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特許7013250衝突音響特性および球速を改善するためのダンピング処理を有するゴルフクラブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】衝突音響特性および球速を改善するためのダンピング処理を有するゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220124BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220124BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018005502
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2018114282
(43)【公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】15/408,000
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516368128
【氏名又は名称】アクシネット・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・イー・ゴールデン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・イー・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ヘブレオ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・コモー
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151826(JP,A)
【文献】特開2012-139404(JP,A)
【文献】特開2009-112585(JP,A)
【文献】米国特許第5290036(US,A)
【文献】米国特許第9345938(US,B2)
【文献】特開2001-231896(JP,A)
【文献】米国特許第9168435(US,B1)
【文献】登録実用新案第3125633(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃面と、
前記打撃面の背面に接触している粘弾性ポリマと、
を備え、前記粘弾性ポリマが、1Hzにおいて、摂氏-70度と摂氏-20度の間に、
損失正接のピーク温度を有し、
前記粘弾性ポリマが、6kHzにおいて、摂氏20度と摂氏50度の間に、損失正接のピーク温度を有する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)が、ミリメートル(mm)単位における打撃面厚さ(t)に対して、
【数1】
で規定される関係を有し、ここで、
【数2】
が、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【数3】
が、t/1mmに等しい無単位の数値であり、厚さ(t)が、前記打撃面の平均厚と前記打撃面の最大厚のうちの一方である、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
Eとtとの間の関係が、
【数4】
によりさらに規定される、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)が、ギガパスカル毎メートル(GPa/m)単位における前記打撃面の有効剛性(S)に対して、
【数5】
で規定される関係を有し、ここで、
【数6】
が、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【数7】
が、S/1GPa/mに等しい無単位の数値であり、前記有効剛性(S)が、
【数8】
として規定され、Efaceが、前記打撃面の材料の弾性係数であり、Aが、前記打撃面の面積である、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
EとSとの間の関係が、
【数9】
によりさらに規定される、請求項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記粘弾性ポリマが、前記打撃面の背面上のコーティングである、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ゴルフクラブヘッドが、0.80を上回る反発係数(COR)を示す、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記粘弾性ポリマが、1mmと15mmの間の厚さを有する、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記粘弾性ポリマが、前記打撃面の背面の50%超をカバーする、請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ゴルフクラブがゴルフボールを打つとき、ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッドの構成要素の振動に起因して音を放出する。ゴルフクラブの打撃面が次第により薄く製造されるにつれて、それらのゴルフクラブヘッドから放出される音は、ゴルファーがゴルフボールを打つときに、ゴルファーにとって、より不快となり得る。たとえば、より薄い打撃面は、従来から中実のボール打撃に関連しない可能性がある、より高いピッチの音を作り出す場合がある。部分的に音の放出を改善するため、剛性の支持構造を打撃面に取り付けることが見いだされたが、それらの剛性構造は、打撃によりもたらされる球速の損失をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本技術は、打撃面と、打撃面の背面に接触する粘弾性ポリマと、を含むゴルフクラブヘッドに関する。粘弾性ポリマは、1Hzにおいて、摂氏-70度と摂氏-20度の間に、損失正接のピーク温度(tangent of delta peak temperature)を有する。一例では、粘弾性ポリマは、6kHzにおいて、摂氏20度と摂氏50度の間に、損失正接のピーク温度を有する。別の例では、粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)は、ミリメートル(mm)単位における打撃面厚さ(t)に対して、
【0003】
【数1】
【0004】
で規定される関係を有し、ここで、
【0005】
【数2】
【0006】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値(unitless value)であり、
【0007】
【数3】
【0008】
は、t/1mmに等しい無単位の数値である。さらに別の例では、Eとtとの間の関係は、
【0009】
【数4】
【0010】
によりさらに規定される。さらに別の例では、粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)は、ギガパスカル毎メートル(GPa/m)単位における打撃面の有効剛性(S)に対して、
【0011】
【数5】
【0012】
で規定される関係を有し、ここで、
【0013】
【数6】
【0014】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0015】
【数7】
【0016】
は、S/1GPa/mに等しい無単位の数値である。
【0017】
別の例では、EとSとの間の関係は、
【0018】
【数8】
【0019】
によりさらに規定される。さらに別の例では、有効剛性Sは、
【0020】
【数9】
【0021】
として規定され、ここで、Efaceは、打撃面の材料の弾性係数であり、Aは、打撃面の面積である。さらに別の例では、ゴルフクラブヘッドは、0.80を上回る反発係数(COR)を示す。別の例では、粘弾性ポリマは、1mmと15mmの間の厚さを有する。さらに別の例では、粘弾性ポリマは、打撃面の背面の50%超をカバーする。さらに別の例では、粘弾性ポリマは、ゴルフクラブヘッドの空洞を実質的に満たす。別の例では、ポリマは、ブチルゴム、ブチルゴムアイオノマ、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーン、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、発泡ポリマ、エポキシ、スチレンブロックコポリマ、ポリブタジエン、ニトリルゴム、熱可塑性加硫物、および熱可塑性エラストマのうちの少なくとも1つを含む。さらに別の例では、厚さ(t)は、打撃面の平均厚と打撃面の最大厚のうちの一方である。
【0022】
別の態様では、本技術は、厚さ(t)を有する打撃面と、打撃面の背面に接触する、弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマと、を含むゴルフクラブヘッドに関する。粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)は、ミリメートル(mm)単位における打撃面厚さ(t)に対して、
【0023】
【数10】
【0024】
で規定される関係を有し、ここで、
【0025】
【数11】
【0026】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0027】
【数12】
【0028】
は、t/1mmに等しい無単位の数値である。一例では、Eとtとの間の関係は、
【0029】
【数13】
【0030】
によりさらに規定される。別の例では、粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)は、ギガパスカル毎メートル(GPa/m)単位における打撃面の有効剛性(S)に対して、
【0031】
【数14】
【0032】
で規定される関係を有し、ここで、
【0033】
【数15】
【0034】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0035】
【数16】
【0036】
は、S/1GPa/mに等しい無単位の数値である。さらに別の例では、EとSとの間の関係は、
【0037】
【数17】
【0038】
によりさらに規定される。さらに別の例では、粘弾性ポリマは、1kHzにおいて、摂氏-10度と摂氏40度の間に、損失正接のピーク温度を有する。
【0039】
別の態様では、本技術は、有効剛性(S)を有する打撃面と、打撃面の背面に接触する、弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマと、を含むゴルフクラブヘッドに関する。粘弾性ポリマの、メガパスカル(MPa)単位における弾性係数(E)は、ギガパスカル毎メートル(GPa/m)単位における打撃面の有効剛性(S)に対して、
【0040】
【数18】
【0041】
で規定される関係を有し、ここで、
【0042】
【数19】
【0043】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0044】
【数20】
【0045】
は、S/1GPa/mに等しい無単位の数値である。一例では、EとSとの間の関係は、
【0046】
【数21】
【0047】
によりさらに規定される。
【0048】
この概要は、下の詳細な説明の中で、さらに記載される簡略化した形における概念の選択を導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題のキーとなる特徴もしくは本質的な特徴を識別することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することを意図していない。
【0049】
以下の図面に関連して、限定的でなく、網羅的でない例が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】打撃面の背面に接触する粘弾性ポリマを有する、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドを描く正面図である。
図1B図1Aに描かれるゴルフクラブヘッドを描く直断面図である。
図2A】粘弾性ポリマを利用しないクラブヘッドによるボール打撃についての、音響スペクトログラムおよび音のパワーの推定を描く例の図である。
図2B】粘弾性ポリマを利用するクラブヘッドによるボール打撃についての、音響スペクトログラムおよび音のパワーの推定を描く例の図である。
図3】サンプルの損失正接を描くプロットである。
図4A】薄いフェースのアイアンについての、粘弾性ポリマの弾性係数対打撃面の厚さを描くプロットである。
図4B図4Aに示されるプロットの注釈付きバージョンを描く図である。
図4C図4Aに示されるプロットの注釈付きバージョンを描く図である。
図5A】ポリマ層を有するゴルフクラブヘッドについての、粘弾性ポリマの弾性係数対打撃面の有効剛性を描くプロットである。
図5B図5Aに示されるプロットの注釈付きバージョンを描く図である。
図5C図5Aに示されるプロットの注釈付きバージョンを描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書に記載される技術は、ボール打撃によりもたらされる不要な音の放出を吸収または低減させるため、打撃面の背面への処理を利用する一方、それでもなお結果として得られる球速を実質的に保持することを意図する。現在のゴルフクラブでは、打撃面が次第に薄くなると、一部のゴルファーにより望ましくないと考えられる範囲内の音の周波数を打撃面が放出する。さらに、より薄いフェースは、追加の支持を可能にするために、打撃面に取り付けられる何らかのタイプの追加剛体の支持構造を必要とすることが多い。本技術は、ゴルフクラブの打撃面の背面に、粘弾性材料などの処理を組み込む。粘弾性材料は、ゴルフボールを打つ際に、打撃面により放出される望ましくない周波数を吸収するように開発される。加えて、粘弾性材料は、ゴルフボールを打つ際に、打撃面の屈曲を著しく阻害しない。したがって、打たれたゴルフボールの球速は、実質的に維持される。いくつかの例では、粘弾性材料は、打撃面への追加支持も可能にし、ゴルフクラブヘッドの耐久性を増加させる。
【0052】
図1Aは、打撃面118の背面に接触する粘弾性ポリマ102を有する、アイアンタイプのゴルフクラブヘッド100の正面図を描く。図1Bは、図1Aに描かれるゴルフクラブヘッドの直断面図を描く。図1A図1Bは、並行して記載される。ゴルフクラブヘッド100は、ソール部104、トップライン106、トー部108、ヒールエッジ114を有するヒール部110、および後部112を含む。空洞120は、打撃面118、ソール部104、トップライン106、トー部108、ヒール部110、および後部112により画定される。粘弾性ポリマ102は打撃面118の背面に接触し、粘弾性ポリマ102は厚さtpを有する。いくつかの例では、厚さtpは、粘弾性ポリマ102の平均厚であってよい。他の例では、厚さtpは、粘弾性ポリマ102の最大厚であってよい。例では、粘弾性ポリマ102の厚さtpは、約13mm以上であってよい。厚さtpは、他の例では、1mm~20mm、3~18mm、8~15mm、または12~14mmの間であってもよい。厚さtpは、いくつかの例では1mm未満であってもよく、この場合、粘弾性ポリマ102は、打撃面118の背面へのコーティングとして塗布される。粘弾性ポリマ102は、打撃面118の背面の50%超をカバーしてよく、他の例では、背面の表面積のより小さい面積が粘弾性ポリマ102によりカバーされる。さらに別の例では、粘弾性ポリマ102は、空洞120の実質的に全てを満たしてよい。粘弾性ポリマ102は、接着剤または他の固定技法を介して、打撃面118の背面に取り付けることができる。いくつかの例では、粘弾性ポリマ102の特性によって、打撃面118の背面へ粘弾性ポリマ102が直接付着することになる場合がある。
【0053】
打撃面118は、厚さtおよび衝突区域AIを有する。厚さtは、約1.5mmであってよい。いくつかの例では、打撃面の厚さtは、1.2~1.7mm、1.4~1.9mm、もしくは1.7~2.2mm、またはそれ以上であってよい。全米ゴルフ協会(USGA)は、フェース処理(たとえば、溝、サンドブラスト処理など)が施される、またはクラブフェースの中央から下への中心ストリップが1.68インチ(42.67mm)の幅を有する、のどちらか大きい方である、クラブの一部としての、ゴルフクラブヘッド100など、アイアンについての衝突区域AIを規定する。フェースの中に挿入物を有するクラブについて、挿入物自体が、フェースの中心線の両側に少なくとも0.84インチ(21.34mm)延在し、フェースのトップラインおよびリーディングエッジの少なくとも0.2インチ(5.08mm)内に延在する場合、境界の外側の何らかのマーキングが0.25インチ(6.35mm)を超えて衝突区域に侵入しない、および/またはボールの運動に影響を及ぼすように設計されない限り、衝突区域の境界は、挿入物の境界により画定される。
【0054】
図2Aは、本明細書に記載されるタイプの粘弾性ポリマなしのクラブのヘッドによるボール打撃から得られた、音響スペクトログラムおよび音のパワーの推定の例を描く。一般的に、強いパワー特性および/または長い持続時間のいずれかを有する高い周波数の音響放出を放出するアイアンタイプのゴルフクラブヘッドは、望ましくないことが多い。図2A中のスペクトログラムおよび音のパワーの推定からわかるように、ボール打撃の結果として、複数の周波数が生成される。しかし、40ミリ秒を超える持続期間および約0.4ミリワットのパワー推定を有する強いモードが、約6kHzに見ることができる。6kHzというその周波数は、人間にとって一般的に高いピッチとして感知され、特に、そのように長い持続時間の間に音が放出され続けるとき、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドにより生成される望ましくない音となる。
【0055】
対照的に、図2Bは、図1A図1Bに描かれるゴルフクラブヘッド100と同様のクラブのヘッドなどの、本明細書に記載されるタイプの粘弾性ポリマを有するクラブのヘッドによるボール打撃についての、音響スペクトログラムおよび音のパワーの推定の例を描く。図2B中のスペクトログラムおよび音のパワーの推定からわかるように、より高い周波数における音の生成が低減される。たとえば、図2Aに見られる約6kHzにおける強いモードは、実質的に低減されている。他の高いピッチの周波数は、粘弾性ポリマを含むことにより、同様に低減される。
【0056】
様々な異なる粘弾性ポリマを、本技術中に実装することができる。たとえば、ポリマは、ブチルゴム、ブチルゴムアイオノマ、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーン、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、発泡ポリマ、エポキシ、スチレンブロックコポリマ、ポリブタジエン、ニトリルゴム、熱可塑性加硫物、および熱可塑性エラストマのうちの少なくとも1つを含むことができる。好適な材料としては、(E.I. du Pont de Nemours and Company of Wilmington、Delawareから入手可能な)HYTREL材料または(Celanese Corporation、Irving、Texasから入手可能な)RITEFLEX材料などのポリエーテルエステル、(Arkema、Colombes、Franceから入手可能な)PEBAX材料などのポリエーテルアミド、(BASF Corporation、Wyandotte、Michiganから入手可能な)ELASTOLLAN材料、(DIC株式会社(日本国東京)から入手可能な)PANDEX材料、または(The Lubrizol Corporation、Wickliffe、Ohioから入手可能な)ESTANE材料などのポリウレタン、(日本ゼオン株式会社(日本国東京)から入手可能な)HYTEMP材料などのポリアクリル酸塩、NuSil Technology, LLC、Carpinteria、Californiaからの材料または(Wacker Chemie AG、Munich、Germanyから入手可能な)ELASTOSIL材料などのポリシロキサン、(The Dow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能な)AMPLIFY材料または(The Dow Chemical Company、Midland、Michiganから入手可能な)ENGAGE材料などのエチレン-アルファオレフィンコポリマ、(Teknor Apex Company、Pawtucket、Rhode Islandから入手可能な)APEX Flexible PVCなどの可塑化PVC、および(ExxonMobil Chemical Company、Spring、Texasから入手可能な)SANTOPRENE材料などの熱可塑性加硫物を挙げることもできる。しかし、利用または合成される特定の粘弾性ポリマは、一般的に、望ましくない周波数範囲内の周波数を吸収することができなければならない。ポリマの選択または合成は、粘弾性ポリマなしのゴルフクラブヘッドにより放出される特定の周波数に基づくことができる。たとえば、粘弾性ポリマなしのゴルフクラブヘッドから得られた図2A中に描かれた音響スペクトログラムから、約6kHzにおけるリンギングを望ましくない周波数として識別することができる。その識別に基づいて、下でさらに議論されるように、粘弾性ポリマが約6kHzにおいて最大のエネルギー吸収を有するように、粘弾性ポリマを選択または合成することができる。
【0057】
粘弾性材料は、一般的に、変形中に、粘性および弾性の両方の特性を有するものとして記載することができる。たとえば、変形を受けると、エネルギーの一部が粘弾性材料中に蓄積され、エネルギーの別の部分は、熱として散逸または失われる。したがって、粘弾性挙動は、以下の2つの式中の、粘弾性の動的または複雑な係数によって記載することができる。
E*=E'+iE'' (1)
式(1)では、E*は、複素ヤング率であり、E'は、蓄積されるエネルギーを表す蓄積係数であり、E''は、システムから散逸されるエネルギーを表す損失係数である。E''/E'<1を有する粘弾性材料は、主に弾性挙動を呈し、E''/E'>1を有するまたはE''/E'>1である粘弾性材料は、主に粘性挙動および粘弾性材料を呈する。ポリマの選択または合成は、所望のポリマが、フェースのたわみを著しく阻害することなく望ましくない周波数を吸収するように、所望のポリマについての、変化する蓄積係数および損失係数を考慮に入れることができる。
【0058】
たとえばガラス転移温度Tgおよび損失正接(tanδ)といった粘弾性材料の関連する特性は、特定の周波数でエネルギーをより最適に吸収するポリマを選択または合成することにも使用され得る。ガラス転移温度Tgとは、材料が、ガラス状の剛体の固体からより柔軟で柔順、またはゴム状の状態に転移する点である。tanδは、振動を吸収する材料の能力の尺度であり、蓄積係数E''とヤング率E'の間の比である。損失正接は、以下の式により表すことができる。
【0059】
【数22】
【0060】
特定のポリマについてのtanδの値は温度で変化し、吸収される振動の周波数にも依存する。特定の材料についてのガラス転移温度Tgおよびtanδ特性は、当業者なら認識するように、技法の中でもとりわけ動的機械分析(DMA)を使用して決定することができる。サンプルのtanδのプロットが図3に描かれる。図3中のプロットは、E.I. du Pont de Nemours and Company、Wilmington、Delawareから入手可能なHYTREL材料についてである。図3では、tanδ曲線が、1Hzの周波数における、HYTREL材料のいくつかのグレードについて示される。
【0061】
本技術で利用される、粘弾性ポリマは、除去されることが望ましい周波数について、ゴルフクラブが通常使用される温度範囲(およそ、摂氏19~50度)で、ピークtanδを有する。いくつかの例では、ピークtanδは、室温(およそ、摂氏19~23度)で生じる。図2Aに描かれる音響スペクトログラムを生成する例示のゴルフクラブヘッドについて、そのゴルフクラブに組み込まれる粘弾性ポリマは、約6kHzにおいて、摂氏19~23度の間の温度でピークtanδを有するように選択または合成される。コポリマを形成するためのポリマの組合せを使用して、結果として得られるコポリマのピークtanδ温度を「調整」し、所望の特性に一致させることができる。いくつかの例では、1Hzにおいて、摂氏-70度と摂氏-20度との間にピークtanδを示す材料が、好適なエネルギー吸収およびたわみ特性を実現する。特に、1Hzにおいて、約摂氏-50度にピークtanδを示す粘弾性ポリマ材料が、本技術にとって好適な粘弾性材料である。1kHzまたは10kHzにおいて、摂氏-10度と摂氏40度との間にピークtanδを示す粘弾性ポリマ材料も、本技術にとって好適な粘弾性材料である可能性がある。
【0062】
一例では、ピークtanδは、0.15よりも大きい。いくつかの例では、tanδを中心とする幅広い曲線が望ましい。そのような例では、粘弾性ポリマは、より広い範囲の温度において、より幅広いスペクトルの周波数を吸収することが可能である。
【0063】
コポリマでは、ガラス転移温度(Tg)は、Foxの式およびGordon-Taylorの式など、異なる式に基づいて、予測または推定することができる。Foxの式は、次式である。1/Tg,mix≒Σiωi/Tg,i、ここで、Tg,mixは混合物のケルビン温度におけるガラス転移温度、Tg,iは構成成分のケルビン温度におけるガラス転移温度、ωiは構成成分iの質量分率である。Gordon-Taylorの式は、次式である。Tg,mix≒Σii・ΔCpiTg,i]/Σii・ΔCpi]、ここで、ΔCpiは、構成成分についての、ガラスからゴム状の状態へ移り変わるときの熱容量の変化である。Foxの式またはGordon-Taylorの式のいずれかから予測されるガラス転移温度が、上で議論されたような所望のピークtanδの摂氏15度またはケルビン温度15度以内である場合、コポリマの組合せは、一般的に本技術で使用するのに許容できる。たとえば、次の不等式、すなわち、TFox-15≦Ttanδ≦TFox+15と、TGT-15≦Ttanδ≦TGT+15のうちの少なくとも一方を満たす場合、コポリマ材料は、一般的に許容できると考えることができる。ここで、TFoxはFoxの式からのケルビン温度における予測されるガラス転移温度であり、TGTはGordon-Taylorの式からのケルビン温度における予測されるガラス転移温度であり、Ttanδは、ケルビン温度における所望のピークtanδ温度である。
【0064】
打撃面の厚さ(t)および粘弾性ポリマの弾性係数(E)も、ゴルフクラブがゴルフボールを打つ際の、エネルギーの吸収を可能にしより最適な球速特性を維持するように選択することができる。図4Aは、薄いフェースのアイアンについての、粘弾性ポリマ層の弾性係数(E)対打撃面の厚さ(t)のプロットを描く。プロットのy軸は、メガパスカルの単位における粘弾性ポリマの弾性係数(E)を表し、プロットのx軸は、ミリメートルの単位における打撃面の厚さ(t)を表す。複数のポイントがプロット中に含まれ、プロット上の各ポイントは、対応するフェースの厚さ(t)を有するゴルフクラブと対応する弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマについての例示の組合せを表す。プロット中の例示のポイントの各々について、ボックスが表示されて、特定の例示のポイントの打撃面についての、反発係数(COR)および最大応力を提供する。最大応力は、「低」、「中間」、「高」として表される。中間範囲内の応力は、一般的に、高範囲内の応力よりも最適であり、ゴルフクラブの耐久性を増加させることが可能である。プロットは、13.35mmの平均ポリマ層厚を有する、3番アイアンのシャーシに基づいた有限要素モデリング(FEM)を用いて生成された。
【0065】
しかし、弾性係数(E)と打撃面の厚さ(t)のいくつかの組合せは、ゴルフクラブには不適当な可能性がある。というのは、ゴルフクラブが(不十分なCORおよび低い球速性能に起因して)堅くなり過ぎる、または応力が高くなり過ぎる(したがって、ゴルフクラブの耐久性を望ましくないレベルにまで低下させる)ためである。図4Bは、図4Aに描かれるプロットの注釈付きバージョンを描く。図4B中の注釈されたプロットは、3つの領域、すなわち、領域A、領域B、および領域Cを識別する。領域A中のフェース厚および弾性係数の組合せは望ましくない可能性がある。というのは、それらの組合せによって、高い応力値を受けるゴルフクラブヘッドとなり、ゴルフクラブヘッドにとって不十分な耐久性がもたらされるためである。たとえば、10MPaの弾性係数と1mmの打撃面の厚さの組合せでは、ゴルフクラブは、(図4Aに示されるように)高い応力値を受け、このことによって、ゴルフクラブヘッドにとって低い耐久性がもたらされることになる。領域Aは、軸上、および直線
【0066】
【数23】
【0067】
によって境界を画され、ここで、
【0068】
【数24】
【0069】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0070】
【数25】
【0071】
は、t/1mmに等しい無単位の数値である。したがって、領域A中のEおよびtの値は、ゼロより大きく、不等式
【0072】
【数26】
【0073】
を満足する値の任意の組合せを含む。
【0074】
対照的に、領域C中のフェース厚および弾性係数の組合せは許容できない可能性がある。というのは、ゴルフクラブのフェースが堅くなり過ぎ、不十分なCORおよび低い球速性能がもたらされるためである。たとえば、60MPaの弾性係数と2mmのフェース厚の組合せでは、ゴルフクラブが(図4Aに示されるように)0.8037のCORを有し、これは、いくつかのゴルフクラブの構造にとって低過ぎる可能性がある。領域Cは、直線
【0075】
【数27】
【0076】
により下側縁部上で境界を画される。したがって、領域C中のEおよびtの値は、ゼロより大きく、不等式
【0077】
【数28】
【0078】
を満足する値の任意の組合せである。特定のゴルフクラブの構造に応じて、領域Aまたは領域Cに入る組合せが許容できる場合がある。
【0079】
領域B中のフェース厚および弾性係数の組合せは、ゴルフクラブヘッドに組み込まれると、より最適な耐久性およびCORを可能にする。たとえば、30MPaの弾性係数と1.6mmの打撃面の厚さの組合せでは、ゴルフクラブのフェースは、(図4Aに示されるように)一般的に中間範囲内の応力および最大0.8216のCORを受ける。そのような組合せによって、強い耐久性および高い球速性能を有するゴルフクラブヘッドがもたらされる。領域Bは、直線
【0080】
【数29】
【0081】
により下側縁部上で境界を画され、直線
【0082】
【数30】
【0083】
により上側縁部上で境界を画される。したがって、領域B中のEおよびtの値は、ゼロより大きく、不等式
【0084】
【数31】
【0085】
および
【0086】
【数32】
【0087】
を満足する値の任意の組合せである。
【0088】
図4Cは、図4A図4Bに描かれるプロットの別の注釈付きバージョンを描く。図4Cに描かれるプロットは、領域Bのさらなるサブ領域B1~B8を図示する。特定のサブ領域は、異なるゴルフクラブヘッド技術および応用例において使用することができる。たとえば、打撃面の後ろに追加支持体が求められるゴルフクラブヘッドでは、サブ領域B1~B4が望ましい可能性があり、サブ領域B1が最も高い弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマを可能にする。サブ領域B5~B8は、粘弾性ポリマからより少ない支持を必要とする打撃面を有するゴルフクラブヘッドにより好適な可能性があり、サブ領域B8で最小量の支持が生じる。サブ領域B1は、不等式
【0089】
【数33】
【0090】
および
【0091】
【数34】
【0092】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B2は、不等式
【0093】
【数35】
【0094】
【0095】
【数36】
【0096】
、および
【0097】
【数37】
【0098】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B3は、不等式
【0099】
【数38】
【0100】
【0101】
【数39】
【0102】
、および
【0103】
【数40】
【0104】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B4は、不等式
【0105】
【数41】
【0106】
【0107】
【数42】
【0108】
【0109】
【数43】
【0110】
、および
【0111】
【数44】
【0112】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B5は、不等式
【0113】
【数45】
【0114】
【0115】
【数46】
【0116】
【0117】
【数47】
【0118】
、および
【0119】
【数48】
【0120】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B6は、不等式
【0121】
【数49】
【0122】
【0123】
【数50】
【0124】
【0125】
【数51】
【0126】
、および
【0127】
【数52】
【0128】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B7は、不等式
【0129】
【数53】
【0130】
【0131】
【数54】
【0132】
【0133】
【数55】
【0134】
、および
【0135】
【数56】
【0136】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B8は、不等式
【0137】
【数57】
【0138】
【0139】
【数58】
【0140】
、および
【0141】
【数59】
【0142】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。
【0143】
いくつかの例では、弾性係数および打撃面の厚さについての値が、以下の不等式、すなわち
【0144】
【数60】
【0145】
【0146】
【数61】
【0147】
、および
【0148】
【数62】
【0149】
のうちの1つまたは複数のうちのいくつかを満足するときに、弾性係数および打撃面の厚さが許容できる。それらの不等式を満足するフェース厚および弾性係数を有するゴルフクラブのそのような例は、多くの用途で一般的に許容できるCORおよび耐久性の要件を示す。
【0150】
粘弾性ポリマの弾性係数(E)および打撃面の有効剛性(S)も、ゴルフクラブがゴルフボールを打つ際の、エネルギーの吸収を可能にしてより最適な球速特性を維持するように選択することができる。有効剛性(S)は、
【0151】
【数63】
【0152】
として規定され、ここで、Efaceは打撃面の材料の弾性係数であり、tは打撃面の厚さであり、Aは打撃面の面積である。打撃面が変動する厚さのフェースである場合、打撃面の厚さ(t)は、最大の打撃面の厚さ(tmax)または平均の打撃面の厚さ(taverage)のいずれかであってよい。面積Aは、図1A図1Bを参照して上で議論した、衝突区域AIとして規定することができる。
【0153】
図5Aは、ポリマ層を有するアイアンの、粘弾性ポリマの弾性係数(E)対打撃面の有効剛性(S)のプロットを描く。プロットのy軸は、メガパスカル(MPa)の単位における粘弾性ポリマの弾性係数を表し、プロットのx軸は、ギガパスカル毎メートル(GPa/m)の単位における打撃面の有効剛性(S)を表す。複数のポイントがプロット中に含まれ、プロット上の各ポイントは、対応する有効フェース剛性(S)を有するゴルフクラブと対応する弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマについての例示の組合せを表す。プロット中の例示のポイントの各々について、ボックスが表示されて、特定の例示のポイントの打撃面についての、反発係数(COR)および最大応力を提供する。最大応力は、「低」、「中間」、「高」として表される。中間範囲内の応力は、一般的に、高範囲内の応力よりも最適であり、ゴルフクラブの耐久性を増加させることが可能である。プロットは、13.35mmの平均ポリマ層厚を有する、有限要素モデリング(FEM)を用いて生成された。
【0154】
しかし、弾性係数と有効フェース剛性のいくつかの組合せは、ゴルフクラブには不適当な可能性がある。というのは、ゴルフクラブが、不十分なCORおよび低い球速性能に起因して堅くなり過ぎる、または応力が高くなり過ぎ、したがって、ゴルフクラブの耐久性が低過ぎるためである。図5Bは、図5Aに描かれるプロットの注釈付きバージョンを描く。図5B中の注釈されたプロットは、3つの領域、すなわち、領域A、領域B、および領域Cを識別する。領域A中のフェース厚および弾性係数の組合せは望ましくない可能性がある。というのは、それらの組合せによって、高い応力値を受けるゴルフクラブヘッドとなり、ゴルフクラブヘッドにとって不十分な耐久性がもたらされるためである。たとえば、10MPaの弾性係数と100GPa/mの有効剛性の組合せでは、ゴルフクラブは、(図5Aに示されるように)応力値を受け、このことによって、ゴルフクラブのフェースにとって低い耐久性がもたらされることになる。領域Aは、軸によって、および直線
【0155】
【数64】
【0156】
によって境界を画され、ここで、
【0157】
【数65】
【0158】
は、E/1MPaに等しい無単位の数値であり、
【0159】
【数66】
【0160】
は、S/1GPa/mに等しい無単位の数値である。したがって、領域A中のEおよびSの値は、ゼロより大きく、不等式
【0161】
【数67】
【0162】
を満足する値の組合せのいずれかである。
【0163】
対照的に、領域C中のフェース厚および弾性係数の組合せは許容できない可能性がある。というのは、ゴルフクラブのフェースが堅くなり過ぎ、不十分なCORおよび低い球速性能がもたらされるためである。たとえば、60MPaの弾性係数と200GPa/mの有効フェース剛性の組合せでは、ゴルフクラブが(図5Aに示されるように)0.8037のCORを有し、これは、いくつかのゴルフクラブの構造にとって低過ぎる可能性がある。領域Cは、直線
【0164】
【数68】
【0165】
により下側縁部上で境界を画される。したがって、領域C中のEおよびtの値は、ゼロより大きく、不等式
【0166】
【数69】
【0167】
を満足する値の任意の組合せである。特定のゴルフクラブの構造に応じて、領域Aまたは領域Cに入る組合せが許容できる場合がある。
【0168】
領域B中のフェース厚および弾性係数の組合せは、ゴルフクラブヘッドに組み込まれると、より最適な耐久性およびCORを可能にする。たとえば、30MPaの弾性係数と160GPa/mの有効フェース剛性の組合せでは、ゴルフクラブは、(図5Aに示されるように)一般的に中間範囲内の応力および最大0.8216のCORを受ける。そのような組合せによって、強い耐久性品質および高い球速性能を有するゴルフクラブヘッドがもたらされる。領域Bは、直線
【0169】
【数70】
【0170】
により下側縁部上で境界を画され、直線
【0171】
【数71】
【0172】
により上側縁部上で境界を画される。したがって、領域B中のEおよびSの値は、ゼロより大きく、不等式
【0173】
【数72】
【0174】
および
【0175】
【数73】
【0176】
を満足する値の任意の組合せである。
【0177】
図5Cは、図5A図5Bに描かれるプロットの別の注釈付きバージョンを描く。図5Cに描かれるプロットは、領域Bのさらなるサブ領域B1~B8を図示する。特定のサブ領域は、異なるゴルフクラブヘッド技術および応用例において使用することができる。たとえば、打撃面の後ろに追加支持体が求められるゴルフクラブヘッドでは、サブ領域B1~B4が望ましい可能性があり、サブ領域B1が最も高い弾性係数(E)を有する粘弾性ポリマを可能にする。サブ領域B5~B8は、粘弾性ポリマからより少ない支持を必要とする打撃面を有するゴルフクラブヘッドにより好適な可能性があり、サブ領域B8で最小量の支持が生じる。サブ領域B1は、不等式
【0178】
【数74】
【0179】
および
【0180】
【数75】
【0181】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B2は、不等式
【0182】
【数76】
【0183】
【0184】
【数77】
【0185】
、および
【0186】
【数78】
【0187】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B3は、不等式
【0188】
【数79】
【0189】
【0190】
【数80】
【0191】
、および
【0192】
【数81】
【0193】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B4は、不等式
【0194】
【数82】
【0195】
【0196】
【数83】
【0197】
【0198】
【数84】
【0199】
、および
【0200】
【数85】
【0201】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B5は、不等式
【0202】
【数86】
【0203】
【0204】
【数87】
【0205】
【0206】
【数88】
【0207】
、および
【0208】
【数89】
【0209】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B6は、不等式
【0210】
【数90】
【0211】
【0212】
【数91】
【0213】
【0214】
【数92】
【0215】
、および
【0216】
【数93】
【0217】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B7は、不等式
【0218】
【数94】
【0219】
【0220】
【数95】
【0221】
【0222】
【数96】
【0223】
、および
【0224】
【数97】
【0225】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。サブ領域B8は、不等式
【0226】
【数98】
【0227】
【0228】
【数99】
【0229】
、および
【0230】
【数100】
【0231】
を満足する弾性係数とフェース厚の任意の組合せを含む。
【0232】
いくつかの例では、弾性係数および打撃面の厚さについての値が、以下の不等式、すなわち
【0233】
【数101】
【0234】
【0235】
【数102】
【0236】
、および
【0237】
【数103】
【0238】
のうちの1つまたは複数のうちのいくつかを満足するときに、弾性係数および打撃面の厚さが許容できる。それらの不等式を満足するフェース厚および弾性係数を有するゴルフクラブのそのような例は、多くの用途で一般的に許容できるCORおよび耐久性の要件を示す。
【0239】
特定の実施形態および態様が本明細書に記載され、特定の例が提供されたが、本発明の範囲は、それらの特定の実施形態および例に限定されない。当業者は、本発明の範囲および精神の中にある他の実施形態または改良形態を認識するであろう。したがって、特定の構造、行為、または媒体は、例示的な実施形態としてのみ開示される。本発明の範囲は、以下の請求項およびその中の任意の等価物によって規定される。
【符号の説明】
【0240】
100 ゴルフクラブヘッド
102 粘弾性ポリマ
104 ソール部
106 トップライン
108 トー部
110 ヒール部
112 後部
114 ヒールエッジ
118 打撃面
120 空洞
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C