(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】止水栓装置及びそれを備える便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/13 20060101AFI20220207BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
E03D11/13
F16K27/00 C
(21)【出願番号】P 2017000640
(22)【出願日】2017-01-05
【審査請求日】2019-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柏村 英明
(72)【発明者】
【氏名】檜皮 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松崎 貴
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5012289(JP,B2)
【文献】特開2014-149001(JP,A)
【文献】特開平09-257180(JP,A)
【文献】特開2000-337541(JP,A)
【文献】特開2008-002157(JP,A)
【文献】特開2002-227279(JP,A)
【文献】特開2012-052608(JP,A)
【文献】特開2003-049459(JP,A)
【文献】特開2003-138623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/13
E03C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、便器洗浄手段と、衛生洗浄装置とを備えた便器装置であって、
設置面に設置され、前記便器洗浄手段及び前記衛生洗浄装置に給水可能な
止水栓本体は、
前記設置面に接続され、水が流入する流入管部と、
前記流入管部の下流端に接続され前記流入管部から流入した水を分岐させる分岐部と、
前記分岐部から延び、前記便器洗浄手段及び前記衛生洗浄装置の内の一方に給水する
ための第一流出管部と、
前記分岐部から前記第一流出管部が延びる方向に交差する方向へと延び、前記便器洗
浄手段及び前記衛生洗浄装置の内の他方に給水するための第二流出管部と、
を有
し、
前記第一流出管部及び前記第二流出管部に選択的に取り付けが可能であり、前記第一流出管部及び前記第二流出管部の内、前記設置面に設置された状態で上流端がより後方に位置する一方に取り付けられ、前方へ向けて屈曲する
屈曲管部材を備える便器装置。
【請求項2】
前記第一流出管部は前記流入管部と同一方向へと延び、前記第二流出管部は前記第一流
出管部と直交する方向へと延びる請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記第一流出管部及び前記第二流出管部の内、前記設置面に設置された状態で上流端が
より前方に位置する一方と、前記屈曲管部材の下流側端部と、は平行に延びる請求項2に
記載の便器装置。
【請求項4】
前記止水栓本体は、前記分岐部から前記第一流出管部及び前記第二流出管部への水の流
出を止水する止水ユニットを有し、
前記止水ユニットは止水を操作するための操作部を有し、前記操作部は、前記流入管部
が延びる方向及び前記第二流出管部が延びる方向に直交する方向に突出して設けられた請
求項2又は3に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置面に設置される止水栓装置、及び、それを備える便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置に給水する止水栓装置として、設置面に応じて、設置面と止水栓本体とを接続する部材を選択するものが知られている。
この種の止水栓本体においては、例えば、設置面が床面である場合は、直線状の管部材にて床面と止水栓本体とを接続し、設置面が壁面である場合は、L字状の管部材にて壁面と止水栓本体とを接続する。さらに、止水栓本体に分岐金具を取り付けることで、設置面に係わらず便器洗浄手段へ給水するホースと衛生洗浄装置へ給水するホースへとそれぞれ給水を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の止水栓装置においては、設置面に応じて設置面と止水栓本体とを接続する部材を選択するため、設置面によっては、必要のない部材が生じてしまう。ここで、必要のない部材が生じることを防ぐために、例えば、設置面が床面である場合も壁面である場合も直線状の管部材にて設置面と止水栓本体とを接続しようとすると、止水栓本体への分岐金具の取り付け位置及び向きが設置面ごとに変化してしまい、施工性が低下してしまうおそれがある。さらに、止水栓本体への分岐管の取り付け位置及び向きが設置面ごとに変化すると、便器洗浄手段へ給水するホース及び衛生洗浄装置へ給水するホースを設置面ごとに用意しなくてはならないおそれがある、あるいは、より分岐管の取り付け位置が遠くなる場合に合わせて便器洗浄手段へ給水するホース及び衛生洗浄装置へ給水するホースを用意する必要があり、設計自由度が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性を損なわずに設置することが可能な止水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、便器本体と、便器洗浄手段と、衛生洗浄装置とを備えた便器装置であって、設置面に設置され、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置に給水可能な止水栓本体は、設置面に接続され、水が流入する流入管部と、流入管部の下流端に接続され流入管部から流入した水を分岐させる分岐部と、分岐部から延び、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置の内の一方に給水するための第一流出管部と、分岐部から第一流出管部が延びる方向に交差する方向へと延び、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置の内の他方に給水するための第二流出管部と、を有し、第一流出管部及び第二流出管部に選択的に取り付けが可能であり、第一流出管部及び第二流出管部の内、設置面に設置された状態で上流端がより後方に位置する一方に取り付けられ、前方へ向けて屈曲する屈曲管部材と、を備える便器装置。
【0007】
このように構成された本発明においては、第一流出管部及び前記第二流出管部の内、設置面に設置された状態で上流端がより後方に位置する一方に取り付けられ、前方へ向けて屈曲する屈曲管部材を備えるため、設置面が床面及び壁面の何れであっても、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置へ給水する位置及び向きが変化することを抑制することができる。また、設置面によらず屈曲管部材を使用することができるため、設置面ごとの専用部品が増加することがない。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性を損なわずに設置することができる。また、従来のように、止水栓装置本体に対して分岐金具を別途設けることなく便器洗浄手段と衛生洗浄装置とに水を分岐させることができる。
また、設置面が床面及び壁面の何れであっても、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置へ給水する位置及び向きが変化することを抑制することができる。また、設置面によらず屈曲管部材を使用することができるため、設置面ごとの専用部品が増加することがない。また、従来のような止水栓装置本体に対して分岐管を別途設けることなく便器洗浄手段と衛生洗浄装置とに水を分岐させることができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性を損なわずに設置することができる。
【0008】
本発明は、好ましくは、第一流出管部は流入管部と同一方向へと延び、第二流出管部は第一流出管部と直交する方向へと延びる。
【0009】
このように構成された本発明においては、第一流出管部は流入管部と同一方向へと延び、第二流出管部は第一流出管部と直交する方向へと延びるため、設置面が床面及び壁面の何れであっても、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置へ給水する位置及び向きが変化することをより抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、第一流出管部及び第二流出管部の内、設置面に設置された状態で上流端がより前方に位置する一方と、屈曲管部材の下流側端部と、は平行に延びる。
【0011】
このように構成された本発明においては、第一流出管部及び第二流出管部の内、設置面に設置された状態で上流端がより前方に位置する一方と、屈曲管部材の下流側端部と、は平行に延びるため、設置面が床面及び壁面の何れであっても、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置へ給水する位置及び向きが変化することをより抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【0012】
本発明は、好ましくは、止水栓本体は、分岐部から第一流出管部及び第二流出管部への水の流出を止水する止水ユニットを有し、止水ユニットは止水を操作するための操作部を有し、操作部は、流入管部が延びる方向及び第二流出管部が延びる方向に直交する方向に突出して設けられる。
【0013】
このように構成された本発明においては、操作部は、流入管部が延びる方向及び第二流出管部が延びる方向に直交する方向に突出して設けられるため、設置面が床面及び壁面の何れであっても、便器洗浄手段及び衛生洗浄装置へ給水する位置及び向きが変化することを抑制しつつ、操作部の位置及び向きが変化することを抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の止水栓装置によれば、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性を損なわずに設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る便器装置を示す側面図。
【
図2】
図1の便器装置の後方側部を示す部分拡大図。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る止水栓装置に開閉具を装着した状態を示す前方から見た断面図。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る便器装置を示す側面図。
【
図5】
図4の便器装置の後方側部を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の第一実施形態に係る便器装置について説明する。
まず、
図1により本発明の第一実施形態に係る便器装置の構成について説明する。
図1は本発明の第一実施形態に係る便器装置を示す側面図である。なお、
図1においては、カバーについて一部破断した状態を示している。
【0019】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る便器装置100は、床面Fに載置される便器本体120と、便器本体120の後部に設けられる便器洗浄手段140と、便器本体120の上方に設けられる衛生洗浄装置160と、衛生洗浄装置160に上下方向に回動可能に取り付けられた便座(図示せず)及び便蓋162と、設置面である床面Fに設置される止水栓装置180とを備える。
また、便器洗浄手段140と止水栓装置180とは便器側給水ホース170a(第一ホース)にて接続され、衛生洗浄装置160と止水栓装置180とは衛生洗浄側給水ホース170b(第二ホース)にて接続され、便器本体120の後部側面、及び、止水栓装置180、便器側給水ホース170a、衛生洗浄側給水ホース170bはカバー190にて覆われる。
【0020】
便器本体120は陶器製であり、ボウル部(図示せず)とボウル部(図示せず)の底部に接続する排水トラップ管路(図示せず)とを備え、後方にて内部側へ向けて凹んでいる。ボウル部(図示せず)は、ボウル形状の汚物受け面(図示せず)と、汚物受け面(図示せず)の上縁に設けられたリム部(図示せず)とを有する。リム部(図示せず)には、便器洗浄手段140から供給された水を吐水するリム吐水口(図示せず)が開口され、ボウル部(図示せず)の底部には、便器洗浄手段140から供給された水を排水トラップ管路(図示せず)に向けて吐水するゼット吐水口(図示せず)が開口されている。
リム吐水口(図示せず)から吐水された水はボウル部(図示せず)に旋回流を形成し、ボウル部(図示せず)を洗浄する。また、ゼット吐水口(図示せず)から吐水された水は排水トラップ管路(図示せず)を満たしてサイホンを生じさせる。
【0021】
便器洗浄手段140は、水を貯水する貯水タンク(図示せず)と、貯水タンク(図示せず)内の水を加圧してゼット吐水口(図示せず)へ給水する加圧ポンプ(図示せず)とを有する。便器洗浄手段140の給水路(図示せず)は、その上流側が便器側給水ホース170aに接続されており、貯水タンク(図示せず)の上流側の給水路には、定流量弁(図示せず)、電磁弁(図示せず)、貯水タンク(図示せず)への給水とリム吐水口(図示せず)への吐水とを切り替える切替弁(図示せず)等が設けられている。また、便器洗浄手段140には、これら以外にも、電磁弁(図示せず)の開閉操作、切替弁(図示せず)の切替操作、及び、加圧ポンプ(図示せず)の回転数や作動時間等を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
【0022】
衛生洗浄装置160は、衛生洗浄側給水ホース170bから給水された水をボウル部(図示せず)の上方の使用者に向けて水を噴射するノズル装置(図示せず)を有する。その他、衛生洗浄装置160には、衛生洗浄側給水ホース170bから給水される水を貯水する貯水部(図示せず)、この貯水部(図示せず)内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(図示せず)、換気ファン(図示せず)、脱臭ファン(図示せず)、温風ファン(図示せず)、及び、これらの機器の作動を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
【0023】
なお、本実施形態による便器装置100においては、リム吐水口(図示せず)によるリム吐水について水道の給水圧力を利用して行い、ゼット吐水口(図示せず)によるゼット吐水について加圧ポンプ(図示せず)を制御することにより貯水タンク(図示せず)内の洗浄水を供給する、いわゆる、ハイブリッド式の便器装置の形態について説明するが、このような形態に限られず、他の形態についても適用可能である。すなわち、他の形態として、例えば、貯水タンク(図示せず)を省略し水道のみから直接的に供給される洗浄水によってリム吐水口(図示せず)によるリム吐水とゼット吐水口(図示せず)によるゼット吐水とを行う形態であってもよい。
【0024】
止水栓装置180は、便器本体120の後部の前方から見て左側における凹みにおいて、設置面である床面Fに設置され、詳細は後述するが、止水栓本体182と、屈曲管部材184とを有する。止水栓装置180は、床面Fの下方に設けられた水道管(図示せず)から供給された水を便器側給水ホース170a及び衛生洗浄側給水ホース170bを介して、便器洗浄手段140及び衛生洗浄装置160に給水する。
【0025】
カバー190は、樹脂製であり、衛生洗浄装置160に設けられた係合部(図示せず)により着脱自在に係合され、その外表面が便器本体120の前部側面と略面一になる状態で、便器本体120の後部側面、及び、止水栓装置180、便器側給水ホース170a、衛生洗浄側給水ホース170bを覆う。
【0026】
次に、
図2により本発明の第一実施形態に係る止水栓装置について説明する。
図2は
図1の便器装置の後方側部を示す部分拡大図である。なお、
図2においては、カバーは省略した状態を示している。
【0027】
図2に示すように、止水栓装置180の止水栓本体182は、設置面である床面Fに接続され、床面Fと垂直に延びて水が流入する流入管部182aと、流入管部182aの上端(下流端)に接続され流入管部182aから流入した水を分岐させる分岐部182bと、分岐部182bから延びて便器洗浄手段140に給水するための第一流出管部182cと、分岐部182bから前方向(第一流出管部182cが延びる方向に交差する方向)へと延びて、衛生洗浄装置160に給水するための第二流出管部182dとを有する。
【0028】
また、止水栓本体182は、分岐部182bから第一流出管部182c及び第二流出管部182dへの水の流出を止水する止水ユニット186を有する。
【0029】
第一流出管部182cは床面Fと垂直(流入管部182aと同一方向)に延び、便器側給水ホース170aへと水を給水する。また、第二流出管部182dは床面Fと平行(第一流出管部182cと直交する方向)に延び、衛生洗浄側給水ホース170bに接続されて、衛生洗浄装置160へと水を給水する。
なお、流入管部182a、分岐部182b、第一流出管部182c、及び、第二流出管部182dは一体にて成型される。
【0030】
図2に示すように、止水栓装置180の屈曲管部材184は、上流側と下流側とが直交するL字状に形成される。屈曲管部材184は、第一流出管部182c及び第二流出管部182dの内、床面Fに設置された状態で上流端がより後方に位置している第一流出管部182cに下流側が前方へ向く状態で取り付けられる。屈曲管部材184は、第一流出管部182cと便器側給水ホース170aとの間を繋ぎ、便器洗浄手段140へと水を給水する。
【0031】
また、屈曲管部材184の下流側端部184aは、前方へ第二流出管部182dと平行(第一流出管部182b及び第二流出管部182dの内、設置面である床面Fに設置された状態で上流端がより前方に位置する一方、即ち、屈曲管部材184が取り付けられていない一方と平行)に延びる。
【0032】
止水ユニット186は、止水を操作するための操作部186aを有する。操作部186aは、左方(流入管部182aが延びる方向及び第二流出管部182dが延びる方向に直交する方向)に突出して設けられ、開閉具300(後述する)により操作される。
【0033】
次に、
図3により操作部186aの操作について説明する。
図3は本発明の第一実施形態に係る止水栓装置に開閉具を装着した状態を示す前方から見た断面図である。
操作部186aは、開閉具300により操作される。開閉具300は、ハンドル310と、ハンドル310の中心部にネジ固定され延びるスピンドル320と、スピンドル320を側方から覆うカバー330と、ハンドル310とカバー330との間に設けられたバネ340とを備える。
【0034】
スピンドル320は操作部186aに形成された溝に係合する。スピンドル320が層サブ186aの溝に係合した状態でハンドル310をスピンドル320の軸周りに回転させることで、止水ユニット186が作動し第一流出管部182c及び第二流出管部182dへの水の流出を止水する。また、カバー330は操作部186aの溝の周りに形成された開口断面が六角形の筒状部に係合する。この構成により、スピンドル320を操作部186aに容易に係合させることができる。
バネ340は、カバー330を操作部186aへと付勢する。この構成により、ハンドル310を回転中に作業者がハンドル310から手を離しても、開閉具300が操作部186aから落下することを抑制することができる。
【0035】
次に、
図4及び
図5により本発明の第二実施形態に係る便器装置の構成について説明する。
図4は本発明の第一実施形態に係る便器装置を示す側面図であり、
図5は
図4の便器装置の後方側部を示す部分拡大図である。なお、
図4においては、カバーについて一部破断した状態を示しており、
図5においては、カバーは省略した状態を示している。
また、第一実施形態と異なる点のみ説明する。
【0036】
図4に示すように、本発明の第二実施形態に係る便器装置200は、止水栓装置180の設置面が壁面Wである点が第一実施形態に係る便器装置100と異なる。
【0037】
図5に示すように、第二実施形態においては、止水栓装置180の止水栓本体182は、設置面である壁面Wに接続される。
止水栓本体182の流入管部182aは壁面Wと垂直に延びて、流入管部182aから流入した水を分岐させる分岐部182bは流入管部182aの前端(下流端)に接続される。
【0038】
第一流出管部182cは壁面Wと垂直(流入管部182aと同一方向)に延び、便器側給水ホース170aに接続されて、便器洗浄手段140へと水を給水する。また、第二流出管部182dは壁面Fと平行(第一流出管部182cと直交する方向)に延び、衛生洗浄側給水ホース170bへと水を給水する。
【0039】
止水栓装置180の屈曲管部材184は、第一流出管部182c及び第二流出管部182dの内、床面Fに設置された状態で上流端がより後方に位置している第二流出管部182dに下流側が前方へ向く状態で取り付けられる。屈曲管部材184は、第二流出管部182dと衛生洗浄側給水ホース170bとの間を繋ぎ、衛生洗浄装置160へと水を給水する。
【0040】
また、屈曲管部材184の下流側端部184aは、前方へ第一流出管部182bと平行(第一流出管部182b及び第二流出管部182dの内、設置面である壁面Wに設置された状態で上流端がより前方に位置する一方、即ち、屈曲管部材184が取り付けられていない一方と平行)に延びる。
【0041】
上述した本発明の第一実施形態による便器装置100及び第二実施形態による便器装置200によれば、止水栓装置180において、第一流出管部182c及び第二流出管部182dの内、設置面である床面F又は壁面Wに設置された状態で上流端がより後方に位置する一方に取り付けられ、前方へ向けて屈曲する屈曲管部材184を備える。そのため、設置面が床面F及び壁面Wの何れであっても、便器洗浄手段140及び衛生洗浄装置160へ給水する位置及び向き、即ち、便器側給水ホース170a及び衛生洗浄側給水ホース170bが接続される位置及び向きの変化を抑制することがきできる。また、設置面によらず屈曲管部材184を使用することができるため、設置面ごとの専用部品が増加することがない。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性を損なわずに設置することができる。また、従来のように、止水栓装置本体182に対して分岐金具を別途設けることなく、流入管部182a、第一流出管部182c、第二流出管部182dと一体に成型された分岐部182bにより、便器洗浄手段140と衛生洗浄装置160とに水を分岐させることができる。
【0042】
さらに、上述した本発明の第一実施形態による便器装置100及び第二実施形態による便器装置200によれば、止水栓装置180において、第一流出管部182cは流入管部182aと同一方向へと延び、第二流出管部182dは第一流出管部182cと直交する方向へと延びる。そのため、設置面が床面F及び壁面Wの何れであっても、便器洗浄手段140及び衛生洗浄装置160へ給水する位置及び向きが変化することをより抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【0043】
さらに、上述した本発明の第一実施形態による便器装置100及び第二実施形態による便器装置200によれば、止水栓装置180において、第一流出管部182c及び第二流出管部182dの内、設置面である床面F又は壁面Wに設置された状態で上流端がより前方に位置する一方と、屈曲管部材184の下流側端部184aとは平行に延びる。そのため、設置面が床面F及び壁面Wの何れであっても、便器洗浄手段140及び衛生洗浄装置160へ給水する位置及び向きが変化することをより抑制することができる。また、便器側給水ホース170a及び衛生洗浄側給水ホース170bが、同一の方向へと延びるため、便器側給水ホース170aと衛生洗浄側給水ホース170bとが互いに干渉しあうことを抑制することができる。そのため、便器側給水ホース170aと衛生洗浄側給水ホース170bとが互いに干渉することでカバー190を押し外すことを抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【0044】
さらに、上述した本発明の第一実施形態による便器装置100及び第二実施形態による便器装置200によれば、止水栓装置180において、止水栓本体182は、分岐部182bから第一流出管部182c及び第二流出管部182dへの水の流出を止水する止水ユニット186を有し、止水ユニット186は止水を操作するための操作部186aを有し、操作部186aは、流入管部182aが延びる方向及び第二流出管部182dが延びる方向に直交する方向に突出して設けられる。そのため、設置面が床面F及び壁面Wの何れであっても、便器洗浄手段140及び衛生洗浄装置160へ給水する位置及び向きが変化することを抑制しつつ、操作部186aの位置及び向きが変化することを抑制することができる。従って、設置面ごとの専用部品の増加を抑制しつつ、施工性をより損なわずに設置することができる。
【符号の説明】
【0045】
100 便器装置
120 便器本体
140 便器洗浄手段
160 衛生洗浄装置
162 便蓋
170a 便器側給水ホース(第一ホース)
170b 衛生洗浄側給水ホース(第二ホース)
180 止水栓装置
182 止水栓本体
182a 流入管部
182b 分岐部
182c 第一流出管部
182d 第二流出管部
184 屈曲管部材
184a 下流側端部
186 止水ユニット
186a 操作部
190 カバー
200 便器装置
300 開閉具
310 ハンドル
320 スピンドル
330 カバー
340 バネ
F 床面
W 壁面