(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】気流管理が強化されたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20220124BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220124BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220124BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20220124BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A24F47/00
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/485
A61M15/06 A
(21)【出願番号】P 2017567157
(86)(22)【出願日】2016-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2016067703
(87)【国際公開番号】W WO2017025311
(87)【国際公開日】2017-02-16
【審査請求日】2019-07-19
(32)【優先日】2015-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】トーレンス ミシェル
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-519903(JP,A)
【文献】特表2015-500025(JP,A)
【文献】国際公開第2015/101479(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192623(US,A1)
【文献】中国実用新案第203986096(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/42
A24F 40/46
A24F 40/485
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル形成基体および毛細管媒体(22)を保持するハウジングを備えた液体貯蔵部分であって、前記ハウジングが開口部を持つものと、
実質的に非平面の空気衝突表面を画定するように配置された導電性フィラメントの
フィラメント配列(30)を含む流体透過性ヒーター組立品であって、前記流体透過性ヒーター組立品が前記ハウジングの前記開口部を横切って延びるものとを備え、
前記毛細管媒体(22)が前記ヒーター組立品と接触して提供され、
前記液体エアロゾル形成基体が前記毛細管媒体(22)を経由して前
記フィラメント配列(30)に引き込まれ、
気流(42)が前記毛細管媒体(22)を通過できるように、前記毛細管媒体(22)が毛細管媒体の開口部(28)を備え、
前記導電性フィラメントはメッシュを形成する、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記フィラメント配列(30)が、前記空気衝突表面を通過する気流(42)を許容するフィラメント開口部(32)を画定し、前記毛細管媒体の開口部(28)が前記毛細管媒体(22)を通して前記フィラメント開口部(32)に延びる、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記フィラメント開口部(32)の位置が前記毛細管媒体の開口部(28)の位置と実質的に一致する、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記
流体透過性ヒーター組立品が、前記フィラメント開口部(32)に対して前記フィラメント配列(30)の内部境界線に位置する第一の導電性接点部分(34)と、前記フィラメント配列(30)の外部境界線に位置する第二の導電性接点部分(36)とを備え、前記第一の導電性接点部分(34)が、前記毛細管媒体の開口部(28)を通して案内される、請求項2
又は3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記フィラメント配列(30)が1つ以上の寸法に沿って湾曲する、請求項1~
4のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記フィラメント配列(30)が漏斗形状である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記毛細管媒体(22)が円筒形状であり、また前記毛細管媒体の開口部(28)が中央の開口部である、請求項1~
6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記エアロゾル発生システムが、前記流体透過性ヒーター組立
品で気化され
た液体が前記毛細管媒体の開口部(28)を通した気流(42)によって運ばれるように構成され、また前記毛細管媒体の開口部(28)を通して前記気流(42)を案内することが前記気流(42)の加速の原因となる、請求項1~
7のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記フィラメント配列(30)の位置および形状が、前記フィラメント配列(30)の前記空気衝突表面に案内される気流(40)が前記空気衝突表面の周りで渦巻くような寸法および配置である、請求項1~
8のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記システムが、主要ユニット(10)と、前記主要ユニット(10)に取り外し可能に結合されるカートリッジ(20)とを含み、前記液体貯蔵部分およびヒーター組立品が、前記カートリッジ(20)内に提供され、前記主要ユニット(10)が電源(14)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記システムが電気的に作動する喫煙システムである、請求項1~10のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法であって、
開口部を持つハウジングを備える液体貯蔵部分を提供する工程と、
前記液体貯蔵部分内に
毛細管媒体(22)を提供する工程と、
前記液体貯蔵部分を液体エアロゾル形成基体で充填する工程と、
実質的に非平面の空気衝突表面を画定するように配置された導電性フィラメントの配列(30)を含む流体透過性ヒーター組立品を提供する工程であって、前記流体透過性ヒーター組立品が前記ハウジングの前記開口部を横切って延びる工程とを含み、
前記毛細管媒体(22)が前記ヒーター組立品と接触して提供され、
気流(42)が前記毛細管媒体(22)を通過できるように、前記毛細管媒体(22)が毛細管媒体の開口部(28)を備え、
前記導電性フィラメントはメッシュを形成する、方法。
【請求項13】
前記流体透過性ヒーター組立品が、初めは平坦だが変形されて非平面の空気衝突表面を画定するフィラメント配列(30)から形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流体透過性ヒーター組立品を前記液体貯蔵部分の前記ハウジングにヒートシール、接着または溶接することによって、前記ヒーター組立品が前記液体貯蔵部分の前記ハウジングに固定される、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛細管媒体から浸み込ませた液体を気化するのに適したヒーター組立品を含むエアロゾル発生システムに関連する。特に、本発明は、電気的に作動する喫煙システムなどの、手持ち式のエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、エアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。エアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。気化器は、一般に、液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に動作する気化器だけでなく、ユーザーが使用時にエアロゾルを自分の口の中へと引き出すために吸うマウスピースも含む。
【0003】
本発明は、改良されたエアロゾル化およびより優れたエアロゾル液滴の成長を提供し、特にヒーター組立品の中央部分でのホットスポットの発生を回避するエアロゾル発生システムを対象とする。
【0004】
ヒーター組立品表面上での気流を改善して蒸発した蒸気の混合を促進するエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【0005】
ヒーター組立品からマウスピースに向けた気流を加速し、それによって蒸発した蒸気のより急速な冷却によってエアロゾル化をさらに改善するエアロゾル発生システムを提供することがさらに望ましい。一部の実施形態では、混合の促進および気流の加速は、乱流および渦の導入によって達成される。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、液体エアロゾル形成基体および毛細管材料を保持するハウジングを備えた液体貯蔵部分を含むエアロゾル発生システムが提供されている。ハウジングは開口部を持つ。流体透過性ヒーター組立品は、非平面の空気衝突表面を画定するよう配置された導電性フィラメントの配列を含み、ここで、流体透過性ヒーター組立品は、ヒーター組立品がハウジングの開口部を横切って延びるように、ハウジングの開口部と整列される。毛細管媒体は、毛細管媒体がヒーター組立品と直接接触するような方法で液体貯蔵部分内に提供される。液体エアロゾル形成基体は毛細管媒体を経由して導電性フィラメントの配列に引き込まれる。毛細管媒体は、気流が毛細管媒体を通過できるようにするための開口部を画定する。
【0007】
本発明はまた、開口部を有するハウジングを含む液体貯蔵部分を提供する工程と、液体貯蔵部分内に毛細管材料を提供する工程と、液体貯蔵部分を液体エアロゾル形成基体で充填する工程と、実質的に非平面の空気衝突表面を画定するように配置された導電性フィラメントの配列を含む流体透過性ヒーター組立品を提供する工程とを含み、ここで、流体透過性ヒーター組立品がハウジングの開口部を横切って延び、また毛細管媒体がヒーター組立品と接触して提供され、また気流が毛細管媒体を通過できるように、毛細管媒体が毛細管媒体の開口部を備える、電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法を対象とする。
【0008】
液体貯蔵部分の開口部を横切って延びるヒーター組立品を提供することで、比較的製造が単純で丈夫な構造が許容される。この配置により、ヒーター組立品と液体エアロゾル形成基体との間の大きな接触面積が許容される。ハウジングは、剛直なハウジングとしうる。本明細書で使用される場合、「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。液体貯蔵部分の剛直なハウジングは、ヒーター組立品に対する機械的な支持を提供することが好ましい。
【0009】
ヒーター組立品は、単純な製造が許容される実質的に平面な構成から形成されうる。本明細書で使用される場合、「実質的に平面な」とは、初めに単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状またはその他の非平面形状に巻かれたりまたはその形状に適合されたりしていないことを意味する。幾何学的には、「実質的に平坦な」導電性のフィラメント配列という用語は、実質的に二次元の位相幾何学的な輪郭またはプロファイルの形態である導電性フィラメント配列を意味するために使用される。従って、実質的に平坦な導電性のフィラメント配列は、実質的に第三の寸法よりも大きい表面に沿って二次元的に延びる。特に、その表面内での二次元的な実質的に平坦なフィラメント配列の寸法は、表面に対して垂直の第三の寸法よりも少なくとも5倍大きい。実質的に平坦なフィラメント配列の例は、2つの実質的に架空の平行な表面間の構造であって、ここでこれらの2つの架空表面間の距離は、実質的にその表面内の延長部分よりも小さい。
【0010】
初めに実質的に平坦なフィラメント配列は、変形、形成またはその他の方法で修正されて、非平面の空気衝突表面を画定するフィラメントの配列を画定する。一実施形態では、初めに実質的に平坦なフィラメント配列は、1つ以上の寸法に沿って湾曲するように、例えば、凸面または「ドーム」形状、凹面の形状、ブリッジ形状、またはサイクロンまたは「漏斗」形状に形成されるように形成される。一実施形態では、フィラメント配列は、フィラメント配列に到達し衝突する気流に面する凹面の表面を画定する。フィラメント配列の非平面の形状は、フィラメント配列に到達する気流への乱流および渦の発生の原因となる。フィラメント配列の位置および形状は、フィラメント配列の空気衝突表面に案内される気流が空気衝突表面の周りで渦巻くように配置される。
【0011】
「フィラメント」という用語は、本明細書全体を通して、2つの電気接点間に配置された電気的な経路を意味するために使用される。フィラメントは、任意にいくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から1つの経路に合流させてもよい。フィラメントは、丸型、正方形、平型、またはその他の任意の断面形態を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式または曲がった様式で配置されてもよい。
【0012】
「フィラメント配列」または「フィラメントの配列」という用語は、複数のフィラメントの配列を意味するものとして、本明細書全体を通して互換的に使用される。フィラメント配列は、例えば相互に並列に配列された、フィラメントのアレイであってもよい。フィラメントはメッシュを形成してもよい。メッシュは、織物または不織布としうる。本明細書全体を通して、空気流と接触するフィラメント配列の表面は、フィラメント配列の「空気衝突表面」とも呼ばれる。
【0013】
導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定でき、隙間の幅は10マイクロメートル~100マイクロメートルとしうる。フィラメントは、使用時に気化されることになる液体が隙間内に引き出されてヒーター組立品と液体の間の接触面積が増えるように、隙間内に毛細管作用を引き起こさせることが好ましい。
【0014】
フィラメント配列を通した流体の通過を許容するための複数の隙間を持つフィラメント配列を提供することにより、フィラメント配列は流体透過性である。これは、エアロゾル形成基体(気相であるが、液相である可能性もある)が、フィラメント配列、従ってヒーター組立品を簡単に通過できることを意味する。
【0015】
フィラメント配列は、空気衝突表面の周囲の気流をカスタム化するために構成される。これは、蒸発した蒸気の混合を促進する乱流および渦を発生させ、エアロゾル化の促進をもたらすことによりなされる。
【0016】
本発明の一部の実施形態では、フィラメント配列は、気流が通過できるフィラメント開口部を画定し、ここで毛細管媒体の開口部は、フィラメント開口部に延びて、毛細管媒体を通した空気ダクトを形成する。フィラメント配列、フィラメント開口部、および毛細管媒体の開口部の位置および形状は、フィラメント配列の空気衝突表面に案内される気流が空気衝突表面の周りで渦巻くような寸法および配置である。
【0017】
フィラメント配列のフィラメント開口部は、フィラメント配列のフィラメント間の隙間よりも実質的に大きい。実質的に大きいとは、フィラメント開口部が2つのフィラメント間の隙間の面積よりも少なくとも5倍大きい、または少なくとも10倍大きい、または少なくとも50倍大きい、または少なくとも100倍大きい面積を覆うことを意味する。フィラメント開口部の面積とフィラメント開口部を含むフィラメント配列の断面積との関係は、少なくとも1パーセント、または少なくとも2パーセント、または少なくとも3パーセント、または少なくとも4パーセント、または少なくとも5パーセント、または少なくとも10パーセント、または少なくとも25パーセントとしうる。
【0018】
フィラメント開口部の位置は、毛細管媒体の開口部の位置と実質的に一致しうる。フィラメント開口部の断面の形状およびサイズは、毛細管媒体の断面開口部の形状およびサイズとしうる。
【0019】
ヒーター組立品および毛細管媒体は、フィラメント配列の空気衝突表面に到達する少なくとも気流の一部が、毛細管媒体の開口部によって毛細管媒体を通して画定される空気ダクトを通して案内されるような方法で、エアロゾル発生システム内に配置されうる。空気ダクトを通る気流は、空気ダクトの吸込みによって加速され、それによって、蒸発した蒸気のより高速な冷却によりエアロゾル化が改善される。
【0020】
代わりに、ヒーター組立品および毛細管媒体は、エアロゾル発生システム内に、フィラメント配列の空気衝突表面に到達する気流が、毛細管媒体の開口部によって毛細管媒体を通して画定される空気ダクトを通して案内されるように配置されうる。
【0021】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10パーセント)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160~600個(±10パーセント))のサイズのメッシュを形成しうる。隙間の幅は75マイクロメートル~25マイクロメートルが好ましい。メッシュの合計面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開口部分の面積率は25~56%が好ましい。メッシュは異なるタイプの織物または格子の構造を使用して形成してもよい。別の方法として、導電性フィラメントは互いに平行に配置されたフィラメントのアレイで構成される。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維はまた、当業界において周知の通り、液体を保持するその能力によって特性付けられうる。
【0022】
導電性フィラメントは、10マイクロメートル~100マイクロメートルの直径を持ちうるが、8マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、8マイクロメートル~39マイクロメートルであることがより好ましい。フィラメントは、丸い断面を有してもよく、または平坦な断面を有してもよい。
【0023】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維の面積は小さくてもよく、25平方ミリメートル未満であり、手持ち式システムへの組み込みが許容されることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維は、例えば、3ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは5ミリメートルの直径の円形でもよい。メッシュは長方形であり、例えば5ミリメートル×2ミリメートルの寸法を持つものでもよい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の10パーセント~50パーセントの面積を覆うことが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、ヒーター組立品の面積の15パーセント~25パーセントの面積を覆うことがより好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維を、面積の10パーセントおよび50パーセント、または25mm2以下の大きさにすることで、導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維を加熱するのに要求される合計電力量が低減され、一方で、蒸発させることになる液体が供給された1つ以上の毛細管媒体との導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維の十分な接触が確保される。
【0024】
ヒーターフィラメントは、シート材料(箔など)のエッチングによって形成されうる。これは、ヒーター組立品が平行のフィラメントのアレイを含む時、特に有利である場合がある。ヒーター組立品がメッシュまたはフィラメントの織物を含む場合、フィラメントは個別に形成され、まとめて編まれうる。別の方法として、ヒーターフィラメントは、例えばステンレス鋼など導電性の箔からスタンピングされうる。
【0025】
ヒーター組立品のフィラメントは、適切な電気的属性を有する任意の材料から形成されうる。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは、1つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、316Lステンレス鋼、および黒鉛である。さらに、導電性フィラメント配列は、上述の材料の組み合わせを含みうる。材料の組み合わせを、実質的に平坦なフィラメント配列の抵抗の制御を改善するために使用しうる。例えば、本質的に高い抵抗の材料を、本質的に低い抵抗の材料と組み合わせてもよい。これは、材料のどれか1つが他の観点、例えば価格、機械加工性またはその他の物理的および化学的パラメータから見てより有益な場合に有用なことがある。有利なことに、抵抗を増大させた実質的に平坦なフィラメント配列により無駄な損失が低減される。有利なことに、高い抵抗のヒーターにより、より効率の高い電池エネルギーの使用が許容される。電池エネルギーは、プリント基板および接点で損失するエネルギーと、導電性フィラメント配列に供給されるエネルギーとに比例配分される。従って、ヒーター内で導電性フィラメント配列用に利用可能なエネルギーは、導電性フィラメント配列の抵抗が高くなるほど大きくなる。
【0026】
別の方法として、導電性フィラメント配列は、炭素糸の織物で形成されうる。炭素糸の織物は、高い抵抗性の金属ヒーターよりも一般にコスト効率が高いという利益を持つ。さらに、炭素糸の織物は一般に、金属メッシュよりも柔軟性が高い。別の利点は、炭素糸の織物と高放出材料などの搬送媒体との間の接触が、流体透過性ヒーター組立品の構成中に良好に保存されることである。
【0027】
流体透過性ヒーター組立品と搬送媒体(例えば、毛細管搬送媒体、繊維または多孔性のセラミック材料製の芯など)の間の信頼性のある接触により、流体透過性ヒーター組立品の一定の湿潤が向上する。この利点により、有利なことに、導電性フィラメント配列の過熱のリスクおよび液体の不注意な熱分解が低減される。
【0028】
ヒーター組立品は、フィラメントがその上に支持される電気的に絶縁された基体を備えうる。電気的に絶縁された基体は、適切な任意の材料を備えうるが、高温(摂氏300度を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料であることが好ましい。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。電気的に絶縁された基体は、その中に形成された開口部を持つことができ、導電性フィラメントは開口部を横切って延びる。ヒーター組立品は、導電性フィラメントに接続された電気接点を備えうる。例えば、電気接点は、導電性フィラメント配列に接着、溶接または機械的にクランプ留めされうる。別の方法として、導電性フィラメント配列は、例えば金属インクを使用して、電気的に絶縁された基体上に印刷されうる。こうした配列では、導電性フィラメント配列が多孔性材料の表面に直接適用されるように、電気的に絶縁された基体は多孔性材料であることが好ましい。こうした実施形態では、基体の空隙率は、それを通して液体が導電性フィラメント配列に向けて引き出されうる電気的に絶縁された基体の「開口部」として機能することが好ましい。
【0029】
フィラメント配列の導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維の電気抵抗は、0.3オーム~4オームであることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維の電気抵抗は、0.5オーム~3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維の電気抵抗は、接点部分の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これにより、フィラメント配列に電流を通過させることにより発生した熱が、確実に導電性フィラメントのメッシュまたはアレイに局在化される。システムの電源が電池である場合、フィラメント配列は全体的に低い抵抗を持つことが有利である。低抵抗では、大電流のシステムにより、フィラメント配列に高電力を供給できる。これにより、フィラメント配列は導電性フィラメントを素早く望ましい温度に加熱できる。
【0030】
第一および第二の導電性接点部分は、導電性フィラメントに直接固定されうる。接点部分は導電性フィラメントと電気的に絶縁された基体との間に位置付けられてもよい。例えば、接点部分は、絶縁基体上にメッキされた銅箔から形成されてもよい。接点部分はフィラメントと、絶縁基体が結合するよりも簡単に結合してもよい。
【0031】
フィラメント開口部を持つフィラメント配列の実施形態では、第一の導電性接点部分は、フィラメント開口部に対してフィラメント配列の内部境界線に位置しうる。第一の導電性接点部分は、毛細管媒体の開口部を通して案内されうる。第二の導電性接点部分は、フィラメント配列の外部境界線に位置しうる。
【0032】
代わりに、または加えて、第一および第二の導電性接点部分は、導電性フィラメントと一体型としうる。例えば、フィラメント配列は、導電性シートにエッチングを施して、二つの接点部分間に複数のフィラメントを提供することにより形成されうる。
【0033】
液体貯蔵部分のハウジングは毛細管媒体を含む。毛細管媒体は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料である。毛細管媒体は、ハウジング内で液体をヒーター組立品に運ぶのに有利に方向付けられる。
【0034】
毛細管媒体は繊維質または海綿状の構造を持っていてもよい。毛細管媒体は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管媒体は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は、一般的に液体をヒーターに移動するように整列していてもよい。別の方法として、毛細管媒体は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管媒体の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管媒体は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管媒体は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は、毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0035】
毛細管媒体は、導電性フィラメントと接触してもよい。毛細管媒体は、フィラメント間の隙間に延びてもよい。ヒーター組立品は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込んでもよい。毛細管媒体は、実質的に開口部の全長にわたり、導電性フィラメントと接触しうる。一つの実施形態で、導電性フィラメント配列と接触する毛細管媒体は、フィラメント状の芯としうる。
【0036】
有利なことに、ヒーター組立品および毛細管媒体は、およそ同じ面積を持つ大きさとしうる。本明細書で使用される時、「およそ」とは、ヒーター組立品を毛細管媒体よりも0~15パーセントだけ大きくしうることを意味する。ヒーター組立品の形状も、組立品および材料が実質的に重なるように、毛細管媒体の形状と同様としうる。組立品および材料のサイズおよび形状が実質的に同じである時、製造は単純化することができ、製造工程の確実性が改善される。下記に考察する通り、毛細管媒体は、エアロゾル発生を促進するために、ヒーター組立品の導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維と直接接触する毛細管媒体の1つ以上の層を含む、2つ以上の毛細管媒体を含みうる。毛細管媒体は、本明細書で説明した材料を含みうる。
【0037】
少なくとも一つの毛細管媒体は、不十分な液体が導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは繊維と接触する毛細管媒体に供給された場合に発生する「乾燥加熱」を阻止するために、最小量の液体が前記毛細管材料内に確実に存在するために十分な体積を持つものとしうる。ユーザーによる20~40回の吸煙を許容するために、最低体積の前記毛細管媒体が提供されうる。1~4秒間の吸煙中に揮発される液体の平均体積は、一般に1~4ミリグラムである。従って、液体形成基体を含む20~160mgの液体を保持する体積を持つ少なくとも一つの毛細管媒体は乾燥加熱を阻止しうる。
【0038】
ハウジングは、毛細管媒体として二つ以上の異なる材料を含みうるが、ここでフィラメント配列と接触している第一の毛細管媒体はより高い熱分解温度を持ち、第一の毛細管媒体と接触しているがフィラメント配列とは接触してない第二の毛細管媒体はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管媒体は第二の毛細管媒体がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、フィラメント配列を第二の毛細管媒体から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、気体状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管媒体は、有利なことに第一の毛細管媒体よりも大きな容積を占めてもよく、また第一の毛細管媒体よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管媒体は、第一の毛細管媒体よりも優れた芯の性能を持ってもよい。第二の毛細管媒体は、第一の毛細管媒体よりも安価でありうる。第二の毛細管媒体はポリプロピレンであってもよい。
【0039】
第一の毛細管媒体は、ヒーター組立品を第二の毛細管媒体から少なくとも1.5ミリメートルの距離だけ分離しうるが、第一の毛細管媒体を横切って十分な温度降下を提供するために、1.5ミリメートル~2ミリメートルであることが好ましい。
【0040】
毛細管媒体の開口部のサイズおよび位置は、エアロゾル発生システムの気流の特性に、またはヒーター組立品の温度プロフィールに、または両方に基づき選択されうる。毛細管媒体の開口部の位置および形状は、フィラメント配列の空気衝突表面に案内される気流が空気衝突表面の周りで渦巻くように配置される。一部の実施形態では、毛細管媒体の開口部は、毛細管媒体の断面の中心に向けて位置付けられうる。毛細管媒体の開口部は、毛細管媒体の断面の中心に位置付けられることが好ましい。毛細管媒体は円筒の形状であることが好ましい。毛細管媒体の開口部を通した空気ダクトは円筒の形状であることが好ましい。
【0041】
「毛細管媒体の断面の中心に向けて」という用語は、毛細管媒体の周辺から離れ、かつ毛細管媒体の断面の合計面積より小さな面積を持つ、毛細管媒体の断面の中央部分を意味する。例えば、中央部分は、毛細管媒体の断面の合計面積の約80パーセントより小さい、約60パーセントより小さい、約40パーセントより小さい、または約20パーセントより小さい面積を持ちうる。
【0042】
フィラメント開口部を備えた実施形態では、フィラメント開口部は、フィラメント配列の中央部分に位置付けられうるが、ここでフィラメント開口部は毛細管媒体の開口部によって延び、毛細管媒体を通して空気ダクトを形成する。この場合、より多量のエアロゾルがフィラメント配列の中心のフィラメント配列を通過する。これは、フィラメント配列の中心が最も重要な気化領域であるエアロゾル発生システムにおいて、例えば、ヒーター組立品の温度がフィラメント配列の中心でより高いエアロゾル発生システムにおいて有利である。フィラメント配列、フィラメント開口部、および毛細管媒体の開口部の位置および形状は、フィラメント配列の空気衝突表面に案内される気流が空気衝突表面の周りで渦巻くような配置である。
【0043】
本明細書で使用されるフィラメント配列の「中央部分」という用語は、フィラメント配列の周辺から離れ、かつフィラメント配列の合計面積よりも小さい面積を持つフィラメント配列の部分を意味する。例えば、中央部分はフィラメント配列の合計面積の約80パーセントより小さい、約60パーセントより小さい、約40パーセントより小さい、約20パーセントより小さい面積を有しうる。
【0044】
エアロゾル発生システムの空気吸込み口は、システムのメインハウジング内に配置されうる。周囲空気は、システム内に仕向けられ、加熱組立品の空気衝突表面に案内される。ヒーター組立品の空気衝突表面に到達する空気流は、毛細管媒体の開口部によって空気ダクトを通して案内される。気流は、ヒーター組立品の表面上でエアロゾル形成基体を加熱することにより発生するエアロゾルを混入する。その後、空気を含むエアロゾルは、カートリッジハウジングと主要ハウジングとの間をカートリッジに沿ってシステムの下流端へと案内されうるが、そこで(下流端の前、またはそこに到達してからのいずれかで)さらなる流れ経路からの周囲の空気と混合される。空気ダクトを通してエアロゾルを案内することで、気流を加速し、それにより、より高速な冷却によりエアロゾル化が改善される。
【0045】
吸気口は、周囲空気が毛細管媒体の開口部によって画定される空気ダクトに対しておよそまたは最高90°の角度で発熱体に向けて引き込まれうるように、システムのメインハウジングの側壁に提供されうる。従って、少なくとも空気流の大きな部分が、ヒーター組立品の空気衝突表面に沿って実質的に平行に案内され、その後、毛細管媒体により画定される空気ダクトに再配向される。本発明の特定の空気流経路により、気流内に乱流および渦が生成され、これが効率的にエアロゾル蒸気を運ぶ。さらに冷却レートが増大しうるが、これもまたエアロゾル形成を促進しうる。周囲空気はまた、空気ダクトを通してヒーター組立品の表面に、すなわち気流の好ましい方向に比べて気流の方向が逆に案内されうる。またこの実施形態では、空気ダクトを通して周囲空気を案内することで、気流が加速され、それによってエアロゾル化が改善される。
【0046】
カートリッジハウジングの遠位端の領域に配置された第二のチャネルの入口開口部も、発熱体がカートリッジの近位端に配置された代替的なシステムで提供されうる。第二の流れ経路は、カートリッジの外側だけでなくカートリッジを通しても通過する。周囲空気はその後、カートリッジの半開放壁に入り、カートリッジ内を通過し、カートリッジの近位端に配置された発熱体を通して通過することによりカートリッジを出る。それによって、周囲空気は、周囲空気が基体自体内ではなく、基体の横にあるチャネル内を通過するように、エアロゾル形成基体内、または中実のエアロゾル形成基体内に配置された一つまたは複数のチャネル内を通過しうる。
【0047】
周辺の空気がカートリッジに入るようにするために、カートリッジハウジングの壁、好ましくは発熱体の反対側の壁、好ましくは底壁には、少なくとも一つの半開放入口が提供される。半開放入口により、空気がカートリッジ内に入るが、空気または液体が半開放入口を通してカートリッジから出ることはない。半開放入口は、例えば、空気については一方向にのみ透過可能であるが反対方向には空気および液体が漏れないような半透過性の薄膜としうる。半開放入口は、例えば一方行弁でもよい。半開放入口は、例えば、カートリッジの最小限のへこみや弁または薄膜を通過する空気の体積といった特定の条件が満たされる場合に、入口のみを通して空気を通過させることが好ましい。
【0048】
こうした一方向弁は、例えば、商業的に入手可能な弁としうるが、例えば、医療装置で使用されている、例えばLMS Mediflow One-Way、LMS SureFlow One-WayまたはLMS Check Valves(薄膜を交差する)などがある。気流がカートリッジを通過するカートリッジ用に使用するのに適切な薄膜は、例えば、医療装置(例えば Qosina Ref. 11066、疎水性フィルターを備えた通気孔付きキャップ)で使用されている通気孔付き薄膜、または哺乳瓶に使用されている弁などがある。こうした弁および薄膜は、電気加熱式の喫煙システムでの用途に適した任意の材料としうる。医療装置に適した材料およびFDA認可の材料を使用しうるが、例えば、広い温度範囲での非常に高い機械抵抗および熱安定性を持つGrapheneがある。容器ハウジングの壁に液体が漏れないように一つまたは複数の弁を組み込めるように、弁は軟質の弾性材料で作製されることが好ましい。
【0049】
基体内で周囲空気を通過させることで、エアロゾル形成基体のエアロゾル化が支援される。喫煙中、カートリッジにへこみが発生し、これが半開放入口を起動させてもよい。その後、周囲空気は、カートリッジ、好ましくは、高い保持力または高い放出力の材料(HRM)または液体を通過し、発熱体を横切り、それによって発熱体が液体を十分に加熱した時に液体のエアロゾル化が発生し維持される。さらに、喫煙中に生じたへこみにより、毛細管媒体など搬送材料内での発熱体への液体の供給が制限されうる。カートリッジを通した周辺の気流は、カートリッジ内の圧力差を等しくし、それによって、発熱体に向けた妨害されない毛細管作用が支援されうる。
【0050】
半開放入口は、追加的に、または別の方法として、カートリッジハウジングの一つまたは複数の側壁内に提供されてもよい。側壁内の半開放入口は、発熱体が配置されているカートリッジハウジングの開放上端に向けたカートリッジへの側方の気流を提供する。側方の気流はエアロゾル形成基体を通過することが好ましい。
【0051】
システムは、ヒーター組立品および電力電源に接続された電気回路をさらに備えうるが、電気回路は、ヒーター組立品の、またはヒーター組立品の1つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターし、ヒーター組立品または1つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存してヒーター組立品への動力供給源を制御するよう構成される。
【0052】
電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への動力供給源を調節するよう構成しうる。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給することも、毎回の吸入ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0053】
システムはハウジングの本体内に、典型的には電池の電源を有利にも備える。代替として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0054】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの1つ以上を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0055】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0056】
エアロゾル発生システムは、主要ユニットと、主要ユニットに取り外し可能なように結合されたカートリッジとを含みうるが、ここで液体貯蔵部分およびヒーター組立品がカートリッジ内に提供されており、また主要ユニットは電源を含む。
【0057】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、およそ30ミリメートル~およそ150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5ミリメートル~およそ30ミリメートルの外径であってもよい。
【0058】
電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法において、液体貯蔵部分を充填する工程は、ヒーター組立品を提供する工程の前または後に実施されうる。ヒーター組立品は液体貯蔵部分のハウジングに固定されていてもよい。固定の工程は、例えば、ヒーター組立品を液体貯蔵部分のハウジングにヒートシール、接着または溶接する工程を含みうる。
【0059】
一つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様に適用されうる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「導電性」は1×10-4Ωm以下の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「絶縁性」は1×104Ωm以上の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、ヒーター組立品と関連しての「流体透過性」は、エアロゾル形成基体(気相であるが、液相である可能性もある)が、簡単にヒーター組立品を通過できることを意味する。
【0063】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるヒーター組立品および毛細管媒体を含む配置の上側斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、中央の開口部を持つ湾曲した形状のフィラメント配列を含む、ヒーター組立品の上側斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、中央の開口部を持つ漏斗形状のフィラメント配列を含む、ヒーター組立品の上側斜視図である。
【
図3】
図3は、どちらも中央の開口部を持つ第一の毛細管媒体および第二の毛細管媒体を含む毛細管媒体の上側斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態によるヒーター組立品および毛細管媒体を含む配置の上側斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態によるヒーター組立品および毛細管媒体を含む配置の上側斜視図である。
【
図4C】
図4Cは、本発明の一実施形態によるヒーター組立品および毛細管媒体を含む配置の上側斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるヒーター組立品および毛細管媒体を備えたカートリッジを組み込むシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、本開示の実施形態の一つによるフィラメント配列30を示す。フィラメント配列30はフィラメント開口部32を持つ。毛細管媒体22は、フィラメント配列30に接触する。毛細管媒体は、毛細管媒体22を通した空気ダクトとしての役目を果たす毛細管媒体の開口部28を持つ。周囲空気は、気流40内をフィラメント配列30の空気衝突表面に案内される。毛細管媒体22を通した空気ダクトの吸込みは、気化された蒸気が空気ダクトを通して気流42内に引き込まれるように、気流の加速の原因となる。
【0066】
図2aおよび
図2bは、フィラメント配置30の様々な形状を図示したもので、それぞれフィラメント配列30の中央部分にフィラメント開口部32を持つ。
【0067】
図2Aは、一つの寸法に沿って湾曲した非平面のフィラメント配列30を示す。湾曲した形状は、空気衝突表面上での気流40の渦巻きの原因となる。この効果は、随意のフィラメント開口部32によりさらに増大される。
【0068】
図2Bは、漏斗形状のフィラメント配列30の底部に随意のフィラメント開口部32を持つ非平面のフィラメント配列30を示す。漏斗形状は、空気衝突表面上での気流40の渦巻きの原因となる。この効果は、随意のフィラメント開口部32によりさらに増大される。
【0069】
図3は、エアロゾル発生システムで使用される毛細管媒体22を示す。使用時、2つの別個の毛細管媒体44、46がある。大きい方の第二の毛細管媒体46は、ヒーター組立品のフィラメント配列30に接触する第一の毛細管媒体44の反対側に提供される。第一の毛細管媒体44および第二の毛細管媒体46はどちらも、液体エアロゾル形成基体を保持する。フィラメント配列と接触する第一の毛細管媒体44は、第二の毛細管媒体46より高い熱分解温度(少なくとも160℃以上、例えば約250℃など)を持つ。第一の毛細管媒体44は第二の毛細管媒体46がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、フィラメント配列30を第二の毛細管媒体から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。第一の毛細管媒体44は、毛細管媒体とヒーター組立品の間の接触面が最大化されるように柔軟性があり、かつヒーター組立品の非平面の形状を収容することが好ましい。
【0070】
第一の毛細管媒体全体での熱勾配は、第二の毛細管媒体がその熱分解温度を下回る温度に晒されるようにするためである。第二の毛細管媒体46は第一の毛細管媒体44よりも優れた芯の性能を持つものを選択でき、単位体積あたり第一の毛細管媒体よりも多くの液体を保持でき、また第一の毛細管媒体よりも安価なものとしうる。毛細管媒体22は、毛細管媒体22を通した空気ダクトとしての役目を果たす毛細管媒体の開口部28を備える。
【0071】
図4A~4Cは、フィラメント配列30と、毛細管媒体の開口部28により画定された空気ダクトを通して気流42を案内し、その後でフィラメント配列30の表面上で気化された蒸気と混合される、2つの別個の毛細管媒体44、46との発明の組み合わせを図示したものである。代わりに、気流は反対方向に案内されてもよく、すなわち、周囲空気は空気ダクトを通したフィラメント配列30の表面への気流40として案内されうる。
【0072】
図4Aは、漏斗形状の非平面のフィラメント配列30を示し、フィラメント開口部32がフィラメント配列30の底部端にあり、フィラメント開口部32は毛細管媒体の開口部28に延びる。漏斗形状は、気化した蒸気と周囲空気の混合を促進する乱流および渦を生じさせる。
【0073】
図4Bは、湾曲した形状の非平面のフィラメント配列30を示す。湾曲した形状は、気化した蒸気と周囲空気の混合を向上させる乱流および渦を生じさせる。
図4Cのフィラメント配列30は主に、
図4Bのフィラメント配列30が専用のフィラメント開口部32を示さないことを除き、
図2Aに図示したフィラメント配列30に対応する。フィラメント配列30にある隙間により、フィラメント配列30は、専用のフィラメント開口部32がなくても流体および空気を浸透できる。したがって、毛細管媒体44、46の空気ダクトを通した吸込みの効果は、毛細管開口部28がフィラメント開口部32によって拡張されてない場合でも生じる。
【0074】
図4Cは、専用のフィラメント開口部32を持たない漏斗形状のフィラメント配列30を備えた
図4Bに対応する。フィラメント配列30の漏斗形状は、フィラメント配列30の空気衝突表面に達する空気が渦巻き、それによって、気化した蒸気と周囲空気との混合が促進される乱流および渦ができる原因となる。フィラメント配列30にある隙間により、フィラメント配列30は、専用のフィラメント開口部32がなくても流体および空気を浸透できる。
【0075】
図4Aおよび4Cに図示した実施形態では、フィラメント配列30の下側部分は、第二の毛細管媒体46と直接接触する。当然ながら、フィラメント配列30全体を覆うように、またフィラメント配列30と第二の毛細管媒体46の直接接触が防止されるように、毛細管媒体44のサイズも増大する。
【0076】
図5は、本開示の実施形態の一つによるフィラメント配列30を含むヒーター組立品を備え、また本開示の実施形態の一つによる毛細管媒体22を備えた、カートリッジ20を含むエアロゾル発生システムの概略図である。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置10と、別個のカートリッジ20とを備える。この例では、エアロゾル発生システムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0077】
カートリッジ20は、エアロゾル形成基体を含み、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ20内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。
図5は、装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、
図5の矢印1は、カートリッジ20の挿入方向を示す。フィラメント配列30および毛細管媒体22を備えたヒーター組立品は、カートリッジ20内のカバー26の後に位置する。エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電源14(例えば、リン酸鉄リチウム電池などの電池)、制御電子回路16、およびくぼみ18を含む。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図5に示す開位置と閉位置との間で移動可能である。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および除去が許容されるように開位置に置かれ、またシステムがエアロゾルの発生に使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および空気出口15を備える。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分およびカートリッジ20を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に引き入れる。内部バッフル17は、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0078】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0079】
当業者であれば、本開示によるフィラメント配列30を含むヒーター組立品、および本開示による毛細管媒体22を組み込んだその他のカートリッジ設計を考案することができる。例えば、カートリッジ20はマウスピース部分12を含んでもよく、複数のヒーター組立品を含んでもよく、望ましい任意の形状を持ってもよい。その上、本開示によるヒーター組立品は既に説明したものと別のタイプのシステム(加湿器、エアフレッシュナー、およびその他のエアロゾル発生システムなど)で使用されてもよい。
【0080】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。