(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】無人飛行体導入装置、無人飛行体を用いた管路内作業システム及び作業方法。
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20220124BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220124BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20220124BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B64C39/02
B64C27/08
E03F3/04 Z
E03F7/00
(21)【出願番号】P 2018057977
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】波田野 利昭
(72)【発明者】
【氏名】松家 大介
(72)【発明者】
【氏名】川上 博行
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 英夫
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-019884(JP,A)
【文献】特開2017-226259(JP,A)
【文献】特開2018-001967(JP,A)
【文献】特開2002-066488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0290779(US,A1)
【文献】国際公開第2017/199940(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 27/08
E03F 3/04
E03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内を飛行し、少なくとも前記管路内の動画及び/又は静止画を撮像するカメラと前記管路内の環境をセンシングするためのセンサを搭載すると共に所定の作業を行う無人飛行体と、
前記無人飛行体を管路と接続された人孔から前記管路内に導入する無人飛行体導入装置と、を備え、
前記無人飛行体は、人孔外まで繋がるケーブルの一端を接続するケーブル接続部を有し、
前記無人飛行体導入装置は、
前記ケーブルと、
前記人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、
前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、
前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を有することを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記ケーブルガイドの下端部が管路内に進入するよう前記ケーブルガイドが位置付けられることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドが、前記人孔の長さ方向に沿って伸縮可能であることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項4】
請求項2に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドが前記ケーブルガイドの長手方向の軸に対して回転可能であることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項5】
請求項2に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドサポート下部に、人孔の開口部を覆う蓋を備えることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項6】
請求項2に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドの前記ケーブルガイドサポートにより支持される側とは軸方向反対側の端部に、前記無人飛行体の姿勢を変更し得る姿勢変更部と、前記姿勢変更部に接続され前記無人飛行体を保持又は解放し得る飛行体接続部と、を備えることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のうち何れか1項に記載の無人飛行体を用いた管路内作業システムにおいて、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドの少なくとも軸方向一端に前記ケーブルが接するローラー或いは滑車を備えることを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システム。
【請求項8】
一端が管路内を飛行し作業する無人飛行体に接続され、管路に接続される人孔外まで繋がるケーブルと、
人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、
前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、
前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を備えることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項9】
請求項8に記載の無人飛行体導入装置において、
前記ケーブルガイドの下端部が管路内に進入するよう前記ケーブルガイドが位置付けられることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項10】
請求項8に記載の無人飛行体導入装置において、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドが、前記人孔の長さ方向に沿って伸縮可能であることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項11】
請求項8に記載の無人飛行体導入装置において、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドが前記ケーブルガイドの長手方向の軸に対して回転可能であることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項12】
請求項8に記載の無人飛行体導入装置において、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドサポートの下部に、人孔の開口部を覆う蓋を備えることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項13】
請求項8に記載の無人飛行体導入装置において、
前記無人飛行体導入装置のケーブルガイドの前記ケーブルガイドサポートにより支持される側とは軸方向反対側の端部に、前記無人飛行体の姿勢を変更し得る姿勢変更部と、前記姿勢変更部に接続され前記無人飛行体を保持又は解放し得る飛行体接続部と、を備えることを特徴とする無人飛行体導入装置。
【請求項14】
一端が管路内を飛行し作業する無人飛行体に接続され、管路に接続される人孔外まで繋がるケーブルと、人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を備える無人飛行体導入装置を、人孔の開口部に設置する工程と、
前記ケーブルガイドの前記ケーブルガイドサポートにより支持される側とは軸方向反対側の端部が管路内に進入するよう位置付けることにより無人飛行体を管路内に導入する工程と、
管路内に導入された無人飛行体を、飛行させつつ前記管路内の点検作業を実行する工程と、
前記ケーブル巻上げ機により無人飛行体を引き寄せ、前記ケーブルガイドの直下に位置付ける工程と、
前記ケーブルガイド、及び、前記ケーブルガイドの下端部のケーブルガイドローラーに当接した状態の無人飛行体を前記人孔の開口部より外へと引き上げる工程と、を有することを特徴とする無人飛行体を用いた管路内作業システムの作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水管路や雨水貯留管路などの管路状の構造物内を、無人飛行体を用いて、点検、調査、補修等の作業を行う管路内作業システムに係り、特に、管路に接続された人孔(マンホール)の開口部から無人飛行体を導入するために使用される無人飛行体導入装置、それを用いた管路内作業システム及び作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体を用いた管路内作業システムに関する従来技術として、例えば、特許文献1に記載される技術が提案されている。特許文献1には、複合ケーブル2介して陸上側と接続された状態で水中遊泳可能な水中ロボットに適用され、マンホール内で水中ロボットと共に昇降させることができる昇降台車と、昇降台車に支持されており、水中ロボットに接続された複合ケーブルを転向させることができるように配設された複数のガイドローラを有するケーブルガイド部とを備える、水中ロボット搬入出装置が開示されている。そして、水中ロボット搬入出装置では、複合ケーブルの転向半径がケーブル外径の8~10倍とされ、各ガイドローラの配設ピッチが5°~8°とされている旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される水中ロボットは、吸着用スラスタ及び遊泳用スラスタにより、水で満たされた管路の内壁面に沿って移動し、管路の内壁面を清掃するものであり、管路内を飛行する無人飛行体については何ら考慮されていない。無人飛行体を用いた管路内作業システムでは、管路に接続された人孔(マンホール)の開口部から導入された無人飛行体の移動時に、無人飛行体に一端が接続されたケーブルが撓むと、ケーブルが空中で暴れ、途中で絡まり易く、ケーブルの繰り出し或いは巻き取りに支障を来たす虞がある。
そこで、本発明は、無人飛行体に一端が接続されるケーブルの撓みを防止し、無人飛行体による管路内作業を好適に行い得る無人飛行体を用いた管路内作業システム、無人飛行体導入装置、及び作業方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る無人飛行体を用いた管路内作業システムは、管路内を飛行し、少なくとも前記管路内の動画及び/又は静止画を撮像するカメラと前記管路内の環境をセンシングするためのセンサを搭載すると共に所定の作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体を管路と接続された人孔から前記管路内に導入する無人飛行体導入装置と、を備え、前記無人飛行体は、人孔外まで繋がるケーブルの一端を接続するケーブル接続部を有し、前記無人飛行体導入装置は、前記ケーブルと、前記人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る無人飛行体導入装置は、一端が管路内を飛行し作業する無人飛行体に接続され、管路に接続される人孔外まで繋がるケーブルと、人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る無人飛行体を用いた管路内作業システムの作業方法は、一端が管路内を飛行し作業する無人飛行体に接続され、管路に接続される人孔外まで繋がるケーブルと、人孔の長さよりも長いケーブルガイドと、前記ケーブルの張力を制御可能なケーブル巻上げ機と、前記ケーブルガイドの上部が前記人孔の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、前記ケーブルガイドを支持するケーブルガイドサポートと、を備える無人飛行体導入装置を、人孔の開口部に設置する工程と、前記ケーブルガイドの前記ケーブルガイドサポートにより支持される側とは軸方向反対側の端部が管路内に進入するよう位置付けることにより無人飛行体を管路内に導入する工程と、管路内に導入された無人飛行体を、飛行させつつ前記管路内の点検作業を実行する工程と、前記ケーブル巻上げ機により無人飛行体を引き寄せ、前記ケーブルガイドの直下に位置付ける工程と、前記ケーブルガイド、及び、前記ケーブルガイドの下端部のケーブルガイドローラーに当接した状態の無人飛行体を前記人孔の開口部より外へと引き上げる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無人飛行体に一端が接続されるケーブルの撓みを防止し、無人飛行体による管路内作業を好適に行い得る無人飛行体を用いた管路内作業システム、無人飛行体導入装置、及び作業方法を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例に係る実施例1の無人飛行体を用いた管路内作業システムの全体概略構成図である。
【
図2】
図1に示す無人飛行体導入装置の基本構成を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す無人飛行体用コントローラの外観図である。
【
図4】
図3に示す無人飛行体用コントローラの機能ブロック図である。
【
図5】
図2に示す無人飛行体導入装置を構成する制御装置の機能ブロック図である。
【
図6】
図1に示す無人飛行体を用いた管路内作業システムによる作業工程フロー図である。
【
図7】無人飛行体導入装置に伸縮可能なケーブルガイドを用いた変形例1の概略図であって、伸縮可能なケーブルガイドを縮小した状態を示す図である。
【
図8】無人飛行体導入装置に伸縮可能なケーブルガイドを用いた変形例1の概略図であって、伸縮可能なケーブルガイドを延長した状態を示す図である。
【
図9】無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドが長手方向の軸に対して回転可能な変形例2の概略図であって、ベアリング方式を用いた場合を示す図である。
【
図10】無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドが長手方向の軸に対して回転可能な変形例2の概略図であって、入れ子方式を用いた場合を示す図である。
【
図11】無人飛行体導入装置に防音蓋を備えた変形例3の概略図である。
【
図12】本発明の他の実施例に係る実施例2の無人飛行体導入装置の基本構成を示す概略図であって、無人飛行体導入時の待機状態を示す図である。
【
図13】
図12に示す無人飛行体導入装置の基本構成を示す概略図であって、無人飛行体作業状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る無人飛行体を用いた管路内作業システムによる点検作業の適用対象は、下水管路や雨水貯留管路などの管路状の構造物であるが、以下では下水管路を点検作業の適用対象とした場合を一例として説明する。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1の無人飛行体を用いた管路内作業システムの全体概略構成図である。本発明における無人飛行体8とは、主として小型無人飛行体であり、回転翼機、固定翼機、飛行船、気球等である。また、無人飛行体8に、管内点検機器のみならず、管内壁面等の補修に用いる補修装置や、管内を清掃する装置、光ファイバケーブル等を設置する装置などを付加した構成としても良い。ここで、補修装置としては、例えば、下水管路2の内壁面に内壁面に亀裂(クラック)が生じていた場合、当該クラックに対する応急措置として、充填剤をスプレイする装置などが用いられる。
図1に示すように、本実施例の管路内作業システム1は、主に、無人飛行体8、無人飛行体8を遠隔操作する無人飛行体用コントローラ5、及び無人飛行体導入装置10から構成される。無人飛行体8は、φ600mm程度の人孔を通過できる小型のものである。また、無人飛行体用コントローラ5は、無人飛行体8との間で信号を送受信する通信アンテナ7、及び、この通信アンテナ7を介して受信した無人飛行体8からの管内映像、環境データを表示する表示部6を有しており、点検作業員は表示部6を見ながら表示部6を操作できる。
【0010】
この管路内作業システム1を用いて下水管路2を点検するには、例えば、
図1の点線矢印で示すように、無人飛行体8を第1人孔3から、飛行体導入装置10を用いて下水管路2内に導入し、下水管路2内の所望範囲をモニタリング(調査)した後、第2人孔4付近或いは第2人孔4の直下に到達した時点で折り返し、飛行体導入装置10の直下まで移動させ、無人飛行体8を回収する。この場合、第2人孔4の蓋を開ける必要がなくなり、第2人孔4上の交通規制作業が省かれるため、交通規制を最小限にすることができるだけではなく、点検作業員による作業負荷が低減される。なお、
図1では、第1人孔3より飛行体導入装置10と共に下水管路2内に下ろした通信アンテナ7を介して、無人飛行体8を点検作業員が無人飛行体用コントローラ5により遠隔操作する場合を示したが、無人飛行体8に周辺環境を認識するセンサを搭載し、点検作業員の操作がない場合であっても、自動で点検作業できる構成としても良い。
【0011】
ここで、周辺環境を認識するセンサは、周辺環境の状況を測定する場合には、例えば、ガスセンサ、風速センサ、温度センサ、或いは湿度センサなどが無人飛行体8に搭載される。ここでガスセンサは、一般的に、下水管路2内では硫化水素などのガスが発生している場合があり得る。そこでガスセンサの検出結果により、無人飛行体8による下水管路2内における作業に加え、作業員による作業が必要な場合、下水管路2内の安全性を確認することが可能となる。また、無人飛行体8は動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラを搭載しており、撮像される動画及び/又は静止画により下水管路2内のつなぎ目の画像を点検、或いは、下水管路2の内壁面に亀裂(クラック)が生じているかの点検が可能である。
また、周辺環境を認識するセンサが無人飛行体8の自律飛行を可能とするためのセンサの場合には、例えば、超音波センサ、動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラにより撮像された動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラ、或いは、レーザーレンジファインダを搭載し、下水管路2内にて下水管路2の内壁面等に衝突することなく自律飛行可能となる。なお、当然のことながら、無人飛行体8が自律飛行可能である場合には、上述の無人飛行体用コントローラ5及び通信アンテナ7は不要となる。
【0012】
次に、本実施例に係る無人飛行体を用いた管路内作業システム1を構成する無人飛行体導入装置10につて説明する。
図2は、
図1に示す無人飛行体導入装置10の基本構成を示す概略図である。まず、
図2に示すように、無人飛行体8には、ケーブル11を接続するためのケーブル接続部16が備えられている。ケーブル11を無人飛行体8へ接続する目的は、無人飛行体8に不具合が発生し、落下した際や、通信が途切れて制御が効かなくなってしまった際に確実に回収するためであるが、通信や給電機能を追加したケーブルでも良い。ここで、ケーブル11に通信機能を追加した場合は、上述の通信アンテナ7は不要となる。
【0013】
図2に示すように、無人飛行体導入装置10は、無人飛行体8に設けられたケーブル接続部16に一端が接続されたケーブル11、及び、ケーブル11を挿通可能とし、人孔3の長さより長いパイプ状(円筒状)のケーブルガイド12を備える。ケーブルガイド12は、その上端部が人孔3の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう設置される。また、無人飛行体導入装置10は、ケーブル11の巻き取り又は繰り出し可能な巻上げ機14、ケーブルガイド12を支持し人孔3の開口部を覆うように設置されたケーブルガイドサポート13、及び巻上げ機14を制御する制御装置17を備える。なお、ケーブルガイドサポート13は、上記に限られず、ケーブルガイド12の上端部が人孔3の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、ケーブルガイド12を支持することが可能な形状であれば良い。例えば、一端がケーブルガイド12の上端部に固定され、他端が人孔3の開口部の外側の周囲に位置する部材を周方向(開口部の周方向)に所定の間隔にて相互に離間し配される複数の部材で構成しても良い。このような部材を3本にてケーブルガイドサポート13を構成することが望ましい。また、ケーブルガイド12の下端部が下水管路2内に進入するようケーブルガイド12が位置付けられる。
更に
図2に示すように、無人飛行体導入装置10は、滑らかにケーブル11を出し入れさせるため、ケーブルガイド12の両端(上端部及び下端部)にケーブルガイドローラー15を有する。なお、ケーブルガイドローラー15として、例えば、円柱状のコロ、球体、或いは、滑車(プーリ)等が用いられる。これにより、ケーブル11が屈曲すること、すなわち、ケーブル11の1ヶ所に応力が集中することでケール11が断線する等の不具合を防止できる。無人飛行体8に設けられたケーブル接続部16に一端が接続されたケーブル11は、巻上げ機14を用いて、無人飛行体8の移動時に生じるケーブル11の撓みを抑制し、人孔3より長いケーブルガイド12を人孔3内に挿入し、ケーブルガイド12の下端部を下水管路2内まで進入させることにより、人孔3の淵や人孔3内の突起物にケーブル11が接触することを防ぐことができる。なお、ここで人孔3内の突起物とは、例えば、梯子などの構造物である。無人飛行体導入装置10を構成する各部の材料は、例えば、アルミ合金或いはカーボンシャフトなどが用いられる。
【0014】
次に、無人飛行体用コントローラ5について説明する。
図3は
図1に示す無人飛行体用コントローラ5の外観図であり、
図4は
図3に示す無人飛行体用コントローラの機能ブロック図である。
図3に示すように、無人飛行体用コントローラ5は、ジョイスティック又はレバー等の無人飛行体8に対する操作量を入力するための入力部45a、及び、タッチパネル又は操作ボタンを備え、無人飛行体8への起動又は停止の指示入力と表示部6への表示形態の切り替え等を指定入力可能とする入力部45bからなる入力部45を有する。また、無人飛行体用コントローラ5は、無人飛行体8に搭載されるセンサにより計測された計測値(センサデータ)及び/又はカメラにより撮像される動画データ又は画像データ(静止画)等を画面上に表示する表示部6を備える。
図3では、表示部6の画面上に下水管路2内の内壁面に管内のクラック46が発生している動画データ又は画像データが表示されている状態を示している。
【0015】
図4に示すように、無人飛行体用コントローラ5は、無人飛行体位置特定部32、表示制御部33、計測値取得部34、送信部35、受信部36、入力I/F37、及び出力I/F38を備え、これらは相互に内部バス40を介して接続されている。また、入力I/F37は入力部45に接続され、入力部45を介して入力される、無人飛行体8に対する操作量、無人飛行体8への起動又は停止の指示入力、及び表示部6への表示形態の切り替え指示入力等を取り込む。出力I/F38は表示部6に接続され、計測値取得部34及び表示制御部33を介して、無人飛行体8に搭載されるセンサにより計測された計測値(センサデータ)及び/又はカメラにより撮像される動画データ又は画像データ(静止画)等を表示部6へ出力する。
【0016】
送信部35は、入力部45より入力された無人飛行体8に対する操作量及び無人飛行体8への起動又は停止の指示入力を、入力I/F37及び内部バス40を介して取得し、通信アンテナ7へ送信する。
受信部36は、通信アンテナ7から送信される、無人飛行体8に搭載されるセンサにより計測された計測値(センサデータ)及び/又はカメラにより撮像される動画データ又は画像データ(静止画)等を受信し、これら計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等を、内部バス40を介して計測値取得部34へ転送する。
【0017】
計測値取得部34は、受信部36より転送された計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等に対し、例えば、ノイズ除去等の処理を施し内部バス40を介して無人飛行体位置特定部32及び表示制御部33へ転送すると共に、必要に応じて、記憶部39の所定の記憶領域に格納する。
【0018】
無人飛行体位置特定部32は、計測値取得部34より転送された計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等及び予め記憶部39に格納される下水道管網図(下水配管図)に基づき、下水管路2内における無人飛行体8の位置を求め特定する。なお、無人飛行体位置特定部32は、無人飛行体8が一定の速度にて下水管路2内を飛行している場合においては、無人飛行体8の飛行時間に基づき下水管路2内における無人飛行体8の位置を求め特定する。
また、例えば、無人飛行体8の上部に下水管路2内の内壁面と接する車輪を設け、当該車輪が下水管路2内の内壁面上を転動しつつ無人飛行体8が飛行する形態においては、上記車輪の回転数に基づき無人飛行体位置特定部32は、無人飛行体8の下水管路2内における位置を求め特定する。このように無人飛行体8が下水管路2内の内壁面上を転動する車輪を有する場合、無人飛行体8はより安定的に下水管路2内を飛行することが可能となることから、無人飛行体8に搭載されるカメラにより撮像される動画データ又は画像データ(静止画)もより安定した状態で取得することが可能となる。
【0019】
表示制御部33は、計測値取得部34より転送された計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等、或は予め記憶部39に格納される下水道管網図(下水配管図)を画面上に表示するよう表示部6を制御すると共に、入力I/F37より転送される表示形態の切り替え指示に対応して表示部6を制御する。例えば、表示制御部33は、表示部6の画面上に表示される動画データ又は画像データ(静止画)に、計測値(センサデータ)を重畳して表示するスーパーインポーズ表示、或は、動画データ又は画像データ(静止画)を全画面表示する画面上の一部の領域にウィンドウを表示し、当該ウィンドウ内に計測値(センサデータ)を表示する等、種々の表示を行うよう表示部6を制御する。
【0020】
記憶部39は、計測値取得部34転送された計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等、無人飛行体位置特定部32により特定された無人飛行体8の位置情報、或は、下水道管網図(下水配管図)を格納する。なお、記憶部39は、特定された無人飛行体8の位置情報に対応付けて計測値取得部34転送された計測値(センサデータ)及び/又は動画データ又は画像データ(静止画)等を格納することが望ましい。
【0021】
これら、無人飛行体位置特定部32、表示制御部33、及び計測値取得部34は、例えば、図示しないCPU等のプロセッサ、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータを一時的に格納するRAM、外部記憶装置等の記憶装置にて実現されると共に、CPU等のプロセッサがROMに格納された各種プログラムを読み出し実行し、実行結果である演算結果をRAM又は外部記憶装置に格納する。なお、ここで演算結果又は演算過程のデータをRAMに代えて記憶部38の所定の記憶領域に格納するよう構成しても良い。
なお、本実施例では、無人飛行体用コントローラ5が無人飛行体位置特定部32を有する構成としたがこれに限られず、無人飛行体位置特定部32を有しない構成としても良い。
【0022】
次に、無人飛行体導入装置10を構成する制御装置17について説明する。
図5は、
図2に示す無人飛行体導入装置10を構成する制御装置17の機能ブロック図である。
図5に示すように、制御装置17は、張力制御部51、ケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52、タイミング制御部53、記憶部54、入力I/F55、及び出力I/F56を備え、これらは相互に内部バス57を介して接続されている。
入力I/F55は、巻上げ機14に設置されるモータトルクを検出するトルクセンサからの信号を取得し、内部バス57を介して張力制御部51へ転送する。また、入力I/F55は、無人飛行体用コントローラ5からの無人飛行体8に対する操作信号(飛行方向及び/又は飛行速度の指令信号)を取得し、内部バス57を介してタイミング制御部53へ転送する。
【0023】
張力制御部51は、予め設定され記憶部54に格納される張力の閾値と内部バス57を介して入力I/F55より転送されたトルクセンサからの信号を張力に換算した値とを比較する。張力制御部51は、比較結果をケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52へ内部バス57を介して転送する。
ケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52は、張力制御部51より転送された比較結果の差分に応じて、ケーブル繰り出し量又はケーブル巻き取り量を算出する。そして、ケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52は、算出したケーブル11の繰り出し量又は巻き取り量に対応するモータの回転数又は回転角度を指令値として、出力I/F56を介して巻上げ機14に出力する。なお、巻上げ機14への出力のタイミングは、以下に説明するタイミング制御部53からの出力に基づき設定される。
【0024】
タイミング制御部53は、入力I/F55より転送された、無人飛行体用コントローラ5からの無人飛行体8に対する操作信号(飛行方向及び/又は飛行速度の指令信号)を、例えば、無人飛行体8の飛行速度を距離に換算し、換算した距離をケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52へ内部バス57を介して転送する。これにより、無人飛行体用コントローラ5の操作に同期して巻上げ機14を制御することが可能となる。
なお、本実施例では、制御装置17がタイミング制御部53を有する構成を説明したがこれに限られるものではない。例えば、下水管路2内を飛行する無人飛行体8の飛行速度がそれほど速くなく、むしろ低速の場合においては、制御装置17は必ずしもタイミング制御部53を有さずとも良い。
【0025】
また、本実施例では、制御装置17が張力制御部51を有する構成としたがこれに限られず、巻上げ機14に張力制御部51を実装する構成としても良い。また、上述の制御装置17による巻上げ機14の制御に加え、例えば、電源遮断時或いは電源喪失時、又は無人飛行体8を緊急に回収すべき場合などに対対応可能に、手動にて急速なケーブル11の巻き取りを可能とするハンドルを巻上げ機14に備える構成としても良い。
【0026】
次に本実施例に係る無人飛行体を用いた管路内作業システム1を用いた下水管路2内の点検作業(下水道管調査作業)の工程について説明する。
図6は、
図1に示す無人飛行体を用いた管路内作業システム1による作業工程フロー図である。
ステップS11における無人飛行体導入装置設置工程では、無人飛行体導入装置10を第1人孔3の開口部に設置する。具体的には、無人飛行体導入装置10を構成するケーブルガイドサポート13が第1人孔3の開口部を覆うよう無人飛行体導入装置10が設置される。
【0027】
ステップS12における無人飛行体導入工程では、例えば、
図1及び
図2に示すように、ケーブルガイド12の上端部が第1人孔3の開口部よりも所定の高さ上方に位置するよう、且つ、ケーブルガイド12の下端部が下水管路2内まで進入するよう、第1人孔3内にケーブルガイド12を導入することにより、ケーブル11の一端にケーブル接続部16を介して接続された無人飛行体8を下水管路2内へ第1人孔3を介して導入する。
【0028】
ステップS13における無人飛行体による作業工程では、例えば、無人飛行体用コントローラ5からの操作信号により無人飛行体8が起動し、下水管路2内を無人飛行体8が飛行しつつ下水管路2内の点検作業等の作業を実行する。なお、無人飛行体8が自律飛行可能である場合には、上述のように、超音波センサ、動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラにより撮像された動画及び/又は静止画を撮像可能なカメラ、或いは、レーザーレンジファインダにより、下水管路2内にて下水管路2の内壁面等に衝突することなく自律飛行しつつ、点検作業等の作業を実行する。
【0029】
ステップS14における無人飛行体引き寄せ工程では、巻上げ機14によるケーブル11の巻き取り動作により、無人飛行体8を、無人飛行体導入装置10を構成するケーブルガイドローラー15付近へ引き寄せる。具体的には、無人飛行体8がケーブルガイドローラー15付近に到達した段階で、巻上げ機14によるケーブル11の巻き取り速度を低速にし、無人飛行体8の機体の一部がケーブルガイドローラー15に当接した段階(無人飛行体8がケーブルガイドローラー15の直下に位置する段階)でケーブル11の巻上げ機14による巻き取りを停止する。
【0030】
ステップS15における無人飛行体を人孔外に引き上げる工程では、ケーブルガイド12、及び、ケーブルガイド12の下端部のケーブルガイドローラー15にケーブル11により当接した状態の無人飛行体8を第1人孔3の開口部より外へと引き上げる。
【0031】
〔変形例1〕
次に、
図7及び
図8を用いて、実施例1の無人飛行体導入装置10の変形例1を説明する。
図7は無人飛行体導入装置に伸縮可能なケーブルガイドを用いた変形例1の概略図であって、伸縮可能なケーブルガイドを縮小した状態を示す図であり、
図8は無人飛行体導入装置に伸縮可能なケーブルガイドを用いた変形例1の概略図であって、伸縮可能なケーブルガイドを延長した状態を示す図である。
上述の実施例1における無人飛行体導入装置10を構成するケーブルガイド12は長いパイプ状(円筒状)のものであったが、実際の使用時や運搬時には取り回しが困難となる場合が想定される。そこで、
図7及び
図8に示すように、無人飛行体導入装置10aを構成するケーブルガイドとして、入れ子式ケーブルガイド20を用いる。
図7に示す状態は、入れ子式ケーブルガイド20を最も縮めた状態であり、
図8に示す状態は、入れ子式ケーブルガイド20を最も伸ばした状態である。入れ子式ケーブルガイド20は、直径の異なるパイプを入れ子のように組み合わせることで、人孔3の長さに合った入れ子式ケーブルガイド20に長さを調整可能である。
本変形例1の無人飛行体導入装置10aによれば、実際の使用時や運搬時における取り回しが容易となる。
【0032】
〔変形例2〕
次に、
図9及び
図10を用いて、実施例1の無人飛行体導入装置10の変形例2を説明する。
図9は無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドが長手方向の軸に対して回転可能な変形例2の概略図であって、ベアリング方式を用いた場合を示す図であり、
図10は無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドが長手方向の軸に対して回転可能な変形例2の概略図であって、入れ子方式を用いた場合を示す図である。
図9に示すように、無人飛行体導入装置10bは、ケーブルガイド12を、ケーブルガイド12の長手方向の軸に対して回転可能に支持するベアリング21を備え、ベアリング21の外側がケーブルガイドサポート13にて支持される構造となっている。これにより、第1人孔3を介して下水管路2内に無人飛行体8を下ろした際に、初期の機体方向を所望の向きに調整することが可能となる。
また、
図9に示す構成に代えて、例えば
図10に示すように、ケーブルガイド12より僅かに直径の大きな支入れ子式の外側パイプ22の中にケーブルガイド12を入れ、入れ子方式を取り、ケーブルガイド12が長手方向の軸に対して回転可能な構造にすることもできる。両者共に、ケーブルガイド12がずり落ちないように、ケーブルガイド12にフランジが設けられ、或いは、ストッパー機能が設けられている。
本変形例2の無人飛行体導入装置10bによれば、下水管路2内に無人飛行体8を下ろした際に、初期の機体方向を所望の向きに調整することが可能となる。
【0033】
〔変形例3〕
次に、
図11を用いて、実施例1の無人飛行体導入装置10の変形例3を説明する。
図11は、無人飛行体導入装置に防音蓋を備えた変形例3の概略図である。
図11に示すように、無人飛行体導入装置10cは、上述の実施例1の無人飛行体導入装置10のケーブルガイドサポート13の下部に、人孔3の開口部を覆う防音蓋23を付加した構成を備える。ここで、防音蓋23は、例えば、中央部にケーブルガイド12を挿通可能とする開口を有する金網が設置され、さらの金網の下に防音マットなどが設置された構造を有する。本変形例3の無人飛行体導入装置10cによれば、地上の点検作業員の転落を防ぐと共に、下水管路2内で作業を行う無人飛行体8から発せられる音が人孔3を通って、地上に拡散するのを抑制することが可能となる。
【0034】
以上の通り本実施例によれば、無人飛行体に一端が接続されるケーブルの撓みを防止し、無人飛行体による管路内作業を好適に行い得る無人飛行体を用いた管路内作業システム、無人飛行体導入装置、及び作業方法を提供することが可能となる。
また、本実施例よれば、無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドの下端部を下水管路内まで進入させることにより、人孔の淵や人孔内の突起物にケーブルが接触することを防止することが可能となる。
【実施例2】
【0035】
図12は本発明の他の実施例に係る実施例2の無人飛行体導入装置の基本構成を示す概略図であって、無人飛行体導入時の待機状態を示す図であり、
図13は
図12に示す無人飛行体導入装置の基本構成を示す概略図であって、無人飛行体作業状態を示す図である。本実施例では、無人飛行体導入装置を構成するケーブルガイドに無人飛行体の姿勢を制御又は変更し得る姿勢変更サーボアームを設けた点が実施例1と異なる。実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0036】
人孔3の開口部の大きさには制限があるため、無人飛行体8のサイズによっては、無人飛行体8が離陸可能(飛行可能)な姿勢を維持した状態では人孔3を通過できない場合もあり得る。そこで本実施例では、
図12に示すように、無人飛行体を用いた管路内作業システム1を構成する無人飛行体導入装置10dが、ケーブルガイド12の下端部近傍、換言すれば、ケーブルガイド12の端部のうちケーブルガイドサポート13により支持される側とは軸方向(ケーブルガイド12の長手方向)反対側の端部に、無人飛行体8を保持・解放する飛行体接続部30、及び無人飛行体8の姿勢を傾いた状態或いは離陸可能(飛行可能)な状態に変更し得る姿勢変更サーボアーム31を備える。姿勢変更サーボアーム31のケーブルガイド12への設置部は、例えば、ケーブルガイド12が円筒状(おパイプ状)の形状を有する場合、ケーブルガイド12の外周面と当接し、ケーブルガイド12への当接面とは反対側の面が平坦面を有する部材をケーブルガイド12へ例えばボルトなどの締結具により取り付け、その平坦面に姿勢変更サーボアーム31が設置される。また、ケーブルガイド12が中空の角柱状(例えば四角柱)を成す場合、ケーブルガイド12の側面に直接、姿勢変更サーボアーム31が設置される。なお、姿勢変更サーボアーム31は少なくも1自由度を有すれば良い。すなわち、無人飛行体8を上方へ引き上げる動作が可能であれば、いずれの構成としても良い。姿勢変更サーボアーム31及び飛行体接続部30は、内蔵バッテリー或いは給電線により駆動電力が供給される。
【0037】
図12に示すように、無人飛行体8を人孔3へ導入する場合においては、飛行体接続部30により保持された無人飛行体8を、姿勢変更サーボアーム31によって傾けた状態に維持する。換言すれば、無人飛行体8の投影面積が最も小さくなるよう、無人飛行体8の姿勢を飛行体接続部30及び姿勢変更サーボアーム31により維持し、人孔3に導入する。無人飛行体8が下水管路2内に導入された後、
図13に示すように、姿勢変更サーボアーム31を鉛直方向上方へと引き上げることで、無人飛行体8の姿勢を離陸可能(飛行可能)な姿勢に変更する。その後、無人飛行体8を起動させ、飛行体接続部30を解放し、無人飛行体8を下水管路2内において飛行させる。この場合、無人飛行体8が自重を支えるだけの十分な揚力を発生しているかどうか検出する圧力センサ等を飛行体接続部30に設けるのが望ましい。また、無人飛行体8の姿勢変化を確認するためのカメラや照明等をケーブルガイド12の端部に取り付ける構成としても良い。無人飛行体8を保持・解放する飛行体接続部30は、例えば、電磁石式、ロボットハンド式、ソレノイド式など、無人飛行体8の形状及び重量に合わせ適宜選択することが望ましい。
【0038】
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、適用可能な人孔のサイズの許容度を拡大することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…無人飛行体を用いた管路内作業システム
2…下水管路
3…第1人孔
4…第2人孔
5…無人飛行体用コントローラ
6…表示部
7…通信アンテナ
8…無人飛行体
10,10a,10b,10c,10d…無人飛行体導入装置
11…ケーブル
12…ケーブルガイド
13…ケーブルガイドサポート
14…巻上げ機
15…ケーブルガイドローラー
16…ケーブル接続部
17…制御装置
20…入れ子式ケーブルガイド
21…ベアリング
22…入れ子式の外側パイプ
23…防音蓋
30…飛行体接続部
31…姿勢変更サーボアーム
32…無人飛行体位置特定部
33…表示制御部
34…計測値取得部
35…送信部
36…受信部
37…入力I/F
38…出力I/F
39…記憶部
40…内部バス
45,45a,45b…入力部
46…管内のクラック46
51…張力制御部51
52…ケーブル繰り出し量/巻き取り量算出部52
53…タイミング制御部63
54…記憶部54
55…入力I/F55
56…出力I/F56
57…内部バス57