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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ビデオ内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A61B1/00 731
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020537170
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2018086259
(87)【国際公開番号】W WO2019137785
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】102018100481.8
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィータース マルティン
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0058581(US,A1)
【文献】特表2014-523324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ内視鏡であって、
遠位端(3)及び近位端(4)を有する長尺のシャフト(2)と、
前記シャフト(2)の前記遠位端(3)に配置される対物レンズと、
前記対物レンズより近位に配置される少なくとも一つのイメージセンサ(30)と、
前記イメージセンサ(30)を受けるフレーム(28)と、
を備え、
前記対物レンズは、遠位対物レンズアセンブリ(15)及び近位対物レンズアセンブリ(25)を備え、
前記イメージセンサ(30)は、前記遠位対物レンズアセンブリ(15)に対して、前記シャフト(2)の長手方向軸を中心に回転することができ、
前記遠位対物レンズアセンブリ(15)は、アウターチューブ(20)内に配置され、
前記遠位対物レンズアセンブリ(15)に対して前記イメージセンサ(30)を回転させるためのトルクが、インナーチューブ(35)によって伝達され、
前記インナーチューブ(35)は、前記フレーム(28)の結合部分である第2の結合部分(37)と係合する第1の結合部分(36)有し、
前記第2の結合部分(37)は、前記シャフト(2)の前記長手方向軸と平行して延在している少なくとも2つの第1の切り欠き(38)を有し、
前記第1の結合部分(36)に設けられる前記インナーチューブ(35)から切り取られる少なくとも2つの台形構造の第1の弾性突起が前記第1の切り欠き(38)に係合し、
前記インナーチューブ(35)は、前記第1の結合部分(36)及び前記第2の結合部(37)により、前記フレーム(28)とともに回動可能であり、前記フレーム(28)に対して前記長手方向軸に平行な方向に摺動可能に、前記フレーム(28)に連結される
ことを特徴とするビデオ内視鏡。
【請求項2】
前記アウターチューブ(20)と前記インナーチューブ(35)は近位端で、軸受(45)によって相互に支持され、前記軸受(45)は、前記アウターチューブ(20)の前記近位端に固定される軸受スリーブ(46)内に配置され、
前記アウターチューブ(20)第3の結合部分(51)を有すると共に前記軸受スリーブ(46)は第4の結合部分(52)を有し、
前記第4の結合部分(52)は、前記シャフト(2)の前記長手方向軸と平行して延在する少なくとも2つの第2の切り欠き(47)を有し、
前記第3の結合部分(51)の一部分に設けられた第2の弾性突起が前記第2の切り欠き(47)に係合することを特徴とする請求項1記載のビデオ内視鏡。
【請求項3】
前記第2の弾性突起は、前記アウターチューブ(20)から切り取られる可撓性舌状部(48)であることを特徴とする、請求項2記載のビデオ内視鏡。
【請求項4】
前記可撓性舌状部(48)は、台形の構造を有することを特徴とする、請求項3記載のビデオ内視鏡。
【請求項5】
前記第1の切り欠き(38)の数は、前記第1の弾性突起の数と一致することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のビデオ内視鏡。
【請求項6】
前記第2の弾性突起の数は、前記第2の切り欠き(47)の数より多く、前記第2の切り欠き(47)に係合しない余剰の前記第2の弾性突起が、前記アウターチューブ(20)と前記軸受けスリーブ(46)との間で電気的接触を形成することを特徴とする、請求項2、3、又は4記載のビデオ内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠位端及び近位端を有する長尺のシャフトと、このシャフトの遠位端に配置される対物レンズと、この対物レンズより近位に配置される少なくとも一つのイメージセンサとを備えたビデオ内視鏡に関する。対物レンズは、遠位対物レンズアセンブリならびに近位対物レンズアセンブリを有する。イメージセンサは、場合によっては近位対物レンズアセンブリと一緒に、遠位対物レンズアセンブリに対して、シャフトの長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0002】
遠位対物レンズアセンブリはアウターチューブ内に配置される。そして、遠位対物レンズアセンブリに対してイメージセンサを回転させるための、場合によっては近位対物レンズアセンブリも回転させるためのトルクが、インナーチューブによって伝達される。インナーチューブはアウターチューブ内に配置されており、そして結合回転するためにフレームに連結されている。フレームはイメージセンサを収容しており、場合によっては近位対物レンズアセンブリも収容する。
【0003】
ビデオ内視鏡は、アクセスが困難である患者の対象領域を検査及び/又は治療するために医療において用いられる。このためビデオ内視鏡は、遠位端を検査対象の領域へ導く長尺のシャフトを有する。
【0004】
ビデオカメラがシャフトの遠位端に配置され、このビデオカメラの信号が、シャフトの近位端及び内視鏡の外部に送られる。信号はそれからモニタに送られ、そして映し出される。ビデオ内視鏡のビデオカメラは対物レンズとイメージセンサとを備える。イメージセンサは、例えばCCD又はCMOSチップとして構成してもよい。
【0005】
ビデオ内視鏡の対物レンズが、シャフトの長手方向軸の視野方向と異なる方向を有するように構成されることは多い。
本明細書では用語「視野方向」は、対物レンズ側にある対物レンズの光軸を意味する。そのため、対物レンズは、プリズムアセンブリを備えてもよい。この種のビデオ内視鏡は、横向きの視野方向を備えた内視鏡とも呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
横向きの視野方向を備えたビデオ内視鏡では、シャフトの長手方向軸を中心にビデオ内視鏡を回転させる場合、特に広い視野をカバーできるようになる。しかしこのことは結果として、ビデオ内視鏡を回転させる場合に、“ビデオセンサ”(イメージセンサ)も同様に回転するという問題を生じさせる。例えば、(モニタに表示される)画像の水平位置が失われてしまうので、医師が画像の方向(上下感覚)を失ってしまうかもしれない。
【0007】
このことを防止するためにイメージセンサは、シャフトの長手方向軸を中心として回動できるようにビデオ内視鏡に組み込まれる。現在はビデオ内視鏡が回転すると、イメージセンサは、元々の向きを維持するように反対方向に回転し得る。こうして画像の水平位置も同様に維持される。
【0008】
技術的な理由により、対物レンズは分離されることが多く、これは、遠位対物レンズアセンブリ(プリズムアセンブリを含む)と、近位対物レンズアセンブリとから成る。2つの対物レンズアセンブリは、相互に回転可能である。遠位対物レンズアセンブリはビデオ内視鏡のシャフトに対して回動可能に固定され、近位対物レンズアセンブリはイメージセンサと一緒に、シャフトに対して回動可能である。その場合、遠位対物レンズアセンブリと近位対物レンズアセンブリは、軸方向及び半径方向に作用する軸受を用いて接続される。
【0009】
対物レンズアセンブリを相互に回転させるにはトルクが必要であり、このトルクは通常ビデオ内視鏡の近位端に、例えば回転スイベルにより付加され、インナーチューブを介してフレームに伝達される。フレームにはイメージセンサが収容されており、可能な場合は近位対物レンズアセンブリも収容される。遠位対物レンズアセンブリは、インナーチューブを包含するアウターチューブ内に配置される。インナーチューブ及びアウターチューブは近位端で、通常軸受によって相互に支持される。軸受は軸受スリーブに取り付けられ、軸受スリーブはアウターチューブの近位端に回動可能に固定される。
【0010】
ビデオ内視鏡の組立てを単純化し、及び/又はチューブ(筒状部)と、そこに接続されている構成要素の慣性力によって軸受にかかる負荷を軽減するために、インナーチューブを、回動可能に固定されるが軸方向には摺動可能なように近位対物レンズアセンブリに接続させることができる。
【0011】
インナーチューブと近位対物レンズアセンブリ間を、及び/又はアウターチューブと軸受スリーブ間を回動可能に固定し、場合によってはさらに摺動可能に接続させることは容易ではない。簡単な組み立てと軸方向の滑り運動を確実にするためには、接続は遊嵌させた状態としなければならない。しかしこれは、遊びがなければトルクを伝達することはできないということを意味する。その結果、ビデオ内視鏡の操作中に、画像の水平位置がわずかに変動する可能性があり、これは大きな問題となる。
【0012】
従って、本発明の目的は、記載した課題に関して改良されたビデオ内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によればこの目的は、遠位端及び近位端を有する長尺のシャフトと、このシャフトの遠位端に配置される対物レンズと、この対物レンズより近位に配置される少なくとも一つのイメージセンサとを有するビデオ内視鏡によって達成される。
対物レンズは、遠位対物レンズアセンブリならびに近位対物レンズアセンブリを有する。イメージセンサは、場合によっては近位対物レンズアセンブリと一緒に、遠位対物レンズアセンブリに対して、シャフトの長手方向軸を中心に回転させることができる。
遠位対物レンズアセンブリはアウターチューブ内に配置される。そして遠位対物レンズアセンブリに対してイメージセンサを回転させるための、場合によっては近位対物レンズアセンブリも回転させるためのトルクが、インナーチューブによって伝達される。インナーチューブはアウターチューブ内に配置されており、そしてフレームに回動可能に固定され、軸方向には摺動可能なように連結される。フレームはイメージセンサを受けており、場合によっては近位対物レンズアセンブリも受ける(収容する)。
【0014】
そして本発明のビデオ内視鏡は、インナーチューブ及び近位対物レンズアセンブリが、相互に同軸的に係合する結合部分を有するという事実によりさらに特徴づけられる。
フレームとインナーチューブの結合部分の第1部分には、シャフトの長手方向軸と平行して延在している切り欠き(cutout)が少なくとも2箇所ある。フレームとインナーチューブの結合部分の第2部分には、第1の結合部分に向かって延在して切り欠きに係合する、少なくとも2つの弾性突起がある。
【0015】
本発明のさらに別の態様では、対物レンズは、遠位端及び近位端を有する長尺のシャフトと、このシャフトの遠位端に配置される対物レンズと、この対物レンズより近位に配置される少なくとも一つのイメージセンサとを備えたビデオ内視鏡によって達成される。対物レンズは、遠位対物レンズアセンブリならびに近位対物レンズアセンブリを有する。イメージセンサは、場合によっては近位対物レンズアセンブリと一緒に、遠位対物レンズアセンブリに対して、シャフトの長手方向軸を中心に回転させることができる。
遠位対物レンズアセンブリはアウターチューブ内に配置される。遠位対物レンズアセンブリに対してイメージセンサを回転させるための、場合によっては近位対物レンズアセンブリも回転させるためのトルクが、インナーチューブによって伝達される。インナーチューブはアウターチューブ内に配置されており、そしてフレームに連結されている。フレームはイメージセンサを保持しており、場合により近位対物レンズアセンブリも保持する。
インナーチューブとアウターチューブは近位端で、軸受によって相互に支持される。軸受は、アウターチューブの近位端に固定される軸受スリーブ内に配置される。
そして本実施形態のビデオ内視鏡は、アウターチューブ及び軸受スリーブが結合部分(第1及び第2の結合部分で相互に同軸的に係合する)を有するという事実によって区別される。アウターチューブと軸受スリーブの結合部分の第1部分には、シャフトの長手方向軸と平行して延在する切り欠きが少なくとも2つあり、アウターチューブと軸受スリーブの結合部分の第2部分には、第1の結合部分へ向かって延在して切り欠きに係合する、少なくとも2つの弾性突起がある。
【0016】
第1の結合部分の弾性突起はそれぞれ第2の結合部分の切り欠きに弾性的に係合するので、結合部の遊びを著しく低減させる。同時に、接続(箇所)における軸方向の滑り運動が確保される。
【0017】
本発明が定めるところの対物レンズアセンブリは、対物レンズの少なくとも一つの光学素子を備えるビデオ内視鏡のアセンブリとして理解されている。対物レンズアセンブリは、非光学素子(例えば機械式フレーム、電磁アクチュエータ、軸受等)を備えることもできる。
【0018】
生産上の技術的な理由のために、インナーチューブ及び/又はアウターチューブの結合領域に突起を設け、フレーム及び/又は軸受スリーブの結合部分上に切り欠きを設けることは有利である。しかし、切り欠きがインナーチューブ及び/又はアウターチューブの結合領域に設けられ、突起がフレーム及び/又は軸受スリーブの結合部分上に設けられた、逆の実施例も同様に可能である。
【0019】
上述した本発明の態様は、個別に、又はまとめてビデオ内視鏡に用いられてもよい。
【0020】
本発明の見込みのある1つの実施例では弾性突起は、インナーチューブ及び/又はアウターチューブから切り取られる可撓性舌状部でもよい。この場合、それぞれの突起を形成することは特に容易である。可撓性舌状部を作成するためには、例えばレーザー光線を用いて、開いた輪郭の切り込みをチューブに入れる。この方法では、切り取られた可撓性舌状部のベース部(付け根部分)はチューブとつながったままである。可撓性舌状部がチューブの輪郭から偏位して静止するように、可撓性舌状部は可塑的に変形する。
【0021】
可撓性舌状部は好適には、対物レンズアセンブリ及び/又は軸受スリーブに組み込まれるときに、そのベース部がまず対物レンズ側及び/又は軸受スリーブ側の結合部分に入っていくように、切り込みが入れられる。この方法では対物レンズ側及び/又は軸受スリーブ側の結合部分で可撓性舌状部を偏向させ、それから可撓性舌状部は切り欠き内にはね返る。
【0022】
本発明の好ましい実施例によれば、可撓性舌状部を台形構造としてもよい。本発明が定めるところの台形構造とは、可撓性舌状部のチューブとつながっているベース部から先端部に向かって、可撓性舌状部の幅が減少する構造であり、この先端部は可撓性舌状部のばね力に抗して移動自在である。
【0023】
このような方法で設計される可撓性舌状部は、まずその先端部から切り欠きに入ってもいい。それから可撓性舌状部は、可撓性舌状部の幅が切り欠きとの接触点で切り欠きの幅と正確に一致するまで、可撓性舌状部のばね力によって切り欠きの方に押し込まれる。これにより、遊びのない結合が確実となる。
【0024】
本発明の見込みのある1つの実施例では、各突起が切り欠きに係合するように、切り欠きの数と突起の数とは同じであってもよい。トルクを確実に均一に伝達するために、突起及び切り欠きは、例えば2つを180度毎の配置で、もしくは3つを120度毎の配置で結合部分の円周全体に、均一に分散させられる。
【0025】
本発明の見込みのある他の実施例では、突起の数は切り欠きの数より多くてもよい。好適な本発明の別の実施例では、余剰分の突起により、アウターチューブと軸受スリーブとの間で電気的接触を形成することができる。
【0026】
このことは、アウターチューブ及び軸受スリーブが同時に電磁シールドとして作用する場合、特に意味がある。この場合、接続点での良好な電気的接触が必要とされるが、突起と切り欠きの接触面が小さい場合は保証されない。
【0027】
本発明が定めるところのインナーチューブは、少なくとも一つの更なるチューブの中に配置されるチューブである。しかしインナーチューブは、ビデオ内視鏡の最内層のチューブである必要はない。インナーチューブを、ビデオ内視鏡の回転スイベルに電磁結合を介して接続させてもよい。そして、イメージセンサの方向はこの電磁結合によって、ビデオ内視鏡を回転させても一定に保たれる。
【0028】
本発明の定めるところのアウターチューブは、少なくとも一つのチューブが内部に更に配置されるチューブである。アウターチューブは、ビデオ内視鏡の最外層のチューブである必要はない。アウターチューブはビデオ内視鏡のシャフトに回動可能に結合されるので、ビデオ内視鏡がシャフトの長手方向軸を中心に回転するときに、近位の対物レンズアセンブリと一緒に回転することができる。
【0029】
本発明は以降で、いくつかの例示的な表現により、さらに詳細に説明される。これらの表現は、本発明の理解を深めることを目的とし、本発明の全体的な概念を限定することはしない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ビデオ内視鏡
図2】ビデオ内視鏡の遠位端
図3】ビデオ内視鏡の近位端
図4】切り取られた可撓性舌状部を有するチューブ
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1はビデオ内視鏡1を示す。ビデオ内視鏡1は、遠位端3及び近位端4を有する長尺のシャフト2を備える。シャフト2の近位端4にはハンドル5が配置される。そしてこのハンドル5により、ビデオ内視鏡1を手に持ち、操作することができる。
【0032】
シャフト2の遠位端3には、対物レンズ(図示なし)が配置され、その視野方向は矢6の方向を示す。ビデオ内視鏡1を回転させることによって、対物レンズの視野方向は、その長手方向軸を中心に回転させることができる。回転スイベル7は、ビデオ内視鏡1が取得する画像の水平位置の制御に関与する。ビデオ内視鏡1によって生成される映像信号は、ケーブル8を介して送られる。
【0033】
シャフト2の遠位端3の内部構造は、図2において更に詳細に示される。外側の被覆管(アウターチューブ)10と、被覆管10に偏心させて配置されるファイバーチューブ11との間に、ファイバーオプティックス12が配置され、このファイバーオプティックス12により、ビデオ内視鏡1の視野が照らされる。ファイバーチューブ11の遠位端は窓部13によって閉じられ、窓部13がファイバーチューブ11内に気密封止された状態で挿入されている。
【0034】
窓部13に近い、ファイバーチューブ内には、遠位対物レンズアセンブリ15が設けられている。遠位対物レンズアセンブリ15は複数の光学素子16、17、18、19から成っており、アウターチューブ20に収容されている。光学素子16、17、18、19は本明細書に示される例では、1枚のメニスカスレンズ16と、2つのプリズム17、18と、1枚の収束レンズ19である。遠位対物レンズアセンブリより近位に、半径方向かつ軸方向に作用する軸受21が設けられており、近位対物レンズアセンブリ25を支持する。近位対物レンズアセンブリは光学素子26、27を順に含み、これらはフレーム28で受けられる。示される例では、光学素子26、27は2枚のレンズであり、この2枚のレンズによりアクロマート(色収差補正レンズ)が形成される。
【0035】
遠位対物レンズアセンブリ15と近位対物レンズアセンブリ25とにより、ビデオ内視鏡1の対物レンズが形成される。
【0036】
電子イメージセンサ30も同様にフレーム28内に配置される。電子イメージセンサ30は、対物レンズが生成する画像を電気信号に変換し、この電気信号は、ケーブル31介してビデオ内視鏡1の近位端の方に送られる。
【0037】
ビデオ内視鏡1がシャフト2の長手方向軸を中心に回転するとき、画像の水平位置を維持するために、近位対物レンズアセンブリ25はイメージセンサと一緒に、遠位対物レンズアセンブリ15に対して回転することができる。このため、インナーチューブ35はフレーム28に回動可能に固定され、軸方向に摺動可能に接続される。
【0038】
インナーチューブ35は、フレーム28の結合部分37の結合部分36と同軸的に係合する。フレーム28の結合部分37には切り欠き38が設けられており、ここにインナーチューブ35の弾性突起が係合する。この弾性突起は可撓性舌状部39である。可撓性舌状部39は、インナーチューブ35から切り取られ、それから可塑的に外側に向けて予め曲げられる。インナーチューブ35をフレーム28に取り付けるには、可撓性舌状部39は内部へ弾性的に曲げられ、その後、切り欠き38内にはね返る。
【0039】
図示した実施例に対する変形例では、フレーム28は弾性突起を備えることができ、これがインナーチューブ35の切り欠きに係合する。
【0040】
確実にフレーム28と一緒にインナーチューブ35を遊びのなく回転運動させるために、可撓性舌状部39は台形の断面を有する。すなわち、近位から遠位方向へテーパーがつけられている。可撓性舌状部39の最大幅は切り欠き38の幅より大きい。この場合、可撓性舌状部39が切り欠き38と遊びなく接するまで、可撓性舌状部39は切り欠き38内に入っていく。
【0041】
遠位対物レンズアセンブリと近位対物レンズアセンブリの間で軸の遊びがないように、ばね40は軸受21に対してフレーム28を押圧する。そのため、ばね40は、アウターチューブの肩部41により支持される。更なる軸受42を、ばね40とフレーム28との間に設けてもよい。軸受21、42は、好適にはセラミックのすべり軸受である。
【0042】
インナーチューブ35はフレーム28内で軸方向に移動可能であるので、インナーチューブ35を介して伝達されるかもしれない惰性(慣性)による軸力が軸受21、42に作用するのを防ぐ。
【0043】
図3は、ビデオ内視鏡1の近位部分の一部を示す。この部分では、アウターチューブ20とインナーチューブ35は、半径方向に作用する軸受45によって、相互に支持されている。
【0044】
軸受45は軸受スリーブ46内に固定され、次に軸受スリーブ46はアウターチューブ20の近位端に固定される。フレーム28がインナーチューブ35に固定されるのと同じように、軸受スリーブ46はアウターチューブ20に固定される。このために軸受スリーブ46は切り欠き47を有し、この切り欠き47はアウターチューブ20の弾性突起と係合する。示される例では、アウターチューブの突起は可撓性舌状部48である。可撓性舌状部48はアウターチューブから切り取られ、可塑的に外側に向けて予め曲げられる。アウターチューブ20を軸受スリーブ46に挿入するには、可撓性舌状部が切り欠き47に跳ね返るように、弾性的に可撓性舌状部を内部へ曲げる。確実に遊びなく接続させるために可撓性舌状部48は台形形状であってもよい。
【0045】
軸受スリーブ46と重なるアウターチューブ20の領域は、それぞれの結合領域51、52を形成する。
【0046】
図示した実施例に対する変形例として、軸受スリーブ46は、アウターチューブ20の切り欠きに係合する弾性突起を備えることができる。
【0047】
ここに示した例ではアウターチューブ20は、イメージセンサ30ならびにケーブル31の電磁シールドとして役立つ。磁界の偏向は、軸受スリーブ46によって発生する。そしてこれが、アウターチューブ20と軸受スリーブ46が良好な電気的接触を有しなければならない理由である。この種の接触は、可撓性舌状部48と切り欠き47との接触面が小さい場合は供給(保証)されない。
【0048】
電気的接触を生じさせるために、更に、可撓性舌状部49がアウターチューブ20から切り取られ、可塑的に外側に向けて予め曲げられる。しかしこの可撓性舌状部49は切り欠きに係合しないが、軸受スリーブ46の内面を押圧する。これにより、簡単に安全な接触が提供される。
【0049】
可撓性舌状部49及び/又は軸受スリーブ46の内面には金メッキを施すか、より良好に接触するよう、その他の接触促進材料でコーティングしてもよい。
【0050】
磁石50は、軸受45よりもインナーチューブの近位に配置される。この磁石50は電磁結合の部品であるが、更に詳細には示されない。インナーチューブ35は電磁結合によって、アウターチューブ20に対して回転することができる(例えば回転スイベル7によって)。
【0051】
図4にはチューブ100が示されており、この外形は、可撓性舌状部101が切り取られたものである。これはアウターチューブであってもインナーチューブであってもよい。
【0052】
上記の例示的な実施形態において、チューブが対物レンズアセンブリ及び/又は軸受スリーブの結合部分に挿入されるように、接続(部分)が示されている。チューブが対物レンズアセンブリ及び/又は軸受スリーブに重なるように、もちろん、チューブの直径をより大きくしてもよい。この場合はもちろん、可撓性舌状部を内側に向けて予め曲げておかなければならない。
図1
図2
図3
図4