(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20220124BHJP
B60C 19/08 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B60C19/08
(21)【出願番号】P 2020159525
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0117393
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】133,Teheran-ro,Gangnam-gu,Seoul 06133,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン テ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソク ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジ ワン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ホン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0333984(US,A1)
【文献】特開2016-113105(JP,A)
【文献】韓国特許第10-2013-0049544(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341469(US,A1)
【文献】特開2019-112047(JP,A)
【文献】国際公開第2019/005821(WO,A1)
【文献】特開2017-001602(JP,A)
【文献】特開2017-218132(JP,A)
【文献】特表2019-506319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 7/00
B60C 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸と接続されるリム部と、
タイヤの外側を円周方向に取り囲む形状に形成されて地面と接触するトレッド部と、
前記リム部と前記トレッド部との間に形成され、アーチ型の上部アーチ体及び下部アーチ体を有して地面からトレッド部へ伝達された衝撃を吸収するスポーク部と、
前記トレッド部の内部に挿入されて前記スポーク部の荷重支持と応力分散を遂行する構造補強部と、
前記リム部の外側面と前記トレッド部の内側面との間に形成され、車軸から発生する静電気を地面まで放電させてくれる機能を遂行する通電性構造部と、
前記通電性構造部と前記トレッド部との結合を可能にする円板状の接着部と、を備え
、
前記通電性構造部が、金属塩によりコーティングされた通電性繊維体を備え、車軸から発生する静電気を地面まで放電する機能を有する
ことを特徴とする金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記スポーク部は、エラストマー又はゴム素材の中から選択されるいずれか1つの素材で形成される
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記リム部は、前記通電性構造部との結合を可能にする挿入部を備える
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記通電性構造部は
、前記通電性繊維体の表面にコーティングされる被覆体を備える
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記通電性繊維体は、合成繊維又はセルロース系繊維の中から選択される1つの材料に金属塩を電気コーティングして形成される
請求項4に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記通電性繊維体は、前記被覆体との結合力を高めるために綿と混紡される
請求項4に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記通電性構造部は、トレッド部の内側面と結合される上部が円板状の形状で形成される
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記通電性構造部は、前記下部アーチ体及び前記上部アーチ体の外側面に沿って結合されている形状で形成される
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記通電性構造部は、前記スポーク部が変形されたときに、応力を最小限に抑えるため、ジグザグの形状で形成される
請求項1に記載の金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気入りタイヤに関し、より詳細には、金属塩によりコーティングされた繊維を含む非空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に使用されるタイヤは、構造に応じてラジアルタイヤ、バイアスタイヤ、そしてソリッドタイヤなどに分類することができるが、その中で、乗用車及び特殊な目的を除いた自動車には、ほとんどラジアルタイヤ、つまり、空気入り(又は空気圧)タイヤが使用されている。しかし、このような空気圧タイヤは、構造が複雑な上に、製造工程数が8段階などで多く、又はこれに伴う有害物質の排出量が無視できない程度だけでなく、空気圧タイヤの性能発揮と安全性に絶対的に重要な空気圧を頻繁にチェックしなければならない管理の不便さと走行中外部物質による突刺さりと衝撃からタイヤが破損される安全性の問題が常に内在しているのが事実である。
【0003】
しかし、非空気入りタイヤは、このような空気圧タイヤとは異なり、素材と工程の単純化を経て生産コストを大幅に節減することができるだけではなく、エネルギーの使用量及び有害物質の発生量を大幅に削減することができる新しい概念の工程と構造からなるタイヤであり、空気圧の不足などに起因して発生される可能性のある問題から逃れることができる大きな利点を有している。それだけではなく、空気圧タイヤから発生されるスタンディングウェーブ(standing wave、定在波)の現象を防止することができ、回転抵抗を大幅に改善することができる利点を有している。
【0004】
ただし、従来技術の非空気入りタイヤでは、スポーク部がポリウレタンで構成されており、これは静電気放電に不利な要素として作用することができる。これにより、車両の走行と停止のときに蓄積された静電気のためドアハンドルをつかむときの衝撃を受けることができる問題がある。
【0005】
特許文献1では、複数の導電性コードを含む空気圧式タイヤに対して言及し、車両から発生される静電気を地面へ放出させる方案を開示している。だが、タイヤに作用する荷重による応力に対しては脆弱であり、破損時にタイヤ交換の困難さがある。
【0006】
特許文献2-3では、空気圧タイヤ上のカーカス半製品シート上に金属塩によりコーティングされた導電性繊維、あるいは金属塩によりコーティングされた導電性繊維と一般繊維との混紡糸を位置させることにより、ビード部から発生する静電気を、トレッド部まで放出させる方案として開示している。だが、タイヤに作用する荷重による応力に対しては脆弱であり、破損時にタイヤ交換の困難さがある。
【0007】
特許文献4では、非空気入りタイヤ上のリム部の外側面からトレッド部の内側面までの平均抵抗4×105Ωを有する高分子と導電性炭素フィラメントからなる静電気放電素子をスポークの内部又は外部に中心軸線の近くに位置して車両から発生可能な静電気の地面への放出方法について言及している。だが、タイヤに作用する荷重による応力に対しては脆弱であり、破損時にタイヤ交換の困難さがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第7284582号明細書
【文献】韓国登録特許第10-2017-0017109号公報
【文献】韓国登録特許第10-2017-0177686号公報
【文献】国際公開第2017/086993号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、金属塩によりコーティングされた繊維で形成される通電性構造部を挿入することで、走行と停止のときに蓄積された静電気を効果的に放出してドアハンドルをつかむときの衝撃を緩和することができるようにすることにある。
【0010】
なお、本発明の目的は、走行時に発生する通電性構造部の圧縮引張応力を最小限にすることにある。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及されていないもう1つの技術的課題は、以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、車軸と接続され挿入溝が形成されるリム部と、タイヤの外側を円周方向に取り囲む形状に形成されて地面と接触するトレッド部と、前記リム部と前記トレッド部との間に形成され、アーチ型の上部アーチ体と下部アーチ体を有して地面からトレッド部に伝達される衝撃を吸収するスポーク部と、前記トレッド部の内部に挿入されて前記スポーク部の荷重支持と応力分散を遂行する構造補強部と、リム部の外側面とトレッド部の内側面との間に形成され、タイヤが金属塩によりコーティングされた通電性構造部と、を備えることにより、車軸から発生する静電気を地面まで放電させてくれる機能を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態において、前記スポーク部は、エラストマー又はゴム素材の中から選択される1つの材料で形成される。
【0014】
本発明の実施形態において、前記リム部では、前記通電性構造部との結合を可能にする挿入部が形成される。
【0015】
本発明の実施形態において、前記通電性構造部は、車軸から発生した静電気を地面に放電させる機能を遂行する通電性繊維体、及び前記通電性繊維体の表面にコーティングされる被覆体を備えることができる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記通電性繊維体は、合成繊維又はセルロース系繊維の中から選択される1つの材料に金属塩を電気コーティングして形成される。
【0017】
本発明の実施形態において、前記通電性繊維体は、前記被覆体との結合を高めるために綿と混紡される。
【0018】
本発明の実施形態において、前記通電性構造部は、前記下部アーチ体と前記上部アーチ体に結合されている形状で形成される。
【0019】
本発明の実施形態において、前記通電性構造部は、前記スポーク部が変形されたときに応力を最小限に抑えるために、ジグザグの形状で形成される。
【発明の効果】
【0020】
上記のような構成による本発明の効果は、非空気入りタイヤに金属塩によりコーティングされた繊維を含む通電性構造部を結合することで、走行と停止のとき、車軸から発生する静電気を放電させる機能を行うことができるというものである。
【0021】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの正面図
【
図2】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの断面図
【
図3】本発明の一実施形態による通電性構造部とリム部の結合を示した拡大説明図
【
図4】本発明の一実施形態による通電性構造部の拡大図(左側)と通電性構造部の断面斜視図(右側)
【
図5】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ内通電性構造部の適用有無と通電性構造部の構成に応じた高速耐久と放電性能を示した実験データの表
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明することにする。しかし、本発明は、複数の異なる形態で実施され、したがってここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して類似した部分については類似した参照符号を付した。
【0024】
明細書全体では、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を間に置いて、「間接的に連結」されている場合も含む。なお、ある部分があるコンポーネントを「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他のコンポーネントを除外するのではなく、他のコンポーネントをさらに備えることができるということを意味する。
【0025】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示していると判定されない限り、複数の表現を含む。本明細書では、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ以上の他の特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものの存在若しくは付加可能性を予め排除しないものと理解される。
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明について詳細に説明することにする。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるタイヤ全体の正面図であり、
図2は、本発明の一実施形態によるタイヤの断面図であり、
図3は、本発明の一実施形態によるリム部100と通電性構造部500のとの接合部に対する拡大図であり、
図4は、本発明の一実施形態による通電性構造部500の拡大図と通電性構造部500の断面斜視図である。
【0028】
図1、
図2、
図3及び
図4に示すように、車軸と接続されて挿入部600が形成されるリム部100と、タイヤの外側を円周方向に包み込む形状に形成されて面と接触するトレッド部300と、リム部100とトレッド部300との間に形成されてアーチ型の上部アーチ体210と下部アーチ体220を有し、地面からトレッド部300へ伝達される衝撃を吸収するスポーク部200と、トレッド部300の内部に挿入されてスフォーク部200の荷重支持と応力分散を遂行する構造補強部400と、リム部100の外側面とトレッド部300の内側面との間に形成され、車軸から発生する静電気を地面まで放電させてくれる機能を行う通電性構造部500と、を備える。
【0029】
リム部100は、円筒の形状で形成され、車軸と結合され、通電性構造部500と結合するために挿入部600を備えることができ、車軸を介して動力の伝達を受けることができる。
【0030】
トレッド部300は、スポーク部200の外側面を円周方向に沿って取り囲む形状で形成され得る。トレッド部300は、地面と接触して地面から伝達される衝撃を緩和することができる。
【0031】
スポーク部200は、アーチ型の上部アーチ体210と下部アーチ体220を備えることができる。上部アーチ体210は、トレッド部300の内側面に連結されており、下部アーチ体220は、リム部100の外側面に連結されている。なお、上部アーチ体210と下部アチェワ220は、互いに対応・該当する上部アーチ体210と下部アーチ体220と交互に連結されてトレッド部300とスポーク部200を連結する。スポーク部200は、エラストマー又はゴム素材の中から選択される1つの材料で形成されることがあり、スポーク部200は、地面からタイヤ部300へ伝達される衝撃を吸収することができる。
【0032】
通電性構造部500は、通電性繊維体520を中心にコーティングされて形成される被覆体510を備えることができる。通電性構造部500は、1mm~5mmの直径を形成すると同時に、ジグザグの形状を形成することができる。通電性構造部500のジグザグの形状は、走行時に、地面から受ける荷重によりスポーク部200の形態が変化するとき、リム部100の外側面からトレッド部300の内側面まで結合された通電性構造部500が、リム部100の外側面又はトレッド部300の内側面から分離されないようにする機能を遂行することができる。なお、破損時にタイヤ交換が容易であり得る。なお、走行時に発生する圧縮引張に対する通電性構造部500の応力を最小限に抑えることができる。そして通電性構造部500の上部は、トレッド部300の内側との結合を容易にするために円板状の形状の接着部700が形成されており、接着部700とトレッド部の内側面は、接着剤を介して結合され得る。通電性構造部500の下部には、リム部100の外側面に形成された挿入部600との結合を容易にするために、円筒形の形状を形成することができる。
【0033】
通電性構造部500は、リム部100の外側面とトレッド部300の内側面との間に形成され、通電性構造部500の下部は、挿入部600に挿入されてリム部100と結合され、通電性構造部500の上部は、トレッド部300の内側面に結合され得る。なお、通電性構造部500は、下部アーチ体220と上部アーチ体210の面に沿って結合されると同時に、リム部100の外側面とトレッド部300の内側面に結合されている形状で形成され得る。
【0034】
通電性繊維体520は、一般的な石油系合成繊維又はセルロース系繊維の中から選択されるいずれか1つの材料に金属塩を電気コーティングして得た10首(‘s)~100の首(‘s)である繊維で形成され得る。通電性繊維体520が10首(‘s)未満であるときに、被覆体510との結合力が減少して被覆体510との剥離が容易に起きる問題が発生できる。なお、通電性繊維体520が100首(‘s)を超えた場合、放電性能が低下する問題が発生できる。
【0035】
本発明の非空気入りタイヤにおける通電性繊維体520の直径を調節し、これにより通電性構造部500の放電能力を調節することができる。通電性繊維体520の直径が大きいほど抵抗が小さくなるため、通電性繊維体520の直径が大きいほど通電性構造部500の放電性能が増加することができる。
【0036】
通電性繊維体520は、被覆体510との結合力を高めるために綿と混紡され得る。このとき、通電性構造部は、通電性繊維体520と混合される綿を含み、通電性構造部に通電性繊維体520は、20~80重量部で含まれ、綿は80~20重量部で含まれ得る。通電性繊維体520の混紡率が、20%未満であるとき、放電性能が低下される場合がある。なお、通電性繊維体520の混紡率が80%を超えるとき、通電性繊維体520と被覆体510との結合力が低下して剥離が発生することができる。
【0037】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、通電性繊維体520の金属塩の素材に応じて、通電性構造部500の放電能力を調節することができる。電気伝導度が高い金属を備えるほど通電性構造部500の放電性能が増加することができる。
【0038】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、通電性繊維体520の金属塩鍍金糸と綿の混紡率を調節し、これにより通電性構造部500の放電能力を調節することができる。金属塩鍍金糸の混紡率が増加するほど通電性繊維体520を構成する導体の割合が増加する。これにより、電流量が増加するため、放電性能が増加する。したがって金属塩コーティング糸の混紡率が増加するほど通電性構造部500の放電性能が増加することができる。
【0039】
図5は、非空気入りタイヤ内の通電性構造部500の結合有無と通電性繊維体520の素材に応じた放電性能テストに対する表である。
【0040】
(比較例1)
通電性構造部500を備えていない非空気入りタイヤで実施した。
【0041】
(実施形態1)
通電性繊維体520は、硫酸銅塩によりコーティングされたPU繊維に重量基準に綿2:8割合で混紡された20首(‘s)の繊維で形成された。
【0042】
(実施形態2)
通電性繊維体520は、硫酸銅塩によりコーティングされたPU繊維に重量基準に綿が4:6の割合で混紡された20首(‘s)の繊維で形成された。
【0043】
(実施形態3)
通電性繊維体は、銀によりコーティングされたPU繊維に重量基準に綿が6:4で混紡された30首(‘s)の繊維で形成された。
【0044】
図5に示すように、高速耐久実験では、比較例1、実施形態1、 実施形態2及び実施形態3がすべて100分の間に機械的破損がないことが確認できる。なお、放電性能の実験では、比較例1は1000メガオーム(MΩ)が測定され、実施形態1は200メガオーム(MΩ)が測定され、実施形態2は80メガオーム(MΩ)が測定され、そして実施形態3は20メガオーム(MΩ)が測定されたことを確認することができる。測定された抵抗値が小さいほど、流れる電流の量は大きくなるため、測定された抵抗値が小さいほど放電性能に優れていることが確認できる。したがって、放電性能は、実施形態3> 実施形態2>実施形態1> 比較例1の順序に優れていることが確認できる。
【0045】
前述した本発明の説明は、例としてのためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずに、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できよう。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例としてのものであり、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一形で説明されている各コンポーネントは、分散されて実施されることがあり、同様に分散されたものと説明されているコンポーネントも結合された形態で実施される。
【0046】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100:リム部
200:スポーク部
210:上部アーチ体
220:下部アーチ体
300:トレッド部
400:構造補強部
410:第1のコード支持体
420:第2のコード支持体
430:中心体
500:通電性構造部
510:被覆体
520:通電性繊維体
600:挿入部
700:接着部