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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】荷物運搬補助具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/08 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A41D13/08 104
A41D13/08 108
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020056832
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021139085
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320002131
【氏名又は名称】安原 浩平
(73)【特許権者】
【識別番号】320002887
【氏名又は名称】堀江 駿太
(73)【特許権者】
【識別番号】320002164
【氏名又は名称】大川 勝生
(73)【特許権者】
【識別番号】320002050
【氏名又は名称】山崎 翔希
(73)【特許権者】
【識別番号】320002119
【氏名又は名称】野坂 海翔
(73)【特許権者】
【識別番号】320002197
【氏名又は名称】米屋 裕作
(73)【特許権者】
【識別番号】320002223
【氏名又は名称】渡邉 秀典
(72)【発明者】
【氏名】安原 浩平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 駿太
(72)【発明者】
【氏名】大川 勝生
(72)【発明者】
【氏名】山崎 翔希
(72)【発明者】
【氏名】野坂 海翔
(72)【発明者】
【氏名】米屋 裕作
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 秀典
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0249684(US,A1)
【文献】特開2007-119929(JP,A)
【文献】米国特許第06540710(US,B1)
【文献】米国特許第05685013(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0320126(US,A1)
【文献】特開平10-071163(JP,A)
【文献】米国特許第06517501(US,B1)
【文献】特開2012-007262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/08
A41D 19/00 - 19/04
A61G 7/10
B25J 11/00
B65G 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を運搬する際に使用される荷物運搬補助具であって、
前腕から手部にかけて着用される腕着用部と、
前記腕着用部の前記手部寄りの内面に配置され、小指球を保持する小指球保持部を備え
前記腕着用部は、前記手部寄りに、手関節から前記手部方向へ向かって拡径しながら少なくとも前記小指球を被覆する拡径部が形成され、
前記拡径部は、前記小指球との間に隙間が形成されるとともに、手掌側が切り欠かれ、
前記小指球保持部は、前記隙間に配置され、前記小指球に接触する接触板と、この接触板を前記拡径部の内面に固定する固定部材を備え、
前記固定部材は、前記接触板を前記小指球に押し付ける押圧部材を備えることを特徴とする荷物運搬補助具。
【請求項3】
前記腕着用部は、一対の前記端面同士を連結するとともに、前記手部に装着する手袋の移動を防止する取付部材を備え、
前記手袋は、少なくとも1本の指の指先端腹側に、クッション材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の荷物運搬補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を運搬する際に、主に手首や指などの腕全体の負担を軽減する荷物運搬補助具である。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業などでコンテナを運ぶ際には、コンテナの重みが手首に架かり手首の側面が痛むことが有り、さらにコンテナが重い場合は手首が曲がりすぎてしまい手首の痛みが増してきて、継続して運ぶことが苦痛となっていた。
そこで、近年、農作業時における手の痛みを軽減するものではないが、荷物を手に持って継続して運搬するための荷物運搬補助具に関する技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「荷物運搬補助具」という名称で、手の内側の痛みを緩和するために手首に取り付ける補助具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、手首に巻き付けて固定するためのベルトと、ベルトに取り付けた断面J字状のフックからなり、このフックは手の平を自然に断面J字状に曲げた状態で手の内側に収まる様に構成したことを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、手首にベルトで固定したフックに荷物を掛けることにより、手の内側の痛みが緩和される。また、荷物を運搬する際にフックの外側から荷物を持ち上げる指の力を加減することで、手の指に掛かる荷重と手首にかかる荷重の分配を自由に調節可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-46903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、レジ袋などの手提げ荷物を吊り下げて運ぶ場合には好適であるが、ベルトが手首のみに巻き付けられているため、荷物を高い位置に持ち上げた際、手首が曲がりすぎることにより手首小指球側に痛みが発生する問題がある。そのため、荷物を継続して運搬することが困難となるおそれがある。
コンテナの重みで手首が痛くなることの解決策として手首を固定するような商品は数々販売されているものの、コンパクトで持ち運び容易な手首の可動範囲を制限するようなものはなかった。
また、特許文献1に開示された発明を手首に取り付けた状態では、手の指を閉じたり開いたりすることができないうえ、ほかの細かい作業をする際に取り外さなければならないという不便さがあることも考えられる。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、荷物を持ち上げる際に、手首の可動範囲を制限することで、その小指球側の痛みや疲れを緩和し、重たい荷物などを継続して楽に運べるようにでき、かつ本発明を装着した状態で、荷物を持ち上げる以外の細かな動作を行うことが可能な荷物運搬用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、荷物を運搬する際に使用される荷物運搬補助具であって、前腕から手部にかけて着用される腕着用部と、腕着用部の手部寄りの内面に配置され、小指球を保持する小指球保持部を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、腕着用部としては、前腕から手部を被覆し得る長尺体であれば良く、例えば、前腕から手部にかけてその全周または半周を被覆する筒体または筒体を判割にした半割筒体が考えられる。
また、小指球保持部は、手部の小指球をその下側から持ち上げたり、小指球を手部の親指側から吊下げたりすることで、小指球を保持する。
さらに、小指球保持部は、例えば、蝶番やバネ、または接着剤等の固定部材を用いて腕着用部の内面に固定されるほか、固定部材を用いずに小指球保持部で腕着用部の手部寄りの端面を挟み込むことで、腕着用部の手部寄りの内面において、腕着用部によって支持される。
【0008】
上記構成の発明においては、荷物を手部で持ち、持ち上げる動作を行う際に、腕着用部が前腕から手部にかけて着用され、かつ腕着用部によって支持された小指球保持部が小指球を保持することから、手首の可動範囲が制限される。よって、荷物運搬補助具は、手関節の過剰な尺屈を防ぐという作用を有する。
【0009】
次に、第2の発明は、第1の発明において、腕着用部は、手部寄りに、手関節から手部方向へ向かって拡径しながら少なくとも小指球を被覆する拡径部が形成され、拡径部は、小指球との間に隙間が形成されるとともに、手掌側が切り欠かれ、小指球保持部は、隙間に配置され、小指球に接触する接触板と、この接触板を拡径部の内面に固定する固定部材を備え、固定部材は、接触板を小指球に押し付ける押圧部材を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、固定部材として、例えば、雄ネジが刻設されたネジ軸体と、頭部からなるボルトと、ネジ軸体の先端に取り付けられるナットと、ボルトの頭部に一端が固定されるとともに他端が接触板に固定されるコイルバネからなる構成が考えられる。この場合、コイルバネが押圧部材である。
このほかにも、固定部材は、接触板と拡径部の間に設けられたゴム部材や板バネのような、押圧部材そのものであっても良い。
【0010】
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、拡径部が前腕から手部方向へ向かって拡径するため、手関節が痛みを感じないような適切な範囲で尺屈したり、これ以外の方向へ屈曲したりすることが許容される。そのため、自然な手関節の動きが腕着用部によって妨げられない。
また、拡径部は、手掌側が切り欠かれているため、手指の自由な動きが妨げられないとともに、手部に汗や蒸れがこもることが防止される。
さらに、固定部材は、接触板を小指球に押し付ける押圧部材を備えるため、手部に荷重がかかった場合に、手関節の過剰な尺屈が一層抑制されるとともに、荷重によって小指球に加わる衝撃が吸収される。
【0011】
さらに、第3の発明は、第1又は第2の発明において、腕着用部は、その横断面が対向する一対の端面を有するC字状をなしていることを特徴とする。
このような構成の発明において、腕着用部の横断面とは、腕着用部の長手方向にほぼ直交する方向における断面をいう。
上記構成の発明においては、腕着用部の横断面がC字状をなしているため、腕着用部の長手方向に沿って、端面と端面の間に隙間が形成される。ただし、この隙間の幅は、腕着用部を着用したときに腕着用部が落下することを防ぐため、前腕の太さよりも小さいことが望ましい。よって、例えば、隙間をやや拡張させることができる場合には、この隙間を介して腕着用部が手部や前腕に着脱される。
ただし、腕着用部を一旦着用した後は、前腕の表面形状に腕着用部がフィットし、上記の隙間を再び拡張しない限り、腕着用部が外れることはない。
【0012】
そして、第4の発明は、第3の発明において、腕着用部は、一対の端面同士を連結するとともに、手部に装着する手袋の移動を防止する取付部材を備え、手袋は、少なくとも1本の指の指先端腹側に、クッション材が設けられていることを特徴とする。
このような構成の発明において、取付部材としては、例えば、柔軟性を有する布製バンドや、伸縮性を有するゴム製バンドが考えられる。また、手袋は、薄手の布製手袋、軍手、合成樹脂製手袋、ゴム製手袋等が考えられ、その材質は限定されない。また、手袋の形状は、5本指型のほか、親指とほかの指が2分されて収容されるミトン型であっても良い。
【0013】
上記構成の発明においては、第3の発明の作用に加えて、腕着用部が着用された場合に、取付部材の長さを調整して隙間の幅を狭めることで、腕着用部がずれ動くことが防止される。これに伴い、前腕に対する腕着用部の密着性も増すので、手袋のずれも防止される。
また、クッション材により、手指の腹側の痛みを軽減すると共に指の力の疲労も同時に緩和させるという作用を有する。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、荷物を手部で持ち、持ち上げる動作を行う際に、手関節の過剰な尺屈を防ぐ作用を有するため、手関節の負担軽減という効果を有する。したがって、重たい荷物などを継続して楽に運べるようにできる。
【0015】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、手掌側が切り欠かれた拡径部を備えることにより、手関節や手指の動きが腕着用部によって妨げられないので、本発明を装着した状態で、荷物を持ち上げる以外の細かな動作を行うことが可能である。
また、固定部材が押圧部材を備えることにより、手関節の過剰な尺屈が一層抑制され、小指球に加わる衝撃が吸収されるため、小指球側の痛みや疲れを緩和可能である。
【0016】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、腕着用部の横断面がC字状をなしているため、腕着用部の前腕等への着脱が容易でありながら、不意に腕着用部が外れることがなく、使い勝手が良好である。
【0017】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加えて、手袋とクッション材により、手の内側の痛みを軽減すると共に指の力の疲労も同時に緩和させるとともに、手に直接コンテナなどの角と接することがないという作用を有するため、容易かつ安全に作業を継続できるという効果を有する。
【0018】
前記により重量物を持ち上げ運搬する際や荷物を高所に運ぶ際、重量物を快適に運搬でき、特に農家の方が農作物の入ったコンテナなどを運んだり、トラックの荷台などに乗せたりする場合に手助けになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)及び(b)は、それぞれ実施例に係る荷物運搬用補助具を装着した場合の使用状態図であり、(c)は(a)におけるA-A線矢視断面図である。
図2】実施例に係る荷物運搬用補助具を着用する際に使用される手袋を、手掌側から見た場合の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0020】
本発明の実施の形態に係る荷物運搬補助具について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。図1(a)及び図1(b)は、それぞれ実施例に係る荷物運搬用補助具を装着した場合の使用状態図であり、図1(c)は図1(a)におけるA-A線矢視断面図である。図2は、実施例に係る荷物運搬用補助具を着用する際に使用される手袋を、手掌側から見た場合の使用状態図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、荷物運搬補助具20は、荷物を運搬する際に使用される荷物運搬補助具であって、前腕50から手部52にかけて着用される腕着用部1と、腕着用部1の手部52寄りの内面1aに配置され、小指球52aを保持する小指球保持部2を備える。
このうち、腕着用部1は、一枚の板からなり、前腕50から手部52にかけての形に合わせて形成される。そのため、腕着用部1の素材は熱可塑性をもつ材料を用いるのが良い。ただし、この材料は、腕着用部1を成形後に、後述する端面1b,1b同士の隙間Sをやや拡張可能な程度に変形し、かつ元の形状に復帰可能なものが望ましい。
【0021】
詳細には、腕着用部1は、前腕50の肘側から手関節51にかけて着用される前腕部1Aと、この前腕部1Aに連なり、腕着用部1の手部52寄りに形成される拡径部1Bからなる。
このうち、前腕部1Aは、前腕50の肘側から手関節51にかけて先細となる略円筒体が、前腕50の長さ方向Yに沿って略半割にされた形状をなす。したがって、前腕部1Aは、その横断面が対向する一対の端面1b,1bを有する略C字状をなしている。よって、腕着用部1の長手方向Yに沿って、端面1bと端面1bの間に隙間Sが形成される。
さらに、一方の端面1bには、後述する布製のバンド5の一端5aを留めるためのスリット10a,10aが穿設される。また、他方の端面1bには、バンド5の他端5bを挿通させるためのスリット10b,10bが穿設される。スリット10a,10bの長手方向のサイズは、いずれもバンド5,5の横幅よりもやや大きめである。なお、バンド5の詳細な構成については、後に説明する。
【0022】
拡径部1Bは、手関節51から手部52方向へ向かって拡径しながら小指球52aと、手背52bを被覆する。すなわち、拡径部1Bは、小指球52aとの間に隙間Sが形成されるとともに、手掌側が切り欠かれている。よって、図1(c)に示すように、拡径部1Bは、横断面が略J字形状をなしている。
さらに、拡径部1Bは、後述する固定部材2Bを貫通させて固定するための貫通孔11,11が穿通されている。
【0023】
次に、小指球保持部2は、隙間Sに配置され、小指球52aに接触する接触板2Aと、この接触板2Aを拡径部1Bの内面1aに固定する固定部材2Bを備える。
接触板2Aは、図1(c)に示すように、横断面が略U字形状をなす一枚の板からなり、小指球52aを下方から支持する。接触板2Aは、小指球52aの表面形状に合わせて形成するため、素材は熱可塑性をもつ材料を用いるのが良い。また、接触板2Aには、拡径部1Bの貫通孔11,11と向かい合う位置に、それぞれ貫通孔12,12が穿通される。
さらに、接触板2Aの内側には、シート状の小指球保持部用クッション材3が貼付されている。この小指球保持部用クッション材3はある程度厚みがあり硬さが違う素材の二重構造が良い。そのことにより、接触板2Aが小指球52aと直接接触しないという作用をもつ。
【0024】
固定部材2Bは、ボルト8,8と、ナット9,9と、バネ4a,4bを備える。このうち、ボルト8は、頭部8aと、雄ネジが刻設されるネジ軸体8bからなる。また、ネジ軸体8bはその先端が隙間S側から拡径部1Bの外方に向かって拡径部1Bの貫通孔11を貫通している。さらに、ナット9は、貫通孔11を貫通したネジ軸体8bの先端に取り付けられる。
そして、バネ4a,4bは、接触板2Aを小指球52aに押し付ける押圧部材であって、ある程度の反発力を発揮可能である。バネ4a,4bは、いずれも金属製のコイルバネであり、ボルト8の頭部8aに一端が固定されるとともに他端が接触板2Aの貫通孔12に固定される。
【0025】
また、腕着用部1は、端面1b,1b同士を連結する取付部材を備える。取付部材として、具体的には、例えば布製のバンド5,5が用いられる。
このバンド5は、腕着用部1の前腕50への固定を安定させるため、腕着用部1を少なくとも一周できる長さとなっており、一端5a付近から一定の長さにかけて、バンド5の表面に面ファスナー5cが縫着されている。
さらに、バンド5の一端5aは、スリット10aに通された後でループ状に縫製されることで、端面1b,1bへ接続される。これに対し、バンド5の他端5bは、その裏面に面ファスナー5cに係着する面ファスナー5dが縫着されている。
そのため、腕着用部1を着用した後、バンド5を腕着用部1に巻き付けて他端5bをスリット10bに挿通し、その後面ファスナー5dを面ファスナー5cに係着させると、隙間Sの幅が狭められて腕着用部1がずれ動くことが防止される。
【0026】
続いて、作業者は、図2に示すように、手部52から前腕50のほぼ全長にかけて手袋6を装着する場合がある。この場合、バンド5,5を締め付けることで前腕50に対する腕着用部1の密着性も増すので、手袋6の移動も防止される。
この手袋6は、布製の5本指型であって、5本の指の指先端腹側に、指先用クッション材7が接着剤で接着されている。指先用クッション材7は、例えば布や合成樹脂シートからなり、各指の動きを阻害しない程度の厚さが良い。よって、手袋6は、手部52にフィットし、各指を動かすときの邪魔にならない。
また、手袋6は少なくとも前腕50全体を覆うほどの長さが良い。このような長さであれば、脱げ難いので手部52や前腕50にフィットするとともに、手部52から前腕50全体を被覆して吸湿可能である。
【0027】
上記構成の荷物運搬補助具20においては、腕着用部1が前腕50から手部52にかけて着用され、かつ小指球52aを保持する小指球保持部2が腕着用部1の手部寄りの内面1aに配置されるため、荷物を手部で持ち上げる動作を行う際に、手関節51が荷物の荷重によって尺屈しても、接触板2Aがバネ4a,4bの反発力を受けて小指球52aを押し上げる。よって、手関節51の可動範囲が制限されるため、荷物運搬補助具20は、腕着用部1と、接触板2Aと、バネ4a,4bを備えることにより、手関節51の過剰な尺屈を防ぐという作用を有する。
また、バネ4a,4bが伸縮可能することにより、荷重によって小指球に加わる衝撃が吸収される。
【0028】
また、腕着用部1は、前腕部1Aが隙間Sを有する略C字状をなし、腕着用部1を成形後に、隙間Sをやや拡張可能な程度に変形可能な材料が用いられる。そのため、隙間Sが一定以上の幅を有するとき、拡張された隙間Sを介して腕着用部1が前腕50から手部52にかけて着脱される。一方、隙間Sの幅が拡張されても前腕50を挿入不能な程度に狭い場合では、手部52を腕着用部1の肘側の開放端から挿入して腕着用部1を着用する。この場合も、腕着用部1の内径が拡張されるので、前腕50までが完全に腕着用部1へ挿入される。
ただし、腕着用部1を一旦着用した後は、前腕50の表面形状に腕着用部1がフィットし、隙間Sを再び拡張しない限り、腕着用部1が外れることはない。
【0029】
さらに、腕着用部1においては、拡径部1Bは、小指球52aとの間に隙間Sが形成されるとともに、手掌側が切り欠かれていることから、手関節51が痛みを感じないような適切な範囲で尺屈したり、これ以外の方向へ屈曲したりすることが許容される。そのため、自然な手関節51の動きが拡径部1Bによって妨げられない。
また、拡径部1Bは、手掌側が切り欠かれているため、手指の自由な動きが妨げられないとともに、手部52に汗や蒸れがこもることが防止される。なお、手袋6が装着されることにより、この蒸れ防止の作用が一層発揮される。
【0030】
加えて、腕着用部1においては、バンド5,5が設けられるため、このバンド5,5を締め付けることにより、隙間Sの幅が予期せず拡張し、腕着用部1がずれ動いたり、落下したりすることが防止される。これに伴い、前腕50に対する腕着用部1の密着性も増すので、手袋6のずれも防止される。
また、手袋6においては、指先用クッション材7により、手指の腹側の痛みを軽減すると共に指の力の疲労も同時に緩和させるという作用を有する。さらに、手部52が直接コンテナなどの角部と接することがないという作用を有する。
【0031】
以上説明したように、荷物運搬補助具20によれば、腕着用部1と、接触板2Aと、バネ4a,4bを備えることにより、手関節51の過剰な尺屈を防ぐという作用を有することから、手関節51の痛みや疲労の発生を防止でき、負担を軽減できるという効果を有する。したがって、重たい荷物などを継続して楽に運べるようにすることができる。また、バネ4a,4bが伸縮可能することにより、小指球52aに加わる衝撃が吸収されるため、小指球52aの皮膚面が打ち身のような状態になることを防止できる。
【0032】
さらに、前腕部1Aが隙間Sを有する略C字状をなすことにより、この隙間Sを利用して腕着用部1を容易に着脱できる。その一方で、腕着用部1を一旦着用した後は、隙間Sを再び拡張しない限り、腕着用部1が外れることはないため、作業中の前腕50の動きに関わらず、腕着用部1を安定的に着用できる。
加えて、拡径部1Bは、手掌側が切り欠かれていることで、手指の自由な動きが妨げられないので、腕着用部1を装着した状態で、荷物を持ち上げる以外の細かな動作を行うことが可能である。
また、拡径部1Bは手掌側が切り欠かれているとともに、手袋6が装着されることにより、蒸れ防止の作用が一層発揮されるので、長時間にわたって荷物運搬補助具20を快適に使用できる。
また、荷物運搬補助具20は、腕着用部1、小指球保持部2等の少ない部品点数からなるため、安価な製造が可能である。
【0033】
なお、本発明は、実施例に示されたものに限定されない。例えば、バンド5は省略されても良い。また、手袋6を装着することなく荷物運搬補助具20を使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、荷物類を運搬する際に、手首にかかる負荷を軽減するための荷物運搬補助具として適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
20…荷物運搬補助具 1…腕着用部 1A…前腕部 1B…拡径部 1a…内面 1b…端面 2…小指球保持部 2A…接触板 2B…固定部材 3…小指球保持部用クッション材 4a,4b…バネ 5…バンド 5a…一端 5b…他端 5c,5d…面ファスナー 6…手袋 7…指先用クッション材 8…ボルト 8a…頭部 8b…ネジ軸体 9…ナット 10a,10b…スリット 11…貫通孔 12…貫通孔 50…前腕 51…手関節 52…手部 52a…小指球 52b…手背
図1
図2