従来の水系のステイン塗料組成物において、目ブクレや毛羽立ちが発生する原因は、多孔質材料の内部(特に、多孔質材料が木材である場合には、その木材の導管に当たる部分)に水が多く侵入するためと考えられる。
しかし、多価金属カチオンやその対アニオンが水系ステイン塗料組成物の中に存在する場合には、浸透圧の関係などにより、多孔質材料の内部に水が浸透することが適度に抑えられるものと推定される。つまり、ステイン塗料組成物中の水が多孔質材料中に浸透するよりも、木材の導管中の水分が導管の外に移動するほうが熱力学的に有利な状態が作り出されることにより、導管へのステイン塗料組成物の浸透が抑えられる。この結果、目ブクレまたは毛羽立ちが抑えられると推定される。
なお、念のため述べておくが、木材は完全な半透膜ではないため、浸透圧の関係によらず、ある程度の量のステイン塗料組成物は木材に浸透する。
【0017】
ここで、理論上、理想希薄溶液の浸透圧は、溶液中に存在する溶質分子の数だけに依存し、溶質の種類には依存しない(束一的性質)。よって、多価金属カチオンやその対アニオンに限らず、任意の物質が水系ステイン塗料組成物中に溶解していれば、木材へのステイン塗料組成物の浸透が抑えられるようにも思われる。しかし、本実施形態においては、組成物が、特に多価金属カチオンおよびその対アニオンを含むことにより、目ブクレまたは毛羽立ち抑制の効果が顕著に得られる。
この理由は定かではないが、例えば、(1)組成物中の水が、多価金属カチオンと適度に相互作用・会合などする結果、木材等の多孔質のミクロな構造に水が浸透しづらくなること、(2)木材の細胞膜の物質透過性に何らかの特異性・選択性があること、等が理由として推定される。
【0018】
つまり、組成物が多価金属カチオンおよびその対アニオンを含むことによる、溶液のマクロな性質(浸透圧)の変化や、多価金属カチオンと水や木材とのミクロな相互作用などにより、目ブクレまたは毛羽立ち抑制の効果が得られると推定される。このような技術思想による目ブクレまたは毛羽立ちの抑制は、ステイン塗料組成物の分野においてこれまでに無かった、本発明独自のものである。
【0019】
なお、塗料組成物の分野においては、組成物が多価金属カチオン等を含む場合、その多価金属カチオン等が、組成物中に分散している成分を凝集させ、結果、貯蔵安定性が悪化するなどの懸念が考えられる。しかし、本発明者らの知見によれば、本実施形態のステイン塗料組成物は、実用上十分な貯蔵安定性を有しており、貯蔵安定性の有意な悪化は見られない。
【0020】
また、「蒸気圧降下」の理論によれば、多価金属カチオンやその対アニオン等を含む本実施形態のステイン塗料組成物は、多価金属カチオンやその対アニオン等を含まないステイン塗料組成物と比べて、乾燥性が悪くなり、実用的な乾燥速度が得られない等の懸念が考えられる。しかし、本発明者らの知見によれば、本実施形態のステイン塗料組成物は、実用上十分に速く乾燥し、乾燥性の有意な悪化は見られない。
【0021】
さらに、多価金属カチオンやその対アニオン等の供給源として考えられる塩(えん)には、潮解性を有するものがあり、耐水性などの観点での懸念も考えられる。しかし、本発明者らの知見によれば、本実施形態のステイン塗料組成物の耐水性能は特に問題ない。
【0022】
以下、本実施形態のステイン塗料組成物が含むことができる成分について説明する。
【0023】
(多価金属カチオン(A1)および対アニオン(A2))
本実施形態のステイン塗料組成物は、多価金属カチオン(A1)、および、その多価金属カチオンの対アニオン(A2)を含む。なお、以下、多価金属カチオンの対アニオン(A2)を、単に「対アニオン(A2)」とも表記する。
組成物が含むことができる多価金属カチオン(A1)は、特に限定されない。多価金属カチオン(A1)は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0024】
対アニオン(A2)は、特に限定されないが、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、一態様として、対アニオン(A2)は、1価のアニオンであることが好ましい。これにより、多価金属カチオン(A1)の量が一定である場合に、系中で存在するイオンの個数(モル数)を多くすることができる。つまり、浸透圧をより大きくできるため、目ブクレまたは毛羽立ち抑制の効果を一層得ることができると考えられる。
【0025】
ステイン塗料組成物中の、多価金属カチオン(A1)の量の下限は、特に限定されないが、通常0.05mol/100g以上であり、好ましくは0.1mol/100g以上であり、より好ましくは0.15mol/100g以上である。ステイン塗料組成物が一定量以上の多価金属カチオンを含むことで、前述の浸透圧の効果を十分に得ることが期待できるため、好ましい。
また、ステイン塗料組成物中の、多価金属カチオン(A1)の量の上限は、特に限定されないが、コストや他成分とのバランス等の点から、通常、0.5mol/100gであり、好ましくは0.4mol/100gであり、より好ましくは0.35mol/100gである。
【0026】
ステイン塗料組成物中の、対アニオン(A2)の量は、通常、多価金属カチオン(A1)の電荷を中和する量である。
【0027】
ステイン塗料組成物は、多価金属カチオン(A1)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。また、対アニオン(A2)についても、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0028】
本実施形態においては、通常、多価金属カチオン(A1)と対アニオン(A2)からなる塩を組成物中に溶解させることで、ステイン塗料組成物を調製することができる。このような塩は、例えば、和光純薬工業株式会社などから入手可能である。
組成物中の多価金属カチオン(A1)の量については先に述べたとおりであるが、塩としての含有量は、組成物の全量中、2~40質量%であることが好ましく、5~35質量%であることがより好ましく、7~30質量%であることがさらに好ましい。
【0029】
(着色顔料(B))
本実施形態のステイン塗料組成物は、着色顔料(B)を含有する。
着色顔料(B)は、塗装により得ようとする色調に応じて、公知の顔料を適宜選択可能である。例えば、チタン白、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどの黄色顔料;クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバーなどの褐色顔料;ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド、キナクリドン系赤顔料などの赤色顔料;コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものでもない。
色目の調整などの目的のために、複数種の着色顔料(B)を併用してもよい。
【0030】
また、必要に応じて、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、含水珪酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉等の体質顔料を用いてもよい。
【0031】
着色顔料(B)は、分散剤により分散された顔料を含むことが好ましい。また、分散剤としては、ノニオン系分散剤を含むことが好ましい。これにより、着色顔料(B)が、組成物中に含まれる多価金属カチオン等により凝集する可能性を一層低減できる。つまり、より均質なステイン塗料組成物が得られる、塗工時の色ムラを低減できる、貯蔵安定性を一層高められる、といった効果が期待できる。
【0032】
ノニオン系分散剤は、親水基が非イオン性の分散剤であれば特に限定されない。例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンステアレート等のソルビタンのポリオキシアルキレンエーテル及び/又は脂肪酸エステル;オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体等のオキシアルキレン共重合体;ポリオキシエチレングリセリド等のグリセリンポリオキシアルキレンエーテル及び/又は脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0033】
ノニオン系分散剤は、他の分散剤(カチオン系分散剤やアニオン系分散剤)と併用してもよい。ただし、併用する場合は、ノニオン系分散剤の効果を最大限得る観点から、カチオン系分散剤やアニオン系分散剤で分散された着色顔料の量は、着色顔料(B)の全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましい。もちろん、分散剤としてノニオン系分散剤のみを用いてもよい。
【0034】
分散剤により分散された着色顔料を得る方法としては、例えば、上記の顔料および分散剤を、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、セラミックボールなどと混合のうえ、分散機により混合する方法が挙げられる。分散機としては、ニーダー、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、及びハイスピードミルが挙げられる。
【0035】
また、ノニオン系分散剤などの分散剤により分散された着色顔料として、市販品を使用してもよい。例えば、大日精化工業株式会社製の、商品名EP-130 Yellow(モノアゾ系)、EP-910 Yellow FR(ジスアゾ系)、EP-720 Red 2B(ナフトールAS系)、EP-1500 Violet 3RN(ジオキサジン系)、EP-520 Blue 2B(銅フタロシアニンブルー(α))、EP-700 Blue GA(銅フタロシアニンブルー(β))、EP-510 Green B(Cl-銅フタロシアニングリーン)、EP-510 Black TR(カーボンブラック)、EP-65 White(酸化チタン)などを使用してもよい。
【0036】
ステイン塗料組成物中における着色顔料(B)の含有量は、組成物の全量を基準として、通常1~40質量%、好ましくは1~35質量%、より好ましくは1~30質量%である。なお、この量は、着色顔料(B)が分散剤で分散されているときは、その分散剤も含めた量を表す。
【0037】
(水性樹脂(C))
本実施形態のステイン塗料組成物は、水性樹脂(C)、すなわち、水中に溶解又は分散した樹脂を含有する。
【0038】
水性樹脂(C)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩などの水溶性樹脂を挙げることができる。
水溶性樹脂は、組成物中に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0039】
また、水性樹脂(C)の他の例として、樹脂エマルジョン粒子(水に分散された樹脂の微細な粒子)を挙げることもできる。
本実施形態のステイン塗料組成物においては、水性樹脂(C)は、樹脂エマルジョン粒子を含むことが好ましい。
【0040】
水性樹脂(C)が樹脂エマルジョン粒子を含む場合、その具体例としては、例えば(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、フッ素樹脂エマルジョン粒子、エポキシ樹脂エマルジョン粒子、ポリエステル樹脂エマルジョン粒子、アルキド樹脂エマルジョン粒子、メラミン樹脂エマルジョン粒子などが挙げられる。
【0041】
これらの中でも、コストや設計の自由度の高さなどから、(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子が好ましい。なお、(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子は、(メタ)アクリル系のモノマーに由来する構造単位のみを含むものであってもよいし、(メタ)アクリル系のモノマーと、他のモノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニルモノマー)に由来する構造単位を含むものであってもよい。
樹脂エマルジョン粒子は、組成物中に1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0042】
また、別観点として、樹脂エマルジョン粒子は、アニオン系樹脂エマルジョン粒子および/またはノニオン系樹脂エマルジョン粒子を含むことができる。なかでも、樹脂エマルジョン粒子は、ノニオン系樹脂エマルジョン粒子を含むことが好ましい。
ノニオン系樹脂エマルジョン粒子は、電荷が中性であるため、基本的に多価金属カチオン(A1)やその対アニオン(A2)と静電的な相互作用をしないと考えられる。そのため、凝集などの不具合が起こる可能性の低減が期待できる。つまり、より均質なステイン塗料組成物を得ることができたり、塗工時の色ムラを低減したり、貯蔵安定性を一層高めたりする効果が期待できる。
【0043】
本実施形態のステイン塗料組成物がノニオン系樹脂エマルジョン粒子を含む場合、樹脂エマルジョン粒子の全量中、50質量%以上がノニオン系樹脂エマルジョン粒子であることが好ましく、70質量%以上がノニオン系樹脂エマルジョン粒子であることがより好ましく、90質量%以上がノニオン系樹脂エマルジョン粒子であることが特に好ましい。
【0044】
樹脂エマルジョン粒子としては、市販品を適宜用いてもよい。市販品としては、例えば、昭和電工株式会社のポリゾール(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
【0045】
ステイン塗料組成物中における水性樹脂(C)の含有量は、組成物の全量を基準として、通常1~45質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは4~35質量%である。なお、水性樹脂(C)については、水溶性樹脂と樹脂エマルジョン粒子とが併用されていてもよい。
【0046】
(水(D))
本実施形態のステイン塗料組成物は、水(D)を含有する。このことにより、前述のように、環境性能に優れたステイン塗料組成物を得ることができる。
組成物中の水(D)の量は特に限定されないが、組成物の全量中、通常5~95質量%、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~80質量%となるように水(D)が用いられることが好ましい。
【0047】
(消泡剤(E))
本実施形態のステイン塗料組成物は、消泡剤(E)を含有することが好ましい。これにより、組成物中の気泡を低減し、均一で色ムラ等の無い塗装を行うことが容易となる。
消泡剤としては、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤などのいずれを用いてもよい。
【0048】
消泡剤(E)としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、サンノプコ株式会社で販売されているSNデフォーマー154、SNデフォーマー154S、SNデフォーマー317、SNデフォーマー777、ノプコ8034、ノプコ8034-L、ノプコDF-122-NS(以上、鉱物油系消泡剤)、SNデフォーマー180、SNデフォーマー265、SNデフォーマー396(以上、ポリエーテル系消泡剤)、SNデフォーマー121N、SNデフォーマー1311、SNデフォーマー1312、SNデフォーマー1314、SNデフォーマー1315、SNデフォーマー1316、SNデフォーマー380、SNデフォーマー381、SNデフォーマー391、SNデフォーマー393、SNデフォーマー399、SNデフォーマー5016(以上、シリコーン系消泡剤)などを用いることができる。
【0049】
また、楠本化成工業株式会社製のアクリル系消泡剤であるディスパロン(登録商標)シリーズの、品番OX-880EF、OX-881、OX-883HF、OX-70、OX-77EF、OX-60、OX-710、OX-750HF、AQ-7503、AQ-7533、AQ-7552なども用いることができる。
消泡剤を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0050】
ステイン塗料組成物が消泡剤(E)を含有する場合、その含有量は、組成物中の全量に対して通常0.05~15質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0051】
(レベリング剤(F))
本実施形態のステイン塗料組成物は、レベリング剤(F)を含有することが好ましい。これにより、塗料組成物を均質に塗布することが容易となる。
【0052】
レベリング剤(F)としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物、アラルキル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物等のシリコン系樹脂が挙げられる。また、アセチレングリコール系の界面活性剤(例えば、日新化学工業株式会社より入手可能なサーフィノール(登録商標)シリーズ)なども挙げられる。
レベリング剤(F)を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0053】
ステイン塗料組成物がレベリング剤(F)を含有する場合、その含有量は、組成物中の全量に対して通常0.05~15質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0054】
なお、物質の種類によっては、1つの物質が、消泡剤(E)とレベリング剤(F)の両方に該当する場合がある。例えば、楠本化成工業株式会社製のディスパロンシリーズの一部製品には、消泡性能とレベリング性能の両方を謳ったものがある。本実施形態のステイン塗料組成物がそのような物質を1種のみ含む場合、本実施形態のステイン塗料組成物は、消泡剤(E)とレベリング剤(F)の両方を含むものとする。
【0055】
(レオロジーコントロール剤(G))
本実施形態のステイン塗料組成物は、レオロジーコントロール剤(G)を含有することが好ましい。レオロジーコントロール剤(G)を用いることで、粘度やチキソトロピー性が適切に調整され、意図せぬ液だれを低減したり、塗布性を高めたりすることができる。
【0056】
レオロジーコントロール剤としては、例えば、水溶性高分子を用いることができる。具体的には、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸およびその塩、カードラン、ガッティーガム、カラギーナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、酵素分解グアーガム、クインスシードガム、ジェランガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、難消化性デキストリン、トラガントガム、ファーセルラン、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの金属塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性高分子が、レオロジーコントロール剤として使用可能である。
【0057】
また、レオロジーコントロール剤としては、ビックケミージャパン株式会社の製品、商品名BYK-410、BYK-E410、BYK-415、BYK-420、BYK-E420、BYK-D410、BYK-430等も挙げることができる(「BYK」は登録商標)。
レオロジーコントロール剤(G)を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0058】
ステイン塗料組成物がレオロジーコントロール剤(G)を含有する場合、その含有量は、組成物の全量に対して通常0.05~15質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0059】
(防腐剤(H))
本実施形態のステイン塗料組成物は、防腐剤(H)を含有することが好ましい。これにより、ステイン塗料組成物の保存安定性の向上が期待できる。
【0060】
防腐剤(H)は、公知のものを特に限定なく用いることができる。例えば、有機窒素硫黄化合物系防腐剤や、有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等を挙げることができる。
防腐剤(H)を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0061】
ステイン塗料組成物が防腐剤(H)を含有する場合、その含有量は、組成物の全量に対して通常0.05~15質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0062】
なお、念のため述べておくが、本実施形態のステイン塗料組成物は、上記に説明した成分以外の成分を含有することを排除するものではない。例えば、公知の増粘剤、可塑剤、乾燥調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防カビ剤、防腐剤、造膜助剤などを含有していてもよい。
【0063】
(ステイン塗料組成物の物性)
本実施形態のステイン塗料組成物の物性は、所望の塗布性、塗装する基材(多孔質材料)の表面の性状等に応じて適宜調整してよい。
例えば、組成物の粘度は特に限定されず、前述のレオロジーコントロール剤(G)を用いるなどして適宜調整してよい。
また、別の観点としては、組成物のpHも特に限定されない。極端な酸性やアルカリ性でない限り、任意のpH(例えばpH4~10程度)であってよい。
【0064】
<光硬化性塗料組成物>
光硬化性塗料組成物の実施形態について説明する。
本実施形態の光硬化性塗料組成物は、前述のステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料の表面に塗布するためのものであり、1分子中に、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマー(以下、「特定モノマー」ともいう)を含む。
【0065】
木材等の多孔質材料の塗装においては、ステイン塗料組成物での塗装(着色)の後、表面保護や防水等の目的のため、光硬化性塗料組成物などを用いて追加の塗装が行われる。この追加の塗装のことは「下塗り」とも呼ばれる。
表面保護や防水等の目的のためには、光硬化性塗料組成物は多孔質材料の表面と十分に密着することが望ましい。
【0066】
前述のステイン塗料組成物は、説明したように、目ブクレや毛羽立ちの抑制等が期待できる。しかし、本発明者らの知見によれば、前述のステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料の表面に、従来の光硬化性塗料組成物を用いて塗装を行った場合、十分な密着性が得られない場合がある。なぜ十分な密着性が得られないのか、詳細は不明であるが、多孔質材料内部に存在する多価金属カチオンまたは塩などにより、光硬化性塗料組成物の多孔質材料内部への浸透が阻害されることが一因と推定される。
【0067】
本発明者らは、多孔質材料が前述のステイン塗料組成物で塗装されている場合でも、十分な密着性が得られる光硬化性塗料組成物を検討した。検討の結果、特定モノマーを含む光硬化性塗料組成物を用いることで、十分な密着性を得ることができた。この好結果が得られた理由の詳細は必ずしも明らかではないが、以下(1)および(2)のように説明することができる。
【0068】
(1)多孔質材料が多価金属カチオンや塩を含む場合、そのカチオンや塩の周囲には、水和水などの水分子が存在すると考えられる。よって、その水分子と相互作用する基(すなわち親水性基)を有する重合性モノマーを用いることで、十分な密着性が得られるものと推測される。
【0069】
(2)重合性モノマーの分子1つが有する重合性官能基の数が多すぎると、硬化時の塗膜の収縮が大きくなりすぎ、塗膜が剥がれやすくなる可能性がある。また、多孔質材料が特に木材である場合、塗膜には木材の膨張・収縮(温度や湿度による)に追従できる柔軟性が求められるところ、重合性官能基の数が多すぎると硬化膜が硬くなりすぎて十分な柔軟性が得られない可能性がある。重合性モノマー1分子中の重合性官能基の数を少なくする(具体的には、1つまたは2つとし、3つ以上としない)ことで、硬化時の塗膜の収縮が抑えられ、また、硬化膜の適度な柔軟性が得られると考えられる。結果、十分な密着性が得られるものと推測される。
【0070】
なお、上記(2)の観点から、特定モノマーが1分子中に有する重合性官能基の数は、1つであることがより好ましい。
【0071】
特定モノマーの具体的態様について説明する。
特定モノマーが有する重合性官能基としては、重合性を示す公知の官能基であれば特に限定されない。具体的には、エチレン性二重結合を含む基(ビニル基、(メタ)アクリロイル基など)、エポキシ基、オキセタン基などが挙げられる。好ましくはエチレン性二重結合を含む基である。
【0072】
特定モノマーが有する親水性基としては、例えば、窒素原子含有基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ポリオキシエチレン基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性と性能(密着性)とのバランスの点などから、窒素原子含有基、ヒドロキシ基およびポリオキシエチレン基のいずれかであることが好ましい。
ここで、「窒素原子含有基」としては、アミノ基(アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンから水素を除去した1価の官能基)、含窒素複素環化合物から水素を除去した1価の官能基、アミド結合を含む原子団などを例示することができる。
【0073】
より具体的には、特定モノマーは、以下の一般式(m-1)~(m-4)のいずれかに該当する化合物であることが好ましい。
【0074】
【0075】
一般式(m-1)中、
Rは、水素原子またはメチル基であり、
R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基であり、また、R1およびR2は互いに結合して環構造を形成してもよく、
Aは、2価の有機基であり、
aは、0または1であり、
bは、aが0のときは0、aが1のときは0または1である。
【0076】
R1およびR2の1価の有機基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~10)、アリール基(好ましくは炭素数6~10)、アラルキル基(好ましくは炭素数7~11)などが挙げられる。
R1およびR2が互いに結合して環構造を形成する場合、その環構造は、5~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。また、環構造中には、式中に示されるN原子以外に、O原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
Aの2価の有機基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~10)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~10)、カルボニル基、エステル基、エーテル基、またはこれらが連結した基などが挙げられる。
【0077】
一般式(m-2)中、
Rは、水素原子またはメチル基であり、
Xは、エステル基(-COO-)またはアミド基(-CONH-)であり、
Aは、(n+1)価の有機基であり、
aは、0または1であり、
nは、1以上の整数である。
【0078】
Xとしては、エステル基(-COO-)が好ましい。
Aの(n+1)価の有機基については、n=1の場合は一般式(m-1)におけるAと同様のものが挙げられる。また、n=2または3の場合は、一般式(m-1)におけるAとして説明された2価の基から、さらに水素原子を1つまたは2つ除いた基が挙げられる。
aは、好ましくは1である。
nは、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1である。
【0079】
一般式(m-3)中、
Rは、水素原子またはメチル基であり、
R1は、水素原子または1価の有機基であり、
nは、2以上の整数である。
【0080】
R1の1価の有機基としては、一般式(m-1)におけるR1と同様のものが挙げられる。
nは、好ましくは2~30、より好ましくは2~20、さらに好ましくは2~15である。
【0081】
一般式(m-4)中、
Rは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
nは、2以上の整数である。
【0082】
nは、好ましくは2~30、より好ましくは2~20、さらに好ましくは2~15である。
【0083】
特定モノマーの具体例を列挙する。特定モノマーはこれらのみに限定されるものではない。
【0084】
・親水性基として窒素原子含有基を有する特定モノマー
N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミドブチルエーテル、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル,N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミドメチルエーテル、N-メチロール(メタ)アクリルアミドエチルエーテル、N-メチロール(メタ)アクリルアミドプロピルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニル-2-ピロリドン。
【0085】
・親水性基としてヒドロキシ基を有する特定モノマー
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル。
【0086】
・親水性基としてポリオキシエチレン基を有する特定モノマー
テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n-ブトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート。
【0087】
・上記以外の親水性基を有する特定モノマー
(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、リン酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-コハク酸。
【0088】
特定モノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光硬化性塗料組成物中の特定モノマーの含有量は、組成物中の塗膜形成成分(不揮発成分)を基準として、好ましくは10~85質量%、より好ましくは15~70質量%である。
【0089】
特定モノマーのほかに、本実施形態の光硬化性塗料組成物が含んでもよい成分について説明する。
【0090】
(光重合開始剤)
本実施形態の光硬化性塗料組成物は、好ましくは、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル系光重合剤などの公知のものを適宜用いることができる。
【0091】
光重合開始剤の具体例としては、例えば、BASF社で販売されている、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369E、IRGACURE 379EG、IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE MBF、IRGACURE 754、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02などを挙げることができる。
光重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
光重合開始剤の含有量は、組成物中の塗膜形成成分(不揮発成分)を基準として、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらに好ましくは3~10質量%である。
【0093】
(樹脂)
本実施形態の光硬化性塗料組成物は、好ましくは、樹脂を含む。光硬化性塗料組成物が樹脂を含むことで、適度な粘度でほどよい塗布性を有する組成物を得やすくなる。また、塗膜としての性能(密着性や耐水性)を一層高めやすくなる。
【0094】
樹脂は、重合性基を有することが好ましい。これにより、樹脂も硬化反応に直接的に関与することとなり、密着性の向上等の効果が期待される。なお、ここでの重合性基としては、前述の特定モノマーが有する重合性基と同様のものが挙げられる。
【0095】
重合性基を有する樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。この2種のうちでも、特に塗膜の柔軟性などの観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
樹脂が重合性基を有する場合、樹脂鎖1本あたりの重合性基の数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、更に好ましくは2~4である。
【0096】
樹脂の重量平均分子量は、好ましくは250~1000000、より好ましくは500~500000、さらに好ましくは700~100000である。
ウレタン(メタ)アクリレート等の樹脂は、例えば、ダイセルオルネクス株式会社より、製品名EBECRYLシリーズで市販されている。
【0097】
光硬化性塗料組成物が樹脂を含む場合、その量は、組成物中の塗膜形成成分(不揮発成分)を基準として、好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~60質量%である。
【0098】
(体質顔料)
本実施形態の光硬化性塗料組成物は、体質顔料を含んでもよい。光硬化性塗料組成物に体質顔料を含ませることで、組成物中の重合性基の濃度(密度)を小さくできる。そうすると、過度な重合反応が抑えられ、結果、より柔軟な塗膜を得やすくなるといった効果が期待できる。また、体質顔料は、色目に大きな影響を与えることがなく好都合である。
【0099】
体質顔料としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、珪砂、珪藻土、タルク、硫酸バリウム、炭酸バリウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、クレー、陶土、亜鉛華、カオリンなどが挙げられる。
体質顔料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0100】
体質顔料の含有量は、組成物中の塗膜形成成分(不揮発成分)を基準として、好ましくは3~40質量%、より好ましくは5~30質量%である。
【0101】
(その他成分)
本実施形態の光硬化性塗料組成物は、上記以外の成分、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、有機溶剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、分散剤、防腐剤、防錆剤等を目的に応じて適宜含んでいてもよい。
なお、光硬化性塗料組成物は、十分な密着性等を奏する限りにおいて、親水性基を有しない重合性化合物や、1分子中に3個以上の重合性基を有する重合性化合物を含んでいてもよい。
【0102】
念のために述べておくが、本実施形態のステイン塗料組成物は、上記の光硬化性塗料組成物ではない光硬化性塗料組成物、または、光硬化性ではない塗料組成物などと組み合わせて用いてもよい。
前段落までの記載は、本発明者らの知見の1つとして、特定モノマーを含む光硬化性塗料組成物を、前述のステイン塗料組成物と組み合わせて用いることが、下塗り層の密着性などの点で好ましい旨を述べたに過ぎない。上記以外の光硬化性塗料組成物等を、前述のステイン塗料組成物と組み合わせて用いることが否定されるものではない。
また、上記の光硬化性塗料組成物について、単独で(ステイン塗料組成物と組み合わせずに)用いることや、上記で説明した以外のステイン塗料組成物(例えば、多価金属カチオンを含まないステイン塗料組成物)と組み合わせ用いることも否定はされない。
【0103】
<塗料材料>
塗料材料の実施形態について説明する。
本実施形態の塗料材料は、
第1容器に収容された第1塗料組成物と、第2容器に収容された第2塗料組成物とを含む塗料材料であって、
第1塗料組成物が、多価金属カチオン(A1)、前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、着色顔料(B)、水性樹脂(C)および水(E)を含むステイン塗料組成物であり、
第2塗料組成物が、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物である。
【0104】
ここで、第1塗料組成物は、<ステイン塗料組成物>として上述した組成物である。また、第2塗料組成物は、<光硬化性塗料組成物>として上述した組成物である。
この、第1塗料組成物と第2塗料組成物とを含む塗料材料によれば、木材等の多孔質材料に着色する際、目ブクレまたは毛羽立ちを抑えることができる。さらに、多孔質材料に着色後、多孔質材料の表面に密着性の高い下塗り層を設けることができる。つまり、本実施形態の塗装材料を用いることで、商品価値の高い多孔質材料の塗装体を得ることができる。
【0105】
<多孔質材料の塗装体の製造方法>
多孔質材料の塗装体の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態の多孔質材料の塗装体の製造方法は、
上述のステイン塗料組成物により多孔質材料を塗装する第1塗装工程および
上述の光硬化性塗料組成物により多孔質材料を塗装する第2塗装工程
をこの順に含む。
【0106】
「ステイン塗料組成物」および「光硬化性塗料組成物」の具体的態様は、既に説明したとおりである。第1塗装工程により、多孔質材料の目ブクレまたは毛羽立ちを抑えつつ、多孔質材料を着色することができる。また、第2塗装工程により、密着性の良好な下塗り層を設けることができる。
【0107】
多孔質材料について説明する。
多孔質材料は、少なくともその表面(塗料を塗布する面)が多孔質であればよい。典型的な多孔質材料としては、木材、紙、コンクリート、セメント製品等が挙げられる。本実施形態において、多孔質材料は木材または紙を含むことが好ましく、木材を含むことがより好ましい。
多孔質材料の形状は特に限定されず、板状、シート状、棒状、その他任意の形状であってよい。
【0108】
多孔質材料が木材を含む場合、多孔質材料は、合板、つまり、スライスされた薄い木材(一般に突板と呼ばれる)が表面に貼りつけられた板状の材料であってよい。
【0109】
特に、突板の厚みが0.25mm以上(より具体的には0.25~5mm)の合板は、見た目や質感が天然木材に近く高級感があるものの、従来、水性塗料の塗布により目ブクレまたは毛羽立ちが発生しやすいという問題があった。これは、突板が0.25mm未満のように薄い場合は、合板を作製する際の接着剤が突板の内部にまで浸透し、その接着剤等によって導管が固着することで目ブクレ等の問題が一定程度抑えられる一方、突板の厚みが0.25mm以上である場合には、接着剤が突板表面にまで浸透しづらく、合板表面では木材そのものの性質が出やすくなるためである。
【0110】
しかし、本実施形態の多孔質材料の塗装体の製造方法によれば、上記のような突板を有する合板についても、目ブクレまたは毛羽立ちを効果的に抑えることができる。つまり、元々高級感のある合板の商品価値を、塗装により更に高めることができる。
なお、突板に用いられる木材としては、ケヤキ、ナラ、ヤチダモ、キリ、ヒノキ、スギ、マホガニー、ウォールナット、オーク、チーク、ローズウッド、トチ、クロガキ、シオジ、ニレ、カバなどがある。
【0111】
また、多孔質材料は、合板ではない天然木材であってもよい。この場合も、従来は目ブクレまたは毛羽立ちが発生しやすかったが、本実施形態の方法に基づき塗装することで、目ブクレや毛羽立ちを抑えることができる。
【0112】
第1塗装工程および第2塗装工程で、ステイン塗料組成物を多孔質材料の表面に塗装する方法は、特に限定されず、ロール塗装、スプレー塗装、ハケでの手塗りなど任意の方法であってよい。特に多孔質材料の形状が平板状である場合、量産性や均一な塗装の観点から、ロール塗装が好ましい。
ロール塗装の為の装置は、本技術分野で公知のものを適宜用いることができる。
【0113】
第1塗装工程において、ステイン塗料組成物の塗装量は、所望の着色がなされる限りにおいて特に限定されない。ただし、本発明の効果(目ブクレまたは毛羽立ちの抑制)を確実に得つつ、十分に濃い着色を行う観点からは、例えば、塗布面積1m2あたりの多価金属塩(多価金属カチオンと対アニオン)の質量が1.0~10gの範囲となるように、ステイン塗料組成物の塗装量を調整することが好ましい。また、ステイン塗料組成物全体として塗装量は、好ましくは塗布面積1m2あたり5.0~100g、より好ましくは塗布面積1m2あたり10~50gである。
【0114】
本実施形態の多孔質材料の塗装体の製造方法は、上記の第2塗装工程の後に、中塗り層を設ける第3塗装工程や、上塗り層を設ける第4塗装工程を含んでいてもよい。
第3塗装工程や第4塗装工程に使用可能な塗料としては、上記<光硬化性塗料組成物>で説明した塗料と類似の塗料、つまり、重合性モノマー、光重合開始剤、樹脂等を含む光硬化性の塗料組成物が挙げられる。
【0115】
第2~第4塗装工程における各塗料の塗布量は、適宜調整可能である。
一例として、第2塗装工程における塗料の塗布量は、20~80g/m2であることが好ましく、25~70g/m2であることがより好ましい。
また、第3塗装工程および第4塗装工程における塗料の塗布量は、1m2あたり3~30gであることが好ましく、1m2あたり5~20gであることがより好ましい。
【0116】
各塗装工程の前後には、乾燥(硬化)工程を設けることが好ましい。例えば、第1塗装工程の後、第2塗装工程を行う前に、多孔質材料の表面に、熱風(30~150℃程度)を当てて、揮発成分(水分)を乾燥させることが好ましい。この工程の時間は例えば10秒~30分程度である。また、第2~第4塗装工程においては、光硬化性の塗料組成物の塗装後、紫外線ランプ等を用いて紫外光を照射して塗膜の硬化を促進させることが好ましい。紫外線の照射時間は、例えば0.1秒~1分である。
【0117】
また、乾燥(硬化)工程とは別に、余分な塗料を物理的・機械的に除去する工程があってもよい。例えば、リバースロールで過剰な塗料を掻きとる工程などがあってもよい。
更に、各塗装工程の前後には、研磨紙等を用いた研磨工程があってもよい。
【0118】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
多価金属カチオン(A1)、
前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、
着色顔料(B)、
水性樹脂(C)および
水(D)
を含むステイン塗料組成物。
2.
1.に記載のステイン塗料組成物であって、
前記着色顔料(B)が、ノニオン系分散剤により分散された顔料を含むステイン塗料組成物。
3.
1.または2.に記載のステイン塗料組成物であって、
前記水性樹脂(C)が、ノニオン系樹脂エマルジョン粒子を含むステイン塗料組成物。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物であって、
組成物中における前記多価金属カチオン(A1)の含有量が0.1mol/100g以上であるステイン塗料組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、消泡剤(E)を含むステイン塗料組成物。
6.
1.~5いずれか1つに記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、レベリング剤(F)を含むステイン塗料組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物であって、
さらに、レオロジーコントロール剤(G)を含むステイン塗料組成物。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物であって、
前記多価金属カチオン(A1)が、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、スカンジウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ストロンチウムイオンおよびバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記対アニオン(A2)が、塩化物イオンおよび臭化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むステイン塗料組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料の表面に塗布するための光硬化性塗料組成物であって、
1分子中に、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物。
10.
9.に記載の光硬化性塗料組成物であって、
前記親水性基が、窒素原子含有基、ヒドロキシ基およびポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つである光硬化性塗料組成物。
11.
第1容器に収容された第1塗料組成物と、第2容器に収容された第2塗料組成物とを含む塗料材料であって、
前記第1塗料組成物が、多価金属カチオン(A1)、前記多価金属カチオンの対アニオン(A2)、着色顔料(B)、水性樹脂(C)および水(E)を含むステイン塗料組成物であり、
前記第2塗料組成物が、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマーを含む光硬化性塗料組成物である、塗料材料。
12.
1.~8.のいずれか1つに記載のステイン塗料組成物により多孔質材料を塗装する第1塗装工程および
9.または10.に記載の光硬化性塗料組成物により前記多孔質材料を塗装する第2塗装工程
をこの順に含む、多孔質材料の塗装体の製造方法。
13.
12.に記載の多孔質材料の塗装体の製造方法であって、
前記多孔質材料が、木材である、塗装体の製造方法。
【実施例】
【0119】
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0120】
1.ステイン塗料組成物の調製と評価
(実施例1-1の組成物の調製)
まず、純水52質量部、塩化カルシウム20質量部、および、アクリル酸エステル樹脂水性エマルジョン(昭和電工株式会社製、ポリゾールAE-710WF、樹脂固形分41~44質量%)13質量部を混合し、30分撹拌した。
【0121】
次に、上記の混合物に、白色顔料水性分散体(大日精化株式会社製、EP-65ホワイト、酸化チタン含有率55~60質量%、ノニオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤含有)5質量部、赤色顔料水性分散体(大日精化株式会社製、EP-1100レッドFGN、縮合アゾレッド含有率31質量%、ノニオン系界面活性剤)2質量部、黄色顔料水性分散体(大日精化株式会社製、EP-910イエローFR、ジスアゾイエロー含有率24質量%、ノニオン系界面活性剤含有)4質量部、および、黒色顔料水性分散体(大日精化株式会社製、EP-510ブラックTR、カーボンブラック含有率37質量%、ノニオン系界面活性剤含有)1質量部を混合し、さらに30分撹拌した。
【0122】
その後、上記混合物に、消泡剤(楠本化成株式会社製、ディスパロンAQ-7552、ノンシリコン消泡剤)1質量部、レベリング剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール104E、ノンシリコンレべリング剤)1質量部、および、増粘剤(キサンタンガム)1質量部を加え、30分撹拌して、実施例1-1のステイン塗料組成物を得た。
【0123】
(実施例1-2~1-17および比較例1-1~1-5の組成物の調製)
上記の実施例1-1の工程に準じて、表1~表4に示す成分組成のステイン塗料組成物を得た。
表1~表4には、各組成物中の金属カチオン濃度(用いた金属塩の全量が電離したと仮定)も記載した。
【0124】
(塗料の安定性評価:着色顔料の平均粒子径変化率)
各ステイン塗料組成物を水で1000倍に希釈し、MALVERN社製の動的光散乱法による粒経測定機(型番:ゼータサイザーナノZSP)を用いて、水屈折率1.33、液温25℃の条件で、顔料の平均粒子径Pを測定した。
また、各ステイン塗料組成物について、組成物中の多価金属塩を含まずに、多価金属塩を同質量の純水で代替したものを用意し、それについても前記と同様の測定条件で顔料の平均粒子径Qを測定した。
そして、PおよびQより、以下式で定義されるRを算出した。
R={(P-Q)/Q}×100
このRの値を用い、以下の基準に基づいて評価した。Rが小さいほうが、顔料の粒子径の変化が少なく(つまり、顔料が凝集せず)、塗料組成物として安定であることを意味する。
【0125】
5:Rが10未満
4:Rが10以上20未満
3:Rが20以上40未満
2:Rが40以上60未満
1:Rが60以上
【0126】
(目ブクレ、毛羽立ち評価)
合板(厚さ2mmのオーク材の突板が表面に貼られたもの、全厚12mm)に、各実施例及び比較例のステイン塗料組成物を、それぞれ塗布量33g/m2になるようにロールコーターを用いて塗装した。その後、100℃の熱風で60秒間乾燥を行い、着色した合板を得た。得られた各合板について目視観察を行い、その合板表面の目ブクレや毛羽立ちの有無の状況について、以下の基準で評価した。
【0127】
5:目ブクレ及び毛羽立ちのいずれも全く観察されない。
4:目ブクレ又は毛羽立ちが観察されるものの、観察されるのは導管部面積の5%未満。
3:導管部面積の5%以上20%未満の領域で目ブクレ又は毛羽立ちが観察される。
2:導管部面積の15%以上50%未満の領域で目ブクレ又は毛羽立ちが観察される。
1:導管部面積の50%以上の領域で目ブクレ又は毛羽立ちが観察される。
【0128】
なお、この評価においては、100℃の熱風での60秒間乾燥により、いずれの実施例のステイン塗料組成物も十分に乾燥していた。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
表1~表4に記載の成分の詳細、入手先等は、以下のとおりである。
【0134】
金属塩:
・塩化カルシウム:和光純薬工業社製
・塩化バリウム:和光純薬工業社製
・塩化マグネシウム:和光純薬工業社製
・塩化マンガン(II)4水和物:和光純薬工業社製
・臭化カルシウム:和光純薬工業社製
・塩化アンモニウム:和光純薬式会社製
・塩化カリウム:和光純薬工業社製
・塩化ナトリウム:和光純薬工業社製
【0135】
水性樹脂:
・ポリゾールAE-710WF:昭和電工株式会社製、アクリル酸エステル共重合水性エマルジョン(ノニオン系、樹脂固形分41~44質量%)
・ポリゾールAP-815N:昭和電工株式会社製、アクリル酸エステル共重合水性エマルジョン(ノニオン系、樹脂固形分55~57質量%)
・ポリゾールAP-7681:昭和電工株式会社製、スチレンアクリル酸エステル共重合水性エマルジョン(アニオン系、樹脂固形分46~50質量%)
【0136】
着色顔料分散体:
・EP-65ホワイト:大日精化工業株式会社製、白色顔料水性分散体(酸化チタン含有率55~60質量%、ノニオン界面活性剤およびアニオン性界面活性剤で分散)
・EP-1100レッドFGN:大日精化工業株式会社製、赤色顔料水性分散体(縮合アゾレッド含有率31質量%、ノニオン界面活性剤で分散)
・EP-910FRイエローFR:大日精化工業株式会社製、黄色顔料水性分散体(ジスアゾイエロー含有率24量%、ノニオン界面活性剤で分散)
・EP-510ブラックTR:大日精化工業株式会社製、黒色顔料水性分散体(カーボンブラック含有率37質量%、ノニオン界面活性剤で分散)
【0137】
・ディスパロンAQ-7552:楠本化成株式会社製、ノンシリコン消泡剤(有効成分100質量%)
・サーフィノール104E:日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール化合物(有効成分100質量%)
・キサンタンガム:三晶株式会社製、KELZAN(製品名)(有効成分100質量%)
【0138】
表1~表3に示されるように、多価金属カチオンを含む実施例1-1~1-17のステイン塗料組成物は、顔料の凝集が抑えられ、また、合板に塗装した時の目ブクレや毛羽立ちが高度に抑制されていた。一方、表4に示されるように、多価金属カチオンを含まない(金属塩自体を含まない、または、1価の金属カチオンを含む)比較例1-1~1-5のステイン塗料組成物については、目ブクレや毛羽立ちの発生を十分抑制できなかった。
【0139】
2.光硬化性塗料組成物の調製と評価
(光硬化性塗料組成物(下塗り用)の調製)
表5~表8に「光硬化性塗料組成物(下塗り用)の組成」として示されている各成分を混合し、1時間撹拌して、光硬化性塗料組成物(下塗り用)を得た。
【0140】
(光硬化性塗料組成物(中塗り用)の調製)
エポキシアクリレート(DIC株式会社製、V-5500)55質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート30質量部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF社製、イルガキュア1173)5質量部、および、タルク(日本タルク株式会社製、製品名MS-P)10質量部を混合し、1時間撹拌して、光硬化性塗料組成物(中塗り用)を得た。
【0141】
(光硬化性塗料組成物(上塗り用)の調製)
ウレタンアクリレート(ダイセルオルネクス社製、EBECRYL 4858)20質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製、TMPEOTA)30質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート20質量部、アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ社製、ACMO(登録商標))20質量部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF社製、イルガキュア1173)5質量部、および、シリカ(富士シリシア化学社製)5質量部を混合し、1時間撹拌して、光硬化性塗料組成物(上塗り用)を得た。
【0142】
(試験板の作成:実施例2-1~2-14、比較例2-1~2-4、参考例2-1~2-9)
合板(厚さ2mmのオーク材の突板が表面に貼られたもの、全厚12mm)に、表5~表8に示されるステイン塗料組成物を、塗布量が33g/m2になるようにロールコーターを用いて塗装した。その後、100℃の熱風で60秒間乾燥を行い、着色された合板を得た。
【0143】
得られた合板に、表5~表8に示す組成の光硬化性塗料組成物(下塗り用)を、塗布量が44g/m2になるように塗装した。これに紫外線(照射線量100mJ/cm2)を照射して、塗装した組成物を硬化させた。
【0144】
次に、上記の光硬化性塗料組成物(中塗り用)を、塗布量が11g/m2になるように塗装した。これに紫外線(照射線量100mJ/cm2)を照射して塗装した組成物を硬化させた。得られた合板上の硬化膜に対し、#320の耐水研磨紙で研磨を行った。
【0145】
そして、上記の光硬化性塗料組成物(上塗り用)を、塗布量が11g/m2になるように塗装した。これに紫外線(照射線量300mJ/cm2)を照射して塗装した組成物を硬化させた。
【0146】
その後、24時間室温で静置し、光硬化性塗料組成物の硬化膜を3層備えた試験板を得た。
【0147】
(密着性評価)
得られた各試験板について、JIS K5600-5-6(1999)「塗膜の機械的性質-付着性(クロスカット法)」に準拠した密着試験を行い、下記評価基準に基づいて評価した。
5:カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にもハガレがない。
4:カットの交差点における塗膜の小さなハガレがあり、剥離部分の面積が5%未満。
3:剥離部分の面積が5%以上15%未満。
2:剥離部分の面積が15%以上35%未満。
1:剥離部分の面積が35%以上。
【0148】
(耐水性評価)
各試験板(サイズ150mm×150mm×12mmにカットしたもの)を、20℃の水に浸漬した。浸漬開始から24時間後、試験板を水から取り出し、60℃で2時間乾燥させ、室温で2時間徐冷した。この一連の工程により得られた試験版(耐水性評価用試験板)を用いて、次に示す外観評価と密着性評価(耐水性試験後)を行った。
【0149】
外観評価:耐水性評価用試験板の塗膜の状態について目視観察を行い、以下の基準に基づいて評価した。
5:白化が全く無い。
4:白化が認められるものの、その面積は5%未満。
3:白化した面積が5%以上25%未満。
2:白化した面積が25%以上50%未満。
1:白化した面積が50%以上。
【0150】
密着性評価(耐水性試験後):耐水性評価用試験板について、上述の(密着性評価)で行ったのと同様に、JIS K5600-5-6(1999)「塗膜の機械的性質―付着性(クロスカット法)」に準拠した密着試験を行い、以下の基準に基づいて評価した。
5:カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にもハガレがない。
4:カットの交差点における塗膜の小さなハガレがあり、剥離部分の面積が5%未満。
3:剥離部分の面積が5%以上15%未満。
2:剥離部分の面積が15%以上35%未満。
1:剥離部分の面積が35%以上。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
表5~表8の光硬化性塗料組成物(下塗り用)、光硬化性塗料組成物(中塗り用)および光硬化性塗料組成物(上塗り用)の調製に用いた化合物の詳細、入手先等は以下のとおりである。
【0156】
・ウレタンアクリレート:ダイセルオルネクス株式会社製、商品名EBECRYL210
【0157】
・ジメチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製
・N-ビニル-2-ピロリドン:株式会社日本触媒製
・アクロイルモルフォリン:KJケミカルズ株式会社製
・ヒドロキシエチルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・ヒドロキシプロピルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・4-ヒドロキシブチルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・ポリエチレングリコールジアクリレート:共栄社化学株式会社製、商品名ライトアクリレート9EG-A
・イソボルニルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製
・トリプロピレングリコールジアクリレート:ダイセルオルネクス株式会社製
【0158】
・タルク:日本タルク株式会社製、製品名MS-P
【0159】
・イルガキュア1173:BASF社製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
【0160】
表5および表6に示されるように、多価金属カチオン、その対アニオン、着色顔料、水性樹脂および水を含むステイン塗料組成物(実施例1-8および実施例1-9)で塗装した多孔質材料に対して、特定モノマー(1分子中に、1つまたは2つの重合性官能基と、親水性基とを有する重合性モノマー)を含む光硬化性塗料組成物(下塗り用)で下塗りを行った場合、密着性と耐水性について良好な結果が得られた(実施例2-1~2-14)。
とりわけ、実施例2-14と、実施例2-8~2-13の対比からわかるように、特定モノマーとして1分子中に1つのみの重合性基を有する化合物を用いることで、1分子中に2つの重合性基を有する特定モノマーを用いた場合よりも耐水性について良好な結果が得られた。
【0161】
一方、表7に示されるように、多価金属カチオン、その対アニオン、着色顔料、水性樹脂および水を含むステイン塗料組成物(実施例1-8および実施例1-9)で塗装した多孔質材料に対して、親水性基を有しない光硬化性塗料組成物(下塗り用)で下塗りを行った場合、十分な密着性が得られなかった(比較例2-1~2-4)。
【0162】
なお、表8に示されるように、多価金属カチオンを含まないステイン塗料組成物で塗装した多孔質材料に対して、特定モノマーを含む光硬化性塗料組成物(下塗り用)で下塗りを行った場合、良好な密着性および耐水性が得られる(参考例2-1~2-9)。
【0163】
3.ステイン塗料組成物と光硬化性塗料組成物の組み合わせ評価
本実施形態のステイン塗料組成物(多価金属カチオンなどを含有)と、本実施形態の光硬化性塗料組成物(特定モノマー等を含有)を組み合わせて用いた場合に、密着性や耐水性が良好であることを、更に追加の実施例で示す。
【0164】
合板(厚さ2mmのオーク材の突板が表面に貼られたもの、全厚12mm)に、上述の実施例1-1~1-17および比較例1-1~1-5の各ステイン塗料組成物を、それぞれ塗布量33g/m2になるようにロールコーターを用いて塗装した。その後、100℃の熱風で60秒間乾燥を行い、着色された合板を得た。
【0165】
この着色された合板を用いて、実施例2-1と同様の手順で、光硬化性塗料組成物の硬化物を3層備えた試験板を得た。ただし、光硬化性塗料組成物(下塗り用、中塗り用および上塗り用)は、以下のものを用いた。
【0166】
・光硬化性塗料組成物(下塗り用)
ウレタンアクリレート(ダイセルオルネクス社製、EBECRYL 210)45質量部、アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ社製、ACMO(登録商標))30質量部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF社製、イルガキュア1173)5質量部、および、タルク(日本タルク社製)20質量部を混合し、1時間撹拌して組成物を得た。
【0167】
・光硬化性塗料組成物(中塗り用)
エポキシアクリレート(DIC株式会社製、V-5500)55質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート30質量部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF社製、イルガキュア1173)5質量部、および、タルク(日本タルク株式会社製、製品名 MS-P)10質量部を混合し、1時間撹拌して組成物を得た。
【0168】
・光硬化性塗料組成物(上塗り用)
ウレタンアクリレート(ダイセルオルネクス社製、EBECRYL 4858)20質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製、TMPEOTA)30質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート20質量部、アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ社製、ACMO(登録商標))20質量部、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF社製、イルガキュア1173)5質量部、および、シリカ(富士シリシア化学社製)5質量部を混合し、1時間撹拌して組成物を得た。
【0169】
(評価)
得られた各試験板を用い、上記「2.光硬化性塗料組成物の調製と評価」で行った評価と同様の評価(密着性評価と耐水性評価)を行った。評価結果を表9~表11に示す。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
表9および表10に示されるように、多価金属カチオンやその対アニオンを含むステイン塗料組成物と、特定モノマーを含む光硬化性塗料組成物(下塗り用)とを組み合わせて用いた場合、表面突起(目ブクレまたは毛羽立ち)が少なく、かつ、下塗りの密着性と耐水性が良好な、多孔質材料の塗装体が得られた(実施例3-1~3-17)。
しかし、表11に示されるように、ステイン塗料組成物として、多価金属カチオン等を含まないものを用いた場合は、少なくとも目ブクレや毛羽立ちの点で満足のいく結果は得られなかった(比較例3-1~3-5)。