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特許7013313動線管理装置、動線管理方法及び動線管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】動線管理装置、動線管理方法及び動線管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/292 20170101AFI20220124BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
G06T7/292
H04N7/18 G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018078645
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019185615
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】巻渕 有哉
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-087150(JP,A)
【文献】米国特許第05969755(US,A)
【文献】米国特許第06295367(US,B1)
【文献】国際公開第2010/098024(WO,A1)
【文献】特開2011-170564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
H04N 7/18
H04N 5/222- 5/257
G06Q 10/00 -30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す複数の追跡接続情報と、一以上の前記第1動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報と、複数の前記第2動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する矛盾判定部と、
前記矛盾判定部により前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフに含まれている複数の前記追跡接続情報のうち、一以上の追跡接続情報を消去し、前記連結グラフを複数の連結グラフに分割することにより、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する矛盾解消部と、
前記矛盾が生じていない連結グラフに含まれる前記第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに含まれる前記第2動線に対応する位置情報とに基づいて、複数の時刻のそれぞれに1つの位置が関連付けられた1つの動線を示す動線情報を生成する動線生成部と、
を備える動線管理装置。
【請求項2】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、
前記矛盾解消部は、前記同一性の強度が低い順に前記追跡接続情報を消去する、
請求項に記載の動線管理装置。
【請求項3】
前記追跡接続情報は、各時刻における前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて算出される前記同一性の強度を示す前記追跡接続強度情報を含む、
請求項に記載の動線管理装置。
【請求項4】
前記矛盾解消部は、前記矛盾が生じている前記連結グラフから1つの前記追跡接続情報を消去することにより、前記矛盾が生じている前記連結グラフを、第1の連結グラフと第2の連結グラフとに分割し、
前記矛盾判定部は、前記第1の連結グラフと前記第2の連結グラフとのそれぞれについて、当該連結グラフに前記矛盾が生じているか否かを判定する、
請求項1からのいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項5】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフに前記矛盾が生じていると前記矛盾判定部が判定した場合に、当該分割後の連結グラフに含まれている前記追跡接続情報の数が所定数よりも多いとき、当該分割後の連結グラフを、当該第1の連結グラフと第2の連結グラフに分割する、
請求項に記載の動線管理装置。
【請求項6】
前記矛盾解消部は、前記追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去する、
請求項からのいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項7】
前記矛盾判定部は、前記追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、消去する前記追跡接続情報の数が少ないパターンから順に、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンが含まれるか否かを判定する、
請求項に記載の動線管理装置。
【請求項8】
前記矛盾判定部は、消去する前記追跡接続情報の数が所定数を超えるまでに、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンが見つからなかった場合、前記矛盾が生じないパターンが含まれるか否かの判定を行わないように制御する、
請求項に記載の動線管理装置。
【請求項9】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じない前記パターンのうち、前記追跡接続情報の消去数が相対的に少ないパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去する、
請求項からのいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項10】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、前記同一性の強度が相対的に低い前記追跡接続情報を消去するパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去する、
請求項からのいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項11】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフの数が相対的に多いパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去する、
請求項から10のいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項12】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフに含まれる前記追跡接続情報の数が相対的に多いパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去する、
請求項から10のいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項13】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフのうち、前記矛盾が生じている連結グラフに対応する全ての前記追跡接続情報を消去して、一以上の前記第1動線及び一以上の前記第2動線に分割し、一以上の前記追跡接続情報を復活させた場合において、当該追跡接続情報に対応する連結グラフに前記矛盾が生じないとき、当該一以上の追跡接続情報を復活させる、
請求項から12のいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項14】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、
前記矛盾解消部は、前記同一性の強度が高い順に前記追跡接続情報を復活させる、
請求項13に記載の動線管理装置。
【請求項15】
前記動線生成部は、前記第1動線に対応する各時刻における前記オブジェクトの位置に関する第1の信頼値と、前記第2動線に対応する各時刻における前記オブジェクトの位置に関する第2の信頼値とに基づいて、前記第1動線と前記第2動線とから、各時刻に1つの位置が関連付けられた1つの動線情報を生成する、
請求項1から14のいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項16】
前記撮像装置は、全方位画像を撮像する撮像装置であり、
前記動線生成部は、動線に対応するオブジェクトの各時刻における撮像画像上での位置と、撮像画像の中心位置との距離が短いほど高くなる値を、当該時刻における当該オブジェクトの位置に関する信頼値として算出する、
請求項15に記載の動線管理装置。
【請求項17】
前記動線生成部は、同一の時刻に対応する、前記第1動線の前記位置情報に関する前記第1の信頼値と、前記第2動線の前記位置情報に関する前記第2の信頼値とを比較し、相対的に高い信頼値に対応する前記位置情報を、当該時刻における位置情報として含む前記動線情報を生成する、
請求項15又は16に記載の動線管理装置。
【請求項18】
前記動線生成部は、前記矛盾が生じていない連結グラフにおいて第1の時刻における位置と、前記第1の時刻に連続する第2の時刻における位置との距離が所定距離以上である場合、前記第1の時刻を基準として、前記矛盾が生じていない連結グラフを分割する、
請求項から17のいずれか1項に記載の動線管理装置。
【請求項19】
コンピュータが実行する、
所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す複数の追跡接続情報と、一以上の前記第1動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報と、複数の前記第2動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定するステップと、
前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフに含まれている複数の前記追跡接続情報のうち、一以上の追跡接続情報を消去し、前記連結グラフを複数の連結グラフに分割することにより、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成するステップと、
前記矛盾が生じていない連結グラフに含まれる前記第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに含まれる前記第2動線に対応する位置情報とに基づいて、複数の時刻のそれぞれに1つの位置が関連付けられた1つの動線を示す動線情報を生成するステップと、
有する動線管理方法。
【請求項20】
コンピュータを、
所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す複数の追跡接続情報と、一以上の前記第1動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報と、複数の前記第2動線のそれぞれに対応するオブジェクトの複数の時刻のそれぞれにおける前記所定エリアの位置を示す位置情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する矛盾判定部
前記矛盾判定部により前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフに含まれている複数の前記追跡接続情報のうち、一以上の追跡接続情報を消去し、前記連結グラフを複数の連結グラフに分割することにより、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する矛盾解消部、及び、
前記矛盾が生じていない連結グラフに含まれる前記第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに含まれる前記第2動線に対応する位置情報とに基づいて、複数の時刻のそれぞれに1つの位置が関連付けられた1つの動線を示す動線情報を生成する動線生成部、
として機能させる動線管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動線管理装置、動線管理方法及び動線管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定エリアにおけるオブジェクトの移動軌跡を示す動線を生成するにあたり、複数の撮像装置から取得した複数の画像に基づいて、オブジェクトを追跡することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-139949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の撮像装置に基づいてオブジェクトの動線を生成する場合には、複数の撮像装置間における同一のオブジェクトの判定結果に基づいて、撮像装置ごとに特定したオブジェクトの追跡結果のうち、同一のオブジェクトに対応する追跡結果を統合することが行われる。
【0005】
複数の撮像装置間における同一のオブジェクトの判定結果に誤判定が含まれていると、異なるオブジェクトの追跡結果が同一のオブジェクトに対応する追跡結果として統合されてしまい、統合結果に矛盾が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、異なるオブジェクトに対応する追跡結果を含まないように追跡結果を統合することができる動線管理装置、動線管理方法及び動線管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る動線管理装置は、所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す一以上の追跡接続情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する矛盾判定部と、前記矛盾判定部により前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフから、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する矛盾解消部と、を備える。
【0008】
前記矛盾解消部は、一以上の前記追跡接続情報を消去し、前記1つの連結グラフを複数の連結グラフに分割することにより、前記矛盾が生じていない一以上の前記連結グラフを生成してもよい。
【0009】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、前記矛盾解消部は、前記同一性の強度が低い順に前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0010】
前記追跡接続情報は、各時刻における前記第1動線が示すオブジェクトと前記第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて算出される前記同一性の強度を示す前記追跡接続強度情報を含んでもよい。
【0011】
前記矛盾解消部は、前記矛盾が生じている前記連結グラフから1つの前記追跡接続情報を消去することにより、前記矛盾が生じている前記連結グラフを、第1の連結グラフと第2の連結グラフとに分割し、前記矛盾判定部は、前記第1の連結グラフと前記第2の連結グラフとのそれぞれについて、当該連結グラフに前記矛盾が生じているか否かを判定してもよい。
【0012】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフに前記矛盾が生じていると前記矛盾判定部が判定した場合に、当該分割後の連結グラフに含まれている前記追跡接続情報の数が所定数よりも多いとき、当該分割後の連結グラフを、当該第1の連結グラフと第2の連結グラフに分割してもよい。
【0013】
前記矛盾解消部は、前記追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0014】
前記矛盾判定部は、前記追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、消去する前記追跡接続情報の数が少ないパターンから順に、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンが含まれるか否かを判定してもよい。
【0015】
前記矛盾判定部は、消去する前記追跡接続情報の数が所定数を超えるまでに、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じないパターンが見つからなかった場合、前記矛盾が生じないパターンが含まれるか否かの判定を行わないように制御してもよい。
【0016】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じない前記パターンのうち、前記追跡接続情報の消去数が相対的に少ないパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0017】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、前記同一性の強度が相対的に低い前記追跡接続情報を消去するパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0018】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフの数が相対的に多いパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0019】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに前記矛盾が生じず、前記追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフに含まれる前記追跡接続情報の数が相対的に多いパターンに基づいて、前記追跡接続情報を消去してもよい。
【0020】
前記矛盾解消部は、分割後の連結グラフのうち、前記矛盾が生じている連結グラフに対応する全ての前記追跡接続情報を消去して、一以上の前記第1動線及び一以上の前記第2動線に分割し、一以上の前記追跡接続情報を復活させた場合において、当該追跡接続情報に対応する連結グラフに前記矛盾が生じないとき、当該一以上の追跡接続情報を復活させてもよい。
【0021】
前記追跡接続情報は、前記第1動線と前記第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報を含み、前記矛盾解消部は、前記同一性の強度が高い順に前記追跡接続情報を復活させてもよい。
【0022】
前記連結グラフは、一以上の前記第1動線のそれぞれに対応するオブジェクトの各時刻における前記所定エリアの位置を示す位置情報と、一以上の前記第2動線のそれぞれに対応するオブジェクトの各時刻における前記所定エリアの位置を示す位置情報とを含み、前記動線管理装置は、前記矛盾が生じていない連結グラフに含まれる前記第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに含まれる前記第2動線に対応する位置情報とに基づいて、各時刻に1つの位置が関連付けられた1つの動線を示す動線情報を生成する動線生成部をさらに備えてもよい。
【0023】
前記動線生成部は、前記第1動線に対応する各時刻における前記オブジェクトの位置に関する第1の信頼値と、前記第2動線に対応する各時刻における前記オブジェクトの位置に関する第2の信頼値とに基づいて、前記第1動線と前記第2動線とから、各時刻に1つの位置が関連付けられた1つの動線情報を生成してもよい。
【0024】
前記撮像装置は、全方位画像を撮像する撮像装置であり、前記動線生成部は、動線に対応するオブジェクトの各時刻における撮像画像上での位置と、撮像画像の中心位置との距離を、当該時刻における前記信頼値として算出してもよい。
【0025】
前記動線生成部は、同一の時刻に対応する、前記第1動線の前記位置情報に関する前記第1の信頼値と、前記第2動線の前記位置情報に関する前記第2の信頼値とを比較し、相対的に高い信頼値に対応する前記位置情報を、当該時刻における位置情報として含む前記動線情報を生成してもよい。
【0026】
前記動線生成部は、前記矛盾が生じていない連結グラフにおいて第1の時刻における位置と、前記第1の時刻に連続する第2の時刻における位置との距離が所定距離以上である場合、前記第1の時刻を基準として、前記矛盾が生じていない連結グラフを分割してもよい。
【0027】
本発明の第2の態様に係る動線管理方法は、コンピュータが実行する、所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す一以上の追跡接続情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定するステップと、前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフから、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成するステップと、を備える。
【0028】
本発明の第3の態様に係る動線管理プログラムは、コンピュータを、所定エリアを撮像する第1撮像装置により撮像された複数の第1画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す一以上の第1動線と、前記所定エリアを撮像する第2撮像装置により撮像された複数の第2画像に基づく複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示し、同一のオブジェクトの各時刻における位置を示す複数の第2動線と、前記第1動線と前記第2動線との同一性を示す一以上の追跡接続情報とを含み、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する矛盾判定部、及び、前記矛盾判定部により前記矛盾が生じていると判定されると、前記連結グラフから、前記矛盾が生じない、前記第1動線と前記第2動線と前記追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する矛盾解消部、として機能させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、異なるオブジェクトに対応する追跡結果を含まないように追跡結果を統合することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係るオブジェクト追跡システムの構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る第1撮像装置及び第2撮像装置の設置位置と撮像範囲とを示す図である。
図3】本実施形態に係る連結グラフの一例を示す図である。
図4図3に示す連結グラフを簡略化した例を示す図である。
図5】本実施形態に係る動線管理装置の構成を示す図である。
図6】本実施形態に係る動線管理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る第1分割処理により連結グラフが分割される例を示す図である。
図8】第1分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
図9】第2分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第3分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
図11】動線生成処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
図12】動線生成処理により連結グラフが分割される例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[オブジェクト追跡システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るオブジェクト追跡システムSの構成を示す図である。オブジェクト追跡システムSは、第1撮像装置1Aと、第2撮像装置1Bと、オブジェクト追跡装置2と、動線管理装置3とを備える。
【0032】
第1撮像装置1Aと、第2撮像装置1Bとは、所定エリアを撮像することにより動画を生成する撮像装置である。ここで、所定エリアは、例えば店舗のフロアである。所定エリアには、オブジェクト追跡システムSにおいて位置を追跡する対象のオブジェクトとして、客や店員等の人物が存在する。第1撮像装置1Aは、所定エリアの少なくとも一部を含む全方位画像を撮像することにより、複数の第1画像を含む動画を生成する。第2撮像装置1Bは、所定エリアの少なくとも一部を含む全方位画像を撮像することにより、複数の第2画像を含む動画を生成する。複数の第1画像及び複数の第2画像のそれぞれには、画像が撮像された撮像時刻が関連付けられているものとする。
【0033】
ここで、第1撮像装置1Aが撮像可能な範囲と第2撮像装置1Bが撮像可能な範囲とは、少なくとも一部で重複しているものとする。図2は、本実施形態に係る第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bの設置位置と撮像範囲とを示す図である。図2に示すように、所定エリアAには、第1撮像装置1Aと第2撮像装置1Bとが設置されている。また、図2には、第1撮像装置1Aの撮像範囲R1と、第2撮像装置1Bの撮像範囲R2とが示されている。図2に示すように、撮像範囲R1と撮像範囲R2とは、一部が重複していることが確認できる。なお、本実施形態において、第1撮像装置1A及び第2撮像装置1Bのそれぞれは、全方位画像を撮像するものとしたが、これに限らず、全方位画像ではない画像を撮像してもよい。
【0034】
オブジェクト追跡装置2は、第1撮像装置1Aから複数の第1画像を含む動画を取得するとともに、第2撮像装置1Bから複数の第2画像を含む動画を取得する。オブジェクト追跡装置2は、複数の第1画像に基づいて複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示す一以上の第1動線を生成する。オブジェクト追跡装置2は、複数の第2画像に基づいて複数のオブジェクトのそれぞれの追跡結果を示す一以上の第2動線を生成する。オブジェクト追跡装置2は、第1動線が示すオブジェクトと第2動線が示すオブジェクトとの同一性を示す一以上の追跡接続情報を生成する。
【0035】
ここで、1つの第1動線は、複数の時刻のそれぞれに、同一のオブジェクトの位置を示す位置情報が関連付けられた第1動線情報によって示される。また、1つの第2動線は、複数の時刻のそれぞれに、同一のオブジェクトの位置を示す位置情報が関連付けられた第2動線情報によって示される。第1動線情報及び第2動線情報のそれぞれには、動線を識別する動線識別情報が含まれている。
【0036】
動線管理装置3は、オブジェクト追跡装置2から、一以上の第1動線情報と、一以上の第2動線情報と、一以上の追跡接続情報とを取得する。動線管理装置3は、一以上の第1動線情報と、一以上の第2動線情報と、一以上の追跡接続情報とを含み、同一のオブジェクトに対応する連結グラフを生成する。ここで、連結グラフは、1つの第1動線情報又は1つの第2動線情報のみから構成されていてもよい。図3は、本実施形態に係る連結グラフの一例を示す図である。図3に示す連結グラフには、3つの第1動線LA1~LA3と、2つの第2動線LB1、LB2とが含まれている。
【0037】
図3に示すように、動線は、各時刻におけるオブジェクトの位置を示す位置情報Pを複数含んでいる。また、第1動線と、第2動線とは、各時刻においてオブジェクトの同一性が判定されている。図3に示す接続線Lは、第1動線と、第2動線とが、ある時刻において同一であることを示している。例えば、図3において、第1動線LA1と第2動線LB1とは、3つの接続線Lによって接続されており、3つの時刻において同一であると判定されていることが確認できる。
【0038】
図4は、図3に示す連結グラフを簡略化した例を示す図である。図4に示す連結グラフでは、第1動線と第2動線とは、追跡接続情報C(C1~C4)により接続されていることが確認できる。
【0039】
ところで、連結グラフに含まれる第1動線が示すオブジェクトと、第2動線が示すオブジェクトとの同一性の判定に誤りが含まれていると、連結グラフに異なるオブジェクトの動線が含まれてしまい、連結グラフに矛盾が生じてしまう。図3に示す例では、第1動線LA1と、第1動線LA2とは、第2動線LB1を通して接続関係にあり、これは同一のオブジェクトを示すことを意味する。しかしながら、第1動線LA1と、第1動線LA2とは、同一の撮像装置が撮像した画像によって生成され、かつ、一部の時刻が重複している。そのため、同一の撮像装置が撮像した画像中に、同時刻に同一のオブジェクトが2個存在するという矛盾が生じる。したがって、図3に示す第1動線LA1と、第1動線LA2とは、異なるオブジェクトに対応しており、図3に示す連結グラフには、誤った追跡接続情報による矛盾が生じている。
【0040】
これに対し、本実施形態における動線管理装置3は、生成した連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する。動線管理装置3は、連結グラフに矛盾が生じていると判定すると、連結グラフから、矛盾が生じない第1動線と第2動線と追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する。このようにすることで、動線管理装置3は、異なるオブジェクトに対応する追跡結果を含まないように追跡結果を統合することができる。
【0041】
[動線管理装置3の構成]
続いて、動線管理装置3の構成を説明する。図5は、本実施形態に係る動線管理装置3の構成を示す図である。図5に示すように、動線管理装置3は、記憶部31と、制御部32とを備える。
【0042】
記憶部31は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部31は、制御部32が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部31は、動線管理装置3を、取得部321、生成部322、矛盾判定部323、矛盾解消部324、及び動線生成部325として機能させる動線管理プログラムを記憶している。
【0043】
制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)である。制御部32は、記憶部31に記憶された動線管理プログラムを実行することにより、取得部321、生成部322、矛盾判定部323、矛盾解消部324、及び動線生成部325として機能する。
【0044】
取得部321は、オブジェクト追跡装置2から、一以上の第1動線、一以上の第2動線、及び一以上の追跡接続情報を取得する。
生成部322は、取得部321が取得した一以上の第1動線、一以上の第2動線、及び一以上の追跡接続情報に基づいて一以上の連結グラフを生成する。
【0045】
矛盾判定部323は、同一のオブジェクトに対応するものとして生成された1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、当該連結グラフに含まれる第1動線、第2動線及び追跡接続情報に矛盾が生じているか否かを判定する。
【0046】
矛盾解消部324は、矛盾判定部323により連結グラフに矛盾が生じていると判定されると、当該連結グラフから、矛盾が生じない第1動線と第2動線と追跡接続情報とを含む連結グラフを生成することにより、矛盾を解消させる。矛盾解消部324は、1つの連結グラフに含まれている複数の追跡接続情報のうち、一以上の追跡接続情報を消去し、当該1つの連結グラフを複数の連結グラフに分割することにより、矛盾が生じていない一以上の連結グラフを生成する。
【0047】
動線生成部325は、矛盾が生じていない連結グラフに含まれる第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに含まれる第2動線に対応する位置情報とに基づいて、各時刻に1つの位置が関連付けられた1つの動線を示す動線情報を生成する。
【0048】
[動線管理装置3における処理の流れ]
以下、動線管理装置3における処理の流れを示す図6を参照しながら、取得部321、生成部322、矛盾判定部323、矛盾解消部324、及び動線生成部325の詳細について説明する。図6は、本実施形態に係る動線管理装置3における処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
まず、取得部321は、オブジェクト追跡装置2から、一以上の第1動線、一以上の第2動線、及び一以上の追跡接続情報を取得する(S1)。ここで、追跡接続情報には、接続される第1動線と第2動線とのそれぞれを識別する動線識別情報と、同一であると判定された一以上の時刻とが含まれている。また、追跡接続情報には、接続される第1動線に対応するオブジェクトと、第2動線に対応するオブジェクトとの同一性の強度を示す追跡接続強度情報が含まれている。
【0050】
同一性の強度は、各時刻における第1動線が示すオブジェクトと、第2動線が示すオブジェクトとの同一性判定の結果に基づいて算出されてもよい。同一性の強度は、同一であると判定された回数が多いほど、高くなるように算出される。例えば、図3に示す第1動線LA1と第2動線LB1とは、3つの時刻においてオブジェクトが同一であると判定され、第1動線LA2と第2動線LB1とは、2つの時刻においてオブジェクトが同一であると判定されている。この場合、第1動線LA1と第2動線LB1とに対応する同一性の強度は、第1動線LA2と第2動線LB1とに対応する同一性の強度よりも高い。
【0051】
なお、同一性の強度は、各時刻における第1動線が示すオブジェクトの位置と、第2動線が示すオブジェクトの位置との距離に基づいて算出されてもよい。また、同一性の強度は、各時刻における第1動線が示すオブジェクトの画像の特徴量と、第2動線が示すオブジェクトの画像の特徴量とに基づいて算出されてもよい。
【0052】
続いて、生成部322は、取得部321が取得した一以上の第1動線、一以上の第2動線、及び一以上の追跡接続情報に基づいて一以上の連結グラフを生成する(S2)。例えば、生成部322は、1つの動線を選択し、当該動線に対応する追跡接続情報を特定する。そして、生成部322は、特定した追跡接続情報に基づいて、当該動線に接続される他の動線を特定する。生成部322は、特定した他の動線についても、追跡接続情報及び接続される他の動線を特定する。生成部322は、新たに特定した他の動線について、追跡接続情報及び接続される他の動線の特定を繰り返すことにより、同一のオブジェクトを示す連結グラフを生成する。なお、本実施形態では、生成部322が連結グラフを生成することとしたが、これに限らず、オブジェクト追跡装置2が連結グラフを生成してもよい。そして、動線管理装置3が、オブジェクト追跡装置2から、当該連結グラフを示す第1動線、第2動線、及び追跡接続情報の組み合わせを取得してもよい。
【0053】
[第1分割処理]
続いて、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、S2において生成された連結グラフを必要に応じて分割する第1分割処理を実行する(S3)。
【0054】
図7は、本実施形態に係る第1分割処理により連結グラフが分割される例を示す図である。第1分割処理において、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、連結グラフに矛盾が生じている場合に、当該連結グラフから1つの追跡接続情報を消去することにより連結グラフを分割する。そして、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、分割後の連結グラフについても、矛盾が生じているか否かを判定し、矛盾が生じている場合には、分割後の連結グラフから1つの追跡接続情報を消去することにより分割後の連結グラフをさらに分割する。
【0055】
図7に示す例において、追跡接続情報の数が120個の連結グラフG1に矛盾が生じている場合、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、連結グラフG1から1つの追跡接続情報を消去し、追跡接続情報を50個含む連結グラフG2と、追跡接続情報を69個含む連結グラフG3とに分割する。そして、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、連結グラフG2が矛盾している場合、連結グラフG2から1つの追跡接続情報を消去し、追跡接続情報を30個含む連結グラフG4と、追跡接続情報を19個含む連結グラフG5とに分割する。同様に、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、連結グラフG4を連結グラフG6と連結グラフG7とに分割し、連結グラフG7を連結グラフG8と連結グラフG9とに分割する。なお、分割後の連結グラフに矛盾が生じており、さらに、連結グラフに含まれる追跡接続情報の数が所定数(例えば、10個)以下の場合には、当該連結グラフに対して、後述する第2分割処理が行われる。図7に示す例では、連結グラフG6と連結グラフG8とについて、第2分割処理が行われる。
【0056】
以下に、第1分割処理における処理の流れを参照しながら、第1分割処理における矛盾判定部323及び矛盾解消部324の機能について説明する。図8は、第1分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、矛盾判定部323は、生成部322が生成した複数の連結グラフのうち、1つの連結グラフを選択する(S31)。
続いて、矛盾判定部323は、選択した1つの連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する(S32)。具体的には、矛盾判定部323は、選択した1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、当該連結グラフに含まれる第1動線と第2動線と追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する。矛盾判定部323は、矛盾が生じていると判定すると、S33に処理を移し、矛盾が生じていないと判定すると、S35に処理を移す。
【0058】
S33において、矛盾解消部324は、選択した1つの連結グラフに含まれている追跡接続情報の数が所定数よりも多いか否かを判定する。矛盾解消部324は、追跡接続情報の数が所定数よりも多いと判定すると、S34に処理を移す。矛盾解消部324は、追跡接続情報の数が所定数以下であると判定すると、矛盾が生じている連結グラフを分割することなくS35に処理を移す。
【0059】
S34において、矛盾解消部324は、矛盾が生じている連結グラフから1つの追跡接続情報を消去することにより、連結グラフを、第1の連結グラフと第2の連結グラフとに分割する。ここで、追跡接続情報は、第1動線と第2動線との同一性の強度を示す追跡接続強度情報が含まれている。矛盾解消部324は、連結グラフに含まれている一以上の追跡接続情報のそれぞれに含まれている追跡接続強度情報を参照し、連結グラフに含まれている複数の追跡接続情報のうち、同一性の強度が低い順に追跡接続情報を消去する。このようにすることで、動線管理装置3は、追跡接続情報を消去されることによって生成される連結グラフに矛盾が生じていない確率を高めることができる。
【0060】
S35において、矛盾判定部323は、未選択の連結グラフがあるか否かを判定する。ここで、未選択の連結グラフには、S34により1つの連結グラフから分割された第1の連結グラフと、第2の連結グラフとが含まれるものとする。矛盾判定部323は、未選択の連結グラフがあると判定すると、S31に処理を移し、未選択の連結グラフがないと判定すると、本フローチャートに示される第1分割処理を終了する。
【0061】
上述したように、未選択の連結グラフには、1つの連結グラフから分割された第1の連結グラフと、第2の連結グラフとが含まれることから、当該第1の連結グラフと、第2の連結グラフとは、複数回実行されるS31の処理において、1回ずつ選択される。これにより、矛盾判定部323は、第1連結グラフと第2連結グラフとのそれぞれについて、当該連結グラフに矛盾が生じているか否かを判定する。
【0062】
そして、分割後の連結グラフについて、S32において矛盾が生じていると矛盾判定部323が判定した場合、矛盾解消部324は、S33において当該分割後の連結グラフに含まれている追跡接続情報の数が所定数よりも多いと判定したことを条件として、当該分割後の連結グラフを、当該第1の連結グラフと第2の連結グラフに分割する。
【0063】
これにより、分割された連結グラフに含まれる追跡接続情報の数が所定数以上である場合には、矛盾解消部324による連結グラフの分割と、矛盾判定部323による分割後の矛盾判定とが繰り返される。このようにすることで、動線管理装置3は、矛盾が生じている連結グラフから、矛盾が生じていない連結グラフが生成される確率を高めることができる。
【0064】
[第2分割処理]
図6に説明を戻す。続いて、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、S3の終了時点で依然として矛盾が生じている連結グラフを、矛盾が生じない連結グラフに分割する第2分割処理を実行する(S4)。
【0065】
具体的には、矛盾判定部323は、矛盾が生じている連結グラフから追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、消去する追跡接続情報の数が少ないパターンから順に、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じないパターンが含まれるか否かを判定する。
【0066】
そして、矛盾解消部324は、追跡接続情報を消去する複数のパターンのうち、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じないパターンに基づいて、追跡接続情報を消去する。矛盾解消部324は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じないパターンのうち、追跡接続情報の消去数が相対的に少ないパターン(例えば、消去数が最も少ないパターン)に基づいて、追跡接続情報を消去する。このようにすることで、動線管理装置3は、第1分割処理よりも確実に矛盾が生じない連結グラフを生成することができる。
【0067】
以下、第2分割処理に対応する処理の流れの詳細について説明する。図9は、第2分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
まず、矛盾判定部323は、矛盾が生じている1つの連結グラフを選択する(S41)。
続いて、矛盾判定部323は、選択した連結グラフにおいて消去する追跡接続情報の数であるNの値を1に設定する(S42)。
【0069】
続いて、矛盾判定部323は、選択した連結グラフにおいて、追跡接続情報をN個消去する消去パターンを特定する(S43)。例えば、図4に示す例においてNが1である場合の消去パターンは、追跡接続情報C1を消去するパターン、追跡接続情報C2を消去するパターン、追跡接続情報C3を消去するパターン、及び追跡接続情報C4を消去するパターンの4つのパターンである。
【0070】
続いて、矛盾判定部323は、特定した消去パターンに基づいて追跡接続情報を消去した結果、連結グラフに矛盾が生じない消去パターンがあるか否かを判定する(S44)。矛盾判定部323は、矛盾が生じない消去パターンがあると判定すると、S45に処理を移す。
【0071】
S45において、矛盾解消部324は、矛盾が生じない消去パターンに基づいて、選択されている1つの連結グラフから追跡接続情報を消去する。ここで、矛盾解消部324は、選択されている1つの連結グラフから分割した後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じず、追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、当該複数のパターンのうち、同一性の強度が相対的に低い追跡接続情報を消去するパターンに基づいて、追跡接続情報を消去する。このようにすることで、動線管理装置3は、連結グラフから、当該連結グラフに対応するオブジェクトと同一ではない可能性が高いオブジェクトに対応する動線を切り離すことができる。
【0072】
また、矛盾判定部323は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じず、追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合には、追跡接続情報の消去によって分割された後の複数の連結グラフのそれぞれについて、矛盾が生じているか否かを判定してもよい。そして、矛盾解消部324は、当該複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフの数が相対的に多いパターンに基づいて、追跡接続情報を消去してもよい。このようにすることで、動線管理装置3は、矛盾が解消した連結グラフを効率的に生成することができる。
【0073】
なお、矛盾解消部324は、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じず、追跡接続情報の消去数が同じパターンが複数存在する場合、分割後に矛盾が解消できる連結グラフの数が相対的に多いパターンに基づいて、追跡接続情報を消去したが、これに限らない。矛盾解消部324は、追跡接続情報の消去数が同じ複数のパターンのうち、分割後に矛盾が解消できる連結グラフに含まれる追跡接続情報の数が相対的に多いパターンに基づいて、追跡接続情報を消去してもよい。このようにすることで、動線管理装置3は、規模の大きい連結グラフを優先的に生成することができる。
矛盾解消部324は、S45の処理が終了すると、S48に処理を移す。
【0074】
矛盾判定部323は、S44において、矛盾が生じない消去パターンがないと判定するとS46に処理を移し、Nに1を加算する。これにより、追跡接続情報を消去する数が増加する。
【0075】
ここで、連結グラフに含まれている追跡接続情報の数が多い場合、Nの増加に伴って消去パターンが著しく増加し、処理負荷が大きくなるという問題がある。そこで、矛盾判定部323は、消去する追跡接続情報の数が所定数を超えるまでに、分割後の連結グラフの少なくとも一部の連結グラフに矛盾が生じないパターンが見つからなかった場合は、矛盾が生じないパターンが含まれるか否かの判定を行わないように制御する。
【0076】
具体的には、矛盾判定部323は、S47において、Nが所定数を超えたか否かを判定する。矛盾判定部323は、Nが所定数を超えたと判定すると、選択している連結グラフについて、矛盾が生じないパターンが含まれるか否かの判定を新たに行わず、S48に処理を移す。また、矛盾判定部323は、Nが所定数を超えていないと判定すると、S43に処理を移し、矛盾が生じないパターンが含まれるか否かの判定を継続する。このようにすることで、動線管理装置3は、処理負荷を軽減することができる。
【0077】
続いて、矛盾判定部323は、未選択の矛盾が生じている連結グラフがあるか否かを判定する(S48)。矛盾判定部323は、未選択の矛盾が生じている連結グラフがあると判定すると、S41に処理を移し、未選択の矛盾が生じている連結グラフがないと判定すると、本フローチャートに示される第2分割処理を終了する。
【0078】
[第3分割処理]
図6に説明を戻す。続いて、矛盾判定部323及び矛盾解消部324は、S4の終了時点で依然として矛盾が生じている連結グラフを、矛盾が生じない連結グラフに分割する第3分割処理を実行する(S4)。
【0079】
具体的には、矛盾解消部324は、分割後の連結グラフのうち、矛盾が生じている連結グラフに対応する全ての追跡接続情報を消去して、一以上の第1動線及び一以上の第2動線に分割する。そして、矛盾解消部324は、消去した一以上の追跡接続情報を復活させた場合において、当該追跡接続情報に対応する連結グラフに矛盾が生じないとき、当該一以上の追跡接続情報を復活させる。このようにすることで、動線管理装置3は、第2分割処理よりも確実に矛盾が生じない連結グラフを生成することができる。
【0080】
以下、第3分割処理に対応する処理の流れの詳細について説明する。図10は、第3分割処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
まず、矛盾判定部323は、矛盾が生じている1つの連結グラフを選択する(S51)。
続いて、矛盾解消部324は、選択した連結グラフに含まれている全ての追跡接続情報を消去する(S52)。これにより、連結グラフは、一以上の第1動線及び一以上の第2動線に分割される。
【0082】
続いて、矛盾解消部324は、消去した追跡接続情報のうち、1つの追跡接続情報を選択する(S53)。ここで、矛盾解消部324は、消去した追跡接続情報を同一性の強度が高い順に並び変える。そして、矛盾解消部324は、消去した追跡接続情報のうち、同一性の強度が高い追跡接続情報を選択する。
【0083】
続いて、矛盾判定部323は、S53において選択された追跡接続情報を復活させて連結グラフを生成した場合に、当該追跡接続情報に対応する連結グラフに矛盾が生じないか否かを判定する(S54)。ここで、矛盾判定部323は、既に他の追跡接続情報を復活させて連結グラフが生成されている場合には、S53において選択された追跡接続情報を復活させることにより、当該連結グラフに含まれる追跡接続情報及び動線を増加させる。矛盾判定部323は、矛盾が生じないと判定すると、S55に処理を移し、矛盾が生じていると判定すると、S56に処理を移す。
【0084】
S55において、矛盾解消部324は、選択した追跡接続情報を復活させ、連結グラフを生成する。矛盾解消部324は、S53において、同一性の強度が高い順に追跡接続情報を選択することから、S55において、同一性の強度が高い順に追跡接続情報を復活させる。このようにすることで、動線管理装置3は、同一のオブジェクトである可能性が高い動線から順に接続させて連結グラフを生成することができる。矛盾解消部324は、S55の処理が終了すると、S53に処理を移す。
【0085】
S56において、矛盾判定部323は、未選択の矛盾が生じている連結グラフがあるか否かを判定する(S56)。矛盾判定部323は、未選択の矛盾が生じている連結グラフがあると判定すると、S51に処理を移し、未選択の矛盾が生じている連結グラフがないと判定すると、本フローチャートに示される第3分割処理を終了する。
【0086】
[動線生成処理]
図6に説明を戻す。続いて、動線生成部325は、S3~S5において生成された矛盾が生じていない連結グラフについて、第1動線に対応する位置情報と、当該連結グラフに対応する第2動線に対応する位置情報とに基づいて、複数の時刻のそれぞれに1つの位置情報を関連付けた1つの動線を示す動線情報を生成する動線生成処理を実行する(S6)。
【0087】
具体的には、動線生成部325は、1つの連結グラフに含まれる第1動線の各時刻における位置情報に関する第1の信頼値と、第2動線の各時刻における位置情報に関する第2の信頼値とに基づいて、第1動線と第2動線とから各時刻に1つの位置が関連付けられた1つの動線情報を生成する。ここで、信頼値は、動線に含まれる位置情報が示すオブジェクトの位置の確からしさを示す値である。信頼値は、例えば、動線の各時刻におけるオブジェクトの位置と、撮像装置との位置に基づいて定められる値である。なお、信頼値は、数値に限定されるものではなく、記号であってもよい。
【0088】
動線生成部325は、同一の時刻に対応する、第1動線の位置情報に関する第1の信頼値と、第2動線の位置情報に関する第2の信頼値とを比較し、相対的に高い信頼値に対応する位置情報を、当該時刻における位置情報として含む動線情報を生成する。このようにすることで、動線管理装置3は、連結グラフに含まれる複数の動線を1つの動線に統合することができる。また、動線管理装置3は、信頼値に基づいて動線情報を生成することにより、高精度の位置を示す位置情報を含む動線情報を生成することができる。
【0089】
以下、動線生成処理に対応する処理の流れの詳細について説明する。図11は、動線生成処理に対応する処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
まず、動線生成部325は、1つの連結グラフを選択する(S601)。連結グラフには、一以上の第1動線を示す一以上の第1動線情報と、一以上の第2動線を示す一以上の第2動線情報と、追跡接続情報とが含まれている。
【0091】
続いて、動線生成部325は、選択した連結グラフに含まれている第1動線情報と、第2動線情報とを参照し、これらの動線情報に含まれている時刻のうち、最も古い時刻を選択する(S602)。
【0092】
続いて、動線生成部325は、選択した時刻を含む動線情報において、当該時刻に関連付けられている位置情報を特定する(S603)。ここで、動線生成部325は、第1動線情報と、第2動線情報とのいずれか一方に選択した時刻が含まれている場合、1つの位置情報を特定する。また、動線生成部325は、第1動線情報と、第2動線情報との双方に選択した時刻が含まれている場合、動線生成部325は、2つの位置情報を特定する。
【0093】
続いて、動線生成部325は、2つの位置情報を特定したか否かを判定する(S604)。動線生成部325は、2つの位置情報を特定したと判定すると、S605に処理を移し、2つの位置情報を特定していないと判定すると、S606に処理を移す。
【0094】
S605において、動線生成部325は、2つの位置情報である、第1動線情報に対応する位置情報と、第2動線情報に対応する位置情報とのうち、信頼値が高い位置情報を特定する。具体的には、動線生成部325は、まず、第1動線情報に対応する位置情報に関する第1の信頼値と、第1動線情報に対応する位置情報に関する第2の信頼値とを算出する。例えば、動線生成部325は、撮像装置が全方位カメラの場合、選択されている時刻に対応する、撮像装置が撮像した撮像画像上における動線に対応するオブジェクトの位置と、撮像画像の中心位置との距離の逆数を、当該時刻における信頼値として算出する。もしくは、動線生成部325は、撮像画像上のオブジェクトに対応する領域の面積を信頼値として算出してもよい。また、機械学習や深層学習装置を別途備え、動線生成部325は、機械学習や深層学習装置を用いて、オブジェクトの検出スコアや識別スコアを信頼値として算出してもよい。そして、動線生成部325は、算出した第1の信頼値と、算出した第2の信頼値とを比較し、相対的に高い信頼値に対応する位置情報を特定する。このようにすることで、動線管理装置3は、オブジェクトの特定精度が高い位置情報に基づく動線を生成することができる。
【0095】
ここで、選択した時刻において特定された位置情報が示す位置と、選択した時刻の直前に特定された位置情報が示す位置とが所定距離以上離れている場合、オブジェクトが、一瞬にして所定距離以上移動したこととなる。この場合、動線においてオブジェクトの追跡に失敗し、動線に異なるオブジェクトの位置情報が含まれている可能性が高い。
【0096】
そこで、動線生成部325は、選択した時刻(第1の時刻)における位置と、選択した時刻の直前の時刻(第1の時刻に連続する第2の時刻)における位置との距離が所定距離以上である場合、選択した時刻を基準として、S601において選択された、矛盾が生じていない連結グラフを分割する(S606、S607)。
【0097】
具体的には、動線生成部325は、S603又はS605において特定した位置情報が示す位置と、S602において選択された時刻の直前の時刻に対して特定した位置情報が示す位置とが所定距離以上離れているか否かを判定する(S606)。動線生成部325は、所定距離以上離れていると判定すると、S609に処理を移し、所定距離以上離れていないと判定すると、S607に処理を移す。
【0098】
S607において、動線生成部325は、選択した時刻と、特定した位置情報とを含む動線情報を生成する。動線生成部325は、選択された連結グラフに対して既に動線情報が生成されている場合、当該動線情報に、選択した時刻と、特定した位置情報とを格納する。
【0099】
S608において、動線生成部325は、全ての時刻を選択したか否かを判定する。動線生成部325は、全ての時刻を選択したと判定すると、S610に処理を移し、全ての時刻を選択していないと判定すると、S602に処理を移す。
【0100】
動線生成部325は、S606における判定がYESの場合、S609において、選択されている時刻を基準として連結グラフを分割する。このように、動線管理装置3は、選択した時刻における位置と、選択した時刻の直前の時刻における位置との距離が所定距離以上である場合、選択した時刻を基準として、S601において選択された連結グラフを分割する。
【0101】
図12は、動線生成処理により連結グラフが分割される例を説明する図である。図12に示す例では、連結グラフに、第1動線LA10と、第2動線LA20が含まれている。第1動線及び第2動線のそれぞれについて、各時刻の位置を示す位置情報Pに、信頼値を示す記号N又はFが示されている。記号Nは、オブジェクトの位置と、撮像画像の中心位置との距離が相対的に短く、信頼値が高いことを示している。また、記号Fは、オブジェクトの位置と、撮像画像の中心位置との距離が相対的に長く、信頼値が低いことを示している。
【0102】
図12に示す例では、時刻t1~t8までは、第1動線に対応する位置情報が特定され、時刻t9において、第2動線に対応する位置情報が特定される。ここで、第2動線では、時刻t5において、追跡対象のオブジェクトの誤判定が起こり、追跡対象が、時刻t4とは異なるオブジェクトに切り替わっているものとする。この場合に、時刻t9において特定された位置と、時刻t8において特定された位置とが所定距離以上であるとすると、動線生成部325は、図12に示す連結グラフを、時刻t9において分割する。具体的には、動線生成部325は、時刻t1~t8に対応する連結グラフと、時刻t9~t15に対応するとともに、第1動線に対応する連結グラフと、時刻t9~t15に対応するとともに、第2動線に対応する連結グラフとの3つの連結グラフに分割する。このようにすることで、動線管理装置3は、生成される動線に、複数のオブジェクトに対応する位置情報が含まれることを抑制することができる。
【0103】
図11に説明を戻す。S610において、動線生成部325は、未選択の連結グラフがあるか否かを判定する。ここで、未選択の連結グラフには、S609において分割された、選択した時刻以降の時刻に対応する連結グラフが含まれるものとする。例えば、図12に示す例における、時刻t9~t15に対応するとともに第1動線に対応する連結グラフと、時刻t9~t15に対応するとともに第2動線に対応する連結グラフとが含まれるものとする。動線生成部325は、未選択の連結グラフがあると判定すると、S601に処理を移し、未選択の連結グラフがないと判定すると、本フローチャートに示される動線生成処理を終了する。
【0104】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る動線管理装置3は、一以上の第1動線と、複数の第2動線と、第1動線と第2動線との同一性を示す一以上の追跡接続情報とを含み、同一のオブジェクトを示す1つの連結グラフに、複数の動線であって、対応する撮像装置及び対応する時刻が重複する複数の動線が存在するか否かを判定することにより、第1動線と第2動線と追跡接続情報とに矛盾が生じているか否かを判定する。そして、動線管理装置3は、矛盾が生じていると判定すると、連結グラフから、矛盾が生じない第1動線と第2動線と追跡接続情報とを含む連結グラフを生成する。このようにすることで、動線管理装置3は、異なるオブジェクトに対応する追跡結果を含まないように追跡結果としての第1動線と第2動線と追跡接続情報とを統合し、連結グラフを生成することができる。
【0105】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。
【0106】
上記実施形態では、動線管理装置3は、第1分割処理の実行後に第2分割処理を実行し、第2分割処理の実行後に第3分割処理を実行したが、これに限らない。例えば、動線管理装置3は、第2分割処理のみを実行したり、第3分割処理のみを実行したり、第1分割処理、第2分割処理及び第3分割処理のうちの任意の2つの処理をこの順序で組み合わせて実行したりしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、動線管理装置3は、第1撮像装置1Aにより撮像された複数の第1画像に基づく一以上の第1動線と、第2撮像装置1Bにより撮像された複数の第2画像に基づく一以上の第2動線とに基づいて矛盾が生じない連結グラフを生成し、当該連結グラフに基づいて、各時刻に1つの位置情報が関連付けられた動線を生成したが、これに限らない。動線管理装置3は、3台以上の撮像装置がそれぞれ撮像した複数の画像に基づく複数の動線に基づいて連結グラフを生成し、当該連結グラフに基づいて、各時刻に1つの位置情報が関連付けられた動線を生成してもよい。
【0108】
この場合、例えば、動線管理装置3は、2つの撮像装置のそれぞれにより撮像された複数の画像に基づく一以上の動線に基づいて矛盾が生じない連結グラフを生成し、当該連結グラフに基づいて、各時間に1つの位置情報が関連付けられた動線を生成する。そして、動線管理装置3は、生成された動線と、3台目の撮像装置が撮像した複数の画像に基づく複数の動線とに基づいて矛盾が生じない連結グラフを生成し、当該連結グラフに基づいて、各時間に1つの位置情報が関連付けられた動線を生成する。このようにすることで、動線管理装置3は、3台以上の撮像装置がそれぞれ撮像した複数の画像に基づく複数の動線に基づいて、1つのオブジェクトに対応する、各時間に1つの位置情報が関連付けられた動線を生成することができる。
【0109】
また、特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0110】
例えば、上記実施形態では、動線管理装置3と、オブジェクト追跡装置2とは異なる装置であるものとしたが、これに限らない。オブジェクト追跡装置2と、動線管理装置3とは、1つの装置により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1A・・・第1撮像装置、1B・・・第2撮像装置、2・・・オブジェクト追跡装置、3・・・動線管理装置、31・・・記憶部、32・・・制御部、321・・取得部、322・・・生成部、323・・・矛盾判定部、324・・・矛盾解消部、325・・・動線生成部、S・・・オブジェクト追跡システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12