(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】個人衛生装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/34 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A61C17/34 K
A61C17/34 H
(21)【出願番号】P 2020522726
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2018058530
(87)【国際公開番号】W WO2019087090
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-21
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト、シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、フリッチュ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、クランプ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、ラーシャイト
(72)【発明者】
【氏名】マルク、クンツ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト、シェーファー
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530145(JP,A)
【文献】特表2018-514295(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3092973(EP,A1)
【文献】特表2009-524459(JP,A)
【文献】特表2010-514465(JP,A)
【文献】特開平07-236519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/16-17/40
A46B 5/00
A46B13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人衛生装置であって、
ユーザーによって把持されるように構成されたハンドルと、
ユーザーの身体部分に押し付けられるように構成された処置ヘッドであって、少なくとも処置方向に沿って前記処置ヘッドに対して処置力を加えることにより、枢動軸の周りでの前記ハンドルに対する前記処置ヘッドの枢動をもたらすように、前記処置ヘッドが前記ハンドルと枢動可能に接続されている、処置ヘッドと、
前記ハンドル及び前記処置ヘッドのうちの一方に対して固定して取り付けられている、測定変数を測定するためのセンサ、具体的にはホールセンサと、
センサ連携ユニットであって、前記ハンドル及び前記処置ヘッドのうちの他方に対して固定して取り付けられている、前記センサと前記センサ連携ユニットとの相対位置に応じて前記測定変数を定義する又は前記測定変数に影響を与えるためのセンサ連携ユニットと、
前記処置ヘッドに処置力が加えられていないときに前記処置ヘッドの静止位置を画定するためのバネユニットであって、前記バネユニットが、前記処置方向における第1バネ定数と、前記処置方向に垂直な横方向における第2バネ定数とを有し、前記第2バネ定数は、前記第1バネ定数よりも少なくとも約2倍高い、バネユニットと、を備え、
前記バネユニットが、前記ハンドル内に配設された支持構造体と前記ハンドルとの間の前記ハンドルの長手方向延在方向に実質的に沿って延在する少なくとも第1の棒状バネ要素を含み、前記支持構造体は、前記支持構造体がモータキャリアである場合に前記支持構造体が前記枢動軸の周りで前記処置ヘッドと共に枢動するように、前記処置ヘッドと接続されているものであり、
少なくとも前記第1の棒状バネ要素の端部が、前記ハンドルにおいて保持固定具内に固定的に保持されており、前記保持固定具が、少なくとも1つの下側U字形クランプ及び少なくとも1つの上側U字形クランプを備える、個人衛生装置。
【請求項2】
前記第1バネ定数が、2N/mm~6N/mmの範囲内であり、前記第2バネ定数が、6N/mm~24N/mmの範囲内である、請求項1に記載の個人衛生装置。
【請求項3】
前記第1の棒状バネ要素が、少なくとも約15mmの自由長を有する、請求項1に記載の個人衛生装置。
【請求項4】
前記バネユニットが、前記第1の棒状バネ要素と平行に配置された第2の棒状バネ要素を含む、請求項1又は3に記載の個人衛生装置。
【請求項5】
少なくとも前記第1の棒状バネ要素が、本質的に矩形の断面形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項6】
前記第1の棒状バネ要素が、0.6mm~1.0mmの範囲内の高さ、及び1.0mm~2.0mmの範囲内の幅を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項7】
少なくとも前記第1の棒状バネ要素の端部が、前記第1の棒状バネ要素が枢着され、かつその長手方向延在方向に沿って移動することができるように、受け部内に支持されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項8】
少なくとも前記第1の棒状バネ要素の端部が、受け部内に固定的に支持されており、前記受け部が前記支持構造体にバネ式に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の個人衛生装置。
【請求項9】
前記バネユニットが、前記処置ヘッドにおいて又は前記処置ヘッドと固定的に接続された支持構造体において、及びハンドルにおいて取り付けられた少なくとも1つの平坦な構造化板バネを備え、前記構造化板バネは、前記処置ヘッドにおける又は前記支持構造体における固定点と、前記ハンドルにおける固定との間にそれぞれ延在する2つのバネアームを備え、前記バネアームはそれぞれ、S字形のアーム部分を備え、かつ互いに対して鏡対称に延在している、請求項1又は2に記載の個人衛生装置。
【請求項10】
前記平坦な板バネの前記バネアームのそれぞれが、前記S字形のアーム部分の端部と前記ハンドルにおけるその固定点との間に延在する長手方向に延在するアーム部分を有する、請求項9に記載の個人衛生装置。
【請求項11】
前記平坦な構造化板バネが、摩擦軸受によって又は弾性コネクタを介して前記処置ヘッド若しくは支持構造体に、及び/又は前記ハンドルに取り付けられており、これにより、前記摩擦軸受又は前記弾性コネクタは、前記ハンドルの長手方向延在方向における前記処置ヘッド又は前記支持構造体と前記ハンドルとの間の距離変動の補償を提供するようになっている、請求項9又は10に記載の個人衛生装置。
【請求項12】
個人衛生装置であって、
ユーザーによって把持されるように構成されたハンドルと、
ユーザーの身体部分に押し付けられるように構成された処置ヘッドであって、少なくとも処置方向に沿って前記処置ヘッドに対して処置力を加えることにより、枢動軸の周りでの前記ハンドルに対する前記処置ヘッドの枢動をもたらすように、前記処置ヘッドが前記ハンドルと枢動可能に接続されている、処置ヘッドと、
前記ハンドル及び前記処置ヘッドのうちの一方に対して固定して取り付けられている、測定変数を測定するためのセンサ、具体的にはホールセンサと、
前記ハンドル及び前記処置ヘッドのうちの他方に対して固定して取り付けられている、前記センサと前記センサ連携ユニットとの相対位置に応じて前記測定変数を定義する又は測定変数に影響を与えるためのセンサ連携ユニットと、を備え、
バネユニットが、前記処置ヘッドに処置力が印加されないときに前記処置ヘッドの静止位置を画定し、前記バネユニットが、前記ハンドルの前記長手方向延在方向に沿って延在する少なくとも第1の棒状バネ要素を含むものであり、
前記バネユニットが、前記ハンドル内に配設された支持構造体と前記ハンドルとの間の前記ハンドルの長手方向延在方向に実質的に沿って延在する少なくとも第1の棒状バネ要素を含み、前記支持構造体は、前記支持構造体がモータキャリアである場合に前記支持構造体が前記枢動軸の周りで前記処置ヘッドと共に枢動するように、前記処置ヘッドと接続されているものであり、
少なくとも前記第1の棒状バネ要素の端部が、前記ハンドルにおいて保持固定具内に固定的に保持されており、前記保持固定具が、少なくとも1つの下側U字形クランプ及び少なくとも1つの上側U字形クランプを備える、個人衛生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルと処置ヘッドとを備える個人衛生装置であって、処置ヘッドが、少なくとも処置方向に沿って処置ヘッドに対して処置力を印加することにより処置ヘッドが枢動軸の周りでハンドルに対して枢動するように、ハンドルと枢動可能に接続されており、バネユニットが、処置ヘッドに処置力が加えられていないときに処置ヘッドの静止位置を画定するように構成されている、個人衛生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
個人衛生装置は、個人衛生装置の処置ヘッドに処置力が印加されたときに枢動する部分を有することができ、枢動可能部分は、バネユニットによって、個人衛生装置の固定部分とバネ式に接続されることが知られている。バネユニットは、負荷が印加されないときに規定のゼロ位置を提供し、かつ、印加された処置力に抗して作用して、負荷がそれ以上印加されない場合には枢動可能部分をゼロ位置に戻すバネ力を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、特に構造物容積の使用に関して、個人衛生装置の枢動可能部分を固定部分にバネ式に接続するという役割に特に適したバネユニットを有する、記載されたタイプの個人衛生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、個人衛生装置であって、ユーザーによって把持されるように意図されたハンドルと、ユーザーの身体部分に押し付けられるように意図された処置ヘッドであって、少なくとも処置方向に沿って処置ヘッドに対して処置力を加えることにより、枢動軸の周りでのハンドルに対する処置ヘッドの枢動をもたらすように、処置ヘッドがハンドルと枢動可能に接続されている、処置ヘッドと、ハンドル及び処置ヘッドのうちの一方に対して固定して取り付けられている、測定変数を測定するためのセンサ、具体的にはホールセンサと、ハンドル及び処置ヘッドのうちの他方に対して固定して取り付けられている、センサとセンサ連携ユニットとの相対位置に応じて測定変数を定義する又は測定変数に影響を与えるためのセンサ連携ユニット、具体的にはセンサ永久磁石と、処置ヘッドに処置力が加えられていないときに処置ヘッドの静止位置を画定するためのバネユニットであって、バネユニットが、処置方向における第1バネ定数と、処置方向に垂直な横方向における第2バネ定数とを有し、この第2バネ定数は、第1バネ定数よりも少なくとも約2倍高い、バネユニットと、を備える、個人衛生装置、が提供される。
【0005】
一態様によれば、個人衛生装置であって、ユーザーによって把持されるように意図されたハンドルと、ユーザーの身体部分に押し付けられるように意図された処置ヘッドであって、少なくとも処置方向に沿って処置ヘッドに対して処置力を加えることにより、枢動軸の周りでのハンドルに対する処置ヘッドの枢動をもたらすように、処置ヘッドがハンドルと枢動可能に接続されている、処置ヘッドと、ハンドル及び処置ヘッドのうちの一方に対して固定して取り付けられている、測定変数を測定するためのセンサ、具体的にはホールセンサと、ハンドル及び処置ヘッドのうちの他方に対して固定して取り付けられている、センサとセンサ連携ユニットとの相対位置に応じて測定変数を定義する又は測定変数に影響を与えるためのセンサ連携ユニット、具体的にはセンサ永久磁石と、を備え、バネユニットが、処置ヘッドに処置力が印加されないときに処置ヘッドの静止位置を画定し、バネユニットが、ハンドルの長手方向延在方向に沿って延在する少なくとも第1の棒状バネ要素を含む、個人衛生装置、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、図を参照した例示的な実施形態の詳細な説明及び議論によって更に明らかになる。図中、
【
図1】本開示による例示的な個人衛生装置の描写である。
【
図2】本開示による個人衛生装置の一部を通る断面図である。
【
図3】同軸に整列されたセンサ永久磁石とホールセンサとの間の関係の概略図である。
【
図4】距離xに依存する、センサ永久磁石の磁束密度Bの描写である。
【
図5】個人衛生装置の4つの異なるサンプルに関する、印加された外力Fに依存したホール電圧U-HALLの測定値を示すグラフである。
【
図6】モータキャリア、及び2つの棒状バネ要素を含むバネユニットの、分離された描写である。
【
図7】例示的な個人衛生装置のモータキャリア、バネユニット、及びシャーシの詳細断面図である
【
図8】本開示による例示的な個人衛生装置の概略図である。
【
図9】モータキャリアの一部、保持要素、及び2つの棒状バネ要素を含むバネユニットの一部分を示す、個人衛生装置の詳細の描写である。
【
図10A】構造化板バネによってシャーシとバネ式に接続されたモータキャリアの端部の別の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書の文脈において、「個人衛生」とは、皮膚及びその付属器(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び強化(「衛生」)を目指し、また一方では、皮膚及びその付属物の美容的処置並びに外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これには、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これには、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など、その他のグルーミング行為も更に含む。したがって、「個人衛生装置」とは、そのような育成又はグルーミング行為を実施するための任意の装置、例えば、電気皮膚マッサージ装置又は電気皮膚ブラシなどの(美容のための)皮膚トリートメント装置、電気シェーバー若しくはトリマー、電気脱毛器、及び電動歯ブラシ、電気デンタルフロス、電気洗浄器、電気舌クリーナー、又は電動歯肉マッサージ器などの電動口腔ケア装置を意味する。これは、本提案の個人衛生装置が、このような育成又は装置領域のうちの1つ又は複数において、これらの育成又は装置領域のうちのそれ以外の1つ又は複数においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。
【0008】
本開示において、「処置力」又は「外部処置力」という用語が使用される場合、これは、処置ヘッドにおいて処置方向に加えられる力を意味し、この処置方向は、モータキャリアの枢動軸と、印加された処置力が枢動軸の周りでモータキャリアを枢動させるモーメントを提供するように処置力が印加されるブラシヘッドにおける点とによって画定される平面に対して垂直である。加えられる合計処置力は、処置方向における処置力よりも高くてもよいが、他の方向に作用する処置力の成分は、考察されるセットアップによって測定できないため、考慮されない。典型的には、処置方向以外の方向に処置ヘッドに印加される力は、軸受に吸収されるか、又は個人衛生装置の弾性変形によって吸収される。
【0009】
以下の説明では、測定変数を測定するためのセンサはホールセンサとして説明され、センサと連携ユニットとの間の相対位置に応じて測定変数を提供する又は測定変数に影響を与えるためのセンサ連携ユニットは、永久磁石として説明される。しかし、これは単なる例であり、他のセンサ/センサ連携ユニット対も同様に考えられることを理解されたい。例えば、センサは、コイルのインダクタンスを測定するインダクタンスセンサであってもよく、センサ連携ユニットは、したがって、コイルコアの位置に応じて測定されたインダクタンスに影響を与えるコイルコアであってもよい。別の実施例では、センサは、受光する光の量を測定するフォトダイオードであり、センサ連携ユニットは、フォトダイオードに対するその位置に応じて光の一部を遮断するシェードである。多くの他の例も同様に企図され、例えば、センサは静電容量センサであってもよく、センサ連携ユニットは誘電物体であってもよい。あるいは、センサは光学三角測量センサであってもよく、センサ連携ユニットは反射物体であってもよい。本文脈において、用語「センサ」は、感知構成要素(例えば、フォトダイオード)と、測定可能な媒体を提供する構成要素(例えば、光を提供するLED又はレーザーダイオード)とを含むユニットを意味する場合があり、したがって連携ユニットは、測定変数に影響を与える物体であってもよい。他の実施形態では、センサは測定変数を測定するように構成され(例えば、ホールセンサは、ホールセンサの感知領域における磁束を測定することができる)、センサ連携ユニットは、位置依存的な方式で測定変数を提供するように構成される(例えば、磁束場を提供する永久磁石)。
【0010】
本開示によれば、バネユニットは、個人衛生装置の処置ヘッドとハンドルとの間に配置される。処置ヘッドは、ハンドルの中空内に延在する支持構造体(例えば、モータキャリア)と固定的に接続されてもよい。ここで、「固定的に接続された」とは、処置ヘッドが支持構造体に繰り返し取り付けられかつ支持構造体から取り外され得ることを除外するものではないが、処置ヘッドと支持構造体との間には本質的に移動がないことを意味するものとすることが理解される。以下の説明では、モータキャリア(すなわち、モータを担持するキャリア)である支持構造体に焦点を当てているが、これに限定されるものではないことが理解されるものとする。バネユニットは、少なくとも1つのバネ要素からなるか、又は少なくとも1つのバネ要素を含む。バネユニットは、ねじなどの更なる接続手段を含んでもよい。
【0011】
バネユニットのバネ要素を選択する際にはいくつかの要件を考慮する必要がある。すなわち、
-バネ要素は、低い製造公差を有するべきであり、
-バネ要素は、低い構造物容積を必要とするべきであり、
-バネ定数は、無負荷状態と最大印加外部負荷との間で特定の移動距離が達成されるような範囲であるべきである。
【0012】
コイルバネのような標準的なバネは、少なくとも低い製造公差についての要件に関してこれらの基準を満たさない。構造化された平面板バネは、比較的低い公差で製造することができ、かつ必要なバネ定数を提供するように設計及び構造化することもできる。これは、
図10A及び
図10Bを具体的に参照して以下で更に説明される。本開示は、少なくとも1つのバネ棒を備えるバネユニットに焦点を当てている。
【0013】
全ての要件を満たすために、少なくとも1つの棒状バネ要素(以下ではバネ棒とも呼ばれる)、特に、本質的に矩形断面形状を有するバネ棒を有する例示的なバネシステムを選択した。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つのバネ棒が使用される。バネ棒(又は複数のバネ棒)は、概ね約1ミリメートルの断面寸法を有し、例えば、断面寸法は、0.6mm~2.0mmの範囲であり得、例えば、バネ棒の高さは、0.6mm~1.0mmの範囲であってもよく、バネ棒の幅は、1.0mm~2.0mmの範囲であってもよい。これは、幅と高さとの比が、1~3.33、特に1.25~2.0の範囲内にあることを意味する。いくつかの実施形態では、幅と高さとの比は約1.5である。次に、幅及び高さの値は、個人衛生装置からはこれまでに知られていない、特に電動歯ブラシなどの口腔衛生装置からは知られていない、比較的頑丈なバネを定義する。その頑丈さから、バネ棒の比較的長い自由長は、第3の要件、すなわち、ホールセンサと永久磁石との間の感知可能な移動長さを満たすために使用される。具体的には、個人衛生装置のハンドルは、ハンドルの内部に配設された部品間の大きな移動距離のための構造物容積をあまり提供しないため、この感知可能な移動長さは0.6mm~2.0mmの範囲内であるべきである。単一のバネ棒の自由長は、15mmを超えるように選択されるべきである。2つのバネ棒が使用される実施形態では、自由長は20mmを超えるように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、互いに対して平行に延在する2つのバネ棒が選択され、バネ棒は、24.3mmの自由長、1.2mmの幅、及び0.8mmの高さを有してもよい。これら2つのバネ棒と同じバネ定数を達成するために、0.1mmの厚さ及び20mmの幅を有する平坦な構造化されていない板バネは、約6.2mmの自由長しか有することができない。
【0014】
いくつかの実施形態では、処置方向におけるバネユニットの第1バネ定数は、2N/mm~6N/mmの範囲内であり、処置方向に垂直な横方向における第2バネ定数は、6N/mm~24N/mmの範囲内である。
【0015】
上述の寸法のバネ棒は、比較的小さい公差で製造することができる。これにより、ハンドルに対する処置ヘッドの浮動状態の静止位置を、比較的高い精度で正確に定めることが可能になる。バネ棒又は複数のバネ棒のコンパクトで頑丈な断面形状により、バネ棒を、例えば、他の構成要素の側部に沿って、例えば、ハンドル内に配設された電池又はアキュムレータに沿って配置することができるので、構造物容積を著しく犠牲にすることなくバネ棒を取り付けるが可能となる。
【0016】
バネ棒の端部は、軸受を提供する受け部内に取り付けられてもよく、その結果、バネ棒は軸受によって画定される枢動点の周りで枢動することができる。軸受はまた、ハンドルにおけるバネ棒の固定点と、処置ヘッドにおける又は処置ヘッドと固定的に接続された支持構造体におけるバネ棒の固定点との間の長さの差を補償するために、バネ棒が長手方向に移動することを可能にし得る。バネ棒が長手方向に移動することを可能にする代わりに、バネ棒は、受け部内に固定して取り付けられてもよく、受け部が、処置ヘッド又は支持構造体にバネ式に取り付けられてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第2の対のホールセンサ及び永久磁石は、それぞれハンドル及び処置ヘッドに対して固定的に取り付けられ、その場合、第2のホールセンサ及び第2の永久磁石は、静止位置において同軸関係に配置され、かつ、外力がブラシヘッドに横方向に加えられると、互いに対して軸方向に移動するように配置される。このような構成は、印加された横方向力値を決定することを可能にし、したがって、第1の永久磁石と第1のホールセンサとの間の横方向の変位に起因して第1のホールセンサによって提供されるホール信号における効果を補正することも可能になる。
【0018】
本タイプの個人衛生装置内には、ホールセンサ信号のいくつかの歪み源が存在する。例えば、第1の永久磁石と第1のホールセンサとの間の軸方向距離は、動作中の個人衛生装置の振動(例えば、駆動ユニットによって引き起こされる)の影響を受け得る。周期的励起(例えば、一定周波数駆動による)によって振動が引き起こされる場合、ホールセンサ信号が周期的振動のサイクル内の同じ時刻に常に測定されるときに、ホールセンサ信号に与える影響を低減させることができる。別の歪み源は、ハンドルに対して枢動可能に取り付けられた処置ヘッドに作用する重力である。地球の重力場に対する個人衛生装置の向きに応じて、第1の永久磁石と第1のホールセンサとの間の軸方向距離は変化する。いくつかの実施形態では、個人衛生装置は、地球の重力場に対する個人衛生装置の向きを判定することができる向きセンサを備え、それにより、ホールセンサ信号に与える向きの影響を補正することができる。
【0019】
ハンドルに対する処置ヘッド又は支持構造体の運動を測定する本目的のためにホールセンサが使用される場合、全体設計のいくつかの課題に対処しなければならない。
1.具体的には、移動部分、すなわちモータキャリアが、少なくとも完全なモータを担持しており、モータが通常、個人衛生装置の最も大きい容積を要する部品の1つである実施形態では、電動歯ブラシのハンドル内の空間は制限されている。
2.個人衛生装置の全ての部品は、固有の製造公差を有するので、センサ永久磁石及びホールセンサの互いに対する最終相対位置は、個々の個人衛生装置間である程度のバラツキを有している。
3.ホールセンサの効率範囲は、可能な限り良好に使用されるべきである。
4.枢着されたモータキャリアに作用する地球の重力は、地球の重力場に対する装置の向きに応じて、ホール電圧の変化を導入する。その理由は、移動可能な部品(例えば、モータキャリア)はそのときこの追加の力の影響を多かれ少なかれ受け、装置の更なる振動がホール電圧信号のノイズフロアに付加されるためである。
5.センサ永久磁石のコストは、許容可能なレベルに維持されるべきである。
【0020】
前述の課題に対処するために、本明細書で提案される構成の設計の様々な詳細が検討された。その場合、以下の設計態様のそれぞれは、単独で(すなわち、それ自体で)、更には他の態様のうちの1つ以上、又は更には全てと組み合わされて検討された(これは、以下の特徴のそれぞれが、個別に開示された特徴であること、また、矛盾した組み合わせにつながらない限りにおいて、1つ又は複数の特徴との全ての可能な組み合わせで開示された特徴であることを意味している)。
1.センサ永久磁石の形状は、円筒形又は円盤状であるように選択されてもよい(後者は、直径より低い高さを有する円筒だけを指す)。
2.ホールセンサに面するセンサ永久磁石表面の面積は、約3mm2~15mm2の範囲、特に7mm2~13mm2の範囲にあるように選択されてもよい。
3.センサ永久磁石の高さは、1mm~3mmの範囲内、特に1.5mm~2.5mmの範囲内にあるように設定されてもよく、更に具体的には、センサ永久磁石の高さは2.0±0.25mmの範囲であってもよい。
4.センサ永久磁石の体積は、10mm3~30mm3の範囲内、特に15mm3~25mm3の範囲内にあるように設定されてもよい。
5.センサ永久磁石の残留磁気は、200mT~2000mTの範囲内、具体的には300mT~1500mTの範囲内になるように定められることができる。
6.センサ永久磁石の残留磁気とセンサ永久磁石の体積との積は、3000mT・mm3~20000mT・mm3の範囲内、特に12000mT・mm3~18000mT・mm3の範囲内になるように定められることができる。
7.センサ永久磁石及びホールセンサの指定された位置は、センサ永久軸の円柱軸がホールセンサの有効領域の中心にかつ垂直に交差するように定められることができる。次に、センサ永久磁石及びホールセンサの相対運動が、本質的に円柱軸に沿って生じることが特に定められ得る。
8.永久磁石とホールセンサとの間の移動距離は、0.5mm超、特に少なくとも0.8mm、更に特に約1mmとなるように定められてもよい。
9.モータキャリアが静止位置にあるとき(すなわち、処置ヘッドに負荷が作用しないとき、したがってこの位置は無負荷位置と呼ばれることもある)のセンサ永久磁石とホールセンサとの間の初期距離は、2mm~6mmの範囲内、特に3.5mm~5.5.mmの範囲内になるように定められることができ、更に具体的には、初期距離は4.5±0.25mmになるように設定された。
10.センサ永久磁石の磁場強度、ホールセンサとセンサ永久磁石との間の初期距離、及び移動距離は、システムの動作がホールセンサの線形応答範囲を感知可能な方式で利用することから、磁場強度の挙動がほぼ線形である磁界の尾部においてシステムが動作するように設定されてもよい。
11.ホールセンサが10mT~200mT、特に30mT~90mTの範囲内にある線形応答範囲を有するように、すなわち、ホールセンサが40mT又は80mTの線形応答範囲を有し得るように、定められてもよい。
12.第1の又は最小の検出可能閾値力値は、0.5N~1.5Nの範囲内に設定されてもよく、無負荷状態と第1の検出可能な閾値力との間のセンサ永久磁石に対するホールセンサの移動距離は、少なくとも0.15mmに設定されてもよい。
13.最大検出可能力値は、2.0N~4.0Nの範囲内、特に2.5N~3.5Nの範囲内に設定されてもよい(すなわち、設計は、例えば、最大検出可能力値に達したときにホールセンサの線形感度範囲が終了するように選択されてもよく、代替的に又は追加的に、最大検出可能力値に達したときにモータキャリアが当接する少なくとも1つのストッパ要素が設けられることによって、更なる枢動が機械的に阻止されるようにしてもよい)。
【0021】
ホールセンサの感知領域は、典型的には比較的小さく、例えば、感知領域は約1mm2以下であってもよく、例えば、ホールセンサの感知領域は、0.2mmの辺長に対して二次関係であってもよく、したがってアクティブ領域は0.04mm2である。ホールセンサとセンサ永久磁石との間の感知可能な距離において関連強度の磁束密度を提供するために、ホールセンサに面するセンサ永久磁石の面積は、3mm2~15mm2の範囲内、特に7mm2~13mm2の範囲内になるように選択された。その結果、ホールセンサの感知領域(多くの場合、円形領域として近似される)は、センサ永久磁石の領域に対して点状と近似的に見なされ得る。そのような条件下で、次に、円筒形センサ永久磁石(したがってホールセンサに面する円筒の端面は円形形状を有する)を使用し、センサ永久磁石がホールセンサの感知領域と同軸になるように(又は、ホールセンサの点状感知領域が円筒形センサ永久磁石の円柱軸上に位置するように)センサ永久磁石を位置決めするのが実用的であると考えられる。当然のことながら、これは、センサ永久磁石の他の形状も同様に使用することができ、例えば、センサ永久磁石の端面が、二次形状、任意の他の幾何学的形状、又は更には不規則な形状を有してもよいことを除外するものではない。ホールセンサにおけるセンサ永久磁石の磁束密度は、少ない程度のみであるが、センサ永久磁石の厚さの分だけ増大され得る。したがって、厚さは、1mm~3mmの範囲内、特に1.5mm~2.5mmの範囲内であってもよく、更に具体的には、厚さは2±0.25mmの範囲内であってもよい。
【0022】
いくつかの調査された実施形態では、センサ永久磁石はNdFeBrから作製され、1350mTの残留磁気を有し、形状は、直径3.8mm及び円筒高さ2mmで円筒状であった。センサ永久磁石は、ホールセンサに対して4.4mmの距離に位置付けられ、無負荷状態と最大検出可能外部処置力との間でホールセンサに向かう移動距離は1mmであった。他の実施形態では、移動距離は更に長く、例えば1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、又は1.5mmである。
【0023】
一部の個人衛生装置、特に歯ブラシに関して、外部処置力は、ユーザーがブラシヘッドを歯に押し当てる力である。効果的であるために、最小力(すなわち、第1の閾値力値)が印加されるべきであり、特に刺激から歯肉を保護するために、最大力(すなわち、第2の閾値力値)を超えるべきではないことが一般的に知られている。したがって、ユーザーが、第1の閾値力値と第2の閾値力値との間のこの範囲内にあるかどうかを検出することができ、印加された力をユーザーに伝えることができることが目的である。最小力及び最大力は、使用される処置ヘッドの種類にある程度依存し得、またユーザーの好みに依存し得る。最小力(第1の閾値力値)は、0.5N~1.5Nの範囲内、特に0.5N~1.0Nの範囲内にあってもよい。最大力(第2の閾値力値)は、1.5N~3.5Nの範囲内、特に、2.0N~3.0Nの範囲内にあってもよい。システムは、2.0N及び4.0Nの範囲内、特に、2.5N~3.5Nの範囲内の最大外部処置力を検出できるように構成され得る。調査した実施形態では、最小力は0.75Nに設定され、最大力は2.15Nに設定され、最大検出可能力は3.0Nに設定された。無負荷状態と1.0mmの最大検出可能力の印加との間のセンサ永久磁石の移動距離において、無負荷状態と最小力の印加との間の移動距離は0.25mmである。これに関連して、様々な製造公差を考慮する必要がある。したがって、移動距離が1.0mmになるように設計される場合、磁石の寸法からホールセンサ及びセンサ永久磁石の位置に及ぶ製造プロセスにおける全体的な公差の合計は、軽く約0.1mmになる。言及された公差に起因して最小の力が確実に検出されない場合があるので、移動距離は、0.5mm未満になるように選択されるべきではない。1.0mmを超える移動距離が確実に考慮され、構造物容積などが許す場合には、例えば、1.3mの移動距離が選択されてもよい。
【0024】
ホールセンサは、具体的には、ホール電圧を示し、したがって処置ヘッドに印加された力を示す信号をホールセンサから受信するコントローラに連結されてもよい。コントローラは、具体的には、ホールセンサからの受信信号及び少なくとも1つの閾値力値に依存して、個人衛生装置の動作をトリガするように構成されてもよい。個人衛生装置の動作は、ホールセンサからの信号が、印加された処置力が第2の閾値力値よりも高いことを示し、高すぎる力が印加されたことが示された場合の、モータの停止又はモータ振幅の下降であってもよい。
【0025】
個人衛生装置は、コントローラに連結された表示ユニットを更に備えていてもよく、その際、コントローラは、印加された処置力が第1の閾値力値未満であるか又は第1の閾値力値以上であるかどうか、更には、印加された処置力が第1の閾値力値と第2の閾値力値との間にあるかどうかを、視覚的に検出可能な、聴覚的に検出可能な、及び/又は明白に検出可能信号によってユーザーに示すように構成されてもよい。例えば、表示ユニット及びコントローラは、印加された処置力が第1の閾値力値を下回ることを、例えば白色光信号などの中間色によって、印加された処置力が第1の閾値力値と第2の閾値力値との間にある(すなわち、印加された処置力が意図された範囲内にある)ことを緑色光信号によって、及び、印加された処置力が第2の閾値力値を超えることを赤色光信号によって、ユーザーに伝えるように構成されてもよい。表示された色の急激な変化の代わりに、光信号の色を徐々に変化させてもよい。RGB LEDは、表示された光信号のこのような漸進的変化を可能にする。
【0026】
個人衛生装置は、ユーザーが個人衛生装置のパラメータに影響を与えることを可能にする、具体的には、第1及び/又は第2の閾値力値を設定することを可能にする、ユーザーインターフェースを備えていてもよい。
【0027】
個人衛生装置は、個人処置装置と共に使用されるアタッチメント又は処置ヘッドの種類を検出するように構成されてもよい。例えば、アタッチメントは、RFIDチップを含んでもよく、ハンドルは、処置ヘッドの種類を判定することができるように、RFID読み取りユニットを備えてもよい。次いで、コントローラは、検出/判定された処置ヘッドに基づいて、少なくとも第1の閾値力値を自動的に設定するように構成されてもよい。少なくとも第1の閾値力値は、メモリユニットに記憶されてもよい。
【0028】
個人衛生装置は、コントローラが、ゼロ印加外部処置力におけるホールセンサからの信号と、処置ヘッドに所定の力が作用したときの少なくとも1つの更なるホール信号とを使用して、ホールセンサからの信号と、処置ヘッドに印加された処置力の値との間の関係を決定し、更には構成する、較正モードを有するように構成されてもよい。較正は、特に、制御された方法で所定の処置力を処置ヘッドに印加することができる制御された環境で、製造業者によって使用されてもよい。較正モードは、個人衛生装置を販売パッケージに充填する直前に、組み立てプロセスで使用されてもよい。
【0029】
更に、コントローラは、無負荷状態のホールセンサ信号値を自動的にリセットするように構成されてもよく、特に、コントローラは、個人衛生装置が充電スタンドに置かれているかどうか(例えば、すでに記載したRFID識別装置を使用して)、又は移動せずに直立位置にあるかどうか(例えば、加速度計を使用することによって)を検出して、これらの条件のうちの少なくとも1つの下で無負荷状態のホールセンサ信号値の自動リセットを実行するように構成されてもよい。
【0030】
図1は、電動歯ブラシとして実現される個人衛生装置1の例示的実施形態の図である。個人衛生装置1は、具体的には、処置ヘッド3を有する取り外し可能なアタッチメント2を備えているが、処置ヘッドは、個人衛生装置1の取り外し不可能な構造体に提供されてもよい。処置ヘッド3は、ここではブラシヘッドとして実現され、当該技術分野において一般的に知られているように、軸4を中心に被駆動振動回転するように取り付けられている。アタッチメント2は、個人衛生装置1のハンドル5に取り付けられる。ハンドル5は、具体的には、処置ヘッド(treatment had)3を駆動して運動させるためのモータを収容してもよい。枢動軸8と、処置力が処置ヘッド3に作用する点とによって画定される平面に対して垂直である力成分を処置力6が有する場合には、処置ヘッドに対して方向7に作用する処置力6は、アタッチメント2を枢動軸8の周りで枢動させる(処置力が処置ヘッド3に作用する方向は、本明細書では「処置方向」と呼ばれる。つまり、
図1の方向7は処置方向と整列していないので、測定される印加処置力は、処置ヘッドに作用する全処置よりも低い)。処置力6は、具体的には、処置ヘッド3をユーザーの処置領域に対して押すことによって形成されてもよい(例えば、図示の実施形態では、ブラシヘッドに取り付けられた剛毛が歯を効果的に清浄することができるように、ブラシヘッドは、特定の力で歯に押し当てられてもよい)。アタッチメント2は、ハンドル5のコネクタ部分に固定的に取り付けられ、コネクタ部分は次に、ハンドル5内に配置されたモータキャリアと固定的に接続される。モータキャリアは、バネ力に抗して枢動軸8の周りで枢動するように取り付けられる。
【0031】
図2は、長手方向中心面に沿って切り開かれた例示的な個人衛生装置10の描写であり、この個人衛生装置10は部分的にのみ示されている(個人衛生装置の前端及び下端は示されていない)。個人衛生装置は、ハンドル11及び取り外し可能なアタッチメント20を備えている。モータキャリア140として実現される支持構造体は、ハンドル11内に配設され、かつ、モータキャリア140が旋回軸12の周りで枢動することが可能となるように軸13に枢着される。前述したように、処置ヘッドがハンドルに直接バネ式に取り付けられるか、又は処置ヘッドが支持構造体と固定的に接続されることが一般的に想到される。この支持構造体は、ここではモータを担持するモータキャリア140として実現される。
【0032】
モータキャリア140は、バネ・質量タイプの共振モータ100及び振動相殺ユニット200を担持する。モータ100は、固定子脚部の周りに巻かれたコイル111を有する固定子部分110を備えている(ここで、固定子110は、軟質磁性材料から作製された3つの固定子脚部を有するEコアを有し、コイルは中央脚部の周りに巻かれる)。動作中、コントローラは、第1の周波数を有する周期的な交流モータ駆動信号をコイル111に印加する。周期的な交流駆動信号は、コイル111を通る周期的な交流の流れをもたらし、したがって、周期的な交流電磁場を発生させる。モータ100は、電機子部分120に取り付けられたモータ永久磁石121を有する電機子部分120を更に備えている(ここで「磁石」という用語はその単数形で使用されるが、これは、2つ以上のモータ永久磁石が存在することを除外するものではない)。電機子部分120は、バネ130A及び130Bによってモータキャリア140にバネ式に取り付けられる。コイル111が動作中に周期的な交流電磁場を発生させると、永久磁石121は電磁場と相互作用し、結果として生じる力は、電機子部分120がバネ130A及び130Bによって提供されるバネ力に抗してその静止位置から外れて長手方向Lに沿って線形揺動運動Mするように、電機子部分120を駆動する。
【0033】
振動相殺ユニット200は、質量体210と、質量体210をモータキャリア140に取り付けるバネ220A及び220Bとを備える。振動相殺ユニット200は、モータ駆動信号の第1の周波数と一致する共振周波数を有する。動作中、モータが駆動されて第1の周波数で振動すると、モータキャリア140に伝達される振動は、周期的な外部励起力として働く。振動相殺ユニット200が本質的に正確にその共振周波数で励起され、その結果、電機子部分120と逆位相で振動することにより、モータキャリア140に伝達される振動を効率的に相殺することができる。振動相殺ユニット200の実際の共振周波数は、製造公差の影響を受けるため、振動相殺ユニット200の共振周波数を最初に測定し、次いで、モータ駆動信号の第1の周波数を、振動相殺ユニット200の決定された共振周波数に設定することが賢明であり得る。ここでは、振動相殺ユニットはモータキャリア140に取り付けられて示されているが、モータ100によって生成された振動はモータキャリア140から軸13を介してハンドル11に伝達されるので、振動相殺ユニットはハンドル11に取り付けられてもよい。
【0034】
モータキャリア140の遠位端において、ホルダー要素142がモータキャリア140に固定して取り付けられており、このホルダー要素142は、ホールセンサ420に近接して位置付けられたセンサ永久磁石410を保持する。ホールセンサ420は、具体的には、PCB上に取り付けられてもよく、PCBはハンドル11に対して固定的に取り付けられている。原則として、ホールセンサ420はまた、モータキャリア140に対して固定的に取り付けられてもよいが、その場合には、ハンドル(エネルギー源が取り付けられる)とモータキャリア140との間の反復運動に耐えることができる電気的接続が設けられる必要がある。
【0035】
外部処置力F1が処置ヘッドに作用すると(矢印F1によって示される)、この力F1は、モータキャリア140及び全ての固定接続部品を、軸13によって画定される枢動軸12の周りで枢動させる(矢印Rによって示されるように)。軸13は、ハンドル11に取り付けられ、モータキャリア140を通って延在する。外部処置力F1は、それによって、ここではモータキャリア140とハンドル11との間に配設されたバネ要素(
図6、
図7、及び
図8を参照)によって提供されるバネ力に抗して作用しなければならない。バネ要素は、具体的には、モータキャリア140がその静止位置にあるときに付勢されていない状態になるように、すなわち、あらゆる外部処置力F1がモータキャリア140の枢動運動を直接もたらすように取り付けられてもよい。バネ要素が付勢力を印加する実施形態では、モータキャリアは、外部処置力が付勢力を克服したときに初めて枢動を開始する。いくつかの実施形態では、比較的小さい第1の閾値力値が検出可能であるべきであり、そうすることで、すぐに枢動する付勢されていないモータキャリアは、ゼロ外力(無負荷状態)と第1の検出可能な閾値力との間で最大移動距離を少なくとも提供する。
【0036】
図3は、本明細書では、磁束線51によって示される磁界を発生する双極子であるとして示されているセンサ永久磁石50、及び、ここではPCB上への自動実装に好適なSMDデバイスとして示されているホールセンサ60の概略図である。ホールセンサ60は、典型的には比較的小さい、具体的には約1mm
2以下、例えば、0.5mm
2又は0.25mm
2又は0.1mm
2又は0.01mm
2である感知領域61を有する。双極子磁化ではない他の磁化、例えば四重極磁化も可能である。センサ永久磁石50がホールセンサ60に対して移動されると、ホールセンサ60の感知領域における磁束密度が変化し、ホールセンサによって対応のホール電圧が提供される。ホールセンサは、詳細には、ホール電圧を受信し、具体的にはホール電圧を分析するためのコントローラと接続されてもよい。センサ永久磁石50とホールセンサ60との間の任意の相対的な変位は、ホールセンサ60の感知領域61における磁束密度の変化、したがってホール電圧の変化をもたらすが、ここでは、センサ永久磁石50は、例えば、一定の処置力が印加された場合にΔxの移動距離だけホールセンサ60に向かって移動し得ることが示されている。具体的には、センサ永久磁石50及びホールセンサ60は、中心軸Cに対して同軸上に配置され、センサ永久磁石50とホールセンサとの間の相対運動は、本質的に中心軸Cに沿って生じる(
図2に関して論じた例ではモータキャリアは枢動するので、わずかに湾曲した動きが生じるが、これは本目的のために直線運動と見なすことができる)。
【0037】
本開示で説明されるセンサ永久磁石は、永久磁石を作製するのに好適な様々な材料から作製されてもよい。例えば、センサ永久磁石は、NdFeB又はSmCoなどの合金から作製されてもよく、これら材料はプラスチック結合されていてもよく、又は焼結されてもよい。焼結NdFeB磁石は、1~1.4のTの範囲内の残留磁気を有し得る。ストロンチウムフェライトなどのハードフェライト材料の残留磁気は典型的には約400mT未満であるが、これらの材料も一般に可能である。プラスチック結合永久磁石の残留磁気は、多くの場合、600mT~700mの範囲内である。
【0038】
図4は、例示的なセンサ永久磁石の磁束密度B(T単位)を、ホールセンサとセンサ永久磁石との間の距離x(mm単位)に応じて曲線70として示すグラフである。単なる例示として、2つの更なる曲線71及び72が部分的に示されており、これらの曲線71及び72は、様々な許容誤差に対する磁束密度の依存性を示すものとする。いくつかの実施形態では、センサ永久磁石とホールセンサとの間の初期距離はX
2=4.4mmに設定され、無負荷状態と検出可能な最大処置力との間の移動距離は、端部位置がx
1=3.4mmになるように(ホールセンサに向かって)1mmであるものとする。これらの2つの位置の間の磁束密度の変化は、ホールセンサが線形ホール電圧信号を提供するべき典型的な範囲を提供する。磁束密度の変化は、例えば、約40mTであり得る。位置公差及び/又は寸法公差に起因して(焼結NdFeB永久磁石は、±0.05mm~±0.1mmの範囲の寸法公差を容易に有し得る)、初期距離及び移動距離もまた、シフト位置x
1’及びx
2’に関連する破線によって示されるように容易にシフトし得る。これらの公差に対処するために、例えば約80mTのようなより大きい線形範囲を有するホールセンサが選択されるべきであり、次いで、定義された理想的な位置及び寸法などの言及された例示的な40mT検出範囲は、選択されたホールセンサの線形80mT感度範囲の中央に位置するように計画される。上記は、一般原理を示すための一例にすぎないことに留意されたい。センサ永久磁石の寸法、材料、ホールセンサまでの初期距離などに応じて、例えば、20mT又は160mTなどの線形感度範囲を有する他のホールセンサが使用されてもよい。好適なホールセンサとしては、例えば、Allegro A1304シリーズ(Allegro MicroSystems,LLC(Massachusetts,USA)から入手可能)からのセンサ、又はDiodes AH49Fシリーズ(Diodes Incorporated(Texas,USA)から入手可能)からのセンサが挙げられる。ホールセンサの感度は、10mV/mT~90mV/mTの範囲内であってもよい。
【0039】
図5は、いくつかの調査されたプロトタイプで行われた測定曲線80、81、82、及び83を示すグラフであり、図中、ホール電圧信号U-HALL(V単位)は、印加された処置力F(N単位)の関数として示されている。測定曲線80~83は、0Nの処置力と3Nの処置力との間で本質的に線形である。例えば、検出可能な最小処置力又は第1の閾値力値である0.8Nは、第2の閾値力値である2.5Nと同様に測定可能である。曲線に差があるため、システムの応答の較正を行うことが賢明である。例えば無負荷状態のホール電圧及び所定の処置力(例えば2.0N)におけるホール電圧を測定する線形較正で十分であるが、これは、3つ以上の測定点を用いた較正作業を排除するものではない。較正パラメータ(複数可)を個人衛生装置のメモリに格納することができるように、較正は、具体的には、個人衛生装置を販売する前に製造所で行われてもよい。
【0040】
図6は、モータ100A及び振動相殺ユニット200Aを担持するモータキャリア140Aの描写である。駆動シャフト150Aは、モータ100Aの電機子部分と接続されている。S型電気コネクタ160Aを使用して、モータ100Aをエネルギー源と電気的に接続することができる。このS型コネクタは、個人衛生装置のハンドルに対して印加された処置力の下でのモータキャリア140Aの小さな動きに適応するのに十分な可撓性を有する。ホルダー要素142Aは、モータキャリア140Aに固定して取り付けられ、かつ、センサ永久磁石410A、更には2つの棒状バネ要素5100A及び5101Aを保持する。棒状バネ要素5100A及び5101Aは、その一端部が受け部1424A内に受容される。これら受け部1424Aは、
図7に関してより詳細に説明されるように、モータキャリア140Aと接続されており、かつ、個人衛生装置のハンドルに対して固定されたそれぞれの保持固定具内に受容されている。棒状バネ要素1500A及び1501Aは、一緒になってバネユニット510Aを形成し、このバネユニット510Aは、外部から印加される処置力が抗って作用する必要があるバネ力を提供して、モータキャリア140Aを旋回軸の周りで枢動させる。
【0041】
本明細書で説明される棒状バネ要素1500A及び1501Aは、それらを意図される使用に適したものにする特定の特性を有する。一方では、棒状バネ要素は、低製造コストにもかかわらず高精度で作製することができる。そのような高い製造品質(すなわち、低い公差)は、基本的に、印加された処置力が克服する必要があり、かつ最小検出可能閾値力値の測定品質にとって有害である付勢力を導入することなく、バネ要素を取り付けることができることを支援する。他方では、棒状バネ要素は、限られた構造物容積のみを使用しながらも、比較的高いバネ定数を与えることができる。個人衛生装置のハウジング内に小さい直径又は小さい断面形状の長い物体を収容することの方が、同様のバネ定数を高精度で提供するコイルバネ又は板バネを収容するよりも容易である。更に、棒状バネ要素は、本質的に矩形の断面を有して製造されることができるので、枢動方向のバネ定数及び垂直方向のバネ定数を正確に調整することができる。いくつかの調査された実施形態では、棒状バネ要素1500A及び1501Aはそれぞれ、約24mmの自由バネ長さ及び約2N/mmのバネ定数を有し、ステンレスバネ鋼1.4310から作製され、0.8mm×1.2mmの寸法を有する矩形断面形状を有する。
【0042】
図7は、ホルダー要素142Bが固定的に取り付けられている端部を通り、かつそれ自体が個人衛生装置のハンドルに対して固定的に取り付けられているシャーシ600Bを通る断面図の詳細を示す。シャーシ600Bは、具体的には、充電式アキュムレータなどのエネルギー源と、ホールセンサなどの個人衛生装置の電子部品が載上されているPCBとを担持してもよい。ホルダー要素142Bは、棒状バネ要素5100Bを受容するための受け部1424Bを備える(平行な棒状バネ要素を受容するために、もう1つのそのような受け部が、詳細には、
図6に示したようにホルダー要素142Bの反対側に配設されてもよい)。受け部1424Bは、貫通孔又は穴1421Bを有し、その内部では、位置合わせされた半円筒形軸受構造体1422Bが棒状バネ要素5100Bの軸受点を提供する。より詳細に説明するように、棒状バネ要素5100Bは、シャーシ600Bに固定的に取り付けられているので、ホルダー要素142Bにおける棒状バネ要素5100Bの軸受は、受け部1424B内の棒状バネ要素5100Bの特定の可動性を提供する必要がある。モータキャリア140Bが、例えば、
図7の両方向矢印によって示されるようにその枢動軸の周りで約1mm移動するとき、棒状バネ要素5100Bは、受け部1424B内のその軸受内で枢動することができなければならず、更に、シャーシ600Bに対するモータキャリア140Bの移動を補償するために、受け部1424Bに対して直線的にわずかに移動することができなければならない。上述の必要な可撓性に対処する代替的な設計が、
図9に関連して示され、説明される。
【0043】
図7には、棒状バネ要素5100Bが、シャーシ600Bに設けられた保持固定具610Bによって受容されているところが更に示されている。保持固定具610Bは、前部クランプ6101B及び裏側クランプ6102Bを備える。切断図では見ることができないが、前部クランプ6101B及び裏側クランプ6102BはU字形受け部の形態を有している。他の実施形態では、クランプは、本質的にO字形クランプとして実現されてもよい。シャーシは、2つを超える図示のクランプを備えていてもよく、具体的には、シャーシは、棒状バネ要素5100Bを固定的に保持するために3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は更にはそれ以上のクランプを備えてもよい。クランプ6101B又は6102Bのうちの少なくとも1つであるが、特にクランプのそれぞれは、棒形状のバネ要素5100Bのクランプへの挿入を容易にするために、面取りされた前側(
図7に示されるような)を有してもよい。
【0044】
棒状バネ要素5100Bは、軸受点1422Bと前部クランプ6101Bとの間に自由長Lfを有する。棒形状のバネ要素の自由長Lfは、モータキャリア140Bの枢動運動に抗して作用するバネ定数を決定する。例えば、棒形状のバネ要素5100Bは、0.8mmの高さ及び1.2mmの幅、24.3mmの自由長を有してもよく、195,000N/mm2の弾性モジュールを有するバネ鋼から作製されてもよい。次いで、棒状バネ要素当たりの剛性(すなわちバネ定数)は約2.09N/mmという結果となり、2つの棒状バネ要素を使用する場合、合計剛性は4.18N/mmとなる。自由長Lfを適応させることにより、バネユニットの剛性を調整することができる。
【0045】
可動モータキャリア及び個人衛生装置のハンドルにそれぞれ取り付けられたセンサ永久磁石及びホールセンサの一般構造は、記載されたように、共振モータの代わりに一般的な種類のモータを有する個人衛生装置にも適用可能である。これは、ハンドル1Cと、処置ヘッド3Cを含むヘッド部分2Cとを備える個人衛生装置10Cの概略図である
図8を参照して説明される。ヘッド部分2Cは、処置ヘッド3Cを駆動して動かすためのモータを担持するモータキャリア140Cと固定的に接続されている。モータキャリア140Cは、枢動軸12Cの周りに枢着される。外部処置力Fが処置ヘッドに処置方向に加えられる場合、ヘッド部分2C及びモータキャリア140Cは、
図8の矢印Pによって示されるように枢動軸12Cの周りで枢動する。モータキャリア140Cは、バネユニット510Cによって印加されるバネ力に抗して枢動運動するように取り付けられる。センサ永久磁石410Cがモータキャリア140Cに取り付けられ、ホールセンサ420Cがハンドル11Cに取り付けられる。所定の最大印加外部処置力を超えた更なる枢動運動を回避するために、ストッパ要素15Cが設けられている。先の議論においてセンサ永久磁石及びホールセンサに関して説明された全てのものは、
図8の実施形態にも適用される。
【0046】
図9は、ホルダー要素142Dが固定的に装着されているモータキャリア140Dの描写であり、このホルダー要素142Dは、2つの棒状バネ要素5100D及び5101Dを受け部1424D内に保持している。
図7に示される受け部1424B内に設けられた、棒状バネ要素5100Bの枢動と、更なるわずかな直線運動とを可能にする軸受とは対照的に、
図9は、棒状バネ要素5100D及び5101Dが受け部1424Dに固定して取り付けられている具現を示す。例えば、棒状バネ要素5100D及び5101Dは、長手方向の延在方向に対してアンダーカットを有してもよく、受け部1424Dは、棒形状のバネ要素5100D及び5101Dが受け部1424Dに固定して取り付けられるように、これらのアンダーカットの周りに射出成形されていてもよい。受け部1424Dは、アーム1425Dを介して接続され、ブリッジ構造体1426Dは保持要素142Dの基部1427Dから延在する。この特定の設計により、アーム1425D及びブリッジ構造体1426Dは、長さの差を収容することができるように、モータキャリア140Dが枢動するときに屈曲することが可能になる。
【0047】
図10A及び
図10Bは、本開示による別の実施形態の平面図及び
図10Aに示される平面A-Aに沿った断面図を示す。図中、支持構造体140Eの端部は、構造化平面板バネ510Eを介してシャーシ600Eにバネ接続されている。シャーシ600Eはハンドルハウジングに固定して取り付けられており、モータキャリア140Eは、特に
図2を参照して説明されたように、ハンドルハウジングに枢動可能に取り付けられている。
【0048】
図示の実施形態では、構造化平面板バネ510Eは、長手方向中心軸L2に対して対称である。板バネ510Eは、中央部分5111Eの中心位置において、支持構造体140Eのアーム部分143Eにねじ5116Eによって固定して取り付けられている。ねじによって固定される代わりに、固定接続の他の手段が選択されてもよく、例えば、板バネはモータキャリアの一部にインモールドされてもよい。2つのアーム5121E及び5122Eは、中央部分5111Eから延在する。アーム5122Eは、右側(紙面に対して)に延在し、概ねS字形状を有する第1の部分51132Eを有し、アーム5121Eは、左側に延在し、同一であるが左右反対のS字形を有する第1の部分5131Eを有する。各S字形のアーム部分5131E、5132Eは、鏡面対称に続いてそれぞれ垂直アーム部分5141E及び5142Eになり、これは観察者に象の鼻を連想させる。「鼻」部分のそれぞれは、コネクタ部分5114E及び5115Eに向かって広がり、コネクタ部分5114E及び5115Eのそれぞれは、ねじ5112E及び5113Eによってシャーシ600Eの一部分にそれぞれ固定的に接続される。
【0049】
支持構造体140Eのアーム部分143Eは、方向M3に外力が印加されることによって支持構造体140Eが枢動するときに長さ補償を提供する役割を果たし、それにより、アームは、シャーシ600E及び支持構造体140Eにおける板バネ510Eの固定点間の長さの差を補償するために、それ自体を方向P3に枢動させるようになっている。
【0050】
板バネ510Eは、小さい構造物容積のみを使用する構造化板バネの一実施形態であり、当該構造化板バネは、アームのシート厚さ及び正確な形状によって、意図される使用に適した処置方向のバネ定数を有するように設計されることができ、処置方向に対して垂直である横方向のバネ定数は、処置方向のバネ定数の少なくとも2倍である。
【0051】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。