(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着シート及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 133/00 20060101AFI20220125BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220125BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20220125BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20220125BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220125BHJP
C09J 7/10 20180101ALI20220125BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220125BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J11/06
C09J175/04
C09J133/06
C09J7/38
C09J7/10
B32B27/30 A
B32B27/00 M
(21)【出願番号】P 2017207491
(22)【出願日】2017-10-26
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴迪
(72)【発明者】
【氏名】山本 真之
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140396(JP,A)
【文献】特開2014-133879(JP,A)
【文献】特開2015-017207(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043268(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/159788(WO,A1)
【文献】特開2017-088767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00,27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性アクリル重合体、架橋剤及び炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する粘着剤組成物であって、
前記架橋性アクリル重合体を前記粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、
前記アクリルポリマーの重量平均分子量が560~10000であり、
前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に前記粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率が3.5以下である、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記アクリルポリマーが、イソステアリル(メタ)アクリレートの重合体である請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリマーを前記架橋性アクリル重合体100質量部に対して1~20質量部含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記アクリルポリマーを前記架橋性アクリル重合体100質量部に対して5~15質量部含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
粘着剤層を有し、
前記粘着剤層が請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。
【請求項8】
前記粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、
前記粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、
前記第1の剥離シート及び前記第2の剥離シートの剥離力が異なる、請求項7に記載の粘着シート。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、
前記被着体が段差部を有する、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤組成物、粘着シート及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置及び入力装置を組み合わせた装置が広く用いられている。中でも、静電容量方式のタッチパネルはその機能性から急速に普及してきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも粘着シートが使用されている。
【0003】
静電容量タッチパネルにおいては、表面に指を近づけると複数の電極間の静電容量が同時に変化し、電流量の比率を測定することで高精度に位置検出することを可能にしている。ただし、この方式を大型化するとタッチパネルの誤作動が多くなる。このような問題に対応するためには、比誘電率を制御した粘着シートを用いることが検討されている。その中でも画像表示装置とタッチパネルを有する静電容量タッチパネルにおいては、画像表示装置からの電気的なノイズによりタッチパネルの誤作動が生じやすいため、画像表示装置とタッチパネルの貼り合わせに用いる粘着シートとして、比誘電率の低い粘着シートを使用することが検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、比誘電率の低い粘着剤層を形成し得る粘着剤が開示されている。特許文献1には、炭素数10~24の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを19~99.5重量%含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤が開示されている。特許文献2には、炭素数8~24の分岐したアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)及び炭素数8~24の直鎖アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a2)を含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、炭素数が5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を含有するベースポリマー(A)と、重合性不飽和基を少なくとも1つ含有する単量体(B)と、熱によりベースポリマー(A)と反応する架橋剤(C)と、活性エネルギー線の照射により単量体(B)の重合反応を開始させる重合開始剤(D)と、を含有する粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-129538号公報
【文献】特開2013-194170号公報
【文献】国際公開WO2017/159788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らが特許文献1及び2に記載の粘着剤層を、段差部を有する被着体に対して貼合した場合、段差部に空気が残るなどして、段差追従性が十分ではないことがわかった。
なお、特許文献3の粘着剤組成物はデュアル硬化型粘着剤組成物であるため、粘着剤層を半硬化した後に被着体と貼合し、その後、後硬化を行う。しかし、被着体との貼合様式や用途によっては、後硬化のためのエネルギー線照射や加熱工程で被着体が黄変するなどの弊害により後硬化能を有さない粘着剤層が求められる場合があり、後硬化能を有さない粘着剤層の開発も求められていた。
【0008】
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、後硬化能を有さない粘着剤層であって、比誘電率が低く、かつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物を提供することを目的として検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、重量平均分子量が560~10000であって、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを、架橋性アクリル重合体と併用することにより、比誘電率が低く、かつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
【0010】
[1] 架橋性アクリル重合体、架橋剤及び炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する粘着剤組成物であって、架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、アクリルポリマーの重量平均分子量が560~10000であり、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率が3.5以下である、粘着剤組成物。
[2] 架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である、[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] 架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である、[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4] アクリルポリマーが、イソステアリル(メタ)アクリレートの重合体である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5] アクリルポリマーを架橋性アクリル重合体100質量部に対して1~20質量部含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[6] アクリルポリマーを架橋性アクリル重合体100質量部に対して5~15質量部含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[7] 粘着剤層を有し、粘着剤層が[1]~[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。
[8] 粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なる、[7]に記載の粘着シート。
[9] [7]又は[8]に記載の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、被着体が段差部を有する、積層体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、後硬化能を有さない粘着剤層であって、比誘電率が低く、かつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の積層体の構成の一例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル酸”はアクリル酸及びメタクリル酸の双方、又は、いずれかを表す。また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。
【0015】
(粘着剤組成物)
本発明は、架橋性アクリル重合体、架橋剤及び炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する粘着剤組成物に関する。ここで、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの重量平均分子量は560~10000である。また、本発明の粘着剤組成物は、架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率は3.5以下である。
【0016】
本発明の粘着剤組成物は、上記構成を有することにより、粘着剤層を形成した場合の比誘電率を低くすることができ、かつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成することができる。
通常、光学用途に用いられる粘着シートを形成する際には、透明性に優れる架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)が用いられている。比誘電率を低くするためには、このような架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更することが検討されているが、比誘電率を低くすると段差追従性が劣り、逆に段差追従性を良好にすると比誘電率が高くなるなど、比誘電率を低下させることと段差追従性を両立させることは困難であった。しかし、本発明者らは、鋭意検討の末、架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更するのではなく、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを、架橋性アクリル重合体と併用することにより、粘着剤層の比誘電率を低下させることができ、かつ段差追従性を良化させ得ることを見出した。このように、本発明は、特定のアクリルポリマーを、架橋性アクリル重合体と併用することにより、後硬化能を有さない粘着剤層において、比誘電率の低下と、優れた段差追従性を両立し得ることに成功したものである。
【0017】
粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合、粘着剤層の周波数1MHzでの比誘電率は3.5以下であればよく、3.1以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.9以下であることがさらに好ましい。粘着剤層の比誘電率を上記範囲内とすることにより、該粘着剤層を有する粘着シートはタッチパネルを搭載した表示装置を構成する光学部材の接着に好ましく用いられる。
なお、粘着剤層の比誘電率は、1MHzの周波数における比誘電率であって、JIS C 2138に規定される方法で算出される値を用いる。
【0018】
粘着剤組成物は、溶媒を含んでいてもよく、後述するような溶媒を含む状態では、固形分濃度が20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
【0019】
<架橋性アクリル重合体>
架橋性アクリル重合体としては、公知の架橋性アクリル重合体を用いることができる。なお、架橋性アクリル重合体は、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
【0020】
架橋性アクリル重合体は、炭素数が5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を含有することが好ましい。架橋性アクリル重合体が炭素数5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)と、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を含有する場合、架橋性アクリル重合体を含む粘着剤組成物から比誘電率が十分に低い粘着剤層を形成しやすくなる。
なお、本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
【0021】
架橋性アクリル重合体が含有する炭素数5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)は、炭素数が5以上のアルキル基を有し、かつこのようなアルキル基は分岐した構造であるため、モル体積が大きく、密度が小さい。このため、架橋性アクリル重合体が、炭素数が5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)を含む場合、架橋性アクリル重合体のモル体積を大きくし、密度を小さくすることができる。また、単位(a1)が炭素数9以下のアルキル基を有することにより、ポリマーとしたときの体積収縮率を抑えることができ、架橋性アクリル重合体のモル体積を大きく維持することができるものと考えられる。これらの結果、比誘電率の低い粘着剤層を形成しやすくなる。
【0022】
架橋性アクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物に対して50質量%以上であればよく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。また、架橋性アクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物に対して98質量%以下であることが好ましい。
【0023】
<非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)>
非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)は、炭素数が5以上9以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位である。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)として、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることが好ましい。
【0024】
非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)が有する分岐アルキル基の炭素数は5以上9以下であればよいが、7以上9以下であることが好ましい。分岐アルキル基の炭素数を上記範囲内とすることにより、比誘電率が十分に低い粘着剤層を形成しやすくなる。また、分岐アルキル基の炭素数を上記範囲内とすることにより、架橋性アクリル重合体の重合度を制御しやすく、加工性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
【0025】
架橋性アクリル重合体における非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)の含有量は、架橋性アクリル重合体の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。単位(a1)の含有量が上記範囲内とすることにより、粘着剤層の比誘電率を十分に低下することができ、さらに粘着剤層の耐久性を高めることができる。
【0026】
<架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)>
本発明では、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。この場合、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)が、カルボキシ基含有単量体単位、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、アミド基含有単量体単位、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)含有単量体単位及びイソシアネート基含有単量体単位から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。
【0027】
中でも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)は、カルボキシ基含有単量体単位、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、及びグリシジル基含有単量体単位から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましく、ヒドロキシ基含有単量体単位であることが特に好ましい。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
【0028】
また、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体は、比誘電率を高くしないという観点からアクリル酸単量体よりメタクリル酸単量体の方が好ましい。
【0029】
架橋性アクリル重合体における架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)の含有量は、架橋性アクリル重合体の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。また、単位(a2)の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。単位(a2)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、架橋性を十分に有しており、上記範囲の上限値以下であれば、必要な粘着物性を維持でき、かつ比誘電率が十分に低い粘着剤層を形成することができる。
【0030】
<他の単量体単位>
架橋性アクリル重合体は、必要に応じて非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、炭素数が4以下、もしくは炭素数が10以上の(メタ)アクリル酸エステル単位を挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。また、その他の(メタ)アクリル酸エステル単位として、炭素数が5以上9以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を含んでいてもよい。具体的には、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル等を挙げることができる。さらに、その他の(メタ)アクリル酸エステル単位としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の環状基を有する(メタ)アクリル酸エステル単位や、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。架橋性アクリル重合体における他の単量体単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
【0031】
<架橋性アクリル重合体の物性>
架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は、10万以上200万以下が好ましく、30万以上150万以下がより好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な段差追従性を確保することができる。なお、架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。架橋性アクリル重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
【0032】
ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
【0033】
架橋性アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)は、-80℃以上-10℃以下であることが好ましく、-75℃以上-15℃以下であることがより好ましく、-70℃以上-18℃以下であることがさらに好ましい。架橋性アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着剤層としたときの凝集力をより高めることができる。これにより、耐久性に優れ、かつ粘着力に優れた粘着剤層が得られる。
【0034】
架橋性アクリル重合体の比誘電率は4.0以下であることが好ましく、3.8以下であることがより好ましい。なお、上記の架橋性アクリル重合体の比誘電率は、架橋性アクリル重合体のみの比誘電率である。
【0035】
<アクリルポリマー>
本発明の粘着剤組成物は、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含有する。該アクリルポリマーは、炭素数15~24の分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの重合体であることが好ましく、炭素数15~24の分岐アルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの重合体であることがより好ましい。
【0036】
アクリルポリマーが含有する分岐アルキル基の炭素数は、15以上であればよく、16以上であることが好ましく、17以上であることがより好ましい。また、アクリルポリマーが含有する分岐アルキル基の炭素数は、24以下であればよく、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
【0037】
炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーとしては、例えば、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソエイコシル(メタ)アクリレート等の重合体を挙げることができる。中でも、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーは、イソステアリル(メタ)アクリレートの重合体であることが好ましい。
【0038】
炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの重量平均分子量は、560以上であればよく、800以上であることが好ましい。また、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの重量平均分子量は、10000以下であればよく、8000以下であることが好ましい。アクリルポリマーの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、上述した架橋性アクリル重合体との相溶性がより良好となり、光学部材に用いる際に白濁せずに透明な粘着剤層を形成することができる。また、アクリルポリマーの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、粘着剤層の段差追従性を高めることもできる。なお、アクリルポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
【0039】
炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量は、上述した架橋性アクリル重合体100質量部に対し、1~20質量部であることが好ましく、5~15質量部であることがより好ましい。
また、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。また、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、15質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーの含有量を上記範囲内とすることにより、比誘電率を上げることなくまたは比誘電率を下げる効果を発現しつつ段差追従性に優れた粘着剤層を形成しやすくなる。
なお、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーは1種類単独で含んでいてもよく、組成や重量平均分子量等が異なる2種類以上を含んでいてもよい。
【0040】
炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーは重合により製造することが出来る。その製造方法は、特に限定されず、通常用いられる重合方法から適宜選択できる。重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
【0041】
<架橋剤>
架橋剤は、熱により架橋性アクリル重合体と反応する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。たとえば架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることができる。架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることが好ましい。本発明では、架橋剤が二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましく、二官能性以上のイソシアネート化合物であることがより好ましい。
【0042】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ジイシアネートは2官能のまま用いてもよいし、アダクト、ヌレート、ビュレットなどの3官能誘導体にして用いても良い。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
架橋剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、キシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD-110N)等が挙げられる。
【0043】
架橋剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする接着物性等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
また、架橋剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
【0044】
<溶剤>
粘着剤組成物はさらに溶剤を含有してもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性を向上させ得る。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
【0045】
溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の溶剤の含有量は、特に限定されないが、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、25質量部以上500質量部以下とすることが好ましく、30質量部以上400質量部以下とすることがより好ましい。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。
【0046】
<可塑剤>
本発明の粘着剤組成物は、上述したアクリルポリマー以外の可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤が含まれる場合は、可塑剤の含有量は、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることがさらに好ましい。
【0047】
可塑剤としては、無官能性アクリル重合体を用いることができる。無官能性アクリル重合体とは、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位と官能基を有しない非アクリル単量体単位とからなる重合体を意味する。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
【0048】
<任意成分>
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
【0049】
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤組成物の重合時の未反応の単量体や重合開始剤以外の単量体又は重合開始剤を実質的に含まない粘着剤組成物であることが好ましく、単量体及び重合開始剤の両方を実質的に含まない粘着剤組成物であることがより好ましい。すなわち、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層はアフターキュアレスの粘着剤層であることが好ましい。ここで、アフターキュアとは、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層が半硬化物となったものを用いて、被着体の表面に粘着剤層を設けた後にさらに半硬化物の粘着剤層を完全硬化する方法を言う。アフターキュアレスとは、被着体の表面に粘着剤層を設けた後の後硬化(アフターキュア)が不要であることを言う。
【0050】
具体的には、本発明の粘着剤組成物中における単量体の含有量は5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。また、本発明の粘着剤組成物中における重合開始剤の含有量は0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。本明細書において、粘着剤組成物中における単量体及び重合開始剤の含有量が上記範囲内であれば、単量体及び重合開始剤を実質的に含まないと言う。
【0051】
また、本発明の粘着剤組成物は、アルコキシシリル基含有アクリルポリマーを実質的に含まない粘着剤組成物であることが好ましい。具体的には、本発明の粘着剤組成物中におけるアルコキシシリル基含有アクリルポリマーの含有量は1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
(粘着シート)
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有し、粘着剤層が上述した粘着剤組成物の硬化物である。本発明の粘着シートは、比誘電率が低く、段差追従性に優れる粘着剤層を有するため、タッチパネルを搭載した表示装置を構成する光学部材の接着に好ましく用いられる。
【0053】
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、片面粘着シートでも両面粘着シートでもよい。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、ノンキャリアタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
【0054】
本発明の粘着シートが支持体を有している場合、支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。
【0055】
粘着剤層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、粘着シートは、剥離シート付き粘着シートであってもよい。
図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、
図1の粘着シート11は、ノンキャリアタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
【0056】
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
【0057】
本発明では、粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なることが好ましい。
図1の例では、剥離シート12においては、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
【0058】
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上450μm以下であることがより好ましく、30μm以上450μm以下であることがさらに好ましく、40μm以上400μm以下であることが一層好ましく、40μm以上350μm以下であることがより一層好ましく、40μm以上300μm以下であることが特に好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性を十分に確保することができ、さらに耐久性を高めることができる。また、粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、両面粘着シートの製造が容易となる。
【0059】
粘着シートの対ガラス粘着力は10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。なお、上述した被着体に対する粘着シートの粘着力は、ガラスに対する180°引き剥がし、粘着力をJIS Z 0237にならって測定した値である。
【0060】
(粘着シートの製造方法)
粘着シートの製造方法は、特に限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着剤層と他の層から構成されてもよいが、粘着剤層のみから構成されるものであることが好ましい。他の層としては、例えば上記以外の粘着剤組成物から形成される粘着剤層、支持体、剥離シート等が挙げられる。支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
【0061】
粘着シートの製造工程は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
【0062】
以下、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱して硬化物とする工程について代表して説明する。
塗膜の加熱により、架橋性アクリル重合体及び架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着シート)が形成される。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
【0063】
粘着シートを形成する粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
【0064】
(粘着シートの使用方法)
本発明の粘着シートを使用する場合、粘着シートの粘着剤層を露出させた状態で被着体表面に接触させる。粘着シートの粘着剤層は、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを含むことから、被着体が段差部を有していても、粘着剤層はその段差部の凹凸に追従することができる。
【0065】
(積層体)
本発明の積層体は、本発明の粘着シートの少なくとも一方の表面に被着体を有し、被着体が段差部または段差に由来する凹凸を有する。被着体は液晶モジュールを有する画像表示装置を構成する光学部材又はタッチパネルを構成する光学部材であることが好ましい。積層体は、粘着シートの粘着剤層を被着体表面に接触させる工程を経て得られることが好ましい。
【0066】
図2は、本発明の粘着シート21を被着体22と被着体24に貼合した積層体20の構成の一例を表す断面図である。
図2に示されているように、被着体22及び24は段差部(27a、27b、27c、27d又は27aと27b又は27cと27dのいずれか片側だけでも良い)を有する。
図2では、被着体22は段差部(27a、27b)を有しており、被着体24が段差部(27c、27d)を有している。なお、段差部(27a、27b、27c、27d)の厚みは、通常5μm以上60μm以下である。このように本発明の粘着シート21は、段差部を有する部材に貼合することができ、段差部の凹凸に追従することができる。
【0067】
被着体は、光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本発明の粘着シートは、タッチパネルと画像表示装置の積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルと画像表示装置の積層用であることがより好ましい。この観点から、本発明の粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましく、これらガラスやフィルムの裏面(導電層が無い面)に粘着シートを貼着することが好ましい。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。なお、これらのフィルムの粘着剤層に接する側にはハードコート層などの機能層を設けていても良い。
【0068】
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体の貼合に用いることができる。この場合、本発明の粘着シートは、タッチパネルの内部におけるITOフィルム同士の貼合、ITOフィルムとITOガラスとの貼合、タッチパネルのITOフィルムと液晶パネルとの貼合、カバーガラスとITOフィルムとの貼合、カバーガラスと加飾フィルムとの貼合などに用いられる。
【0069】
(積層体の製造方法)
本発明は積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、上述した粘着シートを被着体の表面に接触させる工程を含むことが好ましい。
【実施例】
【0070】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0071】
[実施例1]
<粘着剤組成物の作製>
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、2-エチルヘキシルメタクリレート(2-EHMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)を質量比で30:60:10となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル重合体(A)を得た。架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は50万であった。
なお、架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた。
ゲルパーミエションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
【0072】
上記で得られた架橋性アクリル重合体(A)のアクリル重合体の固形分100質量部に対して、炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーとしてイソステアリルアクリレートのホモポリマーを10質量部、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD-110N)を0.15質量部加えて、固形分濃度が40質量%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
なお、イソステアリルアクリレートのホモポリマーは以下の様にして重合した。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、反応槽に溶剤としてメチルエチルケトン80質量部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4質量部を仕込み、イソステアリルアクリレート(100質量部を滴下管から約2時間かけて滴下し、窒素雰囲気下で約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈し、不揮発分50質量%、分子量5800のイソステアリルアクリレートのホモポリマー溶液を得た。
【0073】
<粘着シートの作製>
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL-07(2))の表面に、乾燥後の塗工量が150μm/m2になるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL-07(L))に貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える粘着シートを得た。この粘着シートに対し、23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置するエージング処理を施した。
【0074】
<積層体(1)の作製>
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を8回繰り返し、40μmの段差部を有する印刷段差ガラスを得た。
得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、粘着剤層が印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層の面にガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を上記ラミネーターで貼合し、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(1)を得た。
【0075】
<積層体(2)の作製>
得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、積層体(1)の作製時に使用した40μmの段差部を有する印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。
被着体として、偏光板(ポラテクノ(株)製、SKN-18243T)を予めガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の片面と同寸法に切り出し、上記偏光板の表面に中心粒径30μmのガラスビーズを約0.05mg散布したものを作製した。
印刷段差ガラスと一体化されている積層体の第2の剥離シートを剥がし、ラミネーターで上記被着体の偏光板のガラスビーズが散布された表面と貼合した。その後、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体(2)を得た。
【0076】
[実施例2]
架橋性アクリル重合体(A)を架橋性アクリル重合体(B)に変更し、重量平均分子量5800のイソステアリルアクリレートのホモポリマー10質量部を重量平均分子量8100のイソステアリルアクリレートのホモポリマーを20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、架橋性アクリル重合体(B)の作製は、2-EHMAの代わりにn-ブチルアクリレート(BA)を用いて、BA、2-EHA、2-HEAを質量比で70:20:10となるように配合した以外は実施例1の架橋性アクリル重合体(A)の作製と同様にした。架橋性アクリル重合体(B)の重量平均分子量は70万であった。
また重量平均分子量8100のイソステアリルアクリレートのホモポリマーの作製は、開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルの仕込み量を4質量部から3質量部に変えた以外は実施例1のイソステアリルアクリレートのホモポリマーの作製と同様にした。
【0077】
[比較例1]
炭素数15~24の分岐アルキル基を含有するアクリルポリマーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
【0078】
[比較例2]
架橋性アクリル重合体(A)の代わりに架橋性アクリル重合体(B)を用いた以外は比較例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
【0079】
[比較例3]
架橋性アクリル重合体(A)の代わりに架橋性アクリル重合体(C)を用いて、架橋剤の配合量を0.15質量部から0.7質量部に代えた以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、架橋性アクリル重合体(C)の作製は、2-EHMAの代わりにイソステアリルアクリレート(ISTA)、2-EHAの代わりに4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を用いて、ISTA、2-EHA、HBAを質量比で90:10:1となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の代わりに2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを用いた以外は実施例1の架橋性アクリル重合体(A)の作製と同様にした。架橋性アクリル重合体(C)の重量平均分子量は70万であった。
【0080】
[評価]
<比誘電率>
粘着剤層の比誘電率の評価は以下の手順で実施した。粘着剤層(粘着シートから第1の剥離シート及び第2の剥離シートを剥離したもの)を2枚の銅箔の間に挟み、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施した。その後、誘電体測定システム((株)東陽テクニカ製、1260型)によりJIS C 2138に基づいて比誘電率を測定した。周波数、測定環境は下記条件で測定した。
周波数:1MHz
測定環境:23℃、相対湿度55%
【0081】
<段差追従性>
積層体(1)及び積層体(2)の印刷段差部をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、粘着シートの段差追従性を以下の基準で評価した。
○:積層体(1)及び積層体(2)において完全に段差が埋まっている。
△:積層体(1)又は積層体(2)において段差部の一部に空気が残っている。
×:積層体(1)及び積層体(2)において段差部の全体に空気が残っている。
【0082】
【0083】
上記表1から、実施例で得られた粘着剤組成物は、比誘電率の低い粘着剤層であって、段差追従性に優れた粘着剤層を形成し得るものであることがわかった。
なお、実施例の粘着剤層の対ガラス粘着力は18N/25mm以上であった。
【符号の説明】
【0084】
1 剥離シート付き粘着シート
11 粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート
20 積層体
21 粘着シート(粘着剤層)
22 被着体
24 被着体
27a、27b、27c、27d 段差部