(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】無線電力伝送を用いたウィンドウガラスの透明度可変装置
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20220124BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220124BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20220124BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20220124BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B60J1/00 G
H02J50/10
B60J1/17 Z
B60J1/00 Z
B60J3/04
E06B9/24 C
(21)【出願番号】P 2018125226
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0170478
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】カン、クァン、ヒ
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0103280(US,A1)
【文献】特開2017-166200(JP,A)
【文献】国際公開第2011/138834(WO,A1)
【文献】特開平05-340831(JP,A)
【文献】特開2011-011143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
H02J 50/10
B60J 1/17
B60J 3/04
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明度変換薄膜層と、前記透明度変換薄膜層に接続された一対の電極とを有するウィンドウガラスと、
車両ドアに装着され、前記透明度変換薄膜層の透明度を調節するための電力を無線で伝送するように制御するコントローラと、
前記ウィンドウガラスに装着され、前記コントローラから電力を無線で受信する無線電力受信機とを含み、
前記無線電力受信機は、前記コントローラから受信した電力を前記ウィンドウガラスの電極に印加するように構成され
、
前記コントローラは、バッテリーから供給された直流電源を電力の伝送に必要な交流電源に変換するACインバータ回路と、電磁誘導現象により前記無線電力受信機側に電力を無線で送信する送信コイルと、透明度制御信号に応じて前記ACインバータ回路から出力される交流電圧の大きさを調節することで、前記ACインバータ回路から出力される電力レベルを制御する電力伝送制御モジュールとを含む、ウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項2】
前記ウィンドウガラスは、車両の外側に向かう室外側ガラスと、車両の室内に向かう室内側ガラスとを有しており、
前記透明度変換薄膜層は、前記室外側ガラスと室内側ガラスとの間に配置され、前記一対の電極が前記透明度変換薄膜層に接続される、請求項1に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項3】
前記室外側ガラスおよび前記室内側ガラスは、前記透明度変換薄膜層の対向面に取り付けられる、請求項2に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項4】
前記一対の電極は、一対のリード線を介して前記無線電力受信機に個別に接続される、請求項3に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項5】
前記無線電力受信機は、前記ウィンドウガラスの下端に取り付けられる、請求項
4に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項6】
前記無線電力受信機は、電磁誘導現象により前記電力伝送制御モジュールから電力を無線で受信する受信コイルを含む、請求項
5に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項7】
前記受信コイルと一対の電極は、前記一対のリード線を介して電気的に接続される、請求項
6に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項8】
前記電力伝送制御モジュールは、ウィンドウガラスが閉鎖されたか否かを判断するように構成される、請求項1に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項9】
前記無線電力受信機は、ガラス位置送信装置をさらに含み、前記ガラス位置送信装置は、前記電力伝送制御モジュールから受信した制御信号を前記電力伝送制御モジュールにフィードバックするように構成される、請求項
8に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項10】
前記電力伝送制御モジュールは、ウィンドウレギュレータの制御機からウィンドウガラスの位置情報を受信することで、ウィンドウガラスが閉鎖されたか否かを判断するように構成される、請求項
8に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【請求項11】
透明度操作ボタンを有するウィンドウ操作装置が前記コントローラに接続される、請求項1に記載のウィンドウガラスの透明度可変装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ウィンドウガラスの透明度可変装置に関し、より詳細には、無線電力伝送によりウィンドウガラスの透明度を可変するウィンドウガラスの透明度可変装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両ドアは、ウィンドウガラスを昇降させるウィンドウレギュレータ(window regulator)を有する。
【0003】
ウィンドウレギュレータは、車両ドアに装着されたドアモジュール(door module)に一体化されるか、車両ドアのインナパネルに直接装着される。ここで、ドアモジュール(door module)とは、ラッチ、ウィンドウレギュレータなどが一体型に統合されたモジュールのことである。
【0004】
近年、車両ドアに関して、ウィンドウガラスの透明度を可変するウィンドウガラスの透明度可変装置が研究開発されている。ウィンドウガラスの透明度可変により、日差しの遮断などのカーテンの働きをするように構成され得る。
【0005】
かかるウィンドウガラスの透明度可変装置は、透明度の可変ができるように構成されたウィンドウガラスと、ウィンドウガラスの透明度を調節するように制御するコントローラとを含む。コントローラは、電線(electrical wiring)を介して電気エネルギーの供給を受けるように構成されてもよく、ウィンドウガラスの昇降移動距離に対応して電線に対して余長を与えることで、ウィンドウガラスの昇降をスムーズにするように構成される。
【0006】
しかし、従来のウィンドウガラスの透明度可変装置は、電線の余長によってドアの開閉時に過剰なノイズが発生し、ウィンドウガラスの昇降時には電線が緊張するのに伴いコントローラのコネクタに過負荷がかかるという欠点があった。
【0007】
また、従来のウィンドウガラスの透明度可変装置は、車両ドアにウィンドウレギュレータを組み付けた後、ウィンドウレギュレータにウィンドウガラスを組み付け、その後、車両ドアの狭小な隙間を介して車両のウィンドウガラスのコントローラにコネクタを組み付けるように構成されるため、その組み付けが非常に複雑であるという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような点に鑑みてなされたものであり、無線電力伝送によりウィンドウガラスの透明度を可変するウィンドウガラスの透明度可変装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を達成するための本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置は、
透明度変換薄膜層と、前記透明度変換薄膜層に接続された一対の電極とを有するウィンドウガラスと、
車両ドアに装着され、前記透明度変換薄膜層の透明度を調節するための電力を無線で伝送するように制御するコントローラと、
前記ウィンドウガラスに装着され、前記コントローラから電力を無線で受信する無線電力受信機とを含み、
前記無線電力受信機は、前記コントローラから受信した電力を前記ウィンドウガラスの電極に印加するように構成されてもよい。
【0010】
前記ウィンドウガラスは、車両の外側に向かう室外側ガラスと、車両の室内に向かう室内側ガラスとを有しており、前記透明度変換薄膜層は、前記室外側ガラスと室内側ガラスとの間に配置され、前記一対の電極が前記透明度変換薄膜層に接続されてもよい。
【0011】
前記室外側ガラスおよび前記室内側ガラスは、前記透明度変換薄膜層の対向面に取り付けられてもよい。
【0012】
前記一対の電極は、一対のリード線を介して前記無線電力受信機に個別に接続されてもよい。
【0013】
前記コントローラは、バッテリーから供給された直流電源を電力の伝送に必要な交流電源に変換するACインバータ回路と、電磁誘導現象により前記無線電力受信機側に電力を無線で送信する送信コイルとを含んでもよい。
【0014】
前記コントローラは、透明度制御信号に応じてACインバータ回路の作動および電力の出力レベル(output power level)を制御する電力伝送制御モジュールを含んでもよい。
【0015】
前記無線電力受信機は、前記ウィンドウガラスの下端に取り付けられてもよい。
【0016】
前記無線電力受信機は、電磁誘導現象により前記電力伝送制御モジュールから電力を無線で受信する受信コイルを含んでもよい。
【0017】
前記受信コイルと一対の電極は、前記一対のリード線を介して電気的に接続されてもよい。
【0018】
前記電力伝送制御モジュールは、ウィンドウガラスが閉鎖されたか否かを判断するように構成されてもよい。
【0019】
前記無線電力受信機は、ガラス位置送信装置を含み、前記ガラス位置送信装置は、前記電力伝送制御モジュールから受信した制御信号を前記電力伝送制御モジュールにフィードバックするように構成されてもよい。
【0020】
前記電力伝送制御モジュールは、ウィンドウレギュレータの制御機からウィンドウガラスの位置情報を受信することで、ウィンドウガラスの閉鎖状態を判断するように構成されてもよい。
【0021】
透明度操作ボタンを有するウィンドウ操作装置が前記コントローラに接続されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、無線電力伝送によりウィンドウガラスの透明度を可変する構造を適用することで、ノイズ発生を防止し、耐久性および組立性などを改善し、ウィンドウガラスの昇降を容易にし、コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置が車両ドアに適用された構造を図示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置を図示した図である。
【
図3】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置のウィンドウガラスおよび無線電力受信機を図示した図である。
【
図4】
図3のA‐A線に沿って図示した断面図である。
【
図5】
図3のB‐B線に沿って図示した断面図である。
【
図6】
図2のC‐C線に沿って図示した断面図である。
【
図7】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置のコントローラを図示した図である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置のコントローラが車両ドアのインナパネルに装着された構造を図示した図である。
【
図9】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置の無線電力受信機を図示した図である。
【
図10】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置の無線電力受信機の側面を図示した図である。
【
図11】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置に連結されるウィンドウ操作装置を図示した図である。
【
図12】本発明の実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置を図示したブロック図である。
【
図13】ドアモジュールが車両ドアに組み付けられる過程を図示した図である。
【
図14】ウィンドウガラスがドアモジュールに組み付けられる過程を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一部の実施形態について例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付けるに際し、同じ構成要素に対しては、異なる図面上に示されているとしてもできるだけ同じ符号を付けるようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態について説明するに際し、関連する公知構成または機能に関する具体的な説明が、本発明の実施形態に関する理解を妨げると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0025】
本発明の実施形態の構成要素について説明するに際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することがある。かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって当該構成要素の本質や手順または順番などは限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語をはじめ、ここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願において明らかに定義されていない限り、理想的または過剰に形式的な意味に解釈しない。
【0026】
図1および
図11を参照すると、車両ドア1は、ウィンドウガラス10と、ウィンドウガラス10を昇降させるウィンドウレギュレータ8(
図11参照)とを含んでもよい。ウィンドウガラス10は、ウィンドウレギュレータ8により、完全閉鎖位置と完全開放位置との間に移動することができる。完全閉鎖位置は、ウィンドウガラス10が車両ドア1の開口を完全に閉鎖する位置であり得、完全開放位置は、ウィンドウガラス10が車両ドア1の開口を完全に開放する位置であり得る。
【0027】
一実施形態によると、
図1および
図2に図示されているように、ウィンドウレギュレータ8は、ドアモジュール2に一体化してもよく、ドアモジュール2は、車両ドアの内部空間に装着されてもよく、ドアモジュール2は、ドアモジュールパネルハウジング2aを含み、ドアモジュールハウジング2aの内部に、ウィンドウレギュレータ8、ラッチ機構(図示せず)などが装着されてもよく、ドアモジュールハウジング2aは、合成樹脂などの非導電性材質からなってもよい。
【0028】
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるウィンドウガラスの透明度可変装置100は、透明度変換薄膜層15を有するウィンドウガラス10と、車両ドア1に装着されるコントローラ20と、ウィンドウガラス10に装着される無線電力受信機30と、コントローラ20に接続された操作装置40(manipulation device)とを含んでもよい。
【0029】
ウィンドウガラス10は、
図3~
図5に図示されているように、車両の外側に向かう室外側ガラス11と、車両の室内に向かう室内側ガラス12と、室外側ガラス11と室内側ガラス12との間に配置された透明度変換薄膜層15(film with variable transparency)とを有してもよい。
【0030】
室外側ガラス11および室内側ガラス12は、透明または半透明材質から構成されてもよく、室外側ガラス11および室内側ガラス12は、透明度変換薄膜層15の対向面に取り付けられてもよい。
【0031】
一例によると、室外側ガラス11および室内側ガラス12は、透明度変換薄膜層15の対向面に接着層13を介して取り付けられてもよい。接着層13は、透明度変換薄膜層15の全面にわたり透明性接着剤が塗布されるか、透明度変換薄膜層15の周縁にのみ透明性接着剤が塗布されることで形成され得る。
【0032】
他の例によると、透明度変換薄膜層15が粘着性などを有する材質からなる場合には、室外側ガラス11および室内側ガラス12が透明度変換薄膜層15の対向面に接着剤無しで取り付けられてもよい。その他にも、室外側ガラス11および室内側ガラス12は、透明度変換薄膜層15の対向面に、static cling(静電気によるまといつき)、表面張力などのように接着剤を使用しない様々な方式で取り付けられてもよい。
【0033】
一実施形態によると、透明度変換薄膜層15は、電気エネルギーが印加されない場合には不透明状態を維持し、電気エネルギーが印加された場合には透明状態に変換されるように構成されてもよい。設定された電圧以上の交流電圧が透明度変換薄膜層15に印加されると、透明度変換薄膜層15を構成する分子配列状態が変化し、これにより光透過率が可変され得る。透明度変換薄膜層15の透過率は、電圧の強度に応じて変動し、交流電圧が増加するほど透過率の変動量が増加するが、所定以上の電圧が印加されても飽和状態になるため、その透過率がそれ以上変化しない。
【0034】
他の実施形態によると、透明度変換薄膜層15は、電気エネルギーが印加されない場合には透明状態を維持し、電気エネルギーが印加された場合には不透明状態に変化するように構成されてもよい。
【0035】
ウィンドウガラス10は、透明度変換薄膜層15に電気的に接続された一対の電極14、16を含み、一対の電極14、16は、正極14および負極16からなってもよい。
【0036】
一対の電極14、16は、無線電力受信機30に隣接して配置されてもよく、一対の電極14、16は、一対のリード線14a、16aを介して無線電力受信機30に個別に接続されてもよい。
【0037】
コントローラ20は、ウィンドウガラス10の透明度変換薄膜層15の透明度を調節するための電力を無線で伝送するように構成されてもよい。
【0038】
一実施形態によると、コントローラ20は、
図2および
図6に例示されているように、ドアモジュール2のドアモジュールハウジング2aの内側空間に装着されてもよく、ドアモジュールハウジング2aは、合成樹脂などの非導電性材質からなってもよい。これにより、ウィンドウガラス10が完全閉鎖位置に移動すると、
図6のように、無線電力受信機30およびコントローラ20は、互いに対向するように構成され得る。
【0039】
コントローラ20は、
図7に図示されているように、基板25と、ACインバータ回路21と、送信コイル22と、電力伝送制御モジュール23とを含んでもよい。
【0040】
基板25は、締結具などを介してドアモジュール2のドアモジュールハウジング2aに装着されてもよく、ACインバータ回路21と、送信コイル22と、電力伝送制御モジュール23が、基板25に所定の配列構造で配置されてもよい。
【0041】
ACインバータ回路21は、バッテリー5から供給された直流電源を、電力の伝送に必要な交流電源に変換するように構成される。
【0042】
送信コイル22は、電磁誘導現象により無線電力受信機30側に電力を無線で送信するように構成されてもよい。
【0043】
電力伝送制御モジュール23は、ウィンドウガラス10の透明度を可変するための第1の制御信号(first control signal for varying transparency of window glass)を受信することができ、第1の制御信号は、ウィンドウ操作装置40の透明度操作ボタン42の操作により発生することができる。電力伝送制御モジュール23は、受信した透明度制御信号に応じてACインバータ回路21の作動およびACインバータ回路21から出力される電力レベルを制御するように構成されてもよい。一例によると、電力伝送制御モジュール23は、透明度制御信号に応じてACインバータ回路21から出力される(時間当たり)交流電圧の大きさを調節することで、ACインバータ回路21から出力される電力レベルを制御することができる。
【0044】
電力伝送制御モジュール23は、第1の制御信号を受信するときに、後述するガラス位置送信装置32からフィードバックされる信号の強度により、ウィンドウガラス10が完全閉鎖されたか否かを判断することができる。
【0045】
図12に図示されているように、ACインバータ回路21および電力伝送制御モジュール23は、バッテリー5に電気的に接続されてもよい。
【0046】
他の実施形態によると、ウィンドウレギュレータ8は、車両ドア1のインナパネル1a(inner panel)に直接装着されてもよく、これによりドアモジュール2が省略され得る。このようにドアモジュール2が省略された場合には、コントローラ20は、車両ドア1のインナパネル1aに直接装着され得る。
図8に例示されているように、車両ドア1のインナパネル1aには開口1bが形成されてもよく、コントローラ20は、車両ドア1のインナパネル1aの開口1b側に装着プレート28を介して装着されてもよく、装着プレート28は、合成樹脂などの非伝導性材質からなってもよい。これにより、コントローラ20は、インナパネル1aの内部に配置され、装着プレート28により保護され得る。
【0047】
無線電力受信機30は、コントローラ20から電力を無線で受信し、ウィンドウガラス10の電極14、16に印加するように構成されてもよい。
【0048】
無線電力受信機30は、
図3に図示されているように、ウィンドウガラス10の下端に取り付けられてもよく、無線電力受信機30は、ウィンドウガラス10の電極14、16に隣接して配置されることで、リード線14a、16aの長さを短く実現することができる。
【0049】
無線電力受信機30は、
図9および
図10に図示されているように、本体(body)35と、受信コイル31と、ガラス位置送信装置32とを含んでもよい。
【0050】
本体35は、ウィンドウガラス10の下端が結合する結合部36を有してもよい。受信コイル31およびガラス位置送信装置32は、本体35に配置されてもよい。
【0051】
受信コイル31は、電磁誘導現象により電力伝送制御モジュール23から電力を無線で受信するように構成されてもよい。
【0052】
受信コイル31と一対の電極14、16は、一対のリード線14a、16aを介して電気的に接続され得、電圧が一対のリード線14a、16aを介して受信コイル31からウィンドウガラス10の電極14、16へ伝達され得る。
【0053】
ガラス位置送信装置32は、ウィンドウガラス10の位置を送信するように構成されてもよい。
【0054】
一実施形態によると、ガラス位置送信装置32が電力伝送制御モジュール23から受信した信号を電力伝送制御モジュール23にフィードバックするのに伴い、電力伝送制御モジュール23は、そのフィードバックされる信号の強度を感知することで、ウィンドウガラス10が完全閉鎖位置に移動したか(完全閉鎖状態)否かを判断することができる。
【0055】
他の実施形態によると、電力伝送制御モジュール23は、ウィンドウレギュレータ8の制御機からウィンドウガラス10の位置情報を受信するように構成されてもよく、これにより、電力伝送制御モジュール23は、ウィンドウガラス10が完全閉鎖位置に移動したか(完全閉鎖状態)否かを判断することができる。このように、ウィンドウレギュレータ8の制御機からウィンドウガラス10の位置情報を受信する場合には、ガラス位置送信装置32を省略することができる。
【0056】
さらに他の実施形態によると、ウィンドウガラス10の一側に磁石(図示せず)を取り付け、車両ドア1にホールセンサ(図示せず)を取り付け、これにより、ホールセンサ(図示せず)が磁石(図示せず)の磁界を感知することでウィンドウガラス10の位置を検出するように構成されてもよい。かかるホールセンサおよび磁石により、電力伝送制御モジュール23は、ウィンドウガラス10が完全閉鎖位置に移動したか(完全閉鎖状態)否かを判断することができる。このように、磁石およびホールセンサによりウィンドウガラス10の位置を検出する場合には、ガラス位置送信装置32を省略することができる。
【0057】
ウィンドウ操作装置40は、
図10に図示されているように、車両ドア1のアームレスト6に配置されてもよい。ウィンドウ操作装置40は、ウィンドウガラス10を昇降させるための昇降操作ボタン41と、ウィンドウガラス10の透明度を調節するための透明度操作ボタン42とを含んでもよい。
【0058】
ウィンドウガラス10の透明度可変を制御する第1の制御信号が、透明度操作ボタン42の操作によって生じ得、第1の制御信号は、透明度操作ボタン42の操作程度に応じて調節され、第1の制御信号は、電力伝送制御モジュール23に伝送され得る。第1の制御信号により、ウィンドウガラス10の透明度が可変され得る。
【0059】
ウィンドウガラス10の昇降を制御する第2の制御信号が、昇降操作ボタン41の操作によって生じ得、第2の制御信号は、ウィンドウガラスを上昇および下降させるための制御信号である。第2の制御信号は、昇降操作ボタン41の操作程度に応じて調節され、第2の制御信号は、ウィンドウレギュレータ8に伝送され得る。第2の制御信号により、ウィンドウガラス10の昇降程度が調節され得る。
【0060】
図12を参照して、本発明のウィンドウガラスの透明度可変装置100の作動について具体的に説明すると、以下の通りである。
【0061】
ユーザがウィンドウ操作装置40の透明度操作ボタン42を操作することにより、透明度制御信号が、電力伝送モジュール23に伝送され得る。
【0062】
電力伝送制御モジュール23は、ガラス位置送信装置32またはウィンドウレギュレータ8の制御機などによりウィンドウガラス10の位置情報を感知することで、ウィンドウガラス10が完全閉鎖されたか否かを判断する。
【0063】
電力伝送制御モジュール23がウィンドウガラス10の完全閉鎖状態を判断すると、電力伝送制御モジュール23がACインバータ回路21の出力を調節することで、透明度制御信号に相当する電力が、バッテリー5から受信コイル31へ伝送され得る。
【0064】
ACインバータ回路21は、バッテリー5から伝達されたDC電流を交流信号に転換し、送信コイル22へ出力することができる。電力伝送制御モジュール23は、透明度制御信号に応じてACインバータ回路21から出力される交流信号を調節する。
【0065】
交流電流は、ACインバータ回路21から送信コイル22へ伝達され得、送信コイル22は、交流電流を、電磁誘導現象により受信コイル31へ伝送することができる。これにより、受信コイル31は、交流電圧を、リード線14a、16aを介してウィンドウガラス10の電極14、16側に印加する。
【0066】
ウィンドウガラス10の電極14、16に印加される交流電流が、ウィンドウガラス10の透明度変換薄膜層15の分子構造を整列することで、ウィンドウガラス10を、所定の透過率の透明状態に転換することができる。
【0067】
図13および
図14は、本発明の一実施形態によるウィンドウガラス透明度調節装置100の組み付け過程を図示する。
【0068】
図13のように、車両ドア1にドアモジュール2を組み付ける。この際、ドアモジュール2を車両ドア1に組み付ける前に、またはドアモジュール2を車両ドア1に組み付けた後に、コントローラ20をドアモジュール2に組み付けてもよい。
【0069】
その後、ウィンドウガラス10の下端に無線電力受信機30を組み付け、
図14のように、無線電力受信機30が組み付けられたウィンドウガラス10を、ドアモジュール2に組み付けてもよい。
【0070】
このように、本発明は、無線電力伝送によりウィンドウガラスの透明度を可変するように構成され、これにより、ウィンドウガラスの透明度可変装置100の組み付けが、非常に簡単且つ迅速に行われ得る。
【0071】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能である。
【0072】
したがって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、かかる実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0073】
1 車両ドア
2 ドアモジュール
5 バッテリー
6 アームレスト
10 ウィンドウガラス
11 外側ガラス
12 内側ガラス
13 接着層
14、16 電極
15 透明度変換薄膜層
20 コントローラ
21 ACインバータ回路
22 送信コイル
23 電力伝送制御モジュール
30 無線電力受信機
31 受信コイル
32 ガラス位置送信装置
40 ウィンドウ操作装置
41 昇降操作ボタン
42 透明度操作ボタン