(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ブラシレス電気機械および可変リラクタンスモータロードマッピング装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/098 20160101AFI20220124BHJP
【FI】
H02P25/098
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019229581
(22)【出願日】2019-12-19
(62)【分割の表示】P 2016531066の分割
【原出願日】2014-11-13
【審査請求日】2019-12-19
(32)【優先日】2013-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モウラ、ジャイロ ティー
(72)【発明者】
【氏名】スパイカー、ナーザン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーリク、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナサミー、ジャヤラマン
【審査官】大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-206389(JP,A)
【文献】特開2013-21913(JP,A)
【文献】特開平9-238438(JP,A)
【文献】特開平8-9676(JP,A)
【文献】特開2001-255220(JP,A)
【文献】特開2013-101030(JP,A)
【文献】特開平2-206391(JP,A)
【文献】特開2006-94577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのロータ極を有するパッシブロータと、少なくとも1つのステータ極および前記少なくとも1つのステータ極のそれぞれに関連付けられる相コイルを有するステータと、を備えるモータ、並びに、
所定のロータトルクを生成するために各相コイルへの電流を制御するように構成されるコントローラを備えるブラシレス電気機械であって、
前記相コイルは、前記ロータおよびステータが所定の電気機械フォームファクタを規定する前記ロータとステータとの間の磁気回路内に磁束を作りだすように構成され、
前記コントローラは、少なくとも、所定の定トルク値、並びに、各相コイルについての相電流値および隣接する相コイルについての相電流値の組み合わせとして前記所定の定トルク値に対応する対応組み合わせ相電流値についてプログラムされ、それにより、前記コントローラが、前記所定の定トルク値、並びに各相コイルおよび前記隣接する相コイルについての前記対応組み合わせ相電流値に基づいて、各要求ロータトルクの生成のために各相コイルについての前記電流を決定し、
前記所定の定トルク値、並びに各相コイルおよび隣接する相コイルについての対応組み合わせ相電流は、無トルクから最大に値するトルクまでの前記モータの各要求ロータトルク間の関係を確定的に規定するように前記コントローラにプログラムされる、ブラシレス電気機械。
【請求項2】
前記所定の定トルク値および前記対応組み合わせ相電流値が、実験的に生成された値である請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項3】
前記ブラシレス電気機械の前記所定の定トルク値および前記対応組み合わせ相電流値が、数値モデル解析または有限要素解析の1つを含むシステムモデル解析から生成される請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項4】
前記パッシブロータおよび前記ステータが、回転構造またはリニア構造のいずれかの可変リラクタンスモータを形成する請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項5】
前記パッシブロータおよび前記ステータが、真空環境で動作するように構成される可変リラクタンスモータを形成する請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項6】
前記パッシブロータがコイルの無い、かつ、磁石の無いロータである請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項7】
前記対応組み合わせ相電流値が相電流値の配列であり、各相電流ベクトルが、相電流値の前記配列に共通の前記所定の定トルク値をもたらす、請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項8】
前記コントローラが、前記所定の定トルク値の各々に関連付けられた最小電力値でプログラムされる請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項9】
前記所定の定トルク値および関連する電力値および相電流値が、前記所定の電気機械フォームファクタと同様のフォームファクタを有するすべての電気機械と交換可能である請求項8記載のブラシレス電気機械。
【請求項10】
前記対応組み合わせ相電流値が予め測定された電流値である請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項11】
トルク、ロータ位置、およびモータ相の相電流の大きさに関連する1つまたは2つ以上の転換表が、前記定トルク値および関連する相電流値から生成される請求項1記載のブラシレス電気機械。
【請求項12】
少なくとも1つのロータ極を有するパッシブロータと、
少なくとも1つのステータ極、および、前記少なくとも1つのステータ極のそれぞれに関連付けられる相コイルを有するステータと、
所定のロータトルクを生成するために各相コイルへの電流を制御するように構成されるコントローラ
とを備えるブラシレス電気機械であって、
前記相コイルは、前記ロータおよびステータが所定の電気機械フォームファクタを規定する前記ロータとステータとの間の磁気回路内に磁束を作りだすように構成され、
前記コントローラは、ゼロトルクのモータ出力で各相コイルにゼロではない相電流が供給されるように、各相コイルを作動させるように構成され
、
各相コイルへの前記ゼロではない相電流は、前記ブラシレス電気機械の動的応答を高めるべく、前記パッシブロータに適用される可変バイアストルクを生成する、ブラシレス電気機械。
【請求項13】
各相コイルに供給される前記ゼロではない相電流が、ゼロにほぼ等しい正味トルクをもたらす請求項12記載のブラシレス電気機械。
【請求項14】
前記ゼロではない相電流が前記ブラシレス電気機械の前記ロータの動的応答時間の減少をもたらす、請求項12記載のブラシレス電気機械。
【請求項15】
フレームと、
可変リラクタンスモータを取り付けるように構成された、前記フレーム上に配置されたインターフェースと、
前記フレームに取り付けられ、前記可変リラクタンスモータに結合された静的ロードセルと、
前記静的ロードセルおよび前記可変リラクタンスモータに通信可能に結合されたコントローラ
とを備え、
前記コントローラは、前記可変リラクタンスモータの少なくとも1つのモータ相を選択し、前記少なくとも1つのモータ相を励磁し、並びに、前記少なくとも1つのモータ相のセクションに対応する前記静的ロードセルにおける静的モータートルクを前記コントローラに登録するように構成されており、動作中の前記可変リラクタンスモータのモーターロータ位置および前記選択された少なくとも1つのモータ相それぞれについての各相電流に関して、前記静的モータートルクの値の間の関係を特徴付ける、可変リラクタンスモータロードマッピング装置。
【請求項16】
少なくとも前記静的ロードセルは、モータ操作データルックアップテーブルをマッピングおよび生成するために、前記静的モータートルク、前記少なくとも1つの各モータ相それぞれについての各相電流、および前記モーターロータ位置の少なくとも1つを含むモータ操作データを生成する、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記モータ操作データルックアップテーブルをマッピングおよび生成するために、少なくとも前記静的ロードセルから前記モータ操作データを受け取る、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記静的ロードセルおよび前記可変リラクタンスモータからモータ操作データを受け取るように構成されており、
前記モータ操作データは、前記静的モータートルク、前記少なくとも1つの各モータ相それぞれについての各相電流、および前記モーターロータ位置の少なくとも1つを含んでいる、請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラが、モータ操作データから、前記モーターロータ位置および隣接するモータ相の相電流の関数として定トルク値を生成するように構成されている、請求項15記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラが、各定トルク値に関連付けられた最小電力値を生成し、ルックアップテーブルにおいて前記最小電力値を提供するように構成されている、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラが、モータ操作データルックアップテーブルを生成するように構成され、各モータ操作データルックアップテーブルが、定トルク値および所定のロータ位置についての対応する相電流の配列を含む、請求項15記載の装置。
【請求項22】
前記コントローラが、各所定のモーターロータ位置に対応する所定のモーターロータ位置の配列のために、隣接するモータ相を所定の電流の組み合わせの配列で励磁し、前記静的ロードセルから前記所定の電流の組み合わせの各々について得られた静的トルクを受け取るように構成されている請求項15記載の装置。
【請求項23】
前記コントローラが、各所定のモーターロータ位置および所定の第1モータ相電流のために、追加のモータ相電流または追加の相電流の任意の適切な組み合わせを変化させるように構成されている請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラが、モータ操作データルックアップテーブルの配列を形成するために、前記得られた静的トルクからトルク値を生成し、各所定のモーターロータ位置について、前記トルク値と、関連付けられた相電流の組み合わせとをマッピングするように構成されている請求項22記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年11月13日に出願された米国仮特許出願第61/903,745号の利益を主張する通常出願であって、その開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
例示的な実施形態は、概して電気機械、特に、電気機械の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、可変(またはスイッチド)リラクタンスモータ(VRM)は、費用対効果の高い、ブラシレス直流モータの代替物として求められている。可変リラクタンスモータは、磁石を必要とせず、その機械的な構造は単純であるが、精密制御用に可変リラクタンスモータを使用することは、たとえば、相電流と、ロータの電気的位置と、トルクと、ジオメトリとの間の高い非線形関係ゆえに挑戦的なままである。可変リラクタンスモータの精密制御における主な課題の一つは、ロータの任意の所定の位置において滑らかでリップルのない予め指定されたトルクを提供することである。可変リラクタンスモータに固有のトルクリップルは、モデリングの不確実性に起因し得る。その結果、可変リラクタンスモータの性能は、所望のトルクを相電流と位置に関連付ける正確な転換(commutation)モデルの存在に依存し得る。また、従来の既製の増幅器のような典型的なフィードバックループは、可変リラクタンスモータが一般的に持っていない固定インダクタンス用に一般的には設計され、最適に調整される。可変リラクタンスモータにおいては、モータコイルまたは巻線のインダクタンスは可変リラクタンスモータの機械的なトルク発生の主な機構であるので、このモータコイルまたは巻線のインダクタンスの変化が予想される。
【0004】
例えば、ロボットサーボアプリケーションにおいては、サーボ性能は、アクチュエータやモータの動的応答によって影響され得る。遅いモータ応答は、サーボシステムの応答速度を制限する可能性がある。モータをアクチュエータとして用いたロボットサーボアプリケーションでは、典型的には、モータの応答は、少なくともサーボループよりも速いオーダーの大きさであり、多くの場合、特に、ブラシレス直流モータの場合のシステムモデルでは無視されているものと考えられる。しかしながら、可変リラクタンスモータは、遅い応答を補償するために、転換方式に一定の調整を保証し得る比較的遅い応答を有する。このように、実質的に瞬間的なトルク制御は、位置サーボアプリケーションにおける可変リラクタンスモータ駆動の利用のために必要とされ得る。瞬間的なトルク制御は、例えば、モータ位置や必要とされる瞬間的なトルクの関数として各モータ相を通る電流を制御することができるデジタル電子コントローラを介して提供されてもよい。モータ位置およびトルクの関数として各モータ相において必要とされる電流の決定は、電流転換ということができる。三相の永久磁石ブラシレスモータ(三相電流は120度ずれている)の場合、モータの巻線を流れる電流は正弦波であり、ロータ位置およびトルクの一意的に定義された関数である。一方、可変リラクタンスモータにおける相電流は、正弦波ではなく、むしろ、モータトルク曲線から導出された形状を有している。モータのモータトルク曲線は、モータモデルの有限要素解析から測定または決定される。一般的には、スイッチドリラクタンスモータについては、トルクはモータ位置およびそれぞれの相電流の関数であってもよい。電流転換の目的は、モータ位置およびモータトルクの関数として、各モータ相で必要な電流を決定することである。
【発明の概要】
【0005】
可変リラクタンスモータの制御においてトルクリップルの影響を最小にすることが有利であろう。また、1つまたは2つ以上の最適化基準が達成されるように、各モータ相における電流演算へのアプローチを提供する最適な転換スキームを提供することが有利である。可変リラクタンスモータについて正確な転換モデルの依存性を軽減する制御システムを提供することがさらに有利であろう。
【0006】
開示される実施形態の、前述の態様および他の特徴が、添付の図面と関連して、以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】開示される実施形態の態様に従った、基板処理ツールの概略図である。
【
図1B】開示される実施形態の態様に従った、基板処理ツールの概略図である。
【
図1C】開示される実施形態の態様に従った、基板処理ツールの概略図である。
【
図1D】開示される実施形態の態様に従った、基板処理ツールの概略図である。
【
図1E】開示される実施形態の態様に従った、可変リラクタンスモータの部分の概略図である。
【
図1F】開示される実施形態の態様に従った、可変リラクタンスモータの部分の概略図である。
【
図2】開示される実施形態の態様に従った、例示的なテーブルを示す図である。
【
図3】開示される実施形態の態様に従った、他の例示的なテーブルを示す図である。
【
図4】開示される実施形態の態様に従った、
図1Eおよび1Fに示す可変リラクタンスモータの一部分の概略図である。
【
図5】開示される実施形態の態様に従った、等トルク値生成ステーションの概略図である。
【
図5A】開示される実施形態の態様に従った、フローチャートである。
【
図6】開示される実施形態の態様に従った、等トルク曲線テーブルの一部分を示す図である。
【
図7】開示される実施形態の態様に従った、例示的な比較テーブルを示す図である。
【
図8A】開示される実施形態の態様に従った、ロータ位置に関する例示的な相電流テーブルを示す図である。
【
図8B】開示される実施形態の態様に従った、ロータ位置に関する例示的な相電流テーブルを示す図である。
【
図9A】開示される実施形態の態様に従った、ロータ位置に関する例示的なモータ入力電力テーブルを示す図である。
【
図9B】開示される実施形態の態様に従った、ロータ位置に関する例示的なモータ入力電力テーブルを示す図である。
【
図10A】開示される実施形態の態様に従った、等トルク曲線テーブルの部分を示す図である。
【
図10B】開示される実施形態の態様に従った、等トルク曲線テーブルの部分を示す図である。
【
図11A】開示される実施形態の態様に従った、可変リラクタンスモータの一部分の概略図である。
【
図11B】開示される実施形態の態様に従った、可変リラクタンスモータの一部分の概略図である。
【
図12】開示される実施形態の態様に従った、搬送装置およびその制御システムの概略図である。
【
図13】開示される実施形態の態様に従った、搬送装置およびその制御システムの概略図である。
【
図14】開示される実施形態の態様に従った、例示的な比較テーブルを示す図である。
【
図15】開示される実施形態の態様に従った、例示的な比較テーブルを示す図である。
【
図16】開示される実施形態の態様に従った、例示的な比較テーブルを示す図である。
【
図17】開示される実施形態の態様に従った、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示される実施形態の態様によれば、スイッチドリラクタンスブラシレス電気機械やモータおよびそれらの最適な転換スキームや方式が提供される。転換スキームや方式は、モータ位置と所望のトルクの関数としての各モータ相における電流の決定のことを指す。開示される実施形態の態様は、図面に関連して説明されるが、開示される実施形態の態様は、多くの形態で具体化され得ることが理解されるべきである。加えて、任意の適切なサイズ、形状、または種類の、要素または材料が使用され得る。
【0009】
図1A~1Dを参照すると、本明細書においてさらに開示されるような、開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置またはツールの概略図が示されている。
【0010】
図1Aおよび1Bを参照すると、たとえば、半導体ツールステーション1090などの処理装置が、開示される実施形態の態様に応じて示される。図中に半導体ツールが示されるが、本明細書で説明される、開示される実施形態の態様は、ロボットマニピュレータを使用する、いずれのツールステーションまたは応用例にも適用可能である。この例において、ツール1090はクラスターツールとして示されるが、開示される実施形態の態様は、たとえば、その開示内容の全てが、参照により本明細書に組み込まれる、2006年5月26日に出願された、「Linearly Distributed Semiconductor Workpiece Processing Tool」と題された、米国特許出願第11/442,511号明細書に記載されたような、
図1Cおよび1Dに示されるもののような線形ツールステーションなどの、任意のツールステーションに適用されてもよい。ツールステーション1090は、一般的に、大気フロントエンド1000、真空ロードロック1010、および真空バックエンド1020を含む。他の態様では、ツールステーションは任意の適切な構成を有してもよい。フロントエンド1000、ロードロック1010、バックエンド1020のそれぞれの構成要素は、たとえば、クラスタ化されたアーキテクチャ制御などの、任意の適切な制御アーキテクチャの一部であってもよいコントローラ1091に接続されてもよい。制御システムは、その開示内容の全てが、参照により本明細書に組み込まれる、2005年7月11日に出願された、「Scalable Motion Control System」と題された、米国特許出願第11/178,615号明細書に記載されたもののような、主制御装置、クラスタ制御装置および自律型遠隔制御装置を有する閉ループ制御装置であってもよい。他の態様では、任意の適切な制御装置および/または制御システムが利用されてもよい。
【0011】
一態様では、フロントエンド1000は、一般的に、ロードポートモジュール1005および、たとえばイクイップメントフロントエンドモジュール(equipment front end module)(EFEM)などのミニエンバイロメント1060を含む。ロードポートモジュール1005は、300mmロードポート、前開き型または底開き型ボックス/ポッドおよびカセットのためのSEMI規格E15.1、E47.1、E62、E19.5またはE1.9に適合したボックスオープナー/ローダーツール標準(BOLTS)インターフェースであってもよい。他の態様では、ロードポートモジュールは、200mmウェハインターフェースとして、または、たとえば、大型もしくは小型のウェハもしくは平面パネルディスプレイ用の平面パネルなどの、他の任意の適切な基板インターフェースとして構成されてもよい。
図1Aに2つのロードポートモジュールが示されるが、他の態様では、任意の適切な数のロードポートモジュールがフロントエンド1000に組み込まれてもよい。ロードポートモジュール1005は、オーバーヘッド型搬送システム、無人搬送車、有人搬送車、レール型搬送車、または他の任意の適切な搬送手段から、基板キャリアまたはカセット1050を受容するように構成されていてもよい。ロードポートモジュール1005は、ロードポート1040を通じて、ミニエンバイロメント1060と接続してもよい。ロードポート1040は、基板カセット1050とミニエンバイロメント1060との間で、基板の通過を可能にしてもよい。ミニエンバイロメント1060は、一般的に、本明細書で説明される、開示される実施形態の1つまたは複数の態様を組み込んでもよい、任意の適切な移送ロボット1013を含む。ある態様では、ロボット1013は、たとえば、その開示内容の全てが、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,002,840号明細書に記載されたもののような、走路搭載型ロボットであってもよい。ミニエンバイロメント1060は、複数のロードポートモジュール間での基板移送のための、制御されたクリーンゾーンを提供してもよい。
【0012】
真空ロードロック1010は、ミニエンバイロメント1060とバックエンド1020との間に位置付して、ミニエンバイロメント1060とバックエンド1020とに接続されてもよい。本明細書において使用される真空という用語は、基板が処理される、10-5Torr以下のような高真空を意味し得る。ロードロック1010は、一般的に大気および真空スロットバルブを含む。スロットバルブは、ロードした後に、大気フロントエンドから基板を搭載した後に、ロードロック内を排気するために使用され、および窒素などの不活性ガスを用いてロック内に通気するときに、搬送チャンバ内の真空を維持するために使用される環境隔離を提供する。ロードロック1010は、基板の基準を、処理に望ましい位置に揃えるためのアライナ1011を含んでいてもよい。他の態様では、真空ロードロックは、処理装置の任意の適切な位置に設置されていてもよく、および任意の適切な構成を有していてもよい。
【0013】
真空バックエンド1020は、一般的に、搬送チャンバ1025、1つまたは複数の処理ステーション1030、および、本明細書で説明される、開示される実施形態の1つまたは複数の態様を含み得る、任意の適切な移送ロボット1014を含む。移送ロボット1014は、以下において説明されるが、ロードロック1010と様々な処理ステーション1030との間で基板を搬送するために、搬送チャンバ1025内に位置され得る。処理ステーション1030は、様々な、成膜、エッチング、または他の種類の処理を通じて、基板上に電気回路または他の望ましい構造体を形成するために、基板に対して動作し得る。典型的な処理は、限定されないが、プラズマエッチングまたは他のエッチング処理、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着(PVD)、イオン注入などの注入、測定、急速熱処理(RTP)、乾燥細片原子層成膜(ALD)、酸化/拡散、窒化物の形成、真空リソグラフィ、エピタキシ(EPI)、ワイヤボンダ、および蒸着などの、真空を使用する薄膜処理、または他の真空圧を使用する薄膜処理を含む。搬送チャンバ1025から処理ステーション1030に、またはその逆に、基板を通過させることを可能にするために、処理ステーション1030は、搬送チャンバ1025に接続される。
【0014】
次に
図1Cを参照すると、ツールインターフェースセクション2012が、概して搬送チャンバ3018の長手方向軸Xに(例えば内向きに)向くが、搬送チャンバ3018の長手方向軸Xからずれるように、ツールインターフェースセクション2012が、搬送チャンバモジュール3018に取り付けられている線形基板処理システム2010の概略平面図が示される。搬送チャンバモジュール3018は、すでに参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願第11/442,511号明細書に記載されたように、他の搬送チャンバモジュール3018A、3018I、3018Jを、インターフェースセクション2050、2060、2070に取り付けることによって、任意の適切な方向に延長されてもよい。各搬送チャンバモジュール3018、3019A、3018I、3018Jは、基板を、処理システム2010の全体に亘って、および、たとえば処理モジュールPMの内外へ搬送するために、本明細書で説明される、開示される実施形態の1つまたは複数の態様を含んでもよい任意の適切な基板搬送部2080を含んでいる。理解できるように、各チャンバモジュールは、隔離された、または制御された雰囲気(たとえば、N2、清浄空気、真空)を維持することが可能であってもよい。
【0015】
図1Dを参照すると、線形搬送チャンバ416の長手方向軸Xに沿った、例示的な処理ツール410の概略的な立面図が示される。
図1Dに示される、開示される実施形態の態様では、ツールインターフェースセクション12は、典型的に、搬送チャンバ416に接続され得る。この態様では、インターフェースセクション12は、ツール搬送チャンバ416の一方の端部を画定してもよい。
図1Dに見られるように、搬送チャンバ416は、たとえば、接続ステーション12から反対の端部に、別のワークピース進入/退出ステーション412を有していてもよい。他の態様では、搬送チャンバからワークピースを挿入/除去するための他の進入/退出ステーションが設けられてもよい。ある態様では、インターフェースセクション12および進入/退出ステーション412は、ツールからのワークピースのロードの搭載および取出しを可能にしてもよい。他の態様では、ワークピースは、一方の端部からツールに搭載され、他方の端部から取り除かれてもよい。ある態様では、搬送チャンバ416は、1つまたは複数の搬送チャンバモジュール18B、18iを有していてもよい。各チャンバモジュールは、隔離された、または制御された雰囲気(たとえば、N2、清浄空気、真空)を維持することが可能であってもよい。既に述べられたように、
図1Dに示される、搬送チャンバ416を形成する、搬送チャンバモジュール18B、18i、ロードロックモジュール56A、56B、およびワークピースステーションの構成/配置は例示的なものに過ぎず、他の態様では、搬送チャンバは、任意の望ましいモジュール配置で配置された、より多くのまたはより少ないモジュールを有してもよい。示された態様では、ステーション412はロードロックであってもよい。他の態様では、ロードロックモジュールは、(ステーション412に類似の)端部進入/退出ステーションの間に位置してもよく、または隣の(モジュール18iに類似の)搬送チャンバモジュールは、ロードロックとして動作するように構成されてもよい。既に述べられたように、搬送チャンバモジュール18B、18iは、搬送チャンバモジュール18B、18iに位置し、本明細書で説明される、開示される実施形態の1つまたは複数の態様を含み得る、1つまたは複数の、対応する搬送装置26B、26iを有してもよい。それぞれの搬送チャンバモジュール18B、18iの搬送装置26B、26iは、搬送チャンバ内に線形に分散されたワークピース搬送システム420を提供するために連携してもよい。この態様では、搬送装置26Bは、一般的なスカラ(SCARA)アーム(水平多関節ロボットアーム)構成を有してもよい(しかし他の態様では、搬送アームは、フロッグレッグ型の構成、伸縮型の構成、左右対称型の構成などの他の任意の望ましい配置を有してもよい)。
図1Dに示される、開示される実施形態の態様では、以下においてより詳細に説明されるように、搬送装置26Bのアームは、ピック/プレース位置から素早くウェハを交換する搬送を可能にする、いわゆる迅速交換配置(fast swap arrangement)を提供するように配置されてもよい。搬送アーム26Bは、各アームに任意の適切な自由度(たとえば、Z軸運動で、肩および肘関節部の周りの独立した回転)を提供するために、以下に説明されるような、適切な駆動部を有していてもよい。
図1Dに見られるように、この態様では、モジュール56A、56、30iは、搬送チャンバモジュール18Bと18iとの間に介在して位置してもよく、適切な処理モジュール、1つまたは複数のロードロック、1つまたは複数のバッファステーション、1つまたは複数の測定ステーション、または他の任意の望ましい1つまたは複数のステーションを画定してもよい。たとえば、ロードロック56A、56、およびワークピースステーション30iなどの中間モジュールはそれぞれ、搬送チャンバの線形軸Xに沿った搬送チャンバの全長に亘って、ワークピースの搬送を可能にするために搬送アームと連携する静止型ワークピース支持部/棚56S、56S1、56S2、30S1、30S2を有してもよい。例として、1つまたは複数のワークピースが、インターフェースセクション12によって、搬送チャンバ416に搭載されてもよい。1つまたは複数のワークピースは、インターフェースセクションの搬送アーム15を用いて、ロードロックモジュール56Aの1つまたは複数の支持部上に位置付けられてもよい。ロードロックモジュール56A内で、1つまたは複数のワークピースは、モジュール18B内の搬送アーム26Bによって、ロードロックモジュール56Aとロードロックモジュール56との間で移動させられてもよく、同様の連続的な方法で、(モジュール18i内の)アーム26iを用いて、ロードロック56とワークピースステーション30iとの間で、モジュール18i内のアーム26iを用いて、ステーション30iとステーション412との間で移動させられてもよい。1つまたは複数のワークピースを反対の方向に移動させるために、この処理は全体的に、または部分的に逆行されてもよい。したがって、ある態様では、ワークピースは、軸Xに沿って任意の方向に、および搬送チャンバに沿って任意の位置に移動させられてもよく、搬送チャンバと連通している、望ましいモジュール(処理モジュール、あるいは別のモジュール)に、または望ましいモジュールから、搭載または取り出されてもよい。他の態様では、静止型ワークピース支持部または棚を有する中間搬送チャンバモジュールは、搬送チャンバモジュール18Bと18iとの間には設けられない。そのような態様では、隣接する搬送チャンバモジュールの搬送アームは、搬送チャンバを通してワークピースを移動させるために、ワークピースを、1つの搬送アームのエンドエフェクタから直接、別の搬送アームのエンドエフェクタへ受け渡してもよい。処理ステーションモジュールは、様々な、成膜、エッチング、または他の種類の処理を通じて、基板上に電気回路または他の望ましい構造体を形成するために、基板に対し動作してもよい。基板が、搬送チャンバから処理ステーションに、またはその逆に、通過することを可能にするように、処理ステーションモジュールは、搬送チャンバモジュールに接続される。
図1Dに示された処理装置と類似の一般的特徴を有する処理ツールの適切な例は、すでに参照により本明細書に全体が組み込まれた、米国特許出願第11/442,511号明細書に記載されている。
【0016】
本明細書に記載の最適な転換スキームは、1つまたは2つ以上の最適化基準が達成されるように、ブラシレス電気機械の各相における電流の計算へのアプローチを提供するスキームである。開示される実施形態の態様では、最適な転換スキームは、以下でより詳細に説明される特定の制約を受けがちなトルクを実質的に最大にすることができる。本明細書に記載の転換スキームは、任意の適切なモータタイプに適用可能であるが、例えば、例示目的の可変リラクタンスモータに関して本明細書に例示されている。
図1Eおよび1Fは、開示される実施形態の態様による、パッシブロータを有するブラシレス電気機械の部分を示す。
図1Eおよび
図1Fに示す直流駆動のブラシレス電気機械の例示的な構造は、回転構造を有する機械の例であって、便宜上本明細書の実施形態の態様を説明するために使用する。さらに、下記に示す実施形態の態様は、リニアブラシレス電気機械に同様に適用されることに留意されたい。上述のように、一態様では、パッシブロータを有するブラシレス電気機械は、本明細書に記載のように、モータ100の動作を制御するように構成され得る任意の適切なコントローラ400に接続される可変またはスイッチドリラクタンスモータ100であってもよい。一態様において、コントローラ400は、「Scalable Motion Control System」と題する米国特許第7,904,182号明細書に記載のものと実質的に同様の分散形アーキテクチャを有することができ、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
ここで、可変リラクタンスモータ100は、ハウジング101と、ハウジング内に配置された少なくとも1つのステータ103と、少なくとも1つのステータ103のそれぞれに対応する少なくとも1つのロータ102とを備える。少なくとも1つのステータ103のそれぞれは、モータ巻線またはコイル104をそれぞれ有する任意の適切な数の突出した(例えば、無磁石の)ステータ極103Pを有し得る。少なくとも1つのロータ102の各々はまた、任意の適切な数の突出するローターポール102Pを有していてもよく、それにより、各ロータがステータと閉磁束回路を形成するように構成される。例示の目的のためにのみ、可変リラクタンスモータ100は、6つのロータ極と8つのステータ極を有する4相モータとして示されているが、他の態様では、可変リラクタンスモータは、任意の適切な数のモータの相、任意の適切な数のロータ極および任意の適切な数のステータ極を有していてもよい。ここで少なくとも1つのロータ102は、それぞれのステータ103内に配置されるか、またはそうでなければ実質的にそれぞれのステータ103に囲まれて配置されるが、他の態様では、ステータが、それぞれのロータ内に配置されてもよいし、またはそうでなければ実質的にそれぞれのロータに囲まれて配置されてもよい。また、この態様において、1つまたは2つ以上のステータ/ロータのペアを積み重ねて配置され得る(例えば、可変リラクタンスモータ100の回転軸に沿って軸方向に互いに隣りあって離間される)が、他の態様では、それぞれのステータ/ロータのペアは、各ステータ/ロータのペアが径方向に入れ子にされるか、そうでなければ、実質的に他のステータ/ロータのペアで囲まれる入れ子構造で配置されてもよい。可変リラクタンスモータ100は、例えば、代理人整理番号390P014939-US(-#1)を有し、「Sealed Robot Drive」と題され、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月13日出願の米国仮特許出願に記載されているように、大気環境、および/または、モータの静止部分が真空雰囲気から隔離されている真空環境で動作するように構成されていてもよい。可変リラクタンスモータは、また、番号が390P014680-US(-#1)で、「Axial Flux Motor」と題され、2013年11月13日出願の米国仮特許出願に記載されるような特徴を備えていてもよく、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
理解されるように、少なくとも1つのロータ102は、任意の適切な駆動軸アセンブリ110のそれぞれの駆動軸に結合されていてもよい。この態様では、駆動軸アセンブリ110は、2つの駆動軸を有する同軸駆動軸アセンブリとして示されているが、他の態様では、各駆動軸がブラシレス電気機械のそれぞれのロータとステータとのペア(例えば、モータ)に対応する、2つより多いかまたは少ない駆動軸があってもよい。さらに他の態様において、駆動軸アセンブリは、並べて配置された個々の駆動軸または同軸駆動軸を含んでいてもよい。理解されるように、駆動軸アセンブリ110は、ロボット搬送装置111などの任意の適切な装置に接続され得る。ロボット搬送装置111は、例えば、限定されないが、バイ-シンメトリック(by-symmetric)ロボットアームアセンブリ、スカラ型ロボットアームアセンブリ、テレスコープロボットアームアセンブリ、ロストモーションスイッチを有するロボットアームアセンブリ、または1つまたは2つ以上のロボットアームを備え、同軸または並置の駆動軸を利用する任意の他の適切なロボットアームアセンブリを含む任意の適切な搬送アームであってもよい。
図2および
図3を参照すると、それぞれのトルク/位置曲線が、開示される実施形態の態様に従う単一のモータ相を通る異なる電流の大きさに対して示されている。一態様では、また、
図1Eおよび
図1Fを参照すると、各モータ相は、直列に接続され、互いに直径の反対側に配置された二つのコイル104を含み得るが、他の態様では、各モータ相は、任意の適切な方法で配線され、互いに対して任意の適切な位置に配置された任意の適切な数のコイルを含んでいてもよい。例えばロータが約0、15、30度であるときに単一のモータ相のみが励磁される、例えば
図3に示すような、1つのモータ相のみがモータトルクに寄与する電気的位置を除いて、一般に、モータの相の2つは、所望のまたはそうでなければ所定の大きさおよび方向のトルクを生成するように励磁され得る。約0、15、30度のロータ位置は単なる例示であり、他の態様では、単一のモータの相のみが励磁されるロータ位置は、ステータおよびロータ極の数と他のモータ構成要素とに依存し得る任意の適切なロータ位置でもよいことが理解されるべきである。
【0019】
一般的に、任意の所定の時間およびロータ位置に対してトルクの所望量を達成するために、所望の相電流または所望の転換方式を定義するためのいくつかのアプローチが提案されている。これらのアプローチでは、各相のトルクの寄与が、
図2に示されるような測定によって独立して定量化することができると仮定することにより、トルクリップルの最小化が試みられている。しかしながら、これらのアプローチでは、一般的に、隣接する相が励磁されると、隣接する相の影響が無視される。例えば、隣接するコイルが励磁されると、アクティブコイルの1つのインダクタンスが変化する。このように、例えば、
図2および
図3に示されるトルク曲線の形状は、隣接する相の電流に応じて変化し得る。隣接するコイルが励磁されるときのアクティブコイルのインダクタンスの変化を考慮しないと、可変リラクタンスモータ100のトルクリップルがもたらされる可能性がある。
【0020】
開示される実施形態の一態様では、相互インダクタンスの影響(例えば、隣接するコイルが励磁されるときの1つのコイルのインダクタンスに対する影響)を当然に得ることができ、従って可変リラクタンスモータの転換におけるトルクリップルの影響を実質的に最小限に抑える転換方式を得るためのアプローチが提供される。
図4および
図5を参照すると、一態様では、転換方式は、可変リラクタンスモータ100が接続される装置、例えばトルク値生成ステーション510を、提供すること(
図5A、ブロック550)を含む。このステーションまたは装置は、ブラシレス電気機械の電流と、位置と、所望のトルク(または力)との関係(例えば、適用される回転モータまたはリニアモータの配置)を経験的に特徴づけるためのシステムを提供する。可変リラクタンスモータ100は、相電流の配列(array)において(例えば、相電流を転換する1つまたは2つ以上の相が所定のトルクを生成するために変えられる)(
図5A、ブロック551)、および/または、可変リラクタンスモータ100の動作範囲を表すロータの電気的位置の配列において(例えば、相電流が異なるロータ位置で異なるトルクについて測定される)(
図5A、ブロック552)、任意の適切な方法で駆動され得る。測定された電流、トルク、およびロータの電気的位置が記録され(
図5A、ブロック553)、所定の電気的位置でのトルク曲線(例えば値)と相電流との組み合わせが、任意の適切なコントローラ400’によって記録および/またはマッピングされ得る(例えば、所定のロータ位置についてのトルク-電流テーブルの配列が生成される)(
図5A、ブロック554)。一態様では、トルク値生成ステーション510は、任意の適切なロードセル500および可変リラクタンスモータ100が搭載される任意の適切なフレーム520を含むことができる。一態様では、ロードセル500は、静的ロードセルであってもよい。可変リラクタンスモータ100は、可変リラクタンスモータ100に動作抵抗を与えるために任意の適切な方法でロードセル500に結合され得る。可変リラクタンスモータ100および/またはロードセル500は、可変リラクタンスモータ100の動作およびモータトルクの記録/マッピングのために、より具体的には、全ロータサイクルまたは期間(例えば電気的位置の360度)に対する等トルク曲線と、対応する相電流と、ロータ位置との関係を記述するのに十分な任意の適切な数の場所のために、例えば、コントローラ400’に通信可能に接続され得る。これらの値は、例えば、さらに後述されるルックアップテーブルのように、コントローラをプログラミングするのに適した任意の方法でフォーマットすることができる。別の態様によれば、所望の形状および特性の可変リラクタンスモータの生成されたトルク(力)と、電流と、位置との関係を特徴づけるデータまたは値が、数値法または有限要素モデリングなどのモデリング技術を用いて生成されてもよいことに留意されたい。
【0021】
この態様では、可変リラクタンスモータ100のステータ103は、
図4に示されている。ここで、ステータコイルと、ステータコイルの模式的な配線例とが示されており、ロータは、明確にするために省略されている。上述したように、各モータの相A-Dは、直径方向の反対側に配置されて直列に接続された2つのコイルを含む。例えば、モータ相Aは、コイル104A1および104A2を、モータ相Bは、コイル104B1および104B2を、モータ相Cは、コイル104C1および104C2を、およびモータ相Dは、コイル104D1および104D2を含む。再度、他の態様では、モータは、任意の適切な方法で配置され、配線された、4つより多くのまたは少ない相を有していてもよい。各モータ相の端子リードは、相AおよびBに関して、例えば、I
1およびI
2などの任意の適切なそれぞれの電流源に配線され得る。一態様では、各電流源は、それぞれの相を通る所望の電流を生成するために、(例えば、任意の適切なコントローラ400’を介して)独立して設定され得る。所定のロータ位置において、相AおよびBは所定の電流で励磁され、ロードセル500は、得られる静的トルクを登録する。相Aにおける各ロータ位置で、および所定の電流I
1で、相Bにおける電流I
2は、例えば、約0から任意の適切な所定の最大電流値まで変化する。一態様では、所定の最大電流値は、可変リラクタンスモータ100の最悪の場合の動作範囲であってもよい。この手順(例えば、ロータ位置および相Aの電流の定常値に対して相Bの電流を変化させること)は、例えば、可変リラクタンスモータ100の動作範囲を表すロータの電気的位置の配列はもちろん電流I
1およびI
2の配列に対しても繰り返される。例えば、動作範囲は、約0~約360の電気角度であってもよい。配列内の各点において、静的トルクが、等トルクカーブ(
図5A、ブロック553)の配列を形成するために、対応するロータの電気的位置および対応する相電流の組み合わせに対して測定され、マッピングされる。すでに述べたように、他の態様では、モータの特性データは、モデリングまたはシミュレーションによって生成されてもよい。等トルク曲線(すなわち、ロータの所定の電気的位置における一定トルクの曲線)の例示的なマッピングまたはテーブルは、
図6に示されている。等トルク曲線が本明細書に記載され、示されているが、用語「曲線」の使用およびそれらの図は、例示的な目的のみのためのものであり、他の態様では、相電流をトルクやロータ位置に関連付ける等トルク曲線は、相電流値、トルク値およびロータ位置の値を含む任意の適切な表形式で表され得ることに留意されたい。
図6において、等トルク曲線は5度のロータの電気的位置に対応するが、等トルク曲線は、ロータの複数の電気的位置のために生成され得ることが理解されるべきである。
【0022】
なお、上記の等トルクテーブルの生成は、任意の所定のモータやモータ群(例えば、ステータの極数、ロータの極数、ステータおよびロータの極間のエアギャップなどの実質的に同じ動作特性を有する2つ以上のモータ)のために反復可能であることに留意されたい。このように、上述した等トルクテーブルは、任意の適切な所定の動作特性を有する任意の適切なモータのために生成されてもよく、開示される実施形態の態様に関連した本明細書に記載の転換スキームは、これらの適切なモータのいずれに適用されてもよい。
【0023】
図1Eを再び参照すると、コントローラ400は、以下に記載する位置制御ループ(
図12および13)を含んでいてもよく、位置制御ループは、所定のロータの電気的位置および時間における所望の、またはそうでなければ所定の量のトルクを指定するように構成することができる。例えば、以下に記載されるような任意の適切な転換アルゴリズムは、相A-Dのいずれか1つにおける電流を指定することができる。例えば、上記で生成されたもののようなテーブルは、かかるテーブルの一部分が
図6に示されているが、追加の相のそれぞれの電流をコントローラ400に提供するために、コントローラ400によってアクセス可能なまたはコントローラ400に含まれるメモリに常駐させることができる。例えば、転換アルゴリズムは相Aの相電流i
1を指定することができ、コントローラは、可変リラクタンスモータのトルクリップルが低下するように、任意の所定のトルクとロータの電気角度に対する相Bの各相電流i
2をテーブルから得るように構成することができる。
図7は、従来の非補償トルクリップルモータの転換および(例えば、開示される実施形態の態様に従う)補償トルクリップルモータの転換に関するトルク対ロータ位置の例示の比較プロットを示す。
図7から分かるように、開示される実施形態の態様に従ってトルクリップルを補償する(曲線700参照)ことは、トルクリップルの影響を実質的に低減する(その特性は、
図7に明らかなように、同時に励磁される隣接する相の相互作用から来るもので、1つの相のみが励磁されたときに両方の曲線のトルクが同じである)。
【0024】
開示される実施形態の態様によれば、
図1Eおよび1Fを再度参照すると、本明細書に記載のように、モータ100のためのトルクは、モータ位置並びにそれぞれの相電流の関数であってもよい。また、所定のトルクを実現するために、可能な相電流値の組み合わせの実質的に無限の数を示す所定のトルクに対する相電流の固有のセット(例えば、
図6のテーブルを参照)が存在しなくてもよい。また、
図8Aを併せて参照すると、例えば、一定のトルクでのモータ100の相Aおよび相Bにおける相電流の変化の一例が示されている。0度から15度までの範囲のロータ位置の間では、相Aおよび相Bのみが励磁され、相Cおよび相Dにおける電流は実質的にゼロである(
図4も参照)。ここで、相Aは、ロータ102を駆動するので、顕性相ということができ、相Bは、ロータがステータ極103Pの間で移動するにしたがって、ロータを駆動するために電流が増加または上昇する潜性相と呼ぶことができる。ロータ極が所定のステータ極103Pを通過するときに、相Bが顕性相となり、相Aが潜性相になって、相Aにおける相電流が減少し、または下降する。
図8Aから分かるように、一態様では、ロータ102を駆動するときの相電流の増加および/または減少が、電流の変化が線形になるように、直線状の関数として与えられ得る。他の態様では、
図8Bを参照すると、相電流の変化に対する別の可能な解決策は、一定のトルクを生成するためのロータ位置の関数として示されている。ここで、相電流の増加および/または減少は、二次形状関数として与えられる。理解されるように、相電流の増加および減少は、任意の適切な形状関数として与えられ得る。また、理解されるように、相電流を増やすために使用される形状関数は、相電流を減らすために使用される形状関数と異なっていてもよい。
【0025】
さらに
図4、
図8Aおよび
図8Bを参照すると、上記のように、ロータ102が約0~約15度まで回転するときの、相AおよびBでの一定トルクにおける相電流の変化の例が示されている。他の態様では、ロータは、任意の適切な角度または弧度の間で回転することができる。また、上述したように、相Cおよび相Dの相電流は、約0~約15度のこの区間でほぼゼロである。一態様では、モータ100に関しては、相電流特性(signature)は、約15度のロータ回転毎に周期的であってもよく、相電流は、ロータ回転の約0度~約15度の区間の間生成され得る。相Aおよび相Bは、図から分かるように約0度~約15度の間隔においてアクティブであり、約15度~約30度の間隔において相Bおよび相Cはアクティブであり、同様に続く。約15度~約30度の間隔における相Bの電流のプロファイルは、
図8Aおよび8B中の(例えば、約0~約15度の間隔における)相Aについて示されたものとほぼ同様であり得、約15~約30度の間隔における相Cでの相電流は、
図8Aおよび8B中の相Bについて示されたものとほぼ同様であり得る。理解されるように、ほぼ同じ周期性の関係は、ロータが回転した時に他の相のB-C、C-DおよびD-A対に適用される。他の態様では、任意の適切な周期性の関係(複数可)が、相の対に対して与えられ得る。この態様では、任意の所定のロータ位置で、最大2つの相がアクティブであり、約15度の間隔ごとに、相の1つが非アクティブになり、新しい相がアクティブになる。
【0026】
一態様では、本明細書に記載の転換スキームは、
図6に関して上述したものなどの1つまたは2つ以上のトルクテーブルを使用してもよく、トルクテーブルは、上述した約0度~約15度の間隔などの任意の適切なロータ区間に対する相電流i
Aとi
Bおよびモータ位置θの関数としてモータトルクを表にしている。一態様ではトルクテーブルは、分析的に次のように表すことができる。
【0027】
【0028】
式中、トルクTは、位置に依存する。他の態様において、トルクテーブルは、実験的に測定することができる(例えば、トルク曲線生成ステーション510に関して上述したように)。さらに他の態様において、トルクテーブルは、例えば、モータモデルの有限要素解析によって計算することができる。さらに他の態様では、トルクテーブルは、任意の適切な方法で生成することができる。本明細書に記載の転換スキームは、上記の約15度の区間に関して説明されるが、他の態様においては、本明細書に記載の転換スキームは、任意の適切な区間に適用され得ることに留意されたい。
【0029】
約15度の周期性(他の態様では、任意の適当な間隔でもよい)に関しては、相電流i
Aおよびi
Bについての適切な境界条件が、次のように定められてもよい。
【数2】
および
【数3】
【0030】
例えば、
図3Aおよび
図3Bに示した2つの相電流について解析するために、約15度の区間は、ほぼ半分に、またはサブ区間に分割されてもよく、一方の半分は、約0度~約7.5度であり、他の半分は、約7.5度~約15度である。サブ区間のそれぞれにおいて、相電流の1つは、例えば、上述のような任意の適切な形状関数によって定義され、残りの相電流は、
図6に示すもののような、例えば、任意の適切なトルクテーブルから決定され得る。
【0031】
図9Aおよび
図9Bを参照すると、例示的な目的のこの例では約60rpmである、任意の適切な回転数でロータが回転するときの、励磁された相(この例では、相Aおよび相Bが励磁されている)による総電力消費Pcが示されている。
図9Aにおける電力曲線は、
図8Aにおける相電流に対応し、
図9Bにおける電力曲線は、
図8Bにおける相電流に対応する。ここでは、例示の目的のために、利用可能な電力がほぼ540Wであるように、モータの利用可能な電力に制約がかけられ得る。他の態様では、電力は、例えば、本明細書に記載のスキームによって転換されたモータの定格電力などの任意の適切な値に制限され得る。トルクは、ピーク消費電力が約540Wの電力制約を下回るように調整されてもよい。
図9Aおよび
図9Bに見られるように、この例では、約60rpmで、約540Wの電力制約に対応するトルクは、
図8Aのリニア形状関数については約7.1Nmで、
図8Bの二次形状関数については約7.2Nmである。一態様では、形状関数の勾配はまた、後述するように相へ電力を供給するバスの電圧に対して、制約され得ることに留意されたい。
【0032】
開示される実施形態の一態様では、入力電力の所定の制限に対してモータトルクを最大にする相電流を決定するアプローチが提供され得、
図8Aおよび
図8Bに関する上記の形状関数は、モータの消費電力の制約(単数または複数)で置換されている。一般に、モータの単一の相の両端間の電圧降下は、次のように表すことができる。
【0033】
【0034】
式中、Vは相の両端間の電圧であり、iは相電流、Rは相抵抗であり、
は、モータ角度位置θと電流iに対する磁束鎖交率である。また、
【数5】
ここで、L(θ、i)はインダクタンスである。このように、相の両端間の電圧は次のように書き換えることができ、
【数6】
式[6]の両辺に電流iを乗算することにより、電力等式
【数7】
が生成される。
【0035】
このように、例えば式[7]に基づいて、モータの電力消費量または総電力の制約は、相電流i
Aとi
B、相抵抗R、鎖交磁束λ
A(i
A、θ)とλ
B(i
B、θ)それぞれに関して、
【数8】
のように表すことができ、
式中、
はモータの機械的出力
を表し、i
A
2Rとi
B
2Rは、モータの巻線またはコイルにおけるそれぞれの抵抗電力損失を表し、
は、モータに保存された磁界エネルギーを表す。一態様では、たとえば、その開示内容の全てが、参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月30日に出願され、「Time-Optimal Trajectories for Robotic Transfer Devices」と題された国際出願番号PCT/US2012/052977号明細書(公開番号WO2013/033289号パンフレット)および2012年9月13日に出願され、「Method for Transporting a Substrate with a Substrate Transport」と題された米国特許出願番号13/614007号明細書に記載のように、トルクは、例えば、搬送装置111(
図1)の運動学的解析により特定されてもよいことに留意されたい。他の態様では、トルク(および/または角速度)が、実時間においてモータセンサによって得られてもよく、総電力が実質的にP
max未満となるように、電力は、例えば、コントローラ400によって調整されてもよい。モータのトルクが与えられると、相電流i
Aとi
Bは、前述の等トルクテーブルから決定することができる。他の態様では、相電流は、任意の適切な方法で決定することができる。一態様では、例えば、約0~約15度のロータ位置(または任意の他の適切なロータ位置)における相電流i
Aおよびi
B(または上記の相電流ペアのための任意の他の適切な相電流)を決定するために、制約式[8]は、等トルクテーブルならびに式[2]および[3]の相電流境界条件と組み合わされ得る。
【0036】
開示される実施形態の別の態様では、入力電力への所定の制限に対してモータトルクを最大にする相電流を決定するためのアプローチが提供されてもよく、
図8Aおよび8Bに関して上述した形状関数が、相電圧V
busへの制約(複数可)で置換される。例えば、式[6]で説明したように相の両端に電圧が与えられると、各相(例えば、この例では相AおよびB)における電圧への制約は、
【数9】
および、
【数10】
で表され、
式中、
は、例えば、等トルクテーブルもしくはモーターモデルから、または、経験的に、または、モータセンサから、または、他の任意の適切な方法で決定することができる。一態様では、制約式[8]は、例えば、約0度~約15度のロータ位置(または任意の他の適切なロータ位置)における相電流i
Aとi
B(または上記の相電流対に対する他の任意の適切な相電流)を決定するために、等トルクテーブルならびに式[2]および[3]の相電流境界条件と組み合わされ得る。一態様では、制約式[9]および[10]は、例えば、約0度~約15度のロータ位置(または任意の他の適切なロータ位置)における相電流i
Aとi
B(または上記の相電流対に対する他の任意の適切な相電流)を決定するために、等トルクテーブルならびに式[2]および[3]の相電流境界条件と組み合わされ得る。
【0037】
開示される実施形態の一態様では、さらなる転換スキームを提供することができ、以下に記載されるように最小電力P
minが達成される。ここで、例えば、上述したような搬送装置111(
図1)の位置制御ループから所望のトルクが分かる。
図10Aおよび10Bを参照すると、(上述したものほぼ類似の)等トルクテーブルは、所定のトルクとモータのロータ位置に対して、任意の適切な方法で、i
Aおよびi
Bなどの相電流を決定するために使用され得る。例えば、一態様では、相電流i
Aおよびi
Bの固有のセット(また、
図6参照)は、最小消費電力が相Aおよび相B内で達成されるように、所望の等トルク線に沿って同定することができる。他の態様では、最小電力P
minは、数値解析によって、経験から、などで決定することができる。最小電力が達成されると、対応する相電流i
Aおよびi
Bは、例えば、所定の所望のトルクおよび各ロータ位置についての表などに記録され得る。上記の式[9]および[10]は、所定のトルクとトルク位置に対するP
minに関連付けられた相電流i
Aとi
Bがバス電圧V
busによって課される制約に適合し得ることを確認するために使用され得る。
【0038】
開示される実施形態の別の態様では、リアルタイムコンパレータ転換スキームを、モータ100を動作させるために使用することができる。例えば、コントローラ400は、モータ100のリアルタイム動作中のコイルインダクタンスの変化を報せる電流フィードバックループを含んでいてもよい。この電流フィードバックループは、モータ100におけるトルクリップルの影響に対処するトルク補償を可能にし得る。例えば、
図12および
図13を参照すると、コントローラ400は、メモリ400M、位置ループモジュール1200、転換ループモジュール1201、電流ループモジュール、トルクリップルエスティメータ(truque ripple estimator)、およびインダクタンスモデルモジュールを備え得る。モータ100は、モータ相プラントモジュール100M1とモータの磁気回路プラントモジュール100M2とを備えていてもよい。ここで、例えば、所望の曲線と実際の状態フィードバックが、モータ100によって適用される所望のトルクを算出するように構成されている位置ループモジュール1200に入力される。所望のトルクは、モータ100に課される所望の相電流を計算するために、(例えばモータセンサによって決定される)モータの実際の位置および速度を使用するように構成され得る転換ループモジュール1201に入力される。所望の相電流は、モータ100の各コイル104の端子における相電圧を算出するためのフィードバックとして、実際の相電流を使用することができる電流ループモジュール1202に入力される。
【0039】
インダクタンスモデルモジュール1204
は、電流ループモジュールが、より現実的なインダクタンスのためにその制御ゲインをより良く活用し、可変リラクタンスモータ内に存在するインダクタンスの大きな変動により良く対応できるように、例えばモータの実際の位置と実際の相電流によって、モータ100のインダクタンスの変化を報せるように構成され得る。理解することができるように、電流ループモジュール1202により生成された相電圧は、多少のトルクリップルをもたらすかもしれない。このトルクリップルを減衰させるために、相電圧補正信号を、相電圧に適用することができる。トルクリップルエスティエータ1203は、実際のトルクが生成されるモータ磁気回路100M2の出力におけるトルクリップルを低減させる適切な相電圧補正をリアルタイムで計算するために、推定インダクタンス、実際の相電流、磁束錯交率、実際の位置、実際の速度、および所望のトルクの1つまたは2つ以上を使用し得る。
【0040】
トルクリップルエスティメータによって使用される磁束鎖交率
は、
図11Aおよび11Bに示す、各コイル上かまたは各コイルに隣接して配置され得るセンサまたはピックアップコイル1100などを用いて任意の適切な方法で測定され得る。他の態様では、センサ1100は、鎖交磁束を測定するための任意の適切な位置に配置され得る。センサ1100は、(例えば、転換の結果として)相コイル104が励磁されるときに、ステータ極103P内に発生する磁束結合が、センサ1100において誘導されるように配置された独立したコイルであってもよい。センサ1100のコイルの両端の抵抗、電流および端子電圧による鎖交磁束の変化率は、上記式[4]によって定義される。センサ1100を高インピーダンスチャネル(例えば、アナログ-デジタル変換器または任意の他の適切な高インピーダンスチャンネルなど)に接続することにより、関連する電流を無視することができ、残るものは、ステータ極の両端間の鎖交磁束の変化率の実質的に直接測定で得る大きさである端子電圧(以下の式[11]を参照)である。
【0041】
各モータ相は、各ロータ位置についての磁束鎖交率を提供するように構成された、各モータ相自身のセンサ1100を有していてもよい。
【0042】
【0043】
トルクリップルエスティメータによって実行されるトルクリップル補償は、モータ出力によって生成される実際のトルクの間接的な基準を持ち得る能力を含むことに留意されたい。トルクリップルエスティメータが、実際のトルクを所望のトルクに近づかせる相電圧補正を計算することができるように、実際のトルクのこの間接的な基準は、所望のトルクと比較される。実際のトルクの間接的な基準は、以下の式
【数12】
から導出され得る。
【0044】
式[12]と鎖交磁束(上記の式[5]を参照)の偏導関数を用いて、実際のトルクの間接的な基準は以下の式から算出され得る、
【数13】
式中、鎖交磁束
は、上記のように(式[11]を参照)測定され、インダクタンス
は、ルックアップテーブル、モデルを用いて、または、経験的に、または任意の他の適切な方法で決定され、および式
は、例えば、電流および速度のフィードバックから、または任意の他の適切な方法で計算され得る。
【0045】
結果として生じる相電流は、変更された相電圧(例えば、相電圧補正がトルクリップルエスティメータ1203によって適用された後に変更された相電圧)から生成することができ、変更された相電圧は、次にモータ磁気回路100M2によって提供される実際のトルクを生成するために使用され得る。(上述した搬送装置111とほぼ類似していてもよい)慣性プラント1205は、慣性プラント1205の加速度、速度および位置のそれぞれを生成することによって適用される実際のトルクに反応する。そして、慣性プラントの加速度、速度および位置の状態は、
図12および
図13に示すように、適切な制御ループモジュールにフィードバックされる。
【0046】
本明細書に記載の開示される実施形態の態様では、トルク-電流-位置の関係は、例えば、所望のトルクおよびロータ位置が時間的に固定されている定常状態下のモータ位置および相電流の関数としてのモータトルクを表す。ロボットアプリケーションの場合のように、トルクまたはロータ位置が時間と共に変化する場合、静的トルクの関係を使用することの有効性は、モータの動態の応答速度によって決定することができる。モータの動態の基準は、モータのトルクステップ応答の速度である。
図14は、約3Nmのトルクへと命じられたブラシレスDCモータのトルク出力を示している。モータトルクステップ応答(例えば、動的応答時間)は、任意の適切な方法で測定され得る。
図14はまた、(ブラシレスDCモータと同様のフォームファクタを有する)可変リラクタンスモータのトルクステップ応答を示す。ブラシレスDCモータが可変リラクタンスモータよりも速い応答時間を有していることが
図14および15から分かる。ブラシレスDCモータのトルク曲線がゼロではない勾配で始まってもよく、一方、可変リラクタンスモータのトルク曲線がほぼゼロの勾配で始まってもよいことに留意されたい。これは、ブラシレスDCモータのトルク-電流の関係が線形である一方、スイッチドリラクタンスモータでは、トルク-電流の関係は二次式であるためである。したがって、ブラシレスDCモータと比較して、従来のスイッチドリラクタンスモータは、ゼロ付近の電流およびトルクでは、本質的に遅い応答時間を有し得ると予測される。開示される実施形態の一態様では、(適切なアルゴリズムで具現化され得るような)システムおよび方法は、さらに以下に記載されるように、スイッチドリラクタンスモータがゼロ付近のトルク/電流範囲においてより速く応答することを可能にする。開示される実施形態の態様によれば、次に示されるように可変リラクタンスモータの動的応答が改善され得る。以下の式が与えられ、
【数14】
【数15】
式中、T
VRMは、可変(または、スイッチド)リラクタンスモータのトルクであり、「i」は相電流であり、「θ」はロータ位置であり、「f(θ)」はロータ位置に対する依存性を表し、式[15]から、モータ100のような可変リラクタンスモータの動的応答は、相電流の関数となり得、可変リラクタンスモータの動的応答(dT
VRM/dt)は、相電流の増加と共に増加し、コイル104(
図1Eおよび
図1F)を通る電流が存在しない場合、動的応答がほぼゼロであることが解る。
【0047】
開示される実施形態のこの態様では、
図1Eおよび
図1Fを再び参照すると、転換スキームは、ゼロトルクで、ゼロではない相電流を有することになる。モータの動的応答時間が増加するように(例えば、高速化)(例えば、T=0と、要求されるトルクT
demandとの間の傾きが変えられる)、ゼロではない相電流は、モータの他の相で「バイアストルク」を生成し得る。モータ100のような4相モータでは、2つの相(励磁される相はロータ位置により決定される)を励磁すると、一方向のトルクとなり、残る2相を励磁すると、反対方向のトルクとなる。名目上、2つの相だけがトルクの方向に応じて励磁される。ここでは、モータの要求されるトルクがほぼゼロであるときに、2相A、Bによる正のトルクが、残りの2相C、Dによる負のトルクでバランスされ、正味のトルクがゼロとなるように、転換スキームは、4相すべてを励磁する。4相A~Dすべてをバランスの取れた(例えば、正味トルクがほぼゼロまたは平衡する)方法で励磁すると、モータ100のゼロトルク状態時でさえ、ゼロではない電流を実質的に提供し、式[15]で表されるように、可変リラクタンスアクチュエータの応答時間(または有効帯域幅)を改善する。
【0048】
一例として、所定のモータ位置において、相Aおよび相Bが正のモータトルクに寄与し、相CおよびDが負のモータトルクに寄与し、そして所望のトルクがTで、ΔTが選択されたバイアストルクのオフセット値で、および関数fがトルク-電流-位置の関係を表す場合、相電流を次のように定義することができ、
【数16】
【数17】
式中、i
A、i
B、i
Cとi
Dは、それぞれ相A~Dにおける相電流である。ここで、正味のモータトルクは、実質的にTと等しくなり得、バイアストルクオフセット値ΔTは、任意に小さな値となるように、任意の適切な方法で選択され得る。バイアストルクオフセット値ΔTは、上述したような転換の関連性から決定され得る相電流の増加をもたらし得る。
図16は、ブラシレスDCモータと、相電流バイアスの無い可変リラクタンスモータ(基本的なVRM)と、一定の相電流バイアス(例えば、非バランストルク、すなわちT
demandが生成されたときにモータの駆動によりバイアスがほぼ変わらない)を有する可変リラクタンスモータと、可変相電流バイアス(例えば、非バランストルク、すなわちT
demandが生成されたときにモータの駆動によりバイアスが変わる)を有する可変リラクタンスモータについての、例えば、約3Nmの命じられたトルクに対するモータトルクステップ応答を示す。
図16は比較のため、異なるモータ構成の所望のトルクに対する応答プロファイルを示す。プロットの点線部分は、定常状態の動作状態に向かうおおよその性能を表し、完全性のために含められているが、そうでなければ、本明細書に記載の特徴の態様には無関係である。
図16から分かるように、一定の相電流バイアスを有する可変リラクタンスモータの応答(立ち上がり)時間は、(トルクバイアスの無い)基本的なVRMよりも減少し(すなわち、より速い応答)、可変相電流バイアスを有する可変リラクタンスモータの応答時間は、一定の相電流バイアスを有する可変リラクタンスモータの応答時間よりも減少する。モータの電力の損失を最小限にするために、必要に応じておよびアプリケーションによって決定されるように、オフセットトルクをゼロではない値に設定することができる。一態様では、任意の適切な時点で(
図17、ブロック1700)、所定時間内に、または、例えば、要求されたトルクと同時に印加されるよりもむしろ要求されたT
demandが必要とされる予測時間よりも前の所定の時間に(すなわち、オフセットトルクは、要求されたトルクが必要とされる直前に適用されるプリトルクと考えることができる)、オフセットトルクを生成するために、ゼロではない相電流を適用することができる。また、
図16に示すように、時間的に変化するトルクオフセットプロファイルは一定のトルクオフセットより速い動的応答をもたらし得る。一態様では、例えば、ロボットの輸送アプリケーションにおいてより速い動的応答を可能にするために、コントローラ400などのコントローラは、ロボットマニピュレータ(
図1E中の搬送装置111など)の動作の開始時またはその直前に(例えば、上記のプリトルクを発生するためのプリトルクコマンドを用いて)、バイアストルクを増やし(例えば、所定の開始値に設定する)(
図17、ブロック1701)、また、動作が始まるときに、および/または、要求されたもしくは最大のトルクおよび/または加速度(例えば搬送装置によって運ばれる基板の加速度)に到達する前に減らす(例えば、所定の開始値よりも低い値に下げる)(
図17、ブロック1702)ように構成されてもよい。このバイアストルクの増加および減少は、所望の取得もしくは配置目標に対するロボットマニピュレータのいずれかの「オーバーシュート」(例えば通過)を実質的に防止、またはそうでなければ、減らし得る。一態様では、増加および減少バイアストルクのプロファイルは、ロボットマニピュレータの移動時間よりも持続時間が数桁短くなるように選択することができる(例えば、増加および減少の持続時間は、ロボットマニピュレータの移動の時間に対して無視し得る)。他の態様では、増加および減少プロファイルは、任意の適切な持続時間を有し得る。一態様では、増加および減少バイアストルクのプロファイルは、実質的にゼロトルクにおけるゼロ勾配を有しており、増加および減少の時間は、利用可能なバス電圧および/またはモータコイルのインダクタンスによって決定され得る。理解されるように、バイアストルクは、ロボットマニピュレータの移動の複数の領域(例えば、移動の開始時、移動の終わりに、および/または移動の開始と終了との間の1つまたは2つ以上のポイント)で与えられてもよい。一態様では、トルクバイアスの上昇は、バイアストルクの漸増となり得る。別の態様では、バイアストルクの減少は、所望の動的応答時間に依存し得る。
【0049】
上述のように、コントローラ400(
図1E)は、米国特許番号7,904,182号明細書(すでに、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されたものと同様の高位のコントローラと、より低位のコントローラとを含む分散アーキテクチャを有し得る。一態様では、任意の適切な、計算、比較、可変リラクタンスモータへのコマンドの送信、可変リラクタンスモータの動作特性のモニタリング、モータのトルク出力の変更、などを含むことができる転換スキームの態様が、1つまたは2つ以上のより低位のコントローラによって実行され得るように、1つまたは2つ以上の高位のコントローラに常駐していてもよい。
【0050】
理解されるように、開示される実施形態の態様は、個別にまたは任意の適切な組み合わせで使用され得る。
【0051】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、可変リラクタンスモータロードマッピング装置が提供される。装置は、フレームと、可変リラクタンスモータを取り付けるように構成されたフレーム上に配置されたインターフェースと、フレームに取り付けられ、可変リラクタンスモータに結合された静的ロードセルと、静的ロードセルおよび可変リラクタンスモータに通信可能に結合されたコントローラとを備える。コントローラは、モータ操作データルックアップテーブルの配列をマッピングおよび生成するために、可変リラクタンスモータの少なくとも1つのモータ相を選択し、少なくとも1つのモータ相を励磁し、少なくとも静的ロードセルからモータ操作データを受け取るように構成されている。
【0052】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、静的ロードセルおよび可変リラクタンスモータからモータ操作データを受け取るように構成され、モータ操作データが、静的なモータトルク、少なくとも各モータ相のそれぞれの相電流およびモータのロータ位置の少なくとも1つを含む。
【0053】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、モータ操作データから、ロータ位置および隣接するモータ相の相電流の関数として定トルク値を生成するように構成されている。
【0054】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、各定トルク値に関連付けられた最小電力値を生成し、ルックアップテーブルにおいて最小電力値を提供するように構成されている。
【0055】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、モータ操作データルックアップテーブルを生成するように構成され、各モータ操作データルックアップテーブルが、定トルク値および所定のロータ位置についての対応する相電流の配列を含む。
【0056】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、各所定のロータ位置に対応する所定のロータ位置の配列のために、所定の電流の組み合わせの配列において隣接するモータ相を励磁し、静的ロードセルから所定の電流の組み合わせの各々に対して得られた静的トルクを受け取るように構成されている。
【0057】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、各所定のロータ位置および所定の第1のモータ相電流のために、追加のモータ相電流または追加の相電流の任意の適切な組み合わせを変化させるように構成されている。
【0058】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、モータ操作データルックアップテーブルの配列を形成するために、得られる静的トルクからトルク値を生成し、各所定のロータ位置について、トルク値と、関連付けられた相電流の組み合わせとをマッピングするように構成されている。
【0059】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、可変リラクタンスモータのモータ負荷を決定する、トルクと、電流と、位置との間の関係を特徴付けるための方法が提供される。方法は、静的ロードセルを提供し、可変リラクタンスモータを静的ロードセルに結合し、可変リラクタンスモータの少なくとも1つのモータ相を選択し、少なくとも1つのモータ相を励磁し、少なくとも静的ロードセルからのモータ操作データをコントローラで受け取り、モータ操作データルックアップテーブルの配列をコントローラでマッピングおよび生成することを含む。
【0060】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、静的ロードセルおよび可変リラクタンスモータからのモータ操作データをコントローラで受け取ることをさらに含み、モータ操作データは、静的なモータトルク、少なくとも各モータ相のそれぞれの相電流およびモータのロータ位置の少なくとも1つを含む。
【0061】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、コントローラを用いて、モータ操作データ一から、相電流およびロータ位置の関数として定トルク値を生成することを含む。
【0062】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、各定トルク値に関連付けられた最小電力値を生成し、ルックアップテーブル内において最小電力値を提供するように構成されている。
【0063】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、各モータ操作データルックアップテーブルが、定トルク値および所定のロータ位置についての対応する相電流の配列を含む。
【0064】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、所定のロータ位置の配列のために、所定の電流の組み合わせの配列において、モータ相をコントローラで励磁し、静的ロードセルから所定の電流の組み合わせおよび対応するロータ位置の各々に対して得られた静的トルクを受け取ることを含む。
【0065】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、各所定のロータ位置および所定の第1モータ相電流のためにコントローラを用いて追加のモータ相電流を変化させることを含む。
【0066】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、モータ操作データルックアップテーブルの配列を形成するために、得られる静的トルクからコントローラを用いてトルク値を生成し、各所定のロータ位置について、トルク値と、関連付けられた相電流の組み合わせとをマッピングすることを含む。
【0067】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、可変リラクタンスモータの出力軸に負荷を結合し、可変リラクタンスモータにより出力軸上での静的トルクの配列を生成し、可変リラクタンスモータのロータの位置を調整し、静的トルク値、ロータ位置、および可変リラクタンスモータの隣接する相の相電流を含むモータデータをコントローラによって記録することを含む。
【0068】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、静的トルクの配列内の各静的トルク値に対して、隣接する相について相電流の組み合わせの配列が記録される。
【0069】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ロータ位置の配列内の各ロータ位置に対して静的トルクの配列が生成される。
【0070】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、データルックアップテーブルを形成するために、各ロータ位置について、静的トルクの配列および各相電流の組み合わせをコントローラによってマッピングすることを含む。
【0071】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、所定のロータ位置の配列に対する所定の電流の組み合わせの配列でコントローラによってモータ相を励磁し、所定の電流の組合せおよび対応するロータ位置のそれぞれについて、得られた静的トルク値を記録することを含む。
【0072】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、方法は、各所定のロータ位置および所定の第1モータ相電流のためにコントローラを用いて追加のモータ相(複数可)電流を変化させることを含む。
【0073】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、電気機械が提供される。ブラシレス電気機械は、少なくとも1つのロータ極を有するパッシブロータと、少なくとも1つのステータ極、および、少なくとも1つのステータ極のそれぞれに関連付けられる相コイルを有するステータ、と、所定のロータトルクを生成するために各相コイルへの電流を制御するように構成されるコントローラとを備えており、前記相コイルは、ロータおよびステータが所定の電気機械フォームファクタを規定する、ロータとステータとの間の磁気回路内に磁束を作りだすように構成され、コントローラは、要求されたロータトルクの生成のためにコントローラが所定の定トルク値および関連する相電流値に基づいて各相コイルについての電流を決定するように、少なくとも所定の定トルク値および関連する相電流値でプログラムされる。
【0074】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、所定の定トルク値および関連する相電流値が経験的に生成された値である。
【0075】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ブラシレス電気機械の所定の定トルク値および関連する相電流値が、数値モデル解析または有限要素解析の1つを含むシステムモデル解析から生成される。
【0076】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ブラシレス電気機械は、回転構造またはリニア構造のいずれかの可変リラクタンスモータを備える。
【0077】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ブラシレス電気機械は、真空環境で動作するように構成される可変リラクタンスモータを備える。
【0078】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、パッシブロータは、コイルの無い、かつ、磁石の無いロータである。
【0079】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、関連する相電流値は相電流値の配列であり、各相電流ベクトルが相電流値の配列に共通の所定の定トルク値を生成する。
【0080】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、コントローラは、所定の定トルク値の各々に関連付けられた最小電力値でプログラムされる。
【0081】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、所定の定トルク値および関連する電力値および相電流値が、所定の電気機械フォームファクタと同様のフォームファクタを有するすべての電気機械と交換可能である。
【0082】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、関連する相電流値が予め測定された電流値である。
【0083】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、定トルク値および関連する相電流値が、トルク、ロータ位置およびモータ相の相電流の大きさに関連する1つまたは2つ以上の転換表を形成する。
【0084】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、可変リラクタンスモータコントローラが提供される。コントローラは、可変リラクタンスモータの所定の動作特性を測定するように構成された1つまたは2つ以上のセンサと、可変リラクタンスモータに相電圧を供給するように構成された電流ループモジュールと、所定の動作特性に基づいて、ほぼリアルタイムの相電圧補正信号を生成して相電圧に適用し、可変リラクタンスモータのトルクリップルの影響を減ずるように構成されるトルクリップルエスティメータとを備える。
【0085】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、所定の動作特性は、モータのロータ位置、モータのロータの角速度、各モータ相の相電流、各相の磁束鎖交率およびインダクタンスのうちの1つまたは2つ以上を含む。
【0086】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、磁束鎖交率は、測定値から決定される。
【0087】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、1つまたは2つ以上のセンサは、各モータ相コイルに配置された、または各モータ相コイルに隣接して配置されたピックアップコイルを含み、ピックアップコイルは、それぞれのモータ相コイルに関連した鎖交磁束を測定するように構成されている。
【0088】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、インダクタンスは、ルックアップテーブルまたはモータモデルからコントローラによって得られた推定インダクタンスである。
【0089】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、可変リラクタンスモータコントローラは、モータのロータの位置および相電流に対するモータのインダクタンスの変化を決定するように構成されたインダクタンスモジュールを含む。
【0090】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、トルクリップルエスティメータは、相電圧補正信号が実際のモータトルクを所望のモータトルクに近付けるように、所望のモータトルクと実際のモータトルクとの間のリアルタイムコンパレータを含む。
【0091】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ブラシレス電気機械が提供される。ブラシレス電気機械は、少なくとも1つのロータ極を有するパッシブロータと、少なくとも1つのステータ極、および、前記少なくとも1つのステータ極のそれぞれに関連付けられる相コイルを有するステータと、所定のロータトルクを生成するために各相コイルへの電流を制御するように構成されるコントローラとを備えており、相コイルは、ロータおよびステータが所定の電気機械フォームファクタを規定するロータとステータとの間の磁気回路内に磁束を作りだすように構成され、コントローラは、ゼロトルクのモータ出力で各相コイルにゼロではない相電流が供給されるようにプログラムされる。
【0092】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、各相コイルに供給されるゼロではない相電流は、ゼロにほぼ等しい正味トルクをもたらす。
【0093】
開示される実施形態の1つまたは2つ以上の態様によれば、ゼロではない相電流は、ブラシレス電気機械の動的応答時間の減少(すなわち、応答の高速化)をもたらす。
【0094】
上記記載は、開示される実施形態の態様の例示にすぎないことが理解されるべきである。当業者によって、様々な代替例および修正例が、開示される実施形態の態様から逸脱することなく案出され得る。従って、開示される実施形態の態様は、添付の請求の範囲に該当する、そのような代替例、修正例、および変形例のすべてを含むことを意図している。さらに、異なる特徴が、それぞれ異なる従属または独立請求項に詳述されるという一事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に使用することができないということを意味せず、そのような組み合わせは、本発明の態様の範囲内に留まる。