(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】光音響アイソレータを備えたプローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/13 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A61B8/13
(21)【出願番号】P 2019221588
(22)【出願日】2019-12-06
(62)【分割の表示】P 2017510461の分割
【原出願日】2015-05-04
【審査請求日】2020-01-06
(32)【優先日】2014-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514092515
【氏名又は名称】セノ メディカル インストルメンツ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーグ,ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】カサス,ジャスティン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255707(JP,A)
【文献】特開2014-015605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0109950(US,A1)
【文献】特開2013-202050(JP,A)
【文献】特開2013-056100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端を有する光音響プローブであって:
光源が前記
光音響プローブの遠位端の方に光を向けるのを可能にするように適合された第1の光路;
内面と外面とを持つ音響レンズ;
アクティブな端部を持つ超音波トランスデューサ配列であって、該超音波トランスデューサ配列は複数の超音波トランスデューサ要素を含み、そのアクティブな端部に音響レンズの内面を持つ、超音波トランスデューサ配列;
アイソレータであって、光路と超音波トランスデューサ配列との間に位置し、且つ光路から超音波トランスデューサに影響を及ぼすエネルギーを軽減するように配置され、前記アイソレータは、キャリア材料を含む混合物で作られ、且つ体積で約10%乃至80%のマイクロバブルを有し、前記キャリア材料はマイクロバブルと組み合わせられると音響吸収性となり且つ光吸収性又は光散乱性となり、前記キャリア材料は着色剤を含まない、アイソレータ
を含む、光音響プローブ。
【請求項2】
前記アイソレータは、体積で25%乃至70%のマイクロバブルを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項3】
前記アイソレータの一部は、反射材料又は高反射材料でコーティングされる、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項4】
前記アイソレータの一部は、TiO
2でコーティングされる、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項5】
前記キャリア材料は光散乱性材料を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項6】
前記キャリア材料は光散乱性材料でコーティングされる、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項7】
前記アイソレータは黒皮を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項8】
前記アイソレータは、可撓性材料を含むキャリア材料を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項9】
前記マイクロバブルはフェノール性ミクロスフェアである、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項10】
前記マイクロバブルはガラスミクロスフェアである、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項11】
マイクロバブルの大きさは10乃至約250ミクロンの範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項12】
ミクロスフェアの大きさは50乃至約100ミクロンの範囲である、ことを特徴とする請求項9に記載の光音響プローブ。
【請求項13】
前記アイソレータはキャリアとしてシリコーンを用いて形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項14】
前記アイソレータはキャリアとして軽量プラスチックを用いて形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項15】
アイソレータの外面の少なくとも一部の上に反射コーティングを更に含む、請求項1に記載の光音響プローブ。
【請求項16】
光路に晒されるアイソレータの表面の少なくとも一部の上に金色の反射コーティングを更に含む、請求項15に記載の光音響プローブ。
【請求項17】
遠位端を有する光音響プローブであって:
光源がプローブの遠位端の方に光を向けるのを可能にするのに適した第1の光路;
プローブの遠位端に近接する第1の光路における光学窓;
内面と外面とを持つ音響レンズ;
アクティブな端部を持つ超音波トランスデューサ配列であって、該超音波トランスデューサ配列は複数の超音波トランスデューサ要素を含み、そのアクティブな端部に音響レンズの内面を持つ、超音波トランスデューサ配列;
アイソレータであって、光路と超音波トランスデューサ配列との間に位置し、且つプローブの遠位端を出る前に光路から超音波トランスデューサに当たる光を軽減するように配置され、前記アイソレータは、キャリア材料を含む混合物で作られ、且つ体積で約10%乃至80%のマイクロバブルを有し、前記キャリア材料は可撓性材料であり、前記キャリア材料は着色剤を含まない、アイソレータ
を含む、光音響プローブ。
【請求項18】
前記アイソレータは、光学窓の光音響応答から超音波トランスデューサ配列を分離させる、ことを特徴とする請求項17に記載の光音響プローブ。
【請求項19】
光学窓に近接した光路に位置する拡散器を更に含み、前記アイソレータは、前記
拡散器の光音響応答から超音波トランスデューサアレイを分離させるのに更に適している、ことを特徴とする請求項18に記載の光音響プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Probe With Optoacoustic Isolator」と題された2013年1月22日出願の米国特許出願第13/746,905号の一部継続出願である。本出願はまた、「Dual Modality Imaging System For Coregistered Functional And Anatomical Mapping」と題された2012年11月2日出願の米国特許出願第13/667,808号の一部継続出願である。本出願はまた、「Method For Dual Modality Optoacoustic Imaging」と題された2012年11月2日出願の米国特許出願第13/667,830号の一部継続出願である。本出願はまた、「Optoacoustic Imaging System Having Handheld Probe Utilizing Optically Reflective Material」と題された2013年1月22日出願の米国特許出願第13/746,559号の一部継続出願である。これら出願の全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、著作権保護の対象である内容を含む。本特許開示内容は特許商標局のファイルまたはレコードに開示されているため、著作権所有者は、誰かによる本特許開示内容の複製に対して異議を申し立てないが、それ以外は、何であれ全ての著作権を留保する。
【0003】
<分野>
本発明は全体として、医療用撮像の分野、特に、医療用撮像に使用するための光音響アイソレータを備えたプローブに関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付図面に示されるようなの、以下のより詳細な好ましい実施形態の形態より明らかとなり、図中、参照文字は様々な視点を通じて同じ部分を指す。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、その代わりに重点は、本発明の原理を概説することに置かれている。
【
図1】本明細書で開示する方法及び装置に対してプラットフォームとして使用され得る、組み合わされた光音響・超音波システムの一実施形態を示す概略ブロック図である。
【
図2】本明細書に開示される方法及び他の装置に関連して使用される、プローブの実施形態の概略正射影図を示す。
【
図3】
図2に示されるプローブの実施形態の分解図を示す。
【
図4】
図2に示されるプローブの幅広い側部の中心線に沿って切断された断面図を示す。
【
図5A】光ファイバーから出る光の図の2次元表現のノンスケール側面図である。
【
図5B】光ファイバーのその表面上への直接配置から表面に生じ得る光パターンの端面図である。
【
図6A】本明細書で説明する光音響技術に関連して使用される望ましい光パターンの端面図である。
【
図6B】すりガラスビーム拡大器の、
図5Aに示すファイバーから放出される光への影響を図示する側面図である。
【
図6C】凹レンズビーム拡大器の、
図5Aに示すファイバーから放出される光への影響を図示する側面図である。
【
図7】本明細書で開示する方法及び他の装置に関連して使用され得るプローブの別の実施形態を示す概略正射影図である。
【
図8】
図7に示されるプローブの実施形態の分解正射影図を示す。
【
図9】
図7に示すプローブの線A-Aにおける長さ方向断面図である。
【
図10】
図7に示すプローブの線B-Bにおける長さ方向断面図である。
【
図11】本明細書で開示する方法及び他の装置に関連して使用され得るプローブの別の実施形態を示す長さ方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の様々な実施形態に対する詳細な言及がここで行われ、その例は添付図面に示される。
【0006】
一般に、装置(100)は、光音響及び超音波システムと組み合わされた、マルチモダリティとしても採用され得る、光音響システムを提供する。一実施形態では、装置(100)は、光路(132)及び電気路(108)を介して、システム筐体(101)に接続されたプローブ(102)を含む。システム筐体(101)内には、光サブシステム(129)及びコンピューティングサブシステム(128)が収納されている。コンピューティングサブシステム(128)は、超音波制御及び分析並びに光音響制御及び分析用の1以上のコンピューティング構成要素を含み、これらの構成要素は、別個であり得るか、又は統合され得る。一実施形態において、コンピューティングサブシステムは、中継システム(110)、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)並びに超音波機器(150)を含む。
【0007】
光システム(129)は、少なくとも2つの異なる波長の光のパルスを生成することができる。一実施形態において、光システム(129)の出力は、それらの波長の各々で短いパルスの光(例えば、約100ns未満、より好ましくは、約5nsの短さで持続するパルス)を発生できるものとする。本開示から当業者には明らかであるように、本明細書で開示された発明は、100nsを超えて持続するパルスを含むパルス光を使用しても実施される場合がある。一実施形態において、光源(129)は2つの別個の光(130)、(131)を含む。光システム(129)の出力は、光通路(132)を介してプローブ(102)に送られる。一実施形態において、光(130)、(131)は、赤外線、近赤外線、及び/又は可視スペクトルで光を生成するレーザーである。一実施形態において、光(130)と(131)はそれぞれ、赤外線又は近赤外線スペクトルにおいて異なる波長で光を生成する。一実施形態において、光源(129)からプローブ(102)へ光を送るために使用される光路(132)は、光ファイバーの多数の束を含む光ファイバー束である。一実施形態において、光路(132)は、光路(132)の遠位端に、光の短くて強力なパルスを運ぶのに十分な大きさ(直径)の十分な光ファイバーを含む。一実施形態において、光路(132)を通じて運ばれる総パルスエネルギーは、1又は数ミリジュールであり得る。一実施形態において、光路(132)を通じて運ばれる光パルス当たりの総エネルギーは、約100ミリジュール未満である。一実施形態において、光路(132)を通じて運ばれる光パルス当たりの総エネルギーは約10-30ミリジュールの範囲であり、光路(132)は、各々約150ミクロンの約1,000の光ファイバーを含む。一実施形態において、1本のファイバーが光路として使用され得る。そのような実施形態において、前記ファイバーは直径400-1500ミクロンでもよい。もちろん、そのような一本のファイバーの直径は、例えば400ミクロンのように小さくてもよい。ファイバーを通じて運ばれる必要な総パルスエネルギーを考慮すると、当業者は、ファイバーの適宜必要とされる直径を計算することができる。
【0008】
例示的実施形態において、光システム(129)は、Nd-YAG及びアレキサンドライトをその2つの光(130)、(131)として使用し得るが、他のタイプ、及び追加の光も使用され得る。光(130)、(131)は、光の短パルス、例えば、約100ns未満、より好ましくは約5ns以上持続するパルスを発生できるものとする。一実施形態において、2つの光(130)、(131)は別々に引き起こされ得る。一実施形態において、光(130)、(131)によって出力された光は、一般に、1つの光(130)が第1の側から第2の側に通過するのを可能にする光学要素(133)の使用を通じて、第2の側に当たる1つの光(131)を反射しながら、同じ光路(132)に投影され得る。光学要素(133)又は同様の要素の使用は、光路(132)の近位端へのレーザー等の2つの光(130)、(131)の出力の位置合わせを可能にする。一実施形態において、光学要素(133)は、例えば多数の光学要素(133)の使用を介して、2より多くのレーザーからの光出力を位置合わせすることができる。一実施形態において、多数の光システム及び光路が利用されてもよく、各光システムの光は、それらの遠位端で混ぜられる別個のファイバー上で運ばれる。
【0009】
光路を通じて運ばれた光パルスごとの総エネルギーは約数10ミリジュールであるが、光(130)、(131)のパルスは非常に短いので、光路(132)から出力されたピーク電力が頻繁に近づくか、又はメガワットの範囲である。従って、光(130)と(131)の出力は、光ファイバー及び/又は光ファイバー上のクラッディングを燃やす能力を持つ。燃えた光ファイバー及び燃えたクラッディングは、それらが伝送する光パワーが少なくなり始めて、より多くの発熱を生じるにつれて、問題を悪化させかねない。従って、一実施形態において、ピーク電力負荷の処理を可能にしてファイバーのバーンアウトを回避するために、光路(132)内に十分な数及びサイズの光ファイバーが存在する。より高いピーク電力に対応するために、より大きなファイバー束が使用できる。当業者には、ファイバー束のピーク電力容量が、光ファイバーの数、若しくは光ファイバーの直径、又はその両方を増加させることにより、増加できることが明らかであろう。しかし、特に、ファイバー束の寸法が増加すると、光路(132)の重さ及び可撓性が減少する。更に、より多くの光ファイバー、又はより大きな直径の光ファイバーを使用する場合、光源(129)の出力が、より幅の広い直径のより大きな束にわたる光路(132)に送られる必要がある。一実施形態において、光路(132)の近位端の最終的なサイズに関わらず、光源(129)の出力は、予期されるピーク電力範囲で動作する場合にバーンアウト障害を防ぐため、十分にその断面にわたって送られるべきである。
【0010】
一実施形態において、光路(132)の近位端のファイバーは、光源(129)の出力のために光路(132)への融着されたエントリポイント(fused entry point)を形成するように融着される場合がある。一実施形態において、ファイバーの端部は熱を加えることにより融着され得る。一旦、光路(132)の近位端が融着されると、実質的により高いピーク電力でバーンアウトに対する耐性を持つことになる。例えば、融着された端部を使用すると、光路(132)は、3倍、4倍、又は5倍ものピーク電力の搬送を許容する場合がある。与えられた光路(132)において実質的により高いピーク電力を搬送する能力により、より可撓性且つより軽量の光ファイバー束の使用が、融着していな光路(132)と同じピーク電力を搬送することが可能となる。故に、一実施形態において、1/2”の光ファイバー束が光路を形成する光ファイバーの融着していない束に必要とされる場合、近位端が融着された1/4”の光ファイバー束が、同じピーク電力を搬送するために使用される場合がある。近位端が融着された1/4”の光ファイバー束は、約1/4の重量であり、1/2”の光ファイバー束よりも遥かに可撓性である。更に、光路(132)の近位端の融着は、円形断面の光ファイバーの束になった端部に存在するファイバー間の空間が融着により取り除かれるため、光源(132)を用いて照射するために更に小さな融着された領域を生成する場合がある。従って、以下の利点の1以上が、光路(132)を含む光ファイバーの近位端を融着させることにより達成される場合がある:光路の重量の軽減;光路の可撓性の向上;故障の減少;信頼性の向上;より高いピーク電力容量。
【0011】
一実施形態において、光(130)、(131)による光出力は、光路を介して光路(132)の近位端で融着された光ファイバー束の方に送られ、それは光源(129)の内部に光学素子(133)を含む場合がある。一実施形態において、光源(129)は、光路(132)上に、1以上の波長でレーザー光パルスを出力することができる、レーザシステムである。一実施形態において、光路(132)は、光源(129)の近位に融着された端部を持つ光ファイバー束である。
【0012】
一実施形態において、装置(100)はまた、プローブ(102)に、及び/又はプローブ(102)からシステム筐体(101)内の中継システム(110)に延びる電気路(108)を含む。電気路(108)は、プローブ(102)からシステム筐体(101)上でのそれらそれぞれの接続の方へと、光路(132)の近くで、それと平行して、或いは同軸で延びる場合がある。一実施形態において、電気路(108)は複数の別個の同軸ワイヤを含む。一実施形態において、電気路(108)は、光路(132)の少なくとも一部と共通のジャケット内で延びる。光路(132)の少なくとも一部と共通のジャケット内で電気路(108)が延びると、システム筐体(101)からプローブ(102)まで延びるケーブルの数が減少する。光路(132)の少なくとも一部と共通のジャケット内で電気路(108)が延びると、システム筐体(101)からプローブ(102)まで延びる組み合わされたケーブル(即ち、光路(132)及び電気路(108))の直径と重量が最小化され、そしてその耐久性が向上される場合がある。
【0013】
一実施形態において、複数の同軸ワイヤは、光路(132)の少なくとも一部の周囲に編み込まれる。上述のように、多くの考察事項が、光路(132)に使用される別個の光ファイバーの数を論じている。更に以下で議論されるように、多数の設計上の考慮事項が、電気路(108)を形成する別個の導線又は電気配線の数を論じている。一実施形態において、電気路(108)を形成する約256の導線(256のトランスデューサに対応する)、及び光路(132)を形成する約1,000の別個の光ファイバーがあり、ファイバー:導線比を約4:1にする。明らかとされるように、光ファイバー及び電気路内の導線又は配線を、例えば、個々のファイバーの群を単一の導線又は配線と束ねること、又はファイバーの比例的により大きな群と導線を一緒に束ねることを含む、様々な方法で混合することが可能である。一実施形態において、ファイバー及び導線又は配線を束ねることは、通常、システム内でファイバー:導線の割合で行われる。
【0014】
タッチスクリーンであり得る、1以上のディスプレイ(112)、(114)が、画像及び装置(100)のユーザーインターフェースの全て又は一部を表示するために設けられる。キーボード、マウス、及び様々な他の入力装置(例えば、ダイヤル及びスイッチ)などの、1以上の他のユーザー入力装置(図示せず)が、オペレータからの入力を受け取るために設けられる場合がある。選択肢として、電力及び制御信号線(109)が、プローブ(102)に電力を搬送し、プローブ(102)とコンピューティングサブシステム(128)との間の信号を制御する。
【0015】
ここで
図2を参照すると、プローブ(102)は、音響レンズ(205)により覆われた超音波トランスデューサ(図示せず)を形成する超音波トランスデューサ要素の配列を含む。一実施形態において、超音波トランスデューサは、音響エネルギーを伝送し且つ受け取ることができる圧電素子の配列を含む。一実施形態において、超音波トランスデューサ要素の少なくとも幾つかは、広範囲にわたり超音波周波数を検出することができる。例えば、超音波トランスデューサ要素は、約50Khz乃至20Mhzの範囲の超音波を検出することができる場合がある。この範囲は、より低周波数の応答を達成するために、高インピーダンス負荷(例えば5,000乃至50,000オームの範囲にある)を印加することにより達成することができる。超音波トランスデューサ要素は、超音波音響エネルギーを受け取ることに応じて電気エネルギーを生成することができる。超音波を受け取る超音波トランスデューサ要素により生成された電気エネルギーは、電気路(108)を介してコンピューティングサブシステム(128)に伝送される。
【0016】
プローブ(102)はまた、光路(132)上で搬送される光が三次元体積(160)の表面に伝送され得る1以上の光学窓(203)を含む。一実施形態において、光学窓(203)の1つの側を音響レンズ(205)に現実的に可能な限り近くに配置することが望ましい。光学窓(203)の総面積は、体積(160)の表面に入射する所与のフルエンスに対するエネルギーを最大限にするのに重要である。
【0017】
一実施形態において、光路(132)を構築する複数の束の光ファイバーは、2つのライトバー(図示せず)内で終端される。一実施形態において、超音波トランスデューサ要素(図示せず)は、幾何平面に沿って延びる配列内に配置され、通常は相互に等距離の間隔を開けられる。一実施形態において、ライトバー(図示せず)は、超音波トランスデューサ要素の平面配列の各々の側面上に長手方向に向けられる。好ましくは、超音波トランスデューサ要素は、パルス光源(130)、(131)により引き起こされた刺激に応じて受け取られた超音波音響エネルギー、及び超音波トランスデューサ要素の音響出力に応じて受け取られた超音波音響エネルギーの両方に応じて電気エネルギーを生成する。
【0018】
図1に戻ると、使用時に、プローブ(102)は、有機組織、ファントム、又は、例えば腫瘍などの1以上の局所的不均質性(161)、(162)を中に有し得る他の三次元体積(160)にごく近接して配置される場合がある。超音波ゲル(図示せず)又は他の材料が、プローブ(102)と体積(160)の表面との間の音響結合を改善するために使用される場合がある。プローブ(102)は、体積(160)の表面に近接している場合、光学窓(203)を介して光のパルスを、又は音響レンズ(205)を介して超音波を放出することができ、その後、放出された光又は音に応じて検出される超音波に対応する電気エネルギーを生成することができる。
【0019】
一実施形態において、コンピューティングサブシステム(128)は、制御信号線(106)上で光システム(129)から活動を誘導することができる。代替的な実施形態において、光システム(129)は、トリガー信号を作成し、制御信号線(106)上でその活動をコンピューティングサブシステム(128)に通知することができる。そのような情報は、データ取得プロセスを開始するためにコンピューティングサブシステム(128)により使用され得る。この点で、制御信号線(106)上での通信は、コンピューティングサブシステム(及び/又は光音響処理並びにその中のオーバーレイシステム(140))とライトシステム(129)との間を双方向に流れることができることに留意されたい。
【0020】
一実施形態において、コンピューティングサブシステム(128)は、各光源(130)、(131)からの光パルスの開始時間と持続時間とを制御するために、制御信号線(106)を利用することができる。コンピューティングサブシステム(128)はまた、プローブ(102)に、音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素を介して超音波音響エネルギーを放出させることができる。
【0021】
一実施形態において、コンピューティングサブシステム(128)は、超音波トランスデューサ要素により検出される超音波を表わす電気信号を、超音波伝導信号又は光学的に生成された信号に応じて、音響レンズ(205)の背後で電気路(108)を介して、受け取る。一実施形態において、音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素により検出された超音波を表わす電気信号は、要素自体により作成されたアナログ電気信号である。そのような実施形態において、音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素により検出された超音波を表わす電気信号は、電気路(108)を介してコンピューティングサブシステムに伝送され、電気路(108)は、中継システム(110)により選択的に、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)、又は、検出された超音波の処理のための超音波機器(150)に向けられる。そのような実施形態において、超音波機器(150)は、超音波プローブから受け取るのと同じ入力を(同じコネクタ上で)受け取ることができる。
【0022】
別の実施形態において、音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素により検出された超音波を表わす電気信号は、プローブ(102)に収容され得るアナログ/デジタル変換器によりデジタル化される。そのような実施形態において、音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素により検出された超音波を表わす時間分解電気信号は、電気路(108)をわたって伝送される。電気信号がプローブ(102)においてデジタル化される場合、当業者に明白なように、中継システム(110)は、デジタルデータを、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)又は超音波機器(150)に送達するように実装され得るか、又は全く必要とされない場合がある。
【0023】
音響レンズ(205)の背後の複数の超音波トランスデューサ要素の各々により検出された超音波を表わす信号は、電気路(108)にわたって別個のワイヤ上で搬送される場合がある。代替的に、音響レンズ(205)の背後の複数の超音波トランスデューサ要素、又は音響レンズ(205)の背後の超音波トランスデューサ要素の全てによっても検出された超音波を表わす信号は、プローブ中のマルチプレクサ及びコンピューティングサブシステム(128)中のデマルチプレクサを利用して、多重化(例えば、時分割又は周波数分割)される場合がある。
【0024】
一実施形態において、超音波機器(150)は、超音波誘起音響信号を処理して超音波画像を生成し、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)は、光誘起音響信号を処理して光音響画像を生成する。一実施形態において、超音波機器(150)及び光音響処理並びにオーバーレイシステム(140)は、両方が組み合わされた機能を実行する統合システムに組み合わせられ得る。上述のように、一実施形態において、プローブ(102)により検出され且つ電気路(108)を介してコンピューティングサブシステム(128)に送られる超音波を表わす電気信号は、信号が超音波刺激又は光刺激から結果として生じるかどうかに従い、中継システム(110)を介して超音波機器(150)と光音響機器(140)との間で切り替えられる。
【0025】
一実施形態において、超音波誘起のデータを反映する断層画像が、超音波機器(150)により生成され、光刺激のデータを反映する断層画像が、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)により生成される場合がある。
【0026】
光音響処理及びオーバーレイシステム(140)により生成される、断層画像を含む画像は、捕捉された画像データの順序又は時間及び日付に関連したデータと共に、そのシステム中のコンピューターメモリーに格納され得る。超音波機器(150)により生成される、断層画像を含む画像は、適切なインターフェース(170)を介して光音響処理及びオーバーレイシステム(140)に伝送され、そこで、それらは、時間同期された方法で、光刺激のデータから精製された画像と共に格納され得る。一実施形態において、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)のメモリに格納される画像は、別のメモリ、例えば、装置の内部又は外部にある不揮発性メモリに記録され得る。
【0027】
一実施形態において、光音響処理及びオーバーレイシステム(140)は、メモリ内の格納及び/又は1以上のモニタ(112)、(114)上での表示のために、光音響機器(140)により生成される画像を、超音波機器により生成される画像と重ね合わせることができる。一実施形態において、重ね合わせた光音響画像は、超音波画像と区別するために別個の色で表示される場合がある。一実施形態において、重ね合わせた光音響画像は、例えば血液酸素化などの、光音響撮像を通じて識別できる詳細に対応するカラーを含む場合がある。一実施形態において、酸素化血液が青より赤で示され、一方で非酸素化血液が赤より青でより多く示される。本明細書で使用されるように、重ね合わせたという表現は、画像の従来の重ね合わせと同様に混合による画像の結合を含む。
【0028】
一実施形態において、装置(100)は、装置のモダリティの1つ(即ち、超音波又は光音響)に関連したデータを連続して生成及び取得するシーケンスを含むサイクルで動作するように構成される。装置のモダリティの動作間の最小時間間隔は、装置(100)の構成要素、及び完全に実行し且つ使用のために再利用するそれらの性能に依存する。一実施形態において、ユーザーは、次のものなどの様々な事前プログラムされたサイクル間で選択することができる:超音波のみ;波長1のみ;波長2のみ;波長1及び2;及び超音波が続く波長1及び2の多数の反復。他の組み合わせが当業者に明白となる。一実施形態において、追加のサイクルがマシンのオペレータにより追加され得る。一実施形態において、サイクル全体のデータ収集は通常、体積(160)のほぼ同じ部分に向けられ、且つ素早く連続して遂行されることを意図されている。一実施形態において、装置(100)のサイクルは通常、上述のように、毎秒1乃至50の範囲、より典型的には毎秒2乃至20の範囲である。最大サイクル周波数はサイクル及びモダリティの機能によってのみ限定される。
【0029】
一実施形態において、装置(100)のディスプレイ(112)、(114)は、選択された動作サイクルに依存する様々な情報を示すように構成され得る。一実施形態において、任意のディスプレイ(112)、(144)、又はディスプレイの一部は、以下の少なくとも1つを示すことができる:超音波画像のみ;第1の波長応答のみの画像;第2の波長応答のみの画像;組み合わせた第1及び第2の波長応答の画像;及び/又は、オーバーレイ超音波映像及び波長応答もしくは組み合わせた波長応答画像。組み合わせた第1及び第2の波長画像は、画像を提供するために、微分又は他の組み合わせの平均を含む場合がある。一実施形態において、画像は、サイクル内の別個のデータ集合の各々に対応するか、又はそれらの一部もしくは全ての間の合計又は差異に対応して表示され得る。
【0030】
一実施形態において、装置は、三次元データ収集動作、超音波刺激に応答した1相生成及びデータ収集、光の第1の波長に応答した1相生成及びデータ収集、及び光の第2の波長に応答した1相生成及びデータ収集を使用して、動作され得る。
【0031】
適切な波長を使用すると、光音響は体積(160)内の血液の識別に効果的であり、複数の波長の使用は、酸素化及び非酸素化血液を容易に区別するために使用され得る。同様に、適切な波長を使用すると、光音響は、体積(160)内の局所的ヘモグロビン含有量を測定するのに効果的である。故に、例えば、悪性腫瘍は、血液濃度の増加及び酸素化の低減により特徴化されるが、そのような血液濃度の増加により特徴化されず且つより正常な酸素化を有する、良性腫瘍とは大きく異なって光音響画像に現れる。更に、光の特定の波長は、様々な生物組織及び臓器をより良く区別するために選択され得る。赤外線、近赤外線、及び可視波長の大きなスペクトルは、生物学的実体内に光音響応答を生成することができるが、酸素化血液は、約1064nmの波長を持つ光源に対して、非酸素化血液よりも光音響的に応答し、他方、非酸素化血液は、757nmの波長を持つ光源に対して、酸素化血液よりも光音響的に応答する。装置(100)に使用される光の数及び特定の波長は、体積の構造、及び対象である標的のタイプに従って選択される。
【0032】
図3は、
図2に示されるプローブ(102)の実施形態の分解図を示す。シェル(302)、(304)が、プローブ(102)内の構成要素を示すために分離される。シェル(302)、(304)は、プラスチック又は他の適切な材料で作られる場合がある。光、特に、光サブシステム(129)により生成される光に晒されるシェル(302)、(304)の表面は、好ましくは、反射(即ち、明るい色)材料であり、且つ光を散乱(即ち、1と10の間の散乱係数を有する)する。一実施形態において、シェル(302)、(304)の表面は高反射性であり、即ち75%超の反射性である。一実施形態において、シェル(302)、(304)の表面は非常に高反射性であり、即ち90%超の反射性である。一実施形態において、シェル(302)、(304)の表面は低光吸収、即ち25%を未満の吸収性を持つ。一実施形態において、シェル(302)、(304)の表面は非常に低光吸収、即ち10%未満の吸収性を持つ。加えて、シェル(302)、(304)を形成する材料は、音響エネルギーを反射又は伝送するのではなく、吸収するために、音響的に吸収性でなければならない。一実施形態において、白いプラスチックシェル(302)、(304)が使用される。
【0033】
一実施形態において、フレックス回路(312)は、ケーブルコネクタ(314)を、超音波トランスデューサ(310)を形成する圧電超音波トランスデューサ要素の配列(図示せず)に接続する、複数の電気配線(図示せず)を含む。一実施形態において、フレックス回路(312)は折り畳まれてバッキング(311)の周囲に巻かれ、シリコンなどの結合剤を使用してそれに固定される場合がある。一実施形態において、ブロック(313)が、圧電気超音波トランスデューサ要素の配列の反対側でバッキング(311)に固定される。一実施形態において、超音波トランスデューサ(310)は少なくとも128のトランスデューサ要素を含むが、追加の要素が装置(100)の撮像の歪みを減らし、及び/又は解像度、制度、及び/又は深さを増加する場合があるため、多数のトランスデューサ要素を持つことが望ましい場合もある。ケーブルコネクタ(314)は電気路(108)に、電気配線、及び故に超音波トランスデューサ(310)を動作自在に接続する。一実施形態において、電気路(108)は、超音波トランスデューサ配列(310)内に各超音波トランスデューサ要素に対する同軸ワイヤを含む。
【0034】
超音波トランスデューサ(310)は、トランスデューサ要素が音響レンズ(205)にごく近接しているか、又はそれに接触するように、ハウジング(316)内に適合する。音響レンズ(205)は、室温加硫(RTV)シリコンゴムなどのシリコンゴムを含む場合がある。一実施形態において、ハウジング(316)及び音響レンズ(205)は、同じRTVシリコンゴム材料から単一ユニットとして形成される。一実施形態において、超音波トランスデューサ(310)、フレックス回路(312)の一部、バッキング(311)、及びブロック(313)は、トランスデューサ組立体(315)を形成するためにシリコーンなどの適切な接着剤を使用して、音響レンズ(205)を含むハウジング(316)内に固定される。ブロック(313)は、他の構成要素にトランスデューサ組立体(315)を取り付ける又は固定するために使用され得る。
【0035】
RTVシリコンゴム音響レンズ(205)及び/又はトランスデューサ組立体(315)上の光サブシステム(129)により発生された光を白くして、光音響効果を減少させるために、一実施形態において、音響レンズ(205)及び/又はトランスデューサ組立体(315)を形成するRTVシリコンゴムが、TiO2をドープされる。一実施形態において、音響レンズ(205)及び/又はトランスデューサ組立体(315)を形成するRTVシリコンゴムは、約4%のTiO2をドープされる場合がある。一実施形態において、音響レンズ(205)の外面及び/又はトランスデューサ組立体(315)の外面は、付加的に又は代替的に、真鍮、アルミニウム、銅、又は金などの金属の薄層でコーティングされる場合がある。しかし、金は、RTVシリコンゴムを剥がし落とすか、又はひびを入れる傾向があることが分かっている。RTVシリコンはペリレンで最初にコーティングされ、次いで金でコーティングされ、最後に再びペリレンでコーティングされることが見られた。複数の層状化は、超音波を検出するために、音響レンズ(205)の音響特性に実質的に如何なる悪影響も及ぼすことなく、且つトランスデューサ組立体(315)に実質的に如何なる悪影響も及ぼすことなく、耐久性のある金コーティングを提供する。実際、ニッケルの下及び金の層の上のペリレンコーティングは、それが蒸着される金属又はゴムに上手く付着するのではなく、縁部で丸まる場合があることが分かっている。故に、以下でより詳細に議論されるように、一実施形態において、ペリレンコーティングされた縁部を有する音響レンズ(205)及び/又はトランスデューサ組立体(315)の一部は、丸まり又は剥離を防ぐために他の構成要素に機械的に固定されるように適合される。一実施形態において、音響レンズ(205)を含む、トランスデューサ組立体(315)の外面のほぼ全体は、ペリレン、次いでニッケル、その後に金、そして再度ペリレンの連続的な層でコーティングされる。
【0036】
一実施形態において、反射材料が、その表面上に入射し得る光路(132)からの如何なる光も反射するために、トランスデューサ組立体(315)を、ハウジング(316)の後方端部からフレックス回路(312)の端部まで取り囲む。一実施形態において、RFエネルギーのための電磁シールドが、トランスデューサ組立体(315)を、ハウジング(316)の後方端部からフレックス回路(312)の端部まで取り囲む。一実施形態において、光(130)、(131)は、実質的な電磁RFエネルギーを生成する実質的な(例えば、数ナノ秒に対して1,000ボルトを超える)エネルギープローブ(102)の面積内に引き込む場合がある。一実施形態において、ハウジング(316)の後方端部からフレックス回路(312)の端部までのトランスデューサ組立体(315)は、ホイルに取り囲まれ、それは反射材料及びRFエネルギーシールドとして機能する。一実施形態において、ホイルは、次の群:銅、金、銀から選択される。一実施形態において、ホイルは装置(100)の電気的アースに連結される。
【0037】
スペーサ(320)は、トランスデューサ組立体(315)に関して間隔を空けて、ライトバーガイド(322)を位置付ける。スペーサは、好ましくは、光サブシステム(129)により発生された光に応答するその光音響応答を低減する材料で作られる。一実施形態において、スペーサ(320)は、シェル(302)、(304)の光接触部分と似た材料で作られる。一実施形態において、ライトバーガイド(322)は、光路(132)の一部である光ファイバーを包み込む。一実施形態において、光路(132)を構築する光ファイバーは、ライトバーガイド(322)の全体にわたってランダムに(又は擬似ランダムに)分散され、それにより、光ファイバー束の光受領端部上の特定の位置を、ライトバーガイド(322)により保持された光ファイバーの光放出端部の対応する特定の位置に関して、少なくとも擬似ランダムにする。本明細書で使用されるように、光路(132)を構築するランダムに(又は疑似ランダムに)分散された光ファイバーという用語は、光路(132)内の局所的干渉(例えば、隣接した光ファイバーの群のバーンアウト)、又は局所的現象(例えば、光路(132)へのエントリポイントでの不均一な光)が、伝送される電力全体に影響を及ぼすが、光路(132)の遠位端の任意の特定部分に操作上著しい影響を及ぼさないように、近位端から遠位端までのファイバーのマッピングが行われることを意味する。故に、近位端で隣接した2本の光ファイバーが、光路(132)の遠位端部で隣接する可能性は低い。光ファイバー束が近位端及び遠位端部で融着される場合、ランダム化は、少なくとも1つの端部が融着される前に行われねばならない。本明細書で使用されるように、ランダムに(又は擬似ランダムに)分散された光ファイバーという用語は、2つの異なる光路(132)(即ち、異なる装置(100)に対する)が互いに異なっていなければならないことを、意味してはいない。言い換えれば、単一の「ランダムな」マッピングは、異なる装置(100)の光路内で再生成されるが、依然としてランダム化されている基準を満たしている場合がある。光が一般にガウス方式で動作するので、光路(132)へのエントリポイントは典型的に、決して完全に均一ではない。ランダム化は、上述のように、光路(132)への光の不均一な入射に対応する場合がある。ランダム化はまた、非仮フルエンスをより均一に分散するのを支援するので、非仮フルエンスの照射された面積にわたる均一化も提供する場合がある。
【0038】
一実施形態において、ライトバーガイド(322)により包み込まれる光ファイバーは全て、ほぼ同じ形状表面、例えば曲面又は平面上で終わる。1つの実施形態において、ファイバーがライトバーガイド(322)に付けられた後、ファイバー端は、光放出のより均一な角度をもたらすために、ラップ(lapped)及び研磨される場合がある。一実施形態において、ライトバーガイド(322)は、組み立てられたプローブ(102)に設置されると、そこから放出される光を、プローブ(102)の遠位面に対して垂直にわずかに満たない角度で、具体的には、音響トランスデューサ配列(310)の中心に対して垂直且つ交差する平面に向かって、内側にわずかな角度で向ける。一実施形態において、光路(132)の遠位端は、音響トランスデューサ配列(132)の形状に合致、又はほぼ近似するものとする。
【0039】
本明細書で「ライトバーガイド」として使用されるバーという用語は、特定の形状を取り込むことを意図していない。例えば、ライトバーガイド(322)は、光ファイバーの遠位端を、例えば、限定されないが、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、又は任意の不規則な形状に導く場合がある。
【0040】
一実施形態において、1以上のライトバーガイド(322)及び光学窓(203)は、音響トランスデューサ組立体(315)を収容するシェル(302)、(304)の外側にあり、且つシェル(302)、(304)の1以上の外側に付けられるように適合される。
【0041】
一実施形態において、光学窓(203)から放出される光の角度は調整自在であってもよい。一実施形態において、光学窓(203)から放出される光は、ある範囲にわたって調整自在であってもよい。範囲の一端では、プローブ(102)の遠位面に垂直な方向で光が光学窓(203)から放出され、範囲のもう一端では、音響トランスデューサ配列(310)の中心に垂直且つ交差する面に向かって最大45度以上の内側角度で光が光学窓(203)から放出される。範囲は更に狭いか、又は更に広い場合がある。
【0042】
プローブが2つの光学窓(203)を持つ実施形態において、両方の光学窓(203)から放出される光の角度は、個々に又は一緒に調整自在であり得る。両方の光学窓(203)から放出される光の角度を一緒に調整する場合、光の方向は、各事例において、音響トランスデューサ配列(310)の中心に垂直且つ交差する面に向かっての投影である、内側投影の角度を増加又は減少する。このように、より大きな光フルエンスが、体積(160)へ(垂直方向に曲げることにより)より深くに、又は(より内側に曲げることにより)より深く、向けられ得る。
【0043】
光の角度の方向の制御は、光ガイド(322)を移動させることにより行われ、或いは、光路(132)の後の光学素子(optics)の使用を介して光学的に達成され得る。光学的解決策は、光路(132)を介して伝送された光を再配向するための1以上のレンズ及び/又はプリズムの使用を含み得る。再配向された光は、トランスデューサ要素(310)の直下の面積などの所望の面積を照射するように向けられ得る。プローブ(102)により伝送された光の方向の制御は、安全性を維持し、且つ皮膚とトランスデューサに関して光の方向を最適化するのに有用である。
【0044】
制御線(109)は、光の方向を変えるコマンドを送信し、及び/又は光パルスが光路(132)から放出される時に光の実際の方向を報告するために使用され得る。光学窓(203)から放出される光の角度は、光パルスから結果として生じる音響的情報を解釈する際に、考慮すべき重要なデータの場合がある。
【0045】
一実施形態において、装置(100)は、プローブ(102)から放出されるレーザー光の入射角を調整することができる。プローブ(102)から放出されるレーザー光の入射角の調整は、制御線(109)を介して送られるコマンドの制御下で実行されるか、又は集合で実行される場合がある。一実施形態において、スタンドオフが、例えば、入射するレーザー光を、所望の深さに、又はスタンドオフ無しで達成され得る表面に近接して向けるのを支援するために使用される場合がある。一実施形態において、スタンドオフは、音響と光の両方に対して、好ましくは、超音波範囲の音響、及び光源(129)により利用される1以上の波長の光に対して、比較的透過的である。スタンドオフの使用は、超音波解像度がそのトランスデューサからの公称距離で物体を検出する性能を欠いているため、体積(160)の表面に近接する物体の撮像を支援するための超音波適用において知られる一方で、本出願でのスタンドオフの使用は、異なる目的、即ち、光源をトランスデューサ要素(310)の真下に向けることを可能にするためのものである。一実施形態において、スタンドオフは、プローブ(102)から分離しており、体積(160)と、音響レンズ(205)及び1以上の光学窓(203)を含むプローブ(102)の遠位端部との間に配される。一実施形態において、スタンドオフはプローブに統合され、且つ必要に応じて適所に動かされて取り外される場合がある。
【0046】
光学窓(203)は、プローブ(102)の組立体の一部でもある。一実施形態において、光学窓(203)は、ライトバーガイド(322)の端部から、故に、光路(132)を構築する光ファイバーの端部から間隔を空けている。光学窓という用語は、本明細書で使用されるように、機械的又は光学的に平らな光学的物質にも、単に透明な光学的物質にも、限定されない。代わりに、この用語は、光にそれを通過させることもあればさせない場合があるが、光路(132)に近位の窓の側面上に入射する光の少なくとも実質的な部分が、光学要素の特性に依存した方法でプローブ組立体(102)を出るのを可能にする、光学要素に言及するために使用される。一実施形態において、光学窓(203)は透明でもよく、それは、プローブ(102)の遠位端が体積(160)に接触している又はごく近接している場合に、光、特に光路(132)の端部から体積(160)まで放出される光の伝送を可能にする。一実施形態において、光学窓(203)は半透明でもよく、それは、プローブ(102)の遠位端が体積(160)に接触している又はごく近接している場合に、光、特に光路(132)の端部から体積(160)まで放出される光の拡散及び伝送を可能にする。一実施形態において、光学窓(203)はレンズでもよく、それは、プローブ(102)の遠位端が体積(160)に接触している又はごく近接している場合に、光、特に光路(132)の端部から体積(160)まで放出される光の成形及び方向付けを可能にする。
【0047】
組み立てられたプローブ(102)において、光学窓(203)の1つの縁は、トランスデューサ組立体(315)にごく近接しているか、又は接触している。トランスデューサ組立体(315)に対する光学窓(203)の近接は、光学窓(203)から放出される光が、音響レンズ(205)に近い、故にトランスデューサアレイ(310)の面に近い場所から放出されることを可能にする。
【0048】
使用時に、カップリング剤(例えばゲル)が、プローブ(102)の遠位端と体積(160)との間の音響接触を改善するために使用される場合がある。カップリング剤が光路(132)を形成する光ファイバーの遠位端と接触すれば、外部からの音響信号が、光路(132)を通じて伝送される光に応じて生成される場合がある。一実施形態において、光学窓(203)を含むプローブ(102)の遠位端は、カップリング剤と光ファイバーの遠位端との間に間隙を作り出すことにより、光路(132)から放出される光に応答してカップリング剤の潜在的な音響効果を軽減する。
【0049】
図4は、
図2に示されるプローブなどの、組み立てられたプローブ(102)の一実施形態の広い方の面の中心線に沿って取られた断面図を示す。シェル(302)、(304)は、プローブ(102)の遠位端において光学窓(203)及びトランスデューサ組立体(315)を支持する。トランスデューサ組立体(315)及びシェル(302)、(304)により支持されたスペーサ(320)は、光学窓(203)及びライトバーガイド(322)の位置決め、及びライトバーガイド(322)と光学窓(203)との間でのギャップ(402)の維持を支援する。
【0050】
光路(132)を構築する光ファイバーの遠位端は、それらが体積(160)への、又は音響トランスデューサ(310)への物理的音響伝導路を作り出さないように、位置付けられる場合がある。一実施形態において、ギャップ(402)は、光路(132)を構築する光ファイバーの遠位端と体積(160)又は音響トランスデューサ(310)との間の高周波数音響伝導路を防ぐための役割を果たす。以下に記載されるように、ライトバーガイド(322)が、光学窓(132)の遠位端と体積(160)又は音響トランスデューサ(310)との間の物理的な音響伝導路を低減及び/又は最小化するのを確実にするために、特別に選択された材料が使用できる。
【0051】
フレックス回路(312)は、その上の圧電トランスデューサ要素(図示せず)と共に、バッキング(311)の周囲に巻き付いて、圧電トランスデューサ要素をフレックス回路の各端部でケーブルコネクタ(314)と電気接続する。
【0052】
シェル(302)、(304)内の開口部(404)は、プローブ(102)の内部に入るための、光路(132)(
図1)、電気路(108)(
図1)、及び任意選択の電力並びに制御線(109)(
図1)に対する開口部を設ける。一実施形態において、ゴム製グロメット(図示せず)が、開口部(404)を通ってプローブ(102)に入る経路又は線に、安定性及び張力緩和を提供するために使用される場合がある。
【0053】
図5Aを参照すると、10本の光ファイバーの端部にごく近接して表面に当たる光の典型パターンが示されている。今日、標準の合理的に柔軟な光ファイバーは、直径が、約50~200ミクロンの範囲である。光ファイバーを出る光は、ゆっくりと拡がる傾向があり、例えば、
図5Bにおける光ファイバーの端部を離れた後に拡がる光の実例を参照されたい。光ファイバーを離れた光ビームの拡張率は、光ファイバーの直径及び光ファイバー材料の屈折率の関数である。光ファイバーの群が、照射される表面にごく近接して置かれる場合、
図5Aに見られるような光パターンが結果として生じる。
【0054】
一実施形態において、より小さな直径を持つ光ファイバーが、照射される面積を拡大し、光路(132)の重さを最小限にして可撓性を向上させるために採用される。光は、それが光ファイバーを出ると発散し、それが出るときの発散は、ファイバーの直径に反比例する、言い換えれば、光は、より小さな直径の光ファイバーから出ると、より速く発散する。従って、例えば、50ミクロン未満、及び潜在的に30ミクロン未満の範囲の光ファイバーが、照射される面積を拡大するために望ましい場合があり、従って、ビーム拡大器の必要性を減らすか、又は潜在的に除外する。一実施形態において、光路(132)を構成する光ファイバーの1以上の群の遠位端が、
図5Aに示す光の特徴的なパターンを回避するために融着される場合がある。
【0055】
一実施形態において、光音響プローブは、照射される体積の表面上に入射する比較的均一な配光を発生するものとする。光音響プローブが、比較的大きい面積の配光を発生することも望ましい場合がある。比較的大きくて均一な配光は、照射される表面の任意の所与の面積上で特定の光フルエンスを超えることなく、光音響プローブが、最大量のエネルギーを伝達できるようにするが、それは、患者の安全性を最大限にし、及び/又は信号対ノイズ比を向上できる。これらの理由のために、光ファイバー端部を、照射される体積の表面にかなり近接して配置し、従って、
図5Aに見られるような、小さいか、又は不均一な配光を得ることは望ましくない。
【0056】
一実施形態において、光ファイバーは、照射される体積の表面から離される場合がある。光ファイバーの端部を、照射される体積の表面から離すと、各光ファイバーから放出されたビームが拡張されて、配光のより均一な面積を生じるであろう。光ファイバーを、照射される体積の表面から離すことに関連した1つの潜在的な問題は、拡張するビームの漂遊部分によって生じる光音響効果である。別の潜在的な問題は、(光ファイバーの端部と、照射される表面との間の)距離を拡大することの、プローブの形状又はサイズへの影響である。更に、光ファイバーの数を増加する(従って、光を放出するファイバー束の面積を拡大する)と、光路(132)(
図1)の費用、重さ及び可撓性が増加して、プローブのサイズにも影響する場合がある。
【0057】
プローブ(102)がハンドヘルドであるように設計されている実施形態において、プローブの柄(プローブ(102)のより狭い近位部)が体積(160)の表面に比較的近接するように、プローブのヘッド(プローブ(102)のより広い遠位部)を短く保つことが望ましい。加えて、プローブ(102)がハンドヘルドであるように設計されている場合、その全体の厚さも、快適さ、便利さ、及び操作有効性に対する考慮事項である。従って、光路(132)を形成する光ファイバーの遠位端を、光学窓(203)から十分な距離に配置して、光学窓(203)を均一な光フルエンスで満たすような拡大を可能にすることは、推奨されない。同様に、非常に多くのファイバーを使用して、光路(132)の遠位端でライトバーガイド(322)によって保持されるファイバー束の面積を拡大し、それにより、光学窓(203)を均一な光フルエンスで満たすような拡大を可能にしようと試みることも、特に、過度の重さ、不撓性、サイズ、及び費用を生じかねないので、推奨されない。更に、光学窓(203)のサイズの削減は、装置の潜在的な総安全エネルギー出力を減少させるので、推奨されない。
【0058】
図6B及び
図6Cを参照すると、一実施形態において、ビーム拡大器(601b)、(601c)が、光のビームを拡大するために使用される場合があり、光のビームを短い距離を経てより均一にする。
図6Bは、すりガラス又は艶消しガラスビーム拡大器(601b)の使用を示し、他方、
図6Cは、レンズビーム拡大器(601c)の使用を示す。一実施形態において、ライトバーガイド(322)が概ね矩形の場合、レンズビーム拡大器(601c)は、円筒状凸レンズ又は円筒状凹レンズでもよい。一実施形態において、凸レンズ(図示せず)がビーム拡大器として使用される場合がある。当業者には、他のレンズ、レンズシステム、又は他の光学システム、或いはそれらの組み合せが、光を発散させ、より均一に分散させるために使用できることが明らかであろう。
【0059】
図4を再度参照すると、一実施形態において、ライトバーガイド(322)は、ファイバーの遠位端を保持する端部上の超音波撮像面に向かって内側に曲げられる。ライトバーガイド(322)の遠位端が内側へ曲がっていることは、そこから放出される光が、光学窓(203)をより良く満たし、従って光学窓(203)に均一に照射することを可能にする。ギャップ(402)は、ビーム拡大器を含み得るが、光路(132)を通じて伝送された光が、光学窓(203)を満たすように拡大するためのスペースを提供する場合がある。内側に曲がっていることは、体積(160)の表面上に入射する光の方向を、垂直に満たない角度で表面に当てるようにし、従って、潜在的に、超音波トランスデューサ(310)を覆う音響レンズ(205)の下の体積により良く伝搬させる傾向がある。
【0060】
図1に戻ると、プローブ(102)は、ハンドヘルド使用が意図されているので、光路(132)、電気路(108)、及び任意選択の電力並びに制御線(109)の重さと可撓性は、考慮事項であり得る。一実施形態において、光路(132)をもっと軽く且つもっと柔軟にするために、光路(132)は、できる限り少ないファイバーで構築される。使用できるファイバーの数をどれだけ少なくするかの制限要因は、光路(132)にわたって搬送される光の量である。ファイバーを通して伝送される光が多すぎると、ファイバーを損傷することになる。光路(132)は、体積(160)の表面上のフルエンスとなる光に、光源(129)と、照射される体積(160)の表面との間で失われる(例えば、吸収又は散乱される)全ての光を加えた総量を搬送する必要がある。照射される最大面積は、光学窓(203)のサイズを超えないことが知られているので、そして照射される最大面積は、単位面積あたりのフルエンス制限を受けるので、光路(132)によって搬送される総光エネルギーは、フルエンス制限に光学窓(203)のサイズを乗じることによって概算できる。FDAは、フルエンスの人間に安全なレベルに対する数を提供する。
【0061】
照射される体積(160)は、一般に、それ独自の光音響応答を有するが、それは、光フルエンスが最大であるところ、即ち、体積(160)の表面で、特に明らかである。体積(160)の表面に照射される面積が(例えば、光学窓(203)のサイズ及びビームを増やすことにより)増えると、体積(160)自体の表面によって生成された光音響影響が減り、従って、不均質性(161)、(162)を表す所望の信号と比較して、体積(160)自体の表面によって生成された望ましくない光音響信号を減らす場合がある。
【0062】
体積(160)自体の表面によって生成された不必要な光音響信号に加えて、光学窓(205)とそれぞれのライトバーガイド(322)との間のスペースを囲む側壁、音響レンズ(205)、及びトランスデューサハウジング(316)の一部などの、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号の他の原因があり得る。光学窓(203)及びいずれの任意選択のビーム拡大器(601b)、(601c)も、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号の原因であり得る。
【0063】
一実施形態において、光学窓(205)とそれぞれのライトバーガイド(322)との間のスペースを囲む壁は、高吸音特性を有し、及び/又は白くて、及び/又は高光散乱並びに/若しくは反射特性を有する、材料から作られ得る。これらの特性を有する材料を使用すると、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号が減らされる場合がある。一実施形態において、スペーサ(322)は、Micro-Mark CR-600、乾くと白色になる2部分の高性能注型用樹脂などの、樹脂材料から作ることができる。
【0064】
一実施形態において、高吸音特性を有し、及び/又は白くて、及び/又は高光散乱特性を有する材料の層(図示せず)が、組み立てられたプローブ(102)内でトランスデューサ組立体(315)とライトバーガイド(322)との間に配置される。代替的に、その層は、組み立てられたプローブ(102)内で2つの部分が接触する場所で、トランスデューサ組立体(315)又はライトバーガイド(322)に直接適用されてもよい。この層は、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号を減らす場合がある。一実施形態において、その層は、Micro-Mark CR-600、乾くと白色になる2部分の高性能注型用樹脂などの、樹脂材料から作ることができる。一実施形態において、その層(図示せず)は、反射コーティングも含む場合がある。一実施形態において、金の反射コーティングがその層に適用され、そうでなければその層に当たる光を反射する。
【0065】
一実施形態において、非反射コーティングが、光学窓(203)及び/又はビーム拡大器(601b)、(601c)の光音響的特性を減らすために使用されてもよい。一実施形態において、フッ化マグネシウムが、光学窓(203)及び/又はビーム拡大器(601b)、(601c)上の非反射コーティングとして使用されてもよい。非反射コーティングは、光学窓(203)によって吸収されるか反射されるエネルギーを減少及び/又は最小限にするために使用される場合がある。
【0066】
一実施形態において、トランスデューサ組立体(315)及び/又は音響レンズ(205)の光音響的シグネチャが、白化によって低減され得る。一実施形態において、RTVシリコンゴムを含む音響レンズ(205)が、約4%のTiO2をドープされることにより、白化されて、その光音響的シグネチャが低減され得る。TiO2をドープすることは、音響レンズの反射率、従って、吸収を向上させ、また、RTVシリコンゴムの光音響応答を拡散する傾向がある散乱効果も有していて、その応答を、より容易にフィルタ処理できる低い周波数に下げることが考えられる。上述のように、トランスデューサ組立体(315)及び/又は音響レンズ(205)の外面に、金、銅、アルミニウム、又は真鍮などの、金属コーティングが施されてもよい。一実施形態において、金属コーティング、特に、金は、トランスデューサ組立体(315)及び/又は音響レンズ(205)の光音響的特性を減少させる。金は、光スペクトルにおけるその高反射率のために、音響レンズ(205)の光音響的特性を減少させることが考えられる。
【0067】
前述のように、光路(132)の端部の光ファイバーが、ライトバーガイド(322)によって保持されて、ライトバーガイド(322)によって保持される全てのファイバーが実質的に同じ平面上に配置される。一実施形態において、ファイバー端部が、機械力、接着剤、又は機械力並びに接着剤の組み合せを使用して適所に固定される場合がある。ファイバーは、それらを所望の位置及びパターンに保つため、及び/又はレーザー発射に起因する機械的エネルギーの出力を減らすために、それらの遠位端の近くで接着される場合がある。一実施形態において、ライトバーガイド(322)内で固定された光ファイバー間のスペースが、次の特性の1以上を有する材料で充填されてもよい:吸音、光散乱、白及び/又は光反射。一実施形態において、光路(132)の遠位端でライトバーガイド(322)によって包み込まれ得る、光ファイバーが融着される。光路(132)の遠位端でのファイバーの融着は、光路から放出される光がより均一にされるのを可能にすることができる。
【0068】
一実施形態において、反射コーティングは、組み立てられたプローブを含む、シェル(302)、(304)の、光路(132)から発散するレーザー光がその上に当たり得る面積上に、並びに、皮膚を、例えば、光学窓(203)及びプローブ(102)の遠位端の他の部分の近くに接触させるように設計された面積内に、配置される。一実施形態において、シェル(302)、(304)は、光路(132)から発散するレーザー光がそれに当たるか、又はそれに当たる可能性がある場所に、金でコーティングされる。一実施形態において、シェル(302)、(304)の一部が金で作られてもよいが、現在のところ、これは法外な費用がかかるかもしれない。
【0069】
一実施形態において、近接検出器システム(図示せず)が、プローブ(102)の遠位端が体積の表面の上又はごく近くにあることを判断するために使用される。理由の中で特に、そのような近接検出器システムが望ましいのは、プローブ(102)が、検査中又は検査される予定の体積(160)にそれほど近接していない場合に、光源(129)がパルスを発するのを防ぐために、それを使用できることである。これは、光源(129)が、例えば、目に害を及ぼし得るレベルで光を発生し得るので、安全性の問題であり得る。近接検出器システムは次の形で実現されてもよい:プローブの遠位端における機械的接触スイッチ;無害のビームの反射を体積(160)の表面から見る光学的スイッチ;体積(160)及び/又は体積(160)とプローブの遠位端との間の任意の音響ジェル又は他の材料との接触によって閉じられる伝導性スイッチ;伝導性スイッチ及びプローブ(102)の遠位端との接触用の導電性表面を含むスタンドオフ;伝導性スイッチ及び対象の体積(160)の表面に適用された薄い、光学的且つ光音響的に透明な導電性表面;特定の時間内で音を伝導し、その反射を探すことによって、体積(160)の近接近を検出できる音響トランスデューサスイッチ;狭い形状の音声送信器及び受信器の使用並びに近接を検出するための反射の使用によって、体積(160)の近接近を検出できる音響トランスデューサスイッチ;信号リターンを探すことにより、トランスデューサ配列内の1以上のトランスデューサを近接検出器として使用すること;又は装置(100)を超音波モードで操作して、超音波画像を探すことによる。
【0070】
一実施形態において、出力エネルギーがそこから推定又は推測できる測定値を取得するために、光学検出器(図示せず)がプローブ(102)内に配置される場合がある。一実施形態において、光学検出器は、ビーム拡大器又は光学窓によって反射されたエネルギーなどの、反射エネルギーを測定する。一実施形態において、光学検出器は、ギャップ(402)を取り囲む材料によって散乱されたエネルギーなどの、散乱エネルギーを測定する。光学検出器の測定値は、制御信号線(109)を経由してシステム筐体(101)に伝達でき、そこで、プローブ(102)の光出力を推測又は推定するために分析され得る。一実施形態において、システム筐体(101)内の制御機能が、光システム(129)の光出力、従って、光学検出器によって行われた測定に基づくプローブ(102)の光出力を制御又は調整できる。一実施形態において、システム筐体(101)内の制御機能が、光学検出器によって行われた測定に基づきプローブ(102)の光出力の変動を補正するために、トランスデューサ受信器内の利得を制御又は調整できる。一実施形態において、コンピューティングシステム(128)は、光学検出器によって行われた測定に基づき、異なる活動を、制御信号線(106)を通じて光システム(129)からトリガーできる。一実施形態において、光学検出器によって出された測定値が、装置(101)に対する電気システム又は電力における変動を制御するために使用され得る。同様に、一実施形態において、光学検出器によって出された測定値が、装置(100)の光路(132)又は他の光学要素における変動を制御するために使用され得る。一実施形態において、光学検出器は、プローブ(102)によって出力された光のフルエンスを、そうでなければ、プローブ(102)によって出力された光のフルエンスが安全限界を超えるか又は遥かに下回る、電気的又は光学的特性における変動に対応することにより、安全限界に近接しているが下回らせるために使用され得る。
【0071】
図7は、プローブの別の実施形態(700)の概略正射影図を示す。
図8は、プローブ(700)の分解図を示す。シェル(702)、(704)、及び他の構成要素が、プローブ(700)内の構成要素をより詳細に示すために分離されている。
図9及び
図10は、組み立てられた状態のプローブ(700)の断面図を示す。
図11は、本明細書で開示される方法及び他の装置に関連して使用され得るプローブの別の実施形態の長さ方向断面図を示す。以下で説明するように、一方で、
図7乃至
図10に示されるプローブ(700)、及び
図11に示されるプローブ(1100)と、他方で、
図3及び
図4に示されるプローブ(102)との間には、様々な重要な違いが存在し、この違いは、限定されないが、トランスデューサ組立体からの窓の物理的分離、音響レンズのための支持ハウジングの短縮、及び重要な点として、スペーサの代わりのアイソレータの使用を含む。
【0072】
図3及び
図4に示すプローブの場合のように、シェル(702)、(704)は、プラスチック又は他の適切な材料から作られてもよい。光、特に光サブシステム(129)により発生される光に晒され得るシェル(702)、(704)の表面は、好ましくは、反射(即ち、明るい色の)材料であり、光を散乱する(即ち、1~10の間の散乱係数を有する)。一実施形態において、シェル(702)、(704)の表面は、高反射性であり、即ち75%超の反射性である。一実施形態において、シェル(702)、(704)の表面は非常に高反射性であり、即ち90%超の反射性である。一実施形態において、シェル(702)、(704)の表面は低光吸収、即ち25%を未満の吸収性を持つ。一実施形態において、シェル(702)、(704)の表面は非常に低光吸収、即ち10%未満の吸収性を持つ。加えて、シェル(702)、(704)を形成する材料は、音響エネルギーを反射又は伝送するのではなく、吸収するために、音響的に吸収性でなければならない。一実施形態において、白いプラスチックシェル(702)、(704)が使用される。
【0073】
フレックス回路(312)と同様に、一実施形態において、フレックス回路(712)は、ケーブルコネクタ(714)を、超音波トランスデューサ(710)を形成する圧電超音波トランスデューサ要素の配列(図示せず)に接続する、複数の電気配線(図示せず)を含む。一実施形態において、フレックス回路(712)は折り畳まれてバッキング(711)の周囲に巻かれ、シリコーンなどの結合剤を使用してそれに固定される場合がある。一実施形態において、ブロック(713)が、圧電気超音波トランスデューサ要素の配列の反対側でバッキング(711)に固定される。一実施形態において、超音波トランスデューサ(710)は少なくとも128のトランスデューサ要素を含むが、追加の要素が装置(100)の撮像の歪みを減らし、及び/又は解像度、制度、及び/又は深さを増加する場合があるため、多数のトランスデューサ要素を持つことが望ましい場合もある。ケーブルコネクタ(714)は電気路(108)に、電気配線、及び故に超音波トランスデューサ(710)を動作自在に接続する。一実施形態において、電気路(108)は、超音波トランスデューサ配列(710)内に各超音波トランスデューサ要素に対する同軸ワイヤを含む場合がある。
【0074】
包囲部(716)が、超音波トランスデューサ(710)にごく近接しているか、又は接触して配置されている音響レンズ(705)を取り囲む。音響レンズ(205)及びハウジング(216)に関して上述のように、音響レンズ(705)及び包囲部(716)は、室温加硫(RTV)シリコンゴムなどの、シリコンゴムを含み得る。一実施形態において、包囲部(716)及び音響レンズ(205)は、同じRTVシリコンゴム材料から単一ユニットとして形成されてもよい。一実施形態において、超音波トランスデューサ(710)が、シリコーンなどの適切な接着剤を使用して、音響レンズ(705)の背後に固定される。従って、トランスデューサ組立体(715)は、包囲部(716)、音響レンズ(705)、超音波トランスデューサ(710)、フレックス回路(712)及びそのケーブルコネクタ(714)、バッキング(711)、並びにブロック(713)を含む場合がある。一実施形態において、バッキング(711)又はブロック(713)は、トランスデューサ組立体(715)を他の構成要素に取り付けるか、又は固定するために使用され得る。
【0075】
図3及び
図4に示す実施形態と同様に、RTVシリコンゴム音響レンズ(705)及び/又は包囲部(716)上の光サブシステム(129)によって発生された光を白くして、光音響効果を減少させるために、一実施形態において、音響レンズ(705)及び/又は包囲部(716)を形成するRTVシリコンゴムに、TiO
2がドープされる場合がある。そして、
図3及び
図4に示す実施形態と同様に、一実施形態において、音響レンズ(705)及び/又は包囲部(716)を形成するRTVシリコンゴムに、約4%のTiO
2がドープされ得る。一実施形態において、音響レンズ(705)の外面及び/又は包囲部(716)の外面は、付加的に又は代替的に、真鍮、アルミニウム、銅、又は金などの金属の薄層でコーティングされる場合がある。一実施形態において、音響レンズ(705)の外面及び/又は包囲部(716)の外面は、先ずペリレンでコーティングされ、次いで、ニッケルでコーティングされ、その後、金でコーティングされて、最後に再びペリレンでコーティングされる場合がある。一実施形態において、ペリレンコーティングされた縁部を有する音響レンズ(705)及び/又は包囲部(716)の一部は、丸まり又は剥離を防ぐために他の構成要素に機械的に固定されるように適合される。一実施形態において、音響レンズ(705)を含む、包囲部(716)の外面のほぼ全体は、ペリレン、次いでニッケル、その後に金、そして再度ペリレンの連続的な層でコーティングされる。一実施形態において、(音響レンズ(705)を含む)包囲部(716)の外面ほぼ全体、並びに包囲部(716)の側面及び下面(音響レンズ(705)の下面ではなく)が、記載したように連続的な層でコーティングされ得る。
【0076】
図3及び
図4に示す実施形態と同様に、包囲部(716)の背後のトランスデューサ組立体(715)の一部は、電磁シールドとしても機能し得る反射材料によって少なくとも一部が取り囲まれる場合がある。
【0077】
しかし、プローブ(102)の設計における実質的な変形例において、プローブ(700)組立体内のアイソレータ(720)は、トランスデューサ組立体(715)を、光学窓(703)及びライトバーガイド(722)、そして一実施形態では拡散器(750)を含む他のプローブ構成要素から物理的に分離させる。更に、一実施形態において、音響レンズ(705)及び包囲部(716)は、プローブ(700)の最遠位構成要素となり、アイソレータ(720)が次に最遠位となり、(存在する場合)窓(703)がそれに対して近位となるように配置される。一実施形態において、アイソレータ(720)は、プローブ(700)の最遠位構成要素となり、音響レンズ(705)の最も外側の凸部が次に最遠位となるように配置される。(
図9に示すような)一実施形態において、音響レンズ(705)の最も外側の凸部は、プローブ(700)の最遠位の構成要素となり、アイソレータ(720)が次に最遠位となり、窓(703)(存在する場合)及び包囲部(716)が、音響レンズ(705)の最も外側の部分及びアイソレータ(720)の双方に近位となるように配置される。この後者の配置は、音響レンズと光学窓(703)との間、又は対象である組織の方へとプローブから出る光の他の位置における音響及び/又は機械的エネルギーの伝播をより効果的に軽減する場合がある。
【0078】
一実施形態において、アイソレータ(720)は、光学窓(703)、拡散器(750)、及び/又は包囲部(716)の位置付け及び/又は固定を支援するように形成される。一実施形態において、アイソレータ(720)は、光学窓(703)、拡散器(750)、及び/又は包囲部(716)の配置及び/又は固定を支援するための隆起部或いは戻り止めを含む。一実施形態において、拡散器(750)は、上述のようなレンズ又はすりガラス或いは艶消しガラスビーム拡大器ではなく、ホログラフィック拡散器でもよい。
【0079】
スペーサ(320)と同様に、アイソレータ(720)は、最終的に、サンプリング中にトランスデューサ(710)に伝送される、光サブシステム(129)によって生成された光に対するその光音響応答を減らす材料で作られる。
図3及び
図4に示すような一実施形態において、スペーサ(320)は、光サブシステム(129)によって生成された光を反射するように白く、それによりスペーサ(320)の光音響応答を減らし、従って、サンプリング中にトランスデューサに伝送される潜在的に干渉する機械的エネルギーを軽減する。この手法からの飛躍的且つ非自明な変形例において、一実施形態では、アイソレータ(720)は、光サブシステム(129)によって生成された光を反射するのではなく吸収するように設計される。一実施形態において、アイソレータ(720)は、光を吸収し、光がトランスデューサ組立体(715)に到達するのを実質的に防ぐだけでなく、吸収した光、同様に周囲構成要素の音響エネルギーに(例えば、機械的に)応答する音響の伝送を弱める材料から製造される。一実施形態において、アイソレータ(720)は、音響サンプリングプロセス中にトランスデューサ(710)に到達し得る、他の構成要素(例えば、窓(703)又は拡散器(750))に由来する任意の光音響応答などの機械的エネルギーの経路に実質的に配置される。一実施形態において、組み立てられると、アイソレータ(720)は、音響トランスデューサ組立体(715)の少なくとも実質的な部分を取り囲む。一実施形態において、組み立てられると、アイソレータ(720)は、音響トランスデューサ組立体(715)を完全に取り囲む。アイソレータ(720)によってトランスデューサ組立体(715)を取り囲み、アイソレータ(720)を、前述の特性を持つ材料から製造することによって、サンプリング中にトランスデューサ(710)に到達する機械的又は音響エネルギーの量が軽減される。
【0080】
一方のアイソレータ(720)と、他方のフレックス回路(712)及びバッキング(711)との間の空間は、例示のためのものである。一実施形態において、アイソレータ(720)は、例えば、2つの構成部品から組み立てられたときにフレックス回路(712)にぴったりと適合するように製造される。そのような実施形態において、アイソレータ(720)を、フレックス回路(712)に固定し、従って、トランスデューサ組立体(715)に固定するために、グルー又は他の接着剤の薄層が使用されてもよい。一実施形態において、噛み合いが正確に合わないものの、アイソレータ(720)と、フレックス回路(712)及び/又はバッキング(711)との間のギャップが、グルー又は接着剤によって少なくても部分的に充填される。
【0081】
一実施形態において、アイソレータ(720)は、そのエネルギーを吸収する材料から製造される。一実施形態において、アイソレータ(720)の製造に使用される材料は、シリコーンゴム、カーボンブラック、及びミクロスフェアから生成される化合物である。
【0082】
図11は、プローブ(1100)の別の実施形態の長さ方向断面図を示す。シェル(1102)、(1104)は、プラスチック又は他の適切な材料から作製されてもよい。光に晒され得るシェル(1102)、(1104)の表面は、反射性又は高反射性でもよく、低光吸収性又は超低光吸収性及び音響吸収性を有する場合がある。一実施形態において、フレックス回路(1112)は、ケーブルコネクタ(1114)を、超音波トランスデューサ(1110)を形成する圧電超音波トランスデューサ要素の配列(図示せず)に接続する、複数の電気配線(図示せず)を含む。一実施形態において、フレックス回路(1112)は、折り畳まれてバッキング(1111)の周囲に巻かれ、シリコーンなどの接着剤を使用して、バッキング(1111)に固定される場合がある。一実施形態において、ブロック(1113)が、圧電超音波トランスデューサ要素の配列の反対側でバッキング(1111)に取り付けられる。ケーブルコネクタ(1114)は、電気配線、従って超音波トランスデューサ(1110)を、電気路(108)に動作自在に接続する。一実施形態において、光路(132)及び電気路(108)は、張力緩和(1101)を通って延びる。
【0083】
音響レンズ(1105)は、超音波トランスデューサ(1110)にごく近接しているか、又は接触して配置される。音響レンズ(1105)は、室温加硫(RTV)シリコンゴムなどの、シリコンゴムを含む場合がある。一実施形態において、超音波トランスデューサ(1110)が、シリコンなどの適切な接着剤を使用して、音響レンズ(1105)の背後に固定される。従って、トランスデューサ組立体(1115)は、音響レンズ(1105)、超音波トランスデューサ(1110)、フレックス回路(1112)及びそのケーブルコネクタ(1114)、バッキング(1111)、並びにブロック(1113)を含む場合がある。一実施形態において、バッキング(1111)又はブロック(1113)は、トランスデューサ組立体(1115)を他の構成要素に取り付けるか、又は固定するために使用できる。
【0084】
一実施形態において、音響レンズ(1105)を形成するRTVシリコンゴムに、TiO2がドープされ得る。一実施形態において、音響レンズ(1105)を形成するRTVシリコンゴムは、約4%のTiO2をドープされる場合がある。一実施形態において、音響レンズ(1105)の外面は、付加的に又は代替的に、真鍮、アルミニウム、銅、又は金などの金属の薄層でコーティングされる場合がある。一実施形態において、音響レンズ(1105)の外面は、先ずペリレンでコーティングされ、次いで、ニッケルでコーティングされ、その後、金でコーティングされて、最後に再びペリレンでコーティングされる場合がある。一実施形態において、ペリレンコーティングされた縁部を有する音響レンズ(1105)の一部は、丸まり又は剥離を防ぐために他の構成要素に機械的に固定されるように適合される。一実施形態において、音響レンズ(1105)の外面のほぼ全体は、ペリレン、次いでニッケル、その後に金、そして再度ペリレンの連続的な層でコーティングされる。一実施形態において、音響レンズ(1105)の(その下面ではなく)実質的に外表面全体が、記載したように連続的な層でコーティングされ得る。音響レンズ(1105)の背後のトランスデューサ組立体(1115)の一部は、電磁シールドとしても機能し得る反射材料によって少なくとも一部が取り囲まれる場合がある。
【0085】
アイソレータ(1120)は、幾つかある選択肢のうち、光学窓(1103)及びライトバーガイド(1122)、一実施形態ではホログラフィック拡散器又はすりガラス若しくは艶消しガラスビーム拡大器でもよい拡散器(1150)などの他のプローブ構成要素から、トランスデューサ組立体(1115)を物理的に分離する。一実施形態において、アイソレータ(1120)は、光学窓(1103)、拡散器(1150)、及び/又は音響レンズ(1105)の位置付け及び/又は固定を支援するように形成される。一実施形態において、アイソレータ(1120)は、光学窓(1103)、拡散器(1150)、及び/又は音響レンズ(1105)の配置及び/又は固定を支援するための隆起部或いは戻り止めを含む。
【0086】
アイソレータ(1120)は、最終的に、サンプリング中にトランスデューサ(1110)に伝送される、光サブシステム(129)によって生成された光に対するその光音響応答を減らす材料で作られる。一実施形態において、アイソレータ(1120)は、光を吸収し、光がトランスデューサ組立体(1115)に到達するのを実質的に防ぐだけでなく、吸収した光、同様に周囲構成要素の音響エネルギーに(例えば、機械的に)応答する音響の伝送を弱める材料から製造される。一実施形態において、アイソレータ(1120)は、音響サンプリングプロセス中にトランスデューサ(1110)に到達し得る、他の構成要素(例えば、窓(1103)又は拡散器(1150))に由来する任意の光音響応答などの機械的エネルギーの経路に実質的に配置される。一実施形態において、組み立てられると、アイソレータ(1120)は、音響トランスデューサ組立体(1115)の少なくとも実質的な部分を取り囲む。一実施形態において、組み立てられると、アイソレータ(1120)は、音響トランスデューサ組立体(1115)を完全に取り囲む。アイソレータ(1120)によってトランスデューサ組立体(1115)を取り囲み、アイソレータ(1120)を、前述の特性を持つ材料から製造することによって、サンプリング中にトランスデューサ(1110)に到達する機械的又は音響エネルギーの量が軽減される。
【0087】
一実施形態において、アイソレータ(1120)は、組み立てられたときにフレックス回路(1112)にぴったりと適合するように製造される。実施形態において、アイソレータ(1120)を、フレックス回路(1112)に固定し、従って、トランスデューサ組立体(1115)に固定するために、グルー又は他の接着剤の薄層が使用されてもよい。一実施形態において、噛み合いが正確に合わないものの、アイソレータ(1120)と、フレックス回路(1112)及び/又はバッキング(1111)との間のギャップが、グルー又は接着剤によって少なくても部分的に充填される。一実施形態において、アイソレータ(1120)は、そのエネルギーを吸収する材料から製造される。一実施形態において、アイソレータ(1120)の製造に使用される材料は、シリコーンゴム、カーボンブラック、及びミクロスフェアから生成される化合物である。
【0088】
<配合物>
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、可撓性キャリア、着色剤、及びマイクロバブルの3種類の主成分から製造される。本明細書で使用されるように、マイクロバブルという用語は、ミクロスフェア、低密度粒子、又は気泡を含む。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとして22gの可撓性材料、混合性を損なうほどではない濃度の少なくとも少量の着色剤(at least a small amount of coloring,but not so much that it thickens past mix-ability)、及び体積で約10%~80%のミクロスフェア、という割合の各成分から製造されてもよい。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとして22gの可撓性材料、混合性を損なうほどではない濃度の少なくとも少量の着色剤、及び小さい気泡で生じる体積で約10%~80%の空気という割合の各成分から製造され得る。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとして22gの可撓性材料、混合性を損なうほどではない濃度の少なくとも少量の着色剤、及び可撓性キャリアと比較して約10%~80%の低密度材料粒子という割合の各成分から製造され得る。
【0089】
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、22gの可撓性材料、約1/16tsp~1tsp(小さじ、約5cc)の着色剤、及び体積で約25%~70%のマイクロバブルの各成分から製造され得る。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、22gの可撓性材料、約1/4tspの着色剤、及び体積で約50%のマイクロバブルの各成分から製造され得る。前述の割合の幾つかは、22gの可撓性キャリアを使用して与えられるが、その数値は例示としてのみ与えられる。特定のサイズのバッチに形成されることではなく、使用する材料の比率の範囲が重要である。
【0090】
一実施形態において、ミクロスフェアは、フェノール、アクリル、ガラス、又は混合物中に気体バブルを生成する任意の他の材料から作られるシェルを有する場合がある。一実施形態において、ミクロスフェアは、小さい個別の中空球である。本明細書において、球(例えば、ミクロスフェア)という用語は、特定の形状、例えば、丸い形状を定義することを意図するものではなく、空隙又はバブルを記述するのに使用され、従って、フェノール性ミクロスフェアは、立方体、球形、又は他の形状でもよい、気体空隙を取り囲むフェノール性シェルを定義する。一実施形態において、マイクロバブルとしてミクロスフェアの代わりに、又はそれに加えて、バブル又は低密度粒子が使用されてもよい。一実施形態において、ミクロスフェア、低密度粒子、又はバブルは、サイズが約10~約250ミクロンの範囲でもよい。一実施形態において、ミクロスフェア、低密度粒子、又はバブルは、サイズが約50~約100ミクロンの範囲でもよい。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、2つ以上の部分から形成される。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、2つの実質的に同一の半片で形成される。
【0091】
一実施形態において、シリコンゴム化合物は、室温で硬化可能な2成分型シリコンゴム化合物でもよい。可撓性キャリアは、シリコーンゴム化合物でもよく、又は高温で硬化するゴム化合物などの他のゴム化合物でもよい。一実施形態において、可撓性材料は、ミクロスフェア、低密度粒子及び/又は気泡並びに着色成分と混合された後、所望の形状にモールド成形、或いは他の方法で形成できる任意のプラスチック材料でもよい。着色剤は、カーボンブラックでも、混合化合物に暗色の光吸収特性を付与するインク又は染料を含む任意の他の適切な着色剤でもよい。
【0092】
一実施形態において、以下の工程を、アイソレータ(720)又は(1120)を製造するために使用できる。薄い剥離層にワセリンなどを塗布することによってモールドが準備され得る。成分が注意深く秤量されて、一定の粘稠度に達するまで混合される。混合速度が高すぎると混合物中に空気が混入されるので、混合に注意を払う必要がある。その後、アイソレータ(720)又は(1120)(或いはその一部)を形成するような適切な形状のモールドに混合物が配置される。一実施形態において、機器を使用して、混合物をモールドの隅部に移動させる。モールドが閉じられて、通気口から余分の材料が排出されるように加圧される。その後、混合物が硬化される。一旦硬化すると、鋳造された部品がモールドから除去され得、周知のように、レザーブレード又は他の機器によって過剰な材料を除去するために洗浄される。洗浄された部分は、石鹸及び水で洗浄され得、アルコールで拭き取られてグリース及び/又は汚れが除去される。
【0093】
一実施形態において、製造された部品の一部は、金又は真鍮粉などの反射性或いは高反射性材料でコーティングされる。一実施形態において、反射性の金コーティングが使用されてもよい。一実施形態において、部品をコーティングするために、適切な金塗装が達成されるまで、少量の金、真鍮、又は他の反射材料に、アクリル樹脂が滴状で追加され得る。一実施形態において、任意の反射塗料、例えば、金色の塗料が使用されてもよい。一実施形態において、人の組織に接触する可能性のあるアイソレータ(720)又は(1120)の遠位端がコーティングされるのを回避するように注意せねばならない。そのようなコーティングを回避するために、アイソレータ(720)又は(1120)の端部に、Teflonテープなどのテープを貼付けてもよい。一実施形態において、金塗料が、アイソレータ(720)又は(1120)の前面及び側面、即ち、トランスデューサ組立体(715)、(1115)を除く、ガラス(703)又は(1103)、拡散器(750)又は(1150)、及び他の構成要素に接触する側面に塗布される。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)の外面の一部は、金塗料の層でコーティングされてもよい。金の堆積も、コーティングを作り出すために使用されてもよい。使用されるキャリア材料に依存して、インターフェース層は優れた金の付着を確保するのに必要な場合がある。
【0094】
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)の一対の半片は、以下の量の以下の構成要素を使用して作られてもよい:
・20gのMomentive RTV 630A シリコーンゴムベース(P/N:038141)
・2gのMomentive RTV 630B シリコーンゴム硬化剤(P/N:038141)
・1/4tspのカーボンブラック(Leco P/N:502-196)
・5tspの70ミクロンフェノール性ミクロスフェア(Eastech P/N:PHENOSET BJO-0840)
材料を徹底的に混合するために、汚染されていない道具を使用する必要がある。良好な結果を得るには、正確な割合のMomentive RTVを使用することが重要である。混合物は、放置後に取り扱いが可能となるのに十分な程度に、一晩又は24時間以内に硬化され得るが、混合物を室温で、又はその前後の温度で完全に硬化するためには、一週間程度要する場合がある。温度の上昇によって硬化プロセスを促進させることができ、従って、例えば、混合物を40~50℃に加熱することにより、数時間以内で取り扱いが可能となり得る。
【0095】
<更なる観察>
マイクロバブルのアイソレータが暗色の材料を必要とすることなく達成され、且つマイクロバブルのアイソレータが着色を必要とすることなく達成される場合があることが、更に発見された。一実施形態において、アイソレータは、中にバブルが形成される実質的に光透過性の材料を含み、そこではバブルが音響エネルギーを吸収する。そのような実施形態において、光吸収面が使用されねばならない。一実施形態において、アイソレータは、中にバブルを形成する光吸収材料を含む場合がある。一実施形態において、アイソレータは、マイクロバブルと結合した時に、音響吸収性、及び光吸収性又は光散乱性の材料から製造される。一実施形態において、アイソレータは、色の無い音響吸収性、及び光吸収性又は光散乱性の材料から製造される。一実施形態において、アイソレータは、色が無く且つ暗色の材料も無い、音響吸収性、及び光吸収性又は光散乱性の材料から製造される。一実施形態において、アイソレータは、反射材料、明るい色の材料、又は黒以外の色の材料を含む。アイソレータの組成の詳細を以下に記載する。マイクロバブルの詳細を含む、アイソレータの他の様相は、上述に見出される場合がある。上記且つ下記の実施形態に着色が使用され得る。
【0096】
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、可撓性キャリア及びマイクロバブルの2種類の主成分から製造される。可撓性キャリアは、マイクロバブルと組み合わされると、音響吸収性、及び光吸収性又は光散乱性の両方である、材料を含む場合がある。本明細書で使用されるように、マイクロバブルという用語は、ミクロスフェア、低密度粒子、又は気泡を含む。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとしての22gの可撓性材料、体積で10%~80%のミクロスフェアという割合の構成要素から製造され、前記可撓性材料は、マイクロバブルと組み合わされると、音響吸収性及び光吸収性又は光散乱性の両方である。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとしての22gの可撓性材料、体積で10%~80%の空気という割合の構成要素から製造され、前記空気は小さなバブルで生じ、前記可撓性材料は、空気と組み合わされると、音響吸収性及び光吸収性又は光散乱性の両方である。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、キャリアとしての22gの可撓性材料、及び約10%~80%の低密度材粒子という割合の構成要素から製造され、前記可撓性材料は、低密度材粒子と組み合わされると、音響吸収性及び光吸収性又は光散乱性の両方である。この点で、用語「低密度」は、可撓性キャリアのものと比較して低い密度(例えば、g/cm3で測定される)を有することを意味する。
【0097】
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、22gの可撓性材料及び体積で約25%~70%のマイクロバブルという構成要素から製造され、前記可撓性材料は、マイクロバブルと組み合わされると、音響吸収性及び光吸収性又は光散乱性の両方である。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)は、22gの可撓性材料及び体積で約50%のマイクロバブルという構成要素から製造され、前記可撓性材料は、マイクロバブルと組み合わされると、音響吸収性及び光吸収性又は光散乱性の両方である。前述の割合の幾つかは、22gの可撓性キャリアを使用して与えられるが、その数値は例示としてのみ与えられる。特定のサイズのバッチに形成されることではなく、使用する材料の比率の範囲が重要である。上述の特定実施形態がマイクロバブルのために可撓性キャリアを利用する一方、他の実施形態は可撓性でないキャリアを利用する。更に、アイソレータ(720)又は(1120)は、プローブの接着構成要素と一緒に使用される接着材料でもよい。
【0098】
上述の実施形態の何れかにおいて、製造部品の一部は、金又は真鍮粉などの反射材料又は高反射材料、光散乱材料、或いはTiO2などの非常に白い材料でコーティングされてもよい。一実施形態において、反射性の金コーティングが使用されてもよい。一実施形態において、部品をコーティングするために、適切な金塗装が達成されるまで、少量の金、真鍮、又は他の反射材料に、アクリル樹脂が滴状で追加され得る。一実施形態において、任意の反射塗料、例えば、金色の塗料が使用されてもよい。一実施形態において、人の組織に接触する可能性のあるアイソレータ(720)又は(1120)の遠位端がコーティングされるのを回避するように注意せねばならない。そのようなコーティングを回避するために、アイソレータ(720)又は(1120)の端部に、Teflonテープなどのテープを貼付けてもよい。一実施形態において、金塗料が、アイソレータ(720)又は(1120)の前面及び側面、即ち、トランスデューサ組立体(715)、(1115)を除く、ガラス(703)又は(1103)、拡散器(750)又は(1150)、及び他の構成要素に接触する側面に塗布される。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)の外面の一部は、金塗料の層でコーティングされてもよい。一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)の外面の一部は、黒皮を含む。
【0099】
アイソレータ(720)又は(1120)が形成される材料の例は、例えば、シリコーンゴム、RTVシリコーンゴム、シリコーン、プラスチック、接着剤、フォーム、実質的に光透過性の材料、光散乱材料、反射材料又は高反射材料、及び/又は光吸収材料を含む。
【0100】
一実施形態において、アイソレータ(720)又は(1120)の一対の半片は、以下の量の以下の構成要素を使用して作られてもよい:
・20gのMomentive RTV 630A シリコーンゴムベース(P/N:038141)
・2gのMomentive RTV 630B シリコーンゴム硬化剤(P/N:038141)
・5tspの70ミクロンフェノール性ミクロスフェア(Eastech P/N:PHENOSET BJO-0840)
材料を徹底的に混合するために、汚染されていない道具を使用する必要がある。良好な結果を得るには、正確な割合のMomentive RTVを使用することが重要である。混合物は、放置後に取り扱いが可能となるのに十分な程度に、一晩又は24時間以内に硬化され得るが、混合物を室温で、又はその前後の温度で完全に硬化するためには、一週間程度要する場合がある。温度の上昇によって硬化プロセスを促進させることができ、従って、例えば、混合物を40~50℃に加熱することにより、数時間以内で取り扱いが可能となり得る。
【0101】
本システムと方法が、光音響プローブを含む方法と装置のブロック図並びに操作上の実例を参照して上述されている。ブロック図又は操作上の具体例の各ブロック、及びブロック図又は操作上の具体例のブロックの組合せが、アナログ又はデジタルハードウェア及びコンピュータプログラム命令によって実現され得ることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、ASIC、又は他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能データ処理装置によって実行される命令が、ブロック図又は操作ブロックで指定された機能/動作を実現する。幾つかの代替的な実施態様において、ブロック内に記述された機能/動作は、操作上の具体例に記述された順序とは異なる順序で生じ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、関与する機能/動作に応じて、実質的に同時に実行され得るか、又はブロックは時々、逆の順序で実行され得る。
【0102】
本発明は、その好ましい実施形態を言及すると共に明確に示され且つ記載される一方で、形式及び詳細の様々な変更が、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その中で行なわれ得ることが、当業者によって理解される。