(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】助手席用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/237 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
B60R21/237
(21)【出願番号】P 2017246282
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 靖広
(72)【発明者】
【氏名】片山 大次郎
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-335130(JP,A)
【文献】特開平08-026059(JP,A)
【文献】特開2009-154577(JP,A)
【文献】特開2002-264752(JP,A)
【文献】特開2009-154778(JP,A)
【文献】特開2017-056888(JP,A)
【文献】特開2004-106841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ、着座した乗員の前方で前記乗員に向かって膨張展開する助手席用エアバッグ装置であって、
ガスを発生するインフレータと、
前記インフレータが発生するガスにより膨張するエアバッグと、を備え、
前記エアバッグは、前記エアバッグの車両幅方向を短縮するように折り畳まれた第1折部と、前記第1折部の車両前後方向を短縮するように前記インフレータ側に向かって折り畳まれた第2折部と、
前記第1折部よりも車両前方側部分の車両幅方向を短縮するように折り畳まれた第3折部と、を有し、
前記第1折部は、前記エアバッグの車両中央側の側域を少なくとも1回折り畳み、形成された折り畳み部分を更に車両幅方向を短縮するように折り返し、折り返された前記折り畳み部分の内側に前記側域の先端部を配置したものであ
り、
前記第3折部は、前記第1折部に比べ解けやすい折り畳みであって、前記第2折部によって車両前後方向を短縮するように前記インフレータ側に向かって折り畳まれており、
前記第2折部は、前記第1折部の車両前後方向を短縮するように前記インフレータ側に向かって折り畳まれた部分と、前記第3折部の車両前後方向を短縮するように前記インフレータ側に向かって折り畳まれた部分とを含んでおり、
前記第2折部のうち、前記第1折部の車両前後方向を短縮するように折りたたまれた部分はロール折部を含んでおり、
前記第3折部の先端であるリッド側先端折部が、前記ロール折部の上面のうち車両前方側に配置されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置であって、
前記第1折部は、前記エアバッグの側域を蛇腹折りし、蛇腹折りにより形成された積層部を更に車両幅方向を短縮するように折り返し、折り返された前記積層部内に前記側域の先端部を配置したものであることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置であって、
前記第1折部は、蛇腹折りされた前記側域の先端部とは反対側に位置する蛇腹折りの折り部を、前記先端部側へ折り返していることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の助手席用エアバッグ装置であって、
前記第1折部は、前記側域の先端部が折り畳まれた前記エアバッグの外方に向かって配置されるように、蛇腹折りされた前記側域の前記先端部とは反対側に位置する前記蛇腹折りの折り部が前記外方へ向かって折り返されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の助手席用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、車両前方側よりも車両後方側の方が車両幅方向に大きい形状であり、前記第1折部と前記第3折部とは連続していることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、助手席用エアバッグ装置に関する。より詳しくは、自動車等の車両に取り付けられ、着座した乗員の前方で該乗員に向かって膨張展開する助手席用エアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
助手席用エアバッグ装置は、車両の前面衝突時に、着座した乗員の前方で膨脹展開し、前方に移動する乗員を受け止めて保護するものであり、通常、助手席前方のインストルメントパネル内にエアバッグが折り畳まれて収納される。従来の助手席用エアバッグ装置におけるエアバッグの折り畳み方法としては、エアバッグの車両幅方向をエアバッグの端部が外方に向かって配置されるように蛇腹折りし、その後、車両前後方向をロール折りするものが知られている(例えば、特許文献1の
図8及び9参照。)。この折り畳み方法の場合、車両幅方向の折り畳みが、ガスが流れやすい蛇腹折りであるため、車両前後方向のロール折りが解けるとすぐに車両幅方向に膨張展開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の内装デザインによっては、助手席用エアバッグ装置の収納位置が、エアコンの吹き出し口やモニター等の車両装備に近接することがある。そのような内装デザインの車両に対して特許文献1に記載の助手席用エアバッグ装置を搭載した場合、エアバッグは車両幅方向に膨張しながら展開するため、展開途中で車両装備と接触して揺動してしまう。以下、
図27を参照して具体的に説明する。
【0005】
図27は、助手席用エアバッグ装置の収納位置が車両装備に近接する場合に、展開途中のエアバッグが車両装備と接触して揺動することを示す説明図であり、(a)~(d)の順にエアバッグの展開が進行する。
図27(a)に示したように、車両設備200に対して、助手席用エアバッグ装置の車室内への出口に相当するインストルメントパネル3のリッド4が近接する場合において、車両の衝突が検知されるとエアバッグ210の膨張展開が開始する。
図27(b)に示した膨張展開初期には、エアバッグ210が車両幅方向に膨張しながら乗員に向かって展開する。そして、エアバッグ210が車両装備200よりも乗員側に展開しようとする時点で、
図27(c)に示したように、エアバッグ210の側域と車両装備200とが接触してしまう。これにより、展開途中のエアバッグ210に対して、
図27(d)に示した矢印の指す方向に外力が加わるため、エアバッグ210が揺動し、所定の位置に展開することができなくなるおそれがあった。
【0006】
以上のことから、助手席用エアバッグ装置の収納位置が車両装備に近接する場合であっても、エアバッグの展開挙動がばらつかないようにするための対策が求められていた。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、車両の内装デザインにかかわらず、安定して膨張展開することができる助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、車両に取り付けられ、着座した乗員の前方で前記乗員に向かって膨張展開する助手席用エアバッグ装置であって、ガスを発生するインフレータと、前記インフレータが発生するガスにより膨張するエアバッグと、を備え、前記エアバッグは、前記エアバッグの車両幅方向を短縮するように折り畳まれた第1折部と、前記第1折部の車両前後方向を短縮するように前記インフレータ側に向かって折り畳まれた第2折部と、を有し、前記第1折部は、前記エアバッグの車両中央側の側域を少なくとも1回折り畳み、形成された折り畳み部分を更に車両幅方向を短縮するように折り返し、折り返された前記折り畳み部分の内側に前記側域の先端部を配置したものである助手席用エアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の助手席用エアバッグ装置は、エアバッグの膨張展開初期において、エアバッグの車両幅方向の膨張が抑制され、その後遅れて車両幅方向の膨張が許容されるようにエアバッグが折り畳まれていることから、車両の内装デザインにかかわらず、安定したエアバッグの展開挙動を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態を車両幅方向から見たときの断面図である。
【
図2】実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態を示した斜視図である。
【
図3】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み前の状態を示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図であり、(c)は、側面図である。
【
図4】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(1)を説明する側面図である。
【
図5】折り畳みステップ(1)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)中のA1-A2線に沿った断面図であり、(c)は、(a)中のB1-B2線に沿った断面図である。
【
図6】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(2)を説明する側面図である。
【
図7】折り畳みステップ(2)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)中のA1-A2線に沿った断面図であり、(c)は、(a)中のB1-B2線に沿った断面図である。
【
図8】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(3)を説明する側面図である。
【
図9】折り畳みステップ(3)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)中のA1-A2線に沿った断面図であり、(c)は、(a)中のB1-B2線に沿った断面図である。
【
図10】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(4)を説明する側面図である。
【
図11】折り畳みステップ(4)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)中のA1-A2線に沿った断面図であり、(c)は、(a)中のB1-B2線に沿った断面図である。
【
図12】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(5)を説明する側面図である。
【
図13】折り畳みステップ(5)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側面図である。
【
図14】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(6)を説明する側面図である。
【
図15】折り畳みステップ(6)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側面図である。
【
図16】実施形態1に係るエアバッグの折り畳みステップ(7)を説明する側面図である。
【
図17】折り畳みステップ(7)後のエアバッグを示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、上面図である。
【
図18】実施形態1に係るエアバッグの第1折部の膨張展開時の挙動を示した図であり、(a)は、膨張展開前の初期状態を示し、(b)、(c)、(d)の順に膨張展開が進行する。
【
図19】車両に取り付けられた実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態を示した図であり、(a)は、車室側から見たときの図であり、(b)は、車両幅方向から見たときの断面図である。
【
図20】車両に取り付けられた実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置のエアバッグ展開初期の状態を示した図であり、(a)は、車室側から見たときの図であり、(b)は、車両幅方向から見たときの断面図である。
【
図21】車両に取り付けられた実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置のエアバッグ展開中期の状態を示した図であり、(a)は、車室側から見たときの図であり、(b)は、車両幅方向から見たときの断面図である。
【
図22】車両に取り付けられた実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置のフル展開時の状態を示した図であり、(a)は、車室側から見たときの図であり、(b)は、車両幅方向から見たときの断面図である。
【
図23】実施形態2におけるエアバッグの折り畳み方法を説明する断面模式図である。
【
図24】実施形態3におけるエアバッグの折り畳み方法を説明する断面模式図である。
【
図25】実施形態4におけるエアバッグの折り畳み方法を説明する断面模式図である。
【
図26】実施形態5におけるエアバッグの折り畳み方法を説明する断面模式図である。
【
図27】助手席用エアバッグ装置の収納位置が車両装備に近接する場合に、展開途中のエアバッグが車両装備と接触して揺動することを示す説明図であり、(a)~(d)の順にエアバッグの展開が進行する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置について説明する。
【0012】
(実施形態1)
まず、
図1及び2を用いて、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態について説明する。
図1は、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態を車両幅方向から見たときの断面図であり、
図2は、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置の初期状態を示した斜視図である。実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置10は、助手席の前方に位置するインストルメントパネル3の上面の内側に配置され、インフレータ(ガス発生装置)11と、折り畳まれた袋状のエアバッグ100と、エアバッグ100を収納する保持部材15と、を備える。なお、本明細書において、「初期状態」とは、インフレータ11の着火前、すなわちエアバッグ100の膨張展開前の状態を意味する。
【0013】
インフレータ11は、車両の前面衝突時に作動する。まず、車両に搭載された衝突検知センサが車両の前面衝突を検知すると、衝突検知センサから送られた信号をECUが演算し、衝突のレベルが判定される。判定された衝突のレベルが、エアバッグ100を膨らませる場合に該当すると、インフレータ11が着火され、燃焼による化学反応でガスが発生する。発生したガスは、インフレータ11のガス噴出孔からエアバッグ100の内部に放出される。なお、インフレータ11の種類は特に限定されず、ガス発生剤を燃焼させて発生させるガスを利用するパイロ式インフレータ、圧縮ガスを利用するストアード式インフレータ、ガス発生剤を燃焼させて発生させるガスと圧縮ガスとの混合ガスを利用するハイブリッド式インフレータ等を用いることができる。
【0014】
エアバッグ100は、袋状体であり、インフレータ11の作動前は、インストルメントパネル3の上面の内側に配置された保持部材15内に、折り畳まれて収納されている。インフレータ11が作動すると、エアバッグ100の内部に、インフレータ11から発生したガスが充填され、エアバッグ100は折り畳みが解かれながら膨張する。その結果、エアバッグ100は、保持部材15のスリット15b間の連結部を破断し、インストルメントパネル3に設けられたリッド4を押し開き、車室内に膨張展開する。
【0015】
エアバッグ100は、例えば、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の糸で形成することができる。また、エアバッグ100は、耐熱性の向上や、気密性の向上等のために、シリコン等の無機物で表面が被覆されていてもよい。
【0016】
保持部材15は、乗員側の面(上面)に、エアバッグ100の膨張展開を許容するスリット(開口部)15bが設けられた布製ハウジングである。
図2に示したように複数のスリット15bが断続的に形成されたものが好適に用いられる。スリット15b間の連結部は、膨張展開するエアバッグ100によって破断する。
【0017】
保持部材15の下面には、インフレータ11の取付け孔が設けられている。インフレータ11の取付け孔には、インフレータ11のガス噴出孔が設けられた部分が挿入される。エアバッグ100の下面の内側には、インフレータ11の取付け孔が設けられた金属製の挟込プレート(
図3(a)等参照)が配置されている。挟込プレートには、インフレータ11の取付け孔の周囲に、下方に向けて突出した4本のボルト17が立設されている。エアバッグ100、保持部材15、金属ハウジング31、インフレータ11のフランジ部11aを、ボルト17が貫通しナットによって締結されることでそれぞれが固定される。
【0018】
金属ハウジング31は、側壁に設けられた複数のフック32によって、インストルメントパネル3内に突出した周壁5に取り付けられる。また、金属ハウジング31は、下面から突出した取付部33によって、車体に取り付けられる。
【0019】
実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置10の他の構成要素については、従来公知の助手席用エアバッグ構造を適用することができる。
【0020】
次に、実施形態1に係るエアバッグ100についてより詳細に説明する。
図3は、実施形態1に係るエアバッグ100の折り畳み前の状態を示した図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図であり、(c)は、側面図である。図中に示されたFは、エアバッグ100を車両に取り付けた状態において車両前方に位置する側を示し、図中に示されたRは、エアバッグ100を車両に取り付けた状態において車両後方に位置する側を表している。本明細書では、エアバッグ100に関する説明を行う際に、車両に取り付けた状態を基準とし、例えば、車両前方側Fと車両後方側Rを結ぶ線に沿った方向を「車両前後方向」といい、車両前方側Fと車両後方側Rを結ぶ線と直交する方向を「車両幅方向」という。
【0021】
図3(a)に示したように、エアバッグ100は、車両幅方向よりも車両前後方向に長い形状を有する。本明細書では、車両幅方向におけるエアバッグ100の側方部分を「側域」という。また、エアバッグ100は、車両前方側Fよりも車両後方側Rの方が車両幅方向に大きい形状を有する。更に、エアバッグ100は、膨張展開時に乗員と対向する第一の基布100aと、第一の基布100aの両側部に接合された第二の基布100bとで形成された袋状体である。エアバッグ100の内部には挟込プレート16が配置され、4本のボルト17が第二の基布100bを貫通してエアバッグ100外に突出している。
【0022】
エアバッグ100には、エアバッグ100内のガスを排出するためのベントホール13が設けられてもよい。膨張展開したエアバッグ100が、前方に移動する乗員を受け止めて押し潰されることにより内圧が上昇し過ぎると、エアバッグ100が硬くなり過ぎる。このような場合、乗員に危害が加わるおそれがあるので、ベントホール13からガスを適度に排出することで、エアバッグ100の吸収特性を制御することができる。エアバッグ100に設けられるベントホール13の配置は特に限定されない。また、ベントホール13の数及び大きさも所望の吸収特性に応じて適宜選択することができる。
【0023】
以下、
図4~17を参照して、実施形態1に係るエアバッグ100の折り畳み方について説明する。
図4、6、8、10、12、14及び16はそれぞれ、実施形態1に係るエアバッグ100の折り畳みステップ(1)~(7)を示した側面図である。
図5、7、9、11、13、15及び17はそれぞれ、折り畳みステップ(1)~(7)後のエアバッグを示した図である。
図5、7、9及び11において、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)中のA1-A2線に沿った断面図であり、(c)は、(a)中のB1-B2線に沿った断面図である。
図13及び15において、(a)は、平面図であり、(b)は、側面図である。
図17において、(a)は、平面図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、上面図である。
【0024】
まず、折り畳みステップ(1)及び(2)により、エアバッグ100の車両中央側(車両設備側)の側域である第一の側域101を、エアバッグ100の車両幅方向を短縮するように蛇腹折りする(側域折り畳みの第一段階)。具体的には、折り畳みステップ(1)において、
図4に示したように第一の側域101を1回折り返し、
図5に示した状態とする。次に、折り畳みステップ(2)において、
図6に示したように折り畳みステップ(1)とは逆方向に第一の側域101を1回折り返し、
図7に示した状態とする。本実施形態では、第一の側域101は、2回の折り返しによって蛇腹折り状態とされ、第一の側域101の先端部101aは、エアバッグ100の外方に向かって配置される。
【0025】
折り畳み前のエアバッグ100は、車両前方側Fよりも車両後方側Rの方が車両幅方向に大きい形状であるが、第一の側域101の折り畳みの際には、車両前方側Fと車両後方側Rの幅を揃える。これにより、車両前方側部分の積層部104と車両後方側部分の積層部103とは異なる断面を有することとなる。具体的には、第一の側域101は車両前方側部分の方が狭くなっているため、車両前方側部分において、重なった基布の片側を積層部104の幅方向にずらして折り畳むことで、車両前方側Fと車両後方側Rの幅を揃えて折り畳むことができる。B1-B2線に沿った積層部104の断面(
図5(c)、
図7(c))は、A1-A2線に沿った積層部103の断面(
図5(b)、
図7(b))と比べて、蛇腹折りの折り部105における基布間の間隔が大きいため、ガスが折り部105を超えて先端部101a側へ流れやすい。これにより、エアバッグ100の膨張展開時には、車両後方側よりも車両前方側の方へガスが入りやすくなる。
【0026】
次に、折り畳みステップ(3)において、第一の側域101をエアバッグ100の車両幅方向を更に短縮するように折り畳む(側域折り畳みの第二段階)。具体的には、
図8に示したように、蛇腹折りされた第一の側域101の先端部101aとは反対側に位置する蛇腹折りの折り部105を、先端部101aが挟み込まれるように先端部101a側へ折り返し、
図9に示した状態とする。折り畳みステップ(3)により、車両後方側部分の積層部103を折り返すと、第1折部111が形成され、車両前方側部分の積層部104を折り返すと、第3折部131が形成される。第1折部111と第3折部131とは、断面形状の違いによって区分されたものであり、互いに連続した部分である。上述したように、エアバッグ100の膨張展開時には、車両後方側よりも車両前方側にガスが入りやすいことから、車両前方側の第3折部131は、車両後方側の第1折部111よりも解けやすい。すなわち、エアバッグ100の膨張展開時には、車両前方側の第3折部131は、車両後方側の第1折部111よりも膨張しやすい。
【0027】
更に、折り畳みステップ(4)において、エアバッグ100の車両外方側の側域である第二の側域102について、
図10に示した折り畳み等を行って、
図11に示した状態とする。
図11に示した状態では、第一の側域101と第二の側域102とが同じ折り畳み形状とされ、第二の側域102側に、第1折部112及び第3折部132が設けられる。以上のように、第一の側域101と第二の側域102が折り畳まれ、第1折部111及び112と第3折部131及び132とが形成されることにより、エアバッグ100は、車両幅方向に短く車両前後方向に長い細長形状になる。
【0028】
続いて、折り畳みステップ(5)~(7)において、エアバッグ100の車両前後方向を短縮するように折り畳む。具体的には、折り畳みステップ(5)において、
図12に示したように、第一の側域101及び第二の側域102を折り畳んで車両幅方向を短縮したエアバッグ100における車両後方側部分である第1折部111及び112を、インフレータ11側に向かって折り返して重ね、
図13に示した状態とする。次に、折り畳みステップ(6)において、
図14に示したように、第1折部111及び112を先端からロール状に巻き取り、
図15に示したロール折部121を形成する。続いて、折り畳みステップ(7)において、
図16に示したように、第一の側域101及び第二の側域102を折り畳んで車両幅方向を短縮したエアバッグ100における車両前方側部分である第3折部131及び132を、ロール折部121の周囲を覆うように折り曲げ、更に、
図17に示したように、第3折部131及び132の先端を蛇腹折りし、リッド側先端折部122を形成する。なお、第1折部111及び112の車両前後方向を短縮するようにインフレータ11側に向かって折り畳まれた部分(ロール折部121)と、第3折部131及び132の車両前後方向を短縮するようにインフレータ11側に向かって折り畳まれた部分(ロール折部121の周囲を覆う部分及びリッド側先端折部122)とを合わせて、第2折部120という。以上の折り畳み手順により、
図17に示した折り畳み形状のエアバッグ100が得られ、エアバッグ100の折り畳みが完了する。折り畳みが完了したエアバッグ100は、保持部材15内に収納される。
【0029】
本実施形態のエアバッグ100は、複雑な形状を有することなく、エアバッグ100の折り畳み方を利用することによって、エアバッグ100の初期膨張展開における膨張形状及び展開方向を制御できる。
図18は、実施形態1に係るエアバッグ100の第1折部111及び112の膨張展開時の挙動を示した図である。
図18(a)は、膨張展開前の初期状態を示し、
図18(b)、(c)、(d)の順に膨張展開が進行する。
図18(b)~(d)に示したように、エアバッグ100の第1折部111及び112では、インフレータ11の取付け孔が位置する中央に近い側から順に膨張するが、蛇腹折りされた第一の側域101及び第二の側域102の各先端部101aは、先に膨張した周囲の部分に挟まれることでガスの流入が抑制される。その結果、各先端部101aの膨張が遅くなり、エアバッグ100の車両幅方向への膨張のタイミングを遅らせることができる。一方、第1折部111及び112よりも車両前方側に位置する第3折部131及び132は、第1折部111及び112よりも解けやすい折り畳みであることから、第1折部111及び112よりも膨張のタイミングが全体的に早くなる。
【0030】
次に、
図19~22を用いて、車両に取り付けられた実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置10について、エアバッグ100の膨張展開の仕方を説明する。
図19は、助手席用エアバッグ装置の初期状態を示し、
図20は、エアバッグ展開初期の状態を示し、
図21は、エアバッグ展開中期の状態を示し、
図22は、フル展開時の状態(エアバッグ展開後期の状態)を示している。また、
図19~22の(a)は、車室側から見たときの図であり、
図19~22の(b)は、車両幅方向から見たときの断面図である。なお、図中に示された矢印OUTは、車両外方を示し、矢印UPは、車両上方を示し、矢印FRは、車両前方を示している。
【0031】
まず、エアバッグ100が膨張展開する前の初期状態では、
図19に示すように、車両装備200とインストルメントパネル3に設けられたリッド4とが間隔を空けて配置されており、車室から見えないリッド4の裏側には、エアバッグ100が収納されている。エアバッグ100は、リッド4側(車両後方側)に、蛇腹折りされたリッド側先端折部122が位置し、インフレータ11側(車両前方側)に、ロール折部121が位置する。
【0032】
車両2が衝突したことを検知し助手席用エアバッグ装置10が作動すると、エアバッグ100は、インフレータ11が発生したガスにより急激に膨張する。まず、初期状態のエアバッグ100内にガスが入り少し膨張すると、リッド側先端折部122が車室側に押され、保持部材15及びリッド4のティアライン(薄肉部)を割り、リッド4の展開ドアを押し開く。これにより、エアバッグ100は、
図20に示したように、車室内に飛び出し、更に膨張することが可能になる。エアバッグ100が膨張展開し始めるエアバッグ展開初期においては、ガスが入りやすい部分から順に膨張する。すなわち、インフレータ11の近傍に位置する車両中央側部分や、折り畳みが解けやすい車両前方側部分が先に膨張し、ロール折部121についても、インフレータ11に近い側から順にロール折りが解ける。車両前方側部分の膨張により第3折部131及び132の折り畳みが解けると、車両前方側では、エアバッグ100の第一の側域101及び第二の側域102が車両幅方向に展開する。
【0033】
次に、
図21に示すように、ロール折部121にガスが更に流入することによって、インフレータ11から遠い側でもロール折りが解け、エアバッグ100は、車両後方側(乗員側)に向かって展開する。また、ロール折部121のロール折りが解けるのに伴い、第1折部111及び112の折り畳みが解け始める。これにより、車両前方側から車両後方側へ順に、エアバッグ100の第一の側域101及び第二の側域102が車両幅方向に展開する。このように、エアバッグ100が車両後方側(乗員側)に向かって展開する時点で、車両幅方向への展開が車両後方側で抑制されているので、助手席用エアバッグ装置10の収納位置に対して車両後方側に位置する車両装備200との接触は回避される。
【0034】
そして、ロール折部121のロール折りが解けた後、第1折部111及び112と第3折部131及び132の折り畳みがすべて解けることにより、エアバッグ100は、
図22に示したフル展開時の状態となる。フル展開時のエアバッグ100の第一の側域101及び第二の側域102は、車両装備200よりも車両後方側に位置しており、フル展開状態のエアバッグ100についても、車両装備200との接触は回避されている。
【0035】
以上のように、本実施形態では、エアバッグ100の第一の側域101及び第二の側域102を蛇腹折りし、その蛇腹折り部分のうち、先端部101aが内側になるように先端部101aとは反対側に位置する蛇腹折りの折り部105を先端部101a側へ折り返している。これにより、第1折部111及び112は、第一の側域101及び第二の側域102のうちエアバッグ100の中央寄りの部分(インフレータ11に近い部分)が先端部101aの周りに配置された折り畳みとなる。そして、第1折部111及び112は、第2折部120を形成するように更に折り畳まれている。このような方法で折り畳まれたエアバッグ100は、インフレータ11からガスが発生しエアバッグ100に流入すると、次のように膨張展開する。まず、エアバッグ100の膨張初期には、第2折部120が解け始める。続いて、第2折部120が解けることで、第1折部111及び112のうちエアバッグ100の中央寄りの部分にガスが流入し始める。そして、先端部101aの周りに配置されているエアバッグ100の中央寄りの部分が膨張することで、先端部101aは挟まれてガスの流入が抑制され、先端部101aの膨張は遅くなる。その結果、エアバッグ100は車両幅方向の膨張が抑制された状態で乗員に向かって膨張展開し、エアバッグ100の中央寄りの部分の膨張が進むと先端部101aにもガスが流入し、遅れて車両幅方向の膨張が許容されることになる。したがって、エアコンの吹き出し口やモニター等の車両装備200が助手席エアバッグ装置10の収納位置に近接して配置されている場合においても、膨張展開するエアバッグ100が車両装備200を超えるまでは車両幅方向の膨張が抑制されている状態にすることができ、車両装備200を超えた位置で車両幅方向への膨張し乗員を適切に保護することができる。
【0036】
また、本実施形態のエアバッグ100の折り畳み方法では、蛇腹折りを更に折り返すため、折り畳み後の収納状態のエアバッグ100のサイズを小さくすることができ、車両装備200との間隔を従来に比べて広げやすくなり、さらに保持部材15のサイズも小さくすることができる。更に、本実施形態のエアバッグ100の折り畳み方法では、第一の側域101及び第二の側域102が線対称の関係となるように折り畳まれることから、エアバッグ100の膨張展開時の挙動を安定させることができる。なお、本実施形態では、エアバッグ100の折り畳み方のみによって、エアバッグ100の初期膨張展開方向を制御するため、エアバッグ100の形状を複雑な形状にしなくてもよいという利点もある。
【0037】
また、本実施形態では、エアバッグ100の第一の側域101及び第二の側域102の先端部101aが折り畳まれたエアバッグ100の外方に向かって配置されるように、蛇腹折りされた第一の側域101及び第二の側域102の先端部101aとは反対側に位置する蛇腹折りの折り部105が外方へ向かって折り返されている。これにより、先端部101aは膨張時に外方へ向かって膨張展開するので、膨張したエアバッグ100の中央寄りの部分によって先端部101aが挟まれていても、スムーズに膨張展開することができる。
【0038】
また、本実施形態では、第1折部111及び112よりも車両前方側部分に位置する第3折部131及び132が、第1折部111及び112に比べ解けやすい折り畳みであることから、第3折部131及び132が膨張展開することでエアバッグ100の膨張位置が定まる。そのため、第1折部111及び112の膨張展開時にエアバッグ100の揺動が抑制され、第1折部111及び112の展開方向のばらつきが抑制される。その結果、エアコンの吹き出し口やモニター等の車両装備200が助手席エアバッグ装置10の収納位置に近接して配置されている場合においても、車両装備200にぶつかることなく安定して膨張展開することができる。
【0039】
また、本実施形態では、エアバッグ100が車両前方側よりも車両後方側の方が車両幅方向に大きい形状であることから、エアバッグ100を折り畳む際に、第1折部111及び112を形成すると同時に、第3折部131及び132を形成することができる。したがって、第3折部131及び132を有するエアバッグ100を簡単な工程で製造することができ、生産性においても優れている。
【0040】
なお、本実施形態では、第2折部120として、エアバッグ100の車両後方側部分をロール折りしたロール折部121を含むものを示したが、本発明において、第2折部120は、第1折部111及び112の車両前後方向を短縮するようにインフレータ11側に向かって折り畳まれた部分であればよく、例えば、ロール折部121の代わりに、エアバッグ100の車両後方側部分を蛇腹折りした部分を設けてもよい。蛇腹折りにすれば、ロール折りの場合よりも早く展開させることができる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2に係る助手席用エアバッグ装置は、エアバッグの折り畳み方法が、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置とは異なる。すなわち、実施形態2における側域折り畳みの第一段階では、蛇腹折りではなく、1回の折り畳みのみが行われる。また、実施形態2における側域折り畳みの第二段階では、エアバッグの内側へ向かって折り返す。
【0042】
図23を用いて、実施形態2におけるエアバッグ100の折り畳み方法について具体的に説明する。まず、
図23(a)に示したように、側域折り畳みの第一段階として、エアバッグ100の車両幅方向を短縮するようにエアバッグ100の第一の側域を1回折り畳み、折り畳み部分161を設ける。次に、
図23(b)に示したように、側域折り畳みの第二段階として、エアバッグ100の車両幅方向を更に短縮するように、1回折り畳まれた第一の側域の先端部101aとは反対側に位置する折り部105を、先端部101aが挟み込まれるように先端部101a側(内側)へ折り返す。これにより、エアバッグ100の第一の側域は、
図23(c)に示す第1折部162となる。第1折部162では、折り返された折り畳み部分161の内側に側域の先端部101aが配置される。更に、エアバッグ100の第二の側域についても、第一の側域と同じ形状となるように折り畳まれ、
図23(d)に示す第1折部163となる。以降の折り畳みは、
図12~16に示した実施形態1の方法と同様にして行われ、
図17に示した折り畳み形状のエアバッグ100が得られることで、エアバッグ100の折り畳みが完了する。
【0043】
実施形態2に係る助手席用エアバッグ装置によっても、エアバッグ100の初期膨張展開における膨張形状及び展開方向を制御することができる。よって、車両装備200が助手席エアバッグ装置の収納位置に近接して配置されている場合においても、膨張展開するエアバッグ100が車両装備200を超えるまでは車両幅方向の膨張が抑制されている状態にすることができ、車両装備200を超えた位置で車両幅方向への膨張し乗員を適切に保護することができる。
【0044】
(実施形態3)
実施形態3に係る助手席用エアバッグ装置は、エアバッグの折り畳み方法が、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置とは異なる。すなわち、実施形態3における側域折り畳みの第一段階では、エアバッグの第一の側域及び第二の側域の先端部をエアバッグの内側に位置させ、側域折り畳みの第二段階では、エアバッグの内側へ向かって折り返す。
【0045】
図24を用いて、実施形態3におけるエアバッグ100の折り畳み方法について具体的に説明する。まず、
図24(a)に示したように、側域折り畳みの第一段階として、エアバッグ100の車両幅方向を短縮するようにエアバッグ100の第一の側域を蛇腹折り(3回の折り返し)し、第一の側域の先端部101aがエアバッグ100の内側に位置した積層部171を設ける。次に、
図24(b)に示したように、側域折り畳みの第二段階として、エアバッグ100の車両幅方向を更に短縮するように、蛇腹折りされた第一の側域の先端部101aとは反対側に位置する蛇腹折りの折り部105を、先端部101aが挟み込まれるように先端部101a側(内側)へ折り返す。これにより、エアバッグ100の第一の側域は、
図24(c)に示す第1折部172となる。第1折部172では、折り返された積層部171の内側に側域の先端部101aが配置される。更に、エアバッグ100の第二の側域についても、第一の側域と同じ形状となるように折り畳まれ、
図24(d)に示す第1折部173となる。以降の折り畳みは、
図12~16に示した実施形態1の方法と同様にして行われ、
図17に示した折り畳み形状のエアバッグ100が得られることで、エアバッグ100の折り畳みが完了する。
【0046】
実施形態3に係る助手席用エアバッグ装置によっても、エアバッグ100の初期膨張展開における膨張形状及び展開方向を制御することができる。よって、車両装備200が助手席エアバッグ装置の収納位置に近接して配置されている場合においても、膨張展開するエアバッグ100が車両装備200を超えるまでは車両幅方向の膨張が抑制されている状態にすることができ、車両装備200を超えた位置で車両幅方向への膨張し乗員を適切に保護することができる。
【0047】
(実施形態4)
実施形態4に係る助手席用エアバッグ装置は、エアバッグの折り畳み方法が、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置とは異なる。すなわち、実施形態4における側域折り畳みの第一段階では、エアバッグの第一の側域及び第二の側域の先端部をエアバッグの内側に位置させる。
【0048】
図25を用いて、実施形態4におけるエアバッグ100の折り畳み方法について具体的に説明する。まず、
図25(a)に示したように、側域折り畳みの第一段階として、エアバッグ100の車両幅方向を短縮するようにエアバッグ100の第一の側域を蛇腹折り(3回の折り返し)し、第一の側域の先端部101aがエアバッグ100の内側に位置した積層部181を設ける。次に、
図25(b)に示したように、側域折り畳みの第二段階として、エアバッグ100の車両幅方向を更に短縮するように、蛇腹折りされた第一の側域の先端部101aとは反対側に位置する蛇腹折りの折り部105を、先端部101aが挟み込まれるように先端部101a側(外側)へ折り返す。これにより、エアバッグ100の第一の側域は、
図25(c)に示す第1折部182となる。第1折部182では、折り返された積層部181の内側に側域の先端部101aが配置される。更に、エアバッグ100の第二の側域についても、第一の側域と同じ形状となるように折り畳まれ、
図25(d)に示す第1折部183となる。以降の折り畳みは、
図12~16に示した実施形態1の方法と同様にして行われ、
図17に示した折り畳み形状のエアバッグ100が得られることで、エアバッグ100の折り畳みが完了する。
【0049】
実施形態4に係る助手席用エアバッグ装置によっても、エアバッグ100の初期膨張展開における膨張形状及び展開方向を制御することができる。よって、車両装備200が助手席エアバッグ装置の収納位置に近接して配置されている場合においても、膨張展開するエアバッグ100が車両装備200を超えるまでは車両幅方向の膨張が抑制されている状態にすることができ、車両装備200を超えた位置で車両幅方向への膨張し乗員を適切に保護することができる。
【0050】
(実施形態5)
実施形態5に係る助手席用エアバッグ装置は、エアバッグ100の折り畳み方法が、実施形態1に係る助手席用エアバッグ装置とは異なる。すなわち、実施形態5における側域折り畳みの第二段階では、エアバッグの内側へ向かって折り返す。
【0051】
図26を用いて、実施形態5におけるエアバッグ100の折り畳み方法について具体的に説明する。まず、
図26(a)に示したように、側域折り畳みの第一段階として、エアバッグ100の車両幅方向を短縮するようにエアバッグ100の第一の側域を蛇腹折り(2回の折り返し)し、第一の側域の先端部101aがエアバッグ100の外側に位置した積層部191を設ける。次に、
図26(b)に示したように、側域折り畳みの第二段階として、エアバッグ100の車両幅方向を更に短縮するように、蛇腹折りされた第一の側域の先端部101a側に位置する蛇腹折りの折り部105を、先端部101aが挟み込まれるように先端部101aとは反対側(内側)へ折り返す。これにより、エアバッグ100の第一の側域は、
図26(c)に示す第1折部192となる。第1折部192では、折り返された積層部191の内側に側域の先端部101aが配置される。更に、エアバッグ100の第二の側域についても、第一の側域と同じ形状となるように折り畳まれ、
図26(d)に示す第1折部193となる。以降の折り畳みは、
図12~16に示した実施形態1の方法と同様にして行われ、
図17に示した折り畳み形状のエアバッグ100が得られることで、エアバッグ100の折り畳みが完了する。
【0052】
実施形態5に係る助手席用エアバッグ装置によっても、エアバッグ100の初期膨張展開における膨張形状及び展開方向を制御することができる。よって、車両装備200が助手席エアバッグ装置の収納位置に近接して配置されている場合においても、膨張展開するエアバッグ100が車両装備200を超えるまでは車両幅方向の膨張が抑制されている状態にすることができ、車両装備200を超えた位置で車両幅方向への膨張し乗員を適切に保護することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に記載された内容に限定されるものではない。各実施形態に記載された構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜削除されてもよいし、追加されてもよいし、変更されてもよいし、組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0054】
2:車両
3:インストルメントパネル
4:リッド
5:周壁
10:助手席用エアバッグ装置
11:インフレータ
11a:フランジ部
13:ベントホール
15:保持部材
15b:スリット(開口部)
16:挟込プレート
17:ボルト
31:金属ハウジング
32:フック
33:取付部
100、210:エアバッグ
100a:第一の基布
100b:第二の基布
101:第一の側域
101a:先端部
102:第二の側域
103、104、171、181、191:積層部
105:折り部
111、112、162、163、172、173、182、183、192、193:第1折部
120:第2折部
121:ロール折部
122:リッド側先端折部
131、132:第3折部
161:折り畳み部分
200:車両装備