(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ヒートパイプ式の熱交換装置、および同装置を備えるサーバーシステム用の空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20220124BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220124BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20220124BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220124BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
F24F3/044
H05K7/20 U
F28D15/02 L
F24F7/06 B
G06F1/20 A
G06F1/20 B
F28D15/02 A
(21)【出願番号】P 2018099870
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-01-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 第10回データセンター展 開催場所 住 所 東京都江東区有明3-10-1 東京ビッグサイト 開催日 平成30年5月9日~11日 3日間
(73)【特許権者】
【識別番号】000181572
【氏名又は名称】篠原電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 基一郎
(72)【発明者】
【氏名】犀川 真一
(72)【発明者】
【氏名】元木 正治
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009715(JP,A)
【文献】特開2003-060373(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0034270(US,A1)
【文献】特開平06-328927(JP,A)
【文献】特開平10-247793(JP,A)
【文献】特開平06-101930(JP,A)
【文献】特表2013-524329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216069(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
H05K 7/20
F28D 15/02
F24F 7/06
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体(16)の内部にヒートパイプ(13)を伝熱要素とする第1熱交換体(14)と、水冷式の第2熱交換体(15)と、ケース本体(16)の内部を内気送給室(21)と外気送給室(22)に区分する仕切構造(20)とを備えている熱交換装置であって、
第1熱交換体(14)は、内気送給室(21)および外気送給室(22)の内部を、入口領域(21a・22a)と出口領域(21b・22b)とに区分する状態で配置されており、
仕切構造(20)は、ケース本体(16)の内部に送給された熱気および外気の流動方向を切換える方向切換体(56・57)と、両切換体(56・57)を第1姿勢と第2姿勢に切換操作する切換体駆動構造(58)とを備えており、
各切換体(56・57)が切換体駆動構造(58)で第1姿勢に切換操作された状態では、両切換体(56・57)が内気送給室(21)の入口領域(21a)と外気送給室(22)の出口領域(22b)の間の通気面(59a・59b)を遮断して、ケース本体(16)の内部を内気送給室(21)と外気送給室(22)とに区分しており、
各切換体(56・57)が切換体駆動構造(58)で第2姿勢に切換操作された状態では、各切換体(56・57)が第1熱交換体(14)の熱気入口面(14c)と外気入口面(14d)を遮蔽し、かつ前記通気面(59a・59b)を開放して、内気送給室(21)の入口領域(21a)と外気送給室(22)の出口領域(22b)、および外気送給室(22)の入口領域(22a)と内気送給室(21)の出口領域(21b)をそれぞれ連通させるように構成されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
切換体駆動構造(58)が、内気送給室(21)および外気送給室(22)の前後面に沿って配置されて回転自在に支持される一群のガイド体(61)と、一群のガイド体(61)に無端状に巻掛けられる前後一対の搬送体(62)と、搬送体(62)を往復駆動するモーター(63)および駆動体(64)と、方向切換体(56・57)を移動案内するガイド枠(66)とを備えており、
内気送給室(21)における各搬送体(62)とガイド枠(66)は、第1熱交換体(14)の熱気入口面(14c)と、内気送給室(21)の入口領域(21a)と外気送給室(22)の出口領域(22b)の間の通気面(59a)に沿う状態でV字状に配置されており、
外気送給室(22)における各搬送体(62)とガイド枠(66)は、第1熱交換体(14)の外気入口面(14d)と、外気送給室(22)の入口領域(22a)と内気送給室(21)の出口領域(21b)の間の通気面(59b)に沿う状態でV字状に配置されており、
方向切換体(56・57)は屈曲可能で通気不能な遮断材で構成されて、その複数個所が搬送体(62)に固定されている請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
方向切換体(56)の移動軌跡の始端および終端に臨んで、方向切換体(56)が第1姿勢に切換ったことを検知するセンサー(81)と、方向切換体(56)が第2姿勢に切換ったことを検知するセンサー(82)とが配置されており、
制御装置(52)は起動スイッチ(84)の出力信号を受けてモーター(63)を起動させ、前記の各センサー(81・82)の検知信号に基づきモーター(63)を停止させて、各方向切換体(56・57)を切換体駆動構造(58)で第1姿勢と第2姿勢の間で移動させる請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
第1熱交換体(14)が、ケース本体(16)の内部の対角線に沿って斜めに配置されており、
内気送給室(21)に臨むケース本体(16)に内気入口(23)と内気出口(24)が形成され、外気送給室(22)に臨むケース本体(16)に外気入口(25)と外気出口(26)が形成されて、内気入口(23)と外気入口(25)、および内気出口(24)と外気出口(26)がそれぞれ正対されており、
内気送給室(21)の内気入口(23)に、熱気を内気送給室(21)の入口領域(21a)に送給する第1送風ファン(27)が配置され、外気送給室(22)の外気入口(25)に、外気を外気送給室(22)の入口領域(22a)に送給する第2送風ファン(28)が配置されている請求項1から3のいずれかひとつに記載の熱交換装置。
【請求項5】
仕切構造(20)が、ケース本体(16)の内部を内気送給室(21)と外気送給室(22)に区分する仕切壁(87)と、内気送給室(21)の入口領域(21a)に配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体(56)と、外気送給室(22)の入口領域(22a)に配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体(57)と、方向切換体(56・57)を第1姿勢と第2姿勢に切換え操作する切換体駆動構造(58)とを備えており、
方向切換体(56・57)が切換体駆動構造(58)で第1姿勢に切換操作された状態では、両切換体(56・57)が仕切壁(87)に形成した通気面(59a・59b)を閉止してケース本体(16)の内部を内気送給室(21)と外気送給室(22)とに区分しており、
方向切換体(56・57)が切換体駆動構造(58)で第2姿勢に切換操作された状態では、両切換体(56・57)が第1熱交換体(14)の熱気入口面(14c)と外気入口面(14d)とを遮蔽し、かつ前記通気面(59a・59b)を開放して、内気送給室(21)の入口領域(21a)と外気送給室(22)の出口領域(22b)、および外気送給室(22)の入口領域(22a)と内気送給室(21)の出口領域(21b)をそれぞれ連通させている請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項6】
熱交換装置(C)が、第2熱交換体(15)に冷却水を送給する送水設備(17)を備えており、
第2熱交換体(15)は第1熱交換体(14)の吸熱部(14a)と内気出口(24)の間に配置されており、
各方向切換体(56・57)が第1姿勢または第2姿勢に切換えられた状態において、送水設備(17)から第2熱交換体(15)に冷却水を送給して、第2熱交換体(15)を通過する熱気、または外気を第2熱交換体(15)で強制的に冷却する請求項1から5のいずれかひとつに記載の熱交換装置。
【請求項7】
サーバー室(S)の内部に、一群のサーバー(2)を収容するサーバーラック(1)が列状に配置されてラック列(3)を構成しており、サーバー室(S)の外に請求項1から6のいずれかひとつに記載した熱交換装置(C)が設けられているサーバーシステム用の空気調和装置であって、
ラック列(3)の一側に各サーバーラック(1)の冷気入口(6)が設けられ、ラック列(3)の他側に各サーバーラック(1)の熱気出口(7)が設けられており、
ラック列(3)の冷気入口(6)に臨む冷気空間(6A)と、ラック列(3)の熱気出口(7)に臨む熱気空間(7A)が、ラック列(3)に沿って設けた仕切壁(8)で区分されており、
熱交換装置(C)の内気入口(23)が熱気空間(7A)に接続され、内気出口(24)が冷気空間(6A)に接続されており、
外気温度センサー(48)が検知した外気温度と、熱交換装置(C)に送給される熱気の温度差が設定温度差を越える状態において、制御装置(52)が切換体駆動構造(58)を作動させて方向切換体(56・57)を第2姿勢に切換えており、
方向切換体(56・57)が第2姿勢に切換えられた状態では、内気送給室(21)に送給された熱気が外気送給室(22)の外気出口(26)から大気中に放出され、外気送給室(22)に送給された外気が内気送給室(21)の内気出口(24)から冷気空間(6A)に送給されることを特徴とするサーバーシステム用の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプを伝熱要素とする熱交換体を備える熱交換装置と、同装置を備えるサーバーシステム用の空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の熱交換装置は、ヒートパイプを伝熱要素とする第1熱交換体と、水冷式の第2熱交換体と、これら両者を収容するケース本体と、第2熱交換体に冷却水を送給する送水設備などを備える。ケース本体の内部は、対角線に沿って配置した仕切板で、断面が三角形状の内気送給室および外気送給室に区分されており、仕切板と直交する状態で配置した第1熱交換体の吸熱部が内気送給室に収容され、放熱部が外気送給室に収容されている。第2熱交換体は、第1熱交換体と内気出口の間に配置されており、外気温が高い場合に第1熱交換体と第2熱交換体を同時に作動させて熱気を冷却する。外気温が低い場合には、第1熱交換体のみを作動させて熱気を冷却することもある。この種の熱交換装置は、例えばサーバーシステムに適用されて、四季の外気温の変化に応じてサーバー室の空気調和を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の熱交換装置では、ケース本体の内部にヒートパイプを伝熱要素とする第1熱交換体が斜めに傾斜した状態で配置されているので、例えば第1熱交換体が縦長に配置されている構成に比べて、熱交換装置の全体構造をコンパクト化しながらヒートパイプの熱輸送量を増加して冷却能力を向上できる。しかし、ヒートパイプの熱交換効率は最大でも50%前後でしかないため、第1熱交換体のみを作動させて熱気を冷却する場合に、熱気温度を充分に低下できないことがある。例えば、熱気温度が40℃で外気温度が20℃であるとき、冷却後の熱気の温度は30℃前後にしかならない。そのため、外気温度がさほど高くない春季や秋季でも水冷式の第2熱交換体を併用して熱気を冷却する必要があり、その分だけ熱交換装置のランニングコストが嵩むことが避けられない。
【0005】
本発明は、熱交換装置、および同装置を備えているサーバーシステム用の空気調和装置において、より効率的に熱気を冷却することができるようにして、ランニングコストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る熱交換装置は、
図4に示すように、ケース本体16の内部にヒートパイプ13を伝熱要素とする第1熱交換体14と、水冷式の第2熱交換体15と、ケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分する仕切構造20を備えている。第1熱交換体14は、内気送給室21および外気送給室22の内部を入口領域21a・22aと出口領域21b・22bに区分する状態で配置されている。仕切構造20は、ケース本体16の内部に送給された熱気および外気の流動方向を切換える方向切換体56・57と、両切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換操作する切換体駆動構造58を備えている。各切換体56・57が切換体駆動構造58で第1姿勢に切換操作された状態では、両切換体56・57が内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22bの間の通気面59a・59bを遮断して、ケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分している。各切換体56・57が切換体駆動構造58で第2姿勢に切換操作された状態では、各切換体56・57が第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを遮蔽し、かつ前記通気面59a・59bを開放して、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22b、および外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bをそれぞれ連通させることを特徴とする。
【0007】
図6に示すように切換体駆動構造58は、内気送給室21および外気送給室22の前後面に沿って配置されて回転自在に支持される一群のガイド体61と、一群のガイド体61に無端状に巻掛けられる前後一対の搬送体62と、搬送体62を往復駆動するモーター63および駆動体64と、方向切換体56・57を移動案内するガイド枠66を備えている。内気送給室21における各搬送体62とガイド枠66は、第1熱交換体14の熱気入口面14cと、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22bの間の通気面59aに沿う状態でV字状に配置されている。外気送給室22における各搬送体62とガイド枠66は、第1熱交換体14の外気入口面14dと、外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bの間の通気面59bに沿う状態でV字状に配置されている。方向切換体56・57は屈曲可能で通気不能な遮断材で構成されて、その複数個所が搬送体62に固定されている。
【0008】
方向切換体56の移動軌跡の始端および終端に臨んで、方向切換体56が第1姿勢に切換ったことを検知するセンサー81と、方向切換体56が第2姿勢に切換ったことを検知するセンサー82が配置されている。制御装置52は起動スイッチ84の出力信号を受けてモーター63を起動させ、前記の各センサー81・82の検知信号に基づきモーター63を停止させて、各方向切換体56・57を切換体駆動構造58で第1姿勢と第2姿勢の間で移動させる。
【0009】
第1熱交換体14は、ケース本体16の内部の対角線に沿って斜めに配置されている。内気送給室21に臨むケース本体16に内気入口23と内気出口24が形成され、外気送給室22に臨むケース本体16に外気入口25と外気出口26が形成されて、内気入口23と外気入口25、および内気出口24と外気出口26はそれぞれ正対させてある。内気送給室21の内気入口23に、熱気を内気送給室21の入口領域21aに送給する第1送風ファン27が配置され、外気送給室22の外気入口25に、外気を外気送給室22の入口領域22aに送給する第2送風ファン28が配置されている。
【0010】
図9に示すように仕切構造20は、ケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分する仕切壁87と、内気送給室21の入口領域21aに配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体56と、外気送給室22の入口領域22aに配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体57と、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換え操作する切換体駆動構造58を備えている。方向切換体56・57が切換体駆動構造58で第1姿勢に切換操作された状態では、両切換体56・57が仕切壁87に形成した通気面59a・59bを閉止してケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分している。方向切換体56・57が切換体駆動構造58で第2姿勢に切換操作された状態では、両切換体56・57が第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを遮蔽し、かつ前記通気面59a・59bを開放して、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22b、および外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bをそれぞれ連通させている。
【0011】
熱交換装置Cは、第2熱交換体15に冷却水を送給する送水設備17を備えている。第2熱交換体15は第1熱交換体14の吸熱部14aと内気出口24の間に配置されている。各方向切換体56・57が第1姿勢または第2姿勢に切換えられた状態において、送水設備17から第2熱交換体15に冷却水を送給して、第2熱交換体15を通過する熱気、または外気を第2熱交換体15で強制的に冷却する。
【0012】
本発明に係るサーバーシステム用の空気調和装置は、
図2に示すように、サーバー室Sの内部に、一群のサーバー2を収容するサーバーラック1が列状に配置されてラック列3を構成しており、サーバー室Sの外に上記の熱交換装置Cが設けてある。ラック列3の一側に各サーバーラック1の冷気入口6が設けられ、ラック列3の他側に各サーバーラック1の熱気出口7が設けられている。ラック列3の冷気入口6に臨む冷気空間6Aと、ラック列3の熱気出口7に臨む熱気空間7Aが、ラック列3に沿って設けた仕切壁8で区分されている。熱交換装置Cの内気入口23が熱気空間7Aに接続され、内気出口24が冷気空間6Aに接続されている。外気温度センサー48が検知した外気温度と、熱交換装置Cに送給される熱気の温度差が設定温度差を越える状態において、制御装置52が切換体駆動構造58を作動させて方向切換体56・57を第2姿勢に切換える。方向切換体56・57が第2姿勢に切換えられた状態では、内気送給室21に送給された熱気が外気送給室22の外気出口26から大気中に放出され、外気送給室22に送給された外気が内気送給室21の内気出口24から冷気空間6Aに送給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱交換装置においては、ケース本体16の内部に設けた仕切構造20が、方向切換体56・57と、両切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換操作する切換体駆動構造58を備えるようにした。また、各切換体56・57が第1姿勢に切換操作された状態では、両切換体56・57が通気面59a・59bを遮断して、ケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分するようにした。さらに、各切換体56・57が第2姿勢に切換操作された状態では、各切換体56・57が第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを遮蔽し、同時に前記通気面59a・59bを開放して、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22b、および外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bをそれぞれ連通させるようにした。
【0014】
上記の熱交換装置Cによれば、外気温度と熱気温度との温度差が大きい状態、換言すれば、外気温度がさほど高くない状況では、各切換体56・57を第2姿勢に切換えることにより、内気送給室21に送給された高温の熱気を、その入口領域21aから通気面59aを介して外気送給室22の出口領域22bへと送給して、外気出口26から大気中に放出することができる。また、外気送給室22に送給された外気は、その入口領域22aから通気面59bを介して内気送給室21の出口領域21bへと送給して、内気出口24から送出することができる。つまり、比較的低温の外気を内気出口24から直接送出して冷却できるので、第1熱交換体14を介して熱気を冷却する場合に比べて、熱交換装置Cによる冷却を効果的にしかも速やかに行うことができる。また、高温の熱気を大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から直接的に送出する場合には、例えば第1、第2の送風ファン27・28を駆動するだけでよいので、第2熱交換体15を併用して冷却を行う場合に比べて、熱交換装置Cのランニングコストを大幅に削減できる。
【0015】
一群のガイド体61と、ガイド体61に巻掛けられる前後一対の搬送体62と、搬送体62を往復駆動するモーター63および駆動体64と、方向切換体56・57を移動案内するガイド枠66などで切換体駆動構造58を構成し、方向切換体56・57を搬送体62に固定するようにした。また、内気送給室21および外気送給室22における各搬送体62とガイド枠66は、それぞれV字状に配置して、方向切換体56・57を搬送体62で第1姿勢と第2姿勢に切換操作できるようにした。こうした仕切構造20によれば、搬送体62をモーター63および駆動体64で搬送駆動することにより、各方向切換体56・57を搬送体62で同時に逆向きに搬送移動させて、第1姿勢と第2姿勢に同時に切換えることができる。従って、各方向切換体56・57に応じて切換体駆動構造58を個別に設ける場合に比べて、切換体駆動構造58がいたずらに複雑になるのを避けながら仕切構造20を低コスト化できる。また、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換えた状態では、その前後端をガイド枠66で支持して各方向切換体56・57を面一に保持できるので、各姿勢に切換えられた方向切換体56・57を確りと固定保持して、熱気と外気の流動方向の切換えを確実に行える。さらに、方向切換体56・57を第2姿勢に切換えた状態では、通気面59a・59bを前後のガイド枠66の間で大きく開口させて通気抵抗を減少できる利点もある。
【0016】
方向切換体56の移動軌跡の始端および終端に臨んで、方向切換体56が第1姿勢、または第2姿勢に切換ったことを検知するセンサー81・82を配置するようにした。熱交換装置Cの運転時には、制御装置52が起動スイッチ84の出力信号を受けてモーター63を起動させ、各センサー81・82の検知信号に基づきモーター63を停止させて、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で移動させるようにした。こうした熱交換装置Cによれば、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で適確に移動させて、通気面59a・59bの遮断または開放を確実に行うことができるので、外気温の違いに応じた熱交換を効果的に行って空気調和のための電力消費を削減できる。
【0017】
第1熱交換体14をケース本体16の内部の対角線に沿って斜めに配置し、ケース本体16に形成される内気入口23と外気入口25、および内気出口24と外気出口26をそれぞれ正対させるようにした。また、内気入口23に第1送風ファン27を配置し、外気入口25に第2送風ファン28を配置するようにした。こうした熱交換装置Cによれば、
方向切換体56・57を第1姿勢に切り換えた状態では、熱気および外気を傾斜する第1熱交換体14と交差する向きに流動させて熱交換効率を高めることができる。また、方向切換体56・57を第2姿勢に切り換えた状態では、第1送風ファン27から送給される熱気と第2送風ファン28から送給される外気を、ケース本体16の内部において最短距離で流動させて、熱気の放出と外気の送出を効果的に行うことができる。
【0018】
仕切構造20は仕切壁87と、揺動可能なダンパー状の方向切換体56・57と、各方向切換体56・57を切換え操作する切換体駆動構造58を備えるようにした。方向切換体56・57が第1姿勢に切換えられた状態では、両切換体56・57が仕切壁87の通気面59a・59bを閉止して、ケース本体16の内部を内気送給室21と外気送給室22に区分するようにした。また、方向切換体56・57が第2姿勢に切換えられた状態では、両切換体56・57が第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを遮蔽し、さらに前記通気面59a・59bを開放して、入口領域21aと出口領域22b、および入口領域22aと出口領域21bをそれぞれ連通させるようにした。こうした熱交換装置Cによれば、各方向切換体56・57を切換体駆動構造58で往復揺動操作するだけで、第1姿勢と第2姿勢に切換えることができる。従って、方向切換体56・57を搬送体62で移動操作する切換体駆動構造58に比べて、切換体駆動構造58の構造を大幅に簡素化して仕切構造20の製造コストを削減でき、その分だけ熱交換装置Cを低コスト化できる。また、方向切換体56・57の姿勢切換えを迅速に行える利点もある。
【0019】
第2熱交換体15を第1熱交換体14の吸熱部14aと内気出口24の間に配置し、各方向切換体56・57が第1姿勢または第2姿勢に切換えられた状態において、送水設備17から第2熱交換体15に冷却水を送給して、第2熱交換体15を通過する熱気、または外気を第2熱交換体15で強制的に冷却するようにした。こうした熱交換装置Cによれば、外気温が高い場合(外気温度と熱気温度との温度差が小さい場合)でも充分に冷却された調和空気を内気出口24から送出して、冷却対象となる空間の空気調和を確実に行うことができる。また、外気温が高い場合(外気温度と熱気温度との温度差が小さい場合)に限って第2熱交換体15を稼働させて、第1熱交換体14による冷却作用を補えばよいので、外気温度がさほど高くない状況(秋から春)における熱交換装置Cの電力消費を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0020】
本発明に係るサーバーシステム用の空気調和装置では、サーバー室Sの内部に冷気空間6Aと熱気空間7Aを区画し、各空間6A・7Aをサーバー室Sの外に配置した熱交換装置Cの内気入口23と内気出口24に接続して、熱交換装置Cで冷却された冷気を冷気空間6Aへ送給し、熱気空間7Aに放出された熱気を熱交換装置Cに循環させるようにした。こうした空気調和装置によれば、熱交換装置Cの切換体56・57を第2姿勢に切換えておくことにより、外気温度がさほど高くない状況(外気温度と熱気温度との温度差が大きい状況)では、高温の熱気を外気出口26から大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から冷気空間6Aへ送出することができる。このように、比較的低温の外気を内気出口24から冷気空間6Aへ直接送出して冷却すると、第1熱交換体14を介して熱気を冷却する場合に比べて、サーバー2の冷却を効果的にしかも速やかに行うことができる。また、高温の熱気を大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から直接的に送出する場合には、例えば第1、第2の送風ファン27・28を駆動するだけでよいので、空気調和のためのランニングコストを大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る熱交換装置の概略構造を示す縦断正面図である。
【
図2】本発明に係るサーバーシステムの空気調和装置の概略平面図である。
【
図3】熱交換装置とサーバー室の接続構造の概略を示す縦断正面図である。
【
図4】熱交換装置の方向切換体が第1姿勢に切換った状態の正面図である。
【
図6】ケース本体の仕切り構造を示す正面図である。
【
図8】熱交換装置の方向切換体が中間姿勢に切換った状態の正面図である。
【
図9】実施例2に係る熱交換装置を構成する仕切り構造を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
図1ないし
図8は、本発明に係る熱交換装置をサーバーシステムの空気調和装置に適用した実施例1を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図2、
図3に示す交差矢印と、交差矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。
図2および
図3において、符号1は床Fに設置したサーバーラックであり、その内部に一群のサーバー2が多段状に収容されている(
図3参照)。サーバー室Sに設置した一群のサーバーラック1は、直線列状に配置されてラック列3を構成しており、左右のラック列3はメンテナンス用の通路4を間に挟んで対向している。なお、この実施例では図面を単純化するために、ラック列3が3個のサーバーラック1で構成した場合を例示したが、実際のラック列3は多数個のサーバーラック1で前後に長い直線列状に構成され、ラック列3の設置数は多数個となり、サーバー室Sの大きさも格段に大きなものとなる。また、サーバー室Sに収容されるサーバー群の規模に応じて、熱交換装置Cの設置個数が増加される。
【0023】
図3に示すようにサーバーラック1は中空の縦長四角箱状に構成されて、その両側面に開閉可能なドアが設けられており、必要時にドアを開放することによりサーバー2の点検や交換などを行うことができる。ドアのドア壁は、網体またはパンチングメタルなどの通気自在な板状体で形成されており、対向する左右のドアのいずれか一方の冷気入口6からラック内へ導入された冷気は、サーバー2の筐体に内蔵されたサーバーファンの送風作用により熱交換されたのち、他方のドアの熱気出口7から熱気として排出される。
【0024】
図2に示すように、各サーバーラック1内の空気調和を行う空気調和装置は、サーバー室Sの外に設置した熱交換装置Cを備えており、熱交換装置Cで冷却した冷気をサーバー室Sに送給して空気調和を行う。また、外気温度がさほど高くない秋季から春季においては、外気をサーバー室Sに直接送給して空気調和を行うこともある。サーバー室S内で冷気と熱交換後の熱気が混じるのを避けて、冷気による熱交換を効果的に行うために、サーバー室Sの内部をラック列3に沿って設けた仕切壁8で冷気空間6Aと熱気空間7Aに区分している。詳しくは、
図2、
図3に示すようにサーバー室Sの天井面と、天井面と対向する床Fおよびラック列3の上面との間を仕切壁8で区分して、冷気空間6Aと熱気空間7Aとを区分している。
【0025】
この実施例ではラック列3の上面の左右中央を通る3個の前後壁8aと、前後壁8aに連続してラック列3の前端または後端で折曲がる4個の左右壁8bで仕切壁8を構成して、平面視における仕切壁8が一筆書き状に連続するようにした。先の冷気入口6は全て冷気空間6Aに臨んでおり、熱気出口7は全て熱気空間7Aに臨んでいる。熱交換装置Cに隣接するサーバー室Sの周囲壁には、冷気空間6Aに連通する冷気供給口9と、熱気空間7Aに連通する熱気回収口10が形成されている。なお、左右壁8bには、冷気空間6Aと熱気空間7Aを行き来するためのドアを設けることができる。上記のように、一筆書き状に連続する前後壁8aと左右壁8bとで仕切壁8を構成すると、仕切壁8の一端から他端に至る壁の長さを短くしながら、仕切壁8の全体構造を簡素化して、その構築に要するコストを削減できる。さらに、サーバー室Sの内部を冷気空間6Aと熱気空間7Aに仕切壁8でほぼ均等に区分することができるので、冷気および熱気の循環を円滑に行って、熱交換装置Cによる熱気の冷却を効果的に行うことができる。
【0026】
図4に示すように熱交換装置Cは、ヒートパイプ13を伝熱要素とする外気冷却式の第1熱交換体14と、水冷式の第2熱交換体15と、これら両者14・15を収容する中空箱状のケース本体16と、低温の冷却水を第2熱交換体15へ供給したのち回収する送水設備17(
図2参照)を備えている。ケース本体16は、立方体状に組まれたケースフレーム16aと、その周囲に固定される周囲壁16bで中空箱状に形成されており(
図7参照)、その内部は仕切構造20で内気送給室21と外気送給室22に区分されている。
【0027】
各送給室21・22に臨むケース本体16の周囲壁には、内気入口23と、外気入口25および外気出口26が開口されている。この実施例では、
図4に向かって左側のケース壁に内気入口23を開口し、右側のケース壁に外気入口25を開口した。また、上側のケース壁に外気出口26を開口した。内気出口24は、後述する熱交換室32の底に開口している。内気入口23の内部には、サーバー室S内の熱気を第1熱交換体14へ向かって送給する第1送風ファン27が配置されており、外気入口25の内部には外気を第1熱交換体14へ向かって送給する第2送風ファン28が配置されている。符号29はフィルターである。このように、内気入口23と外気入口25は左右に正対する位置に形成し、内気出口24と外気出口26とは上下に正対する位置に形成されている。
【0028】
第1熱交換体14は、一群のヒートパイプ13と、ヒートパイプ13の外面に固定される一群の放熱フィン18で扁平な四角ブロック状に構成してあり、全体がケース本体16の内部の対角線に沿って右上がり傾斜する状態で配置されて、その上下端がブラケット(図示していない)で支持してある。この実施例では、ヒートパイプ13を第1熱交換体14の厚み方向へ3列、第1熱交換体14の前後方向へは多数個を配置して第1熱交換体14を構成した。第1熱交換体14の下側の吸熱部14aは内気送給室21に位置させてあり、第1熱交換体14の上側の放熱部14bは外気送給室22に位置させている。
【0029】
第1熱交換体14は水平面に対して45度傾斜しており、第1熱交換体14と仕切構造20の交差部分は、図示していないシール体で封止している。このように、第1熱交換体14を45度傾斜させると、第1熱交換体14の放熱部14bで凝縮した作動液を下部の吸熱部14aへ確実に還流させて、第1熱交換体14の熱輸送量を向上し、熱交換装置Cの冷却能力を増強できる。また、第1熱交換体14をケース本体16の対角線に沿って配置することにより、ケース本体16の高さ寸法が大きくなるのを回避できる。なお、ヒートパイプ13の配列形態は、上記の形態に限定するものではなく、第1熱交換体14の冷却能力に応じて適宜調整される。
【0030】
内気送給室21と外気送給室22の内部は、第1熱交換体14によって入口領域21a・22aと出口領域21b・22bに区分されており、内気送給室21の出口領域21bの底部に隣接して第2熱交換体15を収容する熱交換室32が設けられている。熱交換室32は、ケース本体16を下方に延長して形成されており、その底部に熱交換後の冷気をサーバー室Sへ向かって送出する内気出口24が開口されている。第2熱交換体15は、繰返し反転状に折曲げられた銅製の通水パイプ34と、通水パイプ34の外面に固定される一群の放熱フィン35とで扁平な四角ブロック状に構成されており、その下方に通水パイプ34や放熱フィン35から滴下するドレン水を排出するドレン受33が配置されている。放熱フィン35は通水パイプ34の直線部分と直交する状態で一定間隔おきに配置するが、第1熱交換体14の放熱フィン18の積層方向と、第2熱交換体15の放熱フィン35の積層方向が一致するように、第2熱交換体15を配置している。
【0031】
図2において送水設備17は、冷却水を貯留するタンク38と、タンク38内の冷却水を第2熱交換体15へ加圧送給するポンプ39と、ポンプ39と第2熱交換体15を接続する送水管路40と、熱交換後の冷却水を回収する回収管路41と、回収した冷却水を冷却するチラー(冷却装置)42などで構成される。チラー42で冷却された冷却水はタンク38へ戻される。
【0032】
熱交換装置Cで冷却した冷気をサーバー室Sへ送給するために、内気送給室21の内気出口24と冷気供給口9を、熱交換室32の下側に区画した冷気室43と供給ダクト44を介して接続している。また、サーバー室S内の熱気を熱交換装置Cへ戻すために、内気送給室21の内気入口23と熱気回収口10を、回収ダクト45で接続している。このように、熱交換装置Cとサーバー室Sを供給ダクト44と回収ダクト45で接続することにより、サーバー室S内の冷気および熱気を効果的に循環させて、サーバーラック1内の空気調和を効率よく行うことができる。
【0033】
図2に示すように熱交換装置Cには、外気温度を検知する外気温度センサー48と、タンク38内の冷却水の温度を検知する水温センサー49と、冷気空間へ送給される冷気の温度を検知する冷気温度センサー50と、熱気温度センサー51が設けられている。さらに、各センサー48~51の検知結果に基づき、第1送風ファン27、第2送風ファン28および送水設備17の作動状態を制御する制御装置52が設けられている。
【0034】
図5において仕切構造20は、第1熱交換体14の前後面に配置されてX字状に交差する第1区分枠54および第2区分枠55と、内気送給室21および外気送給室22に配置されて、各送給室21・22における通気方向を切換える一対の方向切換体56・57と、各方向切換体56・57を切換え操作する切換体駆動構造58(
図6参照)を備えている。第1区分枠54および第2区分枠55はそれぞれ中空のアルミニウム条材からなり、第1区分枠54は第1熱交換体14の前後面に沿って45度右上がり傾斜する状態で配置されて、ケースフレーム16aに固定されている。第2区分枠55は第1熱交換体14と直交して45度左上り傾斜する状態で配置されて、ケースフレーム16aに固定されている。この実施例では、方向切換体56・57を屈曲可能で通気不能な遮断材、例えばプラスチック製の巻込み収納可能なシャッター風呂蓋状の遮断材で形成した。
【0035】
切換体駆動構造58は、内気送給室21および外気送給室22の前後面に沿って配置される8個ずつのスプロケット(ガイド体)61と、これらのスプロケット61に無端状に巻掛けられる前後のチェーン(搬送体)62と、後側のチェーン62を往復駆動するギヤードモーター(モーター)63と、ギヤードモーター63の出力軸に固定される駆動スプロケット(駆動体)64と、テンションスプロケット(テンション体)65と、方向切換体56・57を移動案内するガイド枠(ガイド体)66などで構成される。
図6に示すように方向切換体56・57の4隅および中央部分は、連結金具67を介してチェーン62のリンク板に連結固定されている。
【0036】
チェーン62は各スプロケット61・64・65に無端状に巻き掛けられるが、内気送給室21におけるチェーン62とガイド枠66は、第1熱交換体14の熱気入口面14cと、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22bの間の通気面59aに沿う状態で横臥V字状に配置されている。また、外気送給室22における各チェーン62とガイド枠66は、第1熱交換体14の外気入口面14dと、外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bの間の通気面59bに沿う状態で横臥V字状に配置されている。通気面59a・59bは、それぞれ前後のガイド枠66・66の間に形成される。このように、内気送給室21および外気送給室22において、チェーン62の軌跡とガイド枠66をそれぞれ逆向きの横臥V字状に設定することにより、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に同時に切換えることができるが、その詳細は後述する。
【0037】
図7に示すように、ガイド枠66は断面コ字状のアルミニウム条材からなり、支持板68を介して第1区分枠54および第2区分枠55に固定されている。ガイド枠66で各方向切換体56・57の前後端を移動案内することにより、各方向切換体56・57を、第1区分枠54と第2区分枠55の交差部分ではスプロケット61に沿って屈曲させながら、それ以外の部分では面一な状態に保持して移動させることができる。
【0038】
第1区分枠54と第2区分枠55の交差部分の左右と、内気送給室21の入口領域21aの上隅および下隅と、外気送給室22の入口領域22aの上隅および下隅の合計6個所には、それぞれ前後一対のブラケット70・71が固定されている(
図5参照)。各ブラケット70・71の対向面には前後一対のスプロケット61が配置されて、両スプロケット61を支持するスプロケット軸(ガイド体支軸)72がブラケット70・71に固定した軸受体73で回転自在に支持されている(
図7参照)。第1区分枠54と第2区分枠55の交差部分に設けたスプロケット軸72には、一対のスプロケット61に隣接して、各方向切換体56・57を屈曲案内するローラー74が設けられている。
【0039】
ケースフレーム16aの下枠の中央寄りには、ギヤードモーター63を支持するブラケット75が固定されており、このブラケット75の前面で、駆動スプロケット64より上側の左右に一対のスプロケット61が配置されて、各スプロケット61を支持するスプロケット軸76がブラケット75に固定した軸受体で回転自在に支持されている。テンションスプロケット65は、ケースフレーム16aの下枠に上下位置調整可能に装着されたブラケット77で、スプロケット軸78と軸受体を介して回転自在に支持されている。上記のように、切換体駆動構造58は、後側のチェーン62のみがギヤードモーター63で搬送駆動されるが、その駆動力はスプロケット軸72を介して前側のチェーン62にも伝動されるので、左右の方向切換体56・57を前後一対のチェーン62で支障なく移動操作できる。必要があれば、前後のチェーン62を1個のギヤードモーター63と2個の駆動スプロケット64で同時に駆動してもよい。
【0040】
図6に示すように、方向切換体56の内気送給室21に臨む移動軌跡の始端および終端に、方向切換体56が第1姿勢に切換ったことを検知するマイクロスイッチ(センサー)81と、方向切換体56が第2姿勢に切換ったことを検知するマイクロスイッチ(センサー)82が配置されている。また、方向切換体56の始終端に位置するチェーン62の2個所には、先のマイクロスイッチ81・82を切換え操作する切換片83が固定されている。制御装置52は起動スイッチ84(
図2参照)の出力信号を受けてギヤードモーター63を起動させ、先のマイクロスイッチ81・82の検知信号に基づきギヤードモーター63を停止させて、各方向切換体56・57を切換体駆動構造58で第1姿勢と第2姿勢のいずれかに移動させる。各センサー81・82は、マイクロスイッチ以外に光センサーで構成してもよい。
【0041】
内気送給室21に配置した方向切換体56と、外気送給室22に配置した方向切換体57を、チェーン62で同時に逆向きに搬送移動することにより、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換操作することができ、さらに、必要に応じて方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の中間姿勢に位置保持することができる。熱交換装置Cの運転時には、制御装置52が起動スイッチ84の出力信号を受けてギヤードモーター63を起動させ、各センサー81・82の検知信号に基づきギヤードモーター63を停止させて、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で移動させる。こうした熱交換装置Cによれば、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で適確に移動させて、通気面59a・59bの遮断または開放を確実に行うことができるので、外気温の違いに応じた熱交換を効果的行って空気調和のための電力消費を削減できる。
【0042】
サーバー2の一群が稼働している状態では、熱交換装置Cを作動させて、外気およびサーバー室S内の空気を循環させて、熱交換装置Cの内部において循環する内気を冷却する。サーバーラック1の内部においては、サーバー2の筐体内に設けたサーバーファンによって、冷気空間6Aに臨む冷気入口6から冷気が筺体内へ取込まれ、発熱部品の熱を奪ったのち、熱気出口7から熱気空間7Aへ排出される。この熱気は、第1送風ファン27の吸込み作用によって内気送給室21へ送給され、第1熱交換体14の吸熱部14aにおいて熱を放出する。
【0043】
各方向切換体56・57が第1姿勢に切換えられた状態(
図4に示す状態)では、方向切換体56・57は前後のガイド枠66・66の間の通気面59a・59bを遮断している。そのため、内気送給室21に送給された熱気は、入口領域21aから出口領域21bへ向かって第1熱交換体14の吸熱部14aを通過し、その間に熱を吸熱部14aに放出して、ヒートパイプ13に封入された作動液を蒸発させる。このときの熱気の温度は、吸熱部14aを通過する間に放出した熱の分だけ冷却されて低下する。同様に、外気送給室22に送給された外気は、入口領域22aから出口領域22bへ向かって第1熱交換体14の放熱部14bを通過し、その間に放熱部14bを冷却して、ヒートパイプ13に封入された作動液の蒸気を凝縮させる。
【0044】
各方向切換体56・57が第2姿勢に切換えられた状態(
図1に示す状態)では、各方向切換体56・57は第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを覆って、熱気および外気が第1熱交換体14を通過するのを阻止している。この状態では、前後のガイド枠66・66の間の通気面59aが開放されて、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22bが連通している。また、前後のガイド枠66・66の間の通気面59bが開放されて、外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bが連通している。そのため、内気送給室21に送給された熱気は、その入口領域21aから通気面59aを介して外気送給室22の出口領域22bへと送給され、外気出口26から大気中に放出される。また、外気送給室22に送給された外気は、その入口領域22aから通気面59bを介して内気送給室21の出口領域21bへと送給され、内気出口24から冷気室43と供給ダクト44を介して冷気空間6Aと送給される。
【0045】
上記のように、各方向切換体56・57が第2姿勢に切換えられた状態では、外気を冷気空間6Aへ直接送給してサーバーラック1の内部を冷却できるので、第1熱交換体14を介して熱交換を行う場合に比べて、より効果的にサーバーラック1の空気調和を行える。例えば、熱気温度が40℃で外気温度が20℃であるときは、温度が20℃の外気でサーバーラック1を直接冷却できるので、第1熱交換体14を介して熱交換を行う場合に比べて、サーバー2群の冷却を効率良く行うことができる。このように、各方向切換体56・57が第2姿勢に切換えられるのは、熱気温度と外気温度の温度差が予め設定された温度差(20℃=設定温度差)より大きい場合であり、主に外気温度がさほど高くない秋季から春季において実行される。ただし、外気温度が10℃以下である場合は、外気導入は行わない。
【0046】
先に説明したように、各方向切換体56・57は
図8に示すように、第1姿勢と第2姿勢の中間姿勢に位置保持することができる。各方向切換体56・57が中間姿勢に切換えられた状態では、各方向切換体56・57は第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dの半分程度を覆っている。また、前後のガイド枠66・66の間の通気面59a・59bが半分程度開放されて、内気送給室21の入口領域21aと外気送給室22の出口領域22bが連通し、外気送給室22の入口領域22aと内気送給室21の出口領域21bが連通している。
【0047】
そのため、内気送給室21に送給された熱気の半分は、その入口領域21aから通気面59aを介して外気送給室22の出口領域22bへと送給され、外気出口26から大気中に放出される。また、残り半分の熱気は入口領域21aから第1熱交換体14の吸熱部14aを介して内気送給室21の出口領域21bへと送給されて、吸熱部14aを通過する間に熱を放出する。さらに、外気送給室22に送給された外気の半分は、その入口領域22aから通気面59bを介して内気送給室21の出口領域21bへと送給されて、吸熱部14aを通過して放熱した後の熱気とともに、内気出口24から冷気室43と供給ダクト44を介して冷気空間6Aと送給される。また、残り半分の外気は、入口領域22aから出口領域22bへと送給されて、放熱部14bを冷却したのち外気出口26から大気中に放出される。
【0048】
上記のように、各方向切換体56・57を中間姿勢に位置保持して熱交換を行うと、サーバーラック1内を循環する冷気の温度が極端に低下するのを緩和して、サーバー2群を適温の環境で作動させることができる。また、熱交換装置Cに送給される熱気温度と外気温度の温度差に応じて、各方向切換体56・57の移動量を大小に調整することにより、外気温度の変化に応じてサーバーラック1に送給される冷気の温度を適温に維持することができる。このように、各方向切換体56・57が中間姿勢に切換えられるのは、熱気温度と外気温度との温度差が大きい場合であり、主に外気温度が低下する冬季において実行される。
【0049】
因みに、各方向切換体56・57を第1姿勢に切換えて、主に第1熱交換体14の熱交換作用によって、サーバーラック1から送給された熱気を冷却する場合には、外気温度が熱気の温度より10℃程度低くないと、充分な冷却作用を発揮することができなくなる。例えば、内気送給室21へ送給される熱気の温度が40℃であるとき、外気温度が30℃を越えて高くなると、熱交換量が減少するため第1熱交換体14による熱気の冷却作用が低下する。同様に、各方向切換体56・57を第2姿勢に切換えて、外気を直接冷気空間6Aへ直接送給してサーバーラック1の内部を冷却する場合でも、外気温度が20℃を越えて高くなると、熱交換量が減少するため第1熱交換体14による熱気の冷却作用が低下する。このように、各方向切換体56・57を第2姿勢に切換えて、外気を直接冷気空間6Aへ直接送給してサーバーラック1の内部を冷却するのは、外気温が20℃未満である場合であり、外気温が25℃を越えて高くなると、各方向切換体56・57を第1姿勢に切換え、第2熱交換体15を併用してサーバーラック1の内部を冷却する。
【0050】
上記のように、第1熱交換体14による熱気の冷却作用が不足する場合には、外気温度センサー48からの出力信号に基づき、制御装置52が送水設備17のポンプ39を作動させて冷却水を第2熱交換体15に送給し、第1熱交換体14と第2熱交換体15の両者で内気送給室21に送給された熱気を冷却する。また、外気温度が上昇するのに対応してポンプ39の駆動回転数を徐々に増加して、第2熱交換体15に送給される冷却水量を増加し、第2熱交換体15の冷却能力を高める。そして、外気温度が35度に達した状態では、ポンプ39による冷却水の送水量を最大量にして、主に第2熱交換体15で熱気を冷却する。
【0051】
第2熱交換体15は、例えば外気温度が30℃を越えるような状況で作動させるが、送水設備17から第2熱交換体15に送給される冷却水の温度は十分に低い(18℃未満)。そのため、第2熱交換体15を通過する熱気や外気の湿度が高い場合には、熱気や外気に含まれる湿気を除湿した状態で内気出口24から冷気空間6Aと送給して、サーバー2を乾燥した冷気で好適に冷却できる。また、サーバー設備の周囲に森や畑や牧場などがある場合には、花粉を含む外気が熱交換装置Cに送給されるが、その殆どはフィルター29で除去されるものの、完全に除去するのは難しい。しかし、第2熱交換体15を併用して冷却を行う場合には、外気に含まれる微量の花粉を熱交換装置Cの結露水に付着させて除去できるので、外気中の花粉がサーバー2に付着して故障の原因になるのを防止できる。
【0052】
以上のように、吸熱部14aを通過した内気を第2熱交換体15で強制的に冷却すると、第1熱交換体14による冷却作用の不足分を補って、低温の内気(約25℃)を冷気空間6Aへ送給できる。従って、サーバーラック1内の温度を充分に低下させて、サーバー2を正常に作動させることができる。なお、回収管路41を介してチラー42に回収された熱交換後の冷却水は、チラー42で冷却されてタンク38へ送給される。上記のように、第2熱交換体15と送水設備17を備える熱交換装置Cによれば、外気温が高い場合でも充分に冷却された調和空気を内気出口24から送出して、冷却対象となる空間の空気調和を確実に行うことができる。また、外気温が高い場合や、湿度が高い場合に限って第2熱交換体15を稼働させて、第1熱交換体14の冷却作用を補えばよいので、外気温度がさほど高くない状況(秋から春)における熱交換装置Cの電力消費を削減して省エネルギーに寄与できる。
【0053】
冷気温度センサー50は、熱交換後の冷気の温度を常時検知している。そのため、第1熱交換体14および第2熱交換体15が作動しているにも関わらず、冷気空間6Aに送給される冷気の温度が所定の温度より高い場合には、何らかの異常が起こっていると判断することができる。こうした異常が検知された場合には、例えば、予備の熱交換装置Cを起動してサーバー室Sを冷却するとよい。また、水温センサー49は、タンク38内の冷却水の温度を常時検知している。そのため、タンク38内の冷却水の温度が所定温度(約18℃)を越える場合に、チラー42の冷却能力を高めて、タンク38内の冷却水の温度を適温に維持することができる。あるいは、タンク38内の冷却水の温度が所定温度(約18℃)未満である場合に、冷却水の温度が所定温度に達するまでの間チラー42の作動を停止して、エネルギーの無駄な消費を解消することができる。
【0054】
上記のように、熱気の温度を40℃とするとき、熱交換装置Cは、熱気を第1熱交換体14のみで冷却する場合の外気温の温度帯は-10℃~25℃となる。また、外気を直接送給してサーバー2群を冷却する場合の外気温の温度帯は10℃~20℃となる。さらに、各方向切換体56・57を中間姿勢にして熱交換を行う場合の外気温の温度帯は5℃~20℃となる。また、外気による冷却は設定温度差だけではなく、湿度が適正であれば外気を導入して冷却を行うこともある。さらに、外気にPM2.5が含まれているか否かをセンサーで検知して、センサーの検知結果が問題ない場合には、外気を導入して冷却を行うこともある。チラー42が故障した場合には、外気を導入して緊急冷却を行うこともある。多くのデータセンターでは、空気調和装置が故障した場合に備えて工業用扇風機が用意されており、工業用扇風機でサーバーラック1の内部空気を強制的に換気することがある。
【0055】
以上のように構成した空気調和装置によれば、サーバーラック1の内部空気を空気調和するだけでよいので、サーバー室Sの全体に冷気を供給する必要があった従来の空気調和装置に比べて熱交換装置Cの熱負荷を小さくできる。従って、空気調和のための電力消費量を著しく削減して省エネルギーに寄与できる空気調和装置とすることができる。また、外気温が高い状態であっても、第2熱交換体15に送水設備17で冷却水を送給して、サーバーラック1内を適温に保持できるので、1年を通じて常に安定した状態でサーバーシステムを稼働できる。
【0056】
熱交換装置Cへ送給される熱気の温度と外気の温度の温度差(設定温度差)が大きく、外気温度がさほど高くない状況では、各切換体56・57を第2姿勢に切換えることにより、内気送給室21に送給された高温の熱気を、その入口領域21aから通気面59aを介して外気送給室22の出口領域22bへと送給して、外気出口26から大気中に放出することができる。また、外気送給室22に送給された外気は、その入口領域22aから通気面59bを介して内気送給室21の出口領域21bへと送給して、内気出口24から送出することができる。つまり、比較的低温の外気を内気出口24から直接送出して冷却できるので、第1熱交換体14を介して熱気を冷却する場合に比べて、熱交換装置Cによる冷却を効果的にしかも速やかに行うことができる。また、高温の熱気を大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から直接的に送出する場合には、第1、第2の送風ファン27・28を駆動するだけでよく、送水設備17を作動させる必要がないので、熱交換装置Cとサーバーシステム用の空気調和装置のランニングコストを大幅に削減できる。
【0057】
実施例1に係る仕切構造20によれば、チェーン62をギヤードモーター63およびスプロケット64で搬送駆動することにより、各方向切換体56・57をチェーン62で同時に逆向きに搬送移動させて、第1姿勢と第2姿勢に同時に切換えることができる。従って、各方向切換体56・57に応じて切換体駆動構造58を個別に設ける場合に比べて、切換体駆動構造58がいたずらに複雑になるのを避けながら仕切構造20を低コスト化できる。また、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢に切換えた状態では、その前後端をガイド枠66で支持して各方向切換体56・57を面一に保持できるので、各姿勢に切換えられた方向切換体56・57を確りと固定保持して、熱気と外気の流動方向の切換えを確実に行える。さらに、方向切換体56・57を第2姿勢に切換えた状態では、通気面59a・59bを前後のガイド枠66の間で大きく開口させて通気抵抗を減少できる利点もある。
【0058】
熱交換装置Cの運転時には、制御装置52が起動スイッチ84の出力信号を受けてギヤードモーター63を起動させ、各センサー81・82の検知信号に基づきギヤードモーター63を停止させて、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で移動させることができる。こうした熱交換装置Cによれば、方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で適確に移動させて、通気面59a・59bの遮断または開放を確実に行うことができるので、外気温の違いに応じた熱交換を効果的に行って空気調和のための電力消費を削減できる。
【0059】
実施例1においては、第1熱交換体14をケース本体16の内部の対角線に沿って斜めに配置し、内気入口23と外気入口25、および内気出口24と外気出口26をそれぞれ正対させるようにした。また、内気入口23に第1送風ファン27を配置し、外気入口25に第2送風ファン28を配置するようにした。こうした熱交換装置Cによれば、方向切換体56・57を第1姿勢に切り換えた状態では、熱気および外気を傾斜する第1熱交換体14と交差する向きに流動させて熱交換効率を高めることができる。また、方向切換体56・57を第2姿勢に切り換えた状態では、第1送風ファン27から送給される熱気と第2送風ファン28から送給される外気を、ケース本体16の内部において最短距離で流動させて、熱気の放出と外気の送出を効果的に行うことができる。
【0060】
サーバーシステム用の空気調和装置では、サーバー室Sの内部に冷気空間6Aと熱気空間7Aを区画し、各空間6A・7Aをサーバー室Sの外に配置した熱交換装置Cの内気入口23と内気出口24に接続して、熱交換装置Cで冷却された冷気を冷気空間6Aへ送給し、熱気空間7Aに放出された熱気を熱交換装置Cに循環させるようにした。こうした空気調和装置によれば、熱交換装置Cの切換体56・57を第2姿勢に切換えておくことにより、外気温度がさほど高くない状況では、高温の熱気を外気出口26から大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から冷気空間6Aへ送出することができる。このように、比較的低温の外気を内気出口24から冷気空間6Aへ直接送出して冷却すると、第1熱交換体14を介して熱気を冷却する場合に比べて、サーバー2の冷却を効果的にしかも速やかに行うことができる。また、高温の熱気を大気中に放出し、比較的低温の外気を内気出口24から直接的に送出する場合には、熱交換装置Cの第1、第2の送風ファン27・28を駆動するだけでよいので、空気調和のためのランニングコストを大幅に削減できる。
【0061】
(実施例2)
図9は、仕切構造20を変更した実施例2を示す。この実施例では、ケース本体16の内部を内気供給室21と外気供給室22に区分する仕切壁87と、内気送給室21の入口領域21aに配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体56と、外気送給室22の入口領域22aに配置されて揺動可能に支持されるダンパー状の方向切換体57と、各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の間で揺動操作する切換体駆動構造58などで仕切構造20を構成した。仕切壁87は、ケース本体16の対角線に沿って左上り傾斜する状態で配置されており、内気送給室21の入口領域21aに臨む仕切壁87の壁面と、外気送給室22の入口領域22aに臨む仕切壁87の壁面には、それぞれ通気面59a・59bが形成されている。切換体駆動構造58は、第1熱交換体14と仕切壁87の交差部分に配置されるギヤードモーター(モーター)63と、同モーター63の出力軸に固定される駆動ギヤ(駆動体)64と、駆動ギヤ64と各方向切換体56・57の揺動軸90・91の間に配置されるギヤ列92で構成する。
【0062】
各方向切換体56・57は、切換体駆動構造58で同時に逆向きに揺動操作されて、
図9に想像線で示すように、各方向切換体56・57が通気面59a・59bを塞ぐ第1姿勢と、
図9に実線で示すように、各方向切換体56・57が第1熱交換体14の熱気入口面14cと外気入口面14dを覆う第2姿勢に切換えることができる。また、必要に応じて各方向切換体56・57を第1姿勢と第2姿勢の中間姿勢に位置保持することができる。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。また、各方向切換体56・57が第1姿勢と、第2姿勢と、中間姿勢に切換えられた状態における熱気、および外気の流れは、実施例1と同じであるので、その説明を省略する。
【0063】
上記のように構成した実施例2の熱交換装置Cによれば、実施例1の切換体駆動構造58に比べて、各方向切換体56・57を切換体駆動構造58で往復揺動操作するだけで、第1姿勢と第2姿勢に切換えることができる。従って、方向切換体56・57をチェーン62で移動操作する実施例1の切換体駆動構造58に比べて、切換体駆動構造58の構造を大幅に簡素化して仕切構造20の製造コストを削減でき、その分だけ熱交換装置Cを低コスト化できる。また、方向切換体56・57は、約90度揺動操作するだけで第1姿勢と、第2姿勢に切換えることができるので、方向切換体56・57の姿勢切換えを迅速に行える利点もある。この実施例における切換体駆動構造58は、流体圧シリンダーを駆動源にして構成してもよい。
【0064】
本発明に係る熱交換装置Cは、サーバーシステムの空調を行うのに適しているが、例えば、メガソーラーに設置されるパワーコンディショナーの内部を冷却する用途にも適用できる。送水設備17は、チラー42に換えてクーリングタワー(冷却装置)を使用できる。また、地下水、河川水、または海水を冷却水として利用する水循環ユニットで送水設備17を構成することができ、その場合にはチラー42を省略して、回収管路41で回収した熱交換後の冷却水を外部へ放出してもよい。
【0065】
第1送風ファン27は内気入口23の側に配置する必要はなく、内気出口24の側に配置することができ、必要があれば、熱気回収口10に第1送風ファン27とは別の送風ファンを設けて、熱気の循環を促進することができる。実施例1では、サーバー室S内の冷却を1個の熱交換装置Cで行う場合を示したが、熱交換装置Cはサーバー室Sの冷却負荷に応じて必要な数だけ設置することができる。切換体駆動構造58は、タイミングプーリー(ガイド体)とタイミングベルト(搬送体)を搬送要素にして構成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 サーバーラック
2 サーバー
3 ラック列
6 冷気入口
6A 冷気空間
7 熱気出口
7A 熱気空間
8 仕切壁
9 冷気供給口
10 熱気回収口
13 ヒートパイプ
14 第1熱交換体
14c 熱気入口面
14d 外気入口面
15 第2熱交換体
16 ケース本体
17 送水設備
20 仕切構造
21 内気送給室
21a・22a 入口領域
21b・22b 出口領域
22 外気送給室
23 内気入口
24 内気出口
25 外気入口
26 外気出口
27 第1送風ファン
28 第2送風ファン
56・57 方向切換体
58 切換体駆動構造
59a・59b 通気面
F 床
S サーバー室
C 熱交換装置