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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】車両用フードロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20220124BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
E05B83/24 A
B62D25/12 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017241652
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019108710
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 直紀
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-360416(JP,A)
【文献】特開2017-141620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043766(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0086336(KR,A)
【文献】特表2006-518430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 83/24
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に形成された開口部を開閉するフードを閉状態で前記車体に対してロックする車両用フードロック装置であって、
前記車体又は前記フードに固定されたストライカが進入する進入溝が形成された板状の本体部、及び前記本体部の下端が屈曲されて前記本体部の板厚方向に突出した板状の突出部を有するベースプレートと、
前記ベースプレートに対して回動可能に配置され、前記ストライカを前記進入溝内に拘束する拘束位置と、前記ストライカが前記進入溝内の拘束から解放される解放位置との間を回動可能なセフティレバーと、
前記セフティレバーが前記解放位置から前記拘束位置へ回動するロック方向に前記セフティレバーを付勢する弾性体と、を備え、
前記セフティレバーは、前記本体部に対して回動可能に取り付けられる基部と、前記基部から延在した腕部と、前記腕部の先端側に設けられて前記ストライカに係合するフック部と、前記基部を回動させる操作を受け付ける操作部と、前記突出部への当接により前記基部の回転量を規制する当接部と、を有し、
前記セフティレバーの前記当接部は、前記突出部の側面に対し、前記突出部の板厚方向に直交する方向から当接することにより、前記基部の回転量を規制する、
車両用フードロック装置。
【請求項2】
前記セフティレバーの前記当接部は、前記基部の回動方向における前記突出部の一側に当接することにより前記拘束位置にある前記セフティレバーの前記ロック方向の回動を規制する第1舌片部と、前記基部の回動方向における前記突出部の他側に当接することにより前記解放位置にある前記セフティレバーのアンロック方向の回動を規制する第2舌片部
と、を有している、
請求項1に記載の車両用フードロック装置。
【請求項3】
前記本体部に対して屈曲して前記板厚方向に突出した屈曲部が、前記突出部と一体に設けられている、
請求項1又は2に記載の車両用フードロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた開口部を開閉するフードを閉状態でロック及びアンロックをする車両用フードロック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用フードロック装置は、ストライカが挿入されるストライカ挿入溝が形成されたベースプレート(取付金具)と、ストライカに係脱するフック部(ラッチ部)が形成され、ラッチ部がベースプレートのストライカ挿入溝に位置する拘束位置(係合位置)、ラッチ部がストライカ挿入溝より離脱した解放位置との間を回動可能なセフティレバー(セカンダリラッチ)と、セフティレバーを拘束位置方向に付勢するスプリングと、を備えている。
【0004】
セフティレバーは、ベースプレートに設けられた突起に係合する第1及び第2規制部を有している。第1規制部は、セフティレバーが拘束位置を超えて回動することを規制し、第2規制部は、セフティレバーが解放位置を超えて回動することを規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-141620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のフードロック装置では、フードの開閉動作に伴ってベースプレートにモーメントが作用するため、このモーメントに伴う変形を防止するためにはベースプレートの剛性は高いほうが望ましい。
【0007】
そこで、本発明では、ベースプレートの剛性を高めることができる車両用フードロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、車体に形成された開口部を開閉するフードを閉状態で前記車体に対してロックする車両用フードロック装置であって、前記車体又は前記フードに固定されたストライカが進入する進入溝が形成された板状の本体部、及び前記本体部の下端が屈曲されて前記本体部の板厚方向に突出した板状の突出部を有するベースプレートと、前記ベースプレートに対して回動可能に配置され、前記ストライカを前記進入溝内に拘束する拘束位置と、前記ストライカが前記進入溝内の拘束から解放される解放位置との間を回動可能なセフティレバーと、前記セフティレバーが前記解放位置から前記拘束位置へ回動するロック方向に前記セフティレバーを付勢する弾性体と、を備え、前記セフティレバーは、前記本体部に対して回動可能に取り付けられる基部と、前記基部から延在した腕部と、前記腕部の先端側に設けられて前記ストライカに係合するフック部と、前記基部を回動させる操作を受け付ける操作部と、前記突出部への当接により前記基部の回転量を規制する当接部と、を有し、前記セフティレバーの前記当接部は、前記突出部の側面に対し、前記突出部の板厚方向に直交する方向から当接することにより、前記基部の回転量を規制する、車両用フードロック装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用フードロック装置によれば、ベースプレートの剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置の概略を示す正面図であり、図1(b)は、車両用フードロック装置の概略を示す背面図である。
図2図2は、ベースプレートの構成を示す斜視図である。
図3図3(a)は、ベースプレートの上面図であり、図3(b)は、正面図であり、図3(c)は、左側面図であり、図3(d)は右側面図であり、図3(e)は底面図である。
図4図4(a)は、セフティレバーの正面図であり、図4(b)は右側面図であり、図4(c)は底面図である。
図5図5(a)及び(b)は、車両用フードロック装置のアンロック動作におけるラッチの解除動作を説明するための背面図である。
図6図6(a)及び(b)は、車両用フードロック装置のアンロック動作におけるセフティレバーの解除動作を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の要約)
本実施の形態に係る車両用フードロック装置は、車体に形成された開口部を開閉するフードを閉状態で前記車体に対してロックする車両用フードロック装置であって、前記車体又は前記フードに固定されたストライカが進入する進入溝が形成された板状の本体部、及び前記本体部の下端が屈曲されて前記本体部の板厚方向に突出した突出部を有するベースプレートと、前記ベースプレートに対して回動可能に配置され、前記ストライカを前記進入溝内に拘束する拘束位置と、前記ストライカが前記進入溝内の拘束から解放される解放位置との間を回動可能なセフティレバーと、前記セフティレバーが前記解放位置から前記拘束位置へ回動するロック方向に前記セフティレバーを付勢する弾性体と、を備え、前記セフティレバーは、前記本体部に回動可能に取り付けられる基部と、前記基部から延在した腕部と、前記腕部の先端側に設けられて前記ストライカに係合するフック部と、前記基部を回動させる操作を受け付ける操作部と、前記突出部への当接により前記基部の回転量を規制する当接部と、を有する。
【0012】
この車両用フードロック装置によれば、セフティレバーの回動を規制するための孔をベースプレートに形成する必要がないので、ベースプレートの剛性を高めることができる。
【0013】
[実施の形態]
本実施の形態に係る車両用フードロック装置の構成及び動作について図1乃至図6を参照して説明する。図1(a)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置の概略を示す正面図であり、図1(b)は、車両用フードロック装置の概略を示す背面図である。図1(a)及び(b)は、車両用フードロック装置がフードをロックしたロック状態を示している。なお、以下の説明において、車両用フードロック装置が車体に取り付けられた状態の鉛直方向を単に上下方向、車両用フードロック装置の取付面に対して平行な水平方向を単に左右方向ということがある。
【0014】
(車両用フードロック装置の概要)
図1(a)及び(b)に示すように、車両用フードロック装置100は、車体90に形成された開口部を開閉するフード91を閉状態でロック及びアンロックする装置であって、フード91に固定されたストライカ93が進入する進入溝10aが形成されたベースプレート1と、ベースプレート1に対して回動可能に配置されたラッチ2と、ラッチ2を所定の方向に付勢する第1のコイルばね31と、ラッチ2の回動を規制してロックするロックレバー4と、ロックレバー4を所定の方向に付勢する第2のコイルばね32と、手動操作によってベースプレート1に対して回動するセフティレバー5と、セフティレバー5を所定の方向に付勢する第3のコイルばね33と、を備えている。なお、フード91は、図略のヒンジによって車体90に対して開閉可能に支持されている。
【0015】
(ベースプレートの構成)
ベースプレート1は、板状の部材であり、車体90に対して固定されている。ベースプレート1は、セフティレバー5が配置される第1の面101と、第1の面101とは反対側の第2の面102とを、有している。第2の面102は、車体90に取り付けられる取付面である。
【0016】
また、ベースプレート1は、車体90に取り付けるための第1及び第2のフランジ部121,122を有し、第1及び第2のフランジ部121,122には、図略のボルトが挿通される孔121a,122aが形成されている。ベースプレート1の詳細については後述する。
【0017】
(ラッチの構成)
図1(b)に示すように、ラッチ2は、ベースプレート1の進入溝10aを挟んだ一側に取り付けられ、ベースプレート1の進入溝10aに進入してきたストライカ93と係合する係合溝2aを有している。
【0018】
ラッチ2は、ベースプレート1に形成された第2ラッチ孔10e(図2参照)に挿通する第1回転ピン95を介してベースプレート1に対して回動可能である。ラッチ2は、第1回転ピン95の中心軸を回転軸Oとして、ストライカ93の係合溝2a内からの離脱を規制するロック位置A(図5(a)参照)と、ストライカ93の係合溝2aからの離脱の規制を解除するアンロック位置B(図5(b)参照)との間を揺動する。
【0019】
ラッチ2には、第1のコイルばね31の他端31bが係止するバネ係止部2bが形成されている。第1のコイルばね31は、一端31aがベースプレート1の後述する第1側部111に形成されたバネ連結孔111a(図3参照)に連結し、他端31bが前述のバネ係止部2bに連結して、ラッチ2がロック位置Aからアンロック位置Bに回動する方向(図1(b)における反時計回り方向)にラッチ2を付勢している。
【0020】
(ロックレバーの構成)
ロックレバー4は、ベースプレート1の進入溝10aを挟んだ他側(ラッチ2とは反対側)に取り付けられ、ベースプレート1の本体部10に形成された第1ロックレバー孔10b(図2参照)に挿通された第2回転ピン96を介して回動可能に配置されている。ロックレバー4は、第2回転ピン96の中心軸を回転軸Oとして回動する。
【0021】
ロックレバー4は、ラッチ2と対向する側縁に設けられてロック位置Aにあるラッチ2と係合するラッチ係合部40と、ロックレバー4を開操作するための図略のケーブルの一端が連結されるケーブル連結部41と、第2のコイルばね32の他端32aが係止するバネ係止部42と、を有している。このケーブルの他端は、車両室内に設けられた図略のフードオープナーに連結されている。
【0022】
ロックレバー4は、ラッチ係合部40がラッチ2に形成された被係合部20と係合する係合位置(図1(b)に示す位置)と、ラッチ2との係合が解除された非係合位置(図5参照)との間を揺動し、第2のコイルばね32によって非係合位置から係合位置へ回動する方向(図1(b)における時計回り方向)に常時付勢されている。
【0023】
(セフティレバーの構成)
セフティレバー5は、ベースプレート1の本体部10の進入溝10aの下部に配置された第3回転ピン94を介してベースプレート1の本体部10に対して回動可能に配置されている。
【0024】
セフティレバー5は、ベースプレート1の本体部10に形成された貫通孔10fに挿通された第3回転ピン94の中心軸としての回転軸Oを中心に回動可能に支持され、ストライカ93をベースプレート1における本体部10の進入溝10a内に拘束する拘束位置X(図6(b)参照)と、ストライカ93が進入溝10a内の拘束から解放される解放位置Y(図6(a)参照)との間を回動する。
【0025】
セフティレバー5は、第3のコイルばね33によって解放位置Yから拘束位置Xに回動するロック方向に常時付勢されている。第3のコイルばね33の一端33aは、セフティレバー5の後述するバネ孔531aに連結され、他端33bはベースプレート1の第1バネ係止部141に連結されている。セフティレバー5の詳細については後述する。
【0026】
なお、セフティレバー5の拘束位置Xとは、セフティレバー5がベースプレート1に対してセフティレバー5の後述する腕部51が上下方向に沿って直立した位置をいう。
【0027】
(ベースプレートの詳細)
次に、ベースプレート1の構成について図2及び図3を参照して説明する。
【0028】
図2は、ベースプレート1の構成を示す斜視図である。図3はベースプレート1の構成例を示す平面図であり、(a)はベースプレート1の上面図であり(b)は正面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は底面図である。
【0029】
ベースプレート1は、本体部10と、本体部10の中央部における左右方向の両端側にそれぞれ設けられた第1及び第2側部111,112と、第1及び第2側部111,112のそれぞれの端部からさらに左右方向に張り出して形成された第1及び第2のフランジ部121,122と、本体部10の下端が屈曲されて本体部10の板厚方向に突出した突出部13と、コイルばねを連結するための第1及び第2バネ係止部141,142と、を有している。本実施の形態では、第3のコイルばね33の他端33bが第1バネ係止部141に連結されている。
【0030】
本体部10の進入溝10aの下部には、第3回転ピン94が挿通される挿通孔10fが形成されている。セフティレバー5は、第3回転ピン94を介して第3回転ピン94の中心点を回転軸Oとして回動する。
【0031】
図2及び図3(b)に示すように、本体部10の進入溝10aを挟んだ本体部10の一側には、第1ロックレバー孔10b及び第1ラッチ孔10dが形成され、進入溝10aを挟んだ本体部10の他側には第2ロックレバー孔10c及び第2ラッチ孔10eが形成されている。本実施の形態では、第2ラッチ孔10eにラッチ2を本体部10に対して軸支する第1回転ピン95が挿通され、第1ロックレバー孔10bにロックレバー4を本体部10に対して軸支する第2回転ピン96が挿通されている。
【0032】
図3(c)に示すように、第1側部111には、第1のコイルばね31の一端31aが連結するバネ連結孔111aと、ロックレバー4のケーブル連結部41に連結された図略のケーブルが保持される保持溝111bとが形成されている。
【0033】
図3(d)に示すように、第2側部112には、第2のコイルばね32の他端32bが連結するバネ連結孔112aが形成されている。
【0034】
図3(a)に示すように、第1及び第2バネ係止部141,142には、コイルばねの端部を挿通するためのバネ挿通孔141a,142aがそれぞれ形成されている。本実施の形態では、前述のように第1バネ係止部141のバネ挿通孔141aに第3のコイルばね33の他端33bが挿通されている。
【0035】
図2及び図3(e)に示すように、突出部13並びに第1及び第2バネ係止部141,142は、第1の面101側に設けられてベースプレート1の本体部10の板厚方向に突出している。本体部10の下部における左右両端には、第1及び第2の脚部103,104が設けられている。
【0036】
また、ベースプレート1は、本体部10の下端を屈曲して形成された板状の屈曲部15を有している。屈曲部15は、突出部13並びに第1及び第2バネ係止部141,142と一体に設けられている。屈曲部15は、本体部10の第1及び第2の脚部103,104の間に挟まれた本体部10の下端を折り曲げることで形成されている。
【0037】
突出部13、第1及び第2バネ係止部141,142、及び屈曲部15は、本体部10の下端を第1の面101側に折り曲げて一体に設けられた折曲部として形成されている。この折曲部は、例えば本体部10の第1の面101に対して直角に折り曲げられている(図3(c)及び(d)参照)。
【0038】
突出部13は、本体部10の板厚方向における屈曲部15の端面15aから突出するように延在している。同様に、第1及び第2のバネ係止部141,142も、屈曲部15の端面15aから突出するように延在している。本実施の形態では、屈曲部15の端面15aからの突出部13並びに第1及び第2のバネ係止部141、142の突出量Sは、屈曲部15の板厚方向の長さLよりも大きい(S>L)。
【0039】
突出部13が第1のバネ係止部141側と対面する突出部13の第1の側面13aがセフティレバー5のロック方向への回動を規制する第1の規制面として形成されている。また、突出部13が第2のバネ係止部142側と対面する突出部13の第2の側面13bがセフティレバー5のアンロック方向(拘束位置Xから解放位置Yへ回動する方向)への回動を規制する第2の規制面として形成されている。
【0040】
(セフティレバーの詳細)
図4は、セフティレバー5の構成例を示す平面図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図であり、(c)は底面図である。
【0041】
セフティレバー5は、本体部10に回転軸Oを中心として回動可能に取り付けられる基部50と、基部50から延在した腕部51と、腕部51の先端側に設けられてストライカ93に係合するフック部52と、基部50を回動させる操作を受け付ける操作部53と、突出部13への当接により基部50の回転量を規制する第1及び第2当接部54,55と、を有している。基部50には、第3回転ピン94が挿通する貫通孔50aが形成されている。なお、第1及び第2当接部54,55は、それぞれ本発明における第1及び第2舌片部の一例である。
【0042】
操作部53は、基部50から腕部51とは異なる側に延在した延在部530と、延在部530の端部からベースプレー1の板厚方向における第1の面101側に張り出した張り出し部531と、張り出し部531の端部から上方に立ち上がって形成された立ち上がり部532と、立ち上がり部532の先端側に設けられて操作を受け付ける受付部533と、を一体に有している。
【0043】
第1及び第2当接部54,55は、基部50の下端の両側からそれぞれ延在し、凹部560を挟んで配置されている。第1当接部54は、基部50の下端において、セフティレバー5の操作部53側に位置し、第2当接部55は、基部50の下端において、セフティレバー5の腕部51側に位置している。
【0044】
第1当接部54は、基部50の下端から下方向に延びて基部50と面一の平板部540と、平板部540の端部から板厚方向の第1の面101側に突出した突出片541を有している。突出片541の第2当接部55と対向する対向面541aは、セフティレバー5が拘束位置Xにあるときに、突出部13の第1の側面13aと当接する当接面として形成されている。つまり、第1当接部54は、基部50の回動方向における突出部13の一側の第1の側面13aに当接することにより拘束位置Xにあるセフティレバー5のロック方向の回動を規制する。
【0045】
第2当接部55は、基部50の下端から下方向に延びて基部50と面一の平板部550と、平板部550の端部から板厚方向の第1の面101側に突出した突出片551を有している。突出片551の第1当接部54と対向する対向面551aは、セフティレバー5が解放位置Yにあるときに、突出部13の第2の側面13bと当接する当接面として形成されている。つまり、第2当接部55は、基部50の回動方向における突出部13の他側に第2の側面13bに当接することにより解放位置Yにあるセフティレバー5のアンロック方向の回動を規制する。
【0046】
(車両用フードロック装置の動作)
次に、車両用フードロック装置100の動作について、図5及び図6を参照して説明する。
【0047】
図5は、車両用フードロック装置100のアンロック動作の説明するための背面図であり、(a)はラッチ2とロックレバー4との係合が解除された解除された状態を示し、(b)はラッチ2によるストライカ93の拘束が解除された状態を示している。図6は、車両用フードロック装置100のアンロック動作を説明するための正面図であり、(a)はセフティレバー5が解放位置Yにある状態を示し、(b)はセフティレバー5が拘束位置Xにある状態を示している。
【0048】
図5(a)に示すように、例えばフード91を開ける場合には、操作者が運転席等で図略のフードオープナーを操作することにより、ロックレバー4がラッチ2と係合する係合位置からラッチ2と係合しない非係合位置へ回転軸Oを中心として回動する方向(図5における反時計回り方向)に回動する。
【0049】
そうすると、図5(b)に示すように、ロックレバー4のラッチ係合部40がラッチ2の被係合部20との係合が解除される結果、ラッチ2が第1のコイルばね31の付勢力によって回転軸Oを中心として反時計回り方向に回動する。これにより、ストライカ93がラッチ2の係合溝2aから解放されて、ストライカ93がラッチ2の回転力によって上方に押し上げられる。この時点では、セフティレバー5が拘束位置Xにあるため、ストライカ93はセフティレバー5のフック部52により、進入溝10aからの離脱が規制された状態であり、フード91は僅かに開いた半開状態で一旦停止する。
【0050】
そして、僅かに開いたフード91と車体90との隙間に操作者が手指を差し込んで、セフティレバー5における操作部53の受付部533を押圧すると、図6(a)に示すように、セフティレバー5が回転軸Oを中心として拘束位置Xから解放位置Yに回動する。
【0051】
この際、セフティレバー5の第2当接部55の対向面551aがベースプレート1における突出部13の第2の側面13bに当接する。これにより、セフティレバー5のアンロック方向への過度な回転が規制される。
【0052】
そして、図6(b)に示すように、ストライカ93がベースプレート1の進入溝10aから離脱して、セフティレバー5が第3のコイルばね33の付勢力によって解放位置Yから拘束位置Xに回動する。この際、セフティレバー5の第1当接部54の対向面541aがベースプレート1の突出部13の第1の側面13aに当接することにより、セフティレバー5の拘束位置Xからさらにセフティレバー5がロック方向へ回動することが規制される。
【0053】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
【0054】
(1)ベースプレート1は、本体部10の下端が屈曲されて本体部10の板厚方向に突出した突出部13を有し、セフティレバー5が突出部13への当接により基部50の回転量を規制する第1当接部54、を有している。これにより、セフティレバー5が第3のコイルばね33の付勢力によって拘束位置Xよりもロック方向へ回動することが規制される。従って、ベースプレート1にセフティレバー5の回転量を規制するための穴を設けた場合に比較して、ベースプレート1の剛性を向上させることができる。
【0055】
さらに、特許文献1に記載の車両用フードロック装置のようにセフティレバーの回転量を規制する突起を設ける場合には例えば溶接等で突起物を形成するか、あるいはプレス加工等を行う必要があり製造コストが増大するが、本実施の形態では突出部13が本体部10の下端を屈曲することにより本体部10と一体に形成することができるので、ベースプレート1の剛性を向上しつつ、製造コストの増大を抑制することが可能である。
【0056】
(2)セフティレバー5が突出部13への当接により基部50の回転量を規制する第2当接部55、を有しているので、セフティレバー5のアンロック方向の回転を規制することができる。これにより、例えばセフティレバー5を拘束位置Xから解放位置Yまで回動させる際に、過度にアンロック方向に回動させて他部品とセフティレバー5(例えば操作部53の受付部533)が干渉することを防止することができる。
【0057】
(3)ベースプレート1は本体部10に対して屈曲して板厚方向に突出した屈曲部15が突出部13と一体に設けられているので、ベースプレート1の剛性の向上に寄与することができる。
【0058】
(4)ベースプレート1の突出部13及び屈曲部15は、本体部10の下端を屈曲して形成されているので、ベースプレートの下端が屈曲されていない構成に比較して、ベースプレート1の上下方向の寸法を小さくすることができ、車両用フードロック装置100の小型化を図ることができる。これにより、車両のエンジンルーム内のような設置スペースが限られている狭い空間にも設置することが可能である。
【0059】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…ベースプレート
2…ラッチ
2a…係合溝
2b…バネ係止部
4…ロックレバー
5…セフティレバー
10…本体部
10a…進入溝
13…突出部
13a…第1の側面
13b…第2の側面
15…屈曲部
50…基部
51…腕部
52…フック部
53…操作部
54…第1当接部
55…第2当接部
90…車体
91…フード
93…ストライカ
100…車両用フードロック装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6