IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサ 図1
  • 特許-センサ 図2
  • 特許-センサ 図3
  • 特許-センサ 図4
  • 特許-センサ 図5
  • 特許-センサ 図6
  • 特許-センサ 図7
  • 特許-センサ 図8
  • 特許-センサ 図9
  • 特許-センサ 図10
  • 特許-センサ 図11
  • 特許-センサ 図12
  • 特許-センサ 図13
  • 特許-センサ 図14
  • 特許-センサ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/16 20060101AFI20220124BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
G01L9/16
G01R33/09
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018154093
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2019164110
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2018047113
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】藤 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 啓壽
(72)【発明者】
【氏名】増西 桂
(72)【発明者】
【氏名】原 通子
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和晃
(72)【発明者】
【氏名】加治 志織
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070848(JP,A)
【文献】特開2015-061059(JP,A)
【文献】特開2008-311940(JP,A)
【文献】特開2012-175336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0246271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/16
G01R 33/09
H04R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
前記支持部に支持され変形可能な膜部と、
前記膜部に設けられ磁性層を含む第1素子と、
を含む検知素子部と、
前記検知素子部から離れた第1磁性部と、
を備え、
前記第1磁性部は、複数の第1孔を含み、
前記膜部から前記第1素子への第1方向と交差する第2方向に沿う前記複数の第1孔の1つの幅は、前記第2方向に沿う前記検知素子部の長さよりも狭く、前記第2方向に沿う前記第1素子の長さよりも広い、センサ。
【請求項2】
前記幅は、前記第2方向に沿う前記膜部の長さよりも狭い、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記複数の第1孔の少なくとも一部は、前記第1方向において前記検知素子部と重なる、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1磁性部は、前記複数の第1孔の間の領域を含み、前記領域は、前記第1方向において前記検知素子部と重なる、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1磁性部における前記複数の第1孔の開口率は、30%以上である、請求項1~4のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項6】
前記幅は、0.3mm以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項7】
前記複数の第1孔は、稠密配置となるように設けられた、請求項1~6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1磁性部は、Ni及びFeを含む、請求項1~7のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項9】
前記第1磁性部は、
1部分領域と、
第2部分領域と、
を含み、
前記第1部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記検知素子部と重なり、
前記第1部分領域の前記第1方向に沿う厚さは、前記第2部分領域の前記第1方向に沿う厚さよりも薄い、請求項1~8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
支持部と、
前記支持部に支持され変形可能な膜部と、
前記膜部に設けられ磁性層を含む第1素子と、
を含む検知素子部と、
前記検知素子部から離れた第1磁性部と、
を備え、
前記第1磁性部は、前記膜部から前記第1素子への第1方向と交差する第1面及び第2面を含み、前記第1面は前記第2面と前記検知素子部との間にあり、
前記第1磁性部は、複数の第1孔を含み、
前記複数の第1孔の1つの前記第1面における第1幅は、前記複数の第1孔の前記1つの前記第2面における第2幅とは異なる、センサ。
【請求項11】
支持部と、
前記支持部に支持され変形可能な膜部と、
前記膜部に設けられ磁性層を含む第1素子と、
を含む検知素子部と、
前記検知素子部から離れた第1磁性部と、
を備え、
前記第1磁性部は、前記膜部から前記第1素子への第1方向と交差する第1面及び第2面を含み、前記第1面は前記第2面と前記検知素子部との間にあり、
前記第1磁性部は、複数の第1孔を含み、
前記複数の第1孔の1つは、
前記第1面における第1幅と、
前記第2面における第2幅と、
前記第1面と前記第2面との間の位置における第3幅と、
を有し、
前記第3幅は、前記第1幅よりも小さく、前記第2幅よりも小さい、センサ。
【請求項12】
複数の第2孔を含む第2磁性部をさらに備え、
前記第1磁性部は、前記第1方向において前記第2磁性部と前記検知素子部との間に設けられ、
前記第1磁性部は、前記第2磁性部から離れた、請求項1~1のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項13】
支持部と、
前記支持部に支持され変形可能な膜部と、
前記膜部に設けられ磁性層を含む第1素子と、
を含む検知素子部と、
前記検知素子部から離れた第1磁性部と、
第2磁性部であって、前記第1磁性部は、前記膜部から前記第1素子への第1方向において前記第2磁性部と前記検知素子部との間に設けられ、前記第2磁性部から離れた前記第2磁性部と、
を備え、
前記第1磁性部は、1つまたは複数の第1孔を含み、
前記第2磁性部は、1つまたは複数の第2孔を含む、センサ。
【請求項14】
前記第1孔は、前記第1方向において、前記第2孔と重ならない、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
前記第1磁性部の前記第1方向に沿う厚さは、0.05mm以上0.3mm以下である、請求項1~1のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項16】
第3磁性部をさらに備え、
前記検知素子部から前記第3磁性部への方向は、前記第1方向と交差する方向に沿う、請求項1~1のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項17】
前記交差する前記方向において、前記検知素子部は、前記第3磁性部の複数の領域の間に設けられた、請求項1記載のセンサ。
【請求項18】
前記第1方向に沿う前記第1磁性部の厚さは、前記交差する方向に沿う前記第3磁性部の長さよりも薄い、請求項1または1に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁性層を用いたセンサが提案されている。センサにおいて、安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-70848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した特性が得られるセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサは、検知素子部及び第1磁性部を含む。前記検知素子部は、支持部と、前記支持部に支持され変形可能な膜部と、前記膜部に設けられ磁性層を含む第1素子と、を含む。前記第1磁性部は、前記検知素子部から離れる。前記第1磁性部は、複数の第1孔を含む。前記膜部から前記第1素子への第1方向と交差する第2方向に沿う前記複数の第1孔の1つの幅は、前記第2方向に沿う前記検知素子部の長さよりも狭く、前記第2方向に沿う前記第1素子の長さよりも広い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係るセンサの一部を例示する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図5図5は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図11図11は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図12図12は、第4実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、第4実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図14図14は、第5実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図15図15は、第5実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図1(a)は、斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA1-A2線断面図である。図1(c)は、図1(a)の矢印AR1から平面図である。図1(c)においては、図の見やすさのために、一部の要素が図示されていない。
【0009】
図1(b)に示すように、本実施形態に係るセンサ110は、検知素子部51s及び第1磁性部21を含む。この例では、第3磁性部23、第4磁性部24、基体26及び制御素子部68がさらに設けられている。後述するように、第2磁性部が設けられても良い。センサ110は、例えば、磁性装置である。センサ110は、例えば、素子パッケージである。
【0010】
基体26は、例えば、プリント基板などである。例えば、基体26と第1磁性部21との間に、第4磁性部24が設けられる。第4磁性部24と第1磁性部21との間に、第3磁性部23、検知素子部51s及び制御素子部68が設けられる。例えば、第4磁性部24と第1磁性部21との間において、検知素子部51s及び制御素子部68の周りに、第3磁性部23が設けられる。これらの磁性部は、例えば、磁気シールドとして機能する。
【0011】
図1(b)に示すように、検知素子部51sが、第4磁性部24の一部に、固定用部材51Bにより固定される。固定用部材51Bは、例えばシリコーンなどである。制御素子部68が、第4磁性部24の別の一部に固定される。この例では、制御素子部68の周りに絶縁樹脂68iが設けられている。
【0012】
図1(c)に示すように、検知素子部51sと制御素子部68とが、配線51wにより電気的に接続される。制御素子部68に配線68wが接続され、外部と電気的に接続される。
【0013】
図1(a)及び図1(b)に示すように、検知素子部51sは、支持部70s、膜部70d及び第1素子51を含む。この例では、第2素子52がさらに設けられている。
【0014】
膜部70dは、支持部70sに支持される。膜部70dは、変形可能である。第1素子51及び第2素子52は、膜部に設けられる。後述するように、これらの素子は、複数の磁性層を含む。
【0015】
例えば、検知素子部51sの抵抗(第1素子51及び第2素子52の少なくともいずれかの電気抵抗)は、膜部70dの変形に応じて変化する。例えば、膜部70dに外力が加わると、複数の磁性層の少なくとも一方の磁化の向きが変化する。これは、例えば、磁歪に基づく。その結果、複数の磁性層のそれぞれの磁化の間の角度が、変化する。角度の変化により電気抵抗が変化する。これは、例えば、磁気抵抗効果に基づく。検知素子部51sの電気抵抗の変化を検知することで、加わる外力(例えば、音(超音波を含む)など)を検知できる。
【0016】
制御素子部68は、例えば、検知素子部51sの電気抵抗の変化に関する特性(電気抵抗、電圧及び電流の少なくともいずれか)を検知可能である。例えば、制御素子部68は、検知素子部51sに電圧を印加する。制御素子部68は、例えば、検知素子部51sから得られる信号を処理する。制御素子部68は、例えば、電子回路を含む。制御素子部68は、例えば、ASICを含む。
【0017】
図1(b)に示すように、膜部70dから第1素子51への方向を第1方向とする。後述するように、第1方向は、例えば、複数の磁性層の一方から他方への方向に沿う。第1方向は、図1(a)などに例示されるZ軸方向に対応する。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0018】
実施形態においては、第1磁性部21が設けられる。第1磁性部21は、例えば、X-Y平面に沿っている。図1(b)に示すように、第1磁性部21は、検知素子部51sから離れる。Z軸方向において、第1磁性部21と検知素子部51sとの間に空間が設けられる。第1磁性部21が検知素子部51sから離れることにより、検知素子部51sに含まれる膜部70dが変形できる。
【0019】
第1磁性部21は、複数の第1孔h1を含む。複数の第1孔h1を通って、外力(例えば、音(超音波を含む)など)が膜部70dに伝わる。複数の第1孔h1の少なくとも一部は、Z軸方向において、検知素子部51sと重なる。例えば、第1磁性部21は、複数の第1孔h1の間の領域を含む。この領域は、Z軸方向において検知素子部51sと重なる。この領域は、Z軸方向において膜部70dと重なる。
【0020】
図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図2は、図1(a)の矢印AR1からみた平面図である。図2は、第1磁性部21、検知素子部51s及び第1素子51を例示する透視平面図である。
【0021】
図2に示すように、複数の孔h1のサイズ(例えば径)は、検知素子部51sよりも小さく、第1素子51よりも大きい。
【0022】
例えば、第1方向(Z軸方向)と交差する1つの方向を第2方向とする。第2方向は、例えば、X軸方向である。第2方向(X軸方向)に沿う複数の第1孔h1の1つの幅d1は、第2方向に沿う検知素子部51sの長さL1よりも狭い(小さい)。幅d1は、第2方向に沿う第1素子51の長さL51よりも広い(大きい)。例えば、幅d1は、第2方向に沿う膜部70dの長さ(L70)よりも狭い(小さい)。
【0023】
このような複数の第1孔h1により、外部磁場(地磁気など)を減衰させつつ、外力(例えば超音波を含む音など)を検知素子部51sに効率的に伝えることができる。これにより、高い検知感度を維持しつつ、外部磁場の影響を抑制できる。例えば、ノイズが抑制できる。実施形態によれば、安定した特性が得られるセンサを提供できる。
【0024】
例えば、検知素子部51sのサイズ(長さL1)は、膜部70dのサイズ(長さL70)に依存する。膜部70dのサイズは、目的とする外力(例えば超音波を含む音など)の特性(例えば周波数)に応じて定められる。例えば、実施形態において、長さL70は、約100μm以上約1500μm以下程度である。例えば、実施形態において、長さL1は、約400μm以上約3000μm以下程度である。一方、複数の孔h1のサイズ(幅d1)は、小さいことが好ましい。例えば、幅d1を小さくし、開口率を高くすることで、第1磁性部21の複数の孔h1以外の領域の、音響特性への影響が抑制できる。例えば、共振周波数を上昇できる。例えば、検知できる周波数の範囲を拡大することができる。
【0025】
膜部70dにおいて、外力により大きな歪が得られる領域は限られている。例えば、膜部70dのうちの支持部70sに近い領域において、大きな歪が生じる。例えば、第1素子51を小さくすることで、大きな歪が得られる領域に、第1素子51を設けることができる。もし、第1素子51が過度に大きいと、第1素子51には大きな歪が生じる部分と、小さな歪が生じる部分と、が生じる。このため、外力の電気抵抗への変換においてロスが生じる。第1素子51を小さくすることで、第1素子51は、大きな歪が得られる領域に設けられる。これにより、ロスを抑制して、安定した変換が実施できる。
【0026】
さらに、第1素子51を小さくすることで、大きな歪が生じる領域に、複数の第1素子51を設けることが容易になる。例えば、複数の第1素子51を設け、複数の第1素子51を直列に接続することで、ノイズが抑制できる。
【0027】
このような特性は、磁性層を含む第1素子51においては、第1素子51を小さくしても、検知感度が維持できるためである。
【0028】
実施形態においては、第1素子51のサイズは小さくされる。第1素子51のサイズ(例えば長さL51)は、5μm以上100μm以下である。
【0029】
実施形態においては、複数の孔h1のサイズ(幅d1)は、このように小さい第1素子51よりも大きくされる。そして、幅d1は、検知素子部51sのサイズ(長さL1)(または膜部70dのサイズ(長さL70))よりも小さくされる。
【0030】
これにより、高い検知感度を維持しつつ、外部磁場の影響を抑制できる。
【0031】
複数の孔h1が過度に小さいと、例えば、温度の変化などに起因した結露などにより、孔h1の経路が過度に狭くなる場合がある。または、孔h1が塞がれる場合もある。このため、孔h1のサイズはある程度の値(例えば第1素子51のサイズ)よりも大きいことが好ましい。例えば、孔h1のサイズ(幅d1)は、50μm以上500μm以下とすることができる。例えば、孔h1のサイズ(幅d1)は、300μm以下とすることができる。
【0032】
実施形態においては、検知素子部51sが磁性層を含む。このため、磁性層への外部磁場の影響を抑制すること(磁気シールド特性)と、外力(例えば超音波を含む音など)を効率良く伝えること(音響特性)と、の要求がある。このような特別な事情が存在する。
【0033】
例えば、音響特性の観点では、第1磁性部21における複数の第1孔h1の開口率は高いことが好ましい。例えば、音響特性の観点では、例えば、開口率は、30%以上が好ましい。一方、磁気シールド特性の観点では、開口率は低いことが好ましい。磁気シールド特性の観点では、開口率は、80%以下が好ましい。実施形態において、開口率は、30%以上80%以下が好ましい。
【0034】
例えば、音響特性の観点では、第1磁性部21の厚さt21(図1(b)参照、Z軸方向に沿う長さ)は、薄いことが好ましい。音響特性の観点では、第1磁性部21の厚さt21は、例えば、0.3mm以下が好ましい。一方、磁気シールド特性の観点では、厚さt21は厚いことが好ましい。磁気シールド特性の観点では、厚さt21は、0.05mm以上が好ましい。実施形態において、厚さt21は、0.05mm以上0.3mm以下が好ましい。厚さt21は、0.25mm以下でも良い。
【0035】
音響特性の観点、及び、磁気シールド特性の観点では、同じ開口率の場合は、孔h1のサイズ(幅d1)は、小さいことが好ましい。ただし、既に説明したように、孔h1のサイズは、第1素子51のサイズ(長さL51)よりも大きいことが好ましい。
【0036】
既に説明したように、第3磁性部23が設けられる。図1(b)に示すように、音響特性の観点では、第1磁性部21の厚さt21は薄いことが好ましい。一方、孔が設けられない第3磁性部23においては、音響特性の観点が存在しない。このため、第3磁性部23の厚さは、厚くして良い。これにより、高い磁性シールド効果が得られる。
【0037】
既に説明したように、検知素子部51sから第3磁性部23への方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する方向に沿う。図1(b)に示すように、第1方向(Z軸方向)に沿う第1磁性部21の厚さt21は、上記の交差する方向に沿う第3磁性部23の長さt23よりも薄い。これにより、第1磁性部21において、良好な音響特性が得られる。第3磁性部23において、良好な磁気シールド特性が得られる。上記の交差する方向は、X-Y平面に沿う任意の1つの方向で良い。上記の交差する方向は、例えば、X軸方向でも良く、Y軸方向でも良い。
【0038】
図1(c)に、示すように、上記の交差する方向において、検知素子部51sは、第3磁性部23の複数の領域の間に設けられる。例えば、X-Y平面に沿う任意の方向において、検知素子部51sは、第3磁性部23の複数の領域の間に設けられる。例えば、X-Y平面において、検知素子部51sの周りに第3磁性部23が設けられる。
【0039】
以下、検知素子部51sの例について説明する。
【0040】
図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係るセンサの一部を例示する模式図である。
図3(a)は、斜視図である。図3(b)は、図3(a)のA3-A4線断面図である。図3(c)は、第2素子52の断面図である。
【0041】
膜部70dは、支持部70sに支持される。膜部70dは、変形可能である。例えば、膜部70dに加わる外力により、膜部70dは変形可能である。この外力は、例えば、複数の孔h1を介して膜部70dに伝わる音(超音波も含む)である。膜部70dは、例えば、ダイアフラムである。この例では、膜部70dは、「両持ち梁」である。膜部70dは、「片持ち梁」でも良い。
【0042】
第1素子51は、膜部70dに設けられる。この例では、複数の第1素子51が設けられている。複数の第1素子51の少なくとも2つは、互いに直列に接続されても良い。第2素子52も、膜部70dに設けられる。この例では、複数の第2素子52が設けられる。複数の第2素子52の少なくとも2つは、互いに直列に接続されても良い。
【0043】
図3(b)に示すように、第1素子51は、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層11nを含む。この例では、第2磁性層12は、第1磁性層11と膜部70dとの間に設けられる。第1中間層11nは、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられ、非磁性である。
【0044】
第2磁性層12から第1磁性層11への方向は第1方向(Z軸方向)に沿う。第1方向D1は、膜部70dの膜面70f(図3(a)及び図3(b)参照)と交差する。
【0045】
図3(c)に示すように、第2素子52は、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層12nを含む。この例では、第4磁性層14は、第3磁性層13と膜部70dとの間に設けられる。第2中間層12nは、第3磁性層13と第4磁性層14との間に設けられ、非磁性である。第1~第4磁性層11~14は、例えば、強磁性である。
【0046】
この例では、第1~第4導電層58a~58dが設けられる。第1導電層58a及び第2導電層58bの間に、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層11nが設けられる。第3導電層58c及び第4導電層58dの間に、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層12nが設けられる。これらの導電層は、例えば、配線51wにそれぞれ電気的に接続され、制御素子部68に電気的に接続される。図3(b)に示すように、この例では、第1導電層58aと膜部70dとの間に絶縁層58iが設けられている。
【0047】
図3(b)に示すように、例えば、支持部70s及び膜部70dとなる部材の一部が除去され、除去されて薄くなった部分が、膜部70dとなっても良い。例えば、厚い部分が支持部70sとなっても良い。
【0048】
例えば、検知素子部51sの抵抗(第1素子51及び第2素子52の少なくともいずれかの電気抵抗)は、膜部70dの変形に応じて変化する。例えば、膜部70dに外力が加わると、第1磁性層11の磁化の向き及び第2磁性層12の磁化の向き少なくともいずれかが変化する。これらの磁化の間の角度が、変化する。これは、例えば、磁歪に基づく。角度の変化により電気抵抗が変化する。これは、例えば、磁気抵抗効果に基づく。検知素子部51sの抵抗の変化を検知することで、加わる外力(例えば、音など)を検知できる。
【0049】
1つの例において、例えば、第1磁性層11の磁化の向きは、第2磁性層12の磁化よりも変化し易い。この場合、例えば、第1磁性層11は、磁化自由層である。例えば、第2磁性層12は、参照層である。別の例において、第1磁性層11が参照層で、第2磁性層12が磁化自由層でも良い。膜部70dの変形に応じて、2つの磁化の向きの両方が変化しても良い。
【0050】
実施形態においては、例えば、センサ110が受ける外力(例えば、超音波を含む音)により膜部70dが変形し、膜部70dの変形が、磁性層により電気抵抗に変換される。
【0051】
長さL51(図2参照)は、例えば、第1磁性層11の第2方向に沿う長さである。長さL51(図2参照)は、例えば、第2磁性層12の第2方向に沿う長さでも良い。
【0052】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図4は、第1磁性部21における複数の孔h1の配置の例を示している。図4に示すように、複数の第1孔h1は、六角形状(例えば、正六角形状)に配置されても良い。複数の第1孔h1は、例えば、稠密に設けられる。例えば、複数の第1孔h1の密度を高くできる。例えば、開口率を高くできる。良好な音響特性が得られる。
【0053】
図5及び図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
これらの図は、図1(b)に対応する断面図である。図5に例示するセンサ110aのように、第1磁性部21及び第3磁性部23は、一体でも良い。第1磁性部21及び第3磁性部23は、互いに連続している。第1磁性部21及び第3磁性部23は、シームレスである。図6に例示するセンサ110bのように、第4磁性部24及び第3磁性部23は、一体でも良い。第4磁性部24及び第3磁性部23は、互いに連続している。第4磁性部24及び第3磁性部23は、シームレスである。センサ110a及び110bにおいては、例えば、部品の数が少ない。例えば、製造コストを低減できる。
【0054】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図7は、図1(b)に対応する断面図である。図7に示すように、実施形態に係るセンサ111においては、第1磁性部21の断面形状が、センサ110における第1磁性部21の断面形状とは異なる。センサ111におけるこれ以外の構成は、センサ110における構成と同様である。
【0055】
図7に示すように、第1磁性部21は、第1部分領域21a及び第2部分領域21bを含む。第2部分領域21bは、例えば、第1部分領域21aの外側に設けられる。第1部分領域21aの少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、検知素子部51sと重なる。第1部分領域21aは、第1方向(Z軸方向)において、第3磁性部23と重ならない。第2部分領域21bは、第1方向(Z軸方向)において、検知素子部51sと重ならない。第2部分領域21bは、第1方向(Z軸方向)において、第3磁性部23と重なる。
【0056】
第1部分領域21aの第1方向に沿う厚さ21atは、第2部分領域21bの第1方向に沿う厚さ21btよりも薄い。
【0057】
このような厚さの差は、例えば、第1磁性部21となる磁性部材の一部を選択的にエッチングすることで、形成できる。このエッチングと同時に、複数の孔h1が形成されても良い。
【0058】
このような第1磁性部21を用いることで、例えば、第1磁性部21と第4磁性部24との間に、所望の空間を形成し易くできる。第1磁性部21及び第3磁性部23が形成し易くなる。
【0059】
この例では、第1部材28aが設けられている。第1磁性部21は、第3磁性部23とは別に設けられている。第1部材28aは、第1磁性部21と第3磁性部23との間に設けられる。第1部材28aは、第1磁性部21と第3磁性部23とを接合する。
【0060】
第1部材28aを用いることで、例えば、第1磁性部21を第3磁性部23とは別に設けることができる。これにより、例えば、第1磁性部21が第3磁性部23と連続している場合に比べて、第1磁性部21(及び第3磁性部23)の形成が容易になる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るセンサも、検知素子部51s及び第1磁性部21を含む。以下、第2実施形態について、第1磁性部21の複数の孔h1の例について説明する。複数の孔h1を除く構成については、第1実施形態の構成と同様で良い。
【0062】
図8は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図8は、図1(b)に対応する断面図である。図8に示すように、本実施形態に係るセンサ120においては、第1磁性部21は、第1面21f及び第2面21gを含む。第1方向(Z軸方向)において、第1面21fは第2面21gと検知素子部51sとの間にある。第1面21fは、検知素子部51sの側の面である。
【0063】
第1磁性部21は、複数の第1孔h1を含む。複数の第1孔h1の1つの第1面21fにおける幅を第1幅w1とする。複数の第1孔h1のその1つの第2面21gにおける幅を第2幅w2とする。第1幅w1は、第2幅w2とは異なる。
【0064】
この例では、第1幅w1は、第2幅w2よりも狭い(小さい)。これにより、例えば、良好な音響特性を保ちつつ、外部磁場の影響を効果的に抑制することができる。
【0065】
このような複数の第1孔h1は、例えば、第1磁性部21となる磁性部材を第2面21gの側からエッチングし、そのエッチング条件を適切に制御することで得られる。
【0066】
図9は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図9は、図1(b)に対応する断面図である。図9に示すように、本実施形態に係るセンサ121においては、第1幅w1は、第2幅w2よりも狭い(小さい)。これにより、例えば、良好な音響特性を保ちつつ、外部磁場の影響を効果的に抑制することができる。
【0067】
このような複数の第1孔h1は、例えば、第1磁性部21となる磁性部材を第1面21fの側からエッチングし、そのエッチング条件を適切に制御することで得られる。
【0068】
図10は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図10は、図1(b)に対応する断面図である。図10に示すように、本実施形態に係るセンサ122においては、複数の孔h1の幅がZ軸方向において増減する。
【0069】
例えば、第1磁性部21は、第1面21f及び第2面21gを含む。複数の第1孔h1の1つは、第1~第3幅w1~w3を有する。第1幅w1は、第1面21fにおける幅である。第2幅w2は、第2面21gにおける幅である。第3幅w3は、第1面21fと第2面21gとの間の位置における幅である。第3幅w3は、第1幅w1よりも小さく、第2幅w2よりも小さい。
【0070】
これにより、例えば、良好な音響特性を保ちつつ、外部磁場の影響を効果的に抑制することができる。
【0071】
このような複数の第1孔h1は、例えば、第1磁性部21となる磁性部材を、第1面21f及び第2面21gの側からエッチングし、そのエッチング条件を適切に制御することで得られる。
【0072】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るセンサも、検知素子部51s及び第1磁性部21を含む。以下、第3実施形態について、第1磁性部21の複数の孔h1の例について説明する。複数の孔h1を除く構成については、第1実施形態の構成と同様で良い。
【0073】
図11は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図11は、図1(b)に対応する断面図である。図11に示すように、本実施形態に係るセンサ130においても、第1磁性部21は、複数の第1孔h1を含む。センサ130においては、複数の第1孔h1の1つの伸びる方向は、第1方向(Z軸方向)に対して傾斜している。複数の第1孔h1の1つの側面hs1は、第1方向に対して傾斜している。側面hs1は、X-Y平面と交差する面である。
【0074】
これにより、例えば、良好な音響特性を保ちつつ、外部磁場の影響を効果的に抑制することができる。
【0075】
例えば、第1磁性部21は、第1面21f及び第2面21gを含む。第1方向(Z軸方向)において、第1面21fは、第2面21gと検知素子部51sとの間にある。例えば、複数の第1孔h1の1つの第1面21fにおける第1開口部OP1は、第1方向(Z軸方向)において、複数の第1孔h1のその1つの第2面21gにおける第2開口部OP2と重ならない。これにより、例えば、Z軸方向に沿う外部磁場の影響を効果的に抑制できる。
【0076】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図12に示すように、本実施形態に係るセンサ140は、検知素子部51s及び第1磁性部21に加えて第2磁性部22を含む。センサ140におけるこれ以外の構成は、センサ110と同様でも良い。以下、第1磁性部21及び第2磁性部22の例について説明する。
【0077】
第1磁性部21は、検知素子部51sから離れている。第1磁性部21は、第1方向(Z軸方向)において、第2磁性部22と検知素子部51sとの間に設けられる。第1磁性部21は、第1方向において、第2磁性部22から離れている。
【0078】
例えば、第1磁性部21の外縁と、第2磁性部22の外縁との間に、スペーサ27が設けられても良い。スペーサ27は、例えば、磁性体でも良い。スペーサ27は例えば、非磁性体でも良い。第1磁性部21と第2磁性部22との間に空間が形成される。
【0079】
第1磁性部21は、1つまたは複数の第1孔h1を含む。第2磁性部22は、1つまたは複数の第2孔h2を含む。この例では、1つの第1孔h1が設けられ、1つの第2孔h2が設けられる。
【0080】
このような構成により、外力81は、これらの孔を通過して、検知素子部51sに伝わる。一方、外部磁場は、第2孔h2を通過しても、第1磁性部21により減衰される。これにより、より高い磁性シールド特性が得られる。例えば、第1孔h1は、第1方向(Z軸方向)において、第2孔h2と重ならない。これにより、Z軸方向に沿って入射する外部磁場が効果的に抑制される。
【0081】
図13(a)及び図13(b)は、第4実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図13(b)は、図13(a)の一部PAを拡大して示している。図13(a)に示すように、本実施形態に係るセンサ141も、検知素子部51s、第1磁性部21及び第2磁性部22を含む。センサ141におけるこれ以外の構成は、センサ110と同様でも良い。センサ141においては、第1磁性部21は、複数の第1孔h1を含む。第2磁性部22は、複数の第2孔h2を含む。
【0082】
図13(b)に示すように、複数の第2孔h2の1つは、第1方向(Z軸方向)において、複数の第1孔h1の1つと重ならない。これにより、Z軸方向に沿って入射する外部磁場が効果的に抑制される。
【0083】
第2孔h2を含む第2磁性部22は、第1~第3実施形態に係る任意のセンサに設けられても良い。
【0084】
実施形態において、第1~第4磁性部21~24の少なくともいずれかは、例えば、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1~第4磁性部21~24の少なくともいずれかは、例えば、Ni及びFeを含む合金を含んでも良い。第1~第4磁性部21~24の少なくともいずれかは、例えば、パーマロイ(Ni-Fe)、フェライト、及び珪素鋼よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1~第4磁性部21~24の少なくともいずれかは、例えば、30原子パーセント以上90原子パーセント以下のNiを含むNi-Fe合金を含んでも良い。第1~第4磁性部21~24の少なくともいずれかは、例えば、モリブデン、銅及びクロムからなる群より選択される少なくとも1種の元素をさらに含むNi-Fe合金を含んでも良い。例えば、第1~第4磁性部21~24に含まれる磁性材料の透磁率は、500以上であることが望ましい。第1~第4磁性部21~24に含まれる磁性材料の比透磁率は、5000以上であることがさらに望ましい。
【0085】
第1~第4磁性層11~14の少なくともいずれか、例えば、Fe及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0086】
第1及び第2非磁性層11n及び12nの少なくともいずれかは、例えば、MgOを含む。
【0087】
膜部70dの少なくとも一部は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン及び酸化アルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0088】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るセンサも、検知素子部51s及び第1磁性部21を含む。以下、第5実施形態について、第1磁性部21の複数の第1孔h1の例について説明する。複数の第1孔h1を除く構成については、第1実施形態の構成と同様で良い。第1孔h1の形状を除く構成については、第2実施形態の構成と同様で良い。
【0089】
図14は、第5実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図14は、図1(b)に対応する断面図である。図14に示すように、本実施形態に係るセンサ122aにおいては、複数の第1孔h1の幅がZ軸方向において増減する。
【0090】
例えば、第1磁性部21は、第1面21f及び第2面21gを含む。複数の第1第1孔h1の1つは、第1~第3幅w1~w3を有する。第1幅w1は、第1面21fにおける幅である。第2幅w2は、第2面21gにおける幅である。第3幅w3は、第1面21fと第2面21gとの間の位置における幅である。第3幅w3は、第1幅w1よりも大きく、第2幅w2よりも大きい。
【0091】
例えば、良好な音響特性を保ちつつ、外部磁場の影響を効果的に抑制することができる。
【0092】
このような複数の第1孔h1は、例えば、第1磁性部21となる磁性部材の加工条件を適切に制御することで得られる。複数の第1孔h1の幅のZ軸方向における増減は、直線的でも良く、曲線的でも良い。
【0093】
図15は、第5実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図15は、図1(b)に対応する断面図である。図15に示すように、本実施形態に係るセンサ122bにおいても、複数の第1孔h1の幅がZ軸方向において増減する。
【0094】
例えば、複数の第1孔h1の1つは、第1~第5幅w1~w5を有する。第1幅w1は、第1面21fにおける幅である。第2幅w2は、第2面21gにおける幅である。第3幅w3は、第1面21fと第2面21gとの間の位置における幅である。第4幅w4は、第3幅w3に対応する位置と、第2面21gと、の間の位置における幅である。第5幅w5は、第4幅w4に対応する位置と、第1面21fと、の間の位置における幅である。
【0095】
例えば、第3幅w3は、第1幅w1よりも大きく、第2幅w2よりも大きく、第5幅w5よりも大きい。第4幅w4は、第1幅w1よりも大きく、第2幅w2よりも大きく、第5幅w5よりも大きい。
【0096】
複数の第1孔h1の幅のZ軸方向における増減の数は、1でも良く、2以上でも良い。複数の第1孔h1の幅のZ軸方向における増減は、直線的でも良く、曲線的でも良い。
【0097】
実施形態によれば、安定した特性が得られるセンサが提供される。
【0098】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0099】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、センサに含まれる検知素子、支持部、膜部、素子、磁性層、中間層、電極、磁性部、制御素子部及び基体などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0100】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0101】
その他、本発明の実施の形態として上述したセンサを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0102】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
11~14…第1~第4磁性層、 11n、12n…第1、第2中間層、 21~24…第1~第4磁性部、 21a、21b…第1、第2部分領域、 21at、21bt…厚さ、 21f、21g…第1、第2面、 26…基体、 27…スペーサ、 28a…第1部材、 51…第1素子、 51B…固定部材、 51s…検知素子部、 51w…配線、 52…第2素子、 58a~58d…第1~第4導電層、 58i…絶縁層、 68…制御素子部、 68i…絶縁樹脂、 68w…配線、 70d…膜部、 70f…膜面、 70s…支持部、 81…外力、 110、110a、110b、111、120~122、122a、122b、130、140、141…センサ、 AR1…矢印、 L1…長さ、 L51…長さ、 L70…長さ、 OP1、OP2…第1、第2開口部、 PA…一部、 d1…幅、 h1、h2…第1、第2孔、 hs1…側面、 t21…厚さ、 t23…長さ、 w1~w5…第1~第5幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15