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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220124BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220124BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220124BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018050724
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019165058
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】立川 卓
(72)【発明者】
【氏名】宮川 英典
【審査官】西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040337(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0132915(US,A1)
【文献】特開2000-208644(JP,A)
【文献】特開2014-179465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11582
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向に配列された複数のゲート電極と、
前記第1方向に延伸し前記複数のゲート電極に対向する第1部分、及び、前記第1部分より前記基板に近い第2部分を備える第1半導体層と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層の第1部分との間に設けられ、メモリ部を含むゲート絶縁膜と、
前記基板と前記複数のゲート電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第2部分に接続された第2半導体層を備え、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する配線部と
前記第1方向に延伸し、前記第2半導体層に接続され、前記複数のゲート電極に対向する部分を備える第1及び第2の絶縁層と
を備え
記第2半導体層は、前記第2半導体層の前記第1方向の厚みよりも大きい第1の結晶粒を、前記第1及び第2の絶縁層に対応して2つみ、
前記2つの第1の結晶粒の間の結晶粒界が、前記第2方向において、前記第1及び第2の絶縁層の間に設けられている
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2半導体層は、前記第1半導体層の前記第1方向における一端よりも前記基板から遠く、
前記2つの第1の結晶粒のうちの一方は、前記第1半導体層の前記第2方向における側面に接続されている
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向に配列された複数のゲート電極と、
前記第1方向に延伸し前記複数のゲート電極に対向する第1部分、及び、前記第1部分より前記基板に近い第2部分を備える第1半導体層と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層の第1部分との間に設けられ、メモリ部を含むゲート絶縁膜と、
前記基板と前記複数のゲート電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第2部分に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する配線部と
を備え、
前記配線部は、前記第1半導体層の第2部分に接続された第2半導体層を備え、
前記第2半導体層は、前記第2半導体層の前記第1方向の厚みよりも大きい第1の結晶粒を含み、
前記第2半導体層は前記第1半導体層の前記第1方向における一端よりも前記基板から遠く、
前記第1の結晶粒は前記第1半導体層の前記第2方向における側面に接続されている
半導体記憶装置。
【請求項4】
前記配線部は、
前記第2半導体層と前記基板との間に設けられ、前記第2半導体層に接続された第3半導体層と、
前記第2半導体層と前記複数のゲート電極との間に設けられ、前記第2半導体層に接続された第4半導体層と
を更に備え
前記第3半導体層は、前記ゲート絶縁膜の一部を介して前記第1半導体層から離間し、
前記第4半導体層は、前記ゲート絶縁膜の一部を介して前記第1半導体層から離間する
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向に配列された複数のゲート電極と、
前記第1方向に延伸し前記複数のゲート電極に対向する第1部分、及び、前記第1部分より前記基板に近い第2部分を備える第1半導体層と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層の第1部分との間に設けられ、メモリ部を含むゲート絶縁膜と、
前記基板と前記複数のゲート電極との間に設けられ、前記第1半導体層の第2部分に接続され、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する配線部と
を備え、
前記配線部は、
前記第1半導体層の第2部分に接続された第2半導体層と、
前記第2半導体層と前記基板との間に設けられ、前記第2半導体層に接続された第3半導体層と、
前記第2半導体層と前記複数のゲート電極との間に設けられ、前記第2半導体層に接続された第4半導体層と
を備え、
前記第2半導体層は、前記第2半導体層の前記第1方向の厚みよりも大きい第1の結晶粒を含み、
前記第3半導体層は、前記ゲート絶縁膜の一部を介して前記第1半導体層から離間し、
前記第4半導体層は、前記ゲート絶縁膜の一部を介して前記第1半導体層から離間する
半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3半導体層は、前記第3半導体層の前記第1方向の厚みよりも小さい結晶粒を含み、
前記第4半導体層は、前記第4半導体層の前記第1方向の厚みよりも小さい結晶粒を含む
請求項4又は5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第3半導体層及び前記第4半導体層に含まれる結晶粒は、前記第2半導体層に含まれる結晶粒よりも小さい
請求項4~6のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記配線部は、前記基板と前記第2半導体層との間に設けられた金属層を更に備える
請求項1~のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記配線部は、前記第2半導体層の前記基板側の面に設けられた金属層を備える
請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記配線部は、前記第3半導体層の前記基板側の面に設けられた金属層を備える
請求項4~7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第2半導体層は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、及び、パラジウム(Pd)の少なくとも一つの金属原子を含む
請求項1~10のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1半導体層の第2部分は、前記第1半導体層の第1部分の前記第2方向の厚みよりも大きい第2の結晶粒を含み、
前記第2の結晶粒の結晶方位は、前記第1の結晶粒の結晶方位と揃っている
請求項1~11のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第1半導体層の第1部分は、前記第1半導体層の第1部分の前記第2方向の厚みよりも大きい第3の結晶粒を含み、
前記第3の結晶粒の結晶方位は、前記第2の結晶粒の結晶方位と揃っている
請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1半導体層の第1部分は、
前記第1方向に並び、前記第1半導体層の第1部分の前記第2方向の厚みよりも大きい複数の第3の結晶粒と、
前記第1方向に並び、前記第1半導体層の第1部分の前記第2方向の厚みよりも大きく、前記複数の第3の結晶粒よりも前記基板から遠い複数の第4の結晶粒と
を含み、
前記複数の第3の結晶粒の結晶方位は、前記第2の結晶粒の結晶方位と揃っており、
前記複数の第4の結晶粒の結晶方位は、全て揃っている
請求項12記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載された実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリセルを三次元的に配置した半導体記憶装置(三次元型半導体記憶装置)が提案されている。この様な半導体記憶装置は、例えば、基板と、基板の表面と交差する第1の方向に配列された複数のゲート電極と、上記第1の方向に延伸し上記複数のゲート電極に対向する第1部分、及び、この第1部分より基板に近い第2部分を備える半導体層と、上記ゲート電極と半導体層の第1部分との間に設けられ、メモリ部を含むゲート絶縁膜と、半導体層の第2部分に接続された配線部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-174866
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記配線部の低抵抗化が望まれている。
【0005】
下記の実施形態に係る発明は、この様な点に鑑みなされたもので、低抵抗な配線部を備える半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向に配列された複数のゲート電極と、第1方向に延伸し複数のゲート電極に対向する第1部分、及び、第1部分より基板に近い第2部分を備える第1半導体層と、ゲート電極と第1半導体層の第1部分との間に設けられ、メモリ部を含むゲート絶縁膜と、基板と複数のゲート電極との間に設けられ、第1半導体層の第2部分に接続され、第1方向と交差する第2方向に延伸する配線部と、を備える。この配線部は、第1半導体層の第2部分に接続された第2半導体層を備える。この第2半導体層は、第2半導体層の第1方向の厚みよりも大きい第1の結晶粒を含む。
【発明の効果】
【0007】
この様な半導体記憶装置によれば、低抵抗な配線部を備える半導体記憶装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の概略的な平面図である。
図2】同半導体記憶装置の一部の構成を示す概略的な回路図である。
図3】同半導体記憶装置の一部の構成を示す概略的な斜視図である。
図4図3の一部の拡大図である。
図5】同半導体記憶装置の一部の構成を示す概略的な断面図である。
図6図5の一部の拡大図である。
図7】同半導体記憶装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
図8】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図9】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図10】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図11】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図12】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図13】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図14】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図15】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図16】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図17】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図18】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図19】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図20】第2の実施形態に係る半導体記憶装置の概略的な断面図である。
図21図20の一部の拡大図である。
図22】同半導体記憶装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
図23】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図24】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図25】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図26】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図27】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図28】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図29】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図30】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図31】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図32】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図33】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図34】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図35】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図36】第3の実施形態に係る半導体記憶装置の概略的な断面図である。
図37図36の一部の拡大図である。
図38】同半導体記憶装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
図39】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図40】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図41】同製造方法を示す概略的な断面図である。
図42】同製造方法を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、これらの実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。
【0010】
また、本明細書においては、基板の表面と交差する方向を第1方向と、第1方向と交差する方向を第2方向と、第1方向及び第2方向と交差する方向を第3方向と呼ぶ。また、第1方向に沿って基板から離れる向きを上と、第1方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板に近い方の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板から遠い方の面や端部を意味する事とする。また、第2方向又は第3方向と交差する面を側面と呼ぶ。また、基板の表面に対して平行な所定の方向をX方向と、基板の表面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向と、基板の表面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。尚、以下の説明では、X方向が第3方向と対応し、Y方向が第2方向と対応し、Z方向が第1方向と対応する場合について例示する。ただし、第1方向、第2方向及び第3方向は、Z方向、Y方向及びX方向に限られない。
【0011】
[第1の実施形態]
[構成]
図1は、第1の実施形態に係る半導体記憶装置の概略的な平面図である。
【0012】
本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリダイ11と、コントロールダイ12と、を備える。メモリダイ11は、基板13と、基板13上に設けられたメモリプレーンMP及び周辺回路14を備える。基板13は、例えば、単結晶シリコン(Si)等からなる半導体基板である。メモリプレーンMPは、Y方向に配列された複数のメモリブロックMBを備える。メモリブロックMBは、Y方向に配列された複数のメモリフィンガーMFを備える。コントロールダイ12は、周辺回路14を介してメモリプレーンMPを制御する。
【0013】
図2は、メモリブロックMBの構成を示す等価回路図である。メモリブロックMBは、ビット線BL、配線部WP、ワード線WL及び選択ゲート線(SGS,SGD)を介して周辺回路14に接続される。尚、説明の都合上、図2においては、一部の構成を省略する。
【0014】
メモリブロックMB中の複数のメモリフィンガーMFは、それぞれ、複数のメモリユニットMUを備える。これら複数のメモリユニットMUの一端は、それぞれ、ビット線BLに接続される。また、これら複数のメモリユニットMUの他端は、それぞれ、共通の配線部WPに接続される。
【0015】
メモリユニットMUは、ビット線BL及び配線部WPの間に直列に接続されたドレイン選択トランジスタSTD、メモリストリングMS、及び、ソース選択トランジスタSTSを備える。以下、ドレイン選択トランジスタSTD、及び、ソース選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタ(STD、STS)と呼ぶ事がある。
【0016】
メモリストリングMSは、直列に接続された複数のメモリセルMCを備える。本実施形態に係るメモリセルMCは、チャネル領域として機能する第1半導体層、メモリ部を含むゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタであり、1ビット以上のデータを記憶する。メモリ部は、例えば、電荷を蓄積可能な電荷蓄積層である。メモリセルMCのしきい値電圧は、メモリ部の状態に応じて変化する。尚、1のメモリストリングMSに属する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックMB中の全てのメモリユニットMUに共通に接続される。
【0017】
選択トランジスタ(STD、STS)は、チャネル領域として機能する第1半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS)が接続される。ドレイン選択線SGDは、メモリフィンガーMFに対応して設けられ、1のメモリフィンガーMF中の全てのメモリユニットMUに共通に接続される。ソース選択線SGSは、1のメモリブロックMB中の全てのメモリユニットMUに共通に接続される。
【0018】
図3は、本実施形態に係る半導体記憶装置の概略的な斜視図であり、図1中のAで示した部分に対応している。図4は、図3の一部の拡大図である。尚、説明の都合上、図3及び図4においては、一部の構成を省略する。
【0019】
図3に示す通り、基板13の上方には、メモリフィンガーMFが設けられている。メモリフィンガーMFは、Z方向に配列された複数の導電層101と、Z方向に延伸しこれら複数の導電層101と対向する第1半導体層102と、これら複数の導電層101及び第1半導体層102の間に設けられたゲート絶縁膜103と、を備える。また、基板13とメモリフィンガーMFとの間には配線部WPが設けられ、基板13と配線部WPとの間には酸化シリコン(SiO)等からなる絶縁層15が設けられている。
【0020】
複数の導電層101は、X方向に延伸する板状の導電層であり、例えば窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層膜等からなる。これら導電層101は、それぞれ、ワード線WL及びメモリセルMCのゲート電極、又は、選択ゲート線(SGD,SGS)及び選択トランジスタ(STD,STS)のゲート電極として機能する。また、これら複数の導電層101の間には、酸化シリコン(SiO)等からなる絶縁層104が設けられる。これら複数の導電層101及び絶縁層104の少なくとも一部は、絶縁層105を介してメモリフィンガーMF毎にY方向に離間する。また、導電層101のX方向の端部は、X方向における位置がお互いに異なっており、それぞれ、Z方向に延伸するコンタクト106を介して周辺回路14に接続される。また、導電層101のX方向の端部及びコンタクト106は、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層107によって覆われている。
【0021】
第1半導体層102は、X方向及びY方向に複数設けられる。第1半導体層102は、Z方向に延伸する第1部分108と、この第1部分108よりも基板13に近い第2部分109と、を備える。第1部分108は、Z方向に延伸する略円筒状の半導体層であり、例えばノンドープの多結晶シリコン(p-Si)等からなる。第1部分108は、ゲート絶縁膜103を介して複数の導電層101と対向し、メモリセルMC及びドレイン選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。第1部分108の中心部分には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層110が埋め込まれている。第2部分109は、例えば第1部分108及び配線部WPに接続された単結晶シリコン(Si)等からなる。第2部分109は、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層111を介して最も基板13に近い導電層101と対向し、ソース選択トランジスタSTSのチャネル領域として機能する。第1半導体層102の上端は、例えば、リン(P)等のn型の不純物を含む半導体層112、コンタクト113及びY方向に延伸するビット線BLを介して周辺回路14に接続される。第1半導体層102の下端は、配線部WPに接続される。
【0022】
ゲート絶縁膜103は、導電層101と第1半導体層102の第1部分108との間に設けられる。ゲート絶縁膜103は、例えば図4に示す通り、第1半導体層102の第1部分108のX方向(Y方向)の側面に順に設けられたトンネル絶縁膜121、電荷蓄積膜122、及び、ブロック絶縁膜123を備える。トンネル絶縁膜121及びブロック絶縁膜123は、例えば、酸化シリコン(SiO)等からなる。電荷蓄積膜122は、例えば、窒化シリコン(Si)等からなる。尚、ゲート絶縁膜103の一部又は全部は、メモリセルMC毎に分断されても良い。
【0023】
配線部WPは、図3に示す通り、第1半導体層102の第2部分109に接続された第2半導体層131と、この第2半導体層131と基板13との間に設けられた金属層132と、を備える。第2半導体層131は、例えばリン(P)等のn型の不純物が注入されたシリコン(Si)等からなる。金属層132は、例えば、窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層膜等からなる。金属層132は、図示しないコンタクト等を介して周辺回路14に接続される。
【0024】
次に、図5及び図6を参照して、第1半導体層102及び第2半導体層131の結晶構造等について説明する。図5は、図1のB-B´線で示した部分を切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。図6は、図5の一部の拡大図である。尚、説明の都合上、図5及び図6においては、一部の構成を省略する。また、以下の説明において、結晶粒の大きさは、観察された断面において結晶粒の幅を複数の方向から測定した場合の最大の幅を意味する事とする。
【0025】
第2半導体層131は、図5に示す通り、第1の結晶粒G1を含む。第1の結晶粒G1は、結晶粒界GB1を介してY方向に複数設けられている。図示の例において、第1の結晶粒G1はY方向に延伸し、複数の第1半導体層102の下端に接続されている。即ち、第1の結晶粒G1のY方向の幅W1は、第1半導体層102の間の距離D1と、第1半導体層102のY方向の幅W2×2と、の和よりも大きい。また、第1の結晶粒G1のY方向の幅W1は、第2半導体層131のZ方向の厚みT1よりも大きい。尚、図示は省略するものの、第1の結晶粒G1のX方向の幅もY方向の幅W1と同様である。また、図6に示す通り、第2半導体層131の上面近傍には、結晶粒g1が設けられる。結晶粒g1は、第2半導体層131のZ方向の厚みT1よりも小さい。また、第2半導体層131は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、及び、パラジウム(Pd)の少なくとも一つの金属原子を含んでいても良い。
【0026】
第1半導体層102の第2部分109は、第2の結晶粒G2を含む。第2の結晶粒G2は、第1半導体層102の第1部分108のY方向の厚みT2(ゲート絶縁膜103と絶縁層110とのY方向の距離。以下同様。)よりも大きい。また、第2の結晶粒G2は、下端において第1の結晶粒G1と接続されている。また、第2の結晶粒G2の結晶方位は、この第2の結晶粒G2が接続された第1の結晶粒G1の結晶方位と揃っている。
【0027】
第1半導体層102の第1部分108は、第3の結晶粒G3を含む。第3の結晶粒G3は、第1部分108のY方向の厚みT2よりも小さい。
【0028】
以上の様な結晶構造は、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)等を用い、極微電子回析法(Nano Beam electron Diffraction: NBD)等の方法を用いることによって観察される。
【0029】
[製造方法]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0030】
図7に示す通り、同製造方法においては、基板13上に、絶縁層15、金属層132、アモルファスシリコン層131A及び金属層131Bを形成する。絶縁層15、金属層132及びアモルファスシリコン層131Aの成膜は、例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition: CVD)等によって行う。金属層131Bは、例えば、ニッケル(Ni)等をスパッタ等のPVD( Physical Vapor Deposition )によって堆積させて行う。尚、金属層131Bは、例えば、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、又は、パラジウム(Pd)を含んでいても良い。
【0031】
次に、図8に示す通り、アモルファスシリコン層131Aの上面に、シリサイド層131Cを形成する。シリサイド層131Cは、例えば、熱処理等によって形成する。熱処理等を行うと、金属層131B中の金属原子がアモルファスシリコン層131A中に拡散して、金属シリサイドが形成される。シリサイド層131Cは、例えば、ニッケルダイシリサイド(NiSi)からなる。シリサイド層131Cの形成後、ウェットエッチングやドライエッチング等の手段により金属層131Bを除去する。
【0032】
次に、図9及び図10に示す通り、アモルファスシリコン層131Aの結晶構造を改質して、第2半導体層131を形成する。結晶構造の改質は、MILC( Metal Induced Lateral Crystallization )法によって行う。MILC法においては、熱処理を行う。これにより、シリサイド層131Cが、アモルファスシリコン層131Aを通過し、金属層132に向かって移動する。ここで、ニッケルダイシリサイドの格子定数及び結晶構造は、シリコン(Si)の単結晶と近い。従って、アモルファスシリコン層131Aのうち、シリサイド層131Cが通過した部分には、図5を参照して説明した様な大きな幅W1を有する第1の結晶粒G1が形成される。一方、MILC法を実行するより前にシリサイド層131Cが形成される上面近傍には、図6を参照して説明した様な小さい結晶粒g1が形成される。
【0033】
次に、図11に示す通り、第2半導体層131の上面に、複数の絶縁層104及び犠牲層141を交互に積層する。絶縁層104は、例えば、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層からなる。犠牲層141は、例えば、窒化シリコン(Si)等からなる。絶縁層104及び犠牲層141の成膜は、例えば、CVD等によって行う。
【0034】
次に、図12に示す通り、絶縁層104及び犠牲層141に開口op1を形成する。開口op1は、Z方向に延伸し、絶縁層104及び犠牲層141を貫通し、第2半導体層131の上面を露出させる貫通孔である。上述の通り、第2半導体層131の結晶構造はMILC法によって改質されているため、開口op1の底面には、第1の結晶粒G1の結晶面が露出する。尚、開口op1は、例えば、開口op1に対応する部分に開口を有する絶縁層142を犠牲層141の上面に形成し、これをマスクとして反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching: RIE)等を行うことによって形成する。
【0035】
次に、図13に示す通り、開口op1の底面に、第1半導体層102の第2部分109を形成する。例えば、開口op1の底面に露出した第2半導体層131の第1の結晶粒G1(図6参照)を基準としてエピタキシャル成長等を行う。
【0036】
次に、図14に示す通り、形成した第2部分109の上面、絶縁層104及び犠牲層141の側面、並びに、絶縁層142の上面に、ゲート絶縁膜103及びアモルファスシリコン層108Aを順に成膜する。成膜は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0037】
次に、図15に示す通り、ゲート絶縁膜103及びアモルファスシリコン層108Aのうち、第1半導体層102の第2部分109の上面を覆う部分及び絶縁層142の上面を覆う部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0038】
次に、図16に示す通り、第1半導体層102の第2部分109の上面、アモルファスシリコン層108Aの側面、及び、絶縁層142の上面に、アモルファスシリコン層108B及び絶縁層110を成膜する。成膜は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0039】
次に、図17に示す通り、アニール処理等によってアモルファスシリコン層108A及びアモルファスシリコン層108Bの結晶構造を改質し、第1半導体層102の第1部分108を形成する。
【0040】
次に、図18に示す通り、第1部分108及び絶縁層110のうち、絶縁層142の上面を覆う部分を除去する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。また、第1部分108の上面に、リン(P)等のn型の不純物を含む半導体層112を形成する。
【0041】
次に、図19に示す通り、絶縁層104及び犠牲層141に開口op2を形成する。開口op2は、Z方向及びX方向に延伸し、絶縁層104及び犠牲層141をY方向に分断し、第2半導体層131の上面を露出させる溝である。開口op2は、例えば、開口op2に対応する部分に溝を有する絶縁層143を絶縁層142の上面に形成し、これをマスクとしてRIE等を行うことによって形成される。
【0042】
その後、この開口op2を介してウェットエッチング等によって犠牲層141を除去し、酸化処理等によって絶縁層111を形成し、Z方向に隣接する絶縁層104の間に導電層101を形成し、開口op2に絶縁層105を形成し、コンタクトや配線等を形成することにより、本実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0043】
[効果]
図3を参照して説明した通り、本実施形態に係る配線部WPは、第1半導体層102の第2部分109に接続された第2半導体層131を備える。また、図5を参照して説明した通り、この第2半導体層131は第1の結晶粒G1を含み、第1の結晶粒G1は第2半導体層131のZ方向の厚みT1よりも大きい。この様な構成においては、例えば第2半導体層131が第1の結晶粒G1を含まない場合と比較して、第2半導体層131中の抵抗を低減させることが可能である。これにより、低抵抗な配線部WPを備える半導体記憶装置を提供可能である。
【0044】
この様な第1の結晶粒G1を有する第2半導体層131は、上述のMILC法によって容易に実現可能である。尚、上述のMILC法では、シリサイド層131Cを形成するための金属層131B(図7等)として、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、及び、パラジウム(Pd)の少なくとも一つの金属が使用されることがある。この様な場合、第2半導体層131は、これら金属の金属原子を含むことがある。
【0045】
また、本実施形態においては、配線部WPが金属層132を備え、この金属層132は第2半導体層131の下面に設けられる。この様な構成においては、低抵抗な金属層132を主に配線として利用し、第2半導体層131によって第1半導体層102と金属層132との接触抵抗を低減させることが可能であり、低抵抗な配線部WPを提供可能である。
【0046】
ここで、この様な積層構造を有する配線部WPを形成するためには、例えば金属層132の上面にアモルファスシリコン層131Aを形成し、このアモルファスシリコン層131Aの結晶構造を通常のアニール処理によって改質することも考えられる。しかしながら、通常のアニール処理によって形成される結晶粒は、開口op1のY方向の幅(図5図6のW2と同程度)よりも小さい傾向がある。この様な結晶粒を基準としてエピタキシャル成長(図13参照)を行うと、エピタキシャル成長によって形成される結晶粒も小さくなってしまい、第1半導体層102と配線部WPとの間の抵抗が大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、アモルファスシリコン層131Aの結晶構造をMILC法によって改質している。この様な方法によれば、第2半導体層131中の第1の結晶粒G1を、開口op1のY方向の幅(図5図6のW2と同程度)よりも大きくすることが可能である。また、この様な第1の結晶粒G1を基準としてエピタキシャル成長(図13参照)を行うことにより、第2部分109に含まれる第2の結晶粒G2も大きくすることが可能である。これにより、第1半導体層102と配線部WPとの間の抵抗を低減可能である。尚、この様な方法によって第1半導体層102の第2部分109を形成した場合、第2の結晶粒G2は、第1部分108のY方向の厚みT2よりも大きくなる。また、第2の結晶粒G2の結晶方位は、第1の結晶粒G1の結晶方位と揃う。
【0047】
[第2の実施形態]
[構成]
次に、図20を参照して、第2の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。尚、説明の都合上、図20においては一部の構成を省略する。また、以下の説明において、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1の実施形態に係る半導体記憶装置と同様であるが、図20に示す通り、第1半導体層102´及び配線部WP´の構成が異なる。
【0049】
第1半導体層102´は、基本的には第1の実施形態に係る第1半導体層102と同様に構成されているが、第2部分109´が第1部分108と同様の構造を備えている。即ち、第2部分109´はZ方向に延伸する略円筒状の半導体層である。第2部分109´は、第1部分108と同様に、ノンドープの多結晶シリコン(p-Si)等からなる。また、第2部分109´の中心部分には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層110が埋め込まれている
【0050】
配線部WP´は、第1半導体層102´の第2部分109´に接続された第2半導体層131´と、この第2半導体層131´及び基板13の間に設けられた金属層132と、を備える。また、配線部WP´は、第2半導体層131´及び金属層132の間に設けられた第3半導体層133と、第2半導体層131´及び複数の導電層101の間に設けられた第4半導体層134と、を備える。第3半導体層133及び第4半導体層134は、例えばリン(P)等のn型の不純物が注入された多結晶シリコン(p-Si)等からなる。
【0051】
次に、図20及び図21を参照して、第1半導体層102´、第2半導体層131´、第3半導体層133及び第4半導体層134の結晶構造等について説明する。図21は、図20の一部の拡大図である。尚、説明の都合上、図21においては、一部の構成を省略する。
【0052】
第2半導体層131´は、図20に示す通り、第1の結晶粒G1´を含む。第1の結晶粒G1´はメモリフィンガーMF両側面の絶縁層105(Z方向に延伸して第2半導体層131´に接続し、かつ、複数の導電層101と対向する部分を備える第1及び第2の絶縁層)に対応して複数設けられており、これらの間の結晶粒界GB1´は対応する絶縁層105の間(例えば、メモリフィンガーMFのY方向の中心近傍)に位置している。第1の結晶粒G1´のY方向の幅はメモリフィンガーMFのY方向の幅と同程度又は半分程度であり、第2半導体層131´のZ方向の厚みT1よりも大きい。Y方向に隣接する2つの第1の結晶粒G1´の結晶方位は、お互いに異なる。また、第1の結晶粒G1´には貫通孔op3が設けられており、この貫通孔op3の内周面は第1半導体層102´に接続されている。また、図示は省略するものの、これら複数の第1の結晶粒G1´はX方向に延伸しており、それぞれ、複数の第1半導体層102´に接続されている。また、図21に示す通り、第2半導体層131´の絶縁層105との接触部分には、結晶粒g2が設けられる。結晶粒g2は、第2半導体層131´のZ方向の厚みT1よりも小さい。また、第2半導体層131´は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、及び、パラジウム(Pd)の少なくとも一つの金属原子を含んでいても良い。
【0053】
尚、第1半導体層102´の第2部分109´は、第2の結晶粒G2´を含む。第2の結晶粒G2´は、第1半導体層102´の第1部分108のY方向の厚みT2よりも小さい。また、第3半導体層133は、第3半導体層133のZ方向の厚みT3よりも小さい結晶粒G4を含む。また、第4半導体層134は、第4半導体層134のZ方向の厚みT4よりも小さい結晶粒G5を含む。
【0054】
[製造方法]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。尚、以下の説明において、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図22に示す通り、同製造方法においては、基板13上に、絶縁層15、金属層132、第3半導体層133、絶縁膜144、犠牲層145、絶縁膜146及び第4半導体層134を形成する。この工程では、例えばCVD等の方法により、基板13上に絶縁層15、金属層132、アモルファスシリコン層、絶縁膜144、アモルファスシリコン層、絶縁膜146及びアモルファスシリコン層を順に成膜する。次に、アニール等の方法によってアモルファスシリコン層の結晶構造を改質して、多結晶シリコン等からなる第3半導体層133、犠牲層145及び第4半導体層134を形成する。
【0056】
次に、図23に示す通り、第4半導体層134の上面に、複数の絶縁層104及び犠牲層141を交互に積層する。この工程は、例えば、図11を参照して説明した工程と同様に行う。
【0057】
次に、図24に示す通り、絶縁層104及び犠牲層141に開口op1´を形成する。開口op1´は、Z方向に延伸し、絶縁層104、犠牲層141、第4半導体層134、絶縁膜146、犠牲層145及び絶縁膜144を貫通し、第3半導体層133の上面を露出させる貫通孔である。この工程は、例えば、図12を参照して説明した工程と同様に行う。
【0058】
次に、図25に示す通り、ゲート絶縁膜103、第1半導体層102、絶縁層110、及び、半導体層112を形成する。この工程は、例えば、図14図16図17及び図18を参照して説明した工程と同様に行う。ただし、図16を参照して説明した工程においては、アモルファスシリコン層108Bを成膜しなくても良い。
【0059】
次に、図26に示す通り、絶縁層104及び犠牲層141に開口op2´を形成する。開口op2´は、Z方向及びX方向に延伸し、絶縁層104、犠牲層141、第4半導体層134及び絶縁膜146をY方向に分断し、犠牲層145の上面を露出させる溝である。この工程は、例えば、図19を参照して説明した工程と同様に行う。
【0060】
次に、図27に示す通り、開口op2´のY方向の側面に、絶縁膜147を形成する。この工程では、例えば、CVD等の方法によって開口op2´の側面及び底面にSiO等の絶縁膜147を成膜する。次に、RIE等の方法により、絶縁膜147の開口op2´底面に位置する部分を除去して、犠牲層145の上面を露出させる。
【0061】
次に、図28に示す通り、犠牲層145を除去する。この工程は、例えば、開口op2´を介したウェットエッチング等によって行う。
【0062】
次に、図29に示す通り、絶縁膜144、絶縁膜146及び絶縁膜147を除去する。この工程は、例えば、開口op2´を介したウェットエッチング等によって行う。
【0063】
次に、図30に示す通り、第1半導体層102´のX方向及びY方向の側面、第3半導体層133の上面、第4半導体層134の下面、第4半導体層134、絶縁層104、犠牲層141、絶縁層142及び絶縁層143のY方向の側面、並びに、絶縁層143の上面に、アモルファスシリコン層131A´を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0064】
次に、図31に示す通り、アモルファスシリコン層131A´のうち、第4半導体層134、絶縁層104、犠牲層141、絶縁層142及び絶縁層143のY方向の側面、並びに、絶縁層143の上面に設けられた部分を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0065】
次に、図32に示す通り、アモルファスシリコン層131A´の上面、第4半導体層134、絶縁層104、犠牲層141、絶縁層142及び絶縁層143のY方向の側面、並びに、絶縁層143の上面に、金属層131B´を形成する。金属層131B´は、例えば、ニッケル(Ni)等をスパッタ等のPVD( Physical Vapor Deposition )によって堆積させて行う。尚、金属層131B´は、例えば、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、又は、パラジウム(Pd)を含んでいても良い。
【0066】
次に、図33に示す通り、アモルファスシリコン層131A´の上面に、シリサイド層131C´を形成する。シリサイド層131C´は、例えば、熱処理等によって形成する。熱処理等を行うと、金属層131B´中の金属原子がアモルファスシリコン層131A´中に拡散して、金属シリサイドが形成される。シリサイド層131C´は、例えば、ニッケルダイシリサイド(NiSi)からなる。シリサイド層131C´の形成後、ウェットエッチングやドライエッチング等の手段により金属層131B´を除去する。
【0067】
次に、図34及び図35に示す通り、アモルファスシリコン層131A´の結晶構造を改質して、第2半導体層131´を形成する。結晶構造の改質は、上述のMILC法によって行う。この工程では、図34に示す通り、シリサイド層131C´が、開口op2´を中心としてY方向に進行する。シリサイド層131C´はアモルファスシリコン層131A´を通過し、シリサイド層131C´が通過した部分に第2半導体層131´が形成される。また、図35に示す通り、Y方向に進行した2つのシリサイド層131C´は、メモリフィンガーMFのY方向の中心近傍となる部分で接触する。上述の結晶粒界GB1´は、この様な部分に形成される。
【0068】
その後、開口op2´を介したウェットエッチング等によって犠牲層141を除去し、Z方向に隣接する絶縁層104の間に導電層101を形成し、開口op2´に絶縁層105を形成し、コンタクトや配線等を形成することにより、本実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0069】
[効果]
本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、第2半導体層131´が第2半導体層131´のZ方向の厚みT1よりも大きい第1の結晶粒G1´を含む。これにより、低抵抗な配線部WPを備える半導体記憶装置を提供可能である。
【0070】
また、本実施形態においては、上述の通り、導電層101を形成する前に、犠牲層141を除去する。犠牲層141が除去されると、空隙を介してZ方向に配列された複数の絶縁層104と、この複数の絶縁層104を支持する第1半導体層102と、を備える中空構造が形成される。ここで、この様な中空構造の高さ、アスペクト比等によっては、この様な中空構造が倒壊してしまうことがある。また、半導体記憶装置の高集積化に伴い、中空構造の高さ、アスペクト比等は増大する傾向があり、この様な中空構造の倒壊の抑制が望まれている。そこで、本実施形態においては、犠牲層141及び絶縁層104の下方に第3半導体層133及び第4半導体層134を設け(図22参照)、第3半導体層133の一部及び第4半導体層134を貫通する開口op1´を形成し(図24参照)、この開口op1´の内部に第1半導体層102等を形成している。これにより、第1半導体層102を下端において支持し、上述の様な中空構造の倒壊を抑制可能である。
【0071】
この様な態様においては、図20を参照して説明した通り、第2半導体層131´と金属層132との間に、多結晶シリコン等からなる第3半導体層133が設けられることとなる。また、第3半導体層133における抵抗は、第2半導体層131´及び金属層132における抵抗よりも大きくなることが考えられる。ここで、本実施形態においては、第2半導体層131´が第1の結晶粒G1´を含んでいるため、第2半導体層131´におけるX方向及びY方向の抵抗が比較的小さい。従って、第3半導体層133中の電流が流れる領域の面積は比較的広くなる。これにより、第3半導体層133による抵抗の増大を抑制可能である。
【0072】
[第3の実施形態]
[構成]
次に、図36及び図37を参照して、第3の実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。尚、説明の都合上、図36及び図37においては一部の構成を省略する。また、以下の説明において、第2の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
第3の実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第2の実施形態に係る半導体記憶装置と同様であるが、図36及び図37に示す通り、第1半導体層102´´の第2部分109´´及び第1部分108´´の結晶構造が異なっている。
【0074】
第2部分109´´は、図36に示す通り、第2の結晶粒G2´´を含む。第2の結晶粒G2´´は、Z方向に延伸する略円筒状の形状を有する。第2の結晶粒G2´´は、第1部分108´´のY方向の厚みT2よりも大きい。また、第2の結晶粒G2´´は、X方向及びY方向の側面において第1の結晶粒G1´と接続されている。また、第2の結晶粒G2´´の結晶方位は、この第2の結晶粒G2´´が接続された第1の結晶粒G1´の結晶方位と揃っている。尚、図示の例において、第2の結晶粒G2´´と第1の結晶粒G1´とは、一つの結晶粒の別の部分である。
【0075】
第1部分108´´は、Z方向に並ぶ複数の第3の結晶粒G3´´を含む。第3の結晶粒G3´´は、Z方向に延伸する略円筒状の形状を有する。第3の結晶粒G3´´は、第1部分108´´のY方向の厚みT2よりも大きいZ方向の幅W3を有する。また、第1半導体層102´´の上端からある範囲にかけて位置する複数の第3の結晶粒G3´´の結晶方位は、全て揃っている。更に、これらよりも下方に位置する複数の第3の結晶粒G3´´の結晶方位は、全て第2の結晶粒G2´´の結晶方位と揃っている。尚、図示の例において、最も下方に位置する第3の結晶粒G3´´と第2の結晶粒G2´´とは、一つの結晶粒の別の部分である。
【0076】
[製造方法]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。尚、以下の説明において、第2の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
同製造方法においては、図22図29を参照して説明した工程を行う。ただし、図25を参照して説明した工程においては、アモルファスシリコン層108Aを改質するためのアニール処理を行わない。また、半導体層112を形成しない。
【0078】
次に、図38に示す通り、絶縁層143を除去して、アモルファスシリコン層108Aの上面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0079】
次に、図30及び図31を参照して説明した工程を行う。
【0080】
次に、図39に示す通り、アモルファスシリコン層131A´の上面、第4半導体層134、絶縁層104、犠牲層141及び絶縁層142のY方向の側面、並びに、絶縁層142及びアモルファスシリコン層108Aの上面に、金属層131B´を形成する。この工程は、例えば、図32を参照して説明した工程と同様に行う。
【0081】
次に、図40に示す通り、アモルファスシリコン層131A´の上面にシリサイド層131C´を形成し、アモルファスシリコン層108Aの上面にシリサイド層108C´´を形成する。この工程は、例えば、図33を参照して説明した工程と同様に行う。シリサイド層131C´及びシリサイド層108C´´の形成後、ウェットエッチングやドライエッチング等の手段により金属層131B´を除去する。
【0082】
次に、図41及び図42に示す通り、上述のMILC法によってアモルファスシリコン層131A´及びアモルファスシリコン層108Aの結晶構造を改質して、第2半導体層131´及び第1半導体層102´´を形成する。
【0083】
この工程では、図41に示す通り、シリサイド層131C´が、開口op2´を中心としてY方向に進行する。シリサイド層131C´はアモルファスシリコン層131A´を通過し、シリサイド層131C´が通過した部分に第2半導体層131´が形成される。また、シリサイド層108C´´は、アモルファスシリコン層108Aの上端から下方に進行する。シリサイド層108C´´はアモルファスシリコン層108Aを通過し、シリサイド層108C´´が通過した部分に第1半導体層102´´が形成される。
【0084】
また、図42に示す通り、シリサイド層131C´の一部は、アモルファスシリコン層131A´を通過してメモリフィンガーMFのY方向の中心近傍となる部分まで進行する。一方、シリサイド層131C´の他の一部は、アモルファスシリコン層131A´とアモルファスシリコン層108Aとの接触部分を介してアモルファスシリコン層108Aに進行し、アモルファスシリコン層108Aに沿って上方に進行する。このシリサイド層131C´は、アモルファスシリコン層108Aの上端から進行してきたシリサイド層108C´´と接触する。
【0085】
その後、開口op2´を介したウェットエッチング等によって犠牲層141を除去し、Z方向に隣接する絶縁層104の間に導電層101を形成し、開口op2´に絶縁層105を形成し、コンタクトや配線等を形成することにより、本実施形態に係る半導体記憶装置が製造される。
【0086】
[効果]
本実施形態に係る半導体記憶装置によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0087】
また、本実施形態においては、図41及び図42を参照して説明した通り、第1半導体層102を形成するアモルファスシリコン層108Aと、第2半導体層131´を形成するアモルファスシリコン層131A´と、が接触した状態でMILC法を行っている。これにより、第1半導体層102´´と第2半導体層131´との接触抵抗を低減可能であり、第1半導体層102´´における抵抗も低減可能である。尚、この様な方法によって第1半導体層102´´及び第2半導体層131´を形成した場合、第2の結晶粒G2´´及び第3の結晶粒G3´´は、第1部分108´´のY方向の厚みT2よりも大きくなる。また、第2の結晶粒G2´´の結晶方位及び第3の結晶粒G3´´の少なくとも一部の結晶方位は、第1の結晶粒G1´の結晶方位と揃う。
【0088】
また、本実施形態においては、アモルファスシリコン層108Aの上方にもシリサイド層108C´´を形成し、このシリサイド層108C´´も利用してMILC法を行っている。これにより、例えばシリサイド層131C´のみを利用してMILC法を行う場合と比較して、この工程に要する時間を半分程度にまで低減可能である。尚、この様な方法によって第1半導体層102´´を形成した場合、シリサイド層131C´によって形成された第3の結晶粒G3´´の結晶方位は、全て揃う。また、シリサイド層108C´´によって形成された第3の結晶粒G3´´の結晶方位は、全て第2の結晶粒G2´´の結晶方位と揃う。
【0089】
[その他の実施形態]
以上、第1~第3の実施形態について説明したが、上記の説明はあくまでも例示であり、上述の構成や工程等は適宜変更可能である。
【0090】
例えば第1の実施形態において、第2の実施形態と同様に、開口op2(図19)を介してシリサイド層を形成し、このシリサイド層を利用してMILC法を行うことも可能である。この場合には、例えば、アモルファスシリコン層131A成膜後のMILC法(図7図10参照)及びエピタキシャル成長法(図13参照)、並びに、アモルファスシリコン層108A成膜後のアニール処理(図17参照)等を省略することが可能である。
【0091】
また、例えば第1の実施形態において、第3の実施形態と同様に、アモルファスシリコン層108Aの上端にシリサイド層を形成し、このシリサイド層を利用してMILC法を行うことも可能である。この場合にも、上述の処理を省略することが可能である。尚、この場合、第3の実施形態と同様に、アモルファスシリコン層131A及びアモルファスシリコン層108Aの双方にシリサイド層を形成し、これらのシリサイド層を利用してMILC法を行うことも可能である。
【0092】
また、例えば第2及び第3の実施形態において、第3半導体層133及び第4半導体層134の少なくとも一方の結晶構造をMILC法によって改質することも可能である。この場合、第3半導体層133は、第3半導体層133のZ方向の厚みT3よりも大きい結晶粒を含むことがある。また、第4半導体層134は、第4半導体層134のZ方向の厚みT4よりも大きい結晶粒を含むことがある。
【0093】
また、第3の実施形態においては、図40に示す工程において、アモルファスシリコン層131A´及びアモルファスシリコン層108Aの双方にシリサイド層を形成していた。しかしながら、これらアモルファスシリコン層131A´及びアモルファスシリコン層108Aのどちらか一方のシリサイド化を省略することも可能である。
【0094】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
11…メモリダイ、12…コントロールダイ、13…基板、14…周辺回路、15…絶縁層、101…導電層、102…第1半導体層、103…ゲート絶縁膜、108…第1部分、109…第2部分、131…第2半導体層、132…金属層、WP…配線部、G1…第1の結晶粒、G2…第2の結晶粒、G3…第3の結晶粒。
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