(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】錠前用台座構造体及び錠前
(51)【国際特許分類】
E05B 9/02 20060101AFI20220124BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20220124BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20220124BHJP
E05B 13/08 20060101ALI20220124BHJP
E05B 9/08 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
E05B9/02
E05B1/00 311H
E05B65/08 F
E05B13/08 A
E05B9/08 G
(21)【出願番号】P 2018046628
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 育也
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-208589(JP,A)
【文献】特開平09-151628(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183056(WO,A1)
【文献】特開平06-167143(JP,A)
【文献】特開2011-084901(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01544384(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 9/02
E05B 1/00
E05B 65/08
E05B 13/08
E05B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア内に配設された錠前本体の係止部材と連動する引戸の側面に付設される台座構造体であって、引戸の室内側に付設される操作部材と、引戸の室外側に付設される室外側部材と、ドアを貫通し該操作部材と該室外側部材を接続するネジとを有するものであり、該操作部材は、下記(i)~(vi):
(i)ドア側の底板と該底板からドア側とは反対方向に延びる円筒側板からなる蓋形状であって、操作レバー部の嵌合突起が通る第1中心孔と、該ネジが通るネジ孔と、内リングのリング係止片が係止する底縁孔を有するネジ座;
(ii)該ネジ座の内側に嵌る円筒リングであって、該ネジ座の底縁孔に係止すると共に、内蓋の係止突起が係止するリング係止片を有する内リング;
(iii)該ネジ座の底板を覆い隠すものであって、操作レバー部の嵌合突起が通る第2中心孔を有する薄円板状の本体部と、該本体部のドア側の面からドア側の方向に延びる該内リングのリング係止片に係止する係止突起とを有する内蓋;
(iv)摘み部と、該摘み部の中央からドア側の方向に延びる角棒が嵌る嵌合突起とを有する操作レバー部;
(v)外周側面を有する短円筒部と、該短円筒部のドア側とは反対方向の端のフランジ部を有する押え蓋;
(vi)一端が該操作レバー部の嵌合突起の角孔に嵌る所定長さの角棒;
を備え、該室外側部材は、ネジが螺合する一対のボス孔を有するボス付き座を備えることを特徴とする錠前用台座構造体。
【請求項2】
該室外側部材は、表示部が表れる小孔を有する表示側外蓋、及び該角棒が嵌合する嵌合部と該嵌合部のドア側とは反対方向に付設される円板状の表示本体を有する表示部、を更に備えることを特徴とする請求項1記載の錠前用台座構造体。
【請求項3】
該内リングは、更に、リング本体の内周面から内側に延びる微小突起を有し、該押え蓋の短円筒部の外周面は、該微小突起と係止する係止溝を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の錠前用台座構造体。
【請求項4】
該ネジ座と該ボス付き座が、ドアを貫通するネジにより、ドアに固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の錠前用台座構造体。
【請求項5】
該リング係止片は、リング本体の周方向の一部を切り欠くことで形成され、ドア側の端から内側に延びる先端突起を有し、該先端突起と該内蓋の係止突起が係止することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の錠前用台座構造体。
【請求項6】
該ネジ座は金属製であり、該内リングは樹脂製であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の錠前用台座構造体。
【請求項7】
該内蓋のドア側であって、且つ該操作レバー部の嵌合突起に外嵌合する擦れ防止用リングを更に備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の錠前用台座構造体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の錠前用台座構造体を有することを特徴とする錠前。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを貫通するネジで固定する摘みレバー操作型の錠前及びこれに用いる錠前用台座構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2017-71892号公報には、出入口形成枠体に付設された挿入孔と、引戸50の前端部から内方へ延在して装着される錠前本体部42と、錠前本体部42の側面から引戸50の側方側に突出し、且つ引戸50の側面と直交する方向に沿って回動自在の係止部材22と、引戸50の側面に付設される係止部材と連動する操作部材3と、操作部材3と反対側のドア面に設置される表示部材を有する引戸錠前が開示されている。
【0003】
特開2017-71892号公報の引戸錠前にように、錠前用台座構造体は、ドア内に配設された錠前本体の係止部材と連動する引戸の側面に付設されるものであって、引戸の室内側に付設される操作部材と、引戸の室外側に付設される表示部材とを備える。操作部材と表示部材をドア面に固定する方法としては、それぞれ単独でドア面にネジ留めする方法と、操作部材と表示部材をドアを貫通するネジで一体的にネジ留めする方法がある。
【0004】
操作部材と表示部材を、それぞれ単独でドア面にネジ留めする方法としては、
図13に示す錠前用台座構造体100が知られている。すなわち、操作部材側の操作部101の固定は、操作部材側のネジ102によりドア面にネジ留めされ、表示部材側の表示部201の固定は、表示部材側のネジ202によりドア面にネジ留めされる。ネジ留めされた面には、外蓋103、203がそれぞれ外装されるため、ネジ頭は隠れる。このため、美観を損ねることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図13に示すように、外蓋103は、操作部101に対してねじ込みにより、外蓋203は、表示部201に対してねじ込みでそれぞれ固定されるため、外蓋103、203は容易に外すことはできる。このため、表示部材である室外側は、外蓋203を外して、ネジを取り外せば、錠前を開錠状態にできるため、防犯上の問題が生じる。これを解決するものとして、操作部材と表示部材をドアを貫通するネジで一体的にネジ留めする方法がある。この方法によれば、ネジ頭を室内側にできるため、防犯上の問題は生じない。しかしながら、この一体ネジ留め型の場合、ネジ長さが長く、ネジ留めを安定にするため、金属製のネジ座を使用することになる。この場合、ネジ頭は室内とは言え、外側に表れることになり、美観の問題が生じる。
【0007】
従って、本発明の目的は、ドアを貫通するネジで固定するものであって、美観と防犯性を兼ね備えた摘みレバー操作型の錠前及びこれに用いる錠前用台座構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、ドア内に配設された錠前本体の係止部材と連動する引戸の側面に付設される台座構造体であって、引戸の室内側に付設される操作部材と、引戸の室外側に付設される室外側部材と、ドアを貫通し該操作部材と該室外側部材を接続するネジとを有するものであり、
該操作部材は、下記(i)~(vi):
(i)ドア側の底板と該底板からドア側とは反対方向に延びる円筒側板からなる蓋形状であって、操作レバー部の嵌合突起が通る第1中心孔と、該ネジが通るネジ孔と、内リングのリング係止片が係止する底縁孔を有するネジ座;
(ii)該ネジ座の内側に嵌る円筒リングであって、該ネジ座の底縁孔に係止すると共に、内蓋の係止突起が係止するリング係止片を有する内リング;
(iii)該ネジ座の底板を覆い隠すものであって、操作レバー部の嵌合突起が通る第2中心孔を有する薄円板状の本体部と、該本体部のドア側の面からドア側の方向に延びる該内リングのリング係止片に係止する係止突起とを有する内蓋;
(iv)摘み部と、該摘み部の中央からドア側の方向に延びる角棒が嵌る嵌合突起とを有する操作レバー部;
(v)外周側面を有する短円筒部と、該短円筒部のドア側とは反対方向の端のフランジ部を有する押え蓋;
(vi)一端が該操作レバー部の嵌合突起の角孔に嵌る所定長さの角棒;
を備え、該室外側部材は、ネジが螺合する一対のボス孔を有するボス付き座を備えることを特徴とする錠前用台座構造体を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該室外側部材は、表示部が表れる小孔を有する表示側外蓋、及び該角棒が嵌合する嵌合部と該嵌合部のドア側とは反対方向に付設される円板状の表示本体を有する表示部を更に、備えることを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該内リングは、更に、リング本体の内周面から内側に延びる微小突起を有し、該押え蓋の短円筒部の外周面は、該微小突起と係止する係止溝を備えることを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該ネジ座と該ボス付き座が、ドアを貫通するネジにより、ドアに固定されることを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該リング係止片は、リング本体の周方向の一部を切り欠くことで形成され、ドア側の端から内側に延びる先端突起を有し、該先端突起と該内蓋の係止突起が係止することを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該ネジ座は金属製であり、該内リングは樹脂製であることを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該内蓋のドア側であって、且つ該操作レバー部の嵌合突起に外嵌合する擦れ防止用リングを更に備えることを特徴とする前記錠前用台座構造体を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記錠前用台座構造体を有することを特徴とする錠前を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作部材と表示部材を、ドアを貫通するネジで固定するため、強く固定できる。また、ネジ頭は室内側となるため、防犯性に優れる。また、ネジ頭を隠す内蓋を有するため、美観を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における錠前の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態における錠前の他の分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態における錠前用台座構造体の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態における錠前用台座構造体の他の分解斜視図である。
【
図5】
図3の錠前用台座構造体を構成する部材の一部を組み込んだ分解斜視図である。
【
図6】
図3の錠前用台座構造体を構成する部材の一部を組み込んだ他の分解斜視図である。
【
図7】
図3の錠前用台座構造体を構成する操作部材の一部を組み込んだ分解斜視図である。
【
図8】
図3の錠前用台座構造体を構成する操作部材の一部を組み込んだ他の分解斜視図である。
【
図9】
図3の錠前用台座構造体を構成する操作部材の部分分解された断面図である。
【
図10】
図3の錠前用台座構造体を構成する操作部材の断面図である。
【
図11】
図3の錠前用台座構造体を構成する室外側部材の部分分解された断面図である。
【
図12】
図3の錠前用台座構造体を構成する室外側部材の断面図である。
【
図13】従来の錠前用台座構造体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態における錠前用台座構造体(以下、単に「台座構造体」とも言う。)及び錠前について、
図1~
図12を参照して説明する。錠前10Aは、錠前本体1と台座構造体10を有する。台座構造体10は、ドア内に配設された錠前本体1の係止部材(例えば、鎌錠の鎌首)と連動する引戸の側面に付設されるものあって、引戸の室内側に付設される操作部材2と、引戸の室外側に付設される室外側部材3と、ドアを貫通し操作部材2と室外側部材3を接続するネジ4とを有する。錠前本体1としては、公知の鎌錠などが挙げられる。室外側部材3は本例では、施錠又は開錠を表示する表示部材である。
【0019】
操作部材2は、室内側の部品であり、(i)ネジ座21、(ii)内リング22、(iii)内蓋23、(iv)操作レバー部24、(v)押え蓋25及び(vi)角棒5を組み込んだものである。
【0020】
ネジ座21は、ドア側の底板211と底板211からドア側とは反対方向に延びる円筒側板212からなる蓋形状(皿形状)であって、操作レバー部24の嵌合突起242が通る第1中心孔213と、ネジ4が通るネジ孔214と、内リング22のリング係止片222が係止する底縁孔215を有する。第1中心孔213は、底板211の中心に付設される貫通孔である。ネジ孔214は、第1中心孔213の左右両側に一対(2つ)形成される貫通孔である。ネジ座21は、金属製とすることが、ネジ4の固定を強く安定にする点で好ましい。底縁孔215は、第1中心孔213の上下側で、底板211と円筒側板212の角に一対(2つ)形成される貫通孔である。この底縁孔215は、内リング22のリング係止片222が係止するための係止孔である。ネジ座21の円筒側板212の先端は、小フランジ部を形成している。これにより、押え蓋25のフランジ部252の内側に小フランジ部が嵌合することができる。このように、ネジ座21は、ネジ4の台座として、且つ内リング22を固定するための部材として、更に押え蓋25と一体に係止する機能を有する。
【0021】
内リング22は、ネジ座21の内側に嵌る円筒リングであって、ネジ座21の底縁孔215に係止すると共に、内蓋23の係止突起233が係止するリング係止片222と、リング本体221の内周面から内側に延びる微小突起223とを有する。内リング22は、樹脂製とすることが、リング係止片222や微小突起223を形成し易く、内蓋23やネジ座21との係止が行い易い点で好ましい。リング係止片222は、リング本体221の周方向の一部を切り欠くことで上下2箇所に形成されている。また、リング係止片222の形状は、ネジ座21の底縁孔215に係止する形状であり、径方向において僅かにアール状の凸形状を呈している。このため、内リング22をネジ座21に嵌め込む際、リング係止片222は内側に撓み、元の形状に復元することで、ネジ座21に強く固定されるという板バネの機能を有する。また、リング係止片222のドア側の端は、径方向の内側に少し屈曲して延びる先端突起224を有している。これにより、内蓋23の係止突起233と係止して、内蓋23を固定することができる。このように、内リング22は、内蓋23をネジ座21に簡易な方法で嵌めるための中間部材として機能する。
【0022】
内蓋23は、ネジ座21の底板211を覆い隠すものであって、操作レバー部24の嵌合突起242が通る第2中心孔232を有する薄円板状の本体部231と、本体部231のドア側の面からドア側の方向に延びる内リング22のリング係止片222に係止する係止突起233とを有する。薄円板状の本体部231の外径は、ネジ座21の底板211の内径(内寸法)よりやや小の大きさである。また、本体部231の表面は、外観に表れるため、平坦面である。第2中心孔232の孔径は、操作レバー部24の嵌合突起242の外径と略同じである。係止突起233は、内リング22のリング係止片222の先端に対応する位置である上下2箇所に形成されている。係止突起233は、横方向に少し長い略棒状突起であり、高さ方向の中央において少し縊れており、リング係止片222との確実な係止を可能としている。
【0023】
操作レバー部24は、摘み部241と、摘み部241の中央からドア側の方向に延びる角棒が嵌る嵌合突起242とを有する。摘み部241は、角材形状とすることで、摘み易くしている。嵌合突起242は、突起の先端から反先端側に向けて角棒5が嵌る角孔243が形成されている。これにより、摘み部241の回動に連動して角棒5が回り、錠前本体1の係止部材が作動し、表示部材3の表示部32が回動する。角棒5は、一端が操作レバー部3の嵌合突起242の角孔243に嵌る所定長さを有する。すなわち、角棒5の他端は、錠前本体1を貫通し、表示部材3の表示部32の嵌合部322に嵌合する。
【0024】
押え蓋25は、外周側面を有する短円筒部251と、短円筒部251のドア側とは反対方向の端のフランジ部252とを有し、短円筒部251の外周面は、内リング22の微小突起223と係止する係止溝253を備える(
図9)。押え蓋25の短円筒部251の内周面及びフランジ部252の表面部は、外観に表れるため、平坦面としている。また、フランジ部252の裏面には、ネジ座21の円筒側板212の小フランジが嵌る凹溝254が形成されている。なお、符号26は、擦れ防止リングであり、符号27は、留めリングである。押え蓋25は、内蓋23の表面の外縁を押さえ、内蓋23の脱落を防止すると共に、最外部材となり意匠性を付与できる(
図10)。
【0025】
室外側部材である表示部材3は、ボス付き座31と、表示側外蓋33と、表示部32と、バネリング34と、留めリング35を更に備える。ボス付き座31は、ネジ4が螺合する一対のボス孔を有するボス313を有するものである。ボス付き座31は、中心に表示部32の嵌合部322が嵌る中心孔312を有する円板本体312と、中心孔312の両側に付設される円板本体312から施錠本体側に延びる一対のボス313を有する。ボス313に形成されるボス孔は、雌孔であり、ネジと螺合する。円板本体312の左右端には、外側に少し延びる小突起314が形成されている。小突起314は、表示側外蓋25の内周に形成される短円筒部334の高さ方向に延びる縦溝336に係止する(
図11)。
【0026】
表示部32は、角棒5が嵌合する嵌合部322と嵌合部のドア側とは反対方向に付設される円板状の表示本体321を有する。表示本体321の反ドア側の面には、中心線を通る左右線より上部には白シールが、下部には赤シールが貼付されている(不図示)。
図3及び
図4の分解図は開錠状態における配置であり、白シールは上部側に位置する。嵌合部322は、嵌合突起であり、嵌合突起には、ドア側の端面から反ドア側方向に所定の深さで、角孔が付設されている。角棒5は、一端が嵌合部322に嵌合し、施錠本体1の貫通角孔を通り、角棒5の他端が室内側の摘み部24の嵌合突起242の角孔243に嵌合する。これにより、操作部材2と施錠本体1と表示部3が連動する。
【0027】
表示側外蓋33は、表示部32の中央小突起が表れる第3中心孔333を有する。すなわち、表示側外蓋33は、第3中心孔333が形成された円板状の天板332と、天板332の外縁よりやや内側からドア側に延びる外周側面を有する短円筒部334と、第3中心333の上方に、表示本体の表示が表れる貫通孔である小窓335を有する。また、短円筒部334の内周面は、バネリング34が嵌る周溝337が形成されている。表示側外蓋25の小孔335から見える表示本体321面には、白シールと赤シールが貼付されており、室外者に対して、施錠状態又は開錠状態を知らせるものである。表示部の表示方法としては、これに限定されず、文字表示や符号表示などが挙げられる。
【0028】
次に、操作部材2及び表示部材3のドア面への取りつけ方法の一例を示す。施錠本体1は、既にドア内に付設されている。先ず、表示部材3を予め組み付けておく。すなわち、
図3、
図4、
図11及び
図12に示すように、ボス付き座31に表示部32を組み付ける。すなわち、表示部32の嵌合部322を、ボス付き座31の中心孔312に通し、留めリング35により一体化させる。次いで、この一体化物を表示側外蓋33に嵌め込む。すなわち、表示側外蓋33の中に一体化物を入れ、表示部32の中心の小突起を、表示側外蓋33の第3中心孔333に嵌める。この際、バネリング34をボス側から表示側外蓋33側へ通して、表示側外蓋33の周溝337に嵌合させる。これにより、
図12の表示部材3が得られる。
【0029】
次に、操作部材2のネジ座21と表示部材3をドアを挟んで対応する位置で対峙させる。ネジ座21のネジ孔214からネジを通し、ドア面を貫通して表示部材3のボス313のボス孔にねじ込む。ネジ座21が金属製で、ボスを含めた表示部材3が樹脂製の場合、両者を強く固定することができる(
図5及び
図6)。また、ネジ4のネジ頭は、室内側となるため、防犯性に優れる。
【0030】
操作部材2において、
図3及び
図4の状態において、内蓋23と操作レバー部24及びネジ座21と内リング22を組み込んで一体化させたものが、
図5及び
図6である。すなわち、内蓋23の第2中心孔232に、操作レバー部24の嵌合突起242を通し、嵌合突起242の先端から擦れ防止リング26及び留めリング27を嵌め込み、両者を一体化させる。次いで、操作レバー部24の嵌合突起242の角孔に、角棒5を嵌合させる。次いで、ネジ座21に、内リング22を嵌め込む。すなわち、ネジ座21の中に、内リング22を押し込み、内リング22のリング係止片222を、ネジ座21の底縁孔215のエッジに係止させ、両者を一体化する。これにより、
図9に示すように、押え蓋25、内蓋23と操作レバー部24の一体化物、ネジ座21と内リング22の一体化物の3部品となる。次に、ネジ座21と内リング22の一体化物に、内蓋23と操作レバー部24の一体化物を嵌合させる。この際、内蓋23の係止突起233が、内リング22のリング係止片222に係止することで、ネジ座21と内リング22の一体化物と内蓋23と操作レバー部24の一体化物が一体化する。これにより、ネジ4のネジ頭は内蓋23で隠される。次いで、押え蓋25を嵌合させる。すなわち、押え蓋25の係止溝253に、内リング22の微小突起223が係止する。これにより、
図10に示すような操作部材2が得られる。なお、角棒5の先端は、表示部材3の表示部32の嵌合部322に嵌合する。
【0031】
本例の錠前10Aは、錠前本体1と台座構造体10を有する。錠前10Aの使用方法の一例を示す。錠前10Aにおいて、開錠状態から施錠状態とするには、摘み部24を施錠方向に回動させる。これにより、角棒5が回動し、錠前本体1の係止部材が作動し、例えば鎌首が回転して、施錠状態となる。この際、室外側の表示部材3の外蓋33の小孔335には、赤色が表れ、施錠状態を知ることができる。次に、錠前10Aにおいて、施錠状態から開錠状態とするには、摘み部24を開錠方向に回動させる。これにより、角棒5が回動し、錠前本体1の係止部材が作動し、例えば鎌首が係止から外れるように回転して、開錠状態となる。この際、室外側の表示部材3の外蓋33の小孔335には、白色が表れ、開錠状態を知ることができる。
【0032】
本例の錠前10A及び台座構造体10は、操作部材2と表示部材3を、ドアを貫通するネジ4で固定するため、強く固定できる。また、ネジ4のネジ頭は室内側となるため、防犯性に優れる。また、ネジ4のネジ頭を隠す内蓋23を有するため、内蓋23の表面が押え蓋25の底面のように表れるため、意匠性が高まる。
【0033】
本発明において、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。例えば、室外側部材である表示部材3は、表示しない部材であってもよい。この場合、室内側の操作部材2を固定するための部材として機能する。また、室外側部材が表示部材とする場合であっても、ボス付き座を有する以外は、上記実施の形態例の構成に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、ドアの両側に位置する操作部材と室外側部材とを貫通ネジで強く固定でき、長期間の使用に耐える。また、防犯性に優れると共に、ネジのネジ頭が隠れており、美観に優れ、高級感を付与できる。
【符号の説明】
【0035】
1 施錠本体
2 操作部材
3 室外側部材(表示部材)
4 ネジ
5 角棒
10 錠前用台座構造体
10A 錠前
21 ネジ座
22 内リング
23 内蓋
24 操作レバー部
25 押え蓋
31 ボス付き座
32 表示部
33 表示側外蓋
34 バネリング
35 留めリング