IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フランスベッド株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ベッド装置 図1
  • 特許-ベッド装置 図2
  • 特許-ベッド装置 図3
  • 特許-ベッド装置 図4
  • 特許-ベッド装置 図5
  • 特許-ベッド装置 図6
  • 特許-ベッド装置 図7
  • 特許-ベッド装置 図8
  • 特許-ベッド装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 20/04 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A47C20/04 A
A47C20/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018199208
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020065634
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2020-01-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月10日~平成30年10月12日 第45回 国際福祉機器展H.C.R.2018に出品
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和久 哲也
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-201889(JP,A)
【文献】特開2017-046969(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01774873(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/04
A47C 19/00
A61G 7/002
A47C 20/00
A47C 20/04
A47C 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドフレームと、このベッドフレームの上面に設けられる床板体とを備えたベッド装置であって、
前記ベッドフレームは、
本体フレーム部と、
前記本体フレーム部の長手方向の端部に前記本体フレーム部の長手方向に沿って移動可能かつ所定の移動位置で前記本体フレーム部に固定されて前記ベッドフレームの長さを変更する調整フレーム部と
によって構成され、
前記床板体は、
前記本体フレーム部に固定されて設けられる固定床部と、
前記本体フレーム部に固定されて設けられ前記固定床部に第1の薄肉部によって屈曲可能に連結された第1の支持床部と、
前記第1の支持床部の上面の長手方向の一端部にその長手方向に沿って移動可能に設けられた第1の腰床部と、
前記第1の腰床部に第2の薄肉部によって回動可能に連結された第2の腰床部と、
上面の長手方向の一端部に前記第2の腰床部がその長手方向に沿って移動可能に設けられた第2の支持床部と、
前記第1の腰床部を前記第1の支持床部に、前記第2の腰床部を前記第2の支持床部に、それぞれ前記各支持床部の長手方向に沿って移動可能かつ所定の移動位置で移動不能に固定する位置決め手段と
とによって構成されていることを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記第1腰床部と前記第2の腰床部は、それぞれ前記第1の支持床部と前記第2の支持床部に対して段階的に長さ調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
前記固定床部と前記第1の支持床部は、前記第1の薄肉部とともに一体的に発泡成形されることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項4】
前記固定床部には、発泡成形時に前記固定床部を前記床板体に取付けるための取付け孔が形成されることを特徴とする請求項3記載のベッド装置。
【請求項5】
前記第1の腰床部と前記第2の腰床部は、前記第2の薄肉部とともに一体的に発泡成形されることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項6】
前記第1の支持床部と前記第2の支持床部の長手方向一端部側の上面には、それぞれ前記第1の床部と前記第2の腰床部がそれぞれ移動可能に載置される載置段部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項7】
前記位置決め手段は、前記第1の支持床部と前記第2の支持床部との長手方向の一端部に長手方向に沿って所定間隔で、厚さ方向に貫通して形成された複数の位置決め孔と、
前記第1の腰床部と前記第2の腰床部との長手方向の一端部の上面側に形成された凹部及びこの凹部の底面から各支持床部の下面側に貫通した取付け孔と、
前記取付け孔と、この取付け孔に対向位置する複数の前記位置決め孔の1つとに挿通されて角支持床部の各腰床部を移動不能に固定するねじと
によって構成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者の身長に応じて長さを変更することができるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、介護用のベッド装置は、利用者が販売店から購入して使用したり、比較的高価であるためにレンタル店から必要に応じて借りて使用するということが行われている。いずれの場合であっても、ベッド装置の長さ寸法が利用者の身長に適応していない場合には快適に利用することができないということがある。
【0003】
たとえば、利用者の身長に対してベッド装置の長さ寸法が短いときには身体を十分に伸ばして楽な寝姿勢を維持することができないということがある。また、逆にベッド装置が利用者の身長に対して長過ぎるときには、その長さによって室内空間を無駄に占有するということがある。
【0004】
しかも、ベッド装置が背上げ式の介護用ベッド装置の場合、ベッド装置が利用者の身長に対して短過ぎても、長過ぎても身体の腰や背などの位置から起伏駆動される床板部の位置がずれてしまい、利用者の身体を不要に圧迫してしまうなどのことがある。
【0005】
したがって、ベッド装置を購入したり、借りて使用する場合、利用者は自分の身長に応じた長さのものを選択することが好ましいことになる。
【0006】
従来、ベッド装置には特許文献1や特許文献2に示された構成のものが知られている。特許文献1に示された起伏式のベッド装置はベッドフレームと床板体を有し、前記床板体は背上げ機構によって起伏駆動される構成となっている。
【0007】
しかしながら、前記ベッドフレームや床板体は利用者の身長に応じて長さを変更することができる構成になっていない。そのため、利用者の身長がベッド装置の、ベッドフレームや床板体の長さに適応しない場合、快適な状態で利用することができないということになる。
【0008】
とくに、病院などにおいて、利用者が変更になり、異なる身長の利用者が利用するようになった場合、背上げ時などに利用者の身体を不要に圧迫したり、楽な寝姿勢が維持できないなどのことにより、快適な状態で利用できなくなるということがある。
【0009】
特許文献2に示されたベッド装置は、床板体を支えるフレームの一部を異なった長さの交換装着用フレームに置き換え可能にすることが示されている。
【0010】
そして、前記交換装着用フレーム(足側フレーム)を異なった長さに置き換え、フットボードと足側床板との間に隙間を存在させ、その隙間に延長マットレスを保持する保持枠を設けることができるようにする。それによって、ベッド装置を必要に応じて異なる長さにして使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第3910873号公報
【文献】特許第3024698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に示されたベッド装置は、上述したように異なる身長の利用者が利用する場合、利用者の身長の変化に応じてベッド装置の長さを変えることができない。そのため、快適な状態で利用することができないということがある。
【0013】
つまり、ベッド装置は予め設計された長さでしか使用することができないため、その長さに利用者の身長が合わない場合、利用し難いということになる。
【0014】
引用文献2に示されたベッド装置は、床板を支えるフレームの一部を異なった長さの交換装着用フレームに置き換え、フットボードと足側床板との間に隙間を存在させ、その隙間に保持枠を設け、そこに延長マットレスを保持することで、ベッド装置の長さを長くし、身長の大きい人にも利用できるようにしている。
【0015】
しかしながら、このような構成によると、ベッド装置の長さを変更するためには、予め設計されたベッド装置の部品の他に、交換装着用フレームや保持枠などの部品を必要とする。そのため、必要な部品点数が増大するから、コスト上昇を招くということがある。
【0016】
しかも、ベッド装置の長さを二段階ではなく、3段階或いはそれ以上に変更することができるようにするためには、それぞれの変更する長さ応じた交換装着用フレーム或いは保持枠を必要とするから、そのような場合にはさらに必要な部品点数が増大することになる。
【0017】
さらに、ベッド装置は病院などで異なる身長の利用者が利用することがある。その場合、上述した交換装着用フレームや保持枠などの部品を必要としない身長の利用者が利用したり、上述した部品を必要とする身長の利用者が利用することもある。
【0018】
利用者の身長が異なる場合、その利用者の身長に応じてベッド装置の長さを迅速に変更することが要求される。そのためには、ベッド装置の長さを変更するために必要な上述した種々の部品を予め用意しておかなければならないから、部品を保管したり、保管場所を確保しなければならない。そのため、コストアップや管理に手間が掛かるということがある。
【0019】
この発明は、長さを変えるために、それ専用の部品を用意しておく必要がないばかりか、ベッド装置を二段階以上に変更するような場合であっても、とくに専用の部品を必要とせずに行うことを可能にしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、ベッドフレームと、このベッドフレームの上面に設けられる床板体とを備えたベッド装置であって、
前記ベッドフレームは、
本体フレーム部と、
前記本体フレーム部の長手方向の端部に前記本体フレーム部の長手方向に沿って移動可能かつ所定の移動位置で前記本体フレーム部に固定されて前記ベッドフレームの長さを変更する調整フレーム部と
によって構成され、
前記床板体は、
前記本体フレーム部に固定されて設けられる固定床部と、
前記本体フレーム部に固定されて設けられ前記固定床部に第1の薄肉部によって屈曲可能に連結された第1の支持床部と、
前記第1の支持床部の上面の長手方向の一端部にその長手方向に沿って移動可能に設けられた第1の腰床部と、
前記第1の腰床部に第2の薄肉部によって回動可能に連結された第2の腰床部と、
上面の長手方向の一端部に前記第2の腰床部がその長手方向に沿って移動可能に設けられた第2の支持床部と、
前記第1の腰床部を前記第1の支持床部に、前記第2の腰床部を前記第2の支持床部に、それぞれ前記各支持床部の長手方向に沿って移動可能かつ所定の移動位置で移動不能に固定する位置決め手段と
とによって構成されていることを特徴とするベッド装置にある。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ベッドフレームと床板体がともに移動可能かつ所定の移動位置で移動不能に固定して長さ調整できる構造であるから、専用の部品を必要とすることなく、ベッド装置の長さを利用者の身長に応じて調整することができる。
【0022】
つまり、ベッド装置の長さ変更を、容易かつ迅速に行うことが可能であるばかりか、利用者の身長に応じて二段階に限らず、それ以上であっても行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施のベッド装置形態を示し、このベッド装置の床板体が背上げ状態に駆動された状態の斜視図。
図2】前記ベッド装置の前記床板体が水平に倒伏した状態を示す斜視図。
図3】ベッドフレームの長手方向一端部側の本体フレーム部と調整フレーム部を示す平面図。
図4】前記本体フレーム部の側辺部と、この側辺部に第1の位置決め手段によって所定の移動位置で保持される調整フレーム部の側辺部を示す断面図。
図5】第2の位置決め手段によって第1の支持床部と第2の支持床部にそれぞれ移動可能かつ所定の移動位置で固定される、屈曲可能に連結された一対の腰床部を示す断面図。
図6】床板体を最も短い長さ寸法に設定した状態を示す側面図。
図7】床板体を中間の長さ寸法に設定した状態を示す側面図。
図8】床板体を最大の長さ寸法に設定した状態を示す側面図。
図9】(a)~(c)はベッドフレームと床板体とをそれぞれ最小、中間及び最大の長さ寸法にそれぞれ変更した状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図9を参照しながら説明する。
【0025】
図1図2はベッド装置の斜視図であって、このベッド装置は図2に示すベースフレーム1を備えている。このベースフレーム1は矩形状に形成されていて、その四隅部には設置用脚2が設けられている。なお、前記設置用脚2に代わってキャスターを設けるようにしてもよい。
【0026】
図2に示すように、前記ベースフレーム1の四隅部の上面には上下駆動機構3を構成する連結杆4(三か所だけ図示)の一端が枢着され、他端はそれぞれ後述する矩形枠状に形成されたベッドフレーム5の四隅部に枢着されている。
【0027】
4本の前記連結杆4は図示しない連動リンクを介して上下用駆動源6によって駆動される。すなわち、前記連結杆4は前記ベースフレーム1に枢着された一端を支点として水平の倒伏した状態から図1に示すように起立する方向に駆動される。
【0028】
それによって、前記ベッドフレーム5は図1に示す下降位置から図2に示す上昇位置に駆動されるようになっている。
【0029】
図3は前記ベッドフレーム5の長手方向の一端側を示し、このベッドフレーム5は本体フレーム部11を有する。この本体フレーム部11は平行に離間対向して配置される一対の第1の側辺部12と、これら第1の側辺部12の長手方向の一端と他端とをそれぞれ連結した一対の第1の辺部13ときによって矩形枠状に形成されている。なお、前記第1の側辺部12及び第1の辺部13は金属や樹脂などによって角筒状に形成された部材が用いられている。
【0030】
前記本体フレーム部11の長手方向の一端部と他端部にはそれぞれ調整フレーム部15が図3に矢印Xで示すように前記本体フレーム部11の長手方向に沿って移動可能に設けられている。
【0031】
前記調整フレーム部15は、前記第1の辺部13よりもわずかに長尺な第2の辺部16と、この第2の辺部16の長手方向両端に前記本体フレーム部11の幅寸法よりもわずかに大きな間隔で一端が連結された一対の第2の側辺部17とによってコ字状に形成されている。前記第2の辺部16と第2の側辺部17も前記本体フレーム部11と同様、角筒の部材によって形成されている。
【0032】
一対の前記第2の側辺部17は、前記本体フレーム部11の一対の前記第1の側辺部12の外側に位置している。前記第2の側辺部17の他端部には前記本体フレーム部11の前記第1の側辺部12をスライド可能に保持する第1の保持部材18が設けられ、前記第1の側辺部12の端部には前記第2の側辺部17をスライド可能に保持する第2の保持部材19が設けられている。
【0033】
それによって、前記本体フレーム部11の長手方向の一端部側と他端部側とに設けられた一対の前記調整フレーム部15は、矢印Xで示すように前記本体フレーム部11の長手方向に沿って移動可能になっている。
【0034】
なお、前記調整フレーム部15の前記第2の短辺部16にはヘッドボード及びフットボードとなるボード体21が下端部を連結して立位状態で設けられている。さらに、前記一対の前記調整フレーム部15に設けられたそれぞれ一対の前記第2の側辺部17には、図1図2に示すように側柵用支持部材211(前記ベッドフレーム5の幅方向一側側のみ図示)が取付けられている。この側柵用支持部材211によって、前記ベッドフレーム5の長手方向一端部と他端部との側部に、必要に応じて図示しない側柵が着脱可能に取付けられるようになっている。
【0035】
図4に示すように、前記調整フレーム部15は前記本体フレーム部11の前記第1の側辺部12に対して第1の位置決め手段20によって所定の移動位置で段階的に位置決め固定できるようになっている。
【0036】
前記第1の位置決め手段20は、前記調整フレーム部15の前記第2の側辺部17の長さ方向に対して所定ピッチP1、たとえば70mmの間隔で、しかも幅方向に貫通して穿設された複数、この実施の形態では3つの位置決め孔17a~17cを有する。
【0037】
前記第1の側辺部12には幅方向に貫通して穿設された1つの通孔23が穿設されている。この通孔23にはねじ22が挿通されている。このねじ22は3つの前記位置決め孔17a~17cのうちの1つ、図4では中間の位置決め孔17bに通され、その位置決め孔17bから突出した前記ねじ22の先端部にはナット24が螺合される。
【0038】
したがって、前記ねじ22を3つの前記位置決め孔17a~17cのどれに通して前記調整フレーム部15を前記本体フレーム部11に固定するかによって、前記ベッドフレーム5の全長を、この実施の形態では3段階に設定することができるようになっている。
【0039】
つまり、前記調整フレーム部15を前記本体フレーム部11に対して図4に矢印+X方向に移動させ、前記ねじ22を位置決め孔17cに通して前記調整フレーム部15を固定すれば、前記ベッドフレーム5を図4の状態から、前記位置決め孔17bと17cとのピッチP1分だけ長くすることができる。
【0040】
同様に、前記調整フレーム部15を前記本体フレーム部11に対して図4に矢印で示す-X方向に移動させ、前記ねじ22を位置決め孔17aに通して前記調整フレーム部15を固定すれば、前記ベッドフレーム5を図4の状態から、前記位置決め孔17bと17aとのピッチP1分だけ短くすることができる。
【0041】
このように、前記ベッドフレーム5は、前記調整フレーム部15を移動させて前記ねじ22を前記通孔23から3つの位置決め孔17a,17b,17cのいずれに通すかによって、前記ベッドフレーム5の長さをピッチP1の長さで3段階に設定することができる。
【0042】
前記調整フレーム部15は、前記ベッドフレーム5の長手方向の一端部と他端部に設けられている。そのため、一対の前記調整フレーム部15の前記第2の側辺部17の位置決め調整を行うことで、前記ベッドフレーム5は前記ピッチP1の2倍の長さで長さ調整されることになる。
【0043】
なお、前記位置決め孔の数を4つ以上としたり、ピッチP1を変えれば、それに応じて前記前記ベッドフレーム5の長さ調整できる段階の数や長さを変えることができる。
【0044】
図1図2に示すように、前記ベッドフレーム5の上面には床板体25が設けられる。この床板体25の上面には利用者が仰臥するマットレス(ともに図示せず)載置される。
【0045】
前記床板体25は、2つに分割され前記ベッドフレーム5の前記本体フレーム部11の長手方向の中途部に取付け固定される固定床部26を有する。
【0046】
前記固定床部26はたとえば樹脂によって発泡成形されていて、一方の前記固定床部26側には第1の長さ調整床部28が設けられ、他方の前記固定床部26側には第2の長さ調整床部29が設けられている。図5に示すように、前記固定床部26には、発泡成形時に前記固定床部26を前記床板体25に図示しないねじを用いて取付けるための取付け孔27が形成されている。
【0047】
前記第1の長さ調整床部28は、前記床板体25上に仰臥する利用者の腰部から背部、頭部の上半身側に位置することになり、前記第2の長さ調整床部29は利用者の臀部から脚部の下半身側に位置することになる。
【0048】
図6乃至図8に示すように、前記第1、第2の長さ調整床部28,29は、それぞれ一方の前記固定床部26と一体的に発泡成形された第1の支持床部32を有する。前記固定床部26と前記第1の支持床部32は可撓性の第1の薄肉部31によって回動可能に連結されている。
【0049】
前記第1の支持床部32の上面には載置段部33が形成されている。この載置段部33の前記固定床部26側の一側上面には、前記第1の支持床部32の幅方向の全長にわたって突条33aが突設されている。
【0050】
前記第1の長さ調整床部28の前記載置段部33には可動床部としての第1の腰床部34の一端部が図7に矢印で示す前記床板体25の長手方向に沿って移動可能に載置されている。前記第1の腰床部34の他端には第2の薄肉部35によって可動床部としての第2の腰床部36の一端が回動可能に連結されている。
【0051】
前記第1、第2の腰床部34,36は前記固定床部26と前記載置段部33の成形と同様、前記第2の薄肉部35とともに一体的に発泡成形され、前記第2の薄肉部35の箇所で屈曲する屈曲部を形成している。
【0052】
前記第2の腰床部36は、第2の支持床部37の上面に形成された載置段部38に図7に矢印で示す、前記床板体25の長手方向に沿って移動可能に載置されている。前記第2の支持床部37の他端の幅方向中央部には図1に示す連結部41が突設されている。この連結部41には背床部42の下端が回動可能、前後方向に回動可能に連結されている。
【0053】
前記背床部42は、図1に示すように前記連結部41に下端が回動可能に連結された中央背部43、この中央背部43の両側に前方向にだけ回動するよう連結された一対の側部背部44を有する。
【0054】
前記中央背部43は下端を支点として前方へ回動可能になっており、前記側部背部44は前記中央背部43に連結された一側を支点として前方へ回動可能になっている。そして、前記中央背部43と前記側部背部44は図示しない駆動機構によって駆動されるようになっている。
【0055】
前記第2の支持床部37の背面の幅方向中途部には、角筒状の一対の支持部材45(一方のみ図6乃至図8に示す。)の一端部が固定されている。これら支持部材45の他端部は前記中央背部43の背面側に延出され、その背面を支えるようになっている。それによって、前記支持部材45は前記中央背部43の前面に利用者の荷重が加わっても、前記中央背部43が下端を支点として背面側に回動するのを阻止するようになっている。
【0056】
なお、前記支持部材45は、前記第1の支持床部32に対する前記第1の腰床部34の移動と、前記第2の支持床部37に対する前記第2の腰床部36の図7に矢印で示す方向への移動を妨げることがないようになっている。
【0057】
前記第2の長さ調整床部29の前記第1の支持床部32の前記載置段部33には、前記第1、第2の腰床部34,36と同様、第3の薄肉部46を介して回動可能に一体的に発泡成形された可動床部としての第1の脚床部47と可動床部としての第2の脚床部48のうちの、前記第1の脚床部47が図7に矢印で示す方向にスライド可能に載置されている。
【0058】
前記第1の脚床部47と前記第2の脚床部48は、前記第3の薄肉部46によって屈曲可能な屈曲部を形成している。
【0059】
前記第2の脚床部48は、第3の脚床部49の一端部側に形成された載置段部51に、図7に矢印で示す前記床板体25の長手方向に沿って移動可能に載置されている。
【0060】
前記第1の長さ調整床部28は、前記第1の腰床部34と第2の腰床部36が前記第1の支持床部32と前記第2の支持床部37との前記載置段部33,38に沿って移動することで、前記床板体25の長手方向一端部側の長さを変えることができるようになっている。
【0061】
前記第2の長さ調整床部29は、前記第1の脚床部47と第2の脚床部48が前記第1の支持床部32と前記第3の脚床部49に設けられた前記載置段部33,51に沿って移動することで、前記床板体25の長手方向他端部側の長さを変えることができるようになっている。
【0062】
前記第1の腰床部34と第2の腰床部36及び前記第1の支持床部32と前記第2の支持床部37によって構成された前記第1の長さ調整床部28と、前記第1の脚床部47と第2の脚床部48及び前記第1の支持床部32と前記第3の脚床部49によって構成された前記第2の長さ調整床部29は、図5に示す第2の位置決め手段52によってそれぞれ段階的に長さを変えることができるようになっている。
【0063】
図5は前記第1の長さ調整床部28の前記第1の腰床部34と前記第2の腰床部36にそれぞれ設けられた前記第2の位置決め手段52を示す。
【0064】
前記第2の位置決め手段52は、前記第1の支持床部32と前記第2の支持床部37との各載置段部33,38に、厚さ方向に貫通して形成された複数、この実施の形態では第1乃至第3の3つの位置決め孔52a~52cを有する。これら位置決め孔52a~52cは前記床板体25の長手方向に沿って所定のP2、たとえば35mm間隔で穿設されている。
【0065】
つまり、前記第2の位置決め手段52の位置決め孔52a~52cのピッチP2は、前記第1の位置決め手段20の前記位置決め孔17a~17cのP1(70mm)の半分の長さに設定されている。
【0066】
前記第1の支持床部32に載置される前記第1の腰床部34と、前記第2の支持床部37に載置される前記第2の腰床部36の上面には凹部53が形成され、この凹部53には厚さ方向に沿って貫通する取付け孔54が穿設されている。
【0067】
そして、ねじ55を3つの前記位置決め孔52a~52cのうちの1つから前記取付け孔54に通し、この取付け孔54から突出した端部にナット56を螺合することで、前記第1の支持床部32と前記第1の腰床部34、及び前記第2の支持床部37と前記第2の腰床部36をそれぞれ連結固定することができるようになっている。
【0068】
そのとき、前記ねじ55を3つの前記位置決め孔52a~52cのうちのどれに通すかによって、前記第1、第2の支持床部32,37と一対の腰床部34,36がなす長さ寸法、つまり前記第1の長さ調整床部28の長さ寸法を、3つの前記位置決め孔52a~52cのピッチに応じた間隔で設定できるようになっている。
【0069】
図5図6は前記ねじ55が第1の位置決め孔55aに挿通されて前記第1の腰床部34と前記第2の腰床部36が位置決めされているから、前記第1の長さ調整床部28は最小長さ寸法に設定されることになる。
【0070】
前記ねじ55を前記第2の位置決め孔55bに移動させて前記第1の腰床部34と前記第2の腰床部36を位置決めすれば、図7に示すように前記第1の長さ調整床部28は図6に示す長さよりも長い中間長さ寸法に設定される。
【0071】
前記ねじ55を前記第3の位置決め孔55cに移動させて前記第1の腰床部34と前記第2の腰床部36を位置決めすれば、図8に示すように前記第1の長さ調整床部28は図7に示す長さよりも長い、最大長さ寸法に設定される。
【0072】
前記第2の長さ調整床部29の前記第1の支持床部32と前記第1の脚床部47、及び前記第3の脚床部49と前記第2の脚床部48にも前記第1の長さ調整床部28と同様の構成の前記第2の位置決め手段52によって同じピッチで長さ調整できるようになっている。
【0073】
なお、前記第2の長さ調整床部29に設けられる前記第2の位置決め手段52の図示及び詳細な説明は省略する。
【0074】
前記第2の位置決め手段52による前記床板体25の長さ寸法の調整は、一対の第1、第2の腰床部34,36、及び一対の第1、第2の脚床部47,48をスライドさせて段階的に行うようになっており、前記第1の位置決め手段20による前記ベッドフレーム5の長さ寸法の調整は前記ベッドフレーム5の一対の調整フレーム部15をスライドさせて段階的に行うようになっている。
【0075】
つまり、前記床板体25の長さ寸法の調整は一対の前記第1、第2の腰床部34,36、及び一対の前記第1、第2の脚床部47,48のピッチP2(35mm)で位置決めできる4か所で行うようになっており、前記ベッドフレーム5の長さ寸法の調整は一対の前記調整フレーム部15のピッチP1(70mm)で位置決めできる2か所で行うようになっている。
【0076】
それによって、前記床板体25の前記第2の位置決め手段52によるピッチP2で位置決めできる4か所の長さ寸法の設定と、前記ベッドフレーム5の前記第1の位置決め手段20によるピッチP1で位置決めできる2か所の長さ寸法の設定とを、それぞれ各段階ごとに行えば、前記床板体25と前記ベッドフレーム5を同じ長さで長くしたり、短くすることができる。
【0077】
つまり、前記第2の位置決め手段52によって前記床板体25の長さ寸法を変更した場合、前記ベッドフレーム5の長さ寸法も、前記床板体25の長さ寸法の変更に応じて前記第1の位置決め手段20によって行われる。
【0078】
図9(a)~(c)は前記ベッドフレーム5と、前記床板体25との長さ寸法を同じように変更した状態を示している。図9(a)は前記ベッドフレーム5と、前記床板体25との長さ寸法を最小寸法に設定した状態を示し、同図(b)は中間寸法、同図(c)は最大寸法に設定した状態を示している。
【0079】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25は上述したようにそれぞれ前記第1の位置決め手段20と前記第2の位置決め手段52によって同じ間隔で、3段階で長さを調整できるようになっている。
【0080】
そのため、前記ベッドフレーム5と前記床板体25を対応する長さに設定することができるから、これらの長さの変更を容易に、しかも確実に行うことが可能となる。
【0081】
また、前記ベッドフレーム5と前記床板体25を同じ長さ寸法で長さ調整することで、前記ベッドフレーム5の一端と他端に設けられた一対の前記ボード体21の間隔に対し、前記床板体25の長さ寸法が大きくなり過ぎたり、短くなり過ぎるのを防止できる。
【0082】
このような構成のベッド装置によれば、前記ベッドフレーム5は、前記本体フレーム部11の長手方向の一端部と他端部とにそれぞれ調整フレーム部15を前記本体フレーム部11の長手方向に沿って移動可能に設け、前記第1の位置決め手段20によって3段階の位置で移動不能に固定できるようにしている。
【0083】
そのため、前記ベッドフレーム5は一対の前記調整フレーム部15を前記本体フレーム部11に対してそれぞれ同じ移動量で移動させて固定することで、長さを3段階に変えることができる。
【0084】
つまり、従来のように長さ調整するための別部品を用意しておくことなく、前記調整フレーム部15の前記本体フレーム部11に対する移動位置を変えることで、前記ベッドフレーム5の長さを3段階に調整することができる。
【0085】
前記ベッドフレーム5に設けられる前記床板体25は、この床板体25の長さを調整することができる第1の長さ調整床部28と、第2の長さ調整床部29を、前記ベッドフレーム5に固定される固定床部26の一端側と他端側とに備えている。
【0086】
そのため、このような構成の前記床板体25によれば、前記ベッドフレーム5と同様、長さ調整するための別部品を用意しておくことなく、前記第2の位置決め手段52によって長さを3段階に調整することができる。
【0087】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25はともに3段階に長さ調整することができる。たとえば、前記ベッドフレーム5と前記床板体25との最も短い最小寸法、中間の中間寸法、最も長い最大寸法としれば、前記中間寸法を標準の身長の利用者に合わせることで、標準身長の利用者よりも背の低い人は前記最小寸法、背の高い人であれば前記最大寸法に設定する。それによって、身長の異なる利用者であっても快適な状態で利用することができる。
【0088】
前記床板体25と前記ベッドフレーム5との両者の長さを同じ状態、つまり前記床板体25と前記ベッドフレーム5は前記第1の位置決め手段20と前記第2の位置決め手段52によって長手方向の一端側と他端側とを同じ長さで調整できるようにしている。
【0089】
そのため、前記床板体25と前記ベッドフレーム5との長さを変えても、これらの相対的な長さを変えることなく長さ調整できるため、長さ調整することによってベッド装置としての機能が損なわれるということがない。
【0090】
つまり、前記ベッドフレーム5に対して前記床板体25の長さが長くなり過ぎたり、短くなり過ぎるようなことなく、これらの長さを調整することができる。
【0091】
それによって、ベッド装置が背上げ式の場合、前記床板体25を起伏駆動するために前記ベッドフレーム5に設けられる背上げ駆動機構(図示せず)と、前記床板体25の前記背上げ駆動機構によって起伏駆動される床板部分との位置関係がずれることが防止されるから、前記ベッド装置の背上げ機能を確実かつ良好に維持することができる。
【0092】
前記床板体25の前記第1の長さ調整床部28に屈曲可能な状態で設けられた前記第1の腰床部34と前記第2の腰床部36、及び前記第2の長さ調整床部29に屈曲可能に設けられた前記第1の脚床部47と前記第2の脚床部48は、前記床板体25の長さを調整することで、その調整度合いに応じて前記床板体25の長手方向に対して移動して位置決めされる。
【0093】
つまり、利用者の身長に応じて前記床板体25の長さを変えても、前記第1の腰床部34と第2の腰床部36をその利用者の腰部に対応位置させることができ、前記第1の脚床部47と第2の脚床部48も、これらの屈曲する部分がその利用者の脚部の膝の裏側の部分に位置させることができる。
【0094】
そのため、前記床板体25を背上げ駆動する場合、利用者の身長が異なる場合であっても、その身長に応じて長さ調整することで、屈曲する前記第1の腰床部34と第2の腰床部36が利用者の腰部を不要に圧迫したり、前記第1の脚床部47と第2の脚床部48が利用者の脚部の腿や脹脛の部分を不要に圧迫するのを防止することができる。
【0095】
つまり、ベッド装置の機能を損なうことなく、前記ベッドフレーム5と前記床板体25の長さを調整することができる。
【0096】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25は、同じ間隔で、しかも同じ3段階で長さ調整できるようになっている。そのため、前記ベッドフレーム5と前記床板体25の長さ調整を、確実に、しかも容易に同じ長さに設定することができる。
【0097】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25との長さを同じ長さに設定できることで、図9(a)~(c)に示すように、前記ベッドフレーム5の長手方向の両端に設けられる一対のボード体21の内面間の長さと、前記床板体25の長手方向両端間の長さを一定に保つことができる。
【0098】
それによって、前記床板体25が前記ボード体21の内面に当たって前記床板体25を円滑に起伏駆動させることができなくなったり、前記ボード体21の内面と前記床板体25の両端との間に隙間が空き過ぎて外観の低下を招くなどのことを防止できる。
【0099】
前記ベッドフレーム5は前記本体フレーム部11と、この本体フレーム部11の両端にそれぞれ移動可能に設けられた一対の前記調整フレーム部15とに分割されている。
【0100】
さらに、前記床板体25は、前記第1の支持床部32が屈曲可能に一体成形された2つの前記固定床部26と、屈曲可能に一体成形された前記第1、第2の腰床部34,36、及び前記第1、第2の脚床部47,48、と、前記第2の支持床部37及び前記第3の脚床部に分割されている。
【0101】
そのため、工場出荷時には前記ベッドフレーム5と前記床板体25を上述した複数の部分毎に小さく分割して梱包搬送することができ、納入先で組み立てるときには、小さな梱包の状態のまま搬入できるから、出荷時や搬入時の取り扱いを容易かつ迅速に行うことができる。
【0102】
この発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々、変形可能である。
【0103】
たとえば上述した実施の形態では前記ベッドフレーム5と前記床板体25の両者を長さ調整できる構造を例に挙げて説明したが、前記ベッドフレーム5と前記床板体25とのどちらか一方だけを長さ調整できる構造としてもよい。
【0104】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25のうち、前記ベッドフレーム5だけを長さ調整できる構造とした場合、前記床板体25は、少なくとも前記ベッドフレーム5の前記本体フレーム部11に固定される部分、一対の前記調整フレーム部15に固定される部分とに分割しておく。
【0105】
そうすることによって、前記ベッドフレーム5の長さ変更に応じて前記床板体を追従させて長さを変更することができる。
【0106】
前記ベッドフレーム5と前記床板体25のうち、前記床板体25だけを長さ調整できる構造とした場合、長さ調整時に前記床板体25に設けられる前記第1、第2の長さ調整床部28,29の可動部分が前記ベッドフレーム5上で円滑にスライドして長さを変えることができる構造にすればよい。
【0107】
その場合、前記ベッドフレーム5の長手方向の両端に設けられる一対のボード体21が邪魔になる虞があるから、前記ボード体21を除去したり、ボード体21が必要な場合には前記床板体25の前記第1、第2の長さ調整床部28,29の端部に前記ボード体21を設けることで対応することができる。
【0108】
前記床板体25の前記第1の長さ調整床部28には、前記第1の腰床部34と第2の腰床部36を屈曲可能に連結して設けたが、腰床部の数は2つに限定されず、3つ以上であっても差し支えない。
【0109】
同様に、前記第2の長さ調整床部29に屈曲可能に連結して設けられる脚床部の数も2つ或いは3つ以上であってもよい。
【0110】
さらに、前記第1の長さ調整床部28と前記第2の長さ調整床部29は、屈曲可能に連結された複数の前記腰床部や複数の脚床部に代えて、屈曲可能な蛇腹状の1つの板状部材を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
11…本体フレーム部、12…第1の側辺部、13…第1の端辺部、15…調整フレーム部、16…第2の端辺部、17…第2の側辺部、20…第1の位置決め手段、21…ボード体、25…床板体、26…固定床部、28…第1の長さ調整部、29…第2の長さ調整部、32…第1の支持床部、33,38…載置段部、34…第1の腰床部、36…第2の腰床部、37…第2の支持床部、42…背床部、43…中央背部、44…側部背部、47…第1の脚床部、48…第2の脚床部、49…第3の脚床部、52…第2の位置決め手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9