(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】背負い式フードテント
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20220124BHJP
A41D 3/04 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A41D3/04 A
(21)【出願番号】P 2020167079
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2020-10-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.東日本電信電話株式会社は、展示日2019年10月10日、11日 VI&KAIZEN推進フォーラム2019in大阪 マイスターズカップ2019in大阪にて、木下瑛司が発明した背負い式フードテントを公開した。 2.東日本電信電話株式会社は、展示日2020年1月15日、16日 第13回現場力向上フォーラムにて、木下瑛司が発明した背負い式フードテントを公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木下 瑛司
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08944300(US,B1)
【文献】特開2011-140723(JP,A)
【文献】米国特許第09375060(US,B1)
【文献】特開2012-007279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0089711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
A41D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部用カバーシートと、
前記頭部用カバーシートのシート面に取り付けられた頭部用カバーシート補強骨と、
前記頭部用カバーシート補強骨の両端を支持する一対の受骨と、
前記頭部用カバーシート、前記頭部用カバーシート補強骨、前記一対の受骨のうちいずれか1つ以上の少なくとも一部に取り付けられた側部用カバーシートと、
前記一対の受骨に取り付けられたフード支持骨と、
前記フード支持骨に取り付けられ、ユーザが背負う背負部に装着されるテント支持骨と、
を備え、
前記頭部用カバーシート補強骨は、アーチ状であり、前記受骨の長手方向にスライドし、または、前記受骨との間の角度を可変可能であり、
前記受骨は、自身の長手方向に伸長する背負い式フードテント。
【請求項2】
前記受骨は、自身の端部に取り付けられた前記フード支持骨の長手方向を軸に回転し、
前記テント支持骨は、自身の長手方向に伸縮する請求項1に記載の背負い式フードテント。
【請求項3】
前記側部用カバーシートの形状を所定形状に維持するベルトをさらに備える請求項1に記載の背負い式フードテント。
【請求項4】
前記頭部用カバーシート補強骨、前記受骨、前記フード支持骨、前記テント支持骨のうちいずれか1つ以上は、アルミパイプ、塩化ビニール、プラスチック、繊維強化プラスチック、グラスファイバーのうちいずれかで構成されている請求項1に記載の背負い式フードテント。
【請求項5】
前記頭部用カバーシート補強骨は、間隔をあけて配列された複数の補強骨である請求項1に記載の背負い式フードテント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負い式フードテントに関する。
【背景技術】
【0002】
光回線サービスの提供および品質の維持向上を図るため、降雨時や降雪時であっても光ファイバの接続作業は実施される。その際、光ファイバ内の心線や融着接続機が雨雪に濡れないように、養生シートが流用される(非特許文献1参照)。作業員は、融着接続機を肩からぶら下げ、養生シートを頭から被り、屋外に配設された架空ケーブルに梯子を掛けて上り、養生シートの内側で光ファイバの融着作業を行う(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“養生シートの種類と用途”、モノタロウ、[2020年8月27日検索]、インターネット<URL : https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/727_728/>
【文献】“光ファイバ接続の基礎知識”、住友電工、[2020年8月27日検索]、インターネット<URL : https://www.optigate.jp/basic/connect.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、養生シートは容易く形状変化するため、作業員が養生シートを頭から被ると頭頂から垂れ下がる状態になり、養生シートの内側が作業員の肩部や腕部に纏わりつき、手部にも干渉する。それゆえ、作業員は自身の体を適切に動作できず、光ファイバの融着作業が困難となり、光ファイバの接続作業に時間がかかっていた。
【0005】
また、高所では風の影響を強く受け、養生シートが作業員の当初位置からずれる状況が発生する。それゆえ、作業員は片手で養生シートを固定しなければならず、光ファイバの融着作業を両手で行うことが困難であった。加えて、養生シートの位置がずれると風による受圧面積が変動して体が引っ張られ、体のバランスが崩れて危険であった。
【0006】
すなわち、天候不良時に高所で養生シートを被りながら行う光ファイバの接続作業は、その作業性が非常に悪く、作業員にとって危険である、という課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、天候不良時に高所で行う光ファイバの接続作業において、その作業性と安全性を改善可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の背負い式フードテントは、頭部用カバーシートと、前記頭部用カバーシートのシート面に取り付けられた頭部用カバーシート補強骨と、前記頭部用カバーシート補強骨の両端を支持する一対の受骨と、前記頭部用カバーシート、前記頭部用カバーシート補強骨、前記一対の受骨のうちいずれか1つ以上の少なくとも一部に取り付けられた側部用カバーシートと、前記一対の受骨に取り付けられたフード支持骨と、前記フード支持骨に取り付けられ、ユーザが背負う背負部に装着されるテント支持骨と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天候不良時に高所で行う光ファイバの接続作業において、その作業性と安全性を向上可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】背負い式フードテントのフード部拡大時の側面図である。
【
図6】背負い式フードテントのフード部折り畳み時の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施する一実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
[発明の概要]
上記課題を解決するため、本発明は、背負い式フードテントを開示する。ビニールや布の類であった養生シートを背負い式のフードテントに変更することで、雨雪から防護するための防護手段を背負うことが可能となる。養生シートが作業員の体に纏わりつく状況がなくなり、フードテント下で一定の作業スペースが確保されるので、作業員は自身の体を適切に動作可能となり、両手を自由に使用可能となる。これにより、光ファイバの融着作業が容易くなり、その作業時間が短縮可能となる。その結果、天候不良時における高所での光ファイバの接続作業の作業性と安全性を向上可能となる。
【0013】
また、本発明は、上記背負い式フードテントを、作業員の側面も含む全身包囲型のフードテントとする。全身包囲型のフードテントにするので、作業員の上、前後、左右といった各方位からの雨雪を全て防ぐことが可能となる。これにより、融着接続機や融着スリーブへの雨雪の付着を確実に防止可能となり、光ファイバの接続作業のリトライ回数が低減可能となる。その結果、光ファイバの接続作業時間がさらに短縮可能となり、その作業性をさらに向上可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記背負い式フードテントを、複数の骨材を組み合わせた骨組みで構成する。複数の骨材を組み合わせた骨組みで構成するので、フードテント全体が軽量かつコンパクトになり、その組み立てを簡便に実施可能となる。その結果、光ファイバの接続作業時間がさらに短縮可能となり、背負い式フードテントの収納性および可搬性が向上可能となる。
【0015】
また、本発明は、上記背負い式フードテントを、折り畳み式のフードテントとする。折り畳み式のフードテントにするので、背負い式フードテントの収納性および可搬性がさらに向上可能となる。特に、フード部を回転可能な構造を備えるので、高所への移動時にはフード部を作業員の頭頂から頭部後方へ回転して移動させておくことで、梯子を上る際の安全性を確保可能となり、光ファイバの接続作業の作業性と安全性をさらに向上可能となる。
【0016】
[背負い式フードテントの構成]
図1は、本実施形態に係る背負い式フードテント1の正面図である。
図2は、その側面図である。
図3は、その背面図である。背負い式フードテント1は、ユーザである作業員の体を覆うためのシートを取り付けた骨組みで構成される。その骨組みを作業員が背負うことで、フードテント下に作業スペースを確保し、作業員の両手の自由を担保する。
【0017】
背負い式フードテント1は、例えば、頭部用カバーシート11と、頭部用カバーシート補強骨12と、右側部用受骨13Aと、左側部用受骨13Bと、前側部用カバーシート14Aと、右側部用カバーシート14Bと、左側部用カバーシート14Cと、前側部用ベルト15Aと、右側部用ベルト15Bと、左側部用ベルト15Cと、フード支持骨16と、テント支持骨17と、背負部18と、を備える。
【0018】
頭部用カバーシート11は、作業員の頭部を覆うためのカバーシートである。頭部用カバーシート11の色は、例えば、透明色、半透明色、不透明色である。降雨時には、透明色のシートを用いる。降雨時でも炎暑を伴う場合には、雨水、太陽光、太陽熱を避けるため、半透明な黄色のシートを用いる。頭部用カバーシート11の素材は、例えば、ビニール、ナイロン樹脂である。色および素材は、任意に選択可能である。
【0019】
頭部用カバーシート補強骨12は、頭部用カバーシート11の形状を所定形状に維持するための1本または複数本の補強材であり、頭部用カバーシート11のシート表面(裏面または表面)に取り付けられている。所定形状とは、例えば、アーチ型、ドーム型、ピラミッド型、箱型、平型である。
【0020】
例えば、
図1~
図3に示したように、長さが比例的に短い6本の補強骨12a~12fを、所定の間隔をあけて略平行に配列し、頭部用カバーシート11のシート表面に接着して、アーチ状に折り曲げる。各補強骨12a~12fによるそれぞれのアーチ形状面の大きさは、
図1の奥行方向(作業員の頭部後方)に次第に小さくなる。このように、複数本の補強骨を用いるので、頭部用カバーシート11の張り具合を維持可能となる。頭部用カバーシート11および頭部用カバーシート補強骨12をアーチ状にするので、アーチ空間を含む広い作業空間を確保可能となる。それゆえ、光ファイバの接続作業の作業性を向上可能となる。また、各アーチ形状面の大きさを次第に小さくする、つまり、アーチ形状面の大きさを変化させるので、背負い式フードテント1の小型化および軽量化を実現可能となり、風力抵抗が低下して作業員の安全性が向上可能となる。
【0021】
右側部用受骨13Aおよび左側部用受骨13Bは、頭部用カバーシート補強骨12の両端を支持する一対の受骨(例えば、パイプ)である。頭部用カバーシート補強骨12の一端は、右側部用受骨13Aの長手方向の側面に沿ってスライド可能、かつ、右側部用受骨13Aの長手方向との間の角度を可変可能に取り付けられる。頭部用カバーシート補強骨12の他端は、左側部用受骨13Bの長手方向の側面に沿ってスライド可能、かつ、左側部用受骨13Bの長手方向との間の角度を可変可能に取り付けられる。
【0022】
スライド可能な取り付け方法としては、例えば、頭部用カバーシート補強骨12の両端に短小パイプを略垂直にそれぞれ取り付け、その両端の各短小パイプに右側部用受骨13Aと左側部用受骨13Bとをそれぞれ挿入する。角度を可変可能な取り付け方法としては、例えば、頭部用カバーシート補強骨12の素材を柔軟性素材で構成する。好適例としては、頭部用カバーシート補強骨12として樹脂性のバンド部材を活用し、そのバンド部材の両端を丸めて輪を形成する。その両端の各輪は一対の受骨13A,13Bの各長手方向の側面上をスライドし、樹脂性ゆえに簡単に一対の受骨13A,13Bの各長手方向との間の角度を調整できる。
【0023】
また、右側部用受骨13Aおよび左側部用受骨13Bは、自身の長手方向に伸長および短縮可能な伸縮構造を備える。例えば、伸縮式指示棒のように、径が次第に小さくなる複数のパイプを内側に挿入して一体化させた構造を備える。その他、蛇腹構造などの伸縮構造を形成し、または、結合してもよい。
【0024】
このように、作業員の頭上部分の骨組みをアーチ状とし、アーチを構成する頭部用カバーシート補強骨12が作業員の体に対して前後にスライド可能、かつ、角度を可変可能であり、さらに、右側部用受骨13Aおよび左側部用受骨13Bが伸長可能な構造を備えるので、
図4に示すように、フード部100を作業員の顔の前方の遠い位置まで移動可能となり、フードテント下の作業スペースをより広く確保可能となる。
【0025】
前側部用カバーシート14Aは、作業員の前側(顔部、腹部)を覆うためのカバーシートであり、頭部用カバーシート11や頭部用カバーシート補強骨12に取り付けられている。右側部用カバーシート14Bは、作業員の右側(右腕部)を覆うためのカバーシートであり、頭部用カバーシート11や右側部用受骨13Aに取り付けられている。左側部用カバーシート14Cは、作業員の左側(左腕部)を覆うためのカバーシートであり、頭部用カバーシート11や左側部用受骨13Bに取り付けられている。
【0026】
各カバーシートの色および素材は、頭部用カバーシート11の色および素材と同じでもよいし、異なる色および素材を用いてもよい。作業員の後側を覆うためのカバーシートをさらに備えてもよい。各カバーシートは、頭部用カバーシート11、頭部用カバーシート補強骨12、右側部用受骨13A、左側部用受骨13Bのうちいずれか1つ以上の少なくとも一部に取り付けられていればよい。
【0027】
このように、作業員の側部を覆うカバーシートを取り付けるので、作業員の前後、左右の各方位からの雨雪を防ぐことが可能となる。これにより、融着接続機や融着スリーブに雨雪が付着することを確実に防止可能となる。
【0028】
前側部用ベルト15Aは、前側部用カバーシート14Aの形状を所定形状に維持するためのベルトであり、頭部用カバーシート補強骨12に取り付けられている。右側部用ベルト15Bは、右側部用カバーシート14Bの形状を所定形状に維持するためのベルトであり、右側部用受骨13Aに取り付けられている。左側部用ベルト15Cは、左側部用カバーシート14Cの形状を所定形状に維持するためのベルトであり、左側部用受骨13Bに取り付けられている。各ベルト15A~15Cは、それぞれ、1本でもよいし、複数本でもよい。
【0029】
このように、フード部の骨組みにベルト15A~15Cを備えるので、
図5に示すように、各側部用カバーシート14A~14Cをそれぞれ纏めることができる。例えば、少雨時は、前側部用カバーシート14Aのみを使用し、右側部用カバーシート14Bおよび左側部用カバーシート14Cを纏めておくことができる。高所への乗降時など、カバーシートが邪魔な時には、全ての側部用カバーシート14A~14Cを纏めておくようにしてもよい。
【0030】
フード支持骨16は、フード部の骨組みを支持するための支持骨(例えば、パイプ)であり、右側部用受骨13Aおよび左側部用受骨13Bに取り付けられる。右側部用受骨13Aの一端は、フード支持骨16の長手方向の側面または一端に、略垂直または一定の角度を付けて、その長手方向を軸に回転可能に取り付けられる。左側部用受骨13Bの一端は、フード支持骨16の長手方向の側面または他端に、略垂直または一定の角度を付けて、その長手方向を軸に回転可能に取り付けられる。
【0031】
回転可能な取り付け方法としては、例えば、右側部用受骨13Aの一端にL型継手の一端を挿入し、そのL型継手の他端にフード支持骨16の一端を挿入する。好適例としては、2軸間の角度を調整可能なユニバーサルジョイントを用いる。フード支持骨16の長手方向に対して右側部用受骨13Aと左側部用受骨13Bとの各角度をそれぞれ調整可能となる。頭頂のフード部を作業員の顔の右側や左側の遠い位置まで移動可能となり、フードテント下の作業スペースをさらに広く確保可能となる。
【0032】
テント支持骨17は、フード支持骨16を含むフード部の骨組み全体を支持するための支持骨(例えば、パイプ)であり、フード支持骨16の長手方向の側面に略垂直に取り付けられ、作業員が背負う背負部18に装着される。例えば、テント支持骨17として2つの長パイプを用意し、フード支持骨16の長パイプに直列に挿入された2つのT型継手の各凸端にそれぞれ挿入する。そして、その2つの長パイプを背負部18の上部から下部にかけてそれぞれ取り付ける。
【0033】
また、テント支持骨17は、自身の長手方向に伸長および短縮可能な伸縮構造を備える。伸縮構造については、右側部用受骨13Aや左側部用受骨13Bの伸縮構造と同じでもよいし、異なる伸縮構造を備えてもよい。
【0034】
このように、右側部用受骨13Aおよび左側部用受骨13Bは、略垂直に取り付けられたフード支持骨16の長手方向を軸に回転するので、
図6に示すように、フード部100を作業員の頭部後方へ折り畳み可能となり、収納性および運搬性が向上可能となる。また、テント支持骨17は伸縮するので、作業者の身長によらずに背負い式フードテント1を装着可能となり、背負い式フードテント1の収納性および運搬性がさらに向上可能となる。
【0035】
背負部18は、左右2つの肩紐を備えた背負子やリュックサックである。テント支持骨17を背負部18に装着する方法は、例えば、テント支持骨17である2つの長パイプを背負部18の表面に直接取り付けてもよいし、背負部18の中に挿入してもよい。その装着方法は任意であり、必要に応じて取り付け金具を用いてもよい。
【0036】
なお、頭部用カバーシート補強骨12、右側部用受骨13A、左側部用受骨13B、フード支持骨16、テント支持骨17は、絶縁性のある軽量材料を用いて構成する。例えば、アルミパイプ、塩化ビニール、プラスチック、繊維強化プラスチック、グラスファイバーを用いる。このように、背負い式フードテント1の骨組みを絶縁性の軽量材料を用いて構成するので、光ファイバの接続作業の長時間化による作業負担を軽減可能となる。
【0037】
[背負い式フードテントの組み立て方法]
図1~
図3に示した背負い式フードテント1は、符号を付したパーツ毎に分割可能である。複数のパーツは、運搬可能なサイズの収納袋に収納されている。
【0038】
作業員は、雨天時や降雪時に屋外で光ファイバの接続作業を行う場合、背負い式フードテント1の各パーツが収納された収納袋を作業現場に持ち込み、全てのパーツを収納袋から取り出す。
【0039】
そして、頭部用カバーシート補強骨12を頭部用カバーシート11のシート面に取り付け、頭部用カバーシート補強骨12の両端に右側部用受骨13Aと左側部用受骨13Bとをそれぞれ挿入する。その後、右側部用受骨13Aと左側部用受骨13Bとの各一端をフード支持骨16の両端に回転可能に取り付け、テント支持骨17を当該フード支持骨16の側面に取り付ける。
【0040】
同時に、前側部用カバーシート14A、右側部用カバーシート14B、左側部用カバーシート14Cを、頭部用カバーシート補強骨12、右側部用受骨13A、左側部用受骨13Bにそれぞれ取り付ける。また、前側部用ベルト15A、右側部用ベルト15B、左側部用ベルト15Cを、頭部用カバーシート補強骨12、右側部用受骨13A、左側部用受骨13Bにそれぞれ取り付ける。
【0041】
最後に、テント支持骨17を背負部18に取り付ける。作業員は、その背負部18を背負い、作業現場付近の架空ケーブルに梯子を掛けて上り、背負い式フードテント1の内側で光ファイバの融着作業を行う。
【0042】
背負い式フードテント1の組み立ての簡便性を踏まえ、2つ以上のパーツを予め一体化しておくことも可能である。好適例としては、頭部用カバーシート補強骨12を頭部用カバーシート11のシート面に予め取り付けておき、テント支持骨17を背負部18に予め取り付けておく。これにより、背負い式フードテント1の組み立て完成までの手順数が少なくなるので、光ファイバの接続作業に要する全体の作業時間を短縮可能となる。
【0043】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、背負い式フードテント1が、頭部用カバーシート11と、頭部用カバーシート11のシート面に取り付けられた頭部用カバーシート補強骨12と、頭部用カバーシート補強骨12の両端を支持する一対の受骨13A,13Bと、頭部用カバーシート11、頭部用カバーシート補強骨12、一対の受骨13A,13Bのうちいずれか1つ以上の少なくとも一部に取り付けられた各側部用カバーシート14A~14Cと、一対の受骨13A,13Bに取り付けられたフード支持骨16と、フード支持骨16に取り付けられ、作業員が背負う背負部18に装着されるテント支持骨17と、を備えるので、背負い式フードテント1を背負うことが可能となる。養生シートが作業員の体に纏わりつく状況がなくなり、フードテント下で一定の作業スペースが確保されるので、作業員は自身の体を適切に動作可能となり、両手を自由に使用可能となる。これにより、光ファイバの融着作業が容易くなり、光ファイバの接続作業時間が短縮可能となる。その結果、天候不良時における高所での光ファイバの接続作業の作業性と安全性を向上可能となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、頭部用カバーシート補強骨12は、アーチ状であり、一対の受骨13A,13Bの長手方向にスライドし、一対の受骨13A,13Bの長手方向との間の角度を可変可能であり、一対の受骨13A,13Bは、自身の長手方向に伸長するので、頭頂のフード部を作業員の顔の前方の遠い位置まで移動可能となり、フードテント下の作業スペースをより広く確保可能となる。その結果、光ファイバの接続作業の作業性と安全性をさらに向上可能となる。
【0045】
また、本実施形態によれば、一対の受骨13A,13Bは、略垂直に取り付けられたフード支持骨16の長手方向を軸に回転し、テント支持骨17は、自身の長手方向に伸縮するので、フード部を作業員の頭部後方へ折り畳み可能となり、収納性および運搬性が向上可能となる。また、作業者の身長によらずに背負い式フードテント1を装着可能となり、背負い式フードテント1の収納性および運搬性が向上可能となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、側部用カバーシート14A~14Cの形状を所定形状に維持するベルト15A~15Cをさらに備えるので、側部用カバーシート14A~14Cを纏めることができる。これにより、作業員の移動が容易となり、作業員の安全性を向上可能となり、背負い式フードテント1の収納性および運搬性がさらに向上可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、頭部用カバーシート補強骨12、一対の受骨13A,13B、フード支持骨16、テント支持骨17のうちいずれか1つ以上は、アルミパイプ、塩化ビニール、プラスチック、繊維強化プラスチック、グラスファイバーのうちいずれかで構成されているので、光ファイバの接続作業の長時間化による作業負担を軽減可能となる。
【0048】
また、本実施形態によれば、頭部用カバーシート補強骨12は、間隔をあけて配列された複数の補強骨であるので、頭部用カバーシート11の張り具合を維持可能となり、光ファイバの接続作業の作業性をさらに向上可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…背負い式フードテント
11…頭部用カバーシート
12,12a~12f…頭部用カバーシート補強骨
13A…右側部用受骨
13B…左側部用受骨
14A…前側部用カバーシート
14B…右側部用カバーシート
14C…左側部用カバーシート
15A…前側部用ベルト
15B…右側部用ベルト
15C…左側部用ベルト
16…フード支持骨
17…テント支持骨
18…背負部
100…フード部
【要約】
【課題】天候不良時に高所で行う光ファイバの接続作業において、その作業性と安全性を改善可能な技術を提供する。
【解決手段】背負い式フードテント1は、頭部用カバーシート11と、前記頭部用カバーシート11のシート面に取り付けられた頭部用カバーシート補強骨12と、前記頭部用カバーシート補強骨12の両端を支持する一対の受骨13A,13Bと、前記頭部用カバーシート11、前記頭部用カバーシート補強骨12、前記一対の受骨13A,13Bのうちいずれか1つ以上の少なくとも一部に取り付けられた各側部用カバーシート14A~14Cと、前記一対の受骨13A,13Bに取り付けられたフード支持骨16と、前記フード支持骨16に取り付けられ、ユーザが背負う背負部18に装着されるテント支持骨17と、を備える。
【選択図】
図1