(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】試験装置、試験方法及び試験プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20220124BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20220124BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20220124BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B5/02
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2017230497
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】西郡 大
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 浩明
(72)【発明者】
【氏名】園田 泰正
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-092257(JP,A)
【文献】特開2002-221893(JP,A)
【文献】特開平05-265369(JP,A)
【文献】秋元 浩一他,CAI コンピュータを食べてしまう先生と生徒たち 第1版,株式会社養賢堂,1997年04月25日,67~77頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26,
G06Q50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解答時間が設定され、被験者の学習力を測定する試験装置であって、
出題される設問及び
正答を含む設問情報を記憶する設問情報記憶手段と、
前記設問を解答するのに必要な知識及び/又は考え方を示す教育教材情報を記憶する解説情報記憶手段と、
前記教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する解説制御手段と、
解説制御手段の制御により教育教材情報がディ
スプレイに表示された後に、被験者の入力操作に基づいて、直前に表示されていた教育教材情報に関連する設問情報を前記ディスプレイに表示するように制御する設問制御手段と
、
試験の開始時刻から終了時刻までの試験時間を管理する時間管理部とを備え、
前記時間管理部が管理する試験時間の開始時刻後に前記解説制御手段による前記教育教材情報の表示処理、及び当該教育教材情報の表示処理後に前記設問制御手段による前記設問情報の表示処理が少なくとも実行されることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試験装置において、
解説制御手段は、設問制御手段の制御により直前に表示されていた前記教育教材情報に関連する設問情報を表示した後は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御する試験装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試験装置において、
設問制御手段がディスプレイに表示した設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、
被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断する採点手段とを備え、
設問制御手段が、試験の開始時刻と同時に前記ディスプレイに前記設問を表示するように制御し、採点手段による採点の結果、当該設問に対する解答が不正解である場合に、前記解説制御手段は解答が不正解であった設問に関する教育教材情報を前記ディスプレイに表示するように制御する試験装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の試験装置において、
解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、
前記解説制御手段が、被験者の入力操作に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する試験装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の試験装置において、
解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、
前記解説制御手段が、被験者の他の設問の解答状況に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する試験装置。
【請求項6】
請求項3に記載の試験装置において、
解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、
前記解説制御手段が、直前の設問に対する被験者の誤答の種別に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する試験装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の試験装置において、
設問制御手段の制御によりディスプレイに表示された設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、
被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断すると共に、設問ごとの点数を演算する採点手段とを備え、
前記設問情報記憶手段が、設問ごとに設定された解答上限時間を記憶しており、前記採点手段が、被験者により解答された時間が前記解答上限時間を超えた場合に、当該超えた時間に応じて点数を演算する試験装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の試験装置において、
ディスプレイに表示された前記教育教材情報に対する被験者の動作を示す情報を入力する動作入力手段と、
入力された動作情報に基づいて、被験者の学習過程を解析する解析手段とを備える試験装置。
【請求項9】
解答時間が設定され、被験者の学習力を測定する試験方法であって、
コンピュータが、
解説情報記憶手段に記憶された設問を解答するのに必要な知識及び/又は考え方を示す教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する解説制御ステップと、
解説制御ステップの制御により教育教材情報がディプレイに表示された後に、被験者の入力操作に基づいて、直前に表示されていた教育教材情報に関連する前記設問を前記ディスプレイに表示するように制御する設問制御ステップとを実行し、
解説制御ステップは、設問制御ステップの制御により直前に表示されていた前記教育教材情報に関連する設問情報を表示した後は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御することを特徴とする試験方法。
【請求項10】
解答時間が設定され、被験者の学習力を測定する試験プログラムであって、
出題される設問及び解答を含む設問情報を記憶する設問情報記憶手段、
前記設問を解答するのに必要な知識及び/又は考え方を示す教育教材情報を記憶する解説情報記憶手段、
試験の開始時刻から終了時刻までの前記解答時間の間に、前記教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する解説制御手段、
解説制御手段の制御により教育教材情報がディプレイに表示された後に、被験者の入力操作に基づいて、直前に表示されていた教育教材情報に関連する設問情報を前記ディスプレイに表示するように制御する設問制御手段としてコンピュータを機能させ、
解説制御手段は、設問制御手段の制御により直前に表示されていた前記教育教材情報に関連する設問情報を表示した後は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御することを特徴とする試験プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験によって被験者の学習力を測定する試験装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の紙ベースの試験に代わって、コンピュータを用いた試験(例えば、CBT:Computer Based Training)が行われる機会が増えている。CBTに関する技術として、例えば、特許文献1、2に示す技術が開示されている。特許文献1、2に示す技術は、学習者管理11、成績管理12、教材構造チャート13、設問選択14および設問提示15の各サブシステムをプログラムで実行するデータ処理装置1と、学習者の氏名、住所等の情報を記憶する学習者データ記憶部21、学習する各学習領域の属性、各学習領域に含まれる複数の学習要素の属性等を記憶する教材構造チャート記憶部22、学習者の正誤情報、学習履歴情報等を記憶する学習履歴データ記憶部23および設問本文、解答、解説、指導者マニュアル、設問の属性等を記憶する設問データ記憶部24を具有する記憶装置2及び入出力装置3、4とを具備するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-079113号公報
【文献】特開平11-143347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に示す技術は、利用者がCBTにより効率よく学習することが可能になるものの、試験などにおいて、持っている知識や解答力を測定するだけではなく、被験者の学習力(学習する能力)を測定することができるものではない。
【0005】
本発明は、試験において、設問を解くために必要な知識や考え方を把握し吸収する能力(学習力)を試験時間の中で測定することができる試験装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る試験装置は、解答時間が設定され、被験者の学習力を測定する試験装置であって、出題される設問及び解答を含む設問情報を記憶する設問情報記憶手段と、前記設問を解答するのに必要な知識及び/又は考え方を示す教育教材情報を記憶する解説情報記憶手段と、試験の開始時刻から終了時刻までの前記解答時間の間に、前記教育教材情報をディスプレイに表示するように制御する解説制御手段と、解説制御手段の制御により教育教材情報がディプレイに表示された後に、被験者の入力操作に基づいて、直前に表示されていた教育教材情報に関連する設問情報を前記ディスプレイに表示するように制御する設問制御手段とを備えるものである。
【0007】
このように、本発明に係る試験装置においては、試験の開始時刻から終了時刻までの解答時間の間に、例えば教科書レベルの内容が記載された教育教材情報をディスプレイに表示し、当該教育教材情報をディプレイに表示した後に、被験者の入力操作に基づいて、直前に表示されていた教育教材情報に関連する設問情報をディスプレイに表示するため、被験者は、教育教材情報の内容を確認してから設問を解くこととなり、設問を解くのに必要な情報を教育教材情報から確実に抽出して吸収することができるかといった学習力を測定することが可能になるという効果を奏する。
【0008】
本発明に係る試験装置は、解説制御手段は、設問制御手段の制御により直前に表示されていた前記教育教材情報に関連する設問情報を表示した後は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御するものである。
【0009】
このように、本発明に係る試験装置においては、一旦表示した教育教材情報に関連する設問情報を表示した後は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御するため、教育教材情報を表示可能な決まった時間の中で教育教材情報の内容をいかに効率よく吸収し、まとめることができるかといった学習力を測定することが可能になるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る試験装置は、設問制御手段がディスプレイに表示した設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断する採点手段とを備え、設問制御手段が、試験の開始時刻と同時に前記ディスプレイに前記設問を表示するように制御し、採点手段による採点の結果、当該設問に対する解答が不正解である場合に、前記解説制御手段は解答が不正解であった設問に関する教育教材情報を前記ディスプレイに表示するように制御するものである。
【0011】
このように、本発明に係る試験装置においては、設問制御手段の制御によりディスプレイに表示された設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断する採点手段とを備え、設問制御手段が、試験の開始時刻と同時に前記ディスプレイに前記設問を表示するように制御し、採点手段による採点の結果、当該設問に対する解答が不正解である場合に、前記解説制御手段が解答が不正解であった設問に関する教育教材情報を前記ディスプレイに表示するように制御するため、設問に対する解答が不正解である場合に、その間違いに関して教育教材情報の内容を確認して学習し、再度教育教材情報の内容に関連する設問を解くことで、不正解になった理由の自己分析力、不正解箇所を正確に理解する能力、不正解だったことを生かした応用力といった学習力を測定することが可能になるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る試験装置は、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、被験者の入力操作に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するものである。
【0013】
このように、本発明に係る試験装置においては、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、被験者の入力操作に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するため、被験者が自分で必要と思う教育教材情報を閲覧して設問を解くことができるため、被験者が自分に不足している知識や能力を正確に自己分析しており、それに合った教育教材情報を選択できているかどうかといった能力を試すことができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る試験装置は、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、被験者の他の設問の解答状況に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するものである。
【0015】
このように、本発明に係る試験装置においては、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、被験者の他の設問の解答状況に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するため、他の設問の解答状況に基づいて被験者にとって有利となる教育教材情報を提供し、その内容をきちんと理解できるかどうかといった学習力を測定することが可能になるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る試験装置は、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、直前の設問に対する被験者の誤答の種別に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するものである。
【0017】
このように、本発明に係る試験装置においては、解説情報記憶手段が、1つの設問に対して、内容が異なる複数の前記教育教材情報を記憶しており、前記解説制御手段が、直前の設問に対する被験者の誤答の種別に応じて複数の前記教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイに表示するように制御するため、誤答となった原因をそれに対応する教育教材情報を参照することで理解し、応用させることができるかどうかといった学習力を測定することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る試験装置は、設問制御手段の制御によりディスプレイに表示された設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断すると共に、設問ごとの点数を演算する採点手段とを備え、前記設問情報記憶手段が、設問ごとに設定された解答上限時間を記憶しており、前記採点手段が、被験者により解答された時間が前記解答上限時間を超えた場合に、当該超えた時間に応じて点数を演算するものである。
【0019】
このように、本発明に係る試験装置においては、設問制御手段の制御によりディスプレイに表示された設問に対する被験者の解答を取得する解答情報取得手段と、被験者の解答と前記設問情報記憶手段に記憶された解答とが一致するかどうかを判断すると共に、設問ごとの点数を演算する採点手段とを備え、前記設問情報記憶手段が、設問ごとに設定された解答上限時間を記憶しており、前記採点手段が、被験者により解答された時間が前記解答上限時間を超えた場合に、当該超えた時間に応じて点数を演算するため、時間さえあれば設問に正解する知識や能力を持っている被験者を見極めることが可能になるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る試験装置は、ディスプレイに表示された前記教育教材情報に対する被験者の動作を示す情報を入力する動作入力手段と、入力された動作情報に基づいて、被験者の学習過程を解析する解析手段とを備えるものである。
【0021】
このように、本発明に係る試験装置においては、ディスプレイに表示された前記教育教材情報に対する被験者の動作を示す情報を入力する動作入力手段と、入力された動作情報に基づいて、被験者の学習過程を解析する解析手段とを備えるため、被験者が教育教材情報をどのように理解しているかをその動作から解析して学習力の高さを確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る試験装置のハードウェア構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る試験装置の機能ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る試験装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る試験装置の機能ブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係る試験装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態に係る試験装置の表示画面の一例を示す第1の図である。
【
図7】第2の実施形態に係る試験装置の表示画面の一例を示す第2の図である。
【
図8】第2の実施形態に係る試験装置の表示画面の一例を示す第3の図である。
【
図9】第2の実施形態に係る試験装置の表示画面の一例を示す第4の図である。
【
図10】その他の実施形態に係る試験装置の第1の機能ブロック図である。
【
図11】その他の実施形態に係る試験装置の第2の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る試験装置について、
図1ないし
図3を用いて説明する。本実施形態に係る試験装置は、CBTを利用して被験者の学習力を測定するものである。通常の紙と鉛筆を用いた試験(PBT:Paper Based Training)では、試験終了後に被験者の解答用紙を集めて採点作業が行われるため、試験時間内に採点し、採点結果を被験者にフィードバックすることができない。しかし、CBTであれば、被験者の解答はデータとして管理され、即時の自動採点も可能となる。本実施形態においては、このようなCBTの特徴を利用して通常の試験で測定される被験者の知識や解答力だけでなく、設問を解くために必要な知識や考え方を把握し吸収する学習力を測定する。
【0025】
なお、以下の実施形態においては、一例として大学等の入学試験を挙げるが、開始時刻と終了時刻が明確に規定されるような試験であれば、本実施形態に係る試験装置を適用可能である。すなわち、本実施形態に係る試験装置は、普段の講義や授業における学習のための確認テスト等ではなく、被験者の能力を試すための試験において適用されることが望ましい。
【0026】
図1は、本実施形態に係る試験装置のハードウェア構成図である。試験装置1は、CPU11、RAM12、ROM13、ハードディスク(HDとする)14、通信I/F15及び入出力I/F16を備える。ROM13やHD14には、オペレーティングシステム、プログラム、データベース等が格納されており、必要に応じてプログラムがRAM12に読み出され、CPU11により実行される。
【0027】
通信I/F15は、装置間の通信を行うためのインタフェースである。入出力I/F16は、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力機器からの入力を受け付けたり、プリンタやディスプレイ等にデータを出力するためのインタフェースである。この入出力I/F16は、必要に応じて光磁気ディスク、CD-R、DVD-R等のリムーバブルディスク等に対応したドライブを接続することができる。各処理部はバスを介して接続され、情報のやり取りを行う。
【0028】
なお、上記ハードウェアの構成はあくまで一例であり、必要に応じて変更可能である。また、本実施形態において、通信I/F15は、試験時間内は不正を防止する目的で通信機能を完全に遮断し、試験時間外では通信機能を利用できるように機能してもよい。さらに、本実施形態においては、タッチパネル方式でディスプレイに入力を行うタブレットを使って試験が行われるものとするが、他のデバイスが利用されてもよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係る試験装置の機能ブロック図である。試験装置1は、試験の設問に関する設問情報を記憶する設問情報記憶部21と、設問情報記憶部21から被験者に応じた出題対象となる設問情報を抽出する設問制御部22と、設問情報記憶部21に記憶された各設問ごとに、当該設問を解答するのに必要な知識や考え方が示された教育教材情報を格納する解説情報記憶部23と、解説情報記憶部23から表示対象となる教育教材情報を抽出する解説制御部24と、設問情報や教育教材情報をディスプレイ26に表示する表示制御部25と、タッチパネルで入力された被験者の解答情報を取り込んで取得する情報取得部27と、取得した解答情報が設問情報記憶部21に記憶されている設問の正答と一致しているかどうかを判定して点数を演算する採点部28と、採点結果を被験者ごとに記憶する結果情報記憶部29とを備える。
【0030】
設問情報記憶部21に記憶される設問情報は、科目ごとに、例えば必要に応じて、問題種別(選択問題/記述式問題等)、問題文(図表等も含む)、選択肢、正答、解答時間、配点、文字数制限等の情報が含まれており、出題対象となる設問情報が一覧又は個別に表示できるようになっている。
【0031】
解説情報記憶部23に記憶される教育教材情報は、設問情報における各設問ごとに、その解説となる情報が含まれている。解説となる情報としては、例えば、教科書レベルの参考情報や、正答を導出するための考え方、ヒント、設問に関する原理・原則等の情報が含まれており、それらを参照することで、設問の正答を導出することができるようになっている。なお、解説となる教育教材情報には、設問の正答そのものを示すことで、間違いの原因を被験者に理解させるようにしてもよいし、正答は示さずにヒントのみを示して、被験者が正解するまでの思考を測定できるようにしてもよい。また、その他に、教育教材情報の最大表示時間や設問情報に合わせた表示順などの情報が含まれてもよい。
【0032】
これらの設問情報記憶部21や解説情報記憶部23に記憶された情報は、設問制御部22、解説制御部24及び表示制御部26の機能により被験者のディスプレイ26に表示される。このとき、例えば、複数の設問を一覧表示し、その中から被験者自身の操作により解答する設問を選択できるようにしてもよいし、設問の項番順に一問ずつ表示されるようにしてもよい。
【0033】
表示された設問に対して、被験者はディスプレイ26のタッチパネルにより解答を入力する。入力された解答は情報取得部27により取り込まれ、採点部28が正誤判定を行って採点を行う。このとき、正答の情報や配点を情報を設問情報から読み出して演算を行う。採点の結果は結果情報記憶部29に格納され、最終的な試験結果が得られる。
【0034】
図3は、本実施形態に係る試験装置の動作を示すフローチャートである。準備段階として、被験者の各自に試験装置1が配布され、被験者の識別情報が認証されている。被験者は、例えば希望する学部や配属先により受験する科目が異なる場合があるが、識別情報で管理することで、各被験者ごとに必要な科目のみを受験できるようになる。予め準備が整ったら、試験が開始される(S1)。この開始と同時に、試験装置1は開始時刻を記憶し、以降試験時間内は時間管理部(図示しない)により試験時間が管理される。また、不正を防止するために、少なくとも試験の開始と同時かそれ以前から外部との通信が行われないように制御されることが望ましい。
【0035】
解説制御部24が、これから出題される設問に関する教育教材情報を解説情報記憶部23から抽出し、表示制御部26がディスプレイ26に表示する(S2)。このとき、出題の順番が決まっている場合は、その順番で設問が表示される前に教育教材情報が表示され、設問一覧から被験者が解答する設問を選択した場合は、その選択された設問についての教育教材情報が表示される。表示制御部26は、教育教材情報に含まれる最大表示時間や被験者からの操作情報に基づいて、表示している教育教材情報を非表示状態にする(S3)。
【0036】
設問制御部22は、表示制御部26が教育教材情報を非表示にしたことを受けて、解説制御部24で抽出された当該非表示となった教育教材情報に対応付けられている設問情報を設問情報記憶部21から抽出し、表示制御部26が抽出した設問情報をディスプレイ26に表示する(S4)。表示された設問に対して、被験者がタッチパネルを操作して解答を入力したら、情報取得部27が、その入力された解答情報を取得する(S5)。採点部28が、取得した解答情報と設問情報記憶部21に記憶されている当該設問の正答とを比較し、採点を行う(S6)。このとき、設問ごとに配点が異なる場合は、設問情報記憶部21に記憶された配点情報に基づいて点数が演算される。採点結果は、結果情報記憶部29に記憶される(S7)。S2からS7までの一連の処理は、試験が終了するまで繰り返して行われ(S8)、試験の終了と共に試験装置1の処理も終了する。このとき、不正を防止するために、試験終了と同時に画面がロックされ、一切の入力受け付けない状態に制御されるのが望ましい。
【0037】
このように、本実施形態においては、試験時間中に解説となる教育教材情報を被験者に提示した上で設問を解かせるため、教育教材情報の内容を正確に把握して吸収できるような学習力を有しているかどうかを測定することができる。つまり、教育教材情報を提示しているにも関わらず誤答してしまう被験者は、教育教材情報の内容を理解し正答を導き出すような学習力に欠けていると判断することが可能となる。
【0038】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る試験装置について、
図4ないし
図9を用いて説明する。本実施形態に係る試験装置は、前記第1の実施形態に係る試験装置の機能を含むものであり、教育教材情報は、被験者が誤答した設問についてのみ提示されるものである。すなわち、誤答した場合に再チャレンジで解答を行うものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る試験装置の機能ブロック図である。処理部の構成は前記第1の実施形態における
図2の場合と類似しているが、処理内容が一部追加されている。
図2の場合と異なるのは、試験時間内において、まず設問制御部22が設問を抽出し表示制御部25によりディスプレ26に表示される。このとき、表示された設問の情報は解説制御部24にも共有される。
【0040】
被験者は、表示された設問に解答し採点部28により採点が行われる。解説制御部24は、採点結果を結果情報記憶部29から読み出して、設問に対する被験者の解答が誤答である場合は、その誤答した設問に対応する教育教材情報を解説情報記憶部23から抽出し、表示制御部25がディスプレイ26に表示する。このとき、表示された教育教材情報は設問制御部22にも共有される。設問制御部22は、教育教材情報がディスプレイ26から閉じられると、当該教育教材情報に関連する設問を再度設問情報記憶部21から抽出し、表示制御部25がディスプレイ26に表示する。表示された再設問について、被験者が解答し、その解答が採点部28により採点される。採点結果は結果情報記憶部29に記憶され、解答が誤答である場合は再々チャレンジとして再度解説制御部24により教育教材情報が抽出され、ディスプレイ26に表示される。試験の終了時刻を限度として、設問に正解するまでこれらの処理が繰り返して行われる。
【0041】
解説制御部24は、誤答に対して一旦表示された教育教材情報が閉じられた後は、同じ教育教材情報が抽出されないように制御する。これは、一旦表示された教育教材情報の内容を整理し、吸収する能力を測るためである。すなわち、再設問でも誤答する被験者は、時間や閲覧回数が制限された中で、要点を抽出し、整理して纏める力が不足していると判断することができる。もし、一旦表示された教育教材情報が閉じられた後も再度閲覧可能にした場合は、このような能力を測ることはできない。
【0042】
なお、解説情報記憶部23には、1つの設問に対して複数の観点から解説された教育教材情報が記憶されるようにしてもよい。例えば、解説の詳細度合が異なるような複数の教育教材情報が記憶されており(例えば、情報A:必要最小限のポイントのみ解説、情報B:情報Aよりもやや詳しい解説、情報C:情報A及びBを踏まえたより詳細な解説)、被験者が閲覧を希望する教育教材情報を選択するようにしてもよい。つまり、被験者は表示されている設問に対して、自分の理解度が低い場合には詳細な解説がされている教育教材情報(情報C)を選択でき、ある程度理解はしているけれども解答は間違ってしまったといった場合には、確認ができる程度の基本的な解説のみが含まれている教育教材情報(情報A)を選択できるようにする。このとき、元々の理解度が高い被験者とそうでない被験者との不公平をなくすために、詳細な解説がされている教育教材情報を選択した場合は減点が大きく、基本的な解説のみが含まれている教育教材情報を選択した場合は減点が小さくなるといった採点処理を採点部28により行うようにしてもよい。
【0043】
また、他の例として、被験者が既に解答している他の設問の解答状況に応じて、適正な教育教材情報が抽出されて表示されるようにしてもよい。つまり、他の設問で成績がよくない被験者に対しては非常に詳細な解説を提示し、他の設問で成績がよい被験者に対しては基本的な解説のみを提示する。このような測定は、設問に対する成績はよくないけれども、解説を理解したり吸収する能力が長けているかもしれない場合に、学習力として能力を測定することが可能となる。この場合も、他の設問で成績がよい被験者との不公平を無くすために、詳細な解説を提示した場合は減点が大きく、基本的な解説のみを提示した場合は減点が小さくなるといった採点処理を採点部28により行うようにしてもよい。
【0044】
さらに、他の例として、直前の設問が選択肢となっており、その設問において誤答となった選択肢の種別に応じて適切な教育教材情報が抽出されて表示されるようにしてもよい。例えば、教育教材情報として、計算ミスに関する解説(情報A)、公式の理解に関する解説(情報B)、基本的な考え方を示した詳細な解説(情報C)が用意されているとする。また、設問は、「1」~「5」の5択問題で「3」が正答とし、選択肢「1」及び「2」は計算ミスをした場合に選択される選択肢、選択肢「4」は公式を理解していない場合の選択肢、選択肢「5」は基本的な考え方を理解していない場合の選択肢の種別であるとする。このときに、被験者の誤答が「1」又は「2」であった場合には、それに対応する教育教材情報である情報Aが表示され、被験者の誤答が「4」であった場合には、それに対応する教育教材情報である情報Bが表示され、被験者の誤答が「5」であった場合には、それに対応する教育教材情報である情報Cが表示される。このように、誤答となった選択肢の種別に応じて適正な教育教材情報が提示されることで、誤答となった原因を理解し、それを解決するような学習力が備わっているかどうかを測定することが可能となる。
【0045】
より詳細な具体例を挙げて説明する。例えば、設問が「ある気体の密度を測定したら、標準状態で1.25g/Lであった。この気体の分子量を求めよ。」であり、選択肢が、「1:28.0,2:28.0g,3:1.25,4:22.4、5:11.2」であったとする。用意される教育教材情報は、以下の通りとなる。
(1)選択肢2で誤答となった場合(分子量の定義を間違っていると判断される場合)
分子量は、物質1molの質量からgの単位を除いたものです。
(2)選択肢4で誤答となった場合(解法の手がかかりとなる定義を知らないと判断される場合)
標準状態(0℃、1atm)では、理想気体1molの体積は22.4Lです。まず、この気体1mol、つまり標準状態で22.4Lに相当する質量を求めます。
(3)選択肢3、5又は無回答で誤答となった場合(問題に関する学習が十分でないと判断される場合)
標準状態(0℃、1atm)では、理想気体1molの体積は22.4Lです。そこで、この気体1mol、つまり標準状態で22.4Lに相当する質量は、次の様に求められる。
1.25g/L×22.4L=28.0g
気体の分子量は、1molの質量に等しい(ただし、単位はつけない)ので、この気体の分子量は、28.0である。
【0046】
このように、直前の設問において誤答となった選択肢の種別に応じた教育教材情報が抽出されて表示されることで、被験者に合った適正な教育教材情報を提供することが可能となる。
【0047】
図5は、本実施形態に係る試験装置の動作を示すフローチャートである。以下、処理に応じた具体的な表示画面を参照しながら処理の流れを説明する。第1の実施形態の場合と同様に、準備段階として、被験者の各自に試験装置1が配布され、被験者の識別情報が認証されているとする。予め準備が整ったら、試験が開始される(S1)。この開始と同時に、試験装置1は開始時刻を記憶し、以降試験時間内は時間管理部(図示しない)により試験時間が管理される。また、不正を防止するために、少なくとも試験の開始と同時かそれ以前から外部との通信が行われないように制御されることが望ましい。
【0048】
設問制御部22は、試験の開始と同時に出題対象となっている設問情報を設問情報記憶部21から抽出し、表示制御部26が抽出した設問情報をディスプレイ26に表示する(S2)。このとき、出題の順番が決まっている場合は、その順番で設問が表示され、設問一覧から被験者が解答する設問を選択した場合は、その選択された設問が表示される。ここでは、
図6(A)に示すように、設問の一覧(全9問)が表示され、その中から、被験者が解答する1問を選択するものとする。
図6(B)は、
図6(A)において問2が選択された場合の表示画面の一例を示している。表示された設問に対して、被験者がタッチパネルを操作して解答を入力したら、情報取得部27が、その入力された解答情報を取得する(S3)。ここでは、
図7に示すように、被験者による解答がなされ、その設問に関して採点を行うかどうかの確認画面が表示される。「はい」が押下されると、採点部28による採点処理が行われる。
【0049】
採点部28が、取得した解答情報と設問情報記憶部21に記憶されている当該設問の正答とを比較し、採点を行う(S4)。このとき、設問ごとに配点が異なる場合は、設問情報記憶部21に記憶された配点情報に基づいて点数が演算される。採点結果は、結果情報記憶部29に記憶される(S5)。
【0050】
解説制御部24は、採点された設問について被験者の解答が正解が不正解であるかを結果情報記憶部29に記憶された情報から判断し(S6)、正解である場合は、試験終了時刻までステップS2からの処理が繰り返して行われる。不正解である場合は、不正解となった設問の一覧(すなわち、再チャレンジの対象となる設問情報)が表示され、再チャレンジとして選択された設問に関する教育教材情報を解説情報記憶部23から抽出し、表示制御部26がディスプレイ26に表示する(S7)。
図8は、再チャレンジにおいて表示された教育教材情報の一例である。ここでは、かなり詳細な解説がなされており、誤答となった設問の正答やその周辺の知識に関する情報が表示されている。なお、上述したように、複数の教育教材情報が予め用意されており、被験者の選択、被験者の他の解答の解答状況、誤答となった選択肢の種別に応じて適正な教育教材情報が表示されるようにしてもよい。
【0051】
表示制御部26は、教育教材情報に含まれる最大表示時間や被験者からの操作情報に基づいて、表示している教育教材情報を非表示状態にする(S8)。このとき、解説制御部24は、非表示状態にした教育教材情報について、「表示済み」の状態であることを解説情報記憶部23に書き込んでおく(S9)。こうすることで、「表示済み」の状態となっている教育教材情報を表示対象から除外して、一旦表示された教育教材情報が閉じられた後は、同じ教育教材情報が抽出されないように制御することができる。
【0052】
設問制御部22は、表示制御部26が教育教材情報を非表示にしたことを受けて、ステップS2の処理に戻り、当該非表示となった教育教材情報に対応付けられている設問情報を設問情報記憶部21から抽出し、表示制御部26が抽出した設問情報をディスプレイ26に表示する。ここでは、例えば
図9(A)に示すように、
図8の解説に記載されていた内容に基づいた新たな設問が表示され、解説として表示された教育教材情報の内容が本当に理解できているかを測定可能とする。以降は、試験終了まで同様の処理が繰り返して行われ、全ての設問に対して試験時間内に正解したら、
図9(B)に示すように試験終了の表示がなされて試験が終了する(S10)。なお、全ての設問に正解できない場合であっても、試験時間が終了したらディスプレイ26がロックされ被験者が操作できないようになる。
【0053】
このように、本実施形態に係る試験装置においては、設問に対する解答が不正解である場合に、解答が不正解であった設問に関する教育教材情報をディスプレイに表示するため、その間違いに関して教育教材情報の内容を確認して学習し、再度教育教材情報の内容に関連する設問を解くことで、不正解になった理由の自己分析力、不正解箇所を正確に理解する能力、不正解だったことを生かした応用力といった学習力を測定することが可能になる。
【0054】
また、一旦表示した教育教材情報に関連する設問情報を表示した後(すなわち、教育教材情報のウインドウ又は画面を閉じた後)は、以降の試験時間内において、既に表示された当該教育教材情報を表示しないように制御するため、教育教材情報を表示可能な決まった時間の中で教育教材情報の内容をいかに効率よく吸収し、まとめることができるかといった学習力を測定することが可能になる。
【0055】
さらに、解説制御部24が、被験者の入力操作に応じて複数の教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイ26に表示するため、被験者が自分で必要と思う教育教材情報を閲覧して設問を解くことができ、被験者が自分に不足している知識や能力を正確に自己分析しており、それに合った教育教材情報を選択できているかどうかといった能力を試すことができる。
【0056】
さらにまた、解説制御部24が、被験者の他の設問の解答状況に応じて複数の教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイ26に表示するため、他の設問の解答状況に基づいて被験者にとって有利となる教育教材情報を提供し、その内容をきちんと理解できるかどうかといった学習力を測定することが可能になる。
【0057】
さらにまた、解説制御部24が、直前の設問に対する被験者の誤答の種別に応じて複数の教育教材情報から一の教育教材情報をディスプレイ26に表示するため、誤答となった原因をそれに対応する教育教材情報を参照することで理解し、応用させることができるかどうかといった学習力を測定することが可能になる。
【0058】
(本発明のその他の実施形態)
本実施形態に係るその他の実施形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。なお、本実施形態において、前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0059】
図10は、本実施形態に係る試験装置の第1の機能ブロック図である。本実施形態において、第1の実施形態における
図2の構成と異なるのは、被験者が各設問に解答するのに要した時間を計測する時間計測部101を備え、採点部28は、被験者が設問に対して解答に要した解答時間に応じて点数を演算することである。具体的には、設問情報記憶部21において各設問ごとに解答上限時間が設定されており、時間計測部101が計測した実際の解答時間と解答上限時間とを比較し、解答上限時間を超えていた場合に、その超えた時間に応じて採点処理を行うものである。被験者は、この解答上限時間内に解答することが原則であるが、仮に上限時間を超えた場合であっても点数が加点されるように演算するものである。
【0060】
被験者の中には、設問に対する理解度は十分に備えているものの、解答に時間が掛かったり、設問には即答できないものの、原理・原則が十分に理解されていることから、自力で応用問題に対する解答を時間を掛けて導き出すといった特性を有している場合がある。このような被験者については、思考力、創造力、基礎力、応用力といった能力が備わっている可能性があり、必要な能力として評価することができる場合もある。
【0061】
つまり、多少時間が掛かっても最終的に正解できる被験者については、多少の加点を与えることで能力を評価することが可能となる。具体的には、例えば、解答上限時間が5分で設定されている配点が10点の問題に対して、解答上限時間が1分を超えるごとに1点減点する。すなわち、例えば、5分以内で正解すれば10点、5分~6分であれば正解しても9点、10分要した場合には、正解しても5点といった採点となる。この採点条件は、例えば、設問情報記憶部21に予め設問ごとに設定されて記憶されており、採点部28がその採点条件を設問情報記憶部21から読み出して演算するようにしてもよい。また、延長時間には上限を設けるようにしてもよく、例えば上記の例の場合、延長上限時間を10分と設定した場合は、10分を超えて正解しても採点は0点となるように採点条件を設定してもよい。
【0062】
図11は、本実施形態に係る試験装置の第2の機能ブロック図である。
図11において、試験装置1は、前記各実施形態における試験装置の構成に加えて、情報取得部27がディスプレイ26に表示された教育教材情報に対する被験者の動作を示す情報を取得し、取得された動作情報に基づいて、被験者の学習過程を解析する解析部111を備える構成となっている。
【0063】
被験者の動作を示す情報とは、例えば被験者の目線、被験者がディスプレイ26上に記入した目印やアンダーライン、一覧表示された設問から解答する設問を選択する選択順、解答の選択肢を選択する際のやり直し方、やり直し順等の動作を示す。これらの動作情報が情報取得部27により取得され、解析部111により解析されることで、被験者の思考や設問に対する理解度、重要なポイントの抽出ができているかどうかといった推定を行うことが可能となる。
【0064】
具体的には、例えば、被験者の目線を解析する場合、試験装置1に設置されたカメラで被験者の顔を撮像し、白目部分に対する黒目の位置で視線方向を推定する。推定された視線方向から被験者が注視している単語や文章を割り出し、理解に時間を要している内容や流し読みをしている内容等に基づいて、被験者の教育教材情報への理解度や関心度を解析することができる。
【0065】
また、例えば、表示された教育教材情報に対して、被験者がアンダーラインを引いたりメモ等を記入した場合は、その情報を取り込んで解析部111が解析することで、被験者が気になった箇所や、教育教材情報の内容を理解するために行った学習過程を推定して学習力を測定することが可能となる。
【0066】
さらに、選択する設問の順番や選んだ選択肢の履歴を解析することにより、被験者の得意分野、苦手分野、解答に対する自信の有無等を推定することができる。また、迷った選択肢を解析することで、被験者に何が足りないかを推定することができ、その足りないものに見合った教育教材情報を表示することも可能となる。
【0067】
このように、本実施形態に係る試験装置においては、設問ごとに設定された解答上限時間を記憶しており、採点部28が、被験者により解答された時間が解答上限時間を超えた場合に、当該超えた時間に応じて点数を演算することで、時間さえあれば設問に正解する知識や能力を持っている被験者を見極めることが可能になる。
【0068】
また、ディスプレイ26に表示された教育教材情報に対する被験者の動作を示す動作情報に基づいて、被験者の学習過程を解析することで、被験者が教育教材情報をどのように理解しているかをその動作から解析して学習力の高さを確認することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 試験装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 HD(ハードディスク)
15 通信I/F
16 入出力I/F
21 設問情報記憶部
22 設問制御部
23 解説情報記憶部
24 解説制御部
25 表示制御部
26 ディスプレイ
27 情報取得部
28 採点部
29 結果情報記憶部
101 時間計測部
111 解析部