(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】金属カルベンオレフィンメタセシス触媒
(51)【国際特許分類】
C08G 61/08 20060101AFI20220124BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
C08G61/08
C07F15/00 A
(21)【出願番号】P 2018515840
(86)(22)【出願日】2016-09-23
(86)【国際出願番号】 US2016053288
(87)【国際公開番号】W WO2017053690
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-09-09
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・ジャーデロ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エス・トリマー
(72)【発明者】
【氏名】リ-シェン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ノア・エイチ・ダフィー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エム・ジョンズ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・ロダク
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エー・フィアメンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エイチ・フィリップス
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0228563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324672(US,A1)
【文献】特開2009-030076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G61/00-61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【化1】
から選択される、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒。
【請求項2】
少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの請求項
1に記載の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含むROMP組成物であって、前記樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含む、ROMP組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの環状オレフィンが、ノルボルネン誘導体である、請求項
2に記載のROMP組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年9月24日に出願された米国特許仮出願第62/222,989号の利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、全般的には、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒化合物、係る化合物の調製、係る化合物を含む組成物、係る化合物の使用方法、係る化合物を含む製造物品、並びにオレフィン及びオレフィン化合物のメタセシス反応における係る化合物の使用に関する。本発明は、触媒、有機合成、高分子化学、並びに工業化学及びファインケミカル産業の各分野において有用性を有する。
【背景技術】
【0003】
近年、メタセシス触媒を利用するオレフィンメタセシス反応は、有機化学において最も有用な手段の1つとなっている。N-ヘテロ環状カルベン(NHC)/ホスフィン混合配位子系などの単座混合配位子系を有する多種多様なルテニウムメタセシス触媒が知られ、研究されてきた。そのいくつかの例をスキーム1に示す。NHC/ホスフィン単座混合配位子系を有するルテニウム-メタセシス触媒の利点は、当該技術分野において周知である。
【化1】
【0004】
特に重要なオレフィンメタセシス反応の1つは、開環メタセシス重合(ROMP)である。ROMPによる熱硬化性ポリマーの成形は、技術的かつ商業的に重要な処理技術である。この技術では、液状モノマー(例えば、少なくとも1つの環状オレフィン)及び重合触媒(例えば、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒)を混合してROMP組成物を形成し、このROMP組成物をモールド中に注入、キャスト又は射出する。重合が進行し、完了したら、必要とされる任意選択の硬化後処理のために、モールドから成形部品を取り出す。ROMP組成物は、添加される改質剤、充填剤、添加剤、強化材、顔料などを任意選択により含有し得る。
【0005】
残念ながら、NHC/ホスフィン混合配位子系以外の単座混合配位子系を有するルテニウムメタセシス触媒に関する研究は、ほとんど開示されていない。更に、NHC/ホスフィン混合配位子系を有する既知のルテニウムメタセシス触媒の多くは、特定の用途及びオレフィンメタセシス反応において、場合によっては、その使用が制限されるような特徴を有している。したがって、より広範な用途及びオレフィンメタセシス反応において、その使用を更に可能にするような特徴の改善された金属カルベンオレフィンメタセシス触媒、特に、単座混合配位子系を含有するルテニウムメタセシス触媒が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この必要性を満たすために、本発明者らは、本明細書に記載される本発明の種々の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、本発明は、式(I)の構造を有する8族遷移金属錯体を含む、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を提供する。
【化2】
式中、
L
1は、式(II)の構造を有するカルベン配位子であり、
【化3】
Mは、8族遷移金属、具体的には、ルテニウム又はオスミウム、より具体的にはルテニウムであり、
X及びYは、独立して、CH、C、N、O、S又はPであり、好ましくは、X及びYはいずれもNであり、
Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4は、独立して、リンカー、例えば、ヒドロカルビレン(置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、例えば、置換アルキレン及び/又はヘテロ原子含有アルキレンを含む)又は-(CO)-であるか、Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4内の隣接する原子上の2つ以上の置換基は、結合して追加の環状基を形成してもよく、
p及びqは、独立して、0又は1又は2であり、
w、x、y及びzは、独立して、0又は1であり、好ましくは、w、x、y及びzは、0であり、
R
3、R
3A、R
4及びR
4Aは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、トランス配置又はシス配置でMに結合しており、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
ただし、
XがO又はSであるとき、pは0であり、
XがN、CH又はPであるとき、pは1であり、
XがCであるとき、pは2であり、
YがO又はSであるとき、qは0であり、
YがN、CH又はPであるとき、qは1であり、
YがCであるとき、qは2であり、
X又はYの一方のみがC又はCHであり、
式(I)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化4】
【0008】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含むROMP組成物を提供し、ここで、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含む。
【0009】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含むROMP組成物を提供し、ここで、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、ただし、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、
【化5】
でないことを条件とする。
【0010】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含む製造物品を提供し、ここで、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含む。
【0011】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含む製造物品を提供し、ここで、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、ただし、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、
【化6】
でないことを条件とする。
【0012】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒のROMP反応における使用を提供する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒のROMP反応における使用を提供し、ただし、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、
【化7】
でないことを条件とする。
【0014】
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載される。
【0015】
本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、特に開環メタセシス重合反応に有益であるが、他のメタセシス反応、例えば、開環クロスメタセシス反応、クロスメタセシス反応、閉環メタセシス反応、自己メタセシス反応、エテノリシス反応、アルケノリシス反応又は非環式ジエンメタセシス重合反応及びこのようなメタセシス反応の組み合わせでの使用もまた見出すことができる。
【0016】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の発明を実施するための形態及び実施例から当業者に明らになろう。更に、本明細書に記載される本発明の実施形態又は実施例はいずれも、限定的であると解釈されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】CD
2Cl
2溶液中における、trans-C885と比較したcis-C885のパーセンテージを示すグラフである。
【
図2】C
6D
6又はCD
2Cl
2溶液中におけるtrans-C947又はcis-C947のパーセンテージを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に指定のない限り、本発明は、特定の反応物、置換基、触媒、又は反応条件などに限定されず、そのため、これらは変わり得る。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的にしており、限定的であると解釈されるものではないことも理解されたい。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈により別途明示される場合を除き、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「α-オレフィン(an α-olefin)」への言及は、単一のα-オレフィン及び2つ以上のα-オレフィンの組み合わせ又は混合物を含み、「置換基(a substituent)」への言及は、単一の置換基及び2つ以上の置換基を包含するなどである。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「例えば」、「例として」、「など」又は「含む/含まれる(挙げられる)」という用語は、より概論的な主題を更に明確にする例を導入することを意味する。特に明示されない限り、これらの例は、本発明の理解を助けるものとしてのみ提供され、いかなる様式でも限定的であることを意味するものではない。
【0021】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、いくつかの用語に言及するが、これらの用語は、以下の意味を有するものと定義される。
【0022】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、典型的に、必然的ではないが、1~約24個の炭素原子、好ましくは、1~約12個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖又は環式の飽和炭化水素基、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr又はn-Pr)、イソプロピル(i-Pr)、n-ブチル(Bu又はn-Bu)、イソブチル(i-Bu)、t-ブチル(t-Bu)、オクチル(Oct)、並びにデシルなど、及びシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル(Cp)、並びにシクロヘキシル(Cy)などを指す。概ね、やはり必然的ではないが、本明細書におけるアルキル基は、1~約12個の炭素原子を含有する。「低級アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子のアルキル基を指し、「シクロアルキル」という具体的な用語は、典型的に4~8個、好ましくは5~7個の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。「置換アルキル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されているアルキルを指し、「ヘテロ原子含有アルキル」及び「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキルを指す。別の指定がない限り、「アルキル」及び「低級アルキル」という用語は、それぞれ、直鎖、分岐鎖、環状、無置換、置換及び/又はヘテロ原子含有のアルキル及び低級アルキルを含む。
【0023】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、二価の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を指し、ここで、「アルキル」は、上に定義されたとおりである。
【0024】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含有する2~約24個の炭素原子の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基、例えば、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、及びテトラコセニルなどを指す。本明細書における好ましいアルケニル基は、2~約12個の炭素原子を含有する。「低級アルケニル」という用語は、2~6個の炭素原子のアルケニル基を指し、「シクロアルケニル」という具体的な用語は、好ましくは、5~8個の炭素原子を有する環状アルケニル基を指す。「置換アルケニル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されているアルケニルを指し、「ヘテロ原子含有アルケニル」及び「ヘテロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルケニルを指す。別の指定がない限り、「アルケニル」及び「低級アルケニル」という用語は、それぞれ、直鎖、分岐鎖、環状、無置換、置換及び/又はヘテロ原子含有のアルケニル及び低級アルケニルを含む。
【0025】
本明細書で使用される「アルケニレン」という用語は、二価の直鎖、分岐鎖又は環状のアルケニル基を指し、ここで、「アルケニル」は、上に定義されたとおりである。
【0026】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含有する2~約24個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、例えば、エチニル、及びn-プロピニルなどを指す。本明細書における好ましいアルキニル基は、2~約12個の炭素原子を含有する。「低級アルキニル」という用語は、2~6個の炭素原子のアルキニル基を指す。「置換アルキニル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されているアルキニルを指し、「ヘテロ原子含有アルキニル」及び「ヘテロアルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキニルを指す。別の指定がない限り、「アルキニル」及び「低級アルキニル」という用語は、それぞれ、直鎖、分岐鎖、無置換、置換及び/又はヘテロ原子含有のアルキニル及び低級アルキニルを含む。
【0027】
本明細書で使用される「アルキニレン」という用語は、二価のアルキニル基を指し、ここで、「アルキニル」は、上に定義されたとおりである。
【0028】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、1つの末端エーテル結合を介して結合されているアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルと表すことができ、ここで、アルキルは、上に定義されたとおりである。「低級アルコキシ」基は、1~6個の炭素原子を含有するアルコキシ基を指す。同様に、「アルケニルオキシ」及び「低級アルケニルオキシ」は、それぞれ、1つの末端エーテル結合を介して結合されているアルケニル基及び低級アルケニル基を指し、「アルキニルオキシ」及び「低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、1つの末端エーテル結合を介して結合されているアルキニル基及び低級アルキニル基を指す。
【0029】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、特に明示されない限り、1つの芳香環、又は一緒に縮合しているか、直接的に連結しているか、間接的に連結している複数の芳香環(したがって、異なる芳香環がメチレン部分又はエチレン部分などの共通する基に結合している)を含有する芳香族置換基を指す。好ましいアリール基は、5~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアリール基は、5~14個の炭素原子を含有する。例示的なアリール基は、1つの芳香環又は2つの縮合若しくは連結した芳香環、例えば、フェニル(Ph)、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、及びベンゾフェノンなどを含有する。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されているアリール部分を指し、「ヘテロ原子含有アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、以下に詳述するように、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアリール置換基を指す。
【0030】
本明細書で使用される「アリールオキシ」という用語は、1つの末端エーテル結合を介して結合されているアリール基を指し、ここで、「アリール」は、上に定義されたとおりである。「アリールオキシ」基は、-O-アリールと表すことができ、ここで、アリールは、上に定義されたとおりである。好ましいアリールオキシ基は、5~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアリールオキシ基は、5~14個の炭素原子を含有する。アリールオキシ基の例には、限定するものではないが、フェノキシ、o-ハロ-フェノキシ、m-ハロ-フェノキシ、p-ハロ-フェノキシ、o-メトキシ-フェノキシ、m-メトキシ-フェノキシ、p-メトキシ-フェノキシ、2,4-ジメトキシ-フェノキシ、及び3,4,5-トリメトキシ-フェノキシなどが挙げられる。
【0031】
「アルカリル」という用語は、アルキル置換基を含むアリール基を指し、「アラルキル」という用語は、アリール置換基を含むアルキル基を指し、ここで、「アリール」及び「アルキル」は、上に定義されたとおりである。好ましいアルカリル基及びアラルキル基は、6~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアルカリル基及びアラルキル基は、6~16個の炭素原子を含有する。アルカリル基には、限定するものではないが、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロヘキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、及び3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエンなどが挙げられる。アラルキル基の例には、限定するものではないが、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、及び4-ベンジルシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。「アルカリルオキシ」及び「アラルキルオキシ」という用語は、それぞれ、式-OR(式中、Rは、上に定義されるアルカリル又はアラルキルである)の置換基を指す。
【0032】
「アシル」という用語は、式-(CO)-アルキル、-(CO)-アリール、-(CO)-アラルキル、-(CO)-アルカリル、-(CO)-アルケニル又は-(CO)-アルキニルを有する置換基を指し、「アシルオキシ」という用語は、式-O(CO)-アルキル、-O(CO)-アリール、-O(CO)-アラルキル、-O(CO)-アルカリル、-O(CO)-アルケニル又は-(CO)-アルキニルを有する置換基を指し、ここで、「アルキル」、「アリール」、「アラルキル」、「アルカリル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、上に定義されたとおりである。アセトキシ基(-O(CO)CH3);多くの場合OAcと略される)は、アシルオキシ基の一般例である。
【0033】
「環状(環式)」及び「環」という用語は、置換されていても置換されていなくてもよく、かつ/又はヘテロ原子を含有していても含有していなくてもよい、単環式、二環式又は多環式であり得る脂環式基又は芳香族基を指す。「脂環式」という用語は、芳香族環式部分とは対照的に、脂肪族環式部分を指すために従来の意味で使用され、単環式、二環式又は多環式であってよい。
【0034】
「ハロ」及び「ハロゲン」及び「ハライド」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードの置換基を指すために従来の意味で使用される。
【0035】
「ヒドロカルビル」は、直鎖、分岐鎖、環状、飽和及び不飽和の各種を含む、1~約30個の炭素原子、好ましくは、1~約24個の炭素原子、最も好ましくは、1~約12個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基などを指す。「低級ヒドロカルビル」という用語は、1~6個の炭素原子、好ましくは、1~4個の炭素原子のヒドロカルビル基を指し、「ヒドロカルビレン」という用語は、直鎖、分岐鎖、環状、飽和及び不飽和の各種を含む、1~約30個の炭素原子、好ましくは、1~約24個の炭素原子、最も好ましくは、1~約12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビル部分を指す。「低級ヒドロカルビレン」という用語は、1~6個の炭素原子のヒドロカルビレン基を指す。「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換されているヒドロカルビルを指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」及び「ヘテロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているヒドロカルビルを指す。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基で置換されているヒドロカルビレンを指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」及び「ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているヒドロカルビレンを指す。特に指定のない限り、「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビレン」という用語は、それぞれ、置換及び/又はヘテロ原子含有のヒドロカルビル部分及びヒドロカルビレン部分を含むように解釈されるものとする。
【0036】
「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」などにみられる「ヘテロ原子含有」という用語は、1つ以上の炭素原子が炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン又はケイ素、典型的に、窒素、酸素又は硫黄で置き換えられている、炭化水素分子又はヒドロカルビル分子の断片を指す。同様に、「ヘテロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含有するアルキル置換基を指し、「ヘテロ環状」という用語は、ヘテロ原子を含有する環状置換基を指し、「ヘテロアリール」及び「複素芳香族」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子を含有する「アリール」置換基及び「芳香族」置換基を指すなどである。「ヘテロ環状」の基又は化合物は、芳香族であってもなくてもよく、更に、「ヘテロ環」は、「アリール」という用語に関して上に記載したように、単環式、二環式又は多環式であり得ることに留意されたい。ヘテロアルキル基の例には、限定するものではないが、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、及びN-アルキル化アミノアルキルなどが挙げられる。ヘテロアリール置換基の例には、限定するものではないが、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられ、ヘテロ原子含有脂環式基の例には、限定するものではないが、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノなどが挙げられる。
【0037】
「ヘテロ環状カルベン」という用語は、カルベン分子を含む中性電子供与配位子を指し、ここで、カルベン炭素原子は、環状構造中に含有されており、この環状構造は、少なくとも1つのヘテロ原子も含有する。ヘテロ環状カルベンの例には、ヘテロ原子が窒素である「N-ヘテロ環状カルベン」及びヘテロ原子がリンである「P-ヘテロ環状カルベン」が挙げられる。
【0038】
「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、及び「置換アリール」などにみられる「置換」とは、ヒドロカルビル、アルキル、アリール又は他の部分において、炭素原子(又は他の原子)に結合している少なくとも1つの水素原子が1つ以上の水素以外の置換基で置き換えられていることを意味する。置換基の例には、限定するものではないが、本明細書中「Fn」と称される官能基、例えば、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C1~C24アルコキシ、C2~C24アルケニルオキシ、C2~C24アルキニルオキシ、C5~C24アリールオキシ、C6~C24アラルキルオキシ、C6~C24アルカリルオキシ、アシル(C2~C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)及びC6~C24アリールカルボニル(-CO-アリール)を含む)、アシルオキシ(C2~C24アルキルカルボニルオキシ(-O-CO-アルキル)及びC6~C24アリールカルボニルオキシ(-O-CO-アリール)を含む、-O-アシル)、C2~C24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C6~C24アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、ハロカルボニル(-CO)-X、式中、Xはハロである)、C2~C24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C6~C24アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO-)、カルバモイル(-(CO)-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-NH(C1~C24アルキル))、ジ-(C1~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24アルキル)2)、モノ-(C1~C24ハロアルキル)置換カルバモイル(-(CO)-NH(C1~C24ハロアルキル))、ジ-(C1~C24ハロアルキル)置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24ハロアルキル)2)、モノ-(C5~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、ジ-(C5~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-N(C5~C24アリール)2)、ジ-N-(C1~C24アルキル)、N-(C5~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24アルキル)(C5~C24アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH(C1~C24アルキル))、ジ-(C1~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C1~C24アルキル)2)、モノ-(C5~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH-アリール)、ジ-(C5~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C5~C24アリール)2)、ジ-N-(C1~C24アルキル)、N-(C5~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C1~C24アルキル)(C5~C24アリール)、カルバミド(-NH-(CO)-NH2)、シアノ(-C≡N)、シアナト(-O-C≡N)、チオシアナト(-S-C≡N)、イソシアネート(-N=C=O)、チオイソシアネート(-N=C=S)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換アミノ(-NH(C1~C24アルキル)、ジ-(C1~C24アルキル)置換アミノ(-N(C1~C24アルキル)2)、モノ-(C5~C24アリール)置換アミノ(-NH(C5~C24アリール)、ジ-(C5~C24アリール)置換アミノ(-N(C5~C24アリール)2)、C2~C24アルキルアミド(-NH-(CO)-アルキル)、C6~C24アリールアミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH、式中、Rは、限定するものではないが、水素、C1~C24アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなどを含む)、C2~C20アルキルイミノ(-CR=N(アルキル)、式中、Rは、限定するものではないが、水素、C1~C24アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなどを含む)、アリールイミノ(-CR=N(アリール)、式中、Rは、限定するものではないが、水素、C1~C20アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなどを含む)、ニトロ(-NO2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO2-OH)、スルホナト(-SO2-O-)、C1~C24アルキルスルファニル(-S-アルキル、「アルキルチオ」とも呼ばれる)、C5~C24アリールスルファニル(-S-アリール、「アリールチオ」とも呼ばれる)、C1~C24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C5~C24アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C1~C24アルキルスルホニル(-SO2-アルキル)、C1~C24モノアルキルアミノスルホニル(-SO2-N(H)アルキル)、C1~C24ジアルキルアミノスルホニル(-SO2-N(アルキル)2)、C5~C24アリールスルホニル(-SO2-アリール)、ボリル(-BH2)、ボロノ(-B(OH)2)、ボロナト(-B(OR)2、式中、Rは、限定するものではないが、アルキル又は他のヒドロカルビルを含む)、ホスホノ(-P(O)(OH)2)、ホスホナト(-P(O)(O-)2)、ホスフィナト(-P(O)(O-))、ホスホ(-PO2)及びホスフィノ(-PH2);並びにヒドロカルビル部分であるC1~C24アルキル(好ましくは、C1~C12アルキル、より好ましくは、C1~C6アルキル)、C2~C24アルケニル(好ましくは、C2~C12アルケニル、より好ましくは、C2~C6アルケニル)、C2~C24アルキニル(好ましくは、C2~C12アルキニル、より好ましくは、C2~C6アルキニル)、C5~C24アリール(好ましくは、C5~C14アリール)、C6~C24アルカリル(好ましくは、C6~C16アルカリル)及びC6~C24アラルキル(好ましくは、C6~C16アラルキル)が挙げられる。
【0039】
「官能化ヒドロカルビル」、「官能化アルキル」、「官能化オレフィン」、及び「官能化環状オレフィン」などにみられる「官能化」とは、ヒドロカルビル、アルキル、オレフィン、環状オレフィン又は他の部分において、炭素原子(又は他の原子)に結合している少なくとも1つの水素原子が、本明細書中の上記のものなどの1つ以上の官能基で置き換えられていることを意味する。「官能基」という用語は、本明細書に記載の使用に適した任意の官能性の種を含むことを意味する。特に、本明細書で使用されるとき、官能基は、基材表面上の対応する官能基に対して反応する能力又は結合する能力を必ず有するであろう。
【0040】
加えて、前述の官能基は、ある特定の基が許容する場合には、上に具体的に列挙されているものなどの1つ以上の更なる官能基又は1つ以上のヒドロカルビル部分で更に置換されてもよい。同様に、上述のヒドロカルビル部分は、上に詳述されているものなどの1つ以上の官能基又は追加のヒドロカルビル部分で更に置換されてもよい。同様に、上述のヒドロカルビル部分は、上記のとおり、1つ以上の官能基又は追加のヒドロカルビル部分で更に置換されてもよい。
【0041】
「ROMP」という用語は、開環メタセシス重合を指す。
【0042】
本明細書で使用される「基材材料」という用語は、本発明の樹脂組成物が、接触し得、適用され得、又はその樹脂中に組み込まれる基材材料を有し得る、任意の材料を概ね意味することが意図される。限定するものではないが、係る材料には、例えば、フィラメント、繊維、ロービング、マット、織物、布地、ニット材料、生地などの補強材、又は他の既知の構造物である、ガラス繊維及びガラス織物、炭素繊維及び炭素織物、アラミド繊維及びアラミド織物並びにポリオレフィン若しくは他のポリマーの繊維若しくは織物が含まれる。他の好適な基材材料には、金属密度調整剤、微粒子密度調整剤(例えば、ミクロスフェア、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、セノスフェア)及びマクロ粒子密度調整剤(例えば、ガラス又はセラミックのビーズ)が含まれる。樹脂組成物は、1つの基材材料又は種々の基材材料の混合物を含み得る。
【0043】
「任意選択」又は「任意選択により」とは、後述される状況が発生しても発生しなくてもよいことを意味し、したがって、当該記述は、その状況が発生する場合と、その状況が発生しない場合とを含む。例えば、「任意選択により置換されている」という文言は、水素以外の置換基が所与の原子上に存在しても存在しなくてもよいことを意味し、したがって、当該記述は、水素以外の置換基が存在する構造と、水素以外の置換基が存在しない構造とを含む。
【0044】
「発熱時間」という用語は、本明細書において、環状オレフィンが最初に触媒と接触してROMP組成物を形成した時点と、ROMP組成物の温度が最初に1℃/秒を越えて上昇した時点との間に経過した時間量(すなわち、時間の差)として定義される。「発熱までの時間」及び「発熱時間」という用語は、本明細書において同じ意味を有し、区別なく用いられる。ピーク発熱温度は、重合サイクル中にROMP組成物が到達した最大温度である。発熱ピーク時間は、環状オレフィンが最初に触媒と接触してROMP組成物を形成した時点と、ROMP組成物がピーク発熱温度に到達した時点との間に経過した時間量(すなわち、時間の差)として定義される。代替として、発熱時間は、環状オレフィンが最初に触媒と接触してROMP組成物を形成した時点と、ROMP組成物が液体状態(例えば、モノマー状態)又はゲル状態から硬化されたポリマー状態へと移行するときのROMP組成物の伝播界面が最初に目視で観察された時点との間に経過した時間量(すなわち、時間の差)としても定義される。伝播界面の観察は、典型的に、ROMP組成物の温度上昇、多くの場合、大幅な温度上昇を伴う。温度上昇は、熱電対又は類似の温度測定及び/又は記録機器により測定することができる。
【0045】
金属カルベンオレフィンメタセシス触媒
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(I)の構造を有する8族遷移金属錯体を含み、
【化8】
式中、
L
1は、式(II)の構造を有するカルベン配位子であり、
【化9】
Mは、8族遷移金属、具体的には、ルテニウム又はオスミウム、より具体的にはルテニウムであり、
X及びYは、独立して、CH、C、N、O、S又はPであり、好ましくは、X及びYはいずれもNであり、
Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4は、独立して、リンカー、例えば、ヒドロカルビレン(置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、例えば、置換アルキレン及び/又はヘテロ原子含有アルキレンを含む)又は-(CO)-であるか、Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4内の隣接する原子上の2つ以上の置換基は、結合して追加の環状基を形成してもよく、
p及びqは、独立して、0又は1又は2であり、
w、x、y及びzは、独立して、0又は1であり、好ましくは、w、x、y及びzは、0であり、
R
3、R
3A、R
4及びR
4Aは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、トランス配置又はシス配置でMに結合しており、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
ただし、
XがO又はSであるとき、pは0であり、
XがN、CH又はPであるとき、pは1であり、
XがCであるとき、pは2であり、
YがO又はSであるとき、qは0であり、
YがN、CH又はPであるとき、qは1であり、
YがCであるとき、qは2であり、
X又はYの一方のみがC又はCHであり、
式(I)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化10】
【0046】
一実施形態において、L
2は、式(1):
【化11】
(R
3p)(R
2p)POR
1p(式中、R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルである)によって表されるホスフィニット配位子である。
【0047】
別の実施形態において、L
2は、式(2):
【化12】
R
10pP(OR
9p)(OR
8p)(式中、R
8p、R
9p、R
10pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルである)によって表されるホスフィニット配位子である。
【0048】
更なる実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(III)の構造を有する8族遷移金属錯体を含み、
【化13】
式中、
Mは、8族遷移金属、具体的には、ルテニウム又はオスミウム、より具体的にはルテニウムであり、
X及びYは、独立して、C、CH、N、O、S又はPであり、好ましくは、X及びYはいずれもNであり、
Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4は、独立して、リンカー、例えば、ヒドロカルビレン(置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、例えば、置換アルキレン及び/又はヘテロ原子含有アルキレンを含む)又は-(CO)-であるか、Q
1、Q
2、Q
3及びQ
4内の隣接する原子上の2つ以上の置換基は、結合して追加の環状基を形成してもよく、
p及びqは、独立して、0又は1又は2であり、
w、x、y及びzは、独立して、0又は1であり、好ましくは、w、x、y及びzは、0であり、
R
3、R
3A、R
4及びR
4Aは、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、トランス配置又はシス配置でMに結合しており、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、ただし、
XがO又はSであるとき、pは0であり、
XがN又はPであるとき、pは1であり、
XがCであるとき、pは2であり、
YがO又はSであるとき、qは0であり、
YがN、CH又はPであるとき、qは1であり、
YがCであるとき、qは2であり、
X又はYの一方のみがC又はCHであり、
式(III)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化14】
【0049】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(IIIa)の構造によって表され、
【化15】
式中、M、L
2、p、q、m、w、x、y、z、R
1、R
2、R
3、R
4、X、Y、R
3A、R
4A、X
1、X
2、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4は、式(III)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、X
1及びX
2は、トランス配置でMに結合しており、ただし、式(IIIa)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化16】
【0050】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(IIIb)の構造によって表され、
【化17】
式中、M、L
2、p、q、m、w、x、y、z、R
1、R
2、R
3、R
4、X、Y、R
3A、R
4A、X
1、X
2、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4は、式(III)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、X
1及びX
2は、シス配置でMに結合しており、ただし、式(IIIb)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化18】
【0051】
式(II)の構造を有するカルベン配位子のうち、R3A及びR4Aが結合して環状基を形成し、X又はYのうちの少なくとも1つが窒素であるか、Q3又はQ4のうちの少なくとも1つがヘテロ原子含有ヒドロカルビレン又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、かつ少なくとも1つのヘテロ原子が窒素である、特定のクラスは、一般にN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子と呼ばれる。
【0052】
好ましくは、R
3A及びR
4Aが結合して環状基を形成する。これにより、カルベン配位子L
1は、式(IV)の構造を有し、
【化19】
式中、R
3及びR
4の少なくとも1つ又はR
3及びR
4の両方は、1~約5の環の脂環式又は芳香族であり、任意選択により1つ以上のヘテロ原子及び/又は置換基を含有する。Qは、リンカーであり、典型的に、置換ヒドロカルビレンリンカー、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカー及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンリンカーを含むヒドロカルビレンリンカーである。Q内の隣接する原子上の2つ以上の置換基もまた、結合して追加の環状構造を形成してもよく、また、この環状構造も同様に置換されて、2~約5の環状基の縮合多環式構造をもたらしてもよい。Qは、多くの場合、必然的ではないが、2原子結合又は3原子結合である。
【0053】
R3及びR4が芳香族であるとき、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R3及びR4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得る。好ましい一実施形態において、R3及びR4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C1~C20ヘテロアルキル、置換C1~C20ヘテロアルキル、C5~C24アリール、置換C5~C24アリール、C5~C24ヘテロアリール、C6~C24アラルキル、C6~C24アルカリル又はハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルである。好ましくは、存在する任意の置換基は、水素、C1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、C5~C14アリール、置換C5~C14アリール又はハライドである。一例として、R3及びR4は、2,4,6-トリメチルフェニル(すなわち、本明細書で定義されるメシチル又はMes)である。別の例として、R3及びR4は、2,6-ジイソプロピルフェニル(すなわち、本明細書で定義されるDIPP又はDiPP)である。
【0054】
したがって、L
1として好適なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の例には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。式中、DIPP又はDiPPは、2,6-ジイソプロピルフェニルであり、Mesは、2,4,6-トリメチルフェニルである。
【化20】
L
1として好適なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子の更なる例には、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)(すなわち、sIMes)が挙げられる。
【化21】
【0055】
L
1として好適なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子の更なる例には、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン)(すなわち、IMes)が挙げられる。
【化22】
【0056】
したがって、L
1として好適なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子及び非環式ジアミノカルベン配位子の更なる例には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化23】
式中、R
W1、R
W2、R
W3、R
W4は、独立して、水素、無置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル又はヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、R
W3及びR
W4のうちの一方又は両方は、ハロゲン、ニトロ、アミド、カルボキシル、アルコキシ、アリールオキシ、スルホニル、カルボニル、チオ、又はニトロソの各基から独立して選択され得る。L
1に好適なN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子の更なる例は、米国特許第7,378,528号、同第7,652,145号、同第7,294,717号、同第6,787,620号、同第6,635,768号、及び同第6,552,139号に更に記載されており、これらの各内容を参照により本明細書に援用する。更に、米国特許第6,838,489号(その内容を参照により本明細書に援用する)に開示されている熱活性化N-ヘテロ環状カルベン前駆体も本発明とともに使用することができる。
【0057】
R3及びR4が芳香族であるとき、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R3及びR4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得る。好ましい一実施形態において、R3及びR4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C1~C20アルキル、置換C1~C20アルキル、C1~C20ヘテロアルキル、置換C1~C20ヘテロアルキル、C5~C24アリール、置換C5~C24アリール、C5~C24ヘテロアリール、C6~C24アラルキル、C6~C24アルカリル又はハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルである。好ましくは、存在する任意の置換基は、水素、C1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、C5~C14アリール、置換C5~C14アリール又はハライドである。一例として、R3及びR4は、2,4,6-トリメチルフェニルであり、別例として、R3及びR4は、2,6-ジイソプロピルフェニルである。
【0058】
別の実施形態において、L2は、式(1):
(R3p)(R2p)POR1p(式中、R1p、R2p、R3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC6~C10アリール、又は置換若しくは無置換のC1~C10アルキル、又は置換若しくは無置換のC3~C8シクロアルキルである)によって表されるホスフィニット配位子である。
【0059】
一例において、R1pは、メチル(-CH3)、エチル(-CH2CH3)、イソプロピル(-CH(CH3)2)、n-ブチル(-CH2CH2CH2CH3)、sec-ブチル(-CH(CH3)(CH2CH3)、tert-ブチル(-C(CH3)3)、4-メトキシフェニル(-(C6H4)(パラ-OCH3)、ベンジル(-CH2C6H5)又はフェニル(-C6H5)から選択され、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。別の例において、R1pは、メチル(-CH3)、エチル(-CH2CH3)、イソプロピル(-CH(CH3)2)、4-メトキシフェニル(-(C6H4)パラ-OCH3)又はフェニル(-C6H5)から選択され、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。別の例において、R1pは、メチル(-CH3)、エチル(-CH2CH3)、イソプロピル(-CH(CH3)2)又はフェニル(-C6H5)から選択され、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。別の例において、R1pは、メチル(-CH3)、イソプロピル(-CH(CH3)2)又はフェニル(-C6H5)から選択され、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。別の例において、R1pは、メチル(-CH3)、エチル(-CH2CH3)又はイソプロピル(-CH(CH3)2)から選択され、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。別の例において、R1pは、フェニル(-C6H5)であり、R2p及びR3pは、それぞれ、フェニル(-C6H5)である。
【0060】
別の実施形態において、L2は、式(2):R10pP(OR9p)(OR8p)(式中、R8p、R9p、R10pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC6~C10アリール、又は置換若しくは無置換のC1~C10アルキル、又は置換若しくは無置換のC3~C8シクロアルキルである)によって表されるホスフィニット配位子である。
【0061】
一例において、R8p及びR9pは、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルからそれぞれ独立して選択され、R10pは、フェニルである。別の例において、R8p及びR9pは、それぞれ、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルであり、R10pは、フェニルである。別の例において、R8p及びR9pは、それぞれ、メチル、エチル、イソプロピル又はフェニルであり、R10pは、フェニルである。別の例において、R8p及びR9pは、それぞれ、メチル、イソプロピル又はフェニルであり、R10pは、フェニルである。別の例において、R8p及びR9pは、それぞれ、メチル又はイソプロピルであり、R10pは、フェニルである。別の例において、R8p及びR9pは、それぞれ、フェニルであり、R10pは、フェニルである。
【0062】
特定の実施形態において、R1及びR2は、水素、ヒドロカルビル(例えば、C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなど)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換されたC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなど)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、ヘテロ原子を含有するC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなど)及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、ヘテロ原子を含有する置換されたC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、C2~C20アルキニル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリル、C6~C24アラルキルなど)並びに官能基から独立して選択される。R1及びR2はまた、結合して環状基を形成してもよく、この環状基は、脂肪族又は芳香族であり得、置換基及び/又はヘテロ原子を含有し得る。一般に、係る環状基は、4~12個の環原子、好ましくは、5、6、7又は8個の環原子を含有する。
【0063】
好ましい触媒において、R1は、水素であり、R2は、C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル及びC5~C24アリールから選択され、より好ましくは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル及びC5~C14アリールから選択される。更により好ましくは、R2は、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、フェニル及び本明細書で先に定義された官能基Fnから選択される1つ以上の部分で任意選択により置換されている、フェニル、ビニル、メチル、イソプロピル又はt-ブチルである。最も好ましくは、R2は、メチル、エチル、クロロ、ブロモ、ヨード、フルオロ、ニトロ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ及びフェニルから選択される1つ以上の部分で置換されているフェニル又はビニルである。最適には、R2は、フェニル又は-CH=C(CH3)2である。更に、R1及びR2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0064】
特定の実施形態において、X1及びX2は、アニオン性配位子であり、同一でも異なっていてもよく、又は一緒に結合して環状基、典型的に、必然的ではないが、5~8員環を形成してもよい。好ましい実施形態において、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素、ハライド、又は次の基:C1~C20アルキル、C5~C24アリール、C1~C20アルコキシ、C5~C24アリールオキシ、C2~C20アルコキシカルボニル、C6~C24アリールオキシカルボニル、C2~C24アシル、C2~C24アシルオキシ、C1~C20アルキルスルホナト、C5~C24アリールスルホナト、C1~C20アルキルスルファニル、C5~C24アリールスルファニル、C1~C20アルキルスルフィニル、NO3、-N=C=O、-N=C=S若しくはC5~C24アリールスルフィニルのうちの1つである。任意選択により、X1及びX2は、C1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、C5~C24アリール及びハライドから選択される1つ以上の部分で置換されてもよく、これらの1つ以上の部分は、ハライドを除き、ハライド、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ及びフェニルから選択される1つ以上の基で更に置換されてもよい。より好ましい実施形態において、X1及びX2は、ハライド、ベンゾエート、C2~C6アシル、C2~C6アルコキシカルボニル、C1~C6アルキル、フェノキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキルスルファニル、アリール又はC1~C6アルキルスルホニルである。更により好ましい実施形態において、X1及びX2は、それぞれ、ハライド、CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO、PhO、MeO、EtO、トシレート、メシレート又はトリフルオロメタン-スルホネートである。最も好ましい実施形態において、X1及びX2は、それぞれ、クロリドである。
【0065】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、
【化24】
式中、
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置又はシス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(V)の触媒は、次の構造でない。
【化25】
【0066】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(V)の触媒は、次の構造でない。
【化26】
【0067】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、
mは、0であり、
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、それぞれ、メチル又はイソプロピルから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、
X
1及びX
2は、Clであり、トランス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子であり、
R
1は、水素であり、R
2は、C
1~C
6アルキル又はC
1~C
6アルコキシから選択される1つ以上の部分で任意選択により置換されているフェニル、ビニルであるか、R
1及びR
2は、一緒に結合してフェニルインデニリデンを形成してもよく、式(V)の触媒は、次の構造でない。
【化27】
【0068】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、
mは、0であり、
Qは、構造-CR11R12-CR13R14-を有する2原子結合であり、式中、R11、R12、R13及びR14は、独立して、水素であり、
R3及びR4は、それぞれ、メチル又はイソプロピルから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、
X1及びX2は、Clであり、トランス配置でRuに結合しており、
L2は、ホスホニット配位子であり、
R1は、水素であり、R2は、C1~C6アルキル又はC1~C6アルコキシから選択される1つ以上の部分で任意選択により置換されているフェニル、ビニルであるか、R1及びR2は、一緒に結合してフェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0069】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、それぞれ、メチル又はイソプロピルから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、
X
1及びX
2は、Clであり、トランス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、フェニル-o-イソプロピル-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合してフェニルインデニリデンを形成してもよく、
式(V)の触媒は、次の構造でない。
【化28】
【0070】
別の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(V)の構造によって表され、式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、
R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(V)の触媒は、次の構造でない。
【化29】
【0071】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(Va)の構造によって表され、
【化30】
式中、
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、ただし、
式(Va)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化31】
【0072】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(Va)の構造によって表され、
式中、L
2、R
1、R
2、X
1及びX
2は、式(V)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、Q、R
3及びR
4は、式(IV)又は式(V)の構造を有するN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、式中、X
1及びX
2は、トランス配置でRuに結合しており、ただし、
式(Va)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化32】
【0073】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(Vb)の構造によって表され、
【化33】
式中、
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
L
2は、ホスフィニット配位子又はホスホニット配位子であり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、ただし、
式(Vb)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化34】
【0074】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(Vb)の構造によって表され、
式中、L
2、R
1、R
2、X
1及びX
2は、式(V)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、Q、R
3及びR
4は、式(IV)又は式(V)の構造を有するN-ヘテロ環状カルベン(NHC)配位子に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、式中、X
1及びX
2は、シス配置でRuに結合しており、ただし、
式(Vb)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化35】
【0075】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
【化36】
Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置又はシス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化37】
【0076】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一でフェニルであり、ここで、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、
式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化38】
【0077】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一でフェニルであり、ここで、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化39】
【0078】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一で、フェニルであり、ここで、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、独立して、クロリドであり、トランス配置でRuに結合しており、
R
1pは、メチル、エチル、イソプロピル又はフェニルであり、
R
2pは、フェニルであり、
R
3pは、フェニルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化40】
【0079】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一でフェニルであり、ここで、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、
式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化41】
【0080】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一で、フェニルであり、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、
式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化42】
【0081】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VI)の構造によって表され、
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3及びR
4は、同一でフェニルであり、ここで、各フェニルは、C
1~C
20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されており、
X
1及びX
2は、クロリドであり、シス配置でRuに結合しており、
R
1pは、メチル、イソプロピル又はフェニルであり、
R
2pは、フェニルであり、
R
3pは、フェニルであり、
mは、0又は1であり、
R
1は、水素であり、R
2は、フェニル、-CH=CH(tert-ブチル)又は-CH=C(CH
3)
2であるか、R
1及びR
2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよく、
式(VI)の触媒は、次の構造でない。
【化43】
【0082】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIa)の構造によって表され、
【化44】
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(VIa)の触媒は、次の構造でない。
【化45】
【0083】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIa)の構造によって表され、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、X
1、X
2、m、R
1p、R
2p、R
3p及びQは、式(VI)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、X
1及びX
2は、トランス配置でRuに結合しており、ただし、式(VIa)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化46】
【0084】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIb)の構造によって表され、
【化47】
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
R
1p、R
2p、R
3pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよく、
式(VIb)の触媒は、次の構造でない。
【化48】
【0085】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIb)の構造によって表され、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、X
1、X
2、m、R
1p、R
2p、R
3p及びQは、式(VI)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、X
1及びX
2は、シス配置でRuに結合しており、ただし、式(VIb)の触媒は、次の構造でないことを条件とする。
【化49】
【0086】
特定の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表され、
【化50】
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置又はシス配置でRuに結合しており、
R
8p、R
9p、R
10pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよい。
【0087】
他の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表され、式中、
Qは、構造-CR11R12-CR13R14-を有する2原子結合であり、式中、R11、R12、R13及びR14は、独立して、水素であり、
R3及びR4は、同一であり、それぞれC1~C20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されたフェニルであり、
X1及びX2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
R8p、R9p、R10pは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルであり、
mは、0又は1であり、
R1は、水素であり、R2は、フェニル、2-イソプロポキシフェニル又は-CH=C(CH3)2であるか、R1及びR2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0088】
他の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表され、式中、
Qは、構造-CR11R12-CR13R14-を有する2原子結合であり、式中、R11、R12、R13及びR14は、独立して、水素であり、
R3及びR4は、同一であり、それぞれC1~C20アルキルから選択される3つまでの置換基で置換されたフェニルであり、
X1及びX2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
R8p、R9p、R10pは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4-メトキシフェニル、ベンジル又はフェニルであり、
mは、0又は1であり、
R1は、水素であり、R2は、フェニル、2-イソプロポキシフェニル又は-CH=C(CH3)2であるか、R1及びR2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0089】
他の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表され、式中、
Qは、構造-CR11R12-CR13R14-を有する2原子結合であり、式中、R11、R12、R13及びR14は、独立して、水素であり、
R3及びR4は、同一でメシチルであり、
X1及びX2は、クロリドであり、トランス配置でRuに結合しており、
R8pは、メチルであり、
R9pは、メチルであり、
R10pは、フェニルであり、
mは、0又は1であり、
R1は、水素であり、R2は、フェニル、2-イソプロポキシフェニル又は-CH=C(CH3)2であるか、R1及びR2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0090】
他の実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VII)の構造によって表され、式中、
Qは、構造-CR11R12-CR13R14-を有する2原子結合であり、式中、R11、R12、R13及びR14は、独立して、水素であり、
R3及びR4は、同一でメシチルであり、
X1及びX2は、クロリドであり、シス配置でRuに結合しており、
R8pは、メチルであり、
R9pは、メチルであり、
R10pは、フェニルであり、
mは、0又は1であり、
R1は、水素であり、R2は、フェニル、2-イソプロポキシフェニル又は-CH=C(CH3)2であるか、R1及びR2は、一緒になってインデニリデン部分、好ましくは、フェニルインデニリデンを形成してもよい。
【0091】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIIa)の構造によって表され、
【化51】
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、トランス配置でRuに結合しており、
R
8p、R
9p、R
10pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよい。
【0092】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIIa)の構造によって表され、
式中、R1、R2、R3、R4、X1、X2、m、R8p、R9p、R10p及びQは、式(VII)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、式中、X1及びX2は、トランス配置でRuに結合している。
【0093】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIIb)の構造によって表され、
【化52】
式中、Qは、構造-CR
11R
12-CR
13R
14-又は-CR
11=CR
13-、好ましくは、-CR
11R
12-CR
13R
14-を有する2原子結合であり、式中、R
11、R
12、R
13及びR
14は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、好ましくは、独立して、水素、C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、フェニル又は置換フェニルであり、あるいは、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか2つは、一緒に結合して置換又は無置換、飽和又は不飽和の環構造、例えば、C
4~C
12脂環式基又はC
5若しくはC
6アリール基を形成してよく、また、この環構造は、それ自体が、例えば、連結若しくは縮合している脂環式基若しくは芳香族基、又は他の置換基で置換され得るか、R
11、R
12、R
13及びR
14のうちのいずれか1つ以上は、リンカーのうちの1つ以上を含み、
R
3及びR
4は、無置換フェニルであり得るか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル又はハライドなどの1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり得るか、芳香族であり、これらは、典型的に、必然的ではないが、置換されていても置換されていなくてもよい1つ又は2つの芳香環からなり、例えば、R
3及びR
4は、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、又は置換ビフェニルなどであり得、好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、それぞれ、無置換フェニルであるか、C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、C
5~C
24ヘテロアリール、C
6~C
24アラルキル、C
6~C
24アルカリル及びハライドから選択される3つまでの置換基で置換されているフェニルであり、存在する好ましい置換基は、水素、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
5~C
14アリール、置換C
5~C
14アリール又はハライドであり、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲンであり、シス配置でRuに結合しており、
R
8p、R
9p、R
10pは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC
6~C
10アリール、又は置換若しくは無置換のC
1~C
10アルキル、又は置換若しくは無置換のC
3~C
8シクロアルキルであり、
mは、0、1又は2であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は官能基であるか、R
1及びR
2は、一緒に結合して環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)を形成してもよく、この環は、置換又は無置換、飽和又は不飽和であってよく、また、縮合又は結合して更なる環(例えば、C
4~C
10環又はC
5~C
6環)となってもよい。
【0094】
一実施形態において、本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、式(VIIb)の構造によって表され、
式中、R1、R2、R3、R4、X1、X2、m、R8p、R9p、R10p及びQは、式(VII)の構造を有する錯体に関して上に定義されたとおりであり、ここで、錯体は、位置異性体であり、式中、X1及びX2は、シス配置でRuに結合している。
【0095】
本発明の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の多数の実施形態を以下に詳述する。
【0096】
式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例には、以下のものが挙げられる。このうちのいくつかは、便宜上、本開示を通して、分子量を参照することによって識別される。
【化53】
【0097】
式(VII)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例には、以下のものが挙げられる。このうちのいくつかは、便宜上、本開示を通して、分子量を参照することによって識別される。
【化54】
【0098】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))(trans-C843)、trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C847)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OMe))(trans-C885)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C947)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))(trans-C977)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OiPr))(trans-C913)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OiPr))(trans-C791)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OMe))(trans-C763)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OEt))(trans-C777)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C825)が挙げられる。
【0099】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))(trans-C843)が挙げられる。
【0100】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C847)が挙げられる。
【0101】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OMe))(trans-C885)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C947)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))(trans-C977)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OiPr))(trans-C913)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OPh))(trans-C825)が挙げられる。
【0102】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OiPr))(trans-C791)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OMe))(trans-C763)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OEt))(trans-C777)が挙げられる。
【0103】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))(cis-C843)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OMe))(cis-C885)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))(cis-C947)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))(cis-C977)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))(cis-C913)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)(cis-C834)、cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(OMe))(cis-C777v)、cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))(cis-C805v)が挙げられる。
【0104】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))(cis-C843)が挙げられる。
【0105】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OMe))(cis-C88S)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))(cis-C947)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))(cis-C977)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))(cis-C913)が挙げられる。
【0106】
本明細書で開示される式(VI)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(OMe))(cis-C777v)、cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))(cis-C805v)が挙げられる。
【0107】
本明細書で開示される式(VII)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C139)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C834)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C717)、cis-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)(cis-739)、cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(PhP(OMe)2)(cis-C797)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)(cis-C834)が挙げられる。
【0108】
本明細書で開示される式(VII)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C139)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C834)、trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(PhP(OMe)2)(trans-C717)、cis-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)、trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OPh)2)(trans-C963)が挙げられる。
【0109】
本明細書で開示される式(VII)の構造を有する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒の更なる例には、次のもの:(cis-739)、cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(PhP(OMe)2)(cis-C797)、cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)(cis-C834)が挙げられる。
【0110】
本発明は、上記の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒を調製するためのプロセスにも関する。本発明に係る金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、有機合成化学分野の当業者によって理解される従来の方法と同様に調製することができる。例えば、以下に示される合成スキーム2及び3により、本発明に係る化合物がどのように生成され得るかを例示する。
【化55】
【0111】
L
2がホスフィニット配位子である式(III)の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、一般スキーム3に従って調製された。一般に、式(IIIS)(式中、R
3、R
4、Q、X
1、X
2、m、R
1及びR
2は、式(III)の場合において定義されたとおりであり、Lは、中性電子供与配位子である)によって表される金属カルベンオレフィンメタセシスを過剰のホスフィニットと反応させると、式(VI)で表される対応する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒が得られる。
【化56】
【0112】
L2がホスホニット配位子である式(III)の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、一般スキーム3に従って調製された。一般に、式(IIIS)によって表される上記のような金属カルベンオレフィンメタセシスを過剰の亜ホスホン酸エステルと反応させると、式(III)で表される対応する金属カルベンオレフィンメタセシス触媒が得られる。
【0113】
一実施形態において、合成スキーム2又は3の反応は、ジクロロメタン又はトルエン中、脱気したN2下、室温又は高温で実施される。反応が完了したら、混合物を室温まで冷却し、溶媒を高真空下で除去し、残渣をシリカゲルカラム上で精製し、次いで、再結晶させると、新規の金属カルベンオレフィンメタセシス触媒が得られる。
【0114】
この段階で、当業者は、種々の一般的な化学反応実施することによって、本発明の範囲内に含まれる多くの追加の化合物を調製することができることを理解するであろう。特定の具体的な化学変換の詳細は、実施例に記載される。
【0115】
金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、当該技術分野において知られている技術に従ったオレフィンメタセシス反応に用いることができる。例えば、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、典型的に、固体、溶液又は懸濁液として樹脂組成物に添加される。金属カルベンオレフィンメタセシス触媒が懸濁液として樹脂組成物に添加される場合、金属カルベンオレフィンメタセシス触媒は、分散担体、例えば、鉱油、パラフィン油、ダイズ油、トリイソプロピルベンゼン、又は触媒(複数可)の効果的な分散を可能にするのに十分な高い粘性を有し、かつ十分に不活性であり、オレフィンメタセシス反応において低沸点不純物として作用しないように十分な高い沸点を有する、任意の疎水性液体中に懸濁される。反応に使用される触媒の量(すなわち、「触媒添加量」)は、反応物質の性質及び採用される反応条件などの種々の要因に依存することが理解されよう。したがって、触媒添加量は、それぞれの反応ごとに最適かつ独立して選択され得ることが理解される。ただし、一般に、触媒は、オレフィン基質(例えば、環状オレフィン)の量に対して、約0.1ppm、1ppm又は5ppmの下限値から約10ppm、15ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppm又は1000ppmの上限値までの範囲の量で存在することとなる。
【0116】
触媒は、一般に、オレフィン基質(例えば、環状オレフィン)に対して、約0.00001mol%、0.0001mol%又は0.0005mol%の下限値から約0.001mol%、0.0015mol%、0.0025mol%、0.005mol%、0.01mol%、0.02mol%、0.05mol%又は0.1mol%の上限値までの範囲の量で存在することとなる。
【0117】
モノマーの、触媒に対するモル比(「モノマー対触媒比」)として表す場合、触媒添加は、概ね、約10,000,000:1、1,000,000:1、500,000:1又は200,00:1の下限値から約100,000:1 60,000:1、50,000:1、45,000:1、40,000:1、30,000:1、20,000:1、10,000:1、5,000:1又は1,000:1の上限値までの範囲の量で存在することとなる。
環状オレフィン
【0118】
本明細書で開示される本発明で使用され得る樹脂組成物は、1つ以上の環状オレフィンを含む。概ね、本明細書で開示されるメタセシス反応に好適な任意の環状オレフィンが使用され得る。係る環状オレフィンは、任意選択により置換され、任意選択によりヘテロ原子を含有してよい、単環式、二環式又は多環式であり得る一価不飽和、二価不飽和又はそれ以上の多価不飽和のC5~C24炭化水素であり得る。環状オレフィンは、個々として、又はROMP環状オレフィン組成物の一部としてのいずれかでROMP反応に関与できるのであれば、概ね、歪みのある又は歪みのない任意の環状オレフィンであってよい。シクロヘキセンなどの特定の歪みのない環状オレフィンは、それ自体はROMP反応を受けないものと一般的に理解されているが、適切な状況下であれば、こうした歪みのない環状オレフィンもROMP活性となり得る。例えば、歪みのない環状オレフィンは、ROMP組成物中にコモノマーとして存在するとき、ROMP活性となり得る。したがって、本明細書で使用されるとき、また当業者によって理解されるとおり、「歪みのない環状オレフィン」という用語は、その歪みのない環状オレフィンがROMP活性であることを条件として、任意の条件下で、又は任意のROMP組成物中で、ROMP反応を受け得る歪みのない環状オレフィンを指すことが意図される。
【0119】
環状オレフィンは、概ね、式(A)の構造によって表すことができ、
【化57】
式中、J、R
A1及びR
A2は、以下に示すとおりである。
R
A1及びR
A2は、水素、ヒドロカルビル(例えば、C
1~C
20アルキル、C
5~C
20アリール、C
5~C
30アラルキル又はC
5~C
30アルカリル)、置換ヒドロカルビル(例えば、置換C
1~C
20アルキル、C
5~C
20アリール、C
5~C
30アラルキル又はC
5~C
30アルカリル)、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C
5~C
30アラルキル又はヘテロ原子含有C
5~C
30アルカリル)、及び置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル(例えば、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、C
5~C
20ヘテロアリール、ヘテロ原子含有C
5~C
30アラルキル又はヘテロ原子含有C
5~C
30アルカリル)からなる群から独立して選択され、置換ヒドロカルビル又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルの場合、その置換基は、ホスホナト、ホスホリル、ホスファニル、ホスフィノ、スルホナト、C
1~C
20アルキルスルファニル、C
5~C
20アリールスルファニル、C
1~C
20アルキルスルホニル、C
5~C
20アリールスルホニル、C
1~C
20アルキルスルフィニル、C
5~C
20アリールスルフィニル、スルホンアミド、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシル、C
1~C
20アルコキシ、C
5~C
20アリールオキシ、C
2~C
20アルコキシカルボニル、C
5~C
20アリールオキシカルボニル、カルボキシル、カルボキシラト、メルカプト、ホルミル、C
1~C
20チオエステル、シアノ、シアナト、チオシアナト、イソシアネート、チオイソシアネート、カルバモイル、エポキシ、スチレニル、シリル、シリルオキシ、シラニル、シロキサザニル、ボロナト、ボリル又はハロゲン、又は金属含有基若しくは半金属含有基(ここで、金属は、例えば、Sn又はGeであり得る)などの官能基(「Fn」)であり得る。R
A1及びR
A2は、それ自体が前述の基のうちの1つであってもよく、この場合、Fn部分が、構造内に示されているオレフィン炭素原子に直接結合することになる。ただし、後者の場合、官能基は、概して、1つ以上の孤立電子対を含有するヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素又はリン原子)を介して、又は電子が豊富である金属若しくは半金属(例えば、Ge、Sn、As、Sb、Se、Teなど)を介してはオレフィン炭素に直接結合しない。このような官能基が存在する場合は、通常、介在する結合Z
*が存在することとなる。したがって、R
A1及び/又はR
A2は、構造-(Z
*)
n-Fn(式中、nは、1であり、Fnは、官能基であり、Z
*は、ヒドロカルビレン結合基、例えば、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルケン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン又は置換ヘテロアリーレン結合である)を有する。
Jは、飽和又は不飽和のヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン結合であり、Jが置換ヒドロカルビレン又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであるとき、置換基は、1つ以上の-(Z
*)
n-Fn基(式中、nは、0又は1であり、Fn及びZ
*は先に定義されたとおりである)を含み得る。更に、J内の環炭素原子(又は他の原子)に結合している2つ以上の置換基が結合して、二環式又は多環式オレフィンを形成してもよい。Jは、一般に、単環式オレフィンの場合、約5~14個の範囲の環原子、典型的に5~8個の範囲の環原子を含有し、二環式及び多環式オレフィンの場合、各環は、概して、通常、4~8個、典型的に5~7個の環原子を含有する。
【0120】
式(A)に包含される一価不飽和環状オレフィンは、式(B)で表すことができ、
【化58】
式中、bは、概して、必然的ではないが、1~10、典型的に1~5の範囲の整数であり、
R
A1及びR
A2は、式(A)に関して上で定義されたとおりであり、R
B1、R
B2、R
B3、R
B4、R
B5及びR
B6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル及び-(Z
*)
n-Fn(式中、n、Z
*及びFnは、先に定義されたとおりである)からなる群から独立して選択され、R
B1~R
B6部分のいずれかが置換ヒドロカルビル又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである場合、置換基は、1つ以上の-(Z
*)
n-Fn基を含み得る。したがって、R
B1、R
B2、R
B3、R
B4、R
B5及びR
B6は、例えば、水素、ヒドロキシル、C
1~C
20アルキル、C
5~C
20アリール、C
1~C
20アルコキシ、C
5~C
20アリールオキシ、C
2~C
20アルコキシカルボニル、C
5~C
20アリールオキシカルボニル、アミノ、アミド、ニトロなどであり得る。更に、R
B1、R
B2、R
B3、R
B4、R
B5及びR
B6部分のいずれかが、他のR
B1、R
B2、R
B3、R
B4、R
B5及びR
B6部分のいずれかに結合して、4~30個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換の脂環式基、又は6~18個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換アリール基、又はこれらの組み合わせをもたらしてもよく、また、結合は、ヘテロ原子又は官能基を含んでもよく、例えば、結合は、限定するものではないが、エーテル、エステル、チオエーテル、アミノ、アルキルアミノ、イミノ又は無水物部分を含み得る。脂環式基は、単環式、二環式又は多環式であり得る。不飽和の場合、環状基は、一価不飽和又は多価不飽和を含有し得るが、一価不飽和の環状基が好ましい。環は、置換される場合、一置換又は多置換を含有し、ここで、置換基は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、-(Z
*)
n-Fn(式中、nは、0又は1であり、Z
*及びFnは、先に定義されたとおりであり、官能基(Fn)は上記のとおりである)から独立して選択される。
【0121】
式(B)に包含される一価不飽和単環式オレフィンの例には、限定するものではないが、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、オクタシクロデセン及びシクロエイコセン並びにこれらの置換形、例えば、1-メチルシクロペンテン、1-エチルシクロペンテン、1-イソプロピルシクロヘキセン、1-クロロペンテン、1-フルオロシクロペンテン、4-メチルシクロペンテン、4-メトキシ-シクロペンテン、4-エトキシ-シクロペンテン、シクロペンタ-3-エン-チオール、シクロペンタ-3-エン、4-メチルスルファニル-シクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、1-メチルシクロオクテン、1,5-ジメチルシクロオクテンなどが挙げられる。
【0122】
式(A)に包含される単環式ジエン反応物質は、概して、式(C)で表すことができ、
【化59】
式中、c及びdは、独立して、1~約8、典型的に2~4の範囲の整数、好ましくは2(反応物質は、シクロオクタジエンである)であり、R
A1及びR
A2は、式(A)に関して上に定義されたとおりであり、R
C1、R
C2、R
C3、R
C4、R
C5及びR
C6は、R
B1~R
B6に関して定義されたとおりである。この場合、R
C3及びR
C4は、水素以外の置換基であることが好ましく、この場合、第2のオレフィン部分は、四置換されている。単環式ジエン反応物質の例には、限定するものではないが、1,3-シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、5-エチル-1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエン、シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、1,3-シクロオクタジエン及びこれらの置換類似体が挙げられる。トリエン反応物質は、ジエンの式(C)に類似するものであり、概して、任意の2つのオレフィンセグメントの間に少なくとも1つのメチレン結合を含有する。
【0123】
式(A)に包含される二環式及び多環式オレフィンは、概して、式(D)で表すことができ、
【化60】
式中、R
A1及びR
A2は、式(A)に関して上に定義されたとおりであり、R
D1、R
D2、R
D3及びR
D4は、R
B1~R
B6に関して定義されたとおりであり、eは、1~8(典型的に2~4)の範囲の整数であり、fは、概ね、1又は2であり、Tは、低級アルキレン又はアルケニレン(一般に、置換若しくは無置換のメチル又はエチル)、CHR
G1、C(R
G1)
2、O、S、N-R
G1、P-R
G1、O=P-R
G1、Si(R
G1)
2、B-R
G1又はAs-R
G1(式中、R
G1は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリル、アラルキル又はアルコキシである)である。更に、R
D1、R
D2、R
D3及びR
D4部分のいずれかが、他のR
D1、R
D2、R
D3及びR
D4部分のいずれかに結合して、4~30個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換の脂環式基、又は6~18個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換アリール基、又はこれらの組み合わせをもたらしてもよく、また、結合は、ヘテロ原子又は官能基を含んでもよく、例えば、結合は、限定するものではないが、エーテル、エステル、チオエーテル、アミノ、アルキルアミノ、イミノ又は無水物部分を含み得る。環状基は、単環式、二環式又は多環式であり得る。不飽和の場合、環状基は、一価不飽和又は多価不飽和を含有し得るが、一価不飽和の環状基が好ましい。環は、置換される場合、一置換又は多置換を含有し、ここで、置換基は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、-(Z
*)
n-Fn(式中、nは、0又は1であり、Z
*及びFnは、先に定義されたとおりであり、官能基(Fn)は上記のとおりである)から独立して選択される。
【0124】
式(D)に包含される環状オレフィンは、ノルボルネンファミリーのものである。本明細書で使用されるとき、ノルボルネンとは、少なくとも1つのノルボルネン又は置換ノルボルネン部分、例えば、限定するものではないが、ノルボルネン、置換ノルボルネン(複数可)、ノルボルナジエン、置換ノルボルナジエン(複数可)、多環式ノルボルネン及び置換多環式ノルボルネン(複数可)を含む、任意の化合物を意味する。この群に含まれるノルボルネンは、概して、式(E)で表すことができ、
【化61】
式中、R
A1及びR
A2は、式(A)に関して上に定義されたとおりであり、Tは、式(D)に関して上に定義されたとおりであり、R
E1、R
E2、R
E3、R
E4、R
E5、R
E6、R
E7及びR
E8は、R
B1~R
B6に関して定義されたとおりであり、「a」は、単結合又は二重結合を表し、fは、概ね、1又は2であり、「g」は、0~5の整数であり、「a」が二重結合であるとき、R
E5、R
E6の一方及びR
E7、R
E8の一方は存在しない。
【0125】
更に、RE5、RE6、RE7及びRE8部分のいずれかが、他のRE5、RE6、RE7及びRE8部分のいずれかに結合して、4~30個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換の脂環式基、又は6~18個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換アリール基、又はこれらの組み合わせをもたらしてもよく、また、結合は、ヘテロ原子又は官能基を含んでもよく、例えば、結合は、限定するものではないが、エーテル、エステル、チオエーテル、アミノ、アルキルアミノ、イミノ又は無水物部分を含み得る。環状基は、単環式、二環式又は多環式であり得る。不飽和の場合、環状基は、一価不飽和又は多価不飽和を含有し得るが、一価不飽和の環状基が好ましい。環は、置換される場合、一置換又は多置換を含有し、ここで、置換基は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、-(Z*)n-Fn(式中、nは、0又は1であり、Z*及びFnは、先に定義されたとおりであり、官能基(Fn)は上記のとおりである)から独立して選択される。
【0126】
少なくとも1つのノルボルネン部分を有する、より好ましい環状オレフィンは、式(F)を有し、
【化62】
式中、R
F1、R
F2、R
F3及びR
F4は、R
B1~R
B6に関して定義されたとおりであり、「a」は、単結合又は二重結合を表し、「g」は、0~5の整数であり、「a」が二重結合であるとき、R
F1、R
F2の一方及びR
F3、R
F4の一方は存在しない。
【0127】
更に、RF1、RF2、RF3及びRF4部分のいずれかが、他のRF1、RF2、RF3及びRF4部分のいずれかに結合して、4~30個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換の脂環式基、又は6~18個の環炭素原子を含有する置換若しくは無置換アリール基、又はこれらの組み合わせをもたらしてもよく、また、結合は、ヘテロ原子又は官能基を含んでもよく、例えば、結合は、限定するものではないが、エーテル、エステル、チオエーテル、アミノ、アルキルアミノ、イミノ又は無水物部分を含み得る。脂環式基は、単環式、二環式又は多環式であり得る。不飽和の場合、環状基は、一価不飽和又は多価不飽和を含有し得るが、一価不飽和の環状基が好ましい。環は、置換される場合、一置換又は多置換を含有し、ここで、置換基は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、-(Z*)n-Fn(式中、nは、0又は1であり、Z*及びFnは、先に定義されたとおりであり、官能基(Fn)は上記のとおりである)から独立して選択される。
【0128】
ヒドロカルビル置換及び官能性置換ノルボルネンを調製するための1つの手段は、ディールス-アルダー環化付加反応を用いるものであり、シクロペンタジエン又は置換シクロペンタジエンを好適な求ジエン体と高温で反応させると、以下の反応スキーム4に概して示される置換ノルボルネン付加物が得られる。
【化63】
式中、R
F1~R
F4は、式(F)に関して先に定義されたとおりである。
【0129】
他のノルボルネン付加物は、好適な求ジエン体の存在下で、ジシクロペンタジエンを熱分解することにより調製することができる。この反応では、最初にジシクロペンタジエンがシクロペンタジエンに熱分解され、続いて、シクロペンタジエンと求ジエン体とのディールス-アルダー環化付加が進行することで、以下のスキーム5中に示される付加物が得られる。
【化64】
式中、「g」は、0~5の整数であり、R
F1~R
F4は、式(F)に関して先に定義されたとおりである。
ノルボルナジエン及びその高次ディールス-アルダー付加物も同様に、以下のスキーム6に示されるように、アセチレン系反応物質の存在下で、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエンの熱反応によって調製することができる。
【化65】
式中、「g」は、0~5の整数であり、R
F1及びR
F4は、式(F)に関して先に定義されたとおりである。
【0130】
したがって、二環式及び多環式オレフィンの例には、限定するものではないが、ジシクロペンタジエン(DCPD);シクロペンタジエンの三量体及び他の高次のオリゴマー、例えば、限定するものではないが、トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエン三量体)、シクロペンタジエン四量体及びシクロペンタジエン五量体;エチリデンノルボルネン;ジシクロヘキサジエン;ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン;5-エチル-2-ノルボルネン;5-イソブチル-2-ノルボルネン;5,6-ジメチル-2-ノルボルネン;5-フェニルノルボルネン;5-ベンジルノルボルネン;5-アセチルノルボルネン;5-メトキシカルボニルノルボルネン;5-エチオキシカルボニル-1-ノルボルネン;5-メチル-5-メトキシ-カルボニルノルボルネン;5-シアノノルボルネン;5,5,6-トリメチル-2-ノルボルネン;シクロ-ヘキセニルノルボルネン;endo,exo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,exo-5,6-ジメトキシカルボニルノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシカルボニルノルボルネン;2,3-ジメトキシノルボルネン;ノルボルナジエン;トリシクロウンデセン;テトラシクロドデセン;8-メチルテトラシクロドデセン;8-エチルテトラシクロドデセン;8-メトキシカルボニルテトラシクロドデセン;8-メチル-8-テトラシクロドデセン;8-シアノテトラシクロドデセン;ペンタシクロペンタデセン;ペンタシクロヘキサデセンなど、及びこれらの構造異性体、立体異性体並びにこれらの混合物が挙げられる。二環式及び多環式オレフィンの更なる例には、限定するものではないが、C2~C12ヒドロカルビル置換ノルボルネン、例えば、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-オクチル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネン、5-ドデシル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン及び5-ブテニル-2-ノルボルネンなどが挙げられる。当業者は、本明細書で開示される二環式及び多環式オレフィンが種々の構造異性体及び/又は立体異性体からなり得、そのいずれもが本発明での使用に適することを十分理解している。このような二環式及び多環式オレフィンへの本明細書におけるいかなる言及も、具体的な記載がない限り、このような構造異性体及び/又は立体異性体のいずれか及びあらゆる混合物を含む。
【0131】
好ましい環状オレフィンには、C5~C24不飽和炭化水素が含まれる。O、N、S、又はPなどのヘテロ原子を1つ以上(典型的に2~12個)含有するC5~C24環式炭化水素もまた好ましい。例えば、クラウンエーテル環状オレフィンは、環全体に多数のOヘテロ原子を含むことができ、これらは本発明の範囲内である。更に、好ましい環状オレフィンは、1つ以上(典型的に2つ又は3つ)のオレフィンを含有するC5~C24炭化水素である。例えば、環状オレフィンは、一価、二価又は三価不飽和であってよい。環状オレフィンの例には、限定するものではないが、シクロオクテン、シクロドデセン及び(c,t,t)-1,5,9-シクロドデカトリエンが挙げられる。
【0132】
環状オレフィンはまた、複数(典型的に2又は3個)の環を含み得る。例えば、環状オレフィンは、単環式、二環式又は三環式であってよい。環状オレフィンが2個以上の環を含む場合、その環は、縮合していても縮合していなくてもよい。複数の環を含む環状オレフィンの好ましい例には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン及び5-エチリデン-2-ノルボルネンが挙げられる。
【0133】
環状オレフィンはまた、置換されていてもよく、例えば、水素の1つ以上(典型的に2、3、4又は5つ)が水素以外の置換基で置き換えられているC5~C24環式炭化水素であり得る。好適な水素以外の置換基は、上記の置換基から選択することができる。例えば、官能化環状オレフィン、すなわち、水素の1つ以上(典型的に2、3、4又は5つ)が官能基で置き換えられているC5~C24環式炭化水素は、本発明の範囲内である。好適な官能基は、上記の官能基から選択することができる。例えば、アルコール基で官能化された環状オレフィンを使用して、ペンダントアルコール基を有するテレケリックポリマーを調製することができる。環状オレフィン上の官能基は、その官能基がメタセシス触媒を妨げる場合には保護され得、当該技術分野において一般的に使用される保護基のいずれかを用いることができる。許容される保護基は、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.(New York:Wiley,1999)に見出すことができる。官能化環状オレフィンの例には、限定するものではないが、2-ヒドロキシメチル-5-ノルボルネン、2-[(2-ヒドロキシエチル)カルボキシレート]-5-ノルボルネン、シデカノール(cydecanol)、5-n-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-n-ブチル-2-ノルボルネンが挙げられる。
【0134】
上記の特徴(すなわち、ヘテロ原子、置換基、複数のオレフィン、複数の環)の任意の組み合わせを組み込んだ環状オレフィンが、本明細書で開示される方法に好適である。更に、上記の特徴(すなわち、ヘテロ原子、置換基、複数のオレフィン、複数の環)の任意の組み合わせを組み込んだ環状オレフィンが、本明細書で開示される本発明に好適である。
【0135】
本明細書で開示される方法において有用な環状オレフィンは、歪みがあっても歪みがなくてもよい。環の歪み量は、環状オレフィン化合物ごとに異なり、環の大きさ、置換基の存在及び性質、並びに複数の環の存在を含む、多数の要因に依存することが理解されよう。環の歪みは、開環オレフィンメタセシス反応に対する分子の反応性を決定する1つの要素である。歪みの高い環状オレフィン、例えば、特定の二環式化合物は、オレフィンメタセシス触媒による開環反応を容易に受ける。歪みの少ない環状オレフィン、例えば、特定の無置換炭化水素単環式オレフィンは、概して反応性が低い。ある場合には、相対的に歪みのない(したがって相対的に非反応性である)環状オレフィンの開環反応は、本明細書で開示されるオレフィン化合物の存在下で実施されるとき、可能となり得る。更に、本明細書で開示される本発明において有用な環状オレフィンは、歪みがあっても歪みがなくてもよい。
【0136】
本発明の樹脂組成物は、複数の環状オレフィンを含み得る。複数の環状オレフィンを使用して、オレフィン化合物からメタセシスポリマーを調製することができる。例えば、2つの環状オレフィンを組み込んだメタセシス生成物を得るために、上記の環状オレフィンから環状オレフィンを2つ選択して使用することができる。2つ以上の環状オレフィンが使用される場合、第2の環状オレフィンの一例は、環式アルケノール、すなわち、水素置換基のうちの少なくとも1つがアルコール又は保護アルコール部分で置き換えられているC5~C24環式炭化水素であり、これにより、官能化環状オレフィンが得られる。
【0137】
複数の環状オレフィンの使用により、特に、環状オレフィンのうちの少なくとも1つが官能化されている場合には、生成物内における官能基の位置を更に制御することが可能となる。例えば、本明細書で開示される方法を使用して調製されるポリマー及びマクロマーにおいて、架橋点の密度を制御することができる。また、置換基及び官能基の量及び密度を制御することにより、生成物の物理的性質(例えば、融点、引張強度、ガラス転移温度など)の制御も可能となる。これらの性質及び他の性質を制御することは、単一の環状オレフィンのみを使用する反応でも可能であるが、複数の環状オレフィンを使用することで、形成可能なメタセシス生成物及びポリマーの幅が更に拡大することが理解されよう。
【0138】
より好ましい環状オレフィンは、ジシクロペンタジエン;トリシクロペンタジエン;ジシクロヘキサジエン;ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン;5-エチル-2-ノルボルネン;5-イソブチル-2-ノルボルネン;5,6-ジメチル-2-ノルボルネン;5-フェニルノルボルネン;5-ベンジルノルボルネン;5-アセチルノルボルネン;5-メトキシカルボニルノルボルネン;5-エトキシカルボニル-1-ノルボルネン;5-メチル-5-メトキシ-カルボニルノルボルネン;5-シアノノルボルネン;5,5,6-トリメチル-2-ノルボルネン;シクロ-ヘキセニルノルボルネン;endo,exo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシノルボルネン;endo,exo-5-6-ジメトキシカルボニルノルボルネン;endo,endo-5,6-ジメトキシカルボニルノルボルネン;2,3-ジメトキシノルボルネン;ノルボルナジエン;トリシクロウンデセン;テトラシクロドデセン;8-メチルテトラシクロドデセン;8-エチル-テトラシクロドデセン;8-メトキシカルボニルテトラシクロドデセン;8-メチル-8-テトラシクロ-ドデセン;8-シアノテトラシクロドデセン;ペンタシクロペンタデセン;ペンタシクロヘキサデセン;シクロペンタジエンの高次オリゴマー、例えば、シクロペンタジエン四量体、シクロペンタジエン五量体など;並びにC2~C12ヒドロカルビル置換ノルボルネン、例えば、5-ブチル-2-ノルボルネン;5-ヘキシル-2-ノルボルネン;5-オクチル-2-ノルボルネン;5-デシル-2-ノルボルネン;5-ドデシル-2-ノルボルネン;5-ビニル-2-ノルボルネン;5-エチリデン-2-ノルボルネン;5-イソプロペニル-2-ノルボルネン;5-プロペニル-2-ノルボルネン;及び5-ブテニル-2-ノルボルネンなどを含む。更により好ましい環状オレフィンには、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン及びシクロペンタジエンの高次オリゴマー、例えば、シクロペンタジエン四量体、シクロペンタジエン五量体など、テトラシクロドデセン、ノルボルネン及びC2~C12ヒドロカルビル置換ノルボルネン、例えば、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-オクチル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネン、5-ドデシル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、及び5-ブテニル-2-ノルボルネンなどが含まれる。
【0139】
本発明について、その具体的な実施形態とともに記載してきたが、上の説明及び以下の実施例は、本発明の範囲を例示するものであって、限定を意図するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内である他の態様、利点及び改変は、本発明が属する技術分野の当業者には明らかであろう。
【0140】
樹脂組成物及び物品
商業的に重要なROMP樹脂配合物は、一般に、容易に入手可能で安価な環状オレフィン又は多環式オレフィン、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、トリシクロペンタジエン(TCPD)及び種々の他のシクロアルケンをベースにしている。一実施形態において、本発明の樹脂組成物及び/又はROMP組成物の調製に使用される環状オレフィン組成物は、約0%又は約6%又は約24%又は約40%又は約70%のトリシクロペンタジエンを含有するジシクロペンタジエンである。
【0141】
本発明に係る樹脂組成物は、概して、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、この樹脂組成物が少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒と組み合わされてROMP組成物を形成する。
【0142】
本発明に係る樹脂組成物は、概して、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、この樹脂組成物が本発明の少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒と組み合わされてROMP組成物を形成する。
【0143】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含む。
【0144】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、以下から選択される少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含む。
【化66】
【0145】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、少なくとも1つの環状オレフィンは、ノルボルネン誘導体である。
【0146】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、少なくとも1つの環状オレフィンは、ジシクロペンタジエンである。
【0147】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、少なくとも1つの環状オレフィンは、トリシクロペンタジエンである。
【0148】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、少なくとも1つの環状オレフィンは、テトラシクロペンタジエンである。
【0149】
本発明に係るROMP組成物は、少なくとも1つの樹脂組成物と、少なくとも1つの金属カルベンオレフィンメタセシス触媒とを含み、樹脂組成物は、少なくとも1つの環状オレフィンを含み、少なくとも1つの環状オレフィンは、ノルボルネン誘導体、例えば、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-オクチル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネン、5-ドデシル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-ブテニル-2-ノルボルネンである。
【0150】
別の実施形態において、本発明に係る樹脂組成物は、少なくとも1つの外因性阻害剤を追加的に含み得る。本発明で使用される外因性阻害剤又は「ゲル化調節添加剤」は、米国特許第5,939,504号に開示されており、その内容をまた参照により本明細書に援用する。外因性阻害剤又は「ゲル化調節添加剤(gel modification additive)」の非限定的な例には、水、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me-THF)、ジエチルエーテル((C2H5)2O)、メチル-tert-ブチルエーテル(CH3OC(CH3)3)、ジメトキシエタン(CH3OCH2CH2OCH3)、ジグリム(CH3OCH2OCH2OCH3)、トリメチルホスフィン(PMe3)、トリエチルホスフィン(PEt3)、トリブチルホスフィン(PBu3)、トリ(オルソトリル)ホスフィン(P-o-トリル3)、トリ-tert-ブチルホスフィン(P-tert-Bu3)、トリシクロペンチルホスフィン(PCp3)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)、トリイソプロピルホスフィン(P-i-Pr3)、トリオクチルホスフィン(POct3)、トリイソブチルホスフィン(P-i-Bu3)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン(P(C6F5)3)、メチルジフェニルホスフィン(PMePh2)、ジメチルフェニルホスフィン(PMe2Ph)、ジエチルフェニルホスフィン(PEt2Ph)、亜リン酸トリメチル(P(OMe)3)、亜リン酸トリエチル(P(OEt)3)、亜リン酸トリイソプロピル(P(O-i-Pr)3)、亜リン酸トリブチル(P(OBu)3)、亜リン酸トリフェニル(P(OPh)3、及びトリベンジルホスフィン(P(CH2Ph)3)、2-シクロヘキセノン、及びトリフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。好ましい外因性阻害剤には、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン及びトリブチルホスフィンが含まれる。最も好ましい外因性阻害剤は、トリフェニルホスフィンである。樹脂組成物とともに配合又は混合される場合、外因性阻害剤の濃度は、典型的に、0.001~10phr、具体的には0.01~5phr、より具体的には0.05~3phrの範囲である。外因性阻害剤は、溶媒なしで、又は有機溶液として、樹脂組成物に添加することができる。1種の外因性阻害剤を使用してもよいし、2種以上の異なる外因性阻害剤の組み合わせを使用してもよい。
【0151】
別の実施形態において、本発明に係る樹脂組成物は、ヒドロペルオキシドゲル調整剤を追加的に含み得る。本発明で使用されるヒドロペルオキシドゲル調整剤は、国際出願PCT/US2012/042850号に開示されており、その内容をまた参照により本明細書に援用する。ヒドロペルオキシドゲル調整剤の非限定的な例には、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、(2,5-ジヒドロペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、トリフェニルメチルヒドロペルオキシド、ピネンヒドロペルオキシド(例えば、Glidox(登録商標)500;LyondellBasell)及びパラメンタンヒドロペルオキシド(例えば、Glidox(登録商標)300;LyondellBasell)が挙げられる。より好ましくは、使用に好適なヒドロペルオキシドには、tert-ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドが含まれる。ヒドロペルオキシドゲル化調節添加剤は、溶媒なしで、又は有機溶液若しくは水性溶液として反応混合物に添加することができる。ゲル化調節添加剤として、1種のヒドロペルオキシド化合物を使用してもよいし、2種以上の異なるヒドロペルオキシド化合物の組み合わせを使用してもよい。あらゆる濃度のヒドロペルオキシドが特定のメタセシス重合のゲル状態の開始を遅らせる。有利には、ヒドロペルオキシドゲル調整剤の使用により、ピーク発熱温度及び機械的特性を含む、硬化したポリマーの性質が実質的に維持されることがわかっている。必ずしも限定されるものではないが、ヒドロペルオキシド濃度は、有利には、触媒に対して、0.01~1000当量である。他の実施形態において、ヒドロペルオキシド濃度は、触媒に対して、0.1~20当量であり得る。一般に、ヒドロペルオキシドの濃度が高いほどポットライフが長くなる。更に、他の実施形態において、ヒドロペルオキシド濃度は、触媒に対して、0.05~100当量であり得る。更に、他の実施形態において、ヒドロペルオキシド濃度は、触媒に対して、0.1~50当量であり得る。
【0152】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、ポットライフ調節剤として、少なくとも1つの5-アルケニル-2-ノルボルネンを追加的に含み得る。本発明で使用される5-アルケニル-2-ノルボルネンは、米国特許第5,204,427号に開示されており、その非限定的な例には、5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-ビニル-2-ノルボルネン);5-イソプロペニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-イソプロペニル-2-ノルボルネン);5-ビニル-4-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-ビニル-4-ビニル-2-ノルボルネン);5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-プロペニル-2-ノルボルネン);5-ブテニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-ブテニル-2-ノルボルネン;5-ペンテニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(5-ペンテニル-2-ノルボルネン);及びこれらのモノメチル、モノクロロ及びジクロロ置換体(endo異性体及びexo異性体を含む)、並びにこれらの混合物が挙げられる。より好ましい5-アルケニル-2-ノルボルネン(複数可)には、endo異性体及びexo異性体を含む、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン及び5-ブテニル-2-ノルボルネン並びにこれらの混合物が含まれる。最も好ましい5-アルケニル-2-ノルボルネンポットライフ調節剤は、5-ビニル-2-ノルボルネン(endo異性体及びexo異性体を含む)及びその混合物である。5-アルケニル-2-ノルボルネンポットライフ調節剤は、通常、樹脂組成物中、約0.01phr~10phrの濃度、より好ましくは約0.1phr~5phrの濃度、更により好ましくは約0.1phr~3phrの濃度で使用される。5-アルケニル-2-ノルボルネンポットライフ調節剤は、溶媒なしで、又は有機溶液として、樹脂組成物に添加することができる。ポットライフ調節剤として、1種の5-アルケニル-2-ノルボルネンポットライフ調節剤を使用してもよいし、2種以上の異なる5-アルケニル-2-ノルボルネンポットライフ調節剤の組み合わせを使用してもよい。
【0153】
本発明の樹脂組成物は任意選択により添加剤と配合され得る。好適な添加剤には、ゲル調整剤、硬度調整剤、耐衝撃性改良剤、エラストマー、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、安定剤、架橋剤、充填剤、結合剤、カップリング剤、チキソトロープ、湿潤剤、殺生剤、可塑剤、顔料、難燃剤、染料、繊維及び強化材料(仕上げ剤、コーティング剤、カップリング剤、フィルム形成剤及び/又は滑剤で処理されたものなどのサイジングされた強化材及び基材)が含まれるが、これらに限定されない。更に、樹脂組成物中に存在する添加物の量は、使用される添加剤の具体的な種類に応じて変わり得る。樹脂組成物中の添加剤の濃度は、典型的に、例えば、0.001~85重量%、具体的には0.1~75重量%、更により具体的には2~60重量%の範囲である。
【0154】
本発明の樹脂組成物は、架橋剤、例えば、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド及びペルオキシ酸から選択される架橋剤を追加的に含み得る。このような架橋剤の例は、米国特許第5,728,785号に開示されており、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0155】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの架橋モノマーを追加的に含み得る。架橋モノマーの例には、国際公開第0276613(A1)号及び米国特許第6,281,307(B1)号に記載の縮合多環式環系及び結合多環式環系が挙げられる。
【0156】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を追加的に含み得る。好適な耐衝撃性改良剤又はエラストマーには、限定するものではないが、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロックゴム、ランダムスチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロックゴム、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、エチレン-酢酸ビニル及びニトリルゴムが含まれる。好ましい耐衝撃性改良剤又はエラストマーは、ポリブタジエンDiene 55AC10(Firestone)、ポリブタジエンDiene 55AM5(Firestone)、EPDM Royalene 301T、EPDM Buna T9650(Bayer)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマーKraton G1651H、Polysar Butyl 301(Bayer)、ポリブタジエンTaktene 710(Bayer)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンKraton G1726M、エチレン-オクテンEngage 8150(DuPont-Dow)、スチレン-ブタジエンKraton D1184、EPDM Nordel 1070(DuPont-Dow)及びポリイソブチレンVistanex MML-140(Exxon)、水素添加スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマーKraton G1650M、水素添加スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマーKraton G1657M及びスチレン-ブタジエンブロックコポリマーKraton D1101、Addivant(商標)が一般に製造し、商品名Royaltuf(登録商標)で販売している本発明に係る耐衝撃性改良剤(例えば、Royaltuf(登録商標)498、Royaltuf(登録商標)485)又はKraton Polymersが製造し、商品名Kraton(登録商標)で販売している高性能エラストマー(例えば、Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)FG1901、Kraton(登録商標)FG1924)である。このような材料は、通常、樹脂組成物中に、約0.10phr~10phrの濃度で使用されるが、より好ましくは約0.1phr~5phrの濃度で使用される。種々の極性耐衝撃性改良剤又はエラストマーを使用することもできる。
【0157】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤を追加的に含み得る。別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つのオゾン分解防止剤を追加的に含み得る。酸化防止剤及びオゾン分解防止剤は、ゴム又はプラスチック産業に使用される任意の酸化防止剤又はオゾン分解防止剤を含む。「Index of Commercial Antioxidants and Antiozonants,Fourth Edition」は、Goodyear Chemicals,The Goodyear Tire and Rubber Company(Akron,Ohio 44316)から入手可能である。好適な安定剤(すなわち、酸化防止剤又はオゾン分解防止剤)は、限定するものではないが、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);Wingstay(登録商標)S(Goodyear)などのスチレン化フェノール;2-及び3-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;Wingstay C(Goodyear)などのアルキル化ヒンダードフェノール;4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-sec-ブチルフェノール;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);Cyanox(登録商標)53(Cytec Industries Inc.)及びPermanax WSOなどの種々のビスフェノール;2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-(1-メチルシクロヘキシル)フェノール);4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール);ポリブチル化ビスフェノールA;4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール);4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール);1,1’-チオビス(2-ナフトール);エチル酸化防止剤738などのメチレン架橋ポリアキルフェノール(polyaklylphenol);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);Wingstay Lなどのp-クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;テトラキス(メチレン-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)メタン、すなわち、Irganox(登録商標)1010(BASF);1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、例えば、Ethanox(登録商標)330(Albemarle Corporation);4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-三級-ブチルフェノール)、例えば、Ethanox 4702又はEthanox 4710;1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、すなわち、Good-rite(登録商標)3114(Emerald Performance Materials)、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、トリス(ノニルフェニルホスフィット)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル)ペンタエリスリトール)ジホスフィット、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット、Naugard(登録商標)492(Chemtura Corporation)などのホスフィット化フェノール及びビスフェノール、Irganox B215などのホスフィット/フェノール酸化防止剤ブレンド;Irganox 1093などのジ-n-オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート;Irganox 259などの1,6-ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)、並びにオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、すなわち、Irganox 1076、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニリレンジホスホニット、ジフェニルアミン及び4,4’-ジエムトキシジフェニルアミン(diemthoxydiphenylamine)を含む。酸化防止剤及び/又はオゾン分解防止剤は、通常、樹脂組成物中に、約0.10phr~10phrの濃度で使用されるが、より好ましくは約0.1phr~5phrの濃度で使用される。
【0158】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの充填剤を更に含み得る。好適な充填剤には、例えば、金属密度調整剤、微粒子密度調整剤、有機充填剤、無機充填剤(例えば、ミクロスフェアなど)及びマクロ粒子密度調整剤(例えば、ガラス又はセラミックのビーズ)が含まれる。金属密度調整剤には、粉末化、焼結、薄片化、フレーク化、研磨、微粒子化又は顆粒化された金属、金属酸化物、金属窒化物及び/又は金属炭化物などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい金属密度調整剤には、とりわけ、タングステン、炭化タングステン、アルミニウム、チタン、鉄、鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素及び炭化ケイ素が含まれる。微粒子密度調整剤には、ガラス、金属、熱可塑性(膨張性又は予め膨張させたもののいずれか)若しくは熱硬化性及び/又はセラミック/シリケートのミクロスフェアが含まれるが、これらに限定されない。マクロ粒子密度調整剤には、ガラス、プラスチック又はセラミックのビーズ;金属のロッド、チャンク、ピース又はショット;中空のガラス、セラミック、プラスチック又は金属の球、ボール又はチューブなどが含まれるが、これらに限定されない。有機充填剤には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(PE-UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、アラミド繊維、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラファイト、カーボンブラック、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、フッ素化(fluorinates)エチレンプロピレン(FEP)、ポリエーテルエチルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリエステル、セルロース繊維、木粉、木繊維の粉末、微粒子、フレーク、微粉、シェルが含まれるが、これらに限定されない。無機充填剤には、三水和アルミナ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホスフェート、タルク、クレイ、マイカ、モンモリロナイト、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化タングステン(WS2)、硝酸ホウ素、ガラス、シリケート、アルミノシリケート、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ケイ灰石、バライトの粉末化、微粒子、フレーク、微粉、シェル、繊維が含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの強化材料を更に含み得る。好適な強化材料には、ポリマーに組み込んだときに、ポリマー複合体の強度又は剛性を増すものが含まれる。強化材料は、フィラメント、繊維、ロービング、マット、織物、布地、ニット材料、生地、クロス又は他の既知の構造の形態であり得る。好適な強化材料には、ガラス繊維及びガラスクロス、炭素繊維及び炭素織物、アラミド繊維及びアラミド織物、ポリオレフィン繊維又はポリオレフィン織物(Honeywellが商品名Spectra(登録商標)で製造しているものを含む、超分子量ポリエチレン織物)、及びポリオキサゾール繊維又はポリオキサゾール織物(Toyobo Corporationが商品名Zylon(登録商標)で製造しているものなど)が含まれる。表面仕上げ剤、サイジング剤又はコーティング剤を含有する強化材料は、記載された発明に特に好適であり、Ahlstromガラスロービング(R338-2400)、Johns Manvilleガラスロービング(StarROV(登録商標)-086)、Owens Corningロービング(OCV366-AG-207、R25H-X14-2400、SE1200-207、SE1500-2400、SE2350-250)、PPGガラスロービング(Hybon(登録商標)2002、Hybon(登録商標)2026)、東邦テナックス(登録商標)炭素繊維トウ(HTR-40)、及びZoltek炭素繊維トウ(Panex(登録商標)35)が含まれる。更に、表面仕上げ剤、サイジング剤又はコーティング剤を含有する強化材料を使用して作製された任意の織物も本発明に好適である。有利には、本発明は、強化材料から表面仕上げ剤、サイジング剤又はコーティング剤を取り除く、費用の係るプロセスを必要としない。更に、ガラス繊維又はガラス織物には、限定するものではないが、A-ガラス、E-ガラス又はS-ガラス、S-2ガラス、C-ガラス、R-ガラス、ECR-ガラス、M-ガラス、D-ガラス、並びに石英、及びシリカ/石英が含まれ得る。好ましいガラス繊維強化材は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び/又はポリウレタン樹脂とともに使用するために配合された仕上げ剤を含むものである。これらの樹脂タイプの組み合わせとの使用のために配合される場合、強化材は、「多種適合性」と記載されることがある。このような強化材は、一般に、その繊維表面を保護し、取り扱い及び加工(例えば、巻き上げ及び織り)を容易にするために、その製造中に、ビニル官能基、アミノ官能基、グリシドキシ官能基又はメタクリロキシ官能基(又はこれらの種々の組み合わせ)を含むオルガノシランカップリング剤により処理され、仕上げ剤でコーティングがなされる。仕上げ剤は、典型的に、フィルム形成剤、界面活性剤及び滑剤などの化学的化合物及びポリマー化合物の混合物を含む。特に好ましいガラス強化材は、いくらかの量のアミノ官能性シランカップリング剤を含有するものである。特に好ましい仕上げ剤は、エポキシ系及び/又はポリウレタン系のフィルム形成剤を含むものである。好ましいガラス繊維強化材の例は、Hybon(登録商標)2026、2002及び2001(PPG)多種適合性ロービング;Ahlstrom R338エポキシシランサイズロービング;StarRov(登録商標)086(Johns Manville)ソフトシランサイズ多種適合性ロービング;OCV(商標)366、SE 1200及びR25H(Owens Corning)多種適合性ロービング;OCV(商標)SE 1500及び2350(Owens Corning)エポキシ適合性ロービング;並びにJushi Group多種適合性ガラスロービング(752タイプ、396タイプ、312タイプ、386タイプ)によるものである。更なる好適なポリマー繊維及びポリマー織物には、限定するものではないが、ポリエステル、ポリアミド(例えば、E.I.DuPontから入手可能なNYLONポリアミド)、芳香族ポリアミド(E.I.DuPontから入手可能なKEVLAR芳香族ポリアミド又はLenzing Aktiengesellschaftから入手可能なP84芳香族ポリアミなど)、ポリイミド(例えば、E.I.DuPontから入手可能なKAPTONポリイミド、ポリエチレン(例えば、東洋紡株式会社から入手可能なDYNEEMAポリエチレン)のうちの1つ以上が含まれ得る。更なる好適な炭素繊維は、限定するものではないが、Hexcel CorporationのAS2C、AS4、AS4C、AS4D、AS7、IM6、IM7、IM9及びPV42/850;東レ株式会社のTORAYCA T300、T300J、T400H、T600S、T700S、T700G、T800H、T800S、T1000G、M35J、M40J、M46J、M50J、M55J、M60J、M30S、M30G及びM40;東邦テナックス株式会社のHTS12K/24K、G30-500 3k/6K/12K、G30-500 12K、G30-700 12K、G30-7000 24K F402、G40-800 24K、STS 24K、HTR 40 F22 24K 1550tex;Grafil Inc.の34-700、34-700WD、34-600、34-600WD及び34-600サイズなし;Cytec IndustriesのT-300、T-650/35、T-300C及びT-650/35Cが含まれ得る。更なる好適な炭素繊維には、限定するものではないが、AKSACA(A42/D011)、AKSACA(A42/D012)、Blue Star Starafil(10253512-90)、Blue Star Starafil(10254061-130)、SGL Carbon(C30 T050 1.80)、SGL Carbon(C50 T024 1.82)、Grafil(347R1200U)、Grafil(THR 6014A)、Grafil(THR 6014K)、Hexcel Carbon(AS4C/EXP 12K)、三菱(Pyrofil TR 50S 12L AF)、三菱(Pyrofil TR 50S 12L AF)、東邦テナックス(T700SC 12000-50C)、東レ(T700SC 12000-90C)、Zoltek(Panex 35 50K、サイジング11)、Zoltek(Panex 35 50K、サイジング13)が含まれ得る。更なる好適な炭素織物には、限定するものではないが、Vectorply(C-L 1800)及びZoltek(Panex 35 UD Fabic-PX35UD0500-1220)による炭素織物が含まれ得る。更なる好適なガラス繊維には、限定するものではないが、PPG Hybon(登録商標)2026をベースにしたVectorply(E-LT 3500-10)、PPG Hybon(登録商標)2002をベースにしたSaertex(U14EU970-01190-T2525-125000)、Chongqing Polycomp Internation Corp.(CPIC(登録商標)繊維ガラス)(EKU 1150(0)/50-600)、及びOwens Corning(L1020/07A06 Xweft 200tex)によって供給されているガラス織物が含まれ得る。
【0160】
本発明に係る樹脂組成物は、サイジング剤組成物を更に含んでもよいし、当該産業で一般的に使用されている特定の市販シランでサイジングされた基材材料への接着を改善するために使用されてもよい。当該技術分野で知られているように、ガラス繊維は、典型的に、ガラス繊維を補強し、加工及び複合体の製造中におけるストランドの機械的結合力を保護するために、その形成直後に化学溶液(例えば、サイジング剤組成物)で処理される。オレフィンメタセシス触媒及びポリジシクロペンタジエン複合体と適合性のあるサイジング剤処理については、米国特許第6,890,650号及び同第6,436,476号に記載されており、両出願の開示を参照により本明細書に援用する。しかしながら、これらの開示は、工業用ガラス製造では一般的に使用されない特殊なシラン処理の使用に基づいている。それに比べると、本発明は、当該産業で一般的に使用されているシランでサイジングされたポリマーガラス複合材料の機械的特性を改善することができる。
【0161】
ガラスサイジング剤配合物は、典型的に、少なくとも1つのフィルム形成剤(典型的に、フィルム形成ポリマー)と、少なくとも1つのシランと、少なくとも1つの滑剤とを含む。サイジング剤配合物は、その構成成分のいずれもがメタセシス触媒又はオレフィン重合反応の有効性を妨げないか、実質的に低下させなければ、本発明に適合するとみなされ、本明細書で概して使用することができる。
【0162】
ROMP触媒と適合性のあるフィルム形成剤には、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン及び/又はポリ酢酸ビニルが含まれる。オレフィンメタセシス触媒の性能に有害な影響を与えない他の一般的なフィルム形成剤を使用することができる。フィルム形成剤は、典型的に、非イオン性の水性エマルションとして使用される。所与のサイジング剤配合物に2種以上のフィルム形成剤を使用して、ガラス加工性と複合体の機械的特性の所望のバランスを達成してもよい。
【0163】
より詳細には、フィルム形成剤は、エポキシド基1つ当たりの平均分子量(EEW)が500未満であるエポキシモノマー若しくはオリゴマーと定義される低分子量エポキシエマルション、及び/又はエポキシド基1つ当たりの平均分子量(EEW)が500を超えるエポキシモノマー若しくはオリゴマーと定義される高分子量エポキシエマルションを含み得る。好適な低分子量製品の例には、Franklin Internationalにより製造された水性エポキシエマルション、例えば、Franklin K8-0203(EEW190)及びFranklin E-102(EEW225~275)が挙げられる。低分子量エポキシエマルションの他の例は、Hexionから入手可能であり、EPI-REZ(商標)3510-W-60(EEW185~215)及びEPI-REZ(商標)3515-W-60(EEW225~275)を含む。低分子量エポキシエマルションの更なる例は、COIMから入手可能であり、Filco 309(EEW270)及びFilco 306(EEW330)を含む。低分子量エポキシエマルションの更なる例は、DSMから入手可能であり、Neoxil(登録商標)965(EEW220~280)及びNeoxil(登録商標)4555(EEW220~260)を含む。好適な高分子量エポキシエマルション製品の例には、Hexionにより製造されたエポキシエマルション、例えば、EPI-REZ(商標)3522-W-60(EEW615~715)が挙げられる。
【0164】
変性されたエポキシ、ポリエステル及びポリウレタンの水性エマルションもまたフィルム形成剤に使用することができる。好適な変性エポキシ製品の例には、DSMにより製造されたエマルション、例えば、Neoxil(登録商標)2626(EEWが500~620の可塑化エポキシ)、Neoxil(登録商標)962/D(EEWが470~550のエポキシエステル)、Neoxil(登録商標)3613(EEWが500~800のエポキシエステル)、Neoxil(登録商標)5716(EEWが210~290のエポキシノボラック)、Neoxil(登録商標)0035(EEWが2500の可塑化エポキシエステル)、及びNeoxil(登録商標)729(EEWが200~800潤滑化エポキシ)が挙げられる。変性エポキシエマルションの更なる例は、COIMから入手可能であり、Filco 339(EEWが2000の不飽和ポリエステルエポキシ)及びFilco 362(EEWが530のエポキシエステル)を含む。好適なポリエステル製品の例には、DSMにより製造されたエマルション、例えば、Neoxil(登録商標)954/D、Neoxil(登録商標)2635及びNeoxil(登録商標)4759(不飽和ビスフェノールポリエステル)が挙げられる。DSMによる更なる好適な製品には、Neoxil(登録商標)9166及びNeoxil(登録商標)968/60(アジペートポリエステル)が含まれる。好適な製品の更なる例には、COIMにより製造されたエマルション、例えば、Filco 354/N(不飽和ビスフェノールポリエステル)、Filco 350(不飽和ポリエステル)及びFilco 368(飽和ポリエステル)が挙げられる。好適なポリウレタン製品の例には、Bayer Material Scienceにより製造されたエマルション、例えば、Baybond(登録商標)330及びBaybond(登録商標)401が挙げられる。
【0165】
フィルム形成剤はまた、ポリオレフィン又はポリオレフィン-アクリル系コポリマー、ポリ酢酸ビニル、変性ポリ酢酸ビニル又はポリオレフィン-酢酸コポリマーを含み得る。好適なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びこれらのコポリマーが含まれるが、これらに限定されず、ポリオレフィンは、酸化、マレイン酸化、又は効果的なフィルム形成剤の使用のための別の処理がなされてもよい。好適な製品の例には、Michelmanにより製造されたエマルション、例えば、Michem(登録商標)Emulsion 91735、Michem(登録商標)Emulsion 35160、Michem(登録商標)Emulsion 42540、Michem(登録商標)Emulsion 69230、Michem(登録商標)Emulsion 34040M1、Michem(登録商標)Prime 4983R及びMichem(登録商標)Prime 4982SCが含まれる。好適な製品の例には、HB Fullerにより製造されたエマルション、例えば、PD 708H、PD 707及びPD 0166が挙げられる。更なる好適な製品には、Franklin Internationalにより製造されたエマルション、例えば、Duracet(登録商標)637が含まれる。更なる好適な製品には、Celaneseにより製造されたエマルション、例えば、Vinamul(登録商標)8823(可塑化ポリ酢酸ビニル)、Dur-O-Set(登録商標)E-200(エチレン-酢酸ビニルコポリマー)、Dur-O-Set(登録商標)TX840(エチレン-酢酸ビニルコポリマー)及びResyn(登録商標)1971(エポキシ-変性ポリ酢酸ビニル)が含まれる。
【0166】
限定するものではないが、好ましいフィルム形成剤は、低分子量及び高分子量のエポキシ、飽和及び不飽和のポリエステル、並びにポリオレフィン、例えば、Franklin K80-203、Franklin E-102、Hexion 3510-W-60、Hexion 3515-W-60及びMichelman 35160を含む。
【0167】
非イオン性滑剤も同様にサイジング剤組成物に加えてもよい。ROMP組成物と適合性のある好適な非イオン性滑剤には、ポリエチレングリコールのエステル及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーが含まれる。所望により、所与のサイジング剤配合物に2種以上の非イオン性滑剤を使用して、例えば、ガラス加工性と複合体の機械的特性の所望のバランスを達成してもよい。
【0168】
好適な滑剤は、平均分子量が200~2000、好ましくは200~600であるポリエチレングリコール(PEG)単位を含有し得る。これらのPEG単位は、オレイン酸、トール酸、ラウリン酸、ステアリン酸などを含む、1つ以上の脂肪酸を使用してエステル化することができる。特に好ましい滑剤には、PEG400ジラウレート、PEG600ジラウレート、PEG400ジステアレート、PEG600ジステアレート、PEG400ジオレエート及びPEG600ジオレエートが含まれる。好適な製品の例には、BASFにより製造された化合物、例えば、MAPEG(登録商標)400 DO、MAPEG(登録商標)400 DOT、MAPEG(登録商標)600 DO、MAPEG(登録商標)600 DOT及びMAPEG(登録商標)600 DSが挙げられる。更なる好適な製品には、Zschimmer & Schwarzにより製造された化合物、例えば、Mulsifan 200 DO、Mulsifan 400 DO、Mulsifan 600 DO、Mulsifan 200 DL、Mulsifan 400 DL、Mulsifan 600 DL、Mulsifan 200 DS、Mulsifan 400 DS及びMulsifan 600 DSが挙げられる。更なる好適な製品には、Cognisにより製造された化合物、例えば、Agnique(登録商標)PEG 300 DO、Agnique(登録商標)PEG 400 DO及びAgnique(登録商標)PEG 600 DOが含まれる。
【0169】
好適な非イオン性滑剤には、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーも含まれる。好適な製品の例には、BASFにより製造された化合物、例えば、Pluronic(登録商標)L62、Pluronic(登録商標)L101、Pluronic(登録商標)P103及びPluronic(登録商標)P105が挙げられる。
【0170】
カチオン性滑剤も同様にサイジング剤組成物に加えてもよい。ROMPと適合性のあるカチオン性滑剤には、変性ポリエチレンイミン、例えば、Pulcra Chemicalsにより製造されたEmery 6760Lが含まれる。
【0171】
シランカップリング剤を任意選択によりサイジング剤組成物に加えてもよく、その非限定的な例には、アルキルシラン、アルケニルシラン及びノルボルネニルシランに加え、メタクリレート、アクリレート、アミノ又はエポキシで官能化したシランが挙げられる。
【0172】
任意選択により、サイジング剤組成物は、サイジング樹脂のpHを変更するための添加剤を1つ以上含み得る。好ましい1つのpH調節剤は、酢酸である。
【0173】
サイジング剤組成物は、任意選択により、ガラスサイジング剤組成物に有用な他の添加剤を含有してもよい。このような添加剤には、乳化剤、消泡剤、共溶媒、殺生剤、酸化防止剤、及びサイジング剤組成物の有効性を改善するように設計された添加剤が含まれ得る。サイジング剤組成物は、任意の方法によって調製することができ、本明細書において使用されるガラス繊維又はガラス織物などの基材材料に任意の技法又は方法によって適用され得る。
【0174】
別の実施形態において、本発明の樹脂組成物は、少なくとも1つの接着促進剤を追加的に含み得る。本発明で使用される接着促進剤の1種は、国際出願PCT/US2012/042850号に開示されており、その内容をまた参照により本明細書に援用する。本明細書で開示される本発明に使用され得る接着促進剤の非限定的な例は、一般に、少なくとも2つのイソシアネート基を含有する化合物(例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートなど)である。接着促進剤は、ジイソシアネート、トリイソシアネート又はポリイソシアネート(すなわち、4つ以上のイソシアネート基を含有するもの)であり得る。接着促進剤は、少なくとも1つのジイソシアネート、トリイソシアネート又はポリイソシアネートの混合物であり得る。本発明のより具体的な態様において、接着促進剤は、ジイソシアネート化合物又はジイソシアネート化合物の混合物を含むか、これらに限定される。
【0175】
一般に、本発明に使用され得る接着促進剤は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する任意の化合物であり得る。好適な接着促進剤には、限定するものではないが、少なくとも2つのイソシアネート基を含むイソシアネート化合物が含まれ、化合物は、ヒドロカルビル化合物、置換ヒドロカルビル化合物、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル化合物、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル化合物及び官能化ヒドロカルビル化合物から選択される。上記のとおり、好適なヒドロカルビル接着促進剤化合物は、一般に、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アルカリル及びアラルキルの化合物を含む。置換ヘテロ原子含有及び官能化ヒドロカルビル接着促進剤化合物には、前述のヒドロカルビル化合物及び上記のものの変形が含まれる。
【0176】
本発明で使用され得る接着促進剤は、アルキルジイソシアネートであり得る。アルキルジイソシアネートは、典型的に、必然的ではないが、1~約24個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖又は環式の飽和又は不飽和炭化水素基、好ましくは、2~約12個の炭素原子を含有するジイソシアネート、より好ましくは、6~12個の炭素原子を含有するジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、及びデカメチレンジイソシアネートなどを指す。シクロアルキルジイソシアネートは、典型的に4~16個の炭素原子を有する環状アルキル基を含有する。6~約12個の炭素原子を含有する好ましいシクロアルキルジイソシアネートは、シクロヘキシル、シクロオクチル、及びシクロデシルなどである。より好ましいシクロアルキルジイソシアネートは、一般にイソホロンジイソシアネート(IPDI)として知られている5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサンと呼ばれるアセトンと、イソシアナト-[(イソシアナトシクロヘキシル)メチル]シクロヘキサン(H12MDI)の異性体との縮合生成物として生じる。H12MDIは、アリールジイソシアネートメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の水素添加形態から誘導される。
【0177】
本発明で使用され得る接着促進剤は、アリールジイソシアネートであり得る。アリールジイソシアネートは、1つの芳香環、又は一緒に縮合しているか、直接的に連結しているか、間接的に連結している複数の芳香環(したがって、異なる芳香環がメチレン部分又はエチレン部分などの共通する基に結合している)を含有する芳香族ジイソシアネートを指す。好ましいアリールジイソシアネートは、5~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアリールジイソシアネートは、5~14個の炭素原子を含有する。例示的なアリールジイソシアネートは、1つの芳香環又は2つの縮合若しくは連結した芳香環、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、及びベンゾフェノンなどを含有する。好ましい芳香族ジイソシアネートには、トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)及びメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(その3つの異性体2,2’-MDI、2,4’-MDI及び4,4’-MDIの任意の混合物を含み得る)が含まれる。
【0178】
本発明で使用され得る接着促進剤は、イソシアネート(例えば、ジイソシアネートなど)を含有するポリマーであり得る。イソシアネート含有ポリマーは、2つ以上の末端及び/又はペンダントアルキル又はアリールイソシアネート基を含有するポリマーを指す。イソシアネート含有ポリマーは、一般に、機械的特性の改善をもたらすために、樹脂中での溶解度が最小である必要がある。好ましいイソシアネート含有ポリマーには、PM200(ポリMDI)、Lupranate(登録商標)(BASFのポリMDI)、Krasol(登録商標)イソシアネート末端ポリブタジエンプレポリマー、例えば、Krasol(登録商標)LBD2000(TDIベース)、Krasol(登録商標)LBD3000(TDIベース)、Krasol(登録商標)NN-22(MDIベース)、Krasol(登録商標)NN-23(MDIベース)、Krasol(登録商標)NN-25(MDIベース)などが含まれるが、これらに限定されない。Krasol(登録商標)イソシアネート末端ポリブタジエンプレポリマーは、Cray Valleyから入手可能である。
【0179】
本発明で使用され得る接着促進剤は、アルキルジイソシアネート及びアリールジイソシアネートの三量体であり得る。最も単純な形態では、任意の組み合わせのポリイソシアネート化合物を三量体化して、イソシアネート官能基を含有するイソシアヌレート環を形成することができる。アルキルジイソシアネート及びアリールジイソシアネートの三量体はまた、アルキルジイソシアネート又はアリールジイソシアネートのイソシアヌレートとも呼ばれ得る。好ましいアルキルジイソシアネート及びアリールジイソシアネートの三量体には、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDIt)、イソホロンジイソシアネート三量体、トルエンジイソシアネート三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネート三量体、メチレンジフェニルジイソシアネート三量体などが含まれるが、これらに限定されない。より好ましい接着促進剤は、トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)及びメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(その3つの異性体2,2’-MDI、2,4’-MDI及び4,4’-MDIの任意の混合物を含む);液体MDI;固体MDI;ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDIt);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI);4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI);ポリマーMDI(PM200);MDIプレポリマー(Lupranate(登録商標)5080);液体カルボジイミド変性4,4’-MDI(Lupranate(登録商標)MM103);液体MDI(Lupranate(登録商標)MI);液体MDI(Mondur(登録商標)ML);及び液体MDI(Mondur(登録商標)MLQ)である。更により好ましい接着促進剤は、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)であり、例えば、その3つの異性体2,2’-MDI、2,4’-MDI及び4,4’-MDIの任意の混合物;液体MDI;固体MDI;ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDIt);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI);4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI);ポリマーMDI(PM200);MDIプレポリマー(Lupranate(登録商標)5080);液体カルボジイミド変性4,4’-MDI(Lupranate(登録商標)MM103);液体MDI)(Lupranate(登録商標)MI);液体MDI(Mondur(登録商標)ML);液体MDI(Mondur(登録商標)MLQ)である。
【0180】
オレフィン複合体(例えば、ROMPポリマー複合体)の機械的特性を改善する接着促進剤は、いかなる濃度も、本発明に十分なものである。一般に、接着促進剤の好適な量は、0.001~50phr、具体的には0.05~10phr、より具体的には0.1~10phr、更により具体的には0.5~4.0phrの範囲である。1つ以上の接着促進剤を本発明で使用することができる。
【0181】
本発明での使用に好適な更なる接着促進剤は、式Fn-(A)n-Si(Y*)3の官能性シラン(式中、Y*は、ハライド(好ましくは、クロリド)又はORから選択され、Fnは、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、アルケン、シクロアルケン又はノルボルネンから選択される官能基であり、Aは、ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンから選択される二価結合基であり、nは、0又は1であり、Rは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、好ましくは、低級アルキル、より好ましくは、メチル、エチル又はイソプロピルから選択される)、並びにジアルキルペルオキシド及びジアリールペルオキシドから選択されるペルオキシドである。
【0182】
本発明で使用される更なる接着促進剤及びその使用方法には、国際出願PCT/US00/03002号に開示されているものが含まれる。本内容は、参照により本明細書に援用される。
【0183】
物品には、注型、遠心注型、引抜成形、成形、回転成形、開放成形、反応射出成形(RIM)、樹脂移送成形(RTM)、流し込み、真空含浸、表面被覆、フィラメント巻き取り、並びにポリマー物品及び/又はポリマー複合体物品の製造に有用である他の既知の方法を含む標準的な製造技術により形成されるものが含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の組成物及び製造品は、単一のポリマー表面界面に限定されず、複数のポリマー表面界面を含有する多層及び積層も含む。本発明は、多孔質材料中に樹脂を注入することによる物品の製造にも適している。このような多孔質材料には、木材、セメント、コンクリート、連続気泡網状発泡体及びスポンジ、紙、段ボール、フェルト、天然又は合成繊維のロープ又はブレード、並びに種々の焼結材料が含まれるが、これらに限定されない。加えて、他の製造技術には、限定するものではないが、セル注型、浸漬注型、連続注型、埋め込み、注封、封入成型、フィルム注型又は溶媒注型、ゲート注型、成形注型、スラッシ注型、押出、機械的発泡、化学的発泡、物理的発泡、圧縮成形又はマッチドダイ成形、吹付、スプレーアップ、真空補助樹脂移送成形(VARTM)、Seeman複合樹脂射出成形プロセス(SCRIMP)、吹込み成形、インモールドコーティング、成形型内塗装又は射出、真空形成、強化反応射出成形(RRIM)、構造反応射出成形(SRIM)、熱膨張移送成形(TERM)、樹脂射出再循環成形(RICM)、制御大気圧樹脂注入(CAPRI)、手積み成形が含まれる。限定するものではないが、RIM、SRIM及びRRIMを含む、RIM又は衝突型混合ヘッドの使用を必要とする製造技術では、製造品は、単一の混合ヘッド又は複数の混合ヘッド、及び複数の材料射出流(例えば、2つの樹脂流及び1つの触媒流)を使用して成形することができる。本発明では、前述の製造技術のいずれかを使用して、サイクルタイムを一層速くすることができ、また、成形温度をより高くすることができる(具体的には、90℃を超える成形温度)ので、混合の問題及び/又は封じ込まれたガスによって引き起こされる不具合を防ぐために、本発明のROMP組成物を高圧下又は真空下で成形する必要がある場合もある。
【0184】
更に、本発明はまた、任意の配置、重量、サイズ、厚さ又は幾何学的形状の製造品の作製も可能である。製造品の例には、限定するものではないが、航空宇宙用部品、船舶用部品、自動車部品、スポーツ用品用部品、電気部品及び工業用部品、医療用部品、歯科用部品又は軍事用部品として使用される任意の成形品又は造形品が挙げられる。一実施形態において、物品は、航空機又は一般的な発電に使用されるタービン部品であり得る。一実施形態において、タービン部品は、限定するものではないが、インレット、パイロン、パイロンフェアリング、防音パネル、逆スラスト装置パネル、ファンブレード、ファン収納ケース、バイパスダクト、空気力学的カウル又はエーロフォイル部品のうちの1つ以上を含み得る。一実施形態において、物品は、タービンブレード部品であってもよいし、タービンブレードであってもよい。一実施形態において、物品は、風回転ブレード、塔、スパーキャップ又は風力タービンのナセルであり得る。一実施形態において、物品は、機体部品であり得る。航空宇宙用部品の例には、限定するものではないが、胴体表面、翼、フェアリング、扉、点検用パネル、空力制御面又は補強材のうちの1つ以上を挙げることができる。一実施形態において、物品は、自動車部品であり得る。自動車部品の例には、限定するものではないが、車体パネル、フェンダー、スポイラー、トラックの荷台、保護プレート、フード、長軸方向レール、ピラー又は扉のうちの1つ以上を挙げることができる。工業用部品の例には、限定するものではないが、油及びガス用のライザープラットフォーム、衝突保護構造;橋梁、管、圧力容器、電柱、コイル、コンテナ、タンク、ライナー、格納容器、腐食環境(例えば、塩素アルカリ性、苛性、酸性、塩水など)に適用される物品、セントラライザー(例えば、油田用セントラライザー)、電解槽カバー、コンクリート建築物及び道路の強化構造、又はラジエータのうちの1つ以上を挙げることができる。電気部品の例には、限定するものではないが、コイル若しくは電気モーターなどの巻線物品又は絶縁装置のうちの1つ以上を挙げることができる。一実施形態において、物品は、磁気共鳴イメージングシステムの渦電流遮蔽部品又は任意の電磁放射線の遮蔽部品であり得る。一実施形態において、物品は、限定するものではないが、乗員若しくは車両の防弾装甲又は人員若しくは機器を保護する防弾構造を含む、軍事用部品であり得る。一実施形態において、物品は、限定するものではないが、矢柄、テニスラケットフレーム、ホッケースティック、化合弓のリム又はゴルフクラブシャフトを含む、スポーツ用品用部品であり得る。一実施形態において、物品は、オフショア用途に使用される物体であり得、この物体は、本発明のROMP組成物で少なくとも部分的にコーティングされている。この物体には、管、パイプライン、管継手、ホース、ホース継手、タンク、容器、ドラム、マニホールド、ライザー、現場継手、クリスマスツリーと称される構造(油田クリスマスツリー、海中クリスマスツリー)、ジャンパー、スプールピース、パイプライン終端部(PLET)と称される構造、パイプラインエンドマニホールド(PLEM)と称される構造、海中用途に使用されるロボット部品、装置及び乗物、海中ドッグハウスと称される構造、並びに他の海中構築物及び設備が含まれるが、これらに限定されない。オフショア用途の他の非限定的な例には、絶縁材料(例えば、断熱材)及び現場継手コーティング材料が挙げられる。
【0185】
好ましい実施形態において、本明細書で開示されるメタセシス反応は、乾燥した不活性雰囲気下で実施される。このような雰囲気は、窒素及びアルゴンなどのガスを含む、任意の不活性ガスを使用して作り出すことができる。不活性雰囲気の使用は、触媒活性を促進する観点から最適であり、不活性雰囲気下で実施される反応は、典型的に、比較的少ない触媒添加量で実施される。本明細書で開示される反応はまた、酸素含有雰囲気及び/又は水含有雰囲気下で実施することもでき、一実施形態において、反応は、周囲条件下で実施される。しかしながら、反応における酸素又は水の存在は、不活性雰囲気下で実施される反応と比較して、触媒添加量をより多く使用する必要がある場合がある。反応物の蒸気圧が許容される場合には、本明細書で開示される反応を減圧下で実施することもできる。
【0186】
本明細書で開示される反応は、溶媒中で実施することができ、クロスメタセシスに対して不活性である任意の溶媒を用いることができる。一般に、メタセシス反応に使用することができる溶媒には、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、脂肪族炭化水素、アルコール、水又はこれらの混合物などの有機、プロトン性又は水性の溶媒が含まれる。溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、メタノール、エタノール、水又はこれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態において、本明細書で開示される反応は、希釈せずに、すなわち溶媒を使用することなく実施される。
【0187】
本明細書に開示される方法によるメタセシス反応が実施される温度は、幅広い温度範囲にわたって必要に応じて調節できることが理解されよう。活性の高いメタセシス触媒では、オレフィンメタセシスは、-78℃もの低い温度で起こり得る。潜在性触媒では、潜在性であればあるほど、オレフィンメタセシスは、-40℃、-10℃、0℃、10℃、20℃、25℃、35℃、50℃、70℃、100℃又は150℃の温度まで観察されないこともある。一実施形態において、反応は、少なくとも約35℃の温度で実施され、別の実施形態では、反応は、少なくとも約50℃の温度で実施される。特定の実施形態において、室温に近い温度(例えば、約10~45℃、好ましくは、15~40℃、より好ましくは、20~35℃)で樹脂及び触媒をモールド又はプリフォームに充填し、次いで、ある期間にわたって、より高い温度(例えば、約50~200℃、好ましくは、70~150℃、より好ましくは、90~120℃)まで加熱すれば、より迅速に重合を完了させることができる。特定の実施形態において、モールド又はプリフォームを室温よりもかなり高い温度(例えば、約50~250℃、又は約50~200℃、又は約50~150℃、又は約40~80℃、又は約40~60℃、又は約60~80℃、又は約50~100℃、又は約100~150℃、又は約150~200℃)まで予め加熱しておき、次いで、樹脂及び触媒を素早く充填すれば、サイクルタイムを速くすることできる。
【0188】
実験
概説-材料及び方法
以下の実施例では、使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するように努めたが、いくらかの実験誤差及び偏差が考慮されるものとする。実施例は、本明細書に記載される本発明を限定するものとみなされるべきではない。
【0189】
金属錯体が関与する反応は全て、オーブンで乾燥させたガラス器具中で、アルゴン又は窒素雰囲気下、標準的なSchlenk法を使用して実施した。化学品及び溶媒は、Sigma-Aldrich、Strem、Alfa Aesar、Nexeo、Brenntag、AG Layne及びTCIから入手した。市販の試薬は、別途記載のない限り、受け取ったまま使用した。シリカゲルは、Fisher(0.040~0.063μm、EMD Millipore)から購入した。
【0190】
触媒出発材料C627(RuCl2(sIMes)(CHC6H4OPri))[CAS301224-40-8]、trans-748(trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(ピリジン))[CAS103126-76-6]、trans-C848(trans-RuCl2(sIMes)(CHPh)(PPh3))[CAS246047-72-3]、trans-727(trans-RuCl2(sIMes)(CHPh)(ピリジン)2)[CAS357186-58-4]、trans-C719v(trans-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(ピリジン)2)[CAS496869-36-4]、trans-C771(trans-RuCl2(sIMes)(CHPh)(P(n-Bu)3)[CAS388095-35-0]、trans-C835(trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PPh(Et)2)[CAS1403376-05-5]、trans-C827(RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(PCy3))[CAS253688-91-4]及びtrans-C705(RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(ピリジン)2)[CAS507274-22-8]を既知の方法を使用して調製した。
【0191】
Ultrene(登録商標)99ジシクロペンタジエン(DCPD)は、Cymetech Corporationから入手した。20~25%トリシクロペンタジエン(及び少量の高次シクロペンタジエン同族体)を含有する変性DCPDベース樹脂(DCPD-HT)は、概ね米国特許第4,899,005号に記載のとおりにUltrene(登録商標)99DCPDを熱処理することによって調製した。
【0192】
1H及び13C NMRスペクトルは、Varian 400MHz分光計で記録した。ケミカルシフトは、内部標準として残留溶媒ピーク(CDCl3-(δ7.24ppm;CD2Cl2-(δ5.32ppm)を用いて、Me4Siから低磁場側をppm単位で報告する。31P NMRは、同軸NMRチューブで、標準としてトリフェニルホスフィンのC6D6溶液を使用した(δ-6.0ppm)。スペクトルは、Vnmr J 4.0ソフトウェアを使用して解析及び処理した。
【0193】
実施例では、以下の略称を用いる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【実施例】
【0194】
【0195】
trans-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))、trans-C843:磁気攪拌子を入れた1口丸底フラスコで、窒素下、脱気したDCM(25mL)中にC627(1.0g、1.59mmol)を溶解し、これにジフェニル亜ホスフィン酸メチル(0.379g、1.75mmol)を加えた。ガスアダプターでフラスコに栓をした。混合物をN2/真空サイクルで3回脱気した。室温で1時間攪拌した後、溶媒を高真空下で除去した。この残渣に脱気したメタノール(75mL)を加えた。真空濾過でフリットファンネルにより紫色の固体を回収した。固体を更に高真空下で16時間乾燥させた。収率:0.7g(69%)。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ19.60(s,Ru=CH,1H),7.95(dd,J=8Hz,J=2Hz,1H),7.22-6.80(b,13H),6.66(b,1H),6.44(d,J=8Hz,1H),6.25(t,J=8Hz,1H),6.02(b,1H),4.42(septet,J=6Hz,OCHMe2,1H),4.13-3.78(b,NCH2CH2N,4H),3.11(d,J=7Hz,OCH3,3H),2.72(b,3H),2.58(b,3H),2.52(b,3H),2.30(s,3H),2.03(b,3H),1.85(s,3H),1.49(b,3H),1.29(b,3H).31P NMR(162MHz,CDCl3):δ135.7(s)。
【0196】
【0197】
cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(Ph2P(OMe))、cis-C843:1口丸底フラスコで、窒素下、脱気したCH2Cl2(200mL)中にC627(35.0g、56mmol)を溶解し、これにジフェニル亜ホスフィン酸メチル(50g、231mmol)をシリンジ注入した。フラスコをフリードリッヒ冷却器に連結し、フリードリッヒ冷却器に真空/窒素ラインを取り付けた。混合物を真空/窒素により3回脱気した。油浴を使用してフラスコを加熱した。油浴温度は、40時間、50℃に維持し、次いで、室温まで冷却した。溶媒を高真空下で除去した。残渣を最小量のCH2Cl2中に溶解し、SiO2ゲルカラム(D×H:4×3インチ)の上部にロードし、CH2Cl2で溶出した。カラム上に付着した赤色のバンドをメタノールですすいだ。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、緑色の固体を得た。この固体をCH2Cl2/ヘキサンからの再結晶により更に精製した。収率:15g(32%)。1H NMR(400MHz,C6D6,ppm):δ16.45(d,J=24Hz,Ru=CH,1H),10.11(dd,J=8Hz,J=2Hz,1H),7.55(t,J=9Hz,2H),7.20(ddd,J=9Hz,J=7Hz,J=2Hz,1H),7.00(m,3H),6.87(dt,J=2Hz,J=8Hz,2H),6.79(t,J=8Hz,1H),6.75-6.65(m,3H),6.61(d,J=10Hz),6.20(m,2H),4.11(septet,J=6Hz,-OCHMe2,1H),3.50-3.06(m,4H),3.38(d,J=10Hz,-OCH3,3H),2.92(s,3H),2.51(s,3H),2.45(s,3H),2.33(s,3H),1.95(s,3H),1.91(s,3H),1.25(d,J=6Hz,3H,OCH(CH3)(CH3),3H),0.97(d,J=6Hz,3H,OCH(CH3)(CH3),3H).31P NMR(162MHz,C6D6,ppm):δ140.9(b)。
【0198】
【0199】
cis-RuCl2(sIMes)(CHC6H4Oi-Pr)(PhP(OMe)2)、cis-C797:丸底フラスコに、窒素下で、C627(15.0g)、脱気したCH2Cl2(100mL)及び磁気攪拌子を入れ、続いて、亜ホスホン酸エステルPhP(OMe)2(4.1g)を加えた。この溶液を3.7時間攪拌し、亜ホスホン酸エステルPhP(OMe)2の第2部分(2.05g)を加えた。溶液を更に2時間攪拌し続け、その後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。シリカゲルプラグカラム(D×H:4×2.5インチ)を予めCH2Cl2で湿らせた。溶出を助けるために、低真空吸引を用いた。粗製物をカラムの上部にロードした。最初の溶離液はCH2Cl2とし、緑色の画分を回収した。これは、NMRで確認したところ、C627であった。緑色の画分に続く黄色の画分は、ホスホニットの酸化誘導体であるようであった。次いで、溶離液をCH2Cl2/EtOAcのグラジエント混合物に変えた。生成物を含有する褐色のバンドを回収した。溶媒をロータリーエバポレーターにより除去し、残渣をCH2Cl2/ヘプタンから再結晶した。黒色の結晶性固体を得た(3.1g)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ15.83(d,J=24Hz,1H,Ru=CH),9.16(dd,J=8Hz,J=2Hz,1H),7.51(m,1H),7.25(m,1H),7.15(m,2H),7.02-6.88(m,5H),6.66(s,1H),6.61(d,J=8Hz,1H),6.14(s,1H),4.49(septet,J=6Hz,1H,CHMe2),4.02-3.62(m,4H,CH2CH2),3.33(d,J=11Hz,3H,OCH3),3.05(d,J=12Hz,OCH3),2.67(s,3H,メシチルメチル),2.62(s,3H,メシチルメチル),2.46(s,3H,メシチルメチル),2.33(s,3H,メシチルメチル),2.22(s,3H,メシチルメチル),1.95(s,3H,メシチルメチル),1.46(d,J=6Hz,3H,CH(CH3)2),1.19(d,J=6Hz,3H,CH(CH3)2).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ163.84(b)。
【0200】
【0201】
trans-RuCl2(sIMes)(CHPh)(Ph2P(OMe))、trans-C785:丸底フラスコで、窒素下、脱気したCH2Cl2(50mL)中にtrans-C727(4.35g、6.0mmol)を磁気攪拌子で溶解した。ガスアダプターでフラスコに栓をした。窒素流下、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル(2.6g、12mmol)をフラスコにシリンジ注入した。緑色の溶液が直ちに褐色に変わった。これを室温で1時間攪拌し続けた。軽量物を高真空下で除去し、黒色の油状物と褐色の結晶性物質の混合物を得た。フラスコを液体窒素で冷却し、得られた固体をスパチュラで細かく砕いた。ヘキサン(50mL)を加え、溶媒をロータリーエバポレーターで減少させた。真空濾過でフリットファンネルにより淡紅色の固体を回収し、ヘキサンで2回洗浄した(2×25mL)。固体を高真空下で16時間乾燥させた。収率:2.91g(62%)。1H NMR(400MHz,C6D6,ppm):δ19.33(s,1H,Ru=CH),7.86(d,J=8Hz,2H),7.33(m,4H),7.13(t,J=8Hz,1H),7.10-6.88(m,6H),6.83(s,2H),6.80(m,2H),6.32(s,2H),3.46-3.38(m,2H),3.34-3.25(m,2H),3.29(d,J=12Hz,3H),2.79(s,6H),2.39(s,6H),2.17(s,3H),1.90(s,3H).31P NMR(162MHz,C6D6,ppm):δ132.5(s)。
【0202】
【0203】
cis-RuCl2(sIMes)(CHPh)(Ph2P(OMe))、cis-C785:1口丸底フラスコで、窒素下、1,2-ジクロロエタン(50mL)中にtrans-C848(10.0g、11.8mmol)を磁気攪拌子で溶解した。ジフェニル亜ホスフィン酸メチル(5.1g、23.6mmol)をシリンジを介して加えた。フラスコにガスアダプターを接続し、次いで、N2/真空サイクルで3回脱気した。フラスコに窒素ラインを接続し、油浴中、70℃まで加熱した。加熱を16時間続けた。油浴を外し、フラスコを室温まで冷却した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣にCH2Cl2を加え、ヘキサンを加えた(それぞれ100mL)。ロータリーエバポレーターにより溶媒を半分にまで減らすと、固体が現れた。この固体を真空濾過によりフリットファンネル中に回収した。固体をCH2Cl2/メタノールから再結晶させ、高真空下で16時間乾燥させると、青みがかった灰色の固体が得られた(7.0g)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ15.41(d,J=25Hz,1H,Ru=CH),7.45-6.95(m,17H),6.65(s,1H),6.10(s,1H),4.04-3.90(m,3H),3.74-3.66(m,1H),3.59(d,J=10Hz,3H,P(OCH3)),2.77(s,3H,ArCH3),2.69(s,3H,ArCH3),2.39(s,3H,ArCH3),2.37(s,3H,ArCH3),2.11(s,3H,ArCH3),1.95(s,3H,ArCH3).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ132.32,132.30。
【0204】
【0205】
trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)、trans-C139:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、N2下で、trans-C727(14.54g、20mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(100mL)を加えた。亜ホスホン酸エステルPhP(OMe)2(3.74g、22mmol)を加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で15分間攪拌した。溶媒を高真空下で除去して、粗固体を得た。この粗固体をCH2Cl2中に溶解し、シリカゲルプラグ(D×H:4”×3”)に通した。最初の画分をCH2Cl2で溶出し、2番目の画分をEtOAcで溶出した。最初の画分をロータリーエバポレーターで濃縮してスラリーにし、これを濾過し、ヘプタンで洗浄して、黄色がかった褐色の固体を得た(4.9g)。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ18.81(s,1H),765-7.63(m,2H),7.37-7.41(m,1H),7.21-7.17(m,1H),7.01-6.96(m,6H),6.85(s,2H),6.35(s,2H),4.07-4.05(m,2H),3.94-3.92(m,2H),3.13(d,J=12Hz,6H,P(OCH3)2),2.59(s,6H),2.25(s,3H),2.18(s,6H),1.99(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ157.04(s)。
【0206】
【0207】
cis-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)、cis-C739:(上記のtrans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(PhP(OMe)2)、trans-C739を参照)2番目の画分をロータリー消散部(rotary evaporation)で濃縮してスラリーにし、これを濾過し、ヘプタンで洗浄して、青紫色の固体を得た(2.2g)。この粗固体を、脱気したCH2Cl2(10mL)中に溶解し、続いて、脱気したヘプタン(100mL)で沈殿させた。青紫色の結晶性物質が形成され、これを濾過し、ヘプタンで洗浄して、高真空下で乾燥させた。収率:1.9g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ15.24(d,J=22.7Hz,1H),7.81-7.79(m,2H),7.48-7.44(m,1H),7.22-7.18(m,2H),7.17-7.13(m,1H),7.05-7.01(m,2H),6.98-6.96(m,2H),6.94-6.89(m,2H),6.86(s,1H),6.12(s,1H),4.00-3.94(m,1H),3.92-3.85(m,2H),3.73-3.69(m,1H),3.33(d,J=11Hz,3H),3.08(d,J=11Hz,3H),2.68(s,3H),2.62(s,3H),2.55(s,3H),2.31(s,3H),2.10(s,3H),2.05(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ158.40(s)。
【0208】
【0209】
trans-RuCl2(sIMes)(ベンジリデン)(Ph2P(OPh))、trans-C847:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C727(7.27g、10mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(50mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(OPh)(3.06g、11mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で15分間攪拌した。溶媒を高真空下で除去した。脱気したトルエン(50mL)を加え、反応容器を空にし、N2(3×)を充填し直した。溶媒を高真空下で除去した。粗製物質をCH2Cl2中に溶解し、シリカゲルプラグ(D×H:3”×1”)に通した。シリカゲルプラグをCH2Cl2で洗浄し、有機物質を濃縮し、ヘプタン(50mL)を加えると、黒色の油状物と上澄みが得られた。上澄みを静置すると、固体が現れた。この固体を濾過し、ヘプタンで洗浄して、褐色の固体を得た(0.7g)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ18.80(s,1H),7.71(m,2H),7.44(m,1H),7.27(m,2H),7.13-7.02(m,10H),6.92(s,2H),6.85(m,2H),6.78(m,1H),6.44(m,2H),6.38(s,2H),4.10-4.03(m,2H),3.96-3.90(m,2H),2.58(s,6H),2.37(s,3H),2.22(s,6H),2.00(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ134.58(s)。
【0210】
【0211】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OMe))、trans-C885:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C748・2Py(9.06g、10mmol)を入れ、これにヘプタン(150mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(OMe)をシリンジを介して加えた。1時間攪拌すると、懸濁液が次第に赤色になった。真空濾過でフリットファンネルを使用して紫色の固体を回収した。次いで、固体を高真空下で2時間乾燥させた。収率:8.6g。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ8.09(d,J=7Hz,1H),7.60(m,2H),7.54(m,1H),7.41(m,2H),7.32-6.98(m,14H),6.61(s,1H),6.44(b,1H),6.08(b,1H),4.16-3.80(m,4H),3.23(d,J=12Hz,3H),2.72(s,6H),2.43(s,3H),2.20(s,3H),2.05(s,3H),1.83(s,3H).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ122.1(s)。
【0212】
実施例10
【化76】
cis-RuCl
2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph
2P(OMe))、cis-C885:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C748・2Py(27.18g、30mmol)を入れ、これに脱気したヘプタン(500mL)を加えた。ホスフィニットPh
2P(OMe)(6.8g、31.5mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N
2(3×)で再充填した。混合物を、N
2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。未溶解の出発物質がいくらかあったため、脱気したCH
2Cl
2(250mL)を加え、全ての固体を溶解した。この溶液をシリカプラグ(D×H:2.5”×1.5”)に通し、CH
2Cl
2を使用して溶出し、最初の赤色のバンドの物質を取り出した。これは、trans-C885であった。次いで、EtOAcを溶離液として使用して2番目のバンドを取り出した。これを濃縮して、濾過し、cis-C885の褐色結晶を得た(8.49g)。
1H NMR(400MHz,CD
2Cl
2,ppm):δ8.78(dd,J=8Hz,J=1Hz,1H),7.52-7.24(m,8H),7.13-6.89(m,9H),6.75(m,2H),6.43(s,1H),6.40(s,1H),6.24(s,1H),6.11(s,1H),3.98-3.63(m,4H),3.66(d,J=10Hz,3H),2.79(s,3H),2.56(s,3H),2.54(s,3H),2.21(s,3H),1.95(s,3H),1.66(s,3H).
31P NMR(161.8MHz,CD
2Cl
2,ppm):δ133.3(s)
【0213】
実施例11
cis-C885のtrans-C885への異性化
【化77】
【0214】
NMRチューブ内で、Cis-C885(50mg)を0.5mLのCD
2Cl
2で溶解した。異性化をNMRでモニタリングした(
図1、図中、C885Bはcis-C885であり、C885Aはtrans-C885である)。
【0215】
【0216】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))、trans-C947:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C748・2Py(90.6g、100mmol)を入れ、これに脱気したトルエン(1L)を加えた。ホスフィニットPh2P(OPh)(30.58g、110mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。溶媒を高真空下で除去した。脱気したCH2Cl2(1L)を加え、反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。溶媒を高真空下で除去し、固体をフラスコ内に2日間静置した。脱気したメタノールを加え、沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄した。粗固体を高真空下で乾燥させた。この粗固体をCH2Cl2中に溶解し、シリカプラグ(D×H:3”×1”)に通して濾過した。このプラグをCH2Cl2(500mL)で洗浄した。合わせた有機溶出液を半分の体積まで濃縮し、脱気したヘプタン(500mL)を加えた。次いで、この溶液を高真空下で更に減少させてスラリーを得、これを濾過し、ヘプタンで洗浄した。固体を高真空下で乾燥させて、trans-C947を得た(67g)。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ8.18(d,J=7.4Hz,1H),7.58-7.56(m,2H),7.51-7.47(m,1H),7.37-7.33(m,2H),7.24-7.15(m,7H),7.03-6.94(m,8H),6.78-6.74(m,2H),6.71(s,1H),6.66-6.62(m,1H),6.55-6.53(m,2H),6.43(s,1H),6.07(s,1H),4.07-4.13(m,2H),3.82-3.95(m,2H),2.70(s,3H),2.66(s,3H),2.40(s,3H),2.25(s,3H),2.01(s,3H)1.80(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ126.58(s)。
【0217】
【0218】
cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))、cis-C947:(上記のtrans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(OPh))、trans-C947を参照)。次いで、trans-C947合成からのシリカゲルプラグを酢酸エチルで洗浄し、2番目のバンドを取り出した。これは、cis生成物であった。溶出液を高真空下で濃縮して、褐色の結晶を得た。スラリーを濾過し、濾液を濃縮して、cis生成物を褐色の結晶として得た。この結晶をEtOAcで洗浄し、16時間、高真空下に維持した。収率:15.0g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ9.11(d,J=0.8Hz,1H),7.59-7.55(m,2H),7.49-7.45(m,1H),7.36-7.27(m,5H),7.22-7.18(m,2H),7.12-7.04(m,3H),7.03-6.99(m,3H),6.88-6.86(m,1H),6.82(s,1H),6.67-6.64(m,4H),6.37-6.35(m,2H),6.26(m,2H),6.23(s,1H),6.07(s,1H),3.96-3.93(m,1H),3.74-3.64(m,3H),2.77(s,3H),2.66(s,3H),2.29(s,3H),2.12(s,3H),2.00(s,3H),1.58(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ137.68(s)。
【0219】
溶液中でのC947のcis-trans異性化
【化80】
【0220】
溶液調製。適切な量のアントラセン(約5mg)を1mLのCD
2Cl
2又は1mLのC
6D
6のいずれか中に溶解した。アントラセンが完全に溶解したら、溶液を、適切な量の触媒(約20mg)を含有するバイアルに移した。触媒の溶解化を超音波処理により促進した。風袋計量済みの0.2μmのPTFEメンブレンフィルター(PALL Acrodisc CR 25mm)に触媒/アントラセン溶液を通した。不溶物の質量を求めるために、メンブレンフィルターを高真空下に保持し乾燥させた。濾過溶液は、空気中で、NMRチューブ中に入れ(C
6D
6の場合0.9mL、CD
2Cl
2の場合0.8mL)、栓をし、周囲温度で静置した。これらの試料から
1H NMRスペクトルを得た。
1H-NMR分光法:
1H NMRスペクトルは、Varian分光計を使用して400MHzで操作することにより収集した。スペクトルは、周囲温度で収集し、重水素化溶媒の残留
1Hシグナル:ジクロロメタン5.32及びベンゼン7.16を標準にして、δ(百万分率)を記録した。
1Hパルスは、5.95μs、収集時間は2.55s、緩和待ち時間は1.0sであった。
1Hスペクトルごとに、16個のトランジェントが収集された。
1H NMR FIDデータを指数1Hzのアポダイゼーションにかけてからフーリエ変換した(実部32K+虚部)。cis-クロリド又はtrans-クロリドを保持するルテニウム触媒の相対量は、3-フェニルインデニリデンの2位からのシグナルを積分することによって決定した。溶液中の全ルテニウム触媒は、内部標準のアントラセンの9,10位(2H)のシグナルの積分と比較して、3-フェニルインデニリデンの2位のcis-クロリドとtrans-クロリドの積分の合計によって決定した。
結果
溶解度。アントラセンは、CD
2Cl
2及びC
6D
6中に完全に可溶であった。trans-C947及びcis-C947は、CD
2Cl
2にほぼ完全に可溶であったが、C
6D
6中では、cis-C947のほうがtrans-C947よりも溶解性が低かった(表1)。PTFEメンブレンフィルターから残留溶媒を完全に除去することは不可能であった。また、表1中の測定された残留質量の一部は、この残留溶媒の蒸発の結果である。
【表2】
C
6D
6中のtrans-C947。3-フェニルインデニリデンの2位からのシグナルは、δ8.79(d,J=7.6Hz,1H)のダブレットである。このシグナルを積分し、δ8.15(s,2H)のアントラセンのシグナルと比較した。cis-C947を示す新しいダブレットは、実験中、検出されなかった(
図2)。
C
6D
6中のcis-C947。3-フェニルインデニリデンの2位からのシグナルは、δ9.94(d,J=7.4Hz,1H)のダブレットである。このシグナルを積分し、δ8.15(s,2H)のアントラセンのシグナルと比較した。実験が進むにつれ、trans-C947を示す新しいダブレットがδ8.79(d,J=7.4Hz,1H)に現れた(
図2)。
CD
2Cl
2中のtrans-C947。3-フェニルインデニリデンの2位からのシグナルは、δ8.18(d,J=7.5Hz,1H)のダブレットである。このシグナルを積分し、δ8.45(s,2H)のアントラセンのシグナルと比較した。実験が進むにつれ、cis-C947を示す新しいダブレットがδ9.00(d,J=7.5Hz,1H)に徐々に現れた(
図2)。
CD
2Cl
2中のcis-C947。3-フェニルインデニリデンの2位からのシグナルは、δ9.00(d,J=7.5Hz,1H)のダブレットである。このシグナルを積分し、δ8.15(s,2H)のアントラセンのシグナルと比較した。実験が進むにつれ、trans-C947を示す新しいダブレットがδ8.17(d,J=7.5Hz,1H)に現れた(
図2)。
【0221】
【0222】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))、trans-C977:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、N2下で、trans-C748・2Py(9.06g、10mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(100mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(O-p-PhOMe)(3.39g、11mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で15分間攪拌した。溶媒を高真空下で除去した。脱気したトルエン(100mL)を加え、溶媒を高真空下で除去した。2回目として、脱気したトルエン(100mL)を加え、溶媒を高真空下で除去した。得られた粗製物質をCH2Cl2(50mL)/ヘプタン(50mL)中で再結晶させようとしたが、黒色の油状物が生じた。上澄みをデカントし、油状物をEtOAc(50mL)/ヘプタン(50mL)で処理して、黒色の固体粉末を得た。この固体を回収し、CH2Cl2(500mL)中に溶解し、シリカゲルプラグ(D×H:2”×2”)に通した。このシリアゲルプラグをCH2Cl2(500mL)で洗浄した。CH2Cl2溶出液及び洗浄液を合わせて、高真空下で濃縮した。粗残渣をCH2Cl2/ヘプタンで再結晶させようとしたが、黒色の油状物が生じた。上澄み液を破棄し、油状物を高真空下に置いて、黒色の泡状固体を得た。収率:5.1g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ8.13(d,J=8Hz,1H),7.55(m,2H),7.48(m,1H),7.34(m,2H),7.25-7.10(m,7H),7.06-6.92(m,8H),6.71(s,1H),6.41(m,3H),6.24(m,2H),6.05(s,1H),4.12-4.04(m,2H),3.94-3.80(m,2H),3.47(s,3H),2.66(s,3H),2.64(s,3H),2.38(s,3H),2.23(s,3H),1.99(s,3H),1.78(s,3H).31P NMR(161.8MHz,CDCl3,ppm):δ127.30(s)。
【0223】
【0224】
cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-p-C6H4OMe))、cis-C977:泡状固体(trans-C977、5.0g)をDCM(500mL)中に溶解し、シリカゲルプラグ(D×H:3”×2”)に通した。このプラグをCH2Cl2で洗浄した。最初の薄赤色の画分(trans-C977)を破棄し、2番目の暗褐色の画分を保持した。溶離液をEtOAcに変え、3番目の画分を回収した。2番目及び3番目の画分を合わせて、溶媒を高真空下で除去した。メタノールを加え、固体を洗浄し、スラリーを濾過した。固体を回収し、CH2Cl2/メタノールで更に結晶化して、cis-C977を薄紫色の固体として得た。収率:2.3g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ9.10(d,J=7Hz,1H),7.57-7.53(m,2H),7.49-7.45(m,1H),7.37-7.32(m,4H),7.30-7.27(m,1H),7.23-7.19(m,2H),7.11-7.04(m,3H),6.89-6.87(m,1H),6.82(br s,1H),6.68-6.65(m,4H),6.53-6.51(m,2H),6.29-6.26(m,4H),6.23(s,1H),6.08(s,1H),3.98-3.95(m,1H),3.75-3.68(m,6H),2.77(s,3H),2.65(s,3H),2.30(s,3H),2.13(s,3H),2.00(s,3H),1.58(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ136.97(s)。
【0225】
【0226】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))、trans-C913:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、N2下で、trans-C748・2Py(25g、27.6mmol)を入れ、これに脱気したヘプタン(400mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(O-i-Pr)(7.4g、30.4mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。更なるホスフィニットPh2P(OiPr)(2.0g、8mmol)を加えた。反応物を周囲温度(20~25℃)で16時間攪拌した。スラリーを濾過し、ヘプタンで洗浄した。固体を脱気したCH2Cl2(250mL)中に溶解し、水浴を用いて、高真空下、周囲温度で溶媒を減少させた。ヘプタン(100mL)を加え、続いて、溶媒を高真空下で減少させた。フラスコの底部に黒色の油状物が生じた。上澄み液を除去し、CH2Cl2(100mL)を黒色の油状物に加え、溶媒を高真空下で減少させた。ヘプタン(50mL)を再度加えると、フラスコの底部に黒色の油状物が生じた。上澄み液を除去し、脱気したCH2Cl2(200mL)中に黒色の油状物を溶解した。この溶液をシリカプラグ(D×H:2”×1”)に通して濾過した。CH2Cl2を溶離液として使用し、最初の画分を濃縮乾固した。得られた固体を粉砕し、ふるいにかけて、trans異性体を暗赤色の固体として得た(15.7g)。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ7.94(d,J=8Hz,1H),7.60-7.53(m,2H),7.49(m,1H),7.35(m,2H),7.23-6.90(m,15H),6.59(s,1H),6.40(s,1H),6.04(s,1H),4.17-4.02(m,3H),3.91-3.75(m,2H),2.71(s,6H),2.04(s,3H),2.16(s,3H),2.02(s,3H),1.82(s,3H),0.91(d,J=6Hz,3H),0.83(d,J=6Hz,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ115.28(s)。
【0227】
【0228】
cis-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))、cis-C913:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C913(2.0g)を入れ、これに脱気したメタノール(250mL)を加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で16時間攪拌した。溶媒を高真空下で除去した。粗固体をCH2Cl2中に溶解し、シリカプラグ(D×H:4”×3”)に通して濾過した。最初の画分をCH2Cl2で溶出し、2番目の画分をEtOAcで溶出した。2番目の画分を濃縮乾固し、得られた固体をメタノールで洗浄した(2×100mL)。黒褐色の結晶性物質が生じ、この固体を濾過し、乾燥させて、cis異性体を得た。収率:0.7g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ9.02(d,J=7Hz,1H),7.57-7.55(m,2H),7.49(m,2H),7.44-7.36(m,2H),7.35-7.28(m,4H),7.12-7.06(m,2H),7.02-6.98(m,1H),6.92-6.85(m,1H),6.72-6.67(m,3H),6.64-6.58(m,3H),6.51(s,1H),6.22(s,2H),4.56-4.49(m,1H),3.98-3.93(m,1H),3.74-3.60(m,3H),2.70(s,3H),2.60(s,3H),2.57(s,3H),2.10(s,3H),1.96(s,3H),1.69(s,3H),1.48(d,J=6Hz,3H),0.62(d,J=6Hz,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ129.24(s)。
【0229】
【0230】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OMe)2)、trans-C834:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C748・2Py(20g、22mmol)を入れ、これに脱気したヘプタン(400mL)を加えた。亜ホスホン酸エステルPhP(OMe)2(4.1g、24.2mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。スラリーを、N2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体をCH2Cl2及びヘプタンから再結晶させて、紫色の固体を得た(15.8g)。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ8.19(d,J=8Hz,1H),7.62-7.59(m,2H),7.49-7.47(m,1H),7.38-7.34(m,2H),7.20-7.13(m,4H),7.05-7.00(m,3H),6.98-6.96(m,1H),6.89(s,1H),6.85(s,1H),6.75(s,1H),6.42(s,1H),6.07(s,1H),4.12-4.06(m,2H),3.87-3.81(m,2H),3.23-3.12(m,6H),2.65(s,6H),2.25(s,3H),2.22(s,3H),1.98(s,3H),1.77(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ148.60(s)。
【0231】
【0232】
trans-RuCl2(sIMes)(フェニルインデニリデン)(PhP(OPh)2)、trans-C963:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコ内にtrans-C748・2Py(20.0g、22.1mmol)を入れ、N2をスパージングしたトルエン(25mL)中に溶解した。フェニル亜ホスフィン酸ジフェニル((OPh)2PhP、7.15g、24.3mmol、1.1当量)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度で1時間攪拌した。溶媒を反応物から高真空下で除去した。反応物に50mLのCH2Cl2を加えた。フラスコを少しの間攪拌し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を高真空下で週末にかけて乾燥させた。固体をCH2Cl2及びMeOH中に懸濁し、少しの間攪拌し、溶媒を減圧下にて除去した。得られた残渣をCH2Cl2中に溶解し、シリカプラグに入れた。溶出は、無色になるまで、CH2Cl2を添加することより実施した。CH2Cl2溶液を減圧下で濃縮し、ヘキサンを加えた。更に濃縮するとスラリーが得られた。これを濾過し、ヘキサンで洗浄した。黒褐色の固体を高真空下で一晩乾燥させて、15.51g(73%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.28(dd,J=7.4,1.2Hz,1H),7.72-7.66(m,2H),7.61-7.57(m,2H),7.49(tt,J=7.5,1.2Hz,1H),7.41-7.31(m,3H),7.25-7.17(m,2H),7.12(td,J=7.4,1.3Hz,1H),7.05(td,J=7.5,1.2Hz,1H),6.98-6.77(m,9H),6.75(s,1H),6.69(s,1H),6.67-6.56(m,3H),6.35(s,1H),6.06(s,1H),4.08-3.91(m,2H),3.90-3.70(m,2H),2.57(s,3H),2.54(s,3H),2.26(s,3H),2.17(s,3H),1.96(s,3H),1.74(s,3H).31P NMR(162MHz,CDCl3)δ151.47。
【0233】
【0234】
cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(OMe))、cis-C777:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C719v(5.0g、7.0mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(40mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(OMe)(2.26g、10.5mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で60分間攪拌すると、黄色の結晶性固体が得られた。粗製物質を濾過し、ヘプタンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、黄色の粗固体(3.6g)を得た。黄色の粗固体(1.6g)を脱気したCH2Cl2(200mL)中に溶解し、セライトに通して濾過した。濾液を高真空下で濃縮し、得られた固体をCH2Cl2/ヘプタンで再結晶させた。この結晶を濾過し、ヘプタンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、黄色の固体を得た。収率:1.3g。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ7.46-7.41(m,1H),7.39-7.28(m,5H),7.18-7.14(m,3H),7.00(s,1H),6.95(s,1H),6.90-6.85(m,2H),6.64(s,1H),4.06-3.85(m,4H),3.35(d,J=11Hz,3H),2.80(s,3H),2.77(s,3H)2.40(s,6H),2.33(s,3H),2.09(s,3H),1.93(d,J=5Hz,1H),0.33(s,9H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ135.15(s)。
【0235】
【0236】
cis-RuCl2(sIMes)(t-ブチルビニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))、cis-C805v:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、N2下で、trans-C719v(5.0g、7.0mmol)を入れ、これに脱気し乾燥させたトルエン(30mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(O-i-Pr)(1.9g、7.7mmol)をシリンジを介して加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。固体が溶解しなかったので、脱気したCH2Cl2(10mL)を加えた。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で60分間攪拌すると、柔毛性の固体が得られた。粗製物質を濾過し、ヘプタンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、粗固体を得た。濾液を高真空下で濃縮して固体を得、これをヘプタンで洗浄した。粗固体を合わせて脱気したCH2Cl2(20mL)で処理し、反応容器を空にし、N2(3×)を充填し直した。いくらかの更なるPPh2(O-i-Pr)(0.8g)を加え、反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で60分間攪拌した。この物質を高真空下で濃縮し、得られた粗生成物をCH2Cl2/ヘプタンで再結晶させて、粉末を得た。その後、この粉末をCH2Cl2/メタノールで再結晶させて、微晶質固体を得た。収率:3.5g。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ7.58-7.53(m,2H),7.34-7.26(m,4H),7.12(s,1H),7.08-7.06(m,2H),6.95(s,2H),6.92-6.79(m,2H),6.65(s,1H),4.26-4.22(m,1H),4.12-4.06(m,1H),4.01-3.93(m,2H),3.81-3.76(m,1H),2.85(s,3H),2.81(s,3H),2.39-2.34(m,12H),1.95(d,J=5Hz,1H),1.27(d,J=6Hz,3H),0.52(d,J=6Hz,3H),0.39(s,9H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ130.17(s)。
【0237】
【0238】
trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(O-i-Pr))、trans-C791:アルゴンを充填したグローブボックス内で、磁気攪拌子を備えた40mLのシンチレーションバイアルにC705(2.00g、2.84mmol)及びジクロロメタン(15mL)を入れた。この攪拌溶液に、ジクロロメタン(5mL)中のホスフィニットPh2P(O-i-Pr)(0.693g、2.84mmol)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌し、次いで、揮発成分を除去した。得られた残渣をジクロロメタン/ペンタンから室温で再結晶させ、trans-C791を得た(1.49g、66.1%、純度>95%)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ18.43(d,J=11.2Hz,1H),7.30-7.08(m,10H),6.90(s,2H),6.84-6.79(m,1H),6.77(s,2H),4.04-3.85(m,4H),3.83-3.71(m,1H),2.56(s,6H),2.35(s,6H),2.32(s,3H),2.23(s,3H),1.12(s,3H),0.98(s,3H),0.95(d,J=6.0Hz,6H).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ126.6(s)。
【0239】
【0240】
trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OMe))、trans-C763:アルゴンを充填したグローブボックス内で、磁気攪拌子を備えた40mLのシンチレーションバイアルにC705(2.00g、2.84mmol)及びジクロロメタン(15mL)を入れた。この攪拌溶液に、ジクロロメタン(5mL)中のホスフィニットPh2P(OMe)(0.556mL、2.84mmol)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌し、次いで、揮発成分を除去した。得られた残渣をジクロロメタン/ペンタンから室温で再結晶させ、trans-C763を得た(1.35g、62.2%、純度>95%)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ18.37(d,J=11.2Hz,1H),7.36-7.29(m,2H),7.27-7.15(m,8H),7.06-7.00(m,1H),6.88(s,2H),6.79(s,2H),4.13-3.87(m,4H),3.15(d,J=12.8Hz,3H),2.56(s,6H),2.37(s,6H),2.32(s,3H),2.24(s,3H),1.10(s,3H),1.03(s,3H).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ134.4(s)。
【0241】
【0242】
trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OEt))、trans-C777:アルゴンを充填したグローブボックス内で、磁気攪拌子を備えた40mLのシンチレーションバイアルにC705(2.00g、2.84mmol)及びジクロロメタン(15mL)を入れた。この攪拌溶液に、ジクロロメタン(5mL)中のホスフィニットPh2P(OEt)(0.607mL、2.84mmol)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌し、次いで、揮発成分を除去した。得られた残渣をトルエン/ペンタンから-35℃で再結晶させ、trans-C777を得た(1.48g、67.2%、純度>95%)。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ18.39(d,J=11.2Hz,1H),7.34-7.26(m,2H),7.24-7.14(m,8H),7.03-6.95(m,1H),6.89(s,2H),6.79(s,2H),4.08-3.88(m,4H),3.36(pseudo pentet,J=6.9Hz,2H),2.56(s,6H),2.36(s,6H),2.32(s,3H),2.24(s,3H),1.11(s,3H),1.07(t,J=6.9Hz,3H),1.03(s,3H).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ129.8(s)。
【0243】
【0244】
trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(PhP(OMe)2)、trans-C717:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、窒素下で、trans-C705(28.7g、40.1mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(500mL)を加えた。亜ホスホン酸エステルPhP(OMe)2(10.3g、61mmol)を加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で60分間攪拌した。溶媒を高真空下で除去して、粗固体を得た。この粗固体をCH2Cl2(50mL)中に溶解し、シリカゲルプラグ(D×H:2”×1”)に通した。生成物の画分をCH2Cl2(200mL)で溶出した。ヘプタン(200mL)を加え、溶液を濃縮して、黒色の油状物を得た。この黒色の油状物にEtOAcを加えると、黄色の固体が生じた。これを濾過し、ヘプタンで洗浄して、ベージュ色の固体を得た(9.19g)。この固体をCH2Cl2(25mL)、EtOAc(50mL)及びヘプタン(50mL)で再結晶させて、6.19gの生成物を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ18.19(dd,J=12Hz及び1Hz,1H),7.30-7.17(m,5H),7.02-6.99(m,1H),6.80(s,2H),6.70(s,2H),4.06-4.00(m,2H),3.87-3.93(m,2H),3.19(d,J=12Hz,6H),2.56(s,6H),2.32(s,6H),2.21(s,3H),2.18(s,3H),1.02(s,3H),0.97(s,3H).31P NMR(161.8MHz,C6D6,ppm):δ160.00(s)。
【0245】
【0246】
trans-RuCl2(sIMes)(3-メチル-2-ブテニリデン)(Ph2P(OPh))、trans-C825:磁気攪拌子を入れた丸底フラスコに、N2下で、trans-C705(70.5g、100mmol)を入れ、これに脱気したCH2Cl2(500mL)を加えた。ホスフィニットPh2P(OPh)(30.58g、110mmol)を加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。溶媒を高真空下で除去し、脱気したトルエン(500mL)を加えた。反応容器を排気し、N2(3×)で再充填した。反応物を、N2下、周囲温度(20~25℃)で1時間攪拌した。溶媒を高真空下で除去し、脱気したトルエン(500mL)を加えた。溶液中の固体粒子を濾去し、濾液の溶媒を高真空下で除去して、固形の残渣を得た。次いで、脱気したメタノール(500mL)を加えて固体を洗浄し、その後、固体を濾過し、メタノールで洗浄した。次いで、固体をCH2Cl2中に溶解し、更なるホスフィニット(1.0g、3.6mmol)を加えた。溶液を濃縮し、脱気したヘプタン(250mL)を加えた。次いで、溶媒を減少させ、フラスコをフリーザー内に16時間保存した。固体が生じ、これを濾過し、ヘプタンで洗浄した。固体をCH2Cl2(100mL)中に溶解し、溶液をシリカゲルプラグ(D×H:3”×2”)に通した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固した。固体を脱気したCH2Cl2(250mL)中に溶解し、約100mLまで減少させた。滴下漏斗を用いてヘプタン(500mL)を溶液中にゆっくり滴下した。固体が沈殿し、これを濾過した。濾液をヘプタンで洗浄し、高真空下で乾燥させた。粗固体をCH2Cl2(40mL)中に溶解し、再度、滴下漏斗により、ヘプタン(500mL)をゆっくり添加した。再び固体が生じたら、濾過し、ヘプタンで洗浄して、生成物を得た。収率:6.2g。1H NMR(400MHz,CD2Cl2,ppm):δ18.29(d,J=11.2Hz,1H),7.35-7.30(m,5H),7.23-7.18(m,4H),7.16-7.12(m,1H),6.97-6.93(m,2H),6.85-6.80(m,3H),6.75(s,2H),6.59-6.56(m,2H),4.03-3.97(m,2H),3.92-3.87(m,2H),2.50(s,6H),2.3(s,6H),2.31(s,3H),2.21(s,3H),1.02(s,3H),1.00(s,3H).31P NMR(161.8MHz,CD2Cl2,ppm):δ137.11(s)。
【0247】
錯体の触媒活性
実施例27(a)~(x)。
【0248】
錯体の触媒活性を以下のように開環メタセシス重合(ROMP)反応で評価した。250mLのビーカーに100gのDCPD-HTモノマーを充填した。モノマーを油浴(30℃+/-0.5℃)中で所望の温度に平衡した。J型熱電対をモノマーの中心部に直接吊り下げた。試験触媒を溶媒(トルエン又はCH
2Cl
2のいずれか)中に溶解して触媒溶液を作り、次いで、この触媒溶液を45,000:1(モノマー:触媒)のモル比でモノマーに添加し、ROMP組成物を得た。ROMP組成物を得るためのモノマーへの触媒の添加は、ROMP反応の開始を示した。したがって、これを時点ゼロとした。熱電対を使用して温度の示度を記録した。発熱時間については、時点ゼロと、ROMP組成物が液体状態又はゲル状態から硬化されたポリマー状態へと移行するときのROMP組成物の伝播界面が最初に目視で観察された時点との間に経過した時間量(すなわち、時間の差)を測定することによって決定した。モノマーに触媒溶液を添加してから2時間後にROMP反応を停止させた。発熱までの時間は、次のように表す。遅い:120分超、やや遅い:30~120分、中程度:1~30分未満、速い:1分未満。ピーク発熱温度を表2中に示す。
【表3】
【0249】
驚くべきことに、本発明のtrans触媒及びcis触媒は、ROMP条件中に種々の発熱時間を示している。フェニルインデニリデン系では、トランス触媒のほうがシス触媒よりも速い速度を示し、同様に、ベンジリデン系でも、トランス触媒のほうがシス触媒よりも速い速度を示す。同じ傾向がホスフィニット触媒系及びホスホニット触媒系のトランスとシスの間で観察される。
【0250】
物品の成形を良好に行うためには、ROMP組成物の重合速度を制御可能にすることが重要である。典型的な成形シナリオでは、触媒作用後、ROMP組成物の粘度が増し、液体状態からゲル状態を経て、発熱イベントが進行し、最終ポリマーが得られる。特に、ROMP組成物は、モールドに充填される前に発熱(すなわち、硬化)してはならない。モールド充填に要する時間は、1分未満から数分、数時間まで変動し得る。様々な発熱時間範囲を提供する多種多様の触媒から選択し決定できることは、成形技術にとっても、物品の製造にとっても有利である。