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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-21
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】ウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20220124BHJP
   E05F 11/38 20060101ALI20220124BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
E05F11/48 B
E05F11/48 D
E05F11/38 G
B60J1/17 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021130949
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2021-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 秀明
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165087(JP,A)
【文献】特開2018-084114(JP,A)
【文献】特開2019-112803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/38
E05F 11/48
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスを支持するキャリアプレートと、
前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられ、前記キャリアプレートを摺動自在に支持するガイドレールと、
前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、
前記ガイドレールの前記昇降方向の一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、
前記ガイドレールの前記昇降方向の他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、を備え、
前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部における前記昇降方向に直交する方向の端部から前記キャリアプレート側に立設され、前記キャリアプレートを摺動自在に支持する側板部と、を有し、
前記方向転換部と前記キャリアプレートとの間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレールから外れた位置に位置し、
前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤは、前記平板部上に位置し、前記平板部に押圧接触することを特徴とするウインドレギュレータ
【請求項2】
前記キャリアプレートは、前記平板部に面して配設され、
前記キャリアプレートには、前記平板部上の前記ワイヤを避ける切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウインドレギュレータ。
【請求項3】
車両の窓ガラスを支持するキャリアプレートと、
前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられ、前記キャリアプレートを摺動自在に支持するガイドレールと、
前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、
前記ガイドレールの前記昇降方向の一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、
前記ガイドレールの前記昇降方向の他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、を備え、
前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部における前記昇降方向に直交する方向の端部から前記キャリアプレート側に立設され、前記キャリアプレートを摺動自在に支持する側板部と、を有し、
前記方向転換部と前記キャリアプレートとの間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレールから外れた位置に位置し、
前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレール上に位置し、前記車両の車幅方向における前記側板部の基端の位置で前記ガイドレールに押圧接触することを特徴とするウインドレギュレータ。
【請求項4】
前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤは、前記平板部上に位置していることを特徴とする請求項3に記載のウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドレギュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤ駆動式のウインドレギュレータとして、駆動部がガイドレールの下端部に配設されたウインドレギュレータがある(特許文献1参照)。このウインドレギュレータは、車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、ガイドレールと摺動して窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、キャリアプレートを牽引する上昇側ワイヤ(上昇側ケーブル)及び下降側ワイヤ(下降側ケーブル)と、ガイドレールの下端部に固定された駆動部と、ガイドレールの上端部に配置された方向転換部(方向転換部材)と、ガイドレールの長手方向中央部に設けられ、駆動部と方向転換部材との間に配索された上昇側ワイヤを支持するワイヤ支持部(ケーブル支持部)と、を含んでいる。このウインドレギュレータでは、ワイヤ支持部を設けたことで、駆動部と方向転換部との間に配索された上昇側ワイヤがドアパネルに接触するのを防止することができると共に、ドアの開閉時に当該上昇側ワイヤにおいて異音(振動音)が発生するのを防止することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-203272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のウインドレギュレータでは、ワイヤ支持部を設けたことで、部品点数が増加し、ウインドレギュレータの構成が複雑になってしまうという問題があった。ウインドレギュレータの構成が複雑になると、ウインドレギュレータのコストが増加し、ウインドレギュレータの重量も増加してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、駆動部と方向転換部との間に配索されたワイヤを、簡単な構成で支持することができるウインドレギュレータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両の窓ガラスを支持するキャリアプレートと、前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられ、前記キャリアプレートを摺動自在に支持するガイドレールと、前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、前記ガイドレールの前記昇降方向の一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、前記ガイドレールの前記昇降方向の他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、を備え、前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部における前記昇降方向に直交する方向の端部から前記キャリアプレート側に立設され、前記キャリアプレートを摺動自在に支持する側板部と、を有し、前記方向転換部と前記キャリアプレートとの間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレールから外れた位置に位置し、前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤは、前記平板部上に位置し、前記平板部に押圧接触することを特徴とするウインドレギュレータを提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、車両の窓ガラスを支持するキャリアプレートと、前記窓ガラスの昇降方向に沿って設けられ、前記キャリアプレートを摺動自在に支持するガイドレールと、前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、前記ガイドレールの前記昇降方向の一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、前記ガイドレールの前記昇降方向の他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、を備え、前記ガイドレールは、前記昇降方向に延在する平板部と、前記平板部における前記昇降方向に直交する方向の端部から前記キャリアプレート側に立設され、前記キャリアプレートを摺動自在に支持する側板部と、を有し、前記方向転換部と前記キャリアプレートとの間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレールから外れた位置に位置し、前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤは、前記ガイドレール上に位置し、前記車両の車幅方向における前記側板部の基端の位置で前記ガイドレールに押圧接触することを特徴とするウインドレギュレータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るウインドレギュレータは、駆動部と方向転換部との間に配索されたワイヤを、簡単な構成で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ、及び、ウインドレギュレータが設けられた車両用ドアを示した全体概略図である。
図2】ウインドレギュレータ及びインナーパネルを示した側面図である。
図3】(a)は、窓ガラスの全閉状態におけるウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、窓ガラスの半開状態におけるウインドレギュレータを示した正面図であり、(c)は、窓ガラスの全開状態におけるウインドレギュレータを示した正面図である。
図4】(a)は、キャリアプレート周りを示した正面図であり、(b)は、窓ガラスの半開状態におけるキャリアプレート周りを示した下面図であり、(c)は、窓ガラスの全閉状態におけるキャリアプレート周りを示した下面図であり、(d)は、窓ガラスの全開状態におけるキャリアプレート周りを示した下面図である。
図5】キャリアプレートを示した正面図(a)、下面図(b)及び裏面図(c)である。
図6】プーリ周りを示した正面図(a)及び分解斜視図(b)である。
図7】駆動部周りを示した正面図(a)及び分解図(b)である。
図8】駆動部を示した分解斜視図である。
図9】(a)は、窓ガラスの全閉状態における、第1変形例におけるキャリアプレート周りを示した下面図であり、(b)は、窓ガラスの全閉状態における、第2変形例におけるキャリアプレート周りを示した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータについて説明する。このウインドレギュレータは、車両用ドアに取り付けられ、車両の窓ガラスを昇降する昇降装置である。特に、本ウインドレギュレータは、駆動部とプーリとの間に配索された上昇側ワイヤを簡単な構成で支持可能なワイヤ支持構造を採用したものである。なお、以下、窓ガラスの昇降方向、上昇方向及び下降方向を、単に昇降方向、上昇方向及び下降方向と呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。なお、本実施形態では、昇降方向とウインドレギュレータの上下方向とが一致し、車両の車幅方向とウインドレギュレータの前後方向とが一致しているものとする。また、昇降方向及び車幅方向に直交する方向が、ウインドレギュレータの左右方向となっている。
【0010】
(車両用ドアの構成)
ここで、図1を参照し、ウインドレギュレータ1の説明に先駆けて、ウインドレギュレータ1が取り付けられる車両用ドアDについて説明する。この車両用ドアDは、自動車(車両)に設けられたものである。なお、図1では、後述のアウターパネルを省略した車両用ドアDを図示している。
【0011】
図1に示すように、車両用ドアDは、ドア本体D1と、ドア本体D1に設けられたガラスガイド(図示省略)に沿って昇降自在に支持された車両の窓ガラスGと、ドア本体D1に取り付けられ、窓ガラスGを昇降させるウインドレギュレータ1と、を備えている。
【0012】
ドア本体D1は、窓ガラスGを格納する格納部D11と、格納部D11の上方に配設されたドアサッシD12と、を有している。格納部D11は、ドアパネルである車室内側のインナーパネルD13と車室外側のアウターパネル(図示省略)とを有しており、このインナーパネルD13とアウターパネルとの間に、ドア内部空間が形成されている。図2に示すように、ウインドレギュレータ1は、このドア内部空間においてインナーパネルD13に取り付けられている。また、図1に示すように、ウインドレギュレータ1は、ドア本体D1に対して車両前後方向の後方側に傾いて取り付けられている。
【0013】
(ウインドレギュレータの構成)
図3に示すように、ウインドレギュレータ1は、昇降方向に沿って設けられたガイドレール2と、窓ガラスGを支持すると共に、ガイドレール2に摺動自在に取り付けられたキャリアプレート3と、キャリアプレート3を牽引しガイドレール2に沿って昇降させる上昇側ワイヤ4(ワイヤ)及び下降側ワイヤ5と、ガイドレール2の下端部(昇降方向の一端部)に配設され、上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5を駆動する駆動部6と、ガイドレール2の上端部(昇降方向の他端部)に配設され、上昇側ワイヤ4を方向転換するプーリ7(方向転換部)と、を備えている。
【0014】
また、図4に示すように、ウインドレギュレータ1は、上昇側ワイヤ4のキャリアプレート3側の端部に取り付けられた上昇側スライドブッシュ11と、上昇側スライドブッシュ11を介して、上昇側ワイヤ4に張力を付与する上昇側スプリング12と、下降側ワイヤ5のキャリアプレート3側の端部に取り付けられた下降側スライドブッシュ13と、下降側スライドブッシュ13を介して下降側ワイヤ5に張力を付与する下降側スプリング14と、を備えている。すなわち、このウインドレギュレータ1は、ワイヤ4、5を用いてキャリアプレート3を昇降するワイヤ駆動式のウインドレギュレータであると共に、駆動部6がガイドレール2の下端部に配設された下端レール式のウインドレギュレータである。
【0015】
図2に示すように、ガイドレール2は、昇降方向に沿って延在した長尺な金属製部材であり、上端部がインナーパネルD13に固定され、下端部が駆動部6(のドラムハウジング44)に固定されている。また、ガイドレール2は、車幅方向における車室外方向に向かって突出するように湾曲している。
【0016】
図4に示すように、ガイドレール2は、昇降方向に延在する平板部21と、平板部21の短手方向(昇降方向に直交する方向)における左右端部から前側に立設された右側板部22及び左側板部23(側板部)と、右側板部22の前端から右側に突出する右フランジ部24と、左側板部23の前端から左側に突出する左フランジ部25と、を有している。ガイドレール2は、左側板部23において、キャリアプレート3を摺動自在に支持している。
【0017】
図3に示すように、上昇側ワイヤ4は、一端部が駆動部6の回転ドラム42(後述する)に連結されており、駆動部6から上方に繰り出されてプーリ7に到り、プーリ7によって下方に方向転換された後、他端部がキャリアプレート3に取り付けられている。一方、下降側ワイヤ5は、一端部が駆動部6の回転ドラム42に連結されており、駆動部6から上方に繰り出されて他端部がキャリアプレート3に取り付けられている。
【0018】
そして、上昇側ワイヤ4のうちの、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aは、ガイドレール2の平板部21上に位置しており、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aとガイドレール2の平板部21とは、車幅方向(回転ドラム42の回転軸方向)から見て重なっている。上記したように、ガイドレール2は、車幅方向に湾曲しているため、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aは、ガイドレール2の平板部21の上下方向中間部に対し、押圧接触している(図2参照)。これにより、ガイドレール2の平板部21が、上下方向中間部において、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aを支持するワイヤ支持構造として機能している。一方、上昇側ワイヤ4のうちの、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bと、下降側ワイヤ5とは、ガイドレール2から外れた位置に位置し、当該上昇側ワイヤ4b及び下降側ワイヤ5とガイドレール2とは、車幅方向(回転ドラム42の回転軸方向)から見て、左右方向に位置ズレしている。
【0019】
図4及び図5に示すように、キャリアプレート3は、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成された板状の部材であり、ガイドレール2の平板部21に面して配設されている。キャリアプレート3には、窓ガラスGを取り付けるための左右2つの取付け孔31、31と、後面側(図4中奥側)の左右方向中央に配設されたレール取付け部32と、レール取付け部32の左側に配設された上昇側収容部33と、上昇側収容部33の左側に配設された下降側収容部34と、後面側におけるレール取付け部32の右側に配設され、ガイドレール2の平板部21上の上昇側ワイヤ4aを避ける切欠き部35と、切欠き部35の右側下端部に配設され、駆動部6の位置規制部64が接触する被接触部36と、が形成されている。
【0020】
取付け孔31、31は、窓ガラスGに固定された図略のガラスホルダをボルト締結するためのものである。ボルトによって、取付け孔31、31にガラスホルダを締結することで、窓ガラスGがガラスホルダを介して、キャリアプレート3に取り付けられている。
【0021】
レール取付け部32は、ガイドレール2の左側板部23に対し摺動自在に取り付けられている。すなわち、キャリアプレート3は、このレール取付け部32によって、ガイドレール2の左側板部23に対し昇降自在に支持されている。
【0022】
図4に示すように、上昇側収容部33は、上昇側スライドブッシュ11及び上昇側スプリング12を収容している。これにより、上昇側収容部33には、上昇側スライドブッシュ11及び上昇側スプリング12を介して、上昇側ワイヤ4のキャリアプレート3側の端部が取り付けられている。一方、下降側収容部34は、下降側スライドブッシュ13及び下降側スプリング14を収容している。これにより、下降側収容部34には、下降側スライドブッシュ13及び下降側スプリング14を介して、下降側ワイヤ5のキャリアプレート3側の端部が取り付けられている。
【0023】
切欠き部35は、昇降方向に延在しており、この切欠き部35によって、キャリアプレート3が、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aと接触しないようになっている。駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aの、ガイドレール2に対する離接は、ガイドレール2上における昇降方向の位置によって異なるため、図4(c)に示すように、切欠き部35の前後方向の深さは、上昇側ワイヤ4aがガイドレール2から最も離れるガイドレール2の上端位置に、キャリアプレート3が位置するとき(窓ガラスGの全閉時)であっても、上昇側ワイヤ4aがキャリアプレート3に接触しない深さとなっている。なお、図4(d)に示すように、窓ガラスGの全開状態におけるキャリアプレート3が臨む、ガイドレール2の下端位置に位置する上昇側ワイヤ4aは、図4(c)に示したガイドレール2の上端位置に位置する上昇側ワイヤ4aよりも、ガイドレール2に接近した配置となっている。これは、プーリ7のワイヤ繰出し位置よりも、回転ドラム42のワイヤ繰出し位置P1の方が、車幅方向においてガイドレール2に近い位置となっているためである。
【0024】
図6に示すように、プーリ7は、上昇側ワイヤ4が巻き掛けられ、上昇側ワイヤ4を方向転換するプーリ本体37と、プーリ本体37を回転自在に支持するプーリシャフト38と、を有している。
【0025】
プーリシャフト38は、ガイドレール2の上端部に設けられたプーリ支持部26を貫通するようにして、当該プーリ支持部26に固定されている。また、プーリシャフト38の先端(後端)には、インナーパネルD13に固定するためのボルト部38aが形成されている。そのため、図2に示すように、ガイドレール2の上端部は、プーリシャフト38によって、インナーパネルD13に固定されている。
【0026】
図7及び図8に示すように、駆動部6は、正逆回転駆動可能な減速機51付きの駆動モータ41と、駆動モータ41によって回転駆動される回転ドラム42と、回転ドラム42を収容すると共に、駆動モータ41を保持するハウジング43と、を有している。ハウジング43は、ガイドレール2の下端部が嵌合すると共に回転ドラム42を回転自在に収容するドラムハウジング44と、駆動モータ41を保持するモータハウジング45と、を有している。
【0027】
回転ドラム42は、上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5の駆動部6側の端部が連結されており、回転することにより上昇側ワイヤ4及び下降側ワイヤ5の巻き取り及び繰り出しを行う。また、回転ドラム42は、右側のワイヤ繰出し位置P1から、上昇側ワイヤ4を繰り出すと共に、左側のワイヤ繰出し位置P2から、下降側ワイヤ5を繰り出す構成となっている。回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1(上昇側ワイヤ4のワイヤ繰出し位置)は、左右方向(昇降方向に直交する直交方向)において、ガイドレール2に重なっているのに対し、回転ドラム42の左側のワイヤ繰出し位置P2(下降側ワイヤ5のワイヤ繰出し位置)は、左右方向において、ガイドレール2から位置ズレしている。これにより、左右方向において、回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1からプーリ7に繰り出された上昇側ワイヤ4aと、回転ドラム42の左側のワイヤ繰出し位置P2からキャリアプレート3に繰り出された下降側ワイヤ5と、のうち、回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1からプーリ7に繰り出された上昇側ワイヤ4aのみが、ガイドレール2と重なる構成となっている。
【0028】
駆動モータ41は、モータハウジング45に内蔵されると共に出力軸に回転ドラム42を軸着する減速機51と、減速機51の右側に隣接して配設され、減速機51を介して回転ドラム42を回転させるヨーク部52(モータ本体)と、を有している。
【0029】
駆動モータ41を正転駆動すると、回転ドラム42が正転し、これに伴って、下降側ワイヤ5が繰り出されつつ上昇側ワイヤ4が巻き取られる。これによって、キャリアプレート3が上昇側ワイヤ4に引っ張られ上昇方向に移動する。これにより、キャリアプレート3に取り付けられた窓ガラスGが上昇する(窓ガラスGの上昇動作)。一方、駆動モータ41を逆転駆動すると、回転ドラム42が逆転し、これに伴って、上昇側ワイヤ4が繰り出されつつ下降側ワイヤ5が巻き取られる。これによって、キャリアプレート3が下降側ワイヤ5に引っ張られ下方に移動する。これにより、キャリアプレート3に取り付けられた窓ガラスGが下降する(窓ガラスGの下降動作)。これらによって、キャリアプレート3及び窓ガラスGを、ガイドレール2に沿って昇降させる。
【0030】
ドラムハウジング44には、ドラムハウジング44をボルト61a、61aでインナーパネルD13に固定するための2つの固定孔61、61と、回転ドラム42を収容するドラム収容部62と、ドラム収容部62の右上に配設され、ガイドレール2の下端部を嵌合する嵌合穴63と、嵌合穴63の前側(図7(a)中手前側)に配設された位置規制部64と、が形成されている。位置規制部64は、窓ガラスGの全開状態において、キャリアプレート3の被接触部36と接触して、キャリアプレート3の下方への移動を規制する。
【0031】
嵌合穴63は、ガイドレール2の下端部が嵌合する。この嵌合穴63によって、ガイドレール2の下端部がドラムハウジング44に固定されている。嵌合穴63は、左右方向(昇降方向及び車幅方向に直交する方向)において、ドラム収容部62に収容された回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1と重なるように配設されているため、嵌合穴63に嵌合されたガイドレール2と、回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1とが、左右方向において重なるように配設されている。このため、ガイドレール2は、左右方向において、回転ドラム42の右側のワイヤ繰出し位置P1からプーリ7に繰り出された上昇側ワイヤ4aと重なる構成となっている。これにより、ガイドレール2を、駆動モータ41のヨーク部52に極力近づけることができる。
【0032】
モータハウジング45は、減速機51を内蔵しており、減速機51の出力軸を回転ドラム42に軸着させつつ、ドラムハウジング44のドラム収容部62の開口を覆っている。また、モータハウジング45には、モータハウジング45をドラムハウジング44に固定するための3つの固定部71、71、71が形成されている。なお、3つの固定部71のうちの一部は、左右方向において、ガイドレール2と重なる位置に配設されている。
【0033】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aがガイドレール2上に位置する構成であるため、ガイドレール2を、昇降方向中間部において、当該上昇側ワイヤ4aを支持するワイヤ支持部として機能させることができる。これにより、特段のワイヤ支持部を設けることなく、簡単な構成で当該上昇側ワイヤ4aを支持することができる。すなわち、簡単な構成で、当該上昇側ワイヤ4aの、インナーパネルD13への接触や、ドア開閉時の当該上昇側ワイヤ4aの異音(振動音等)の発生を防止することができる。
【0034】
また、上記実施形態の構成によれば、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aと、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bと、下降側ワイヤ5と、のうち、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aのみ、ガイドレール2上に位置する構成であるため、ガイドレール2の幅寸法(左右方向の寸法)を小さくすることができる。これにより、ウインドレギュレータ1をより軽くすることができる。
【0035】
また、上記実施形態の構成によれば、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aがガイドレール2上に位置する一方で、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bがガイドレール2から外れた位置に位置することで、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bがガイドレール2に接触して打音が生じるのを防止することができる。すなわち、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aと、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bと、の両方が、ガイドレール2上に位置する構成を採用した場合、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aについては、キャリアプレート3の昇降位置によらず、常にガイドレール2に押圧接触させておくことができるが、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bについては、キャリアプレート3の昇降位置によって、ガイドレール2からわずかに離間した状態になる。上昇側ワイヤ4bがガイドレール2からわずかに離間した状態になっていると、車両用ドアDを開閉したときに、当該上昇側ワイヤ4bが車幅方向に振れてガイドレール2に強く接触し、打音が生じてしまう。
これに対し、上記実施形態の構成によれば、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bがガイドレール2から外れた位置に位置することで、車両用ドアDの開閉時に上昇側ワイヤ4bが車幅方向に振れてガイドレール2に強く接触すること、及びそれによって打音が生じることを防止することができる。
すなわち、上記実施形態は、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aがガイドレール2上に位置する一方で、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4bがガイドレール2から外れた位置に位置することで、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4aについては、ガイドレール2に押圧接触して車両用ドアD開閉時の異音の発生を防止し、プーリ7とキャリアプレート3の間に配索された上昇側ワイヤ4bについては、車幅方向から見てガイドレール2と重ならないようにして、車両用ドアD開閉時の異音の発生を防止している。
【0036】
また、上記実施形態の構成によれば、キャリアプレート3に切欠き部36を設けたことで、キャリアプレート3が昇降方向のどの位置に移動していたとしても、ガイドレール2に押圧接触した上昇側ワイヤ4aにキャリアプレート3が接触することがない、そのため、上昇側ワイヤ4aを、ガイドレール2に支障なく押圧接触させることができる。すなわち、上昇側ワイヤ4aを、ガイドレール2に押圧接触させるのに、キャリアプレート3が邪魔になることがない。
【0037】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、被接触部36によって切欠き部35の幅を部分的に狭める構成であったが、図9(a)に示すように、被接触部36を省略する構成であっても良い。また、図9(b)に示すように、切欠き部35を、上下方向(昇降方向)から見て矩形状に形成する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1:ウインドレギュレータ、 2:ガイドレール、 3:キャリアプレート、 4:上昇側ワイヤ、 4a:プーリと駆動部との間に配索された上昇側ワイヤ、 6:駆動部、 7:プーリ、 21:平板部、 22:右側板部、 23:左側板部、 35:切欠き部、 G:窓ガラス
【要約】
【課題】駆動部とプーリとの間に配索されたワイヤを、簡単な構成で支持することができるウインドレギュレータを提供する。
【解決手段】
車両の窓ガラスGを支持するキャリアプレート3と、窓ガラスGの昇降方向に沿って設けられ、キャリアプレート3を摺動自在に支持するガイドレール2と、キャリアプレート3を牽引する上昇側ワイヤ4と、ガイドレール2の昇降方向の一端部に配設され、上昇側ワイヤ4を駆動する駆動部6と、ガイドレール2の昇降方向の他端部に配設され、上昇側ワイヤ4を方向転換するプーリ7と、を備え、プーリ7とキャリアプレート3との間に配索された上昇側ワイヤ4は、ガイドレール2から外れた位置に位置し、駆動部6とプーリ7との間に配索された上昇側ワイヤ4は、ガイドレール2上に位置し、ガイドレール2に押圧接触する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9