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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20220125BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20220125BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20220125BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220125BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220125BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20220125BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220125BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20220125BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALN20220125BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0568
H01M4/587
H01M4/36 C
H01M4/62 Z
H01M4/133
H01M50/489
H01M10/058
H01M10/0525
H01M4/1393
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017189364
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019067543
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】山見 慎一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健太郎
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-035922(JP,A)
【文献】特開2013-229300(JP,A)
【文献】特開2009-270013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/39
H01M50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、
負極活物質を含む負極活物質合剤層を有する負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって、
前記負極活物質合剤層は、黒鉛粒子の表面が第1の非晶質炭素及び第2の非晶質炭素を含む被覆層で被覆された被覆黒鉛粒子と、第3の非晶質炭素とを含み、
前記負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaが、2.8μm~3.4μmであり、
前記セパレータの弾性率が、15.1MPa~36.3MPaであり、
前記非水電解質は、ジフルオロリン酸塩と、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含む、
非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記被覆層は、前記第1の非晶質炭素からなる層の内部に前記第2の非晶質炭素の粒子が分散したものである請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記第2の非晶質炭素は、前記第1の非晶質炭素よりも導電性が高い請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記第1の非晶質炭素は、ピッチの焼成物であり、
前記第2の非晶質炭素は、カーボンブラックであり、
前記第3の非晶質炭素は、カーボンブラックである請求項1~3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
正極と、
負極活物質を含む負極活物質合剤層を有する負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
非水電解質と、
電池ケースと、を備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
黒鉛粒子の表面が第1の非晶質炭素及び第2の非晶質炭素を含む被覆層で被覆された被覆黒鉛粒子と、第3の非晶質炭素とを含む負極活物質合剤層を有し、前記負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaが2.8μm~3.4μmである前記負極を作製する工程と、
弾性率が、15.1MPa~36.3MPaである前記セパレータを前記正極と前記負極の間に配置する工程と、
ジフルオロリン酸塩と、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含む前記非水電解質を前記電池ケース内に配置する工程と、
を有する非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記被覆黒鉛粒子は、焼成により前記第1の非晶質炭素となる部材と、前記第2の非晶質炭素又は焼成により前記第2の非晶質炭素になる部材を前記黒鉛粒子の表面に付着させたものを焼成することにより得られたものである請求項5に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記第1の非晶質炭素は、ピッチの焼成物であり、
前記第2の非晶質炭素は、カーボンブラックであり、
前記第3の非晶質炭素は、カーボンブラックである請求項5又は6に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記正極と前記負極の間に前記セパレータを配置して電極体を作製し、
前記電極体を加圧するプレス工程を有する請求項5~7のいずれかに記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)などの駆動電源として使用されている。
【0003】
非水電解質二次電池の負極活物質としては、天然黒鉛や人造黒鉛等の結晶性の高い炭素材料、あるいは、非晶質の炭素材料が使用されている。
【0004】
下記特許文献1には、非水電解質二次電池において、保存後の電池容量の低下を抑制するため、非水電解質にジフルオロリン酸リチウム等のジフルオロリン酸塩と、リチウムビスオキサレートボレート等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を添加することが開示されている。
【0005】
下記特許文献2には、非水電解質二次電池において、非水電解質にリチウムビスオキサレートボレート及び/又はジフルオロリン酸リチウムを含有させることが開示されている。また、下記特許文献2には、負極活物質として、表面がピッチとカーボンブラックに被覆された黒鉛粒子を焼成したものを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5636622号公報
【文献】特開2014-35923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非水電解質二次電池には、低温回生特性や高温サイクル特性等について更なる電池特性の向上が望まれる。
【0008】
本発明は、低温回生特性及び高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一様態の非水電解質二次電池は、
正極と、
負極活物質を含む負極活物質合剤層を有する負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって、
前記負極活物質合剤層は、黒鉛粒子の表面が第1の非晶質炭素及び第2の非晶質炭素を含む被覆層で被覆された被覆黒鉛粒子と、第3の非晶質炭素とを含み、
前記負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaが、2.8μm~3.4μmであり、
前記セパレータの弾性率が、15.1MPa~36.3MPaであり、
前記非水電解質は、ジフルオロリン酸塩と、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含む。
【0010】
本発明の一様態の非水電解質二次電池によると、低温回生特性及び高温サイクル特性に
優れた非水電解質二次電池となる。
【0011】
非水電解質にジフルオロリン酸塩とオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた場合、非水電解質二次電池の保存特性等が改善する。しかしながら、発明者らは開発を進めるなかで、非水電解質にジフルオロリン酸塩とオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた場合、低温回生特性が低下し易く、また厳しい条件下では負極表面にリチウムが析出し易くなることを見出した。これは、非水電解質にジフルオロリン酸塩とオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた場合、負極表面に抵抗成分となる被膜が形成され、負極の電子伝導性が低下し易くなるためと考えられる。なお、負極の電子伝導性が低下すると、負極活物質中にスムーズにリチウムイオンが吸収されず、負極表面にリチウムが析出し易くなると考えられる。
【0012】
本発明の一様態の非水電解質二次電池では、黒鉛粒子の表面が第1の非晶質炭素及び第2の非晶質炭素を含む被覆層で被覆された被覆黒鉛粒子を負極活物質として用い、更に負極活物質合剤層に導電剤としての第3の非晶質炭素を含有させることにより、負極の電子伝導性を向上させることができる。これにより、低温回生特性を向上させ、またリチウム析出が生じることを抑制できる。更に、負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaを2.8μm~3.4μmとし、セパレータの弾性率を15.1MPa~36.3MPaとすることにより、セパレータと負極の密着性を向上させることができる。これにより、正極と負極の距離を安定的に短く保つことができ、低温回生特性により優れ、またリチウム析出がより生じ難い構成とすることができる。
また、本発明の一様態の非水電解質二次電池の構成では、正極及び負極にジフルオロリン酸塩ないしオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩に由来する被膜が形成されると共に、負極の電子伝導性を向上させることができ、また、セパレータと負極の密着性を向上させることができるため、高温サイクル特性もより効果的に向上させることができる。
【0013】
前記被覆層は、前記第1の非晶質炭素からなる層の内部に前記第2の非晶質炭素の粒子が分散したものであることが好ましい。これにより、負極の電子伝導性をより効率的に向上させることができる。
【0014】
前記第2の非晶質炭素は、前記第1の非晶質炭素よりも導電性が高いことが好ましい。これにより、負極の電子伝導性をより効率的に向上させることができる。
【0015】
前記第1の非晶質炭素は、ピッチの焼成物であり、
前記第2の非晶質炭素は、カーボンブラックであり、
前記第3の非晶質炭素は、カーボンブラックであることが好ましい。
【0016】
本発明の一様態の非水電解質二次電池の製造方法は、
正極と、
負極活物質を含む負極活物質合剤層を有する負極と、
前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、
非水電解質と、
電池ケースと、を備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
黒鉛粒子の表面が第1の非晶質炭素及び第2の非晶質炭素を含む被覆層で被覆された被覆黒鉛粒子と、第3の非晶質炭素とを含む負極活物質合剤層を有し、前記負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaが2.8μm~3.4μmである前記負極を作製する工程と、
弾性率が、15.1MPa~36.3MPaである前記セパレータを前記正極と前記負極の間に配置する工程と、
ジフルオロリン酸塩と、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含む前記非水電解質を前記電池ケース内に配置する工程と、を有する。
【0017】
本発明の一様態の非水電解質二次電池の製造方法によると、低温回生特性及び高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【0018】
前記被覆黒鉛粒子は、焼成により前記第1の非晶質炭素となる部材と、前記第2の非晶質炭素又は焼成により前記第2の非晶質炭素になる部材を前記黒鉛粒子の表面に付着させたものを焼成することにより得られたものであることが好ましい。
【0019】
前記第1の非晶質炭素は、ピッチの焼成物であり、
前記第2の非晶質炭素は、カーボンブラックであり、
前記第3の非晶質炭素は、カーボンブラックであることが好ましい。
【0020】
前記正極と前記負極の間に前記セパレータを配置して前記電極体を作製し、
前記電極体を加圧するプレス工程を有することが好ましい。
これにより、負極活物質合剤層表面の凹凸がセパレータに食い込んだ状態となり易く、負極とセパレータの密着性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、低温回生特性及び高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る非水電解質二次電池の正極の平面図である。
図2】実施形態に係る非水電解質二次電池の負極の平面図である。
図3】正極、セパレータ及び負極の積層状態を示す巻回電極体の部分断面図である。
図4】実施形態に係る非水電解質二次電池の斜視図である。
図5図5A図4におけるVA-VA断面の断面図である。図5B図4におけるVB-VB断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池の構造及び製造方法を、非水電解質二次電池としての角形二次電池20を例にして説明する。
【0024】
[正極の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi0.35Co0.35Mn0.30)、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン、導電剤としてのカーボンブラック、及び分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドンを混練して正極活物質合剤層スラリーを作製する。このとき、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:ポリフッ化ビニリデン:カーボンブラックの質量比が91:3:6となるようにした。ついで、正極活物質合剤層スラリーを正極芯体としてのアルミニウム箔(厚さが15μm)の両面に塗布した後、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドンを除去して、正極芯体上に正極活物質合剤層を形成した。その後、圧延ローラーを用いて正極活物質合剤層を所定の充填密度(2.65g/cm)になるまで圧延し、所定寸法に切断して正極40を作製した。
【0025】
図1に示すように、正極40は、長尺状の正極芯体40aの両面に正極活物質合剤層40bが形成されている。正極40の幅方向の一方の端部には、長手方向に沿って正極芯体露出部4が設けられている。
【0026】
[負極活物質としての被覆黒鉛粒子の作製]
<混合>
天然黒鉛を球状に改質した黒鉛粒子と、カーボンブラックとを混合し、黒鉛粒子の表面にカーボンブラックを付着させる。その後、カーボンブラックで被覆された黒鉛粒子とピッチを混合する。このとき、黒鉛粒子とピッチとカーボンブラックの質量比が、88.4:4.7:6.9となるように混合して混合物を得た。このとき、カーボンブラックの平均粒子サイズは90nm、BET比表面積は45m/gとした。
【0027】
<焼成>
次いで、上記混合物を1250℃の不活性ガス雰囲気で24時間焼成し、焼成物を解砕・粉砕して、被覆黒鉛粒子とする。この焼成により、ピッチは炭素化して質量が30%減少するが、黒鉛粒子やカーボンブラックは質量が略減少しない。このため、焼成後においては、黒鉛粒子とピッチの焼成物(炭素化物)とカーボンブラックの質量比は、89.7:3.3:7となる。被覆黒鉛粒子において、カーボンブラック粒子が、ピッチの焼成物(炭素化物)によって、黒鉛粒子の周囲に結着される。即ち、被覆黒鉛粒子は、黒鉛粒子の表面にピッチの焼成物からなる被覆層で被覆され、かつ被覆層内部にはカーボンブラックが分散されている状態になっている。ここで、被覆黒鉛粒子の中心粒径D50を9μmとした。また、被覆黒鉛粒子のBET比表面積は8.8m/gとした。
【0028】
[負極の作製]
上述の方法で作成した被覆黒鉛粒子と、導電剤としてのカーボンブラックと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を水と共に混練して負極活物質合剤層スラリーを作製する。このとき、被覆黒鉛粒子と、CMCと、SBRと、の質量比が、98.9:0.7:0.4となるようにした。また、被覆黒鉛粒子に対する導電剤としてのカーボンブラックの割合が4.5%となるようにした。ついで、負極活物質合剤層スラリーを負極芯体としての銅箔(厚さが8μm)の両面に塗布した後、乾燥させて水を除去して、負極芯体上に負極活物質合剤層を形成した。その後、圧延ローラーを用いて負極活物質合剤層を所定の充填密度(1.1g/cm)になるまで圧延し、所定寸法に切断して負極50を作製した。負極50において負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaは3.1μmであった。なお、負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaは、「JIS B 0601:2001」によって定義される値である。
【0029】
図2に示すように、負極50は、長尺状の負極芯体50aの両面に負極活物質合剤層50bが形成されている。負極50の幅方向の一方の端部には、長手方向に沿って負極芯体露出部5が設けられている。
【0030】
[巻回電極体の作製]
上述の方法で作製した長尺状の正極40と長尺状の負極50を、ポリオレフィン製の長尺状のセパレータ60を介して巻回し、偏平状にプレス成形する。ここで、セパレータ60の弾性率は21.5MPaであった。得られた偏平状の巻回電極体3は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。図3は、正極40、セパレータ60及び負極50の積層状態を示す巻回電極体3の部分断面図である。
【0031】
[セパレータの弾性率]
セパレータの弾性率は以下の方法で決定した。
セパレータを60mm×12.5mmの方形状に切り出し試験片とする。ここで、セパレータのMD方向が試験片の長手方向となるようにする。この試験片を、引張強度試験機(株式会社島津製作所製 AGS-X)を用いて、試験片の長手方向に沿って試験片が破断するまで引っ張った。引っ張った際の応力(MPa)と試験片の伸びた長さ(mm)を
測定した。試験片の伸びた長さ(mm)を元の試験片の長さ(60mm)で割った値(試験片の伸びた長さ/元の試験片の長さ)を歪みとした。引っ張った際の応力(MPa)を縦軸とし、歪みを横軸としてプロットし、応力が10MPa以上の範囲の線形近似の傾きから試験片の弾性率を算出した。この試験片の弾性率(MPa)を、セパレータの弾性率(MPa)とした。
【0032】
[非水電解液の調整]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比(25℃、1気圧)で30:30:40となるように混合した混合溶媒を作製する。この混合溶媒に、LiPFを1.2mol/Lとなるように添加し、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)を0.05mol/Lとなるように添加し、リチウムビスオキサレートボレート(LiCBO)を0.10mol/Lとなるように添加した。さらに非水電解液の総質量に対してその添加量が0.3質量%となるようにビニレンカーボネートを添加して非水電解液とした。
【0033】
[封口板への部品取り付け]
封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及び正極集電体6のベース部6cを配置する。そして、電池外部側から正極端子7を、外部側絶縁部材10の貫通孔、正極端子取り付け孔、内部側絶縁部材11の貫通孔及び正極集電体6のベース部6cの貫通孔に挿入し、正極端子7の先端部を正極集電体6のベース部6c上にかしめる。これにより、正極端子7及び正極集電体6が封口板2に固定される。なお、正極端子7においてかしめられた部分をベース部6cに溶接することが好ましい。なお、正極集電体6は、正極芯体露出部4に接続される接続部6aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部6cと、接続部6aとベース部6cを繋ぐリード部6bを有する。
【0034】
封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び負極集電体8のベース部8cを配置する。そして、電池外部側から負極端子9を、外部側絶縁部材12の貫通孔、負極端子取り付け孔、内部側絶縁部材13の貫通孔及び負極集電体8のベース部8cの貫通孔に挿入し、負極端子9の先端部を負極集電体8のベース部8c上にかしめる。これにより、負極端子9及び負極集電体8が封口板2に固定される。なお、負極端子9においてかしめられた部分をベース部8cに溶接することが好ましい。なお、負極集電体8は、負極芯体露出部5に接続される接続部8aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部8cと、接続部8aとベース部8cを繋ぐリード部8bを有する。
【0035】
[巻回電極体への集電体の取り付け]
正極集電体6は接続部6aにおいて、巻回された正極芯体露出部4と溶接接続される。負極集電体8は接続部8aにおいて、巻回された負極芯体露出部5と溶接接続される。なお溶接接続は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ等のエネルギー線の照射による溶接等を用いることができる。
【0036】
[角形二次電池の組立て]
正極集電体6及び負極集電体8が取り付けられた巻回電極体3を樹脂シート14で覆い、角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。その後、封口板2に設けられた電解液注液孔から非水電解液を注液し、電解液注液孔を封止栓16により封止する。これにより、角形二次電池20が作製される。なお、角形二次電池20の電池容量は5.5Ahとした。
【0037】
偏平状の巻回電極体3はその巻回軸が角形外装体1の底部と平行になる向きで角形外装体1内に配置される。角形外装体1と巻回電極体3の間には電気絶縁性の樹脂シート14が配置されている。封口板2には角形外装体1内の圧力が所定値以上となった際に破断し、角形外装体1内のガスを角形外装体1外に排出するガス排出弁15が設けられている。
【0038】
[実施例1]
上述の方法で作成した角形二次電池20を実施例1の非水電解質二次電池とした。
【0039】
[実施例2~5、比較例1~11]
セパレータの弾性率、被覆黒鉛粒子に対する被覆黒鉛粒子中のピッチの焼成物の割合、被覆黒鉛粒子に対する被覆黒鉛粒子中のカーボンブラックの割合、被覆黒鉛粒子に対する導電剤としてのカーボンブラックの割合、負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRa、非水電解液中のリチウムビスオキサレートボレートの割合、非水電解液中のジフルオロリン酸リチウムの割合を、表1に記載の値とする以外は上述の実施例1の非水電解質二次電池と同様の方法で非水電解質二次電池を作製し、実施例2~5、比較例1~11の非水電解質二次電池とした。なお、表1において「0」と記載されている部分は、対象の物質が含有されないことを意味する。
【0040】
<低温回生特性の評価>
実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池について以下の試験を行った。
25℃の条件下で非水電解質二次電池を充電深度(SOC)が50%となるまで充電した。次に、-30℃の条件下で、1.6It、3.2It、4.8It、6.4It、8.0It及び9.6Itの電流でそれぞれ10秒間充電を行い、それぞれの電池電圧を測定し、各電流値に対して電池電圧をプロットして充電時における回生を求めた。
【0041】
<高温サイクル特性の評価>
実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池を、25℃の条件下、定電流1Itで電池電圧が4.1Vとなるまで定電流充電した。その後、4.1Vの定電圧で定電圧充電を1.5時間行う。10秒間休止後、定電流1Itで電池電圧が2.5Vとなるまで放電した。このときの放電容量を高温サイクル前電池容量とする。
次に、実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池を60℃の条件下で、以下の充放電サイクルを400サイクル行った。
定電流2It(10A)で電池電圧が4.1Vになるまで充電を行った。10秒間休止後、定電流2It(10A)で電池電圧が3.0Vになるまで放電を行った。これを1サイクルとする。
400サイクル後の実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池を、25℃の条件下、定電流1Itで電池電圧が4.1Vとなるまで定電流充電した。その後、4.1Vの定電圧で定電圧充電を1.5時間行った。10秒間休止後、定電流1Itで電池電圧が2.5Vとなるまで放電した。このときの放電容量を高温サイクル後電池容量とする。
そして以下の式より、高温サイクル後の容量維持率を算出した。
容量維持率=(高温サイクル後電池容量(Ah)/高温サイクル前電池容量(Ah))
【0042】
<リチウム析出耐久性の評価>
実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池について以下の試験を行った。
25℃の条件下で非水電解質二次電池を充電深度(SOC)が60%となるまで充電した。その後、25℃の条件下で、36Itで10秒間充電し、6.8Itで50秒間放電し、300秒間休止した。これを1サイクルとし、1000サイクル行った。
その後、非水電解質二次電池を解体し、負極表面へのリチウム析出の有無を目視で確認した。
【0043】
実施例1~5、比較例1~11の非水電解質二次電池の低温回生特性の評価結果、高温サイクル特性の評価結果、リチウム析出の有無を表1に示す。表1において、各非水電解質二次電池の低温回生特性の評価結果は、比較例1の非水電解質二次電池の低温回生を100%として相対値で記載している。表1において、各非水電解質二次電池の高温サイクル特性の評価結果は、比較例1の非水電解質二次電池の容量維持率を100%として相対値で記載している。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1~5の非水電解質二次電池は、低温回生特性が117%~125%と高く、高温サイクル特性が116%~120%と高く、リチウム析出も無い。このように、実施例1~5の非水電解質二次電池は低温回生特性及び高温サイクル特性に優れ、リチウム析出の無い信頼性の高い非水電解質二次電池となっている。
【0046】
実施例1~5の非水電解質二次電池は、非水電解質にジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートが含有され、被覆黒鉛粒子の被覆層にピッチの焼成物及びカーボンブラックを含有させ、負極活物質合剤層に、被覆黒鉛粒子及び導電剤としてのカーボンブラックを含む。更に、実施例1~5の非水電解質二次電池は、負極活物質合剤層表面の算術平均粗さRaが2.8μm~3.4μmの範囲であり、セパレータの弾性率が15.1MPa~36.3MPaの範囲となっている。このため、正極及び負極にジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートに由来する良質な被膜が形成されると共に、負極の電子伝導性を向上させることができ、また、セパレータと負極の密着性を向上させることができる。このため、高温サイクル特性も効果的に向上させることができる。
【0047】
実施例1~5の非水電解質二次電池では、被覆黒鉛粒子の被覆層が、第1の非晶質炭素としてピッチの焼成物と、第2の非晶質炭素としてのカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、ピッチの焼成物よりも導電性が高く、負極内での電子伝導性をより効果的に向上させる。さらに、ピッチの焼成物からなる層の内部に、カーボンブラックを分散させているので、黒鉛粒子表面にカーボンブラックをより効果的に固着させることができる。このため、被覆層の電子伝導性がより効果的に向上し、低温回生特性がより効果的に控除したものと考えられる。また、ピッチの焼成物により、カーボンブラックが黒鉛粒子に強
固に固着される。
【0048】
比較例10及び11の非水電解質二次電池は、負極活物質合剤層が被覆黒鉛粒子と導電剤としてのカーボンブラックを含有し、負極活物質合剤層の算術平均粗さRaが3.1μmである。また、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有する。しかしながら、比較例10ではセパレータの弾性率が42.3MPaと高い値となっており、比較例11ではセパレータの弾性率が12.7MPaと低い値となっている。このため、比較例10及び比較例11においては、低温回生特性及び高温サイクル特性が実施例1~5に比べて劣っている。また、比較例10では、リチウム析出も見られた。
【0049】
比較例10では、セパレータの弾性率が高すぎるため、負極活物質合剤層の表面の凹凸がセパレータに食い込み難くなっている。このため、負極とセパレータの密着性が悪く、低温回生特性及び高温サイクル特性が低く、またリチウム析出が見られたものと考えられる。比較例11では、セパレータの弾性率が低すぎたため、セパレータの細孔が潰れリチウムイオンが通過し難くなり、比較例1と比べても低温回生特性及び高温サイクル特性が低下したものと考えられる。
【0050】
比較例9の非水電解質二次電池では、黒鉛粒子表面を被覆する層にカーボンブラックが含まれない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず、低温回生特性及び高温サイクル特性が十分には改善されない。また、リチウム析出が見られる。
【0051】
比較例1と比較例2の比較より、単にセパレータの弾性率を変化させるのみでは、低温回生特性及び高温サイクル特性は殆ど変化しないことがわかる。
【0052】
比較例3の非水電解質二次電池では、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有する。このため、比較例1に比べ、高温サイクル特性が向上している。しかしながら、被覆黒鉛粒子にカーボンブラックが含有されず、また、負極活物質合剤層に導電剤としてのカーボンブラックが含有されない。このため、負極の電子伝導性が不十分であり、低温回生特性が低い。
【0053】
比較例4の非水電解質二次電池では、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有しない。また、負極活物質合剤層が導電剤としてのカーボンブラックを含有しない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず、また、正極ないし負極に良質な被膜が形成されないため、低温回生特性及び高温サイクル特性が低い。また、リチウム析出が見られる。
【0054】
比較例5の非水電解質二次電池では、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有する。しかしながら、負極活物質合剤層が導電剤としてのカーボンブラックを含有しない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず低温回生特性及び高温サイクル特性が低い。また、リチウム析出が見られる。
【0055】
比較例6の非水電解質二次電池では、負極活物質合剤層が導電剤としてのカーボンブラックを含有する。しかしながら、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有しない。また、被覆黒鉛粒子にカーボンブラックが含有されない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず、また、正極ないし負極に良質な被膜が形成されないため、低温回生特性及び高温サイクル特性が低い。また、リチウム析出が見られる。
【0056】
比較例7の非水電解質二次電池では、負極活物質合剤層が導電剤としてのカーボンブラ
ックを含有する。しかしながら、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有しない。また、被覆黒鉛粒子にカーボンブラックが含有されない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず、また、正極ないし負極に良質な被膜が形成されないため、低温回生特性及び高温サイクル特性が低い。また、リチウム析出が見られる。
【0057】
比較例8の非水電解質二次電池では、被覆黒鉛粒子にカーボンブラックが含有されておらず、非水電解液がジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビスオキサレートボレートを含有しない。したがって、負極の電子伝導性が十分に改善されず、また、正極ないし負極に良質な被膜が形成されないため、低温回生特性及び高温サイクル特性が低い。また、リチウム析出が見られる。
【0058】
なお、被覆黒鉛粒子において、黒鉛粒子に対する被覆層の質量は、0.5質量%~15質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましい。
負極活物質合剤層において、被覆黒鉛粒子に対する第3の非晶質炭素の質量は、0.5質量%~15質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましい。
【0059】
上述の実施例1~5においては、黒鉛粒子の表面にカーボンブラック(第2の非晶質炭素)を付着させた後、ピッチ(焼成により炭素化され第1の非晶質炭素となる材料)を混合し、焼成する例を示した。他の方法として、第1の非晶質炭素となる材料と第2の非晶質炭素を混合した後、この混合物を黒鉛粒子の表面に付着させることもできる。
【0060】
なお、第1の非晶質炭素と第2の非晶質炭素は異なるものである。但し、第2の非晶質炭素と第3の非晶質炭素は同じものであってもよい。
【0061】
上述の実施例1~5においては、第1の非晶質炭素として、ピッチの焼成物を用いたが、ピッチ以外に樹脂の焼成物、重質油の焼成物等を使用することができる。
さらに、第2の非晶質炭素として、カーボンブラックを用いたが、カーボンブラック以外にアセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電剤を使用することができる。
さらに、導電剤としての第3の非晶質炭素として、カーボンブラックを用いたが、カーボンブラック以外にアセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電剤を使用することができる。
【0062】
本発明において、ジフルオロリン酸塩としては、カウンターカチオンが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムからなる群より選ばれることが好ましい。特にジフルオロリン酸リチウムが好ましい。なお、ジフルオロリン酸リチウムに他の化合物が配意していてもよい。非水電解液中のジフルオロリン酸塩の含有量は、0.01~0.2mol/Lとすることが好ましく、0.01~0.1mol/Lとすることがより好ましく、0.03~0.07mol/Lとすることが更に好ましい。
【0063】
本発明において、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩としては、リチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロ(オキサレート)ホウ酸塩、リチウムトリス(オキサレート)リン酸塩、リチウムジフルオロ(ビスオキサレート)リン酸塩、リチウムテトラフルオロ(オキサレート)リン酸塩等を用いることができる。非水電解液中のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩の含有量は、0.01~0.2mol/Lとすることが好ましく、0.05~0.15mol/Lとすることがより好ましい。
【0064】
正極、セパレータ、電解液等の各材料は、非水二次電池に使用される公知のものを使用することができる。なお、非水電解質二次電池の場合は以下のような材料を用いることが
好ましい。
【0065】
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等が挙げられる。また、上記のリチウム遷移金属複合酸化物にAl、Ti、Zr、W、Nb、B、Mg又はMo等を添加したものも使用し得る。あるいは、オリビン型のリン酸鉄リチウムを用いることもできる。
【0066】
なお、正極活物質合剤層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含むことが好ましい。結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVdF)が特に好ましい。また導電剤しては炭素材料が特に好ましい。また、正極芯体はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であることが好ましい。
【0067】
また、圧縮後の正極活物質合剤層の充填密度は、2g/cm以上であることが好ましく、2.5g/cm以上であることがより好ましい。
【0068】
負極活物質としてはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料を用いることができる。リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛性炭素、易黒鉛性炭素、繊維状炭素、コークス及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの内、特に黒鉛が好ましい。さらに、非炭素系材料としては、シリコン、スズ、及びそれらを主とする合金や酸化物などが挙げられる。
【0069】
非水電解質の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を使用することができ、これらの溶媒の2種類以上を混合して用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートを用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いることが好ましい。また、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和環状炭酸エステルを非水電解質に添加することもできる。
【0070】
非水電解質の電解質塩としては、従来のリチウムイオン二次電池において電解質塩として一般に使用されているものを用いることができる。例えば、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12、LiB(C、LiB(C)F、LiP(C、LiP(C、LiP(C)F等及びそれらの混合物が用いられる。これらの中でも、LiPFが特に好ましい。また、前記非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、0.5~2.0mol/Lとするのが好ましい。
【0071】
セパレータとしては、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィン製の多孔質セパレータを用いることが好ましい。特にポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の3層構造(PP/PE/PP、あるいはPE/PP/PE)を有するセパレータを用いることが好ましい。また、セパレータにアルミナ等の無機粒子とバインダーから成る耐熱層を設けることができる。また、ポリマー電解質をセパレータとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0072】
20・・・角形二次電池
1・・・角形外装体
2・・・封口板
3・・・巻回電極体
4・・・正極芯体露出部
40・・・正極
40a・・・正極芯体
40b・・・正極活物質合剤層
5・・・負極芯体露出部
50・・・負極
50a・・・負極芯体
50b・・・負極活物質合剤層
60・・・セパレータ

6・・・正極集電体
6a・・・接続部
6b・・・リード部
6c・・・ベース部
7・・・正極端子
8・・・負極集電体
8a・・・接続部
8b・・・リード部
8c・・・ベース部
9・・・負極端子
10・・・外部側絶縁部材
11・・・内部側絶縁部材
12・・・外部側絶縁部材
13・・・内部側絶縁部材
14・・・樹脂シート
15・・・ガス排出弁
16・・・封止栓
図1
図2
図3
図4
図5