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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A61F13/15 354
A61F13/15 311Z
A61F13/15 390
A61F13/15 371
A61F13/15 351Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018547199
(86)(22)【出願日】2017-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2017034114
(87)【国際公開番号】W WO2018079144
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2016213077
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】宇谷 晃司
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536831(JP,A)
【文献】特表2011-506005(JP,A)
【文献】特開平03-195555(JP,A)
【文献】特開昭60-174147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股部23となる括れ部2Hが形成された吸収性本体2を含む物品の製造方法であって、
前記吸収性本体2となる連続積層体W2を第1ロールR1と第2ロールR2との間に導入する導入工程と、
前記第1および第2ロールR1,R2によって前記連続積層体W2をトリミングして前記連続積層体W2に前記括れ部2Hを次々に形成するトリミング工程と、
前記第2ロールR2から第3ロールR3に前記連続積層体W2を受け渡す第1受け渡し工程と、前記第3ロールR3は前記第2ロールR2に接するようにして回転して前記第2ロールR2から前記連続積層体W2を受け取り、
前記第3ロールR3で搬送中の前記連続積層体W2を個々の物品の単位に次々に切断して前記吸収性本体2を得る個分け工程とを備え、
前記連続積層体W2を前記トリミング工程においてトリミングした後、前記個分け工程において個分けするまでの間において、前記連続積層体W2が前記第2ロールR2または前記第3ロールR3の少なくとも一方によって保持され続ける第1保持工程を備える、物品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記導入工程に先立って、
前記連続積層体W2に前記吸収性本体2の長手方向に伸縮するレッグ弾性部材F1を配置する工程を更に備える、物品の製造方法。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、
前記個分け工程において個分けされた吸収性本体2を前記第3ロールR3から配置ドラムDの保持パッドPに受け渡す第2受け渡し工程と、
前記第2受け渡し工程において、前記吸収性本体2が前記第3ロールR3または前記保持パッドPの少なくともいずれか一方によって保持され続ける第2保持工程とを更に備える、物品の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、前記配置ドラムD上において前記保持パッドPが前記配置ドラムDの法線Lのまわりに旋回して前記保持パッドP上の前記吸収性本体2の姿勢を変更する姿勢変更工程を更に備える、物品の製造方法。
【請求項5】
股部23となる括れ部2Hが形成された吸収性本体2を含む物品の製造装置であって、
互いに協働して、前記吸収性本体2となる連続積層体W2をトリミングして前記連続積層体W2に前記括れ部2Hを次々に形成する第1および第2ロールR1,R2と、前記第1および第2ロールR1,R2は、一方がトリムカッタで他方が第1アンビルであり、
前記第2ロールR2に接するようにして回転して前記第2ロールR2から前記連続積層体W2を受け取る第3ロールR3と、
前記第3ロールR3で搬送中の前記連続積層体W2を個々の物品の単位に次々に切断して前記吸収性本体2を得る個分けカッタCとを備え
前記連続積層体W2をトリミングした後、個分けするまでの間において、前記第2ロールR2または前記第3ロールR3の少なくともいずれか一方によって前記連続積層体W2の保持状態が維持される、物品の製造装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記連続積層体W2となる一対のウェブW0,W1の間にレッグ弾性部材F1となる弾性部材を挟む一対のニップロールRnを更に備える、物品の製造装置。
【請求項7】
請求項5もしくは6において、
前記第3ロールR3から個分けされた前記吸収性本体2を受け取る配置ドラムDを更に備え、
前記第3ロールR3は、前記個分けカッタで切断される前の前記連続積層体W2の先端部、ならびに、前記個分けカッタで切断して得られた前記吸収性本体2を、前記配置ドラムDに渡すまでの間、保持し続ける保持装置Bを備える、物品の製造装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記配置ドラムDは、前記第3ロールR3から前記吸収性本体2を受け取り、前記配置ドラムDの法線のまわりに旋回することで、前記受け取った吸収性本体2の姿勢を変更する保持パッドPを備える、物品の製造装置。
【請求項9】
請求項5,6,7もしくは8において、
前記第1ロールR1は第1アンビルロールであり、
前記第2ロールR2はトリムカッタロールであり、
前記第1アンビルロールは前記トリムカッタロールよりも直径が小さく、
前記トリムカッタロールによるトリムカットにより生じた切レ端を吸収除去する吸引パイプが、前記第1アンビルロールと前記第3ロールR3との間に配置されている、物品の製造装置。
【請求項10】
請求項9において、前記トリムカッタロールの外周面には前記吸収性本体2の整数個に相当する刃が設けられている、物品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は股部に括れ部が形成された吸収性本体を含む吸収性物品の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1においては、吸収性本体の連続積層体に股部となる括れ部を形成した後、個々の吸収性本体に切断している。切断された吸収性本体は搬送方向を変更され、前後の胴回り部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/080180(フロントページ)
【発明の概要】
【0004】
しかし、前記製造方法においては皺が生じ易い。この皺は吸収性本体を胴回り部に接合する際に不良が生じたり、外観が悪くなる原因となり易い。特に、かかる問題は吸収性本体にレッグ弾性部材が配置されている場合に顕著となる。
【0005】
本発明の目的は、吸収性本体に皺を発生させず、胴回り部への接合を良好とし、外観も向上させる吸収性物品の製造方法および装置を提供することである。
【0006】
本発明の製造方法は、股部23となる括れ部2Hが形成された吸収性本体2を含む物品の製造方法であって、
前記吸収性本体2となる連続積層体W2を第1ロールR1と第2ロールR2との間に導入する導入工程と、
前記第1および第2ロールR1,R2によって前記連続積層体W2をトリミングして前記連続積層体W2に前記括れ部2Hを次々に形成するトリミング工程と、
前記第2ロールR2から第3ロールR3に前記連続積層体W2を受け渡す第1受け渡し工程と、
前記第3ロールR3で搬送中の前記連続積層体W2を個々の物品の単位に次々に切断して前記吸収性本体2を得る個分け工程とを備え、
前記連続積層体W2を前記トリミング工程においてトリミングした後、前記個分け工程において個分けするまでの間において、前記連続積層体W2が前記第2ロールR2または前記第3ロールR3の少なくとも一方によって保持され続ける第1保持工程を備える。
【0007】
本発明の製造装置は、股部23となる括れ部2Hが形成された吸収性本体2を含む物品の製造装置であって、
互いに協働して、前記吸収性本体2となる連続積層体W2をトリミングして前記連続積層体W2に前記括れ部2Hを次々に形成する第1および第2ロールR1,R2と、前記第1および第2ロールR1,R2は、一方がトリムカッタで他方が第1アンビルであり、
前記第2ロールR2に接するようにして回転して前記第2ロールR2から前記連続積層体W2を受け取る第3ロールR3と、
前記第3ロールR3で搬送中の前記連続積層体W2を個々の物品の単位に次々に切断して前記吸収性本体2を得る個分けカッタとを備える。
【0008】
本発明によれば、前記連続積層体W2を前記トリミングした後、前記個分けするまでの間において、前記第2ロールR2または前記第3ロールR3の少なくともいずれか一方によって連続積層体W2の保持状態が維持される。そのため、トリミングされた連続積層体W2に皺の生じるおそれがない。
したがって、後に吸収性本体2の胴回り部への接合を確実に行うことができるだろう。また、皺が生じにくく、そのため、吸収性物品(着用物品)の外観も向上する。
【0009】
ここで、“連続積層体W2を保持する”とは、搬送方向である長手方向に連続積層体W2が引き延ばされた状態を保持することを意味し、一般に連続積層体W2の長手方向に連続積層体W2に張力が負荷されることにより、前記連続積層体W2の保持が実行される。
前記連続積層体W2は前記個分け工程において得られる吸収性本体が搬送方向に複数連なって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)-(d)は、それぞれ、本発明が適用される着用物品(吸収性物品)にかかる吸収性コア、吸収性本体および着用物品の平面図、ならびに、吸収性本体の断面図である。
図2図2は本発明の製造方法の一実施例を示す概略平面図である。
図3図3は本発明の製造装置の一実施例を示す概略レイアウト図である。
図4図4は第1~第3ロールおよび保持パッドを示す概略レイアウト図である。
図5図5は第1および第2ロールを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明方法において、好ましくは、前記導入工程に先立って、
前記連続積層体W2に前記吸収性本体2の長手方向に伸縮するレッグ弾性部材F1を配置する工程を更に備える。
【0012】
本発明装置において、好ましくは、前記連続積層体W2となる一対のウェブW0,W1の間にレッグ弾性部材F1となる弾性部材を挟む一対のニップロールRnを更に備える。
【0013】
このようにレッグ弾性部材F1が配置された連続積層体W2は長手方向に収縮しようとするが、前記保持により前記連続積層体W2の不用意な収縮が抑制される。
【0014】
本発明方法において、更に好ましくは、前記個分け工程において個分けされた吸収性本体2を前記第3ロールR3から配置ドラムDの保持パッドPに受け渡す第2受け渡し工程と、
前記第2受け渡し工程において、前記吸収性本体2が前記第3ロールR3または前記保持パッドPの少なくともいずれか一方によって保持され続ける第2保持工程と、を更に備える。
【0015】
本発明装置において、更に好ましくは、前記第3ロールR3から個分けされた前記吸収性本体2を受け取る配置ドラムDを更に備え、
前記第3ロールR3は、前記個分けカッタで切断される前の前記連続積層体W2の先端部、ならびに、前記個分けカッタで切断して得られた前記吸収性本体2を、前記配置ドラムDに渡すまでの間、保持し続ける保持装置Bを備える。
【0016】
この場合、前記第3ロールR3または前記パッドPの少なくともいずれか一方によって吸収性本体2の保持状態が維持される。そのため、トリミングされている個々の吸収性本体2に皺の生じるおそれがない。
したがって、吸収性本体2の胴回り部への接合を確実に行うことができるだろう。また、皺が生じにくく、そのため、吸収性物品の外観も向上する。
【0017】
ここで、“吸収性本体2を保持する”とは、搬送方向である長手方向に吸収性本体2が引き延ばされた状態を保持することを意味し、一般に、吸収性本体2を負圧などで、第3ロールR3またはパッドPに吸着することにより、前記吸収性本体2の保持が実行される。
【0018】
本発明方法において、更に好ましくは、前記配置ドラムD上において前記保持パッドPが前記配置ドラムDの法線Lのまわりに旋回して前記保持パッドP上の前記吸収性本体2の姿勢を変更する姿勢変更工程を更に備える。
【0019】
本発明装置において、更に好ましくは、前記配置ドラムDは、前記第3ロールR3から前記吸収性本体2を受け取り、前記配置ドラムDの法線のまわりに旋回することで、前記受け取った吸収性本体2の姿勢を変更する保持パッドPを備える。
【0020】
これらの場合、配置ドラムの保持パッドが吸収性本体の姿勢を変更する際に、吸収性本体に皺の生じるおそれがない。
【0021】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明/およびまたは図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例
【0022】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0023】
以下、本発明の一実施例にかかる着用物品1の構造が図面にしたがって説明される。
【0024】
図1(c)に示すように、本実施例の着用物品1は、吸収性本体2、前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bを備えている。前記吸収性本体2は着用者の股間を覆う股部23を有している。
【0025】
前記股部23は前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部23の一部又は全部を構成する。
【0026】
着用時、前記股部23は前記胴回り方向Xに平行なラインにおいて2つに折られる。これにより、前記前胴回り部材3Fと前記後胴回り部材3Bの胴回り方向Xの端部同士が互いに重なる。
【0027】
図1(b)の前記吸収性本体2には図1(a)の吸収性コア24が設けられており、この吸収性コア24は体液を吸収する。図1(d)の前記吸収性コア24は、トップシート26とバックシート(樹脂シート)27との間で挟まれていると共に、各シート26,27および吸収性コア24は互いに積層されてなる。
【0028】
前記トップシート26は透過性の不織布からなり、吸収性コア24の肌面を覆う。このトップシート26の上には、一対の立体カフ25が設けられている。なお、前記バックシート27は吸収性コア24の非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。
【0029】
図1(c)において、前記吸収性本体2は前胴回り部材3Fと後胴回り部材3Bとの間に架設されている。
【0030】
図1(b)に示すように、吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた括れ部2Hを形成してもよい。前記括れ部2Hには、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなるレッグ弾性部材F1が設けられていてもよい。レッグ弾性部材F1は吸収性本体2の縦方向の一部または全部に配置されていてもよい。また、レッグ弾性部材F1は括れ部2Hに沿って吸収性本体2の両側部に複数本配置されていてもよい。
【0031】
図1(d)に示すように、本実施例の場合、前記立体カフ25は、その起立側先端に前記縦方向Yに伸縮するカフ用の弾性部材F2が配置されて形成されている。
【0032】
着用物品がオムツである場合、前記後胴回り部材3Bの肌面の両縁には、図示しない一対の雄面ファスナが固着され、一方、前胴回り部材3Fの非肌面には雌面ファスナが固着されていてもよい。
【0033】
なお、雄面ファスナに代えて止着剤が塗布されたテープ剤を用いてもよい。この場合、前記止着剤が粘着し易い表面を前記前胴回り部材3F等に形成する必要がある。
また、着用物品がパンツである場合、前胴回り部材3Fと後胴回り部材3Bの胴回り方向Xの端部同士が互いに溶着されていてもよい。
【0034】
図1(c)の胴回り部材3F,3Bの非肌面は不織布で形成されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品1の着用時において着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0035】
つぎに、図3図5を用いて、製造装置の一実施例が説明される。
図3の本製造装置は、一対のニップロールRn、第1~第3ロールR1~R3、個分けカッタC、配置ドラムDおよび搬送装置Tなどを備える。
【0036】
前記一対のニップロールRnは、連続積層体W2となる一対のウェブW0,W1の間にレッグ弾性部材F1となる弾性部材を挟む。
【0037】
前記第1ロールR1は例えば第1アンビルロールである。
前記第2ロールR2は例えばトリムカッタロールである。
これらのロールR1,R2は互いに協働して、図2の前記吸収性本体2となる連続積層体W2をトリミングして前記連続積層体W2に前記括れ部2Hを次々に形成する。前記括れ部2Hは前記連続積層体W2の両側縁に形成される。なお、括れ部2Hは前記レッグ弾性部材F1に沿って形成される。
【0038】
図5に示すように、第1および第2ロールR1,R2は両端部において互いに接していてもよい。第2ロールR2の表面には、図2のトリミング後の吸収性本体2および切レ端2Sを吸着するための多数の吸引孔H2が形成されている。
【0039】
図5において、本例の場合、第1(アンビル)ロールR1の直径は第2ロール(トリムカッタロール)R2の直径よりも小さい。
【0040】
前記トリムカッタロールR2の外周面には前記吸収性本体2(図1)の整数個(本例の場合、1個)に相当する刃C1、C2が設けられている。本実施例の場合、トリムカッタロールR2が一周するごとに連続積層体のうちの1個の吸収性本体2に相当する部分について一対の括れ部2H(図2)が形成される。したがって、本実施例の第2ロールR2の直径は吸収性本体2をトリミングするトリムカッタロールとしては最小径である。
【0041】
図4において、前記第1アンビルロールR1と前記第3ロールR3との間には吸引パイプPbが配置されている。すなわち、前記第1アンビルロールR1、前記トリムカッタロールR2および第3ロールR3の間で形成されるスペースSには吸引パイプPbの先端部が配置される。前記吸引パイプPbは前記トリムカッタロールR2によるトリムカットにより生じた連続積層体W2の切レ端を吸引除去する。
なお、第1および第2ロールR1,R2は二点鎖線で示すフレーム100に支持されている。
【0042】
ここで、前記最小径である第2ロールR2の直径よりも第1ロールR1の方が直径が小さいため、前記スペースSが生じる。このスペースSを吸引パイプPbを配置する空間として使うことができ、製造装置の小型化が図られる。
【0043】
一方、第1ロールR1をトリムカッタロールとし、第2ロールR2をアンビルロールとすることも可能である。しかし、この場合において、前記吸引パイプPbを配置しようとすると、アンビルロールである第2ロールR2の直径が、前記最小径のトリムカッタロールである第1ロールR1の直径よりも大きくなる。そのため、図4の実施例に比べ製造装置が大型化するだろう。
【0044】
前記第3ロールR3は前記第2ロールR2に接するようにして回転して前記第2ロールR2から前記連続積層体W2を受け取る。前記第3ロールR3の周速度は、前記連続積層体W2の搬送速度よりも大きい。そのため、連続積層体W2の先端部分は第3ロールR3上においてスリップしながら第3ロールR3の保持装置Bによって吸着されながら搬送される。
【0045】
前記個分けカッタCは前記第3ロールR3で搬送中の前記連続積層体W2を個々の物品の単位に次々に切断して前記吸収性本体2を得る。この切断により不連続となった吸収性本体2は、第3ロールR3の周速度で搬送され、そのため、連続積層体W2から前記第3ロールR3の周方向に離間する。
【0046】
図4において、前記第3ロールR3は保持装置Bを備える。前記保持装置Bは前記個分けカッタで切断される前の前記連続積層体W2の先端部、ならびに、前記個分けカッタCで切断して得られた前記吸収性本体2を前記配置ドラムDの保持パッドPに渡すまでの間、保持し続ける。
周知の構造であるが、前記第3ロールR3の保持装置Bはバキュームにより第3ロールR3の角θのエリアにおいて、連続積層体W2または吸収性本体2を吸引するバキュームエリアθを有する。
【0047】
配置ドラムDは、前記第3ロールR3から前記個分けされた吸収性本体2を受け取る。
図3に示すように、前記配置ドラムDは複数の保持パッドPを備える。この保持パッドPは、前記第3ロールR3から前記吸収性本体2を受け取り、前記配置ドラムDの法線Lのまわりに旋回することで、前記受け取った吸収性本体2の姿勢を変更する。
【0048】
前記保持パッドPは吸着装置を備えていてもよい。吸着装置は例えばパッドの表面に開孔した多数の吸引孔からバキュームにより吸収性本体2を吸着する。
【0049】
前記配置ドラムDは搬送装置Tにより搬送されている図2の一対の前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bの間に姿勢が変更された前記吸収性本体2を配置する。この際、吸収性本体2には予め接着剤が塗布され、吸収性本体2が前胴回り部材3Fおよび後胴回り部材3Bに接着される。
【0050】
つぎに、製造方法の一実施例が説明される。
まず、図3の一対のウェブW0,W1の間にレッグ弾性部材F1が挟まれて、図2の連続積層体W2の長手方向(縦方向Y)に伸縮するレッグ弾性部材F1が配置される。
【0051】
続いて、図3の連続積層体W2が第1ロールR1と第2ロールR2との間に導入される(導入工程)。前記両ロールR1,R2によって、図2のように、前記連続積層体W2がトリミングされて前記連続積層体W2に前記括れ部2Hが次々に形成される(トリミング工程)。このトリミングの際、前記括れ部2Hに対応する切レ端2Sが生じる。この切レ端2Sは図3の吸引パイプPbに吸引されて、系外に排出される。
【0052】
前記トリミング後、前記第2ロールR2から第3ロールR3に前記連続積層体W2を受け渡す第1受け渡し工程が実行される。この後、前記連続積層体W2が前記第3ロールR3で搬送され、この搬送中の前記連続積層体W2が個々の物品の単位に次々に切断されて前記吸収性本体2を得る個分け工程が実行される。
【0053】
前記連続積層体W2を前記トリミングした後、前記個分けするまでの間において、前記連続積層体W2が前記第2ロールR2または前記第3ロールR3の少なくとも一方によって保持され続ける(第1保持工程)。
【0054】
すなわち、連続積層体W2が第2ロールR2に接している間は、図5の第2ロールR2の吸引孔H2により、連続積層体W2が第2ロールR2に吸着保持されている。一方、連続積層体W2が第3ロールR3に接すると、図4の第3ロールR3の保持装置Bにより、連続積層体W2が第3ロールR3に吸着保持されている。
【0055】
なお、連続積層体W2が切断されて吸収性本体2が生成された後は、吸収性本体2は第3ロールR3の保持装置Bに吸着保持されて、配置ドラムDとの受け渡し位置Dpまで搬送される。
【0056】
前記個分けされた吸収性本体2は前記第3ロールR3から配置ドラムDの保持パッドPに受け渡される(第2受け渡し工程)。この第2受け渡し工程において、前記吸収性本体2は前記第3ロールR3または前記保持パッドPの少なくともいずれか一方によって保持され続ける(第2保持工程)。
【0057】
すなわち、吸収性本体2が第3ロールR3によって搬送されている間は、図4の第3ロールR3の保持装置Bに吸収性本体2が吸着保持されている。一方、吸収性本体2が配置ドラムDの保持パッドPによって搬送されている間は、保持パッドPの吸引孔(図示せず)により吸収性本体2が吸着保持されている。
【0058】
図3の前記吸収性本体2は前記保持パッドP上において吸着保持された状態で、前記配置ドラムD上において前記保持パッドPが前記配置ドラムDの法線Lのまわりに旋回して、図2のように前記吸収性本体2の姿勢が変更される(姿勢変更工程)。
【0059】
その後、前記吸収性本体2は一対の胴回り部材3F,3Bの間に架設される。この架設後、二点鎖線で示す切断ラインに沿って、一対の胴回り部材3F,3Bが個々の着用物品の単位に次々に切断される。
【0060】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、本着用物品は、カフを有していなくてもよい。また、トリムカッタロールが一周するごとに2個以上の吸収性本体にそれぞれ一対の括れ部が形成されるようにトリムカッタロールに刃が設けられていてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は使い捨てパンツやオムツなどの種々の着用物品の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:着用物品
2:吸収性本体 2H:括れ部 2S:切レ端 23:股部 24:吸収性コア
25:立体カフ 26:トップシート 27:バックシート(樹脂シート)
3F:前胴回り部材 3B:後胴回り部材
B:保持装置 C:個分けカッタ C1:刃 D:配置ドラム
F1:レッグ弾性部材 F2:カフ用の弾性部材
H2:吸引孔
W0,W1:一対のウェブ W2:連続積層体
X:胴回り方向 Y:縦方向
P:保持パッド Pb:吸引パイプ
R1~R3:第1~第3ロール Rn:ニップロール
L:法線 S:スペース T:搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5