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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】基板支持具
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
H05K7/14 E
H05K7/14 B
H05K7/14 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017121481
(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公開番号】P2019009181
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592077121
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】大出 昌司
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0230967(US,A1)
【文献】実開昭47-017067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
F16B 5/06
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ性のある導電板で構成され、シャーシに基板を支持するための基板支持具であって、表面において自動搭載機に吸着されることが可能で、裏面において前記基板の表面に設けられた固着ランドにろう材にて固着される平板として構成された固着部と、前記基板に開口された挿通穴を挿通されて当該基板の裏面側に突出され、当該基板の裏面側に位置するシャーシに設けた第1の支持穴に内挿される係止部を備え、前記係止部は前記固着部の縁部から裏面側に曲げ加工され、さらにその先端側が楔型に折り返し曲げ加工され、一部にテーパ状の段部が曲げ形成されて前記第1の支持穴に係止される係止片と、この係止片からさらに延長されて一部が前記基板の表面側に露呈され、操作されたときに前記係止片の係止を解除する解除片を備えることを特徴とする基板支持具。
【請求項2】
前記係止部は前記固着部の一方の側に設けられ、前記固着部の他方の側には前記シャーシに設けた前記第1の支持穴とは別の第2の支持穴に嵌合される規制部を備える請求項1に記載の基板支持具。
【請求項3】
前記係止部は前記固着部の両側に設けられる請求項1に記載の基板支持具。
【請求項4】
前記係止部は前記固着部の一方の側のみに設けられる請求項1に記載の基板支持具。
【請求項5】
前記固着部は前記基板の接地パターンに固着される請求項1ないし4のいずれかに記載の基板支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャーシやケース等の部材に回路基板等の基板を支持する基板支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のシャーシやケース等の部材(以下、シャーシ等と称する)に基板を支持する技術として、例えば特許文献1,2の基板支持具が提案されている。特許文献1の技術は、シャーシ等に取付具をネジで支持しておき、当該取付具に設けられている係止片を基板に設けた穴に嵌合させて支持する技術である。特許文献2の技術は、爪部を有する係止部材を基板に半田付けしておき、シャーシ等に設けられたボスを爪部に係止させて支持する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-217569号公報
【文献】特開2016-119794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、取付具をネジでシャーシ等に固定する必要があり、この固定に際しての作業が必要である。また、シャーシ等と基板との間に取付具が介在するため、両者の間にスペース(空隙)を確保する際には有効であるが、両者を直接接触させた状態で支持する場合には不向きである。さらに、取付具は係止片がフック形状であるので、係止片と基板の穴が係合すると、この係合を解除することが難しく、基板のメインテナンス時等に基板をシャーシ等から取り外すことが難しい。
【0005】
特許文献2の技術は、係止部材を基板に半田付けするため、作業を簡略化する上では有効であるが、シャーシ等にボスを設ける必要があり、そのための作業が必要になるという不利がある。また、係止部材の爪部がシャーシ等のボスに食い込んで係止する構造であるため、この係止を解除することが難しく、基板のメインテナンス時等に基板をシャーシ等から取り外すことが難しい。
【0006】
本発明の目的は、基板を支持するために必要とされる作業工数を少なくし、その一方で基板をシャーシ等から簡単に取り外すことが可能な基板支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バネ性のある導電板で構成され、表面において自動搭載機に吸着されることが可能で、裏面において基板の表面に設けられた固着ランドにろう材にて固着される平板として構成された固着部と、基板に開口された挿通穴を挿通されて基板の裏面側に突出され、基板の裏面側に位置するシャーシに設けた第1の支持穴に内挿される係止部を備え、係止部は固着部の縁部から裏面側に曲げ加工され、さらにその先端側が楔型に折り返し曲げ加工され、一部にテーパ状の段部が曲げ形成されて第1の支持穴に係止される係止片と、この係止片からさらに延長されて一部が基板の表面側に露呈され、操作されたときに係止片の係止を解除する解除片を備える構成とする。
【0008】
本発明の好ましい形態は、係止部は固着部の一方の側に設けられ、固着部の他方の側にはシャーシ等に設けた第2の支持穴に嵌合される規制部を備える。また、他の形態は、係止部は固着部の両側に設けられる。さらに、他の形態は、係止部は前記固着部の一方の側のみに設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板支持具を基板に固着し、シャーシ等に設けた支持穴に内挿するだけで基板の支持が実現でき、工数の削減に有効である。また、基板支持具を支持した状態では基板の表面側から操作するだけで基板の支持を解除することができメインテナンスあるいはリユースに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1の基板支持具の外観斜視図。
図2】実施形態1の基板を支持した状態の断面図。
図3】実施形態1の基板支持具の、(a)正面図、(b)平面図、(c)左側面図。
図4】基板支持具を回路基板に固着する工程を示す断面図。
図5】回路基板をシャーシ等に支持する工程を示す断面図。
図6】実施形態1の基板支持具の変形例の、(a)正面図、(b)支持状態の断面図。
図7】実施形態2の基板支持具の、(a)正面図、(b)支持状態の断面図。
図8】実施形態3の基板支持具の、(a)正面図、(b)支持状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態1の基板支持具1の外観斜視図であり、図2は基板2をシャーシ3に支持した状態の断面図である。なお、以降の説明においては、便宜的に「上下方向」は図1を基準とした方向を表している。基板支持具1は、弾性のある板材、ここではバネ性のある金属板を所要の形状に打ち抜いた上で、曲げ加工されて形成されている。そして、支持対象となる回路基板2がシャーシ3に設けられたエンボス33の上底面に接するようにして載置され、回路基板2に開口された第1の挿通穴21と第2の挿通穴22と、エンボス33に開口された第1の支持穴31と第2の支持穴32に対して基板支持具1を装着することにより、回路基板2をエンボス、すなわちシャーシ3に支持する構成とされている。
【0012】
前記基板支持具1は3つの部位、すなわち固着部11と、係止部12と、規制部13とを備えて構成されている。図3(a)~(c)に基板支持具1の三面図(正面図、平面図、左側面図)を示すように、前記固着部11は、所要の面積及び形状をした平板として構成されている。ここでは、大略H字型をした形状の平板として形成されており、この固着部11は、後述するように、基板支持具1を回路基板2に固着するために用いられるとともに、自動搭載機により基板支持具1を把持、搬送する際にも利用される。
【0013】
前記係止部12は、前記固着部11の一方の側に連設されており、係止片121と解除片122とで構成されている。この係止片121は、前記固着部11の一方の側縁から所要長さで下方向に直角に曲げ加工され、さらにその途中部位において先端側が外側上方向に向けて楔型に折り返し曲げ加工されている。さらに、この楔型の先端側の部位においてテーパー状の段部121aが曲げ加工されている。この係止片121のうち、固着部から直角に曲げられた領域には、両側縁に沿って曲げ起こされたリブ壁123が設けられており、当該領域の機械的強度(曲げ強度)が高められている。
【0014】
前記解除片122は、係止片121の先端側に形成されており、その先端部122aは前記固着部11よりも上方の位置まで幾分外側に湾曲しながら延長されている。なお、解除片の先端部122aはロール状に曲げ加工され、後述する解除時に操作者の指先を傷付けないようにされている。
【0015】
ここで、前記係止片121の上下方向の寸法、特に下方に延長されている領域の寸法は、前記固着部11を基準としたときに前記した回路基板2とシャーシ3の板厚を合せた寸法よりも十分に大きな寸法に設定されている。また、当該係止片121における段部121aは前記固着部11を基準としたときに回路基板2とシャーシ3の板厚を合せた寸法とほぼ等しい寸法だけ固着部11よりも下方の位置に設定されている。前記解除片122は前記段部121aからの上方に向けられた長さが回路基板2とシャーシ3の板厚を合せた寸法よりも長く設定されている。
【0016】
前記規制部13は、前記固着部11の他方の側に連設されており、固着部11の他方の側縁から所要長さで下方向に直角に曲げ加工された規制片131を備えている。また、規制片131の両側縁に沿って所要の高さ寸法で曲げ起こされたリブ壁132が設けられており、規制部13の機械的強度が高められている。規制部13の上下方向の寸法は、回路基板2の板厚寸法よりも長く、好ましくは回路基板2とシャーシ3の板厚を合せた寸法よりも幾分長い寸法とされている。ここで、詳細については後述するが、前記リブ壁132の曲げ寸法、すなわち壁高寸法は、前記第2の支持穴32の短辺寸法にほぼ等しい寸法とされている。
【0017】
この基板支持具1は、支持対象となる回路基板2に予め固着される。回路基板2の表面には導電層で構成された回路パターン(図示せず)が存在しており、この回路パターンの一部を利用して固着ランド23が形成されている。また、この固着ランド23を挟んで前記した挿通穴、すなわち第1の挿通穴21と第2の挿通穴22が回路基板の板厚方向に貫通した状態で開口されている。これら第1と第2の挿通穴21,22は基板支持具1の係止部12と規制部13が挿通可能な長方形をしており、各挿通穴21,22の短辺方向に前記固着ランド23を挟んでいる。
【0018】
基板支持具1は、例えば自動搭載機によって回路基板に各種電子部品を搭載するときに、これと同時に固着ランドに固着される。図4(a)~(c)はこの固着工程を示す図であり、この固着では図4(a)のように、自動搭載機の吸着ノズルNにより固着部11が真空吸着されて固着ランド23上まで搬送される。次いで、図4(b)のように、ノズルNを下降して固着ランド23の表面上に固着される。このとき、第1の挿通穴21に係止部12が表面側から挿通され、第2の挿通穴22に規制部13が挿通され、固着部11は固着ランド23の表面上に密接される。そして、図4(c)のように、半田等のろう材を用いたリフローにより各種電子部品を回路パターンに実装するのと同時に、基板支持具1の固着部11が固着ランド23に固着される。この固着した状態では、係止部12と規制部13は回路基板2の裏面側に突出された状態にある。
【0019】
一方、回路基板2を支持するシャーシ3には、前記したようにエンボス33が設けられており、このエンボス33には前記したように第1の挿通穴21と第2の挿通穴22に対応した第1の支持穴31と第2の支持穴32が開口されている。第1の支持穴31は前記第1の挿通穴21よりも短辺寸法が大きくされている。第2の支持穴32は前記第2の挿通穴22とほぼ同じ寸法に形成されている。
【0020】
そして、回路基板2をシャーシ3に支持する際には、図5(a)~(c)に支持工程を示すように、先ず図5(a)のように、基板支持具1の係止部12と規制部13をそれぞれ第1と第2の支持穴31,32に位置合せした上で、回路基板2を下降してエンボス33の表面上に載置する。さらに、図5(b)のように、回路基板2をエンボス33の表面に向けて押圧する。この押圧により、図5(c)のように、係止部12と規制部13はそれぞれ第1と第2の支持穴31,32に内挿される。
【0021】
係止部12が第1の支持穴31に内挿されると、図2にも示したように、係止部12の係止片121は弾性変形して縮小した状態で第1の支持穴31を挿通され、挿通後は弾性復帰して段部121aが第1の支持穴31の下面側の内縁に係止される。これにより、係止片121は回路基板1をシャーシ3に支持させる。また、規制部13は第2の支持穴32に嵌合されるが、規制部13のリブ壁132の高さ寸法は、前記したように第2の支持穴32の短辺寸法に等しいので、規制部13が第2の支持穴32に嵌合されたときには第2の支持穴32で移動が規制されることになり、回路基板2はシャーシ3に対して短辺方向に位置規制されることになる。
【0022】
このようにして回路基板2は基板支持具1によってシャーシ3に支持されるが、この状態では規制部13によって回路基板2がシャーシ3に対して位置規制されるので、係止部13が第1の支持穴31の内部で移動されることはない。特に、係止部12が第1の支持穴31の短辺方向に移動されることが規制されるので、係止部12の係止片121が第1の支持穴31の内縁と干渉して変形されることが防止され、段部121aと第1の支持穴31との係止状態が外れることが防止されて安定な支持状態が保持される。
【0023】
回路基板2をシャーシ3から取り外すときには、図2に鎖線で示すように第1の挿通穴21を通して回路基板2の表面側に突出されている係止部12の解除片122の先端を指等で内(矢印方向)に移動操作すると、解除片122及びこれと一体の係止片121が弾性変形して縮小し、段部121aと第1の支持穴31の内縁との係止状態が解除される。この状態を保ちながら回路基板2を上方に持ち上げれば係止部12と規制部13をそれぞれ支持穴31,32から引き抜くことができ、回路基板2の取り外しが可能となる。
【0024】
以上のように、実施形態1の基板支持具1は、1枚の金属板を加工することにより構成できるので、最少の部品点数で構成できる。また、基板支持具1は固着部11において回路基板2に固着するが、この固着には半田等のリフローによる固着が可能であるので、回路基板2への固着作業を自動化でき、かつ工数も少なくて済む。また、回路基板2をシャーシ3に支持する際には、シャーシ3に対して回路基板2の位置決めを行った上で、回路基板2をシャーシ3の表面に押圧させるだけでよく、支持の作業も容易である。さらに、基板支持具1の解除片122を操作するだけで回路基板2をシャーシ3から簡単に取り外すことができ、回路基板2のリユースを実行する上で有効である。
【0025】
また、この実施形態1では、基板支持具1を金属板、すなわち導電板で形成しているので、回路基板2の固着ランド23を接地パターンの一部として形成しておけば、基板支持具1を接地端子として機能させることができる。したがって、基板支持部1の係止部12や規制部13が支持穴31,32に内挿されて電気的に接触したときに、回路基板2の接地パターンをシャーシ3に接地させることができる。
【0026】
図6(a)は実施形態1の変形例の基板支持具1Aの正面図であり、実施形態1の基板支持具1と等価な部分には同一符号を付してある。この変形例の基板支持具1Aは係止部12の解除片122の先端部122bの上下方向の位置を固着部11とほぼ同じ位置にまで短くしている。このようにすれば、図6(b)のように、回路基板2をシャーシ3に支持したときに、解除片122の先端部122bが回路基板2の表面側に突出されることがなく、この先端部122bが外力等に干渉したときに意に反して解除片122が移動されて係止状態が解除されることを防止することができる。この変形例では、支持を解除する際には、ドライバ(ねじ回し)等の工具Jを第1の挿通穴21に差し入れて解除片122を操作する。
【0027】
図7(a)は実施形態2の基板支持具1Bの正面図であり、実施形態1の基板支持具1と等価な部分には同一符号を付してある。この基板支持具1Bは、固着部11と、この固着部11の両側に配設された一対の係止部12とで構成されている。固着部11は実施形態1と同じ構成である。一対の係止部12はそれぞれ実施形態1と同じ構成であるが、固着部11を挟んで線対称の形状に構成されている。すなわち、固着部11の両端部からそれぞれ外側に向けて係止片121が形成され、さらに解除片122が形成されている。そのため、実施形態2では実施形態1の規制部13は設けられていない。
【0028】
実施形態2では、図7(b)の断面図に示すように、回路基板2には一対の第1の挿通穴21が開口されている。基板支持具1Bの固着部11を回路基板2に半田等により固着すると、一対の係止部12はそれぞれ対応する2つの第1の挿通穴21からそれぞれ裏面側に突出される。回路基板2への基板支持具1Bの固着の方法は実施形態1と同様に自動搭載機を利用することができる。
【0029】
回路基板2を支持するシャーシ3には、実施形態1と同様にエンボス33が設けられており、このエンボスには前記一対の第1の挿通穴21に対応した一対の第1の支持穴31が開口されている。これらの支持穴31は挿通穴21よりも幅寸法が大きくされていることも実施形態1と同じである。
【0030】
回路基板2をシャーシに支持する際には、実施形態1と同様に、基板支持具1Bの一対の係止部12をそれぞれ対応する第1の支持穴21に位置合せしながら回路基板2をエンボス33上に載置し、回路基板2をシャーシ3に対して押圧する。この押圧により、一対の係止部12はそれぞれ第1の支持穴31に内挿され、係止片121は弾性変形して縮小した状態で支持穴31を挿通され、挿通後は弾性復帰して支持穴31に係止される。これにより、基板支持具1Bが回路基板2をシャーシ3に支持する。
【0031】
実施形態2の基板支持具1Bは、実施形態1の規制部を備えていないが、一対の係止部12では各係止片121がそれぞれ第1の支持穴31に係止されることにより、それぞれには内側に向けての弾性反発力が発生するので、これらの弾性反発力によって回路基板2の位置規制が行われ、係止部12における係止状態が保持される。なお、支持を解除する場合には、実施形態1と同様に解除片122を操作することにより係止部12での係止状態が解除される。
【0032】
実施形態2においても、基板支持具は1枚の金属板を加工することにより構成できるので、最少の部品点数で構成できる。また、基板支持具1Bはリフローによる固着が可能であるので、回路基板2に対する固着作業を自動化でき、かつ工数も少ない。回路基板2をシャーシ3に支持する際には、シャーシ3に対して回路基板2の位置決めを行った上でシャーシ3の表面に押圧させるだけでよく、支持の作業も容易である。さらに、基板支持具1Bの係止部12を操作するだけで回路基板2をシャーシ3から簡単に取り外すことができ、回路基板2のリユースを実行する上で有効である。
【0033】
また、実施形態2では、一対の係止部12を有しており、2箇所において、すなわち2つの支持穴31において回路基板2の支持を行うので、支持の機械的な強度を高め、支持の信頼性が向上できる。この実施形態2は、重量が相対的に大きな大型の回路基板2を支持する場合に適用することが好ましい。
【0034】
図8(a)は実施形態3の基板支持具1Cの正面図であり、実施形態1の基板支持具1と等価な部分には同一符号を付してある。この基板支持具1Cは、固着部11と、この固着部の一方の側に配設された一つの係止部12とで構成されている。固着部11は実施形態1と同じ構成である。係止部12も実施形態1と同じ構成である。また、実施形態3においても実施形態1の規制部は設けられていない。
【0035】
実施形態3の基板支持具1Cによる回路基板の支持は、基本的には実施形態1,2と同じである。この場合、図8(b)に断面図を示すように、回路基板2には一つの第1の挿通穴21が開口され、シャーシ3には一つの第1の支持穴31が開口されている。そして、回路基板2に基板支持具1Cを固着した上で、基板支持具1Cの係止部12をシャーシ3の第1の支持穴31に位置合せしながらシャーシ3に対して押圧すると係止部12は第1の支持穴31に内挿される。係止部12が第1の支持穴31に内挿されると、係止部12が第1の支持穴31に係止され、基板支持具1Cは回路基板2をシャーシ3に支持する。
【0036】
実施形態3の基板支持具1Cは、係止部12が一つであるので、相対的に重量の軽い回路基板2に適用することが好ましい。支持を解除する場合には、実施形態1,2と同様に解除片122を操作することにより係止部12と第1の支持穴31との係止状態が解除される。
【0037】
実施形態3においても、基板支持具1Cは1枚の金属板を加工することにより構成でき、またリフローによる固着が可能であるので、回路基板2に対する固着作業を自動化でき、かつ工数も少ない。回路基板2をシャーシ3に支持する際には、シャーシ3に対して位置決めを行った上でシャーシ3の表面に押圧させるだけでよく、支持の作業も容易である。さらに、係止部12を操作するだけで回路基板2をシャーシ3から簡単に取り外すことができ、回路基板2のリユースを実行する上で有効である。
【0038】
本発明は実施形態1~3の構成や形状に限定されるものではない。例えば、基板支持具は回路基板の縁部に固着され、当該縁部の外側を通して、あるいは縁部に設けた切欠きを通して係止部が回路基板の裏面側に突出されるようにしてもよい。また、基板支持具は回路基板の裏面に固着され、当該裏面から裏面側、すなわちシャーシ側に突出されるようにしてもよい。さらには、回路基板の縁部を表裏から挟むようにして固着されてもよい。本発明において、回路基板支持具に接地等の導電機能が不要とされる場合には、基板支持具を樹脂等の絶縁材で形成してもよい。この場合には、基板支持具は固着部を回路基板に対して接着剤により固着すればよい。
【符号の説明】
【0039】
1,1A,1B,1C 基板支持具
2 回路基板
3 シャーシ
11 固着部
12 係止部
13 規制部
21 第1の挿通穴
22 第2の挿通穴
23 固着ランド
31 第1の支持穴
32 第2の支持穴
33 エンボス
121 係止片
122 解除片

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8