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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】曲げダンパ付きトーショナルダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/126 20060101AFI20220124BHJP
   F16F 15/12 20060101ALI20220124BHJP
   F16H 55/36 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
F16F15/126 C
F16F15/12 S
F16F15/126 A
F16F15/126 B
F16H55/36 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018083565
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019019976
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2017139615
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】中島 徹
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04881426(US,A)
【文献】実開昭63-145040(JP,U)
【文献】特開2000-055131(JP,A)
【文献】実開平01-144544(JP,U)
【文献】特開平07-301281(JP,A)
【文献】実開昭61-154359(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/126
F16F 15/12
F16H 55/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボス部、ステー部およびリム部を有するとともに前記ボス部に挿通するプーリボルトによってシャフトの端部に取り付けられるハブと、前記リム部の外周側にダンパゴムを介してダンパマスを連結したトーショナルダンパ部と、前記リム部の内周側に取付部材および曲げダンパゴムを介して曲げダンパマスを連結した曲げダンパ部と、を備える曲げダンパ付きトーショナルダンパであって、
前記リム部の内周面に設けられた円周上一部の隆起部と、前記隆起部に設けられた雌ネジ部と、前記隆起部と干渉しないよう前記隆起部と円周上の位置を合わせて前記曲げダンパマスおよび前記曲げダンパゴムに設けられた円周上一部の切り欠き部と、前記切り欠き部と円周上の位置を合わせて前記取付部材に設けられたネジ挿通穴と、前記ネジ挿通穴から挿通され前記雌ネジ部に着脱可能にねじ込まれる取付ネジと、を備えることを特徴とする曲げダンパ付きトーショナルダンパ。
【請求項2】
請求項1記載の曲げダンパ付きトーショナルダンパにおいて、
前記曲げダンパマスが前記ハブに対し径方向に変位したときに前記隆起部の内周面に当接することにより変位量を規制する径方向ストッパ部材を前記曲げダンパマスに取り付けたことを特徴とする曲げダンパ付きトーショナルダンパ。
【請求項3】
請求項2記載の曲げダンパ付きトーショナルダンパにおいて、
前記曲げダンパマスは、前記円周上一部の切り欠き部が設けられることにより内周側の環状部分と外周側の非環状部分とを備え、
前記環状部分は、前記隆起部の内周側に配置され、
前記非環状部分は、前記隆起部と円周上交互に配置され、
前記環状部分のステー側端部に装着溝が設けられ、
前記装着溝に前記径方向ストッパ部材が装着され、
前記非環状部分の軸方向長さが前記環状部分の軸方向長さよりも大きく設定されることにより前記非環状部分のステー側端部が前記装着溝に装着された前記径方向ストッパ部材のステー側端部よりも前記ステー部側へ突出していることを特徴とする曲げダンパ付きトーショナルダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動系の防振技術に係る曲げダンパ付きトーショナルダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から図11に示すトーショナルダンパ1が知られており、このトーショナルダンパ1は、ボス部12、ステー部13およびリム部14を有するとともにボス部12に挿通するプーリボルト41によってシャフト(図示せず)の端部に取り付けられるハブ11と、リム部14の外周側にダンパゴム22を介してダンパマス23を連結したトーショナルダンパ部21と、リム部14の内周側に取付部材32および曲げダンパゴム33を介して曲げダンパマス34を連結した曲げダンパ部31と、を備える曲げダンパ付きトーショナルダンパとされている。
【0003】
上記構成のトーショナルダンパ1は、回転駆動系に生起される捩り振動(円周方向の振動)をトーショナルダンパ部21の共振作動によって吸収するとともに、回転駆動系に生起される曲げ振動(径方向の振動)を曲げダンパ部31の共振作動によって吸収するため、1つのダンパ装置で2種類の振動を吸収低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平1-144544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記トーショナルダンパ1には、以下の点で改良の余地がある。
【0006】
すなわち上記構成のトーショナルダンパ1において、曲げダンパ部31の取付部材32は、嵌合構造によってリム部14の内周側に固定されるものとされており、嵌合構造は嵌合代を設定することから、一旦固定すると取付部材32をリム部14から取り外すことができず、或いは取り外しに手間がかかるものとされている。
【0007】
一方、上記したようにトーショナルダンパ1は、ハブ11のボス部12に挿通するプーリボルト41によってシャフトの端部に取り付けられるので、トーショナルダンパ1をシャフトの端部に装着する装着作業を行う際には、プーリボルト41やこれと組み合わされる座金42を曲げダンパ部31の内周側へ差し込むことになる。
【0008】
したがって、この差し込みを可能にするため曲げダンパ部31はその内径寸法dをプーリボルト41の頭部41aや座金42の外径寸法dよりも大きく形成しなければならず、反対に曲げダンパ部31の内径寸法dをプーリボルト41の頭部41aや座金42の外径寸法dよりも小さく形成するとプーリボルト41や座金42を曲げダンパ部31の内周側へ差し込むことができなくなる。
【0009】
したがって上記トーショナルダンパ1には、曲げダンパ部31の内径寸法dを必ずプーリボルト41の頭部41aや座金42の外径寸法dよりも大きく形成しなければならないと云う条件が存在することになり、これにより曲げダンパ部31を径方向内方へ向けて拡大することができず、曲げダンパ部31に係る設計の自由度が小さい不都合がある。
【0010】
本発明は、曲げダンパ部を径方向内方へ向けて拡大することができ、もって曲げダンパ部に係る設計の自由度を拡大することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のトーショナルダンパは、ボス部、ステー部およびリム部を有するとともに前記ボス部に挿通するプーリボルトによってシャフトの端部に取り付けられるハブと、前記リム部の外周側にダンパゴムを介してダンパマスを連結したトーショナルダンパ部と、前記リム部の内周側に取付部材および曲げダンパゴムを介して曲げダンパマスを連結した曲げダンパ部と、を備える曲げダンパ付きトーショナルダンパであって、前記リム部の内周面に設けられた円周上一部の隆起部と、前記隆起部に設けられた雌ネジ部と、前記隆起部と干渉しないよう前記隆起部と円周上の位置を合わせて前記曲げダンパマスおよび前記曲げダンパゴムに設けられた円周上一部の切り欠き部と、前記切り欠き部と円周上の位置を合わせて前記取付部材に設けられたネジ挿通穴と、前記ネジ挿通穴から挿通され前記雌ネジ部に着脱可能にねじ込まれる取付ネジと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、実施の態様として、上記記載の曲げダンパ付きトーショナルダンパにおいて、前記曲げダンパマスが前記ハブに対し径方向に変位したときに前記隆起部の内周面に当接することにより変位量を規制する径方向ストッパ部材を前記曲げダンパマスに取り付けたことを特徴とする。
【0013】
また、実施の態様として、上記記載の曲げダンパ付きトーショナルダンパにおいて、前記曲げダンパマスは、前記円周上一部の切り欠き部が設けられることにより内周側の環状部分と外周側の非環状部分とを備え、前記環状部分は、前記隆起部の内周側に配置され、前記非環状部分は、前記隆起部と円周上交互に配置され、前記環状部分のステー側端部に装着溝が設けられ、前記装着溝に前記径方向ストッパ部材が装着され、前記非環状部分の軸方向長さが前記環状部分の軸方向長さよりも大きく設定されることにより前記非環状部分のステー側端部が前記装着溝に装着された前記径方向ストッパ部材のステー側端部よりも前記ステー部側へ突出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、曲げダンパ部が取付ネジによって着脱可能にハブに取り付けられるため、曲げダンパ部をハブから取り外した状態で、トーショナルダンパをシャフトに装着する装着作業や、トーショナルダンパをシャフトから取り外す取り外し作業を行うことが可能とされる。したがって曲げダンパ部の内径寸法をプーリボルトの頭部や座金の外径寸法よりも大きく形成する必要がなく、反対に小さく形成することが可能とされる。したがって曲げダンパ部を径方向内方へ向けて拡大することができ、もって曲げダンパ部に係る設計の自由度を拡大することができる。また、ハブのリム部は通常、取付ネジをねじ込むことができる程の径方向厚みを有しないものとされるところ、このリム部の内周面に円周上一部の隆起部を設けることによりリム部の径方向厚みを実質拡大し、この隆起部に雌ネジ部を設け、取付部材にネジ挿通穴を設け、取付ネジをネジ挿通穴へ差し込んで雌ネジ部へねじ込むように構成したため、ハブの端面側から曲げダンパ部をハブに取り付けることが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施の形態に係る曲げダンパ付きトーショナルダンパを軸方向一方から視た正面図
図2】同トーショナルダンパの断面図であって図1におけるA-A線断面図
図3】同トーショナルダンパの断面斜視図
図4】同トーショナルダンパに曲げダンパ部を取り付ける前の状態を示す断面斜視図
図5】同トーショナルダンパに曲げダンパ部を取り付ける前の状態を示す断面斜視図
図6】第2実施の形態に係る曲げダンパ付きトーショナルダンパを軸方向一方から視た正面図
図7】同トーショナルダンパの断面図であって図6におけるB-B線断面図
図8】同トーショナルダンパの断面斜視図
図9】同トーショナルダンパに曲げダンパ部を取り付ける前の状態を示す断面斜視図
図10】同トーショナルダンパに曲げダンパ部を取り付ける前の状態を示す断面斜視図
図11】背景技術に係る曲げダンパ付きトーショナルダンパの断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施の形態(図1図5)・・・
図1ないし図5は、第1実施の形態に係る曲げダンパ付きトーショナルダンパ1を示している。
【0017】
図2および図3に示すように、当該実施の形態に係るトーショナルダンパ1は、ボス部12、ステー部13およびリム部14を一体に有する環状のハブ11を備え、このハブ11における筒状のリム部14の外周側に、ダンパゴム22を介してダンパマス23を連結したトーショナルダンパ部21が設けられるとともに、リム部14の内周側に、環状プレートよりなる取付部材32および曲げダンパゴム33を介して曲げダンパマス34を連結した曲げダンパ部31が設けられている。
【0018】
トーショナルダンパ部21としては、リム部14およびダンパマス23間に軸方向一方からダンパゴム22を圧入嵌合したゴム嵌合タイプのトーショナルダンパ部とされているが、このほか、スリーブ(図示せず)およびダンパマス23間にダンパゴム22を加硫接着し、スリーブをリム部14に嵌合するブッシュタイプのトーショナルダンパ部であっても良い。ダンパマス23の外周面には、トルク伝達に係る無端ベルト(図示せず)を巻回するためのプーリ溝24が設けられることがある。
【0019】
一方、曲げダンパ部31としては、取付部材32、曲げダンパゴム33および曲げダンパマス34が軸方向に並べられ、取付部材32および曲げダンパマス34間に曲げダンパゴム33が加硫接着されている。リム部14の先端部内周面には、取付部材32を位置決め嵌合するための段差状の係合部15が設けられている。
【0020】
ハブ11は、ボス部12の内周に挿通するプーリボルト41によって車両用クランクシャフト等のシャフト(図示せず)の端部に取り付けられる。プーリボルト41は、シャフトの端部との間にボス部12を挟み込むことになる頭部41aを有する。頭部41aとボス部12の間には座金(図示せず)が介装されることもある。
【0021】
上記ハブ11における筒状のリム部14の内周面に、軸方向に延びる形状の、円周上一部の隆起部16が複数(例えば、図示するように等配状に3箇所)一体に設けられ、隆起部16のリム部先端側の端面にそれぞれ雌ネジ部17が設けられている。
【0022】
また、この隆起部16と干渉することがないように隆起部16と円周上の位置を合わせて曲げダンパマス34および曲げダンパゴム33にそれぞれ円周上一部の切り欠き部34a,33aが複数(例えば、図示するように等配状に3箇所)設けられ、この切り欠き部34a,33aと円周上の位置を合わせて取付部材32にネジ挿通穴35が複数(例えば、図示するように等配状に3箇所)設けられ、このネジ挿通穴35に取付ネジ36が複数(例えば、3本)差し込まれてそれぞれ雌ネジ部17に着脱可能にねじ込まれている。
【0023】
切り欠き部34aが設けられても曲げダンパマス34は環状のままとされるが、曲げダンパゴム33は切り欠き部33aによって円周方向に分断され分割されることがある。
【0024】
また、切り欠き部34aが設けられることにより曲げダンパマス34は、内周側の環状部分34bと、外周側の非環状部分(非環状等配部分)34cとを備えることになる。環状部分34bは隆起部16の内周側に配置される。非環状部分34cは隆起部16と円周上交互に配置される。また環状部分34bよりも非環状部分34cのほうが軸方向に長く形成されている。
【0025】
曲げダンパ部31の内径寸法(最小内径寸法)は、その構成部品のうちで最も小径の曲げダンパマス34の内径寸法であって上記環状部分34bの内径寸法によって定められており、この曲げダンパ部31の内径寸法は、プーリボルト41の頭部(つば部を含む)41aの外径寸法や座金の外径寸法よりも小さく形成されている。
【0026】
上記構成のトーショナルダンパ1は、回転駆動系に生起される捩り振動をトーショナルダンパ部21の共振作動によって吸収するとともに、回転駆動系に生起される曲げ振動を曲げダンパ部31の共振作動によって吸収するため、1つのダンパ装置で2種類の振動を吸収低減することができる。
【0027】
また、上記構成のトーショナルダンパ1では、曲げダンパ部31が取付ネジ36によって着脱可能にハブ11に取り付けられるため、図5に示すように曲げダンパ部31をハブ11から取り外した状態で、トーショナルダンパ1をシャフトに装着する装着作業、およびトーショナルダンパ1をシャフトから取り外す取り外し作業を行うことが可能とされる。したがって、曲げダンパ部31の内径寸法をプーリボルト41の頭部41aや座金42の外径寸法よりも小さく形成してもこれらの作業を行うことができるため、曲げダンパ部31の内径寸法をプーリボルト41の頭部41aや座金42の外径寸法よりも小さく形成することが可能とされる。したがってこれにより従来対比で曲げダンパ部31を径方向内方へ向けて拡大することができ、曲げダンパ部31に係る設計の自由度を拡大することができる。
【0028】
第2実施の形態(図6図10)・・・
尚、上記第1実施の形態において、曲げダンパ部31における曲げダンパマス34の環状部分34bはハブ11の隆起部16の内周側に非接触で配置されるので、この曲げダンパマス34が共振作動して径方向に変位すると、隆起部16の内周面16aに接触することにより径方向の変位量を規制することになるが、これでは径方向の変位量が大きくなり過ぎて、曲げダンパゴム33に過度の負担がかかることが懸念される。また、曲げダンパマス34およびハブ11が共に金属部品なので、当接時に大きな異音(金属衝接音)が発生することが懸念されることもある。
【0029】
そこで、これらに対策するには、第2実施の形態として図6ないし図10に示すように追加で、曲げダンパマス34が作動時に径方向へ変位したときに隆起部16の内周面16aに当接することにより径方向変位量を一定量までに規制する径方向ストッパ部材37を曲げダンパマス34に取り付けるのが好適であり、この構成によれば、曲げダンパマス34に代わってこの径方向ストッパ部材37が隆起部16の内周面16aに当接することにより径方向変位量が一定量までに規制される。
【0030】
径方向ストッパ部材37は、摺動特性ないし耐摩耗性に優れた樹脂などの材料によって環状に形成されている。径方向ストッパ部材37は、環状部分34bの外径よりも大きな外径を備えている。径方向ストッパ部材37は、環状部分34bのステー側端部に設けた環状の装着溝34dに装着されている。装着溝34dは、環状部分34bのステー側端部の外周面に設けられ、これに対応して非環状部分34cの内周部に円周方向に延びる切り欠き部34eが設けられている。したがって径方向ストッパ部材37は、環状部分34bのステー側端部の外周面に設けた環状の装着溝34dに装着され、かつ非環状部分34cの内周側では切り欠き部34e内に収められている。尚、径方向ストッパ部材37はこの位置に装着されても、その外周側に存在するのが非環状部分34cであるため、互いに隣り合う非環状部分34cの間の位置(切り欠き部34a)で径方向ストッパ部材37の外周面が露出する。互いに隣り合う非環状部分34cの間には隆起部16が配置されている。したがって径方向ストッパ部材37はその外周面の一部で隆起部16の内周面16aに当接することが可能とされている。
【0031】
以上のように径方向ストッパ部材37を設ける構成によれば、曲げダンパマス34の径方向変位量が一定量までに規制されるため、曲げダンパゴム33に過度の負担がかかったり、当接時に大きな異音(金属衝接音)が発生したりするのを抑制することができる。
【0032】
また、曲げダンパマス34に設けられる環状部分34bおよび非環状部分34cについて、前者の環状部分34bの軸方向長さLよりも後者の非環状部分34cの軸方向長さLのほうを大きく設定し、さらに装着溝34dに装着された径方向ストッパ部材37のステー側端部37aよりも非環状部分34cのステー側端部34fのほうをハブ11のステー部13側へ突出させる(オーバーハングさせる)ように設定することが好ましい。そして曲げダンパマス34の外周側が径方向ストッパ部材37より軸方向にオーバーハングしている構成によれば、曲げダンパマス34の大きさを径方向内方へ向けてのみでなくステー部13側(軸方向)へ向けても拡大することが可能とされる。
【0033】
第2実施の形態(図6図10)に係るその他の構成および作用効果は、第1実施の形態(図1図5)と同じとされる。したがって図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【符号の説明】
【0034】
1 トーショナルダンパ(曲げダンパ付きトーショナルダンパ)
11 ハブ
12 ボス部
13 ステー部
14 リム部
15 係合部
16 隆起部
16a 内周面
17 雌ネジ部
21 トーショナルダンパ部
22 ダンパゴム
23 ダンパマス
24 プーリ溝
31 曲げダンパ部ステー側端部
32 取付部材
33 曲げダンパゴム
33a,34a,34e 切り欠き部
34 曲げダンパマス
34b 環状部分
34c 非環状部分
34d 装着溝
34f,37a ステー側端部
35 ネジ挿通穴
36 取付ネジ
37 径方向ストッパ部材
41 プーリボルト
41a 頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11