(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】制御された環境におけるソフトカプセルの加速乾燥
(51)【国際特許分類】
F26B 21/08 20060101AFI20220124BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20220124BHJP
F26B 21/10 20060101ALI20220124BHJP
F26B 21/12 20060101ALI20220124BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20220124BHJP
A61J 3/07 20060101ALI20220124BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
F26B21/08
F26B3/04
F26B21/10 A
F26B21/12
F26B21/04 A
A61J3/07 P
A61K9/48
(21)【出願番号】P 2019530494
(86)(22)【出願日】2017-12-08
(86)【国際出願番号】 US2017065290
(87)【国際公開番号】W WO2018107019
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-12
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515135228
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ハート、ノートン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フルパー、レスター デイビッド
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-500643(JP,A)
【文献】米国特許第5200191(US,A)
【文献】米国特許第8621764(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第104991591(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-0954481(KR,B1)
【文献】特開2003-116507(JP,A)
【文献】特開2012-6861(JP,A)
【文献】特開2007-192464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/08
F26B 3/04
F26B 21/10
F26B 21/12
F26B 21/04
A61J 3/07
A61K 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトカプセルを乾燥させるための乾燥システムであって、
少なくとも1つの乾燥機(100、200)と、
前記乾燥機(100、200)に空気流を供給するための前記乾燥機(100、200)と流体連通するユニット(102)と、
前記乾燥機(100、200)内の相対湿度を上昇させることができるように構成された加湿器(108)と、
前記乾燥機(100、200)内の空気の温度を上昇可能なように構成された加熱器(106)と、
前記ユニット(102)から前記乾燥機(100、200)への前記空気流の量を制御するように構成された流量制御弁(110)と、
を有し、
前記流量制御弁(110)と前記加湿器(108)との組み合わせは、前記乾燥機(100、200)内の相対湿度を制御して、前記乾燥機(100、200)内の相対湿度が49%RHから79%RHの初期相対湿度から10%RHから24%RHの終点相対湿度まで、または49%RHから79%RHの初期相対湿度から23%RHから57%RHの終点相対湿度まで、経時的に減少するように構成され、前記乾燥機(100、200)内の相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との間の差が15%dRH~35%dRHに維持されるように相対湿度が減少されるものである
する乾燥システム。
【請求項2】
請求項1記載の乾燥システムにおいて、前記乾燥機(100、200)に空気流を提供する前記ユニット(102)へ前記乾燥機(100、200)の排気からの戻り気流を再循環させるように配置および構成された再循環ファン(250)をさらに備えるものである、乾燥システム。
【請求項3】
請求項2記載の乾燥システムにおいて、前記加湿器(108)は前記再循環ファン(250)を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の乾燥システムにおいて、前記乾燥機(100、200)に空気流を提供する前記ユニットへ前記乾燥機(100、200)の排気からの戻り気流を再循環させるように配置および構成された再循環ファン(250)をさらに備えるものであり、前記流量制御弁(110)は、前記ユニット(102)から前記乾燥機(100、200)への空気流の量を減らすと、前記乾燥機(100、200)内の相対湿度が上がり、前記ユニット(102)から前記乾燥機(100、200)への空気流の量を増やすと、前記乾燥機(100、200)内の相対湿度が下がるように構成されるものである。
【請求項5】
前記請求項1の乾燥システムにおいて、前記加熱器(106)は、前記ソフトカプセルのカプセルシェルの融点に基づく温度勾配にしたがって時間とともに温度を上昇させるように構成されているものである。
【請求項6】
請求項1の乾燥システムにおいて、前記流量制御弁と前記加湿器との組み合わせは、前記乾燥機内の相対湿度を制御して、前記乾燥機内の相対湿度が49%RH~79%RHの初期相対湿度から10%RH~24%RHの終点相対湿度まで経時的に減少するように構成されるものである、乾燥システム。
【請求項7】
請求項1に記載の乾燥システムにおいて、前記相対湿度は前記乾燥器(100、200)内の前記相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差が15%dRH~35%dRHに維持されるように前記相対湿度が減少されるものである、乾燥システム。
【請求項8】
請求項1記載の乾燥システムを使用してソフトカプセルを乾燥する方法であって、この方法は、
a)前記ソフトカプセルにわたっ
て0.15m/sか
ら13m/sの速度で前記ソフトカプセルに空気流を供給する工程と、
b)前記ソフトカプセルがさらされる乾燥温度を経時的に上昇させる工程であって、この乾燥温度は前記ソフトカプセルのカプセルシェルの融解温度より低い温度になるように維持されるものである、上昇させる工程と、
c)
前記ソフトカプセルの平衡相対湿度が所望の相対湿度になるまで前記乾燥機中の相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差を15%dRH~35%dRHに維持する工程と、
d)前記工程
c)からの前記ソフトカプセルを20~25℃の温度にさらす工程と、を有するものである。
【請求項9】
請求項
8記載の方法において、前記ソフトカプセルがさらされる空気流の速度を前記ソフトカプセルが乾燥するにつれて減速させる工程をさらに有するものである方法。
【請求項10】
請求項
8記載の方法において、前記ソフトカプセルは親油性である。
【請求項11】
請求項
10記載の方法において、
前記ソフトカプセルは親油性であり、前記初期相対湿度は
59%RHから
69%RHである。
【請求項12】
請求項
8記載の方法において、前記ソフトカプセルがさらされる最低相対湿度
は10%RH
~24%RHである。
【請求項13】
請求項
8記載の方法において、前記ソフトカプセルは親水性である。
【請求項14】
請求項
13記載の方法において、前記初期相対湿度
は49%RH
~79%RHであり、前記ソフトカプセルがさらされる最低相対湿度
は23%RH
~57%RHである。
【請求項15】
請求項1記載の乾燥システムを使用してソフトカプセルを乾燥する方法であって、この方法は、
a)前記ソフトカプセルにわたっ
て0.15m/sか
ら13m/sの速度で前記ソフトカプセルに空気流を供給する工程と、
b)ソフトカプセルがさらされる乾燥温度を経時的に上昇させる工程であって、この乾燥温度は
前記ソフトカプセルのカプセルシェルの融解温度より低い温度になるように維持されるものである、上昇させる工程と、
c)
前記ソフトカプセルを49%RHから79%RHの初期相対湿度にさらす工程と、
d)
前記ソフトカプセルの平衡相対湿度が所望の相対湿度に達するまで、前記ソフトカプセルが乾燥するにつれて前記ソフトカプセルがさらされる前記相対湿度を下げる工程と、
e) 前記工程
d)からの前記ソフトカプセルを20~25℃の温度にさらす工程と、を有し、
前記工程dの間、前記ソフトカプセルの平衡相対湿度が所望の相対湿度になるまでに前記乾燥機中の相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差が15%dRH~35%dRHに維持されるものである方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された環境においてソフトカプセルの乾燥時間を加速する方法および乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なソフトゲルカプセル化法では、カプセルは搬送され、回転乾燥され、トレイに積み重ねられ、カプセルの重量の減少、硬度、平衡相対湿度、フィル湿度のような特定の仕様に達するまで低湿度及び周囲温度の条件の乾燥トンネルまたは乾燥室に入れられる。ソフトゲルカプセルの製剤に応じて、乾燥時間は通常2~10日の範囲である。さらに、カプセルが適時に除去されないと、付着または漏出するカプセルなどの欠陥品が生じることがある。
【0003】
ソフトゲル乾燥は広範囲の製品に対して低湿度で行われてきたが、乾燥条件は必ずしも特定の製品の最終仕様に基づくものではない。このアプローチは、非効率的な乾燥をもたらし、カプセルを過剰乾燥させる可能性があり、その結果、過度に脆くなり、カプセル破損をもたらす場合がある。さらに、低湿度の使用により、ゲル材料の外側が内側部分よりも速く乾燥し、これはよりシェル材がより硬いものになり、カプセル内に内部応力を生じさせる。そのような内部応力は最終製品の全体的な頑強性を低下させるものである。そのため、ソフトゲルカプセルの乾燥における欠陥および乾燥サイクル時間の減少が求められている。
【0004】
米国特許第8,621,764号は、ゼラチンカプセル製造および乾燥システムおよび方法を開示している。乾燥システムおよび方法は、3つの区域に分けられる乾燥構造を含む。各区域は、それぞれの区域に供給される空気を加熱または冷却することができる独自のエアハンドラを含む。1台のHVACユニットがすべてのエアハンドラに接続されている。一連の回転式乾燥機が前記乾燥構造にわたって第1の区域から第3の区域まで延びる。各区域は湿度と温度の異なる条件で維持される。各区域の温度は、空調ユニット内の加熱器とチラーを使用して制御され、湿度は温度の変化に基づいて変動される。第2の区域は最も暖かく、この区域の最高気温は87°Fである。第1の区域は全ての区域の中で最も高い相対湿度で維持され、この区域の最大相対湿度は23%である。本開示では乾燥時間の大幅な短縮が達成されることを示しているが、短縮の大部分は開始ゼラチンの含水量の減少に起因する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第8,621,764号明細書
(特許文献2) 特開2007-192464号公報
(特許文献3) 韓国登録特許第10-0954481号公報
(特許文献4) 米国特許第7,957,842号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2008/0000099号明細書
(特許文献6) 米国特許第8,621,764号明細書
(特許文献7) 米国特許第7,957,842号明細書
(特許文献8) 米国特許出願公開第2008/0000099号明細書
(特許文献9) 特開2007-192464号公報
(特許文献10) 韓国登録特許第10-0954481号公報
(特許文献11) 米国特許第5,200,191号明細書
(特許文献12) 米国特許出願公開第2009/0210094号明細書
(特許文献13) 米国特許出願公開第2014/0093606号明細書
(特許文献14) 中国特許出願公開第105674699号明細書
(特許文献15) 中国特許出願公開第102283779号明細書
(特許文献16) 中国特許出願公開第104991591号明細書
(特許文献17) 中国特許出願公開第105987587号明細書
(特許文献18) 特開2012-006861号公報
(非特許文献)
(非特許文献1) International Search Report for International Patent Application No.PCT/US2017/065290; dated 2018-04-09
(非特許文献2) ISA Written Opinion for International Patent Application No.PCT/US2017/065290; dated 2018-04-09
(非特許文献3) COPPOLA M.,et al."Phase diagram of gelatin plasticized by water and glycerol." In Macromolecular symposia (Vol.273,No.1,pp.56-65).WILEY‐VCH Verlag.
(非特許文献4) First Office Action for corresponding Chinese application no.201780069164.1; dated 2020-05-18; Machine Translation (15 pages)
(非特許文献5) Extended European Search Report for corresponding European application no.17877660.5; dated 2020-05-04 (9 pages)
(非特許文献6) FULPER,David et al.,"Effect of Humidity and Water Content on Water Vapor Transmission through Gelatin Films", American Association of Pharmaceutical Scientists - Annual Meeting,Chicago,October 17th,2012,pp.1-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温度を上昇させると、ソフトゲルカプセルの乾燥時間が短くなることが知られている。しかしながら、標準温度を超えて温度を上昇させるという以前の試みは、得られるカプセルに許容できない欠陥をもたらした。ソフトゲルがより高い温度から冷却する際に欠陥が生じる。冷却プロセスの間、水が除去されるゲル内の領域は、異なる大きさを有し、また異なる程度に縮まるので、カプセルの表面に窪みまたはへこみが生じる。
【0006】
したがって、当技術分野で公知のより長い乾燥プロセスと同じ数のカプセル、または好ましくはより欠陥が少ないカプセルを製造するソフトゲルカプセルの乾燥時間を短縮するシステムおよび方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態において、本発明は、ソフトカプセルを乾燥する方法に関するものであり、この方法は、
a)前記ソフトカプセルにわたって約0.15m/sから約13m/sの速度で前記ソフトカプセルに空気流を供給する工程と、
b)前記ソフトカプセルがさらされる乾燥温度を経時的に上昇させる工程であって、この乾燥温度は前記ソフトカプセルのカプセルシェルの融解温度より低い温度になるように維持されるものである、上昇させる工程と、
c)前記ソフトカプセルを約49%RHから約79%RHの初期相対湿度にさらす工程と、
d)前記ソフトカプセルの平衡相対湿度が所望の相対湿度に達するまで、前記ソフトカプセルが乾燥するにつれて前記ソフトカプセルがさらされる前記相対湿度を下げる工程と、
e)前記工程d)からの前記ソフトカプセルを20~25℃の温度にさらす工程と、を有するものである。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記ソフトカプセルがさらされる空気流の速度を前記ソフトカプセルが乾燥するにつれて減速させる工程をさらに有するものである。
【0009】
前記実施形態の各々において、前記ソフトカプセルがさらされる相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差が約15%dRH~約35%dRHに維持されるように前記相対湿度が制御される。
【0010】
前記実施形態の各々において、前記ソフトカプセルは親油性である。前記ソフトカプセルが親油性である前記実施形態において、前記初期相対湿度は約49%RHから約79%RHである。前記ソフトカプセルが親油性である前記実施形態において、前記ソフトカプセルがさらされる最低相対湿度は約10%RH~約24%RHである。
【0011】
前記実施形態の各々において、前記ソフトカプセルは親油性である。前記ソフトカプセルが親水性である前記実施形態の各々において、前記初期相対湿度は約49%RH~約79%RHであり、前記ソフトカプセルがさらされる最低相対湿度は約23%RH~約57%RHである。
【0012】
本発明の別の実施形態において、ソフトカプセルを乾燥させるための乾燥システムであって、少なくとも1つの乾燥機と、前記乾燥機に空気流を供給するための乾燥機と流体連通するユニットと、前記乾燥機内の相対湿度を上昇させることができるように構成された加湿器と、前記乾燥機内の空気の温度を上昇可能なように構成された加熱器と、を有する乾燥システムが提供される。
【0013】
前記乾燥システムは、前記乾燥機に空気流を提供する前記ユニットへ前記乾燥機の排気からの戻り気流を再循環させるように配置および構成された再循環ファンをさらに有するものである。前記乾燥システムの各々において、前記加湿器は前記再循環ファンを有するものである。
【0014】
前記乾燥システムのそれぞれは、さらに前記ユニットから前記乾燥機への前記空気流の量を制御するように構成された流量制御弁をさらに有するものである。
【0015】
前記乾燥システムのそれぞれは、さらに前記乾燥機に空気流を提供する前記ユニットへ前記乾燥機の排気からの戻り気流を再循環させるように配置および構成された再循環ファンをさらに備えるものであり、前記流量制御弁は、前記ユニットから前記乾燥機への空気流の量を減らすと、前記乾燥機内の相対湿度が上がり、前記ユニットから前記乾燥機への空気流の量を増やすと、前記乾燥機内の相対湿度が下がるように構成されるものである。
【0016】
前記乾燥システムの各々において、前記加熱器は、前記ソフトカプセルのカプセルシェルの融点に基づく温度勾配にしたがって時間とともに温度を上昇させるように構成されているものである。この実施形態において、前記流量制御弁と前記加湿器との組み合わせは、前記乾燥機内の相対湿度を制御して、前記乾燥機内の相対湿度が約49%RH~約79%RHの初期相対湿度から約10%RH~約24%RHの終点相対湿度まで経時的に減少するように構成されるものである。前記実施形態において、前記流量制御弁と前記加湿器との組み合わせは、前記乾燥機内の相対湿度を制御して、前記乾燥機内の相対湿度が約49%RHから約79%RHの初期相対湿度から約23%RHから約57%RHの終点相対湿度まで経時的に減少するように構成されるものである。前記乾燥システムにおいて、前記相対湿度は前記乾燥器内の前記相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差が約15%dRH~約35%dRHに維持されるように前記相対湿度が減少されるものである。前記乾燥機内の相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との間の差が約15%dRH~約35%dRHに維持されるように相対湿度が減少されるものである。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明はソフトカプセルを乾燥する方法に関するものであり、この方法は、a)前記ソフトカプセルにわたって約0.15m/sから約13m/sの速度で前記ソフトカプセルに空気流を供給する工程と、b)ソフトカプセルがさらされる乾燥温度を経時的に上昇させる工程であって、この乾燥温度はカプセルシェルの融解温度より低い温度になるように維持されるものである、上昇させる工程と、c)前記ソフトカプセルの平衡相対湿度が所望の相対湿度に達するまで、前記乾燥機内の相対湿度と前記ソフトカプセルの平衡相対湿度との差を約15%dRHから約35%dRHに 維持する工程と、d)前記工程c)からの前記ソフトカプセルを20~25℃の温度にさらす工程と、を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は乾燥システム内の相対湿度とゼラチンフィルムを通した飽和塩溶液の平衡相対湿度との差に対する水のフラックス率を示すグラフである。
【
図2】
図2は乾燥システム内の相対湿度とゼラチンフィルムを通る飽和塩溶液の平衡相対湿度との間のいくつかの差における経時的な水のフラックス率を示すグラフである。
【
図3】
図3は、シュラウドが設置されたトンネル乾燥機内の魚油カプセルの経時的な蒸発冷却の温度効果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による乾燥システムの概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の乾燥システムの第2の実施形態の概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による温度および相対湿度の勾配の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図5の乾燥システムを制御するためのモジュール式制御システムである。
【
図8】
図8は、様々な乾燥プロセス中の経時的な親油性カプセルの硬度を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に従って改変された流動床乾燥機の写真である。
【
図10】
図10は、様々な乾燥プロセス中の親水性カプセルの経時的な重量損失を示すグラフである。
【
図11】
図11は、トンネル乾燥機内のスタック周辺の空気速度のグラフを示す。
【
図12】
図12は、2つの異なる温度で乾燥したときのプラセボカプセルの硬度に対する平衡相対湿度を示すグラフである。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態によって改変された回転式乾燥機の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示の目的のために、本発明の原理が、様々な一例の実施形態を参照することによって記載されている。発明の特定の実施形態が具体的にここに記載されているが、当業者は、同じ原理を、他のシステムおよび方法に等しく適用することが可能であり、他のシステムおよび方法において利用することができることを容易に理解するであろう。本発明の開示される実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が図示される任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことを理解されたい。加えて、本明細書で使用される専門用語は、説明する目的であり、限定するためのものではない。さらに、特定の方法が、特定の順番で本明細書に提示される工程を参照して記載されているが、多くの例において、これらの工程は、当業者によって理解され得るような任意の順序で実施することができ、故にこの新規の方法は、本明細書に開示される工程の特定の構成に限定されるものではない。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「1つの(a)」、1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことをはっきりと指示しない限り、複数の指示語も含むことに留意されたい。さらに、用語「1つの(a)(または(an)」、「1若しくはそれ以上の」および「少なくとも1つの」は、相互に入れ替え可能に使用することができる。用語「有する(comprising)」、「含む」、「有する(having)」および「~構築される」もまた相互に入れ替え可能に使用することができる。
【0021】
そうでないことが指摘されなければ、材料の分量、例えば明細書および特許請求の範囲において使用される分子量、パーセンテージ、比率、反応条件、温度などの特性を表す全ての数字は、用語「約」があるかどうかに関わらず、全ての例において用語「約」によって修飾されるように理解すべきである。したがって反対のことが指示されない限り、明細書および特許請求の範囲に記載される数値的パラメータは、本開示によって達成しようと試みる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲の範囲に対する等価物の教義の適用を制限しようとするのではなく、各々の数値的パラメータは、報告された有効数字に照らして、および通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本開示の広範な範囲を説明する数値的範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特有の例において述べられる数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら任意の数値は本来、そのそれぞれのテスト測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。
【0022】
本明細書に開示される各々の成分、合成物、置換基またはパラメータは、単独で、または本明細書に開示される各々および全ての他の成分、合成物、置換基またはパラメータの1若しくはそれ以上と組み合わせて使用するように開示されるものと解釈されるべきであることを理解されたい。
【0023】
本明細書に開示される各々の成分、合成物、置換基またはパラメータに関する各々の量/値あるいは量/値の範囲は、本明細書に開示される任意の他の各々の成分(複数可)、合成物(複数可)、置換基(複数可)またはパラメータ(複数可)に関して開示される各々の量/値あるいは量/値の範囲と組み合わせて開示されるようにも解釈されるべきであること、ならびに、本明細書に開示される2つ以上の成分(複数可)、合成物(複数可)、置換基(複数可)またはパラメータ(複数可)に関する量/値あるいは量/値の範囲の任意の組み合わせは、この記述の目的のために互いと組み合わせて開示されることも理解されたい。
【0024】
本明細書に開示される各々の範囲の各下限は、同一の成分、合成物、置換基またはパラメータに関して本明細書に開示される各々の範囲の各上限と組み合わせて開示されるように解釈されるべきであることをさらに理解されたい。よって、2つの範囲の開示は、各々の範囲の各下限と、各々の範囲の各上限を組み合わせることによって導き出された4つの範囲の開示として解釈すべきである。3つの範囲の開示は、各々の範囲の各下限と、各々の範囲の各上限を組み合わせることによって導き出された9つの範囲の開示として解釈すべきである。さらに記載または一例に開示される成分、合成物、置換基またはパラメータの特有の量/値は、特定の範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈すべきであり、よって本出願の他の場所に開示される同一の成分、合成物、置換基またはパラメータに関する範囲の任意の他の下限または上限、あるいはその特有の量/値と組み合わせることで、その成分、合成物、置換基またはパラメータに関する特定の範囲を形成することができる。
【0025】
本発明は、乾燥プロセス中にソフトカプセルがさらされる温度、湿度、および/または空気流の速度を制御することによってソフトカプセルの乾燥を加速するためのシステムおよび方法に関する。特に、ゼラチン含有カプセルシェル中の水の拡散またはフラックス率は、乾燥環境を制御することによって制御される。より具体的には、乾燥環境における相対湿度、温度および/または空気流は、ゼラチン含有カプセルシェル中の水の拡散またはフラックス率に影響を及ぼすように制御される。
【0026】
乾燥温度の上昇により、より速い乾燥速度をもたらすことが知られている。しかしながら、上述したように、ソフトカプセル中に望ましくない欠陥が生じる可能性があるので、乾燥温度を上昇させるだけでは達成できる乾燥時間の短縮には限界がある。したがって、乾燥プロセス中の温度制御に加えて、乾燥環境を流れる空気の速度も制御して、ソフトカプセルの乾燥時間をさらに短縮しながら、高温から生じるいくつかの欠点を回避することができる。
【0027】
乾燥環境内の空気流の速度を制御することはいくつかの利点を提供する。たとえば、フィックの法則から導き出される水の蒸発は、以下の通りである。
【0028】
NH2O = Dab*P/(RTz)*ln[(P-Psat)/(P-Pwet)]
ここで、NH2Oは水の流速、Dabは材料中の拡散係数、Pは大気圧、Rは理想気体定数、Tは周囲温度、zは停滞空気の長さ、Psatは相対湿度における水の飽和圧力、PwetはTwetにおける温球温度計を使用した飽和圧力である。
【0029】
フィックの法則は、カプセルシェルを越えた水の拡散は温度に正比例することを示す。従って、より高い温度では、より高い拡散率を維持することができる。さらに、フィックの法則は、停滞空気の長さ(z)が空気流の速度に比例することも示す。従って、カプセルシェル中の水の拡散もまた空気流の速度に比例する。
【0030】
温度はソフトゲルカプセルを乾燥させる主な要因であるが、温度があるレベルを超えて上昇すると、完成品の品質は低下する。具体的には、カプセルシェルは硬化するが、乾燥が完了して温度が低下すると、熱膨張の逆転により充填物の体積が収縮する。硬化したシェルは、充填物の減量に伴って撓むことができず、その結果、許容できない窪みや凹みがシェルに形成される。
【0031】
本システムおよび方法は、乾燥プロセス中に乾燥システムの温度および相対湿度の両方を制御することを含む。この組み合わせによって、カプセルの乾燥時間を有意に短縮するだけでなく、高い乾燥温度において生じる可能性がある最終製品における欠陥を有意に減少させるかまたは防止することが分かっている。
【0032】
カプセルが乾燥するにつれて、カプセルシェルを通じた水の拡散によるカプセルからの水分除去を高率で維持するために温度が上げられる。温度上昇量は、特定の平衡相対湿度(ERH)におけるカプセルシェルの特定の配合物の融点に基づいて決定される。温度が上昇するにつれて、ゼラチン含有カプセルシェル中の水の拡散またはフラックス率は予想通りに加速する。
【0033】
さらに、乾燥されたカプセルシェルの最終冷却時に窪みおよび/またはへこみなどの欠陥の形成を減少または防止するために、乾燥プロセス全体を通して環境湿度も制御される。また、湿度を制御することで、乾燥速度をさらに上げることができる。
【0034】
本発明の乾燥システムおよび方法は、乾燥時間を著しく短縮し、許容できる乾燥軟カプセル剤が製造できる。得られたソフトカプセルはまた、頑強性の向上など、ソフトカプセルに望まれるさらなる有益な物理的特性を有し得る。
【0035】
論文「Phase Diagram of Gelatin Plasticized by Water and Glycerol」(フランス国パリのThermal Physics LaboratoryのMara Coppolaら、およびフランス国コルマールのCapsugelによって2008年Macromol Symposium第 273巻p56-65に掲載され、その開示は参照により本明細書に組み入れられる)は、異なるレベルの可塑剤におけるゼラチン収着曲線ならびに異なるレベルの水分および可塑剤における対応する融点およびガラス転移温度を研究した。ゼラチンおよび水に対する様々な濃度の可塑剤を有するフィルムの融解温度におけるゼラチン濃度の影響が測定されている。頁63、
図7等を参照。データを補完して、可塑化ゼラチンの融点がその対応するERHで推定されている。結果から、カプセルが乾燥しゼラチンのERHが減少するにつれて、ゼラチン含有カプセルシェルの融解温度が上昇することが示唆される。カプセルが乾燥するにつれてカプセルシェルの融解温度が上昇することは、乾燥プロセス中に乾燥温度を上昇させて、より速い速度でカプセルから水分を取り除くことを可能にする。
【0036】
上述のようなソフトカプセルは、医薬品などの様々な材料用のカプセルとして長年使用されて成功しているが、これらの配合物におけるゼラチンの使用は、ある種の物質との不適合性、および 動物由来のゼラチンを使用しないことを望む声があるなどの欠点がある。これらの潜在的な欠点に応えて、ゼラチンを含まないソフトカプセルが開発された。ゼラチンを含まないソフトカプセルは、典型的にはゼラチンの代わりにカラギーナンおよび/またはデンプンを含む。そのようなソフトカプセルの例、および関連する製造方法は、米国特許第6,340,473号、第6,582,727号、および第6,884,060号に記載される。ゼラチンを含まない多数の他のソフトカプセル製剤もまた当該分野で公知であり、そして本発明の方法およびシステムによって乾燥させることができる。
【0037】
本システムおよび方法は、ゼラチン含有ソフトカプセル、ならびにゼラチンを含まない他の種類のソフトカプセルの両方を乾燥するのに適用可能である。ゼラチンを含まないカプセルについても、下記の乾燥工程で乾燥させる特定のカプセル配合物の融点および対応するERHを決定するために、同様の試験を用いることができる。本明細書を通して使用される「ソフトゲルカプセル」および「ソフトカプセル」の記載は、ゼラチンを含有するソフトカプセル、ならびにゼラチンを含有しないソフトカプセルの両方を指す。
【0038】
乾燥環境の相対湿度に対する調整もまた、乾燥時間を短縮するために使用することができる。具体的には、カプセルが乾燥システム内でさらされる相対湿度とカプセルの平衡相対湿度との間の差(以下、「差異的相対湿度またはdRH」と言及)を使用して、ソフトカプセルから水を除去することができる。このdRHは、この目的のために乾燥工程中に制御することができる。差異的相対湿度の制御は、ソフトカプセルの加速乾燥に通常関連する欠陥を回避しながら、従来の乾燥方法と比較してより速い乾燥時間を提供するために使用することができる。
【0039】
最大の安全乾燥温度に達した後でも、相対湿度を調整して、ソフトカプセルシェルを通じた水分のより高い拡散率を維持することができる。そのような最高乾燥温度は、特定のカプセルシェル配合物の融解温度、OSHA規制などの安全上の懸念事項、および/または他の要因に基づいて決定することができる。
【0040】
種々のレベルの相対湿度におけるゼラチンフィルム中の水の水蒸気透過度(MVTR)が測定されている。この目的のために、MVTRセルを過飽和塩溶液で満たしゼラチンフィルムで包囲した。次いで、塩溶液からの水がゼラチンフィルムを通して拡散するにつれて、MVTRセル、塩溶液、およびゼラチンフィルムの重量損失をモニターしながら、外部相対湿度を段階的に低下させた。各外部相対湿度において、質量損失の一定の傾きが測定された。各外部相対湿度に対する定常状態での質量損失の傾きを、内部塩溶液と外部相対湿度との間の相対湿度の差に対してプロットした。この比較の結果を
図1に示す。結果は、過飽和塩溶液の相対湿度と外部相対湿度との間の約25%RHの差異的相対湿度がゼラチンフィルム中の水の移動速度の内で最も速いことを示す。
【0041】
同じ研究において、差異的相対湿度を変えることがさらなる利益をもたらすこともまた観察された。
図2は、セルの外側の外部RHが変化したときの質量損失のプロットを示す。外部RHを変更すると、初期の高い質量損失があり、これは定常状態の質量損失に達するまで指数関数的に減少する。
図2に示すように、初期質量損失率は他のRH差分の定常状態質量損失よりも高い。このように、外部RHを調整することで拡散速度をさらに上げることができるが、これは、質量損失率が定常状態に達する前に典型的な定常状態拡散速度を超える短期間の高い初期拡散速度を提供することによって行われる。
【0042】
さらに、上述のように、空気流の速度はカプセルシェルを越えた水の拡散速度にも影響を与える。空気流はまた、乾燥システム内で所望の温度を維持するのを助けるが、これは、乾燥環境においてカプセルシェルから空気への水の蒸発から生じる気化冷却によって冷却されたシステムから空気を除去することによって可能になる。気化冷却は、乾燥トンネルなどの標準的な乾燥装置を使用した乾燥環境内の温度を下げるので、乾燥プロセスを遅らせる。
【0043】
例えば、トンネル乾燥機は、典型的には、トンネル内に挿入される高密度の大容量のトレイのスタックを含む。トンネルはトレイのスタックの周りではなくトレイのスタックの間に空気を導く。これは通常、屋外の乾燥室や乾燥室で行われる。しかしながら、これらのトンネル内の空気流の多くは依然としてスタックの周りを移動する。空気をスタックに戻す方法としてシュラウドが追加され、そのようなシュラウドの使用は好ましい結果をもたらしている。しかしながら、シュラウドを使用すると、気化冷却がトンネル乾燥機におけるソフトカプセル乾燥の制限要因となる。水がカプセルから蒸発すると、蒸発によって熱が失われ、これによってカプセルと周囲の空気が冷却される。乾燥が速いほど、気化冷却の効果はより顕著になる。
【0044】
図3は、空気流を向け直すためのシュラウドを含むトンネル内のカプセルのスタックに対する気化冷却の効果のグラフを示す。トンネル内の前のスタック内の材料からの水の蒸発によって生成されたより冷たい空気は、その後のスタック内でより低い温度を生じさせる。開始時の温度とそれ以前のスタックの蒸発量によっては、トンネル内の最後のいくつかのスタックの温度が低くなり、湿球温度が約10℃に近づく、または到達することさえある。
【0045】
乾燥環境の湿度を下げても、気化冷却には影響がない。代わりに、湿度を下げると湿球温度が下がり、光熱費が上がる。データによると、蒸発はより低い温度でも続くが、蒸発速度は遅いことを示している。このように、乾燥システムの後のトレイに配置されたカプセルは、気化冷却によって引き起こされる温度および蒸発速度の低下のために湿度が低下し、より遅い乾燥時間になる。
【0046】
さらに、システムに入る空気温度を上昇させることは有用であり得るが、それによって気化冷却は低減または防止されない。したがって、システムに入る空気の温度が初期スタック内のカプセルを乾燥させるのに許容可能な温度に維持されていても、気化冷却によって引き起こされる後続スタック内のより低い温度は依然としてこれらの後続スタックでカプセルを所望速度で乾燥することを困難にする。
【0047】
本発明においては、空気流、または再循環空気流を増加して、気化冷却の問題に対処することができる。より具体的には、気化冷却を補うために乾燥プロセス中に空気流に対する任意の調整を行うことができる。乾燥環境の相対湿度および温度を制御することに加えて、このような空気流調整を行うことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、任意の再循環ファンを乾燥システムに含めることができる。そのような再循環ファンは、排気からの空気を乾燥システムに供給される供給空気に再循環させるように配置および構成することができる。再循環ファンは、乾燥システム内の空気流の速度を制御するためにも使用することができる。また、再循環ファンと湿度源との組み合わせを使用して、乾燥環境内の相対湿度を制御することができる。
【0049】
乾燥環境を通じて空気流を提供することは、冷却された空気をカプセルから遠ざけ、乾燥システムの排気口から外へ連続的に移動させることにより、蒸発冷却の影響を減らすことができる。除去された冷却空気は、気化冷却効果に対抗するためにより暖かい流入空気で置き換えることも可能である。再循環ファンは、同様の利点を提供するためにあらゆる種類の乾燥装置において使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、最高速度の気化冷却が乾燥初期段階で起こるので、乾燥初期段階ではより高速の空気流が使用される。乾燥が進行するにつれて、蒸発速度が遅くなり、したがって気化冷却速度も遅くなる。その結果、気化冷却の効果に依然として効果的に対抗している状態で、乾燥の後期段階では空気流の速度を低下させることができる。
【0051】
したがって、いくつかの実施形態では、より少ない欠陥でソフトカプセルのより速い乾燥を確実にするために、温度および相対湿度の制御された変動が空気流速の任意の変化と共に使用される。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態による乾燥システム100の概略図である。この実施形態では、システム100は、HVACユニット102、標準乾燥装置104、加熱器106、および加湿器108を備える。
図5は、任意の再循環ファン250が追加された本発明の乾燥システム200の第2の実施形態を示す。
【0053】
HVACユニット102は任意に除湿器を含むことができ、乾燥システムを通して冷たい乾燥空気を供給するために使用される。HVACユニット102は、乾燥システムに新鮮な空気のみを供給するためにダンパーに直接接続されてもよく、または乾燥装置を備える部屋から空気を引き込んで戻すこともできる。
図5に示すように、再循環ファンを使用して乾燥装置を出る空気を再循環して乾燥装置に入る空気と混合することもできる。再循環空気のみ、新鮮な空気、HVACユニットによって提供される乾燥室からの空気、または前述の空気源の任意の組み合わせを乾燥装置で使用することができる。HVACユニットから供給される空気の湿度は、約5%RHから約30%RHの範囲であり得る。HVACユニットによって提供される空気のRHは、乾燥装置内の空気の所望のRHより低いことが好ましい。そのため、HVACユニットから供給される空気は「ドライエア」と見なされる。
【0054】
HVACユニットからシステムに入る空気の温度は、約20℃~約29℃の範囲とすることができ、所望の温度は一般に、乾燥装置が配置されている部屋の快適レベルに基づいて選択することができる。。好ましくは、HVACユニットからの空気の温度は約22℃から約26℃の間であり、そして最も好ましくは温度は約23℃から約25℃である。
【0055】
HVACシステムと乾燥装置との間には、任意の流量制御弁110がある。システムに流入する乾燥空気を制限することが望ましい場合は、流量制御弁110を使用する場合、入口オリフィスを閉めるまたはそのサイズを縮小するために設定、手動調整、またはセンサの使用による制御を行うことができる。
【0056】
HVACシステムと乾燥装置との間には、オプションの流量制御弁110がある。システムに流入する乾燥空気を制限することが望ましい場合に、流量制御弁110を使用する場合、入口オリフィスを閉めるまたはそのサイズを縮小するために設定、手動調整、またはセンサの使用による制御を行うことができる。
【0057】
乾燥装置は、乾燥コンベヤー、回転式乾燥機、流動床乾燥機、乾燥トンネル、または乾燥室を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の任意の標準的な乾燥装置であり得る。本明細書に開示されるシステムまたは方法は、使用される乾燥装置の種類とは独立している。
【0058】
乾燥装置は、任意の形態の乾燥コンベヤー、回転式乾燥機、流動床乾燥機、乾燥トンネル、または乾燥室を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の任意の標準的な乾燥装置であり得る。本明細書に開示されるシステムまたは方法は、使用される乾燥装置の種類とは無関係である。
【0059】
加湿器はシステムに湿度を供給する。加湿器は、蒸気発生、超音波ミスト、芯、またはパッキングを含み得る。上記のように、湿ったカプセル自体が、カプセルからの水の蒸発によって乾燥環境においていくらかの加湿を提供する。再循環空気流の任意の使用には、乾燥環境を出る湿気を捕獲し、それをシステムに戻すことができる。湿ったカプセルがシステムに導入されるとシステムの初期相対湿度は高くなり、カプセルが乾燥するにつれてシステムの相対湿度は時間の経過とともに減少する。加速乾燥に有用な相対湿度範囲は、乾燥されるカプセルの種類に応じて2~89%RHの範囲であり得る。例えば、親油性カプセルとも呼ばれる親油性フィルを有するカプセルは、親水性カプセルとも呼ばれる親水性フィルを有するカプセルよりも低い%RHを使用して乾燥させることが好ましい。
【0060】
親油性カプセルの場合、初期相対湿度範囲は、好ましくは49%RH~79%RHであり、終点相対湿度範囲は、好ましくは約2%RH~約36%RHである。より好ましくは、親油性カプセルの初期相対湿度範囲は約59%RH~約69%RHであり、親油性カプセルの終点相対湿度範囲は約10%RH~約24%RHである。
【0061】
親水性充填物を有するカプセルの場合、初期相対湿度範囲は、好ましくは約49%RH~約79%RHであり、終点相対湿度範囲は好ましくは約15%RH~約58%RHである。より好ましくは、親水性カプセルの初期相対湿度範囲は約59%RH~約69%RHであり、親水性カプセルの終点相対湿度範囲は約23%RH~約57%RHである。
【0062】
乾燥環境の温度は、加熱器を使用して維持してもよい。熱は、例えば、以下の方法のうちの1つまたは複数から選択できるが、加熱要素を介した加熱、モータからの散逸熱、ライト、またはプロセス自体によって発生する摩擦力によって提供することができる。乾燥温度は、乾燥させる特定のソフトカプセル配合物の融解温度より低く維持されなければならない。上述のように、カプセルが乾燥するにつれてカプセルシェルの融解温度は上昇するので、この融解温度が上昇するにつれて乾燥温度を経時的に上昇させることができる。加速乾燥システムに有用な全体の温度範囲は、約22℃から約68℃の範囲であり得る。好ましくは、温度範囲は、ほとんどの湿ったゼラチンシェルの溶融温度である約32℃から、労働安全衛生管理基準に従って使用することができる典型的な最高温度である約48℃までである。しかしながら、適切な断熱材および十分に高い融点を有するカプセルシェルを用いると、より速い乾燥を促進するためにさらに高い温度を使用することが可能であるこ。さらに、いくつかの特別な場合では、主にソフトカプセルの特定の調合に応じて、より低い温度を使用することができる。
【0063】
任意の再循環ファンが使用される場合、ファンはHVACユニットの一部であり得るか、またはファンは乾燥システムの別個の部分であり得る。再循環は任意選択であるが、乾燥システム内で所望の温度および相対湿度を維持するのを助けるために使用することができ、またエネルギーコストを削減するために使用することもできる。再循環ファンのファン速度は、使用されているシステムに適合するように調整することができ、ファンは、ソフトカプセル上の空気速度が約0.15m/sから約13m/s、好ましくは約0.15m/sから約8.3m/s、最も好ましくは約0.35m/sから約2.5m/sになるように操作される。使用される乾燥装置の種類に応じて、ファンの速度を調整できる。例えば、流動床乾燥の場合、有益な効果を提供するためにより早いファン速度が必要とされるかもしれないが、これらのタイプの乾燥機では、電気コストが上がるのに対して、空気流の増大による乾燥への効果は限られたものである。そのため、送風量を増やすことの利点とファンの作動コストを比較検討する必要がある。
【0064】
ファン速度の低下に起因するカプセル上の空気流の速度の低下は、カプセルからの水分が蒸発し続けるにつれて、カプセル周囲の相対湿度を増加させる。したがって、ファン速度の操作はまた、乾燥プロセスが進行するにつれて乾燥環境内の相対湿度を制御するために、ならびに蒸発冷却の効果を低減するために使用できる。したがって、いくつかの実施形態では、乾燥システム内の一貫した所望の相対湿度レベルを確保するファン速度を維持するために、ファン速度は時間の経過とともに、絶えずまたは断続的に低下される。
【0065】
本明細書に開示され、
図4および5に示されるような乾燥システムを使用するために、そのような乾燥を必要とするソフトカプセルが最初に標準的な手順に従って製造される。次に湿ったカプセルを乾燥装置に入れ、乾燥システムを作動させる。温度、相対湿度および任意の空気流は、手動で調整、事前にプログラムされたシステムによって調節可能であり、あるいはシステムからリアルタイムで得られたデータに基づいて、または温度、相対湿度、任意に空気流速の範囲が乾燥する特定のソフトカプセルの配合物、局所的環境状態及び所望される乾燥時間に基づいて提供されるように予めプログラムされたコントローラによって調節可能である。
【0066】
乾燥装置内の初期温度は、カプセルシェルに使用される特定のソフトカプセル配合物に基づいて選択される。温度は、特定のソフトカプセル配合物の融点に近いが少なくとも2~3℃低くなるように選択されるべきである。例えば、温度は、乾燥プレセスの間、ソフトカプセルシェルの融点より2~10℃、または2~7℃または2~5℃、または3~8℃または3~6℃、または最も好ましくは2~3℃下に維持することができる。この温度差を維持するためには、乾燥によってカプセルシェルの融点が上昇するにつれて乾燥システム内の温度を上昇させる必要がある。ソフトカプセル配合物の融点は、実験室で様々な水分濃度で決定される。収着曲線は、水分濃度と平衡相対湿度を相関させるために作成することができる。したがって、そのような収着曲線を使用して、平衡相対湿度を監視することによって、乾燥プロセス中にカプセルの融点をリアルタイムで決定することができる。
【0067】
経時的に、カプセルが乾燥するにつれて、カプセルの平衡相対湿度は低下し、ソフトカプセル配合物の融点は上昇する。融点が上昇するにつれて、単位時間当たりのカプセルからの水分除去を最大にするために乾燥装置内の温度が上げられる。温度は、加熱器および任意のチラーを使用して制御するのが好ましい。
【0068】
HVACユニットによりシステムに供給される空気の温度は、所望の乾燥温度より低い可能性が高いので、システム内の加熱器を使用して乾燥装置内の空気温度を所望の設定点まで上昇させる。さらに、オプションの再循環ファンが使用される場合、加熱装置を出る空気を加熱装置に入る空気に再循環させることは、熱を節約し、所望の設定温度を維持するのを助けるのに使用することができる。しばらくすると、安全上の問題やその他の要因によりシステム内の温度が水平状態になる。
【0069】
乾燥プロセスが完了するか、またはほぼ終了したら、カプセルは室温または周囲温度に冷却される。この目的のために、任意の冷却器を含めるか、あるいはHVACシステムから追加のより冷たい空気を乾燥装置に入れてもよい。
【0070】
温度が調整されている間、乾燥装置内の相対湿度も制御されている。湿度制御は加熱されたカプセルの品質を保つために使用される。相対湿度は高い値から始まり、カプセルが乾燥するにつれて時間とともに低下される。
【0071】
好ましくは、相対湿度は加湿器および/または再循環ファンによって制御される。湿度は加湿器によって、またはカプセルから蒸発する水分によって、または再循環空気によってシステムに提供される。相対湿度をさらに制御するために、相対湿度がより低い空気の流れが乾燥装置に入るのを低減または防止するために、HVAC機器からの空気入口に流量制御弁110を使用することもできる。
【0072】
相対湿度は、差異的相対湿度がカプセルシェルにわたって約15%dRH~約35%dRH、より好ましくは約20%dRH~約30%dRH、最も好ましくは約25%dRHに維持されるように調整される。乾燥システム内の相対湿度は、この差異的相対湿度を維持するためにカプセルが乾燥するにつれて低くされる。しかしながら、安全性または他の理由のために温度が上昇しなくなった場合、カプセルからの蒸発速度を変える(例えば増加させる)ために相対湿度を変えて差異的相対湿度を変えることができる。
【0073】
親油性カプセル用の湿度および温度勾配の一例を
図6に示す。親水性カプセルについても同様の曲線を作成することができる。親水性カプセルについての曲線は、典型的には、親油性カプセルについての曲線よりも急勾配ではない。親水性カプセルの最終湿度は、充填製剤の内部の違いにより、通常53%から57%の間である。温度はソフトカプセル製剤の融解温度より低いままであり、これはカプセルが乾燥するにつれて上昇する。経時的な温度上昇は、カプセルから水分を蒸発させるのを助ける。
【0074】
温度および/または湿度の各調整は、特定のソフトカプセル配合物の材料特性に基づくプログラムを通して行うことができ、あるいはシステム内に配置された1つまたは複数のセンサから受信したデータに基づくことができる。温度および/または相対湿度を経時的に選択する好ましい方法は、カプセルの平衡相対湿度に基づいているが、カプセルの重量損失を測定するなどの他の方法も使用することができる。
【0075】
カプセルのERHはリアルタイムで測定することができる。ソフトカプセルのERHと融解温度との間の相関に基づいて、相対湿度および温度勾配を示すグラフ上にERHがプロットされるか、または較正グラフに基づいて方程式に入力される。対応する値を使用して、経時的にシステムの温度および相対湿度の設定値を決定できる。
【0076】
初期の相対湿度は、製造されたカプセルの高いERHに基づいて高く、典型的には約45%RHから90%RHである。さらに、各ソフトカプセルの終点相対湿度が制御されるが、各配合物毎にカスタマイズが可能である。例えば、魚油カプセルについては、10%RH~24%RHの終点相対湿度が望ましい。イブプロフェンカプセル剤については、23%RH~57%RHの終点湿度が望ましい。
【0077】
本システムを使用して、典型的な魚油カプセルを硬度が>8Nの硬度(9時間で)に乾燥させることができ、そして典型的なイブプロフェンカプセルは48時間以内に<7.5%の水分量に乾燥させることができる。これらの値は、特定の配合物に応じて通常2~10日かかる典型的なソフトゲル乾燥プロセスよりも60~80%乾燥時間が短いことを示す。
【0078】
カプセルが所望の含水量まで乾燥されると、乾燥装置から取り除かれる。乾燥工程の終点は、カプセル硬度、重量損失、カールフィッシャー法により決定される充填水分、乾燥減量(L.O.D.)により決定されるカプセル水分、または当技術分野において公知の他の方法によって決定することができる。
【0079】
図7は、乾燥装置としてトンネルドライヤーを使用した
図5に示されるような乾燥システムのための好ましい制御システム300の概略図を示す。HVACシステムは、25℃、10%RHの空気を供給することが好ましい。しかしながら、空気温度および相対湿度のパラメータは、室内の快適性レベル、および特定の製品を乾燥させるための所望の相対湿度レベルに応じて変えることができる。
【0080】
この好ましいシステムでは、3つの異なる対のセンサを使用することができる。第1の対のセンサは、供給空気360と戻り空気362の相対湿度を測定する。好ましくは、乾燥装置内の差異的相対湿度は、約25%dRHに維持される。乾燥速度を上げるためにもっと高い温度を使用する場合は、必要ならば、供給空気の相対湿度をわずかに高いレベルに制御し維持して製品欠陥を最小限に抑えることができる。差異的相対湿度は、単一の値に設定することも、乾燥時間に影響するようにプロセス全体を通して変動させることもできる。
【0081】
相対湿度を制御するために、HVACユニット102からのダクトに流量制御弁112を使用することができる。HVACユニット102からシステムに入る空気の相対湿度は低く、この実施形態では約10% の相対湿度である。したがって、HVACからの流量を減らすことで、供給空気の相対湿度が上がる。供給空気相対湿度センサ360を使用して、単一ループコントローラに基づいた流量制御弁112を制御するための情報を提供する測定値を求め、乾燥装置内で所望の差異的相対相対湿度を維持することができる。
【0082】
25%dRHの湿度差を維持し、15%RHの最低湿度(HVACバルブが閉じ始める最小値)を維持するためには、以下のアルゴリズムが使用される。
=IF(RH1>MIN, (IF(RH2<(DIFF+DIFF),(RH2-MIN),DIFF),(RH2-MIN))
RH1:供給センサーからの相対湿度
RH2:戻りセンサーからの相対湿度
DIFF:所望の差異的相対湿度
MIN:最低湿度設定点
この時点で、差異的相対湿度が再計算されて、RH1が最小設定点を下回らないようにする。
【0083】
第2の対のセンサは、温度制御センサ364および366を含む。熱交換器または他の加熱要素106が乾燥装置104の供給ダクト内に設置されている。供給側温度を維持および制御するために単一ループコントローラに基づいて空気供給温度センサ364が熱伝導を制御する。上述したように、温度値は、特定のソフトカプセル配合物の融解温度より低い状態で、ゲルからの水の拡散を増加させるために上昇するように設定することができる。
【0084】
制御システム300のこの実施形態で使用される第3の組のセンサ368、370は、1組の流量制御センサである。空気流の増大は、蒸発冷却の影響を最小にし、上述のように乾燥時間を減少させることが示されている。流量センサは、HVACシステムのみから来る流れを制御するために使用されるべき情報を得るために使用することができ、あるいは好ましくは再循環ファンもまたシステム内で使用される。再循環ファンを追加すると、カプセル上の空気の速度が上がる。再循環ファンの動作は、ファン速度を制御することによって温度センサが監視する供給温度と戻り温度との間の差を最小にするアルゴリズムに基づいている。
【0085】
ここで、排気温度センサ366の温度が入口温度センサ364の温度より1℃低い場合、ファンが始動されるかまたはファン速度が上げられる。再循環ファンおよびHVACシステムは、それぞれ、約100m3/時から約2000m3/時の間の空気流を提供することが好ましい。HVACユニット、乾燥装置、および/または再循環ダクトへの逆流を防ぐために、システム全体にわたっていくつかのチェックバルブ372も配置されている。再循環ファンはまた、HVACユニットによって供給される空気と比較して、供給空気より高い湿度および温度を有する空気を供給する。
【0086】
上記の制御システムは、温度、相対湿度および空気流を変化させることに関して説明してきたが、乾燥時間の短縮は、これらの要素のうちの任意の1つまたは複数を使用して達成可能である。さらに、上記の要素のうちの2つの任意の組み合わせもまた、乾燥時間の短縮をもたらすことができる。好ましくは、システムは、ソフトカプセルの乾燥時間を短縮し、許容可能な物理的特性を有するカプセルを製造するために温度制御と湿度制御の組み合わせを使用する。
【0087】
以下の実施例は例示であり、本開示を限定するものではない。当分野で通常遭遇し、当業者に明らかである、様々な条件およびパラメーターの他の適切な変更および適合は、本開示の範囲内である。以下の実施例は、いくつかの好ましい実施形態における本発明の実施を例示する。
実施例
【実施例1】
【0088】
(親油性カプセルの乾燥時間):
親油性カプセルのカプセル乾燥速度に対する相対湿度および温度の変化の影響を測定した。標準乾燥トンネルを使用して照査が行われた。標準乾燥トンネルの温度は22℃であり、標準乾燥トンネルの相対湿度はプロセスの開始時に12%RHであった。サンプルをトレイペーパーと共にトレイ上に置き、部分的に積み重ねた状態で作り、そしてトンネル中に置いた。硬さを試験するために6時間毎にカプセルのサンプルを採取した。
【0089】
回転式乾燥機を用いて2つの比較実験を行った。タンブル乾燥機のベースラインは、CS-TJS-1大型バスケットの連続タンブル乾燥機を使用することによって得た。バスケットのロードは60kgと100kgに制限されたもので中点が80kgであった、また3rpmと6rpmの回転速度が採用され、中点は4.5rpmであった。ベースライン実験のために相対湿度を12%RHに保ち、温度は24℃に保った。2番目の比較実験は同じ装置と同じパラメーターを使用して、ただし温度を35°Cに維持して行った。
【0090】
データロガーを使用して、タンブル乾燥機のバスケット内、ならびにタンブル乾燥機の吸気フィルターおよび排気口の上の温度および相対湿度をキャプチャーした。2つの比較実験では、サンプルカプセルを採取して、各試験前にカプセル重量および平衡相対湿度(ERH)を測定し、硬度、重量損失、およびERHも最初の6時間は1~2時間ごとに、その後は6~12時間ごとに測定した。
【0091】
実験研究のために、CS-TJS-1大型バスケット連続タンブル乾燥機を温度および相対湿度制御システムを含むように改造した。改造したタンブル乾燥機を
図13に示す。他のパラメーターは全て比較実験と同じに保った。温度および相対湿度制御システムは、熱エネルギーを節約しシステムに湿度を加えるために再循環ダクト、ダンパー、および蒸気発生器を含めた。回転式乾燥機ハウジング内の温度および相対湿度は、較正されたヴァイサラ送信機を使用して測定した。回転式乾燥機の内側に配置された加熱要素を使用して空気流を加熱した。Nortec蒸気発生器を使用して湿気を加えた。カプセルのERHは、4つのカプセルを密閉容器に入れ、Aqualabs水分活性計を使用して測定し、相対湿度は、最小の湿度変化率が検出されるまで測定された。カプセル間の中間位置の温度および湿度は、ナイロンバッグ中のiButtonデータロガーを使用してモニターした。
【0092】
サンプルを1時間毎に採取し、10個のカプセルの重量を測定して平均した。減量は初期重量から計算した。重量損失を
図8に示すグラフにプロットし、新たな温度および相対湿度の設定点を測定し入力した。この実験では、
図6のグラフに示すように、特定のソフトカプセル配合物について以前に得られたデータからERHおよび温度の推定値を作成し、溶融温度は重量損失に関係なく、カプセルのERHから直接計算した。4つの異なる温度/湿度勾配を実施したが、全て
図6に示すようなグラフの変形を使用した。
【0093】
CS-TJS-1大型バスケット連続タンブル乾燥機を用いて追加の対照試験を実施した。対照試験は実験手順と同じプロトコールに従ったが、相対湿度制御なしで温度勾配のみを含んだ。温度のみを使用することによって、カプセルは冷却時にへこんだ。温度と湿度の両方を制御したカプセルは、カプセルの品質に影響がなかった。したがって、乾燥を促進するには温度と湿度の両方の制御が必要であると結論付けることができる。
【0094】
この実施例の結果を
図8に示す。サンプルの硬度は、Bareiss Digitest Gelomatを用いて測定した。この特定の製品の硬度仕様は7~10Nであった。結果は、温度および相対湿度制御の使用が乾燥トンネルでの乾燥時間を約36時間から約12時間に短縮することを示した。標準の回転式乾燥機の乾燥時間も50%以上短縮された。相対湿度と温度をより正確に制御することで、乾燥時間をさらに短縮することができる。
【実施例2】
【0095】
(親水性カプセルの乾燥時間):
親水性カプセルのカプセル乾燥速度に対する湿度および温度の変化の影響を、
図9に示すように実験室規模の流動床乾燥機を使用して試験した。この研究はまた、最終的な親水性生成物の品質を観察するためにも使用した。この実験のための温度および相対湿度制御は手動で行ない、それ自体は正確ではなかったが、結果は依然として対照乾燥運転に対する80%の乾燥改善が示され、乾燥時間が10日から2日に短縮することが達成された。2つの実験サンプルに対する対照および比較試料の乾燥時間の結果を
図10に示す。以下の表1は、各試験に使用された温度、相対湿度および空気流のパラメータを示す。
【0096】
対照実験のために、周囲条件で親水性カプセルをナプキンを上にして計量ボートに入れた。10カプセルの重量を測定し、各測定の時間を記録した。
【0097】
本発明の温度および相対湿度制御を使用した結果を2つの異なる温度(流動化22および流動化32)での流動床乾燥機の使用と比較するために比較実験を行った。比較流動床乾燥機実験では、実験を通して空気流を約12m/sに維持した。流動化22については、温度を約22℃に維持した。湿度は調整せず、10.9%RHと14.8%RHの間で変動した。これらの温度および湿度条件は、対照に使用された「周囲条件」と同じであった。
【0098】
流動化32については、湿度は制御されず、実験中5.2%RH~8.0%RHの間で測定された。温度は、加熱器を使用して約32℃に維持した。より低い相対湿度は、この比較実験で使用されたより高い温度によって説明できる。
【0099】
乾燥速度について、2つの異なる実験バッチを2つの対照試料および2つの比較例と比較した。2つの実験試験は表1において湿度2および湿度5と表示されている。温度および湿度制御を評価できるように空気流は流動化させず1m/s未満に維持された。温度および相対湿度は実験を通して調整された。各実験は、重量損失を次の湿度設定値に相関させるために、特定のソフトゲル配合物の融点およびERHに基づいて異なる式を利用した。最初の実験バッチでは、温度を約30℃から約45℃に上げ、その後温度を25℃に下げた。相対湿度は実験を通して高レベルに維持し、75%RH~30%RHの範囲であり、一般に温度が上昇するにつれて低下した。
【0100】
第2の実験バッチでは、温度を約30℃から約42℃に上昇させ、その後温度を25℃に戻した。実験を通して相対湿度も高レベルに維持され、温度が上昇するにつれて相対湿度は70%RHから40%RHの範囲であった。第1の実験的試験と第2の実験的試験との間の違いは、各測定後に使用された特定の設定点であった。
【0101】
重量減少を経時的に測定した。親水性カプセルは、10カプセル当たり1.9gの重量減少がある場合に乾燥していると見なした。
【0102】
温度、流動化空気流および湿度を変えて、いくつかの追加のバッチも試験した。これらの実験のそれぞれに使用されたパラメータを表1に示す。各カプセルは、プロセスの完了時に視覚的に検査された。これらの目視観察の結果も表1に含まれる。
【表1】
この実施例の結果は、製品の重量損失および既知の平衡相対湿度をモニターすることによって、絶えず増加する温度勾配の使用により10日から2日へと最高80%まで乾燥サイクル時間が短縮されたことを示した。乾燥したカプセルの品質を維持するために湿度管理は必要である。湿度制御なしでは、カプセルはへこんで変色が起こった。湿度制御により、カプセルは透明、光沢があり、そして良好な色を呈し、温度および湿度制御がカプセルの品質を維持しながら乾燥サイクル時間を有意に改善することを示す。
【実施例3】
【0103】
(トンネル乾燥機での管理システムの使用):
本発明の一実施形態は、標準的なトンネル乾燥装置を使用して試験された。ソフトゲルカプセルを乾燥させるために使用される乾燥トンネルに、既存のHVACシステムと等しい流量の再循環ファンを追加した。乾燥システムは、
図7に示されるような、また上述のように、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、加熱要素、および乾燥トンネルへの乾燥冷気の供給を制御するためのダンパ弁を含む。再循環ファンは空気流を増加させる。加熱要素がトンネル内の温度を上昇させる。流量制御弁は、HVACシステムから再循環ループへの乾燥空気の流れを制限することによってトンネル内の相対湿度に影響を及ぼすために使用される。カプセルから蒸発する水分が乾燥トンネル内に湿気を与えた。差異的相対湿度は、トンネルの前後に配置された湿度センサーによってモニターされ、HVACシステムからトンネル内への乾燥空気の増分量を許容するために使用される流量制御弁によって維持された。この特定の設計では、トンネル内への空気の速度を減速することができ、それによって蒸発冷却の効果が減少するにつれて相対湿度を増加させた。
エアハンドル実験
【0104】
HVACエアハンドラは、各トンネルによって必要とされる空気流の合計に基づいて流れを調整した。これは、トンネルが不要なときにエネルギーを節約するためである。エアハンドラを通過する最大空気流は3500m3/時である。製造業者の推奨に基づくと、最大ダクト圧力は1200Paである。ダクトへの損傷を避けるために、960Paでバイパスダンパーを開き、1080Paでエアハンドラーをシャットダウンするようにインターロックを取り付けた。
【0105】
すべてのダンパー、バルブ、バイパスを閉じた状態で、記録された最小空気流は1200m3/時であった。各トンネルを通して記録された最小空気流は、それぞれ220m3/時、260m3/時、および300m3/時であった。その結果、バイパスダンパーから推定420m3/時の空気流が漏洩し、損失は35%であった。
【0106】
100%のHVACを用いて、改造したトンネルのそれぞれを通る最大空気流は、それぞれ2221m3/時、2116m3/時、および2201m3/時と個別に測定された。各トンネルがAUTOで850m3/時に設定されている間、必要な空気流を得るのに十分な圧力を維持するために30%の補正係数をHVAC設定値に追加する必要があることが分かった。これは、バイパスダンパーを通して空気が漏れることで説明できる。
【0107】
再循環空気流については、再循環ファンをオフにした状態で、再循環ダクトを通る最小空気流は、それぞれ18m3/時、20m3/時および46m3/時であった。再循環ファンとHVACの間にチェックバルブが取り付けられているため、これはゼロと見なす必要がある。モーターの損傷を避けるために、可変周波数ドライブ(VFD)に最低周波数の6Hzを設定した。同様に、エアハンドラーの最小周波数も6Hzに設定した。チェックバルブの重量のために、再循環空気流はファン速度が30~40Hzに達するまで増加しなかった。これは、260~290m3/時の空気流を表す。結果として、乾燥の終わり近くでいくらかの制御が失われた可能性がある。
【0108】
再循環ファンが100%で、トンネル内へのHVAC空気流がAUTOで850m3/時に設定されている間、トンネル内の最大再循環空気流はそれぞれ1685m3/時、2067m3/時、および1705m3/時であった。違いはHVACと再循環ファンの間の圧力の微妙なバランスによるものでる。再循環ファンの仕様は2400m3/時であった。したがって、再循環ファンは仕様を満たすことができなかった。その後のテストでは、再循環ファンの最大周波数は一時的に77Hzに設定された。
湿度制御
【0109】
空気流は、25%dRHの設定値で差異的相対湿度コントローラによってカスケードで制御された。以下のアルゴリズ
=IF(RH1>Min,(IF(RH2<(DIFF+DIFF),(RH2-MIN),DIFF),(RH2-MIN))
を使用して、差異的相対湿度を25%dRHに維持し、最小相対湿度を15%RHに維持した。
差異的相対湿度を再計算して、RH1が最低15%RHを下回らないようにした。
温度制御
【0110】
最高温度は、40℃のセンサーによって制限された。AUTOで35°Cに設定された温度では、コントロールバルブは~30%まで開かず、~20%まで閉じないため、温度制御がより困難であった。
結果
【0111】
分析の間、再循環ファンが仕様を満たすことができなかったために空気流が予想に至らなかった事例がいくつかあった。トンネル空気流の合計が十分でなかったので、補正係数をHVAC設定点に追加しなければならなかった。これはおそらくバイパスダンパーからの漏れによるものである。加えて、空気流は圧力降下のために制限されているように見えた。ドアの上の戻り口での平均空気流は1964m3/時であった。
【0112】
上述の1964m
3/時の測定平均空気流を用いて、各スタック間にシュラウドを配置した状態でトレイを横切る空気流の速度を測定した。シュラウドは、空気流がスタックの周りに回るのを防ぎ、空気流がスタックを通るように方向づけするために、各スタックの間に配置されたプラスチック製の挿入物である。その結果、トレイの間の速度は高く安定していた。しかし、空気流の速度は仕様の1.53m/sよりはるかに小さかった。シュラウドは比較的消耗しており、一部はひび割れていた。したがって、別のシュラウド設計が必要になる場合がある。その結果、より良い速度が潜在的に達成されたかもしれない。予想よりも低い空気流にもかかわらず、トレイの速度は過去の測定値を上回る改善を示した。空気流速度の結果の比較を
図11に示す。
【0113】
シュラウドのない標準的なトンネル内の空気流は平均0.29m/sであった。シュラウド付き標準トンネル内の空気流は平均0.41m/s、シュラウド付き改造トンネル内の空気流は平均0.86m/sであった。したがって、シュラウド付きの改造トンネル内の空気流は、シュラウド付きの標準トンネルの2倍以上、シュラウドなしの標準トンネルの3倍近くであった。
【0114】
トンネル内の超浅スタックのトレイギャップ面積は、5360cm2と測定された。改造トンネル内のスタックの上方、側方、下方を通る空気の速度は平均0.69m/sであった。その結果、トンネル内のスタックを通る空気流は1330m3/時と測定され、予想された空気流は1964m3/時であった。これは32%の差異であった。
【0115】
トンネル内の超浅スタックのトレイギャップ面積は、5360cm2と測定された。改造型トンネル内のスタックの上方、側方、下方を通る空気の速度は平均0.69m/sであった。その結果、トンネル内のスタックを通る空気流は1330m3/時と測定され、予想された空気流は1964m3/時であった。これは32%の差異であった。
ウェットテスト
【0116】
乾燥トンネル内のソフトゲルカプセルから蒸発した水の量をシミュレートするために、約15kgの水を各スタック(~約180ml/トレイ)に入れた。制御システムは、スタックがトンネルに入るとすぐに、最初のスタックから出てくる湿気と低い温度をすぐに検出した。再循環ファンは、>1℃の温度差を検知し、すぐにフルスピードでオンになった。2~3時間後、水を含む9つのスタックすべてがトンネル内に配置された。温度センサーと湿度センサーの両方が、トンネルに入ったときに各スタックを記録した。
【0117】
水の蒸発は過剰であり、約4時間後の相対湿度は91%RHに達した。相対湿度が上昇するにつれて、25%dRHの差異的相対湿度を維持するために空気流制御弁が閉まった。
【0118】
テストの速度を上げるために、3時間後に温度を34℃まで上昇させた。この設定値を維持するために温水バルブを開閉した。供給温度が34℃に達したにもかかわらず、プロセスが冷却し始める前に戻り温度は28℃にほとんど到達しなかった。これは、最後のスタックにはまだ水分が含まれていたが、安全な温度で乾燥し続けたことを示す。さらに、湿球温度は通常9°Cであるが、蒸発冷却による戻り温度が18°Cを下回ることはなかった。結果として、カプセルは温かく保たれ、そしてより速く乾燥すると予想された。乾燥の終わりに向かって、戻り相対湿度は35%RH未満に低下したが、これは乾燥プロセスがほぼ完了し、温度は24℃で正常に戻り始めたことを示す。
【0119】
温度差が1℃を下回ると、再循環ファンは減速した。再循環ファンの速度が低下すると、相対湿度が上昇し、相対湿度を下げるためにエアフローコントローラが開いた。15%RHの最低湿度設定点に到達した時点で、エアフローコントローラを閉じた。最終的には、再循環、温度および湿度制御の3つすべてが低下して停止し、乾燥プロセスが完了した。トレイを検査したところ、スタック上に水は残っていなかった。プロセスは自動的に開始および停止した。
【0120】
空気流が仕様を満たすことができなかったにもかかわらず、制御方式はドライヤーを自動的に開始および停止することができた。
【実施例4】
【0121】
L2ARB標準ゼラチンおよび分画ココナッツ油(FCO)から製造されたプラセボカプセルを標準製造方法を使用して製造し、35℃および48℃の2つの異なる高温で乾燥した。カプセルの硬度は、Bareiss Digitest Gelomatを使用してある範囲のERHにわたって測定した。結果を
図12に示す。熱処理したカプセルは、同様の相対湿度でより柔らかく、脆さはさらに減少し、また漏れる可能性もより低い。
【0122】
本発明の多くの特徴および利点が、本発明の構造および機能の詳細と共に上記の説明に記載したが、本開示は例示的なものに過ぎず、特に添付の特許請求の範囲に記載されている用語の広い一般的な意味によって示される全範囲まで、本発明の原理内において構成部分の形状、サイズおよび配置に関連して、詳細に変更を加えることができることを理解されたい。