(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】イソシアネートを精製するための蒸留塔およびその使用
(51)【国際特許分類】
B01D 3/32 20060101AFI20220124BHJP
C07C 263/20 20060101ALI20220124BHJP
C07C 265/14 20060101ALI20220124BHJP
B01F 23/10 20220101ALI20220124BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220124BHJP
B01F 25/42 20220101ALI20220124BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20220124BHJP
B01D 3/16 20060101ALI20220124BHJP
B01D 3/18 20060101ALI20220124BHJP
B01D 3/20 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B01D3/32 Z
C07C263/20
C07C265/14
B01F3/02
B01F5/00 D
B01F5/00 E
B01D3/14 A
B01D3/16 A
B01D3/18 Z
B01D3/20
B01D3/32 A
(21)【出願番号】P 2018522591
(86)(22)【出願日】2016-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2016072666
(87)【国際公開番号】W WO2017076551
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-09-20
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリートヘルム、シュテッフェンス
(72)【発明者】
【氏名】ビルフリート、ヘッデリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、バウザ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ、ベッゲル
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、ミヒェレ
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0047438(US,A1)
【文献】特表2012-504643(JP,A)
【文献】特開2003-299902(JP,A)
【文献】米国特許第04230533(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0251127(US,A1)
【文献】特表2015-514571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231526(US,A1)
【文献】特表2015-500234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/00 - 3/42
B01F 3/02
B01F 5/00
C07C 263/20
C07C 265/14
B01J 19/00 - 19/32
B01J 8/00 - 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分混合物を少なくとも3つの画分に分画するための蒸留塔であって、少なくとも1つの隔壁(2)を含み、該少なくとも1つの隔壁(2)の上に1つの物質移動要素(1)
又は互いに上下に配置された複数の物質移動要素(1)を含み、
上昇する蒸気流と、下降する液体との間の物質移動が前記物質移動要素(1)又は複数の前記物質移動要素(1)において行われ、
少なくとも1つの隔壁(2)と
前記物質移動要素(1)との間に
、又は前記物質移動要素(1)が
複数の場合には、少なくとも1つの隔壁(2)と
最下部の
前記物質移動要素(1)との間に、少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合するための装置(10)が配置され
、
前記装置(10)が、前記蒸留塔において、少なくとも1つの前記隔壁(2)からの前記蒸気流が、下降する前記液体と衝突することなく上昇する領域に配置されている、蒸留塔。
【請求項2】
前記少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合するための装置(10)が、ミキサーパッキング(10a)、好ましくは孔を有さない波状シート層(10b)、直線バッフルプレート(10c)、傾斜バッフルプレート(10d)、シーブトレイ(10e)、チムニートレイ(10f)、バブルキャップトレイ(10g)、バルブトレイ(10h)、固定子(10i)、チューブ(10j)、チャネル(10k)、多孔シート(10l)および上記装置の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の蒸留塔。
【請求項3】
前記隔壁(2)の上に配置された
前記物質移動要素(1)
又は複数の前記物質移動要素(1)が、
湿潤パッキングベッド、構造化物質移動パッキング、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、シーブトレイまたは上記の装置の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の蒸留塔。
【請求項4】
1つの隔壁(2)が存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸留塔。
【請求項5】
1つの物質移動要素(1)が存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸留塔。
【請求項6】
前記物質移動要素(1)、
又は前記物質移動要素(1)が複数の場合には最下部の物質移動要素(1)が
、塔本体の断面全体にわたって延びている、請求項1~5のいずれか一項に記載の蒸留塔。
【請求項7】
液体収集器(7)が、
前記物質移動要素(1)の下に
、又は
前記物質移動要素(1)が
複数の場合
には、
最下部の前記物質移動要素(1)の下に配置され
、
該液体収集器(7)が、
前記物質移動要素(1)
、又は前記物質移動要素(1)が複数の場合には、最下部の前記物質移動要素(1)から流出する液体を収集する液体収集器であり、該液体収集器(7)は、該液体収集器(7)に収集された液体が、少なくとも1つの隔壁(2)の領域に移動され、特に、少なくとも1つの隔壁(2)の領域に配置された液体分配器(5)および(6)に適用されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体収集器(7)が、前記液体収集器(7)に収集された液体が環状チャネルに移動され、そこから少なくとも1つの隔壁(2)の領域に移動され、特に、少なくとも1つの隔壁(2)の領域に配置された液体分配器(5)および(6)に適用されるように構成される、請求項7に記載の蒸留塔。
【請求項9】
液体収集器(7)が、
前記物質移動要素(1)の下に
、又は
前記物質移動要素(1)が
複数の場合
には、
最下部の前記物質移動要素(1)の下に
配置され、
該液体収集器(7)が、前記物質移動要素(1)
、又は前記物質移動要素(1)が複数の場合には、最下部の前記物質移動要素(1)から流出する液体を収集する液体収集器
であり、該液体収集器(7)は、該液体収集器(7)に収集された液体が、環状チャネル(8)に移動され、そこから塔本体の外側に位置する導管(11)を介して蒸留塔の内部から出る排出スタブを介して、少なくとも1つの隔壁(2)の領域に配置された液体分配器(5)および(6)に適用されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸留塔。
【請求項10】
前記物質移動要素(1)、又は前記物質移動要素(1)が複数の場合には、最下部の
前記物質移動要素(1)の下に、
前記物質移動要素(1)
、又は前記物質移動要素(1)が複数の場合には、最下部の物質移動要素(1)から流出する液体を収集する液体収集器(7)が配置され、該液体収集器(7)は、該液体収集器(7)に収集された液体が、環状チャネル(8)
に移動され、そこから塔本体の内部に位置する導管を介して、少なくとも1つの隔壁(2)の領域に配置された液体分配器(5)および(6)に適用されるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸留塔。
【請求項11】
イソシアネートの精製における、請求項1~10のいずれか一項に記載の蒸留塔の使用。
【請求項12】
前記イソシアネートが、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、イソホロンジアミンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸留塔が、イソシアネートの精製およびポリマーイソシアネート画分の除去を一工程で行うために使用される、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸留塔が、イソシアネートの種々の異性体への分画を行うために使用される、請求項11または12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分混合物を少なくとも3つの画分に分画するための蒸留塔に関し、該蒸留塔は少なくとも1つの隔壁、および該少なくとも1つの隔壁の上に少なくとも1つの物質移動要素(1)を含み、少なくとも1つの隔壁と少なくとも1つの物質移動要素(1)との間に、少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合するための装置(10)が配置されている。また、本発明は、イソシアネートの精製、特にトリレンジイソシアネート(TDI)の精製における本発明の蒸留塔の使用に関する。
【0002】
少なくとも1つの低沸点成分(A)、中沸点成分(B)および高沸点成分(C)からなる物質混合物を蒸留により分離する場合において、隔壁を有さない単純蒸留塔を使用する場合、一般的に2つの蒸留塔が必要である;Chemical Engineering and Processing, 49 (2010), 139-146を参照のこと。このようにして、第1の蒸留塔K1(
図1参照)において、低沸点成分(A)を上部に除去することができる。塔底部では、低沸点成分を含まない底部生成物が得られ、次いでこれを第2の塔K2でさらに分画することができる。低沸点成分(B)は塔頂部で得られ、低沸点成分(C)は塔底部で得られる。分離すべき混合物の組成および個々の成分の分離性(すなわち、それらの沸点の差異)によって、低沸点成分(C)を、第1の塔K1の塔底部で最初に除去することもできる(
図2参照)。次いで、塔頂部で得られた低沸点成分と中沸点成分(A、B)との混合物を、第2の塔K2で分画する。低沸点成分(A)は塔頂部で得られ、中沸点成分(B)は塔底部で得られる。
【0003】
多くの場合、少なくとも1つの隔壁を有する蒸留塔(以下、隔壁塔)の使用は、金銭コストおよびエネルギーコストの観点から、古典的な分離シーケンスよりも経済的な代替物である。隔壁塔を用いて、全ての成分を1工程で分離することができる(
図3参照)。これは、塔の中央部に配置された隔壁によって可能になる。供給物とも呼ばれる分離すべき混合物は、中沸点成分の生成物抜き出しの反対側に加えなければならない。
図4は、物質移動要素の典型的な配置を示しており、構造化されたパッキングがしばしば採用される。隔壁(2)の上には、共通の物質移動要素(パッキングベッドとも呼ばれる)(1)が配置される。これは、中沸点成分(B)を除去することにより低沸点成分(A)を富化するのに役立つ。隔壁の左右には、物質移動要素(パッキングベッド)4、41、3および31が配置される。ベッド4および31は、低沸点成分(A)を除去して、この成分が、中沸点成分(B)の側流抜き出しおよび隔壁の下の領域のいずれにも到達しないようにする。ベッド3および41は、理想的には、隔壁の上の領域の成分(C)および成分(B)の側流の抜き出しを目的として、高沸点成分(C)の除去するために機能する。共通ベッド10は、高沸点成分(C)の濃縮するために機能する。
【0004】
Chemical Engineering, August 2014, 40-48に見られるように、隔壁塔の重要性は、1985年以来着実に増加しており、今日では、非対称に配置された隔壁だけでなく、複数の隔壁の適用も含まれている。さらなるエネルギーの統合のために、WO2010/039972A2に記載されているように、中間蒸発器および/または凝縮器が可能である。この出願はさらに、隔壁の上の領域における2つの内部構造(124、122-「トレイ」)の配置を開示している(
図1参照)。これらの2つの内部構造の間には、製品出口(128)が位置する。両方の内部構造は、上昇する蒸気および下降する細流の液体が向流で移動する隔壁塔の領域に位置し、したがって、純粋な蒸気流を均質化するための装置ではなく、物質移動要素が関係している。
【0005】
EP1980303A2は、隔壁塔(1)のための特別な還流分配器(2)に関する。還流分配器(2)は、塔(1)の外側に配置される(
図1参照)。この文献は、還流分配器(2)の2つの実施形態を開示している;
図2aおよび
図2bを参照のこと。両方の実施形態において、塔(1)は、隔壁の上に、トレイ(15)およびチムニー(16)を含む液体収集器(13)を有する。この文献は、隔壁の端部とパッキング(12)との間の領域において、上昇する蒸気の特定の均質化が起こることを開示していない。これらの目的は、高い自由断面(free cross section)を提供することにより圧力降下を最小にすることであるため、上昇する蒸気は煙突内で混合することができない。
【0006】
US2003/0047438A1は、特殊な隔壁塔に関する。
図1および
図21は、装置(54)および薄層(71)を介した液体収集器を示す。この液体収集器の作用様式は、段落[0052]に記載されている。そこでは、上昇する蒸気は塔の中心から偏向されるが、それにもかかわらず、液体および蒸気の十分な接触が隣接する物質移動要素において保証されると記載されている。上昇する蒸気流の均質化のための装置は、隔壁の上端と物質移動要素との間にあるが、この文献には開示されていない。この文献に記載されているような層状液体収集器(
図3の54および71参照)は、塔中の蒸気流の均質化には適していない。
【0007】
EP2829308A2は、隔壁塔のための液体分配器(100)に関する。
図1は、隔壁(190)の直上の隔壁塔の内部のそのような液体分配器の装置を示す。液体分配器の装置としては、とりわけ、チムニートレイ(134、136)として実施される液体収集器(130)が示されている。多数のチムニーのために、記載された液体収集器は、上昇する蒸気流の混合には不適当である。
【0008】
様々な可能性により、隔壁塔の技術は、生産におけるエネルギー消費と製造コストとを削減するための重要な要素になる。
【0009】
隔壁塔技術の典型的な用途は、イソシアネート、特にトリレンジイソシアネート(以下TDI)の精製である。ここで、反応中の希釈剤および/または急速な反応停止のための急冷媒体として不活性溶媒を使用した、関連するアミン(特に、トリレンジアミン、以下TDA)とホスゲンとの化学反応において、粗生成物は蒸留によって後処理されなければならない。TDIの場合(EP1371635B1およびEP1413571B1参照)、隔壁塔は、一般に、販売可能な製品としてTDIを得るために、低沸点成分、溶媒および高沸点成分からTDIを分離するために利用される。従って、EP1371635B1には、供給される低沸点成分ホスゲンが2%未満である隔壁塔が記載されている。EP1371635B1によれば、生成物流は、少なくとも99.5重量%の純度で、供給部から離れている側の隔壁領域で抜き出される。この流れは、200ppmw未満の溶媒および/または塩素化芳香族炭化水素、100ppmw未満の加水分解性塩素(HC)および40ppmw未満の酸性画分を含有する。塔底部においては、高沸点成分が豊富な物質流が生成される。EP1413571B1には、隔壁塔への供給混合物が20重量%未満の溶媒を含有するTDIの精製方法が記載されている。この溶媒は、20~99重量%の純度で塔頂部において抜き出され、全ての低沸点成分を含有する。TDI生成物流の純度に関する要件は、EP1371635B1において同様に記載されている。EP1575907B1には、高濃度の高沸点成分と組み合わせてTDIを精製する方法が記載されている。高沸点成分の濃度で生成されたTDI画分は、回収のために隔壁塔に戻される。その結果、この隔壁塔は、2つ、任意に3つの供給部を有し、配置に応じて、塔底部に垂直に至る隔壁を有する。
【0010】
得られたTDIは一般に商業的製品であるため、品質を維持するという高い要求がそこに生じる。隔壁塔が故障すると、仕様外の製品が得られることになる。得られた他の流れは、再利用のために製造工程において再循環されることが多いので、それらの組成に関して要求される仕様を達成する必要がある。仕様が達成されない場合、非効率的に高い循環流または収率損失をもたらす可能性があり、特に、例えばイソシアネート、特にTDIの製造の場合、回収される溶媒において、反応段階において使用するための必要な純度が達成されない。これによって、塔の寸法設定およびその製造に高い要求が課せられる。
【0011】
隔壁塔の寸法は、一般に、例えばAspenTechから市販されているような据え置きシミュレータを介して行われる。シミュレーションは、一般に、従来の塔を相互接続することによって実施することができる(Chr. Hiller, “Auslegung von Trennwandkolonnen: Modellierungsansatze und experimentelle Validierung”, Chapter 2 of the lecture notes of the dividing wall column symposium of October 13, 2011 at the Institute for Process and Plant Technology of the Technical University of Hamburg-Harburgを参照)。
図5においては、そのような配置が示されている。塔1(K-1)は、隔壁の上の部分を表す。隔壁の領域は、2つのさらなる別個の塔(K-2、K-3)によって示されている。K-4は、隔壁の下の領域をしめしている。凝縮器や蒸発器等の塔に属する装置は、有利に(advantageously)別個のモデルとして示されているが、使用されるシミュレーションプログラムに応じて、塔モデルK-1およびK-4に組み込まれていてもよい。物質流を接続することにより、各塔K-1~K-4、凝縮器および蒸発器は、一つの隔壁塔を形成する。塔モデルとしては、平衡工程のモデルまたは非平衡工程のモデルを用いることもできる。平衡状態のモデルは、物質のデータをほとんど必要としないので、ここではより単純でより適応性のあるアプローチである。しかしながら、これらのモデルは、極めて理想的でない物質系においては限界がある。
【0012】
隔壁柱の目的に適合するために不可欠なことは、隔壁K-2およびK-3の両側の間の下部共通部分K-4からの蒸気を分割することである。この分割は、隔壁の左右の圧力降下の比にのみ依存する。実際の塔では、選択された塔内部、ならびに気体および液体の供給に依存する。寸法設定の基礎としてのシミュレーションのために、後で使用される塔内部の流体力学の関数として圧力降下を計算することができるプロセスモデルを使用することが必要である。その場合にのみ、特に部分供給挙動および供給組成の変化等の操作パラメータの変更について、塔の分離性能の確実な予測が可能である。
【0013】
シミュレーションの妥当性は、特に物質データの説明が要求される精度で達成できない場合、またはシミュレーションに適用できない製品特性(例えば色)を達成しなければならない場合には、実験データによって検証されるべきである。研究(G. Niggemann et al., Ind. Eng. Res. 2010, 49, 6566-6577を参照)により、実験室とシミュレーション結果、特に隔壁の下の気体分布に関して良好な一致が示された。試験装置は、内径68mmを有し、複数のMontz B1-500物質移動要素を有する蒸留塔からなる。実験結果および計算結果の良好な一致に加えて、この文献においては、熱輸送が塔の分離器挙動に及ぼす影響について報告されている。しかしながら、スループットと比較して、隔壁の表面積は工業用塔よりもはるかに大きいことから、この影響は実験室の塔に限られている。別の論文(Chr. Hiller et al., Heat Mass Transfer (2010) 46, 1209-1220)では、非平衡モデルを用いたシミュレーション結果と実験データとが良好に一致することが確認されている。
【0014】
隔壁塔の工業的実施のために、様々な製造業者(例えば、Sulzer Chemtech, Montz)が、液体収集器および再分配器等の関連する塔内部を販売している。EP1008577A1に記載されているように、隔壁は、外側の塔カバー(jacket)に溶着されるか、または緩く挿入されてもよい。
【0015】
結論として、大規模な工業規模の用途のための隔壁塔の構成は、典型的には、実験データとの一致が一般的に十分であるとみなされるシミュレーションに基づいていることに留意すべきである。しかしながら、驚くべきことに、操作上の実践において、これは必ずしも当てはまらないことが分かっている。従って、例えば、隔壁の領域における側流として回収されたTDIの純度は、実際には、時折、シミュレーション結果から予想される純度から大幅に逸脱することがあることが観察された。隔壁塔の塔頂部において低沸点成分として回収された溶媒の純度についても同様である。したがって、既存の隔壁塔をさらに改良する必要があった。
【0016】
この必要性を考慮して、本発明は、多成分混合物を少なくとも3つの画分に画分するための蒸留塔であって、蒸留塔が少なくとも1つの隔壁(2)を含み、該少なくとも1つの隔壁の上に少なくとも1つの物質移動要素(1)を含み、少なくとも1つの隔壁(2)と少なくとも1つの物質移動要素(1)との間、複数の物質移動要素(1)が存在する場合には少なくとも1つの隔壁(2)と最下部の物質移動要素(1)との間に、少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合するための装置(10)が配置される蒸留塔を提供する。
【0017】
本発明はさらに、イソシアネートを精製するため、特にトリレンジイソシアネート(TDI)を精製するための、本発明の蒸留塔の使用を提供する。換言すれば、本発明はさらに、本発明の蒸留塔を用いた、イソシアネートを精製するため、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)を精製するための方法を提供する。
【0018】
本発明によれば、蒸留塔は少なくとも1つの隔壁(2)を含み、従って、隔壁塔に関する。少なくとも1つの隔壁は、蒸留塔の内部に垂直に配置される。本発明の蒸留塔は、好ましくは2つを超えない隔壁、非常に特に好ましくは1つを超えない(すなわち、正確には1つ)の隔壁を含む。1つより多い隔壁の場合、隔壁は、塔本体の長手方向の軸線に対して並んで配置され、異なる高さを有することができる。少なくとも1つの隔壁が対称的に配置されている場合、すなわち、単一の隔壁の場合、隔壁は、塔本体の断面の中央に位置することが好ましいが、必須ではない。複数の隔壁の場合、「少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流」という表現は、存在する全ての隔壁の関連する蒸気流に関する。
【0019】
少なくとも1つの物質移動要素(1)が、少なくとも1つの隔壁(2)の上に配置される。異なる高さの複数の隔壁が存在する場合、少なくとも1つの物質移動要素(1)は、最も高い隔壁の上に配置される。本発明の蒸留塔は、好ましくは、少なくとも1つの隔壁の上に2つを超えない物質移動要素、非常に特に好ましくは少なくとも1つの隔壁の上に1つを超えない(すなわち、正確には1つ)の物質移動塔(1)を含む。複数の物質移動要素(1)が存在する場合、これらは互いに上下に配置される。複数の物質移動要素(1)が少なくとも最下部の物質移動要素(1)に存在する場合において、少なくとも1つの物質移動要素(1)が塔本体の断面全体にわたって延びていることが好ましい。隔壁の領域上の少なくとも1つの物質移動要素(1)では、上昇する蒸気と下降する液体との間の物質移動が起こる。このようにして、少なくとも1つの物質移動要素(1)は、気相および液相が向流で衝突する蒸留塔の領域に配置される(以下でより詳細に説明するように、混合装置(10)とは対照的である)。
【0020】
本発明によれば、少なくとも1つの隔壁と少なくとも1つの物質移動要素(1)との間に、少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合する装置(10)が配置される。本発明の文脈において、この装置(10)は、以下により詳細に説明するように、静的および/または可動の混合要素を備えることができる。この混合装置(10)は、少なくとも1つの隔壁(2)の領域からの蒸気流が、下降する液体と衝突することなく上昇する蒸留塔の領域に配置される。したがって、混合装置(10)は、物質移動を伴わずに蒸気流の均質化をもたらす。
【0021】
驚くべきことに、生成物流の純度に関連して上記で報告された問題は、このような装置の設置によって解決され得るか、または少なくとも改善され得ることが見出された。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、隔壁塔において、隔壁の上に少なくとも1つの物質移動要素(物質移動要素(1))を有するこのような装置がなければ、左右の隔壁領域はから上昇する蒸気流の混合は理想的にならない。この理想的でない混合により、隔壁の上の物質移動要素への流入が生じ、これは蒸気速度および蒸気組成の点で不均質であり、従って分離性能の損失につながる。蒸気流のこの混合が全体的に悪化すると、塔の直径が大きくなる。これは、隔壁の上端とその上に位置する物質移動要素との間の利用可能な高さに起因し、これは、相対的に、塔の直径が大きくなるにつれて徐々に小さくなる。従って、本発明は、隔壁領域から出た後、隔壁領域の上にある第1の物質移動要素(すなわち、本発明の用語では物質移動要素(1)として言及される)に入る前に、蒸気流(略して蒸気ともいう)の均質化を可能にする。この均質化は、塔の分離性能を向上させ、その結果、塔の寸法に基づく製品仕様が再び満たされ得る。
【0022】
本発明の一般的かつ様々な実施形態について、本発明を、特に、図面を参照して以下により詳細に説明する。全体的な技術的状況から反することが当業者にとって明らかでない限り、様々な実施形態を所望に応じて互いに組み合わせることができる。
【0023】
図6は、蒸気流(10)を均質化するための本発明の装置を備えていない従来の蒸留塔における、隔壁(2)の上端部と次に高い物質移動要素(1)との間の領域を示す。隔壁(2)の上端部には、物質移動要素(3)および(4)と、それぞれの場合に隔壁の左右に付随する液体分配器(5)および(6)とが配置されている。物質移動要素(1)は、支持格子(9)上に載置される。物質移動要素(1)から流出した液体は、再分配するために液体収集器(7)によって収集され、出口スタブを有する環状チャネル(8)に移動され、そこから塔本体の外側に位置する導管(11)を介して液体分配器(5)および(6)に適用される。蒸気流m
L(100)およびm
R(200)は、速度w
Lおよびw
R、ならびに濃度x
Lおよびx
Rで、左右の隔壁領域から出る。物質移動要素(1)において最大の分離性能を達成するために、これらの蒸気流の均質化は、物質移動要素(1)に入る前に、混合濃度x
mおよび均質蒸気速度w
mの混合全体流m
G(300)を塔の断面全体にわたって達成するために必要である。高さHはそのために利用可能である。
【0024】
この目的を達成するための本発明によれば、少なくとも1つの隔壁の左右に上昇する蒸気流を混合するための装置(10)が使用される。この混合装置(10)の目的は、上昇する蒸気流が少なくとも1つの物質移動要素(1)の領域内の下降する液体と接触する前に、上昇する蒸気流の均質化である。したがって、混合装置(10)は、蒸留塔の上部領域から下降する液体が存在しない蒸留塔の領域に配置される。そのような領域は、好ましくは、本発明による蒸留塔において、少なくとも1つの物質移動要素(1)の下で、最下部の物質移動要素(1)の下に複数の物質移動要素(1)が存在する場合に、少なくとも1つの物質移動要素(1)から流出する液体を収集する液体収集器(7)が配置される装置において実現される。この液体収集器(7)は、前記収集器に収集された液体が少なくとも1つの隔壁(2)の領域に移動されるように構成されており、特に、少なくとも1つの隔壁(2)と最下部の物質移動要素(1)との間に複数の物質移動要素(1)が存在する場合、少なくとも1つの隔壁(2)と少なくとも1つの物質移動要素(1)との間の領域に、蒸留塔の上部領域から下降する液体が存在しないように、少なくとも1つの隔壁(2)の領域中に配置された液体分配器(5)および(6)に適用される。この目的のために、液体収集器(7)に収集された液体は、液体収集器(7)の下に配置された環状チャネルに移動されることが好ましい。
【0025】
図6に示す蒸留塔において、液体が下降しないこのような領域は、隔壁(2)の上かつ環状チャネル(8)の下に位置する。この領域において、本発明の混合装置(10)は、好ましくは、
図7にミキサーパッキング(10a)の例として示されるように設置される。この領域において、下降する液体が上昇する蒸気と接触しないという条件は、少なくとも1つの物質移動要素(1)から流出する液体を収集するための液体収集器(7)が物質移動要素(1)の下に配置され、次に液体収集器(7)が、その中に収集された液体が液体収集器(7)の下に配置された環状チャネル(8)に移動し、そこから出口スタブを介して塔本体の外側に位置する導管(11)を介して少なくとも1つの隔壁(2)の領域に配置された液体収集器(5)および(6)に適用されるように配置された、本発明の蒸留塔の構成によって、
図7に示す実施形態において達成される。蒸留塔のこの構成は、ミキサーパッキング(10a)に限定されず、以下にさらに詳細に説明するような他の混合装置(10)にも適用可能であることが理解されよう。前記構成は、少なくとも1つの隔壁(2)の上に複数の物質移動要素(1)を有する蒸留塔にも適用可能である。さらに、液体を環状チャネル(8)から蒸留塔の内部に排出するための導管を設置することも可能である。この実施形態では、少なくとも1つの物質移動要素(1)が蒸留塔の断面全体にわたって延びていなければならず、これは前述したように原則的に好ましく、少なくとも1つの物質移動要素(1)が、環状チャネル(8)から液体を排出するための導管を含む。しかしながら、外部導管(11)を有する
図7に示す配置は、混合装置(10)の設置を妨げないので好ましい。さらに、外部導管(11)を備えたこの実施形態では、液体分配器(5)および(6)への液体の目標分布を実現することがより容易に実現される。
【0026】
本発明の文脈において、適切な混合装置(10)は、最初は、例えばChemineer TECH NEWS, Kenics Statik-Mischer, Chemineer Ltd., 1994およびSULZER CHEMTECH, Misch- und Reaktionstechnikに記載されているような、様々な会社によって市販されている静的ミキサーのような、全ての市販の気体混合要素を含む。前述のミキサーパッキング(10a)は、例えばSULZER CHEMTECH, Misch-und Reaktionstechnik(例えば、Sulzerミキサーパッキング「SMV/SMVP」;
図7)に記載されている。ミキサーパッキング(10a)は、物質移動要素(1)と同様に支持格子上に取り付けられてもよい。
図8は、波形シート層からなる混合要素(10b)を示しており、この実施形態においては穴がなく、より好ましく、物質移動要素とは対照的に、個々の層はねじれていない。このように形成されたチャネルは、蒸気を左から右へ、そして右から左へ交互に通過させる。
【0027】
本発明によれば、混合要素(10)はまた、
図9に示すバッフルプレート(10c)を用いて実現されてもよい。ここで、値「L」および「l」については、L=lが可能であるが、Lはlよりも小さくまたは大きくてもよい。混合作業によっては、シートは完全にまたは部分的に穿孔されていてもよい。
図9に示すように、この配置では、バッフルプレートは水平に配向される。対照的に、塔の中央に向かって勾配を有するバッフルプレートも可能である(10d)。
図10は、その選択肢を示す。
【0028】
本発明の文脈において物質移動要素(1)への流入流における蒸気速度の可能な最大の均一性を確実にするために、1つまたは複数のシーブトレイ(10e)も
図1のように使用することができる。あるいは、チムニートレイ(10f)、バブルキャップトレイ(10g)およびバルブトレイ(10h)は、蒸気速度を均一化するのに適した内部構造である。
【0029】
記載された全ての収集要素(10)は、互いに組み合わせることもできる。
図12は、蒸気の横断混合(transvers mixing)のための傾斜バッフルプレート(10d)と、蒸気速度を均一化するためのシーブトレー(10e)との組み合わせを示す。図の右側部分は、図の左側部分に示されている傾斜バッフルプレート10dの断面を示している。白い部分(12)は開いている。
【0030】
固定子(10i)も同様に、本発明の文脈では適切な混合要素(10)であり、固定式であってよく、回転式であってもよい。
図13は、これを解決する概略図である。
【0031】
本発明の文脈において、蒸気流の混合はまた、蒸気画分を左から右に、または反対方向に偏向させる管(10j)を介して行うことができる。
図14は、シーブトレイ(10e)と組み合わせたこの混合装置(10j)を示す。図の右側部分は、上部蒸気出口(13)が示された10jの平面図を示す。管(10j)の代わりに、正方形、長方形または楕円形の断面のチャネル(10k)を使用することも可能である。底部が開き、任意の断面を有するチャネルも、本発明の文脈における混合作業に適している。同様に、穿孔されたシート(101)が適している。
【0032】
適切な物質移動要素(1)は、当業者に公知である。湿潤(dumped)パッキングベッド、構造化物質移動パッキング、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、シーブテイまたは上記の装置の組み合わせを使用することが好ましい。物質移動要素(1)の領域における混合装置(10)とは対照的に、蒸気流と液体流とは向流で衝突し、したがって、気相と液相との間の物質移動が実際に起こる。対照的に、混合装置(10)は、上昇する蒸気流の均質化にのみ役立つ。したがって、装置(1)と装置(10)とは、装置が同一であっても異なる目的を果たす。
【0033】
本発明の蒸留塔は原則として、異なる沸点を有する少なくとも3種の物質を含有する任意の所望の多成分混合物(A、B、C)を分別するのに適しており、以下、最も低い沸点を有する成分(「低沸点成分」と称する)を(A)、最も高い沸点を有するもの(「高沸点成分」と称する)を(C)、中間の沸点を有する成分(「中沸点成分」と称する)を(B)と称する。イソシアネートを精製するための本発明の蒸留塔の使用が特に好ましい。この使用は、より詳細に後述される。当業者であれば、他の技術分野において使用するためにそこでなされた説明を転用することは容易である。
【0034】
従って、本発明はさらに、イソシアネートを精製するため、特にトリレンジイソシアネート(TDI)を精製するための本発明の蒸留塔の使用を提供する。さらに好適なイソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12-MDI」;Covestro Deutschland AGの「Desmodur W」という名称でも知られている)である。精製されるべき粗製イソシアネート流は、例えば溶媒および必要に応じて痕跡量のホスゲンおよび/または塩化水素等の「低沸点」画分(A)、ならびに重合イソシアネート画分等の「高沸点」画分(C)を含む。用語「低沸点」および「高沸点」は、所望の価値ある生成物であるイソシアネートの沸点との関連で理解されるべきである。これは、側流として隔壁の領域に、いわゆる「中沸点成分」(B)として抜き出される。従来の隔壁塔に関する
図4に概略的に示すように、「低沸点成分」(A)は頂部流として塔から抜き出され、「高沸点成分」(C)は底部流として抜き出される(抜出し点に関しては、本発明の隔壁塔は従来の隔壁塔とは異ならない)。粗製ジイソシアネート流は、先行技術のイソシアネートを製造するための任意の所望の方法に由来し得る。WO2015/144658(A1)、EP0792263(B1)、EP0570799(B1)およびEP0289940(B1)を例示することができる。
【0035】
本発明の蒸留塔に導入される粗製イソシアネート流は、好ましくは、上流の精製段階で溶剤、ホスゲンおよび塩化水素の大部分が既に除去されているものである。そのような上流の精製段階は先行技術から公知であり、例えばEP1546091(B1)、US5,136,087、EP1854783(A2)およびEP2210873(A1)に記載されている。本発明の蒸留塔は、一段階での(特にTDIの場合)重合イソシアネート画分の除去および所望のイソシアネートの精密精製に特に適している。しかしながら、前記塔は、異性体分離(特に個々のMDI異性体の分別の場合)にも適している。
【0036】
したがって、本発明は、当初特定された問題に対する単純な解決策を提供する。本発明は、装置(10)を遡及的に設置することもできるので、既存の隔壁にも適用可能である。以下の実施例は、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【実施例】
【0038】
実施例1(比較-装置(10)なし)
15重量%の低沸点成分(主としてオルト-ジクロロベンゼン溶媒、痕跡量のホスゲンおよび塩化水素も含む)、1重量%の高沸点成分(重合TDI画分および沸点が上記TDIより高い第2成分)および84重量%の中沸点成分(目的生成物TDI)を3つの流れに分画する。シミュレーションおよび実験結果から予想される生成物の仕様は次のとおりである。
【0039】
(A)>98重量%の低沸点成分を含有する頂部生成物。
(B)<5ppmwの低沸点成分を含む側流。
(C)<15重量%の高沸点成分を含む物質流(底部生成物)。
【0040】
操作の実施では、分離は、直径3200mmおよび70mbarの塔頂部の圧力を有する隔壁塔で行われた。シミュレーションおよび実験室の結果とは対照的に、78重量%の低沸点成分を含む頂部生成物(A)が得られた。側流(B)は、5~10ppmwの低沸点成分を含有した。底部流(C)は、8重量%~15重量%の高沸点成分を含有した。
【0041】
実施例2(本発明-装置(10)あり)
実施例1で観察された逸脱は、隔壁の出口での蒸気流の不十分な均質化に対する特別なシミュレーション計算に起因するものであった。実施例1によるシミュレーションは、装置(10)が考慮されるように変更された。ここでは、塔頂部圧力70mbarで、仕様の側流が得られた。したがって、98重量%の低沸点成分を含有する頂部生成物(A)が得られた。側流(B)は、1~5ppmwの低沸点成分のみを含有した。底部流(C)は、最大で15重量%の高沸点成分を含有した。