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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】発電装置及び発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20220124BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20220124BHJP
   H02N 3/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
H02N11/00 A
H01L35/30
H02N3/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021100898
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2021-06-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520155099
【氏名又は名称】石村 憲之
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100202957
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】石村 憲之
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-039937(JP,A)
【文献】特開2018-099007(JP,A)
【文献】特開2003-086223(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180131(WO,A1)
【文献】特開平02-238104(JP,A)
【文献】特開2020-143670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/30
H02N 3/00
F03G 7/00
F01K 23/04,25/10
C25B 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを有する気体が第1の方向に進む熱交換室と、
冷媒が、前記第1の方向と直交する面内に、リング状の経路を含む経路で前記熱交換室の内部を進む前記気体と熱透過壁を介して熱的に接して流れる配管と、
前記配管を流れる前記冷媒を減圧する減圧器と、
前記配管を流れる前記冷媒が前記気体から前記熱エネルギーを受け取り、減圧による前記冷媒の温度差に基づいて発電する経路内発電セルと、を備える、
発電装置。
【請求項2】
熱エネルギーを有する気体が第1の方向に進む熱交換室を備える復水器において前記熱エネルギーから発電する発電方法であって、
冷媒を、配管の内部において、前記第1の方向と直交する面内に、リング状の経路を含む経路で前記熱交換室の内部を進む前記気体と熱透過壁を介して熱的に接して流すことと、
前記冷媒を減圧器で減圧することと、
前記配管を流れる前記冷媒が前記気体から前記熱エネルギーを受け取り、減圧による前記冷媒の温度差に基づいて、経路内発電セルに発電させることと、を含む、
発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置及び発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電又は原子力発電においては、石油、石炭などの化石燃料を燃焼させ、又はウラン、プルトニウムなどの核燃料を核分裂させて高温・高圧の水蒸気を発生させ、発電機に接続されているタービンを回すことにより発電が実現されている。
【0003】
このような発電においては、安定した発電を継続するため、水蒸気は、温度の低い冷却水で冷却され、液体の水に戻された上で再利用される。従来の発電では、冷却水の温度を上げることに使われた水蒸気の熱エネルギーは、通常、利用されずに捨てられる。
【0004】
特許文献1には、火力発電所に設置される復水器の一例が記載されている。一般的な火力発電所又は原子力発電所は、数十万キロワットから数百万キロワットの発電能力を有するため、復水器において回収されない熱エネルギーも膨大なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-113219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された蒸気配管路は、タービンを通った後の蒸気を加熱するヒータを備える。この技術は、火力発電所において、蒸気をヒータで加熱してボイラーに戻すことによって、熱効率を高めようとするものである。
【0007】
特許文献1に記載された技術においても、蒸気が有する熱エネルギーのうち発電に用いられないものが比較的多く残っているため、熱エネルギーを効率的に利用できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、捨てられる熱エネルギーを効率的に利用することのできる発電装置及び発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の1つの観点に係る発電装置は、
熱エネルギーを有する気体が第1の方向に進む熱交換室と、
冷媒が、前記第1の方向と直交する面内に、リング状の経路を含む経路で前記熱交換室の内部を進む前記気体と熱透過壁を介して熱的に接して流れる配管と、
前記配管を流れる前記冷媒を減圧する減圧器と、
前記配管を流れる前記冷媒が前記気体から前記熱エネルギーを受け取り、減圧による前記冷媒の温度差に基づいて発電する経路内発電セルと、を備える。
【0010】
また、本発明の別の観点に係る発電方法は、
熱エネルギーを有する気体が第1の方向に進む熱交換室を備える復水器において前記熱エネルギーから発電する発電方法であって、
冷媒を、配管の内部において、前記第1の方向と直交する面内に、リング状の経路を含む経路で前記熱交換室の内部を進む前記気体と熱透過壁を介して熱的に接して流すことと、
前記冷媒を減圧器で減圧することと、
前記配管を流れる前記冷媒が前記気体から前記熱エネルギーを受け取り、減圧による前記冷媒の温度差に基づいて、経路内発電セルに発電させることと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、捨てられる熱エネルギーを効率的に利用することのできる発電装置及び発電方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る発電装置を含む火力発電所の概略図である。
図2図1に示す発電装置の詳細な説明図である。
図3】(A)は図2に示す熱交換器のAA’断面図であり、(B)は(A)に示す熱交換器のG部を拡大した図である。
図4】(A)は図2に示す発電セルの斜視図であり、(B)は(A)のCC’断面図であり、(C)は(A)のDD’断面図である。
図5】変形例に係る発電セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
以下に、本発明の一つの実施の形態に係る発電装置1を、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(発電装置1の全体的な説明)
図1に示すように、発電装置1は、火力発電所TPSの復水器DCとして用いられるものである。
【0015】
火力発電所TPSのボイラーBLは、石油、石炭などの化石燃料FFを燃焼させ、液体の水LWを加熱する。加熱された液体の水LWは、状態変化して高温・高圧の水蒸気VPとなり、タービンTBを回す。これにより、タービンTBに接続された発電機PGがタービンTBの回転による運動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う。
【0016】
高温・高圧の水蒸気VPが有していた熱エネルギーの大部分は、タービンTBを回転させることに消費される。しかし、タービンTBを回転させた後の水蒸気VPは、まだ利用可能なエネルギーを保持している。
発電装置1は、水蒸気VPが熱交換器11a~11fを通過して液体の水LWに状態変化する過程で、水蒸気VPが保持しているエネルギーを電気エネルギーに変換するものである。なお、液体の水LWは、再びボイラーBLに供給され、火力発電所TPS内を循環する。
【0017】
(蓄電装置2の全体的な説明)
蓄電装置2は、発電装置1が発電した電力を蓄える装置である。蓄電装置2は、ポンプ21、蓄電池22及び制御回路23を備える。
熱交換器11a~11fを動作させるため、発電装置1と蓄電装置2は、配管P及び配線Wを介して接続されている。ポンプ21は、後述する発電流体を循環させるため、配管P内の発電流体に圧力をかける。蓄電池22は、熱交換器11a~11fによって得られた電気エネルギーを蓄えるものである。また、蓄電池22は、ポンプ21とも接続され、発電流体に圧力を加えるための電力を供給する。制御回路23は、蓄電池22と接続されており、充放電を制御する。また、制御回路23は、ポンプ21とも接続されており、発電流体に加える圧力を変化させる。制御回路23は、レギュレータを備えており、後述する突端発電セル18とリング間発電セル17の種類に応じて異なる電圧を揃えて蓄電池22に供給して充電を行う。
【0018】
(発電装置1の詳細)
次に、水蒸気VPの温度と発電装置1の各部の関係を示す図2を参照して、発電装置1の詳細を説明する。
発電装置1は、リング状の熱交換器11a~11fを上下方向に積み重ねたものである。発電装置1は、水蒸気VPに、熱交換器11a~11fを循環する発電流体との間で熱交換させて、上下方向に隣接する各熱交換器11a~11f間の温度差を利用して発電する。
以下、上方向をZ方向とする。また、図2で定義した図面手前方向をX方向、図面右方向をY方向とする。
【0019】
発電装置1内部には熱透過壁14としての円筒面CSが設けられている。熱透過壁14は、熱交換器11a~11fで連続しており、熱透過壁14によって囲まれた区画は熱交換室13となっている。熱交換器11a~11fの周囲は、Y方向に突出する部分を除いて、断熱壁19によって囲まれている。水蒸気VPは、円筒面CSの内側を、破線で示す-Z方向に進む。円筒面CSの入口と出口、すなわち、+Z方向と-Z方向の端部には、発電装置1の分解、点検、補修等をしやすくするフランジ20が形成されている。
【0020】
-Z方向に進むにつれて、水蒸気VPは、熱交換器11a~11fを循環する発電流体との間で熱交換をし、言い換えれば、発電流体によって冷やされて、温度が低下する。水蒸気VPは、タービンTBを通過した直後においては、比較的高圧でも気体を維持する温度、例えば600℃を超える温度を保っている。水蒸気VPは、最終的には、100℃未満の温度にまで下げられる。
【0021】
まず、最上層の熱交換器11aは、600℃の水蒸気VPが通る区画を含み、600℃の水蒸気VPの温度を500℃まで下げる。
熱交換器11aの下にある熱交換器11bは、500℃の水蒸気VPが通る区画を含み、500℃の水蒸気VPの温度を400℃まで下げる。
熱交換器11bの下にある熱交換器11cは、400℃の水蒸気VPが通る区画を含み、400℃の水蒸気VPの温度を300℃まで下げる。
熱交換器11cの下にある熱交換器11dは、300℃の水蒸気VPが通る区画を含み、300℃の水蒸気VPの温度を200℃まで下げる。
熱交換器11dの下にある熱交換器11eは、200℃の水蒸気VPが通る区画を含み、200℃の水蒸気VPの温度を100℃まで下げる。
最下層の熱交換器11fは、100℃の水蒸気VPが通る区画を含み、100℃の水蒸気VPの温度を100℃を下回る温度まで下げる。熱交換器11fにおいては、水蒸気VPの温度は100℃を下回るため、水蒸気VPは液体の水LWに状態変化する。
【0022】
(熱交換器11a~11f)
次に、図3(A)を参照して、熱交換器11aを例として、熱交換器11aの構造、及び発電流体PFが熱交換器11a~11fの内部を循環する過程を説明する。
熱交換器11aは、発電流体PFが循環するリング状の閉じた発電流体配管12cを備える。この発電流体配管12cは、Y方向に突出する部分である突端部12dを有し、+Y方向と-Y方向のそれぞれの突端部12dの末端において折り返されている。また、左右の突端部12dには、それぞれ、発電流体の圧力を下げて温度を下げる減圧器12a、12bが接続されている。発電流体配管12cは、熱交換器11a内で、閉じた経路を形成している。発電流体PFは、前述したポンプ21によって、発電流体配管12c内を循環させられる。
【0023】
突端部12dには、突端発電セル18が配置されている。発電流体配管12cは突端発電セル18を貫いている。また、配管が折り返されている部分の直前に、リング間発電セル17が配置されている。リング間発電セル17は、熱交換器11aと熱交換器11bとの間に挟まれて配置されている。突端発電セル18及びリング間発電セル17については、詳しくは後述する。
【0024】
熱交換器11b~11fも熱交換器11aと同様の構造を有している。
熱交換器11a~11fの配管内を循環する間、発電流体PFの温度は、上昇と下降を繰り返す。例えば、熱交換器11aにおいて減圧器12a、12bを通る前の発電流体PFの温度が0℃であるとすると、熱透過壁14を介して発電流体PFは水蒸気VPから熱を得て、減圧器12a、12bの直前における発電流体PFの温度は0度より高くなる。
このため、発電流体配管12cを通る直前と直後で、発電流体PFには温度差が生じている。突端発電セル18は、この温度差を利用して発電を行う。
【0025】
発電流体PFが水蒸気VPから受け取る熱量は、温度差に応じたものになるため、各熱交換器11a~11fにおいて、発電流体PFの最高温度は、例えば、120℃、100℃、80℃、60℃、40℃、20℃となる。このため、上下の隣接する熱交換器11aと11b、熱交換器11bと11c等の間においても、発電流体PFには温度差が生じている。
リング間発電セル17は、この温度差を利用して発電を行う。
【0026】
(発電流体PF)
発電流体PFは、以下で説明する酸化還元対とイオン液体を含む。酸化還元対は、水蒸気VPが液体と気体の間で状態変化をする温度の範囲で酸化又は還元される化合物である。
【0027】
酸化還元対は、例えば、CoII(bpy)(NTfとCoIII(bpy)(NTfとを含む。
bpyは、2,2’-ビピリジン(2,2'-bipyridine)である。NTfは、ビストリフルオロメチルスルホニルアミド(bis(trifluoromethylsulfonyl)amide)である。
【0028】
イオン液体は、例えば、[Cmim][NTf]である。
mimは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(1-ethyl-3-methylimidazolium)である。
【0029】
(突端発電セル18)
図3(B)を参照して、突端発電セル18の詳細を説明する。
発電流体PFは、矢印で示した経路で、突端発電セル18の内部を流れる。
具体的には、まず、発電流体PFは、流体流入口18dから流入し、発電流体配管12cの内部を、陽極18aに沿って、図面向かって右から左へ流れる。前述したように、突端部12dの直前においては、発電流体PFの温度は高く、突端部12dの直後においては、発電流体PFの温度は低い。
突端部12dの内壁にぶつかると、発電流体PFはX方向に流れを変え、陰極18bの下側に回り込み、陽極18aとは反対側をY方向に流れる。
最後に、発電流体PFは、流体流出口18eから出て図3(A)に示した発電流体配管12cに戻る。
【0030】
(リング間発電セル17)
リング間発電セル17は、突端発電セル18と同様の内部構造を有する。以下、突端発電セル18と異なる部分を中心に説明する。
【0031】
図4(A)~(C)に、熱交換器11aと熱交換器11bとの間に配置されているリング間発電セル17を示す。
図4(A)、(B)に示すように、リング間発電セル17は、陽極17aと陰極17bを備える。図4(A)に示したように、陽極17aはリング間発電セル17の上面に配置されている。図4(B)に示したように、陰極17bは発電流体を囲むチャンバ17cの内部で突出している。図4(C)に示すように、陰極17bはチャンバ17c内に広がっているが、陽極17aと接触していない。流体流入口17dと流体流出口17eには、配管Pが接続されている。
【0032】
発電流体PFは、図4(B)において矢印で示した経路で、リング間発電セル17の内部を流れる。
具体的には、まず、発電流体PFは、流体流入口17dから流入し、チャンバ17cの下部を図面向かって右から左へ流れる。リング間発電セル17の上面と下面は、高い温度の熱交換器11aと低い温度の熱交換器11bとそれぞれ接している。このため、チャンバ17cの下部を流れる発電流体PFは、熱交換器11bによって冷やされて熱エネルギーを奪われる。
続いて、チャンバ17cの内壁にぶつかると、発電流体PFは上向きに流れを変え、陰極17bとチャンバ17cの隙間を通ってチャンバ17c内の上側に達し、陽極17a付近を図面向かって左から右へ流れる。
その後、チャンバ17cの上部を流れる発電流体PFは、温度の高い熱交換器11aに温められて熱エネルギーを受け取る。
最後に、発電流体PFは、流体流出口17eから出て図3(A)に示した発電流体配管12cに戻る。
【0033】
発電流体PFは、高温で還元され、低温で酸化される性質を有するから、陽極17a、18aに近い側では、還元された発電流体PFの割合が酸化された発電流体PFの割合よりも高く、陰極17b、18bに近い側では、還元された発電流体PFの割合が酸化された発電流体PFの割合よりも高い。
なお、図3(B)、図4(B)に示した破線は、酸化された発電流体PFと還元された発電流体PFの割合が等しい領域の境界BDを例示したものである。境界BDより上側では、酸化された発電流体PFが還元された発電流体PFより多く、境界BDより下側の領域では、還元された発電流体PFが酸化された発電流体PFより多い。
【0034】
発電流体PFは、還元される際に、陽極17a、18aから電子を奪い、酸化される際に、陰極17b、18bに電子を渡すため、陽極17a、18aと陰極17b、18bとの間に電位差が発生する。
このようにして陽極17a、18aと陰極17b、18bとの間に生じた電位差は、配線Wを通して接続された蓄電池22に蓄えられる。
【0035】
突端発電セル18は、請求項における経路内発電セルの一例であり、リング間発電セル17は、請求項における経路間発電セルの一例である。
突端発電セル18は、熱交換器11a~11fの全てに配置されていてもよく、そのうちの一部に配置されていてもよい。突端発電セル18は、発電流体PFに温度差が生じる部分であって、突端部12d以外の部分に配置されていてもよい。
リング間発電セル17は、隣接する全ての熱交換器11a~11fの間に配置されていてもよく、そのうちの一部にのみ配置されていてもよい。リング間発電セル17は、熱交換器11a~11fのうち、隣接しないもの同士の間に配置されていてもよい。
発電装置1は、リング間発電セル17と突端発電セル18の何れか一方を備えなくてもよい。
【0036】
発電流体PFの成分及び添加物は、温度付近の温度で活発に酸化還元反応を行うものに最適化されている。
熱エネルギーを有する水蒸気VPは、エネルギー源の一例である。
熱交換器11aの発電流体配管12cは第1の配管の一例であり、その発電流体配管12cの経路は第1の経路の一例であり、その経路を流れる発電流体PFは第1の冷媒の一例である。
熱交換器11bの発電流体配管12cは第2の配管の一例であり、その発電流体配管12cの経路は第2の経路の一例であり、その経路を流れる発電流体PFは第2の冷媒の一例である。
【0037】
図1に示したポンプ21は、蓄電池22に蓄えられたエネルギーを用いて、発電流体PFを循環させる。ポンプ21は、図1においては蓄電装置2に設けられているが、発電流体配管12cが閉じた経路を形成している熱交換器11a~11fのそれぞれに設けられていてもよい。発電装置1又は蓄電装置2以外の装置がポンプ21を備えていてもよい。
リング間発電セル17及び突端発電セル18によって生成された電気エネルギーは、蓄電池22に蓄積される。蓄積されたエネルギーの少なくとも一部は、ポンプ21に供給されて、発電流体PFを循環させるエネルギーとして用いられる。
【0038】
図1に示したボイラーBLが水蒸気VPを加熱する限り、リング間発電セル17及び突端発電セル18は発電を行うため、蓄電池22に電気エネルギーが供給され、ポンプ21にも電力が供給される。このようにして、リング間発電セル17及び突端発電セル18による発電と、生成された電気エネルギーの蓄電池22への蓄積、蓄積されたエネルギーの一部のポンプ21への供給が繰り返される。
【0039】
蓄電池22に蓄積されたエネルギーを外部に取り出して、図示しない負荷の運転に用いることができる。
なお、蓄電池22を介さず、直接蓄電装置2から電力を取り出して負荷に供給してもよい。
【0040】
(発電装置1の効果)
発電装置1は、突端発電セル18及びリング間発電セル17の両方を利用して水蒸気VPが有する熱エネルギーを回収する。このため、突端発電セル18とリング間発電セル17の何れか一方しか用いない場合に比べて、水蒸気VPが有する熱エネルギーを効率的に利用することができる。
【0041】
また、発電装置1によれば、従来の火力発電所において、復水器DCを循環する冷却水によって奪われていた熱エネルギーを回収することができる。
このため、発電装置1によれば、冷却水に熱エネルギーを捨てることになる場合、例えば、特許文献1に示した技術に比べて、より多くのエネルギーを回収することができ、高いエネルギー効率を達成することができる。
【0042】
その上、リング間発電セル17は、熱交換器11a~11fの間に設けられているため、比較的小さい温度差から発電することができる。このため、発電装置1によれば、発電流体PFの温度変化に起因するエネルギーの損失を小さくすることができる。
また、リング間発電セル17を備えることにより、発電装置1によれば、リング間発電セル17を備えない場合に比べて、減圧器12a、12bへの負荷を軽減することができる。
【0043】
なお、上記の説明においては、熱交換器11a~11fは、それぞれ2つの減圧器12a、12bを備えるものとしたが、減圧器12a、12bの数は、3以上であってもよい。
【0044】
また、本発明の応用は、火力発電所TPSに限られない。本発明は、例えば、より小さな発電所、小規模なプラント、温暖な地域を走行する自動車に取り付けた空冷ダクトなどに応用されてもよい。
【0045】
(変形例)
発電装置1は、発電流体を循環させて発電を行うものであるが、発電を行う素子は、発電流体を用いるものに限られず、固体素子でもよい。
変形例に係る発電セル117は、固体素子によって発電を行うものである。
以下、発電装置1のリング間発電セル17又は突端発電セル18と異なる部分について説明する。
【0046】
図5に示す発電セル117は、固体素子であるペルチェ素子である。発電セル117は、陽極117a及び陰極117bを含む。ペルチェ素子は、板状に形成された素子の両面の温度差に基づいて電気エネルギーを発生させる素子であり、電気エネルギーは、陽極117a及び陰極117bを介して取り出される。
【0047】
発電セル117においては、リング間発電セル17又は突端発電セル18と異なり、発電流体を循環させる必要がない。このため、発電セル117には、配管Pは接続されない。
配管Pが接続されないため、発電セル117をリング間発電セル17及び突端発電セル18よりも小さくすることができ、発電セル117を含む発電装置1全体をより小さくすることができる。
【0048】
以上説明したように、本発明は、従来利用しなかったエネルギーを利用するものである。
このため、本発明は、二酸化炭素を排出することとなる火力発電による電力需要を減らすことにつながり得る点で、環境に優しく、持続可能な開発目標の達成に寄与するものである。
【0049】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0050】
1 発電装置
2 蓄電装置
11a~11f 熱交換器
12a、12b 減圧器
12c 発電流体配管
12d 突端部
13 熱交換室
14 熱透過壁
17 リング間発電セル
17a、117a、18a 陽極
17b、117b、18b 陰極
17c チャンバ
17d、18d 流体流入口
17e、18e 流体流出口
18 突端発電セル
19 断熱壁
20 フランジ
21 ポンプ
22 蓄電池
23 制御回路
117 発電セル
BD 境界
BL ボイラー
CS 円筒面
DC 復水器
FF 化石燃料
LW 液体の水
P 配管
PF 発電流体
PG 発電機
TB タービン
TPS 火力発電所
VP 水蒸気
W 配線
【要約】
【課題】捨てられる熱エネルギーを効率的に利用することのできる発電装置及び発電方法を提供する。
【解決手段】発電装置1は、発電流体が第1の経路で流れる熱交換器11aの第1の配管と、第1の配管を流れる発電流体が、水蒸気VPからエネルギーを受け取る前後の温度差に基づいて発電する突端発電セル18と、熱交換器11aに隣接する熱交換器11bの発電流体が第2の経路で流れる第2の配管と、第1の配管を流れる発電流体の温度と第2の配管を流れる発電流体の温度との差に基づいて発電するリング間発電セル17と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5