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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】止着具
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/01 20060101AFI20220125BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20220125BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20220125BHJP
   B42F 1/02 20060101ALI20220125BHJP
   B43L 7/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B26D7/01 Z
A47G29/00 J
B26D1/30 503L
B42F1/02 N
B43L7/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017215065
(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2019084632
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】菅原 英剛
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-165292(JP,A)
【文献】特開2004-050333(JP,A)
【文献】特開平11-219109(JP,A)
【文献】特開2005-107243(JP,A)
【文献】登録実用新案第3008340(JP,U)
【文献】登録実用新案第3140760(JP,U)
【文献】特開2001-175207(JP,A)
【文献】実開平7-2087(JP,U)
【文献】実開昭58-42061(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/01
B26D 1/30
A47G 29/00
B42F 1/02
B43L 5/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石吸着面に吸着し得る矩形板状をなす第一、第二の磁石と、これら第一、第二の磁石を保持するとともに外部に表出する第一の外向面を設けた止着具本体と、この止着具本体に対して回動可能に取り付けられ前記第一の外向面に対して反対の方向を向く第二の外向面を設けた離脱補助部材とを備えてなる止着具であって、
前記第一の外向面及び前記第二の外向面を手指によって相寄る方向に摘むことによって、前記第一、第二の磁石の全体が前記磁石吸着面に対して傾き、当該磁石吸着面に対する吸着力が弱まり得るように構成されているものであり、
前記止着具本体が前後方向に延びてなる長尺状のものであり、前記離脱補助部材が前記止着具本体の長手方向中間部に配されているものであり、
前記止着具本体が、前記第一の外向面を含んでなる側壁を備えたものであり、この側壁が、用紙の端縁を当接させて当該用紙を位置決めし得る定規面を備えているものであり、
前記第一、第二の磁石が、前記離脱補助部材を挟んで前後に対をなして設けられている止着具。
【請求項2】
前記離脱補助部材が、前記第二の外向面に対する操作力を受けて前記止着具本体を前記磁石吸着面に対して傾かせる傾斜変換機構を備えている請求項1記載の止着具。
【請求項3】
前記傾斜変換機構が、前記離脱補助部材の一部を前記止着具本体における前記磁石吸着面に当接し得る端部に対して突出させるものである請求項2記載の止着具。
【請求項4】
前記離脱補助部材の少なくとも一方向の回動を規制する回動規制手段を設けている請求項1、2又は3記載の止着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石を備えた止着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁石を利用して磁石吸着面となる水平面や起立面に止着し得る止着具が知られている。
【0003】
かかる止着具の中には、磁石吸着面からの離脱を容易に行うために、止着具本体に、磁石吸着面の方向に押圧操作して磁力を減じさせるための操作部材を設けたものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ところが、このようなものであると、止着具を磁石吸着面から離脱させるときに、「操作部材を、磁石吸着面の方向に押圧操作して止着具を磁石吸着面から離れやすい状態にする」という第一の作業と、「操作部材から一旦手を離した後に、止着具を持ちなおし当該止着具を磁石吸着面から引き離す」という第二の作業とを段階的に行わなければならなかった。換言すれば、従来の止着具は、磁石吸着面から離脱させる際に、第一、第二の段階的な作業が必要であったため、全体として操作が煩雑なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-321025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、磁石吸着面から離脱する操作を好適に行い得る止着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、磁石吸着面に吸着し得る矩形板状をなす第一、第二の磁石と、これら第一、第二の磁石を保持するとともに外部に表出する第一の外向面を設けた止着具本体と、この止着具本体に対して回動可能に取り付けられ前記第一の外向面に対して反対の方向を向く第二の外向面を設けた離脱補助部材とを備えてなる止着具であって、前記第一の外向面及び前記第二の外向面を手指によって相寄る方向に摘むことによって、前記第一、第二の磁石の全体が前記磁石吸着面に対して傾き、当該磁石吸着面に対する吸着力が弱まり得るように構成されているものであり、前記止着具本体が前後方向に延びてなる長尺状のものであり、前記離脱補助部材が前記止着具本体の長手方向中間部に配されているものであり、前記止着具本体が、前記第一の外向面を含んでなる側壁を備えたものであり、この側壁が、用紙の端縁を当接させて当該用紙を位置決めし得る定規面を備えているものであり、前記第一、第二の磁石が、前記離脱補助部材を挟んで前後に対をなして設けられている止着具である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記離脱補助部材が、前記第二の外向面に対する操作力を受けて前記止着具本体を前記磁石吸着面に対して傾かせる傾斜変換機構を備えている請求項1記載の止着具である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記傾斜変換機構が、前記離脱補助部材の一部を前記止着具本体における前記磁石吸着面に当接し得る端部に対して突出させるものである請求項2記載の止着具である。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記離脱補助部材の少なくとも一方向の回動を規制する回動規制手段を設けている請求項1、2又は3記載の止着具である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、磁石吸着面から離脱する操作を好適に行い得る止着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態を示す平面図。
図3】同実施形態を示す底面図。
図4】同実施形態を示す左側面図。
図5】同実施形態を示す斜視図。
図6】同実施形態を示す部分拡大斜視図。
図7図3におけるA-A線断面図。
図8図3におけるB-B線断面図。
図9図3におけるC-C線断面図。
図10図3におけるD-D線断面図。
図11】同実施形態における作動説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1~11を参照して説明する。なお、この明細書では、説明の便宜上、前後、左右、及び、上下については、図2の平面図に則して(すなわち、図2における下が「前」であり、上が「後」である。)説明することとする。
【0018】
この実施形態は、本発明を、止着具である定規Hに適用したものである。
【0019】
定規Hは、図1に示すように、裁断機Aの略水平な磁石吸着面である上向面mに、磁石M1、M2の磁力を利用して吸着し得るものである。そして、裁断機Aによって切断されるべき用紙Pの一端縁peが、上向面mにおける所定の位置に定着した定規Hに当接し、当該用紙Pが所定の位置に位置決めされ得るようになっている。
【0020】
まず、定規Hを利用し得る裁断機Aの概要を説明する。
【0021】
裁断機Aは、例えば図示しない机等の天板の上に載置されるベースBと、ベースBに対して回動可能に支持された上刃Cと、上刃Cに隣接する位置にベースBに対して回動可能に配された用紙押さえDと、用紙押さえDに取り付けられた安全板Eとを備えている。
【0022】
ベースBは、裁断するべき用紙Pが配設される磁石吸着面である上向面mを有したベース本体b1と、ベース本体b1の右側端部に止着された下刃b2と、ベース本体b1の後縁部に沿って配された後カバーb3と、ベース本体b1の前縁部に沿って配された前カバーb4とを備えてなる。ベース本体b1は、定規Hに設けられた磁石M1、M2が吸着し得る金属製のものである。
【0023】
続いて、定規Hの各構成について詳述する。
【0024】
定規Hは、磁石吸着面である上向面mに吸着し得る第一、第二の磁石M1、M2と、第一、第二の磁石M1、M2を保持するとともに外部に表出する第一の外向面Sを設けた止着具本体である定規本体1と、定規本体1に取り付けられ第一の外向面Sに対して反対の方向を向く第二の外向面Tを設けた離脱補助部材2とを備えてなる。定規Hは、図2に示すように、前後方向中央に設定された左右方向に延びる仮想中心線Xを中心にして対称形状をなしている。
【0025】
定規Hは、定規本体1の外側壁である右側壁12に設けた第一の外向面S、及び、離脱補助部材2の外側壁である左側壁21に設けた第二の外向面Tを、手指Yによって相寄る方向に摘むことによって、磁石M1、M2の全体が磁石吸着面である上向面mに対して傾き、当該上向面mに対する吸着力が弱まり得るように構成されている。
【0026】
第一、第二の磁石Mは、矩形板状をなしている。第一、第二の磁石M1、M2の上面は、定規本体1の内部に設けた磁石支持板Fの下面に接着剤等の接着手段により止着されている。なお、磁石支持板Fは、第一、第二の磁石M1、M2を配設するための略矩形板状のものであり、図示しないねじにより定規本体1の内面側に止着されている。
【0027】
定規本体1は、合成樹脂製のものである。定規本体1は、全体として前後方向に延びてなる長尺状のものである。定規本体1は、天壁1aと、天壁1aの周縁部から垂下した周壁1bとを備えている。定規本体1における長手方向中間部、すなわち、定規本体1における中央部の一側には、離脱補助部材2を配設するための凹陥部1uが形成されている。
【0028】
定規本体1の天壁1aは、平面視において、縦長長方形の一部分を切り欠いた形状をなしている。換言すれば天壁1aは、長手方向中央部における一側部部たる左部分に離脱補助部材2を配設し得る切欠部kが形成されている。切欠部kは、離脱補助部材2における天壁2aの一部を定規本体1における天壁1aの高さ位置と略同じ位置に位置させ得るとともに、離脱補助部材2が定規本体1に干渉せずに回動し得るようにするためのものである。
【0029】
定規本体1の周壁1bは、その下端縁1eが、第一、第二の磁石M1、M2の下面m1、m2とともに磁石吸着面である上向面mに当接し得るように構成されている。なお、前文における「当接し得る」とは、定規本体1の下端縁1e又は第一、第二の磁石M1、M2の下面m1、m2の何れか一方が、微細な寸法誤差によって上向面mに対して離間した態様を含んでいる。
【0030】
周壁1bは、離脱補助部材2を挟んで前後に対をなして設けられた左側壁11と、左側壁11の反対側を向く右側壁12と、前の左側壁11の前端縁と右側壁12の前端縁との間に設けられた前壁13と、後の左側壁11の後端縁と右側壁12の後端縁との間に設けられた後壁14と、前後の左側壁11間に設けられた平面視コ字状をなす凹陥部形成壁15とを備えている。
【0031】
定規本体1の右側壁12は、幅方向の略全域に亘って用紙Pの端縁peを当接させて当該用紙Pを位置決めし得る定規面Gを備えている。右側壁12は、幅方向の中間部に、定規Hを上向面mから取り外す際に使用者の手指Yが触れる第一の外向面Sを備えている。右側壁12は、外面が平らに設定されており、平面視において直線状に延びている。
【0032】
凹陥部形成壁15は、離脱補助部材2の前壁23に対面する前内壁151と、離脱補助部材2の後壁24に対面する後内壁152と、前内壁151と後内壁152間に設けられ離脱補助部材2の右側壁22に対面する側内壁153とを備えている。前内壁151と後内壁152には、離脱補助部材2に突設された軸jを保持し得る軸受凹部nが設けられている。側内壁153には、幅方向中間部分に離脱補助部材2の係止凸部221が係わり合う凹欠部rが設けられている。
【0033】
離脱補助部材2は、合成樹脂製のものである。離脱補助部材2は、定規本体1の長手方向中間部に配されている。換言すれば、離脱補助部材2は、定規本体1の長手方向中間部に設けられた凹陥部1u内に位置している。
【0034】
離脱補助部材2は、定規本体1に対して回動可能に取り付けられている。すなわち、離脱補助部材2は、当該離脱補助部材2の略全体が定規本体1の凹陥部1u内に位置する基本姿勢(V)と、離脱補助部材2の一部が定規本体1の凹陥部1u内から突出する突出姿勢(W)とを採り得るように、定規本体1に対して回転可能に支持されている。
【0035】
離脱補助部材2は、前後方向に延びてなるものであり、定規本体1の約三分の一の寸法に設定されている。離脱補助部材2は、天壁2aと、天壁2aの周縁部から垂下した周壁2bとを備えている。
【0036】
天壁2aは、離脱補助部材2が回動する際に定規本体1と干渉しないように、断面視において略四分の一円弧状に湾曲した形状をなしている。
【0037】
離脱補助部材2の周壁2bは、基本姿勢(V)において、その下端縁2eが、第一、第二の磁石M1、M2の下面m1、m2、及び、定規本体1における下端縁1eとともに磁石吸着面である上向面mに略当接し得るように構成されている。周壁2bは、左側壁21と、左側壁21の反対側を向く右側壁22と、左側壁21の前端縁と右側壁22の前端縁との間に設けられた前壁23と、左側壁21の後端縁と右側壁22の後端縁との間に設けられた後壁24とを備えている。なお、天壁2a、及び、周壁2bの内面間には、複数の補強用のリブ25が設けられている。
【0038】
左側壁21は、定規Hを上向面mから取り外す際に使用者の手指Yが触れる第二の外向面Tを備えている。この実施形態では、左側壁21の略全域が第二の外向面Tを構成している。左側壁21には、幅方向中央部に右側壁22側に凹んだ凹み部211が設けられている。凹み部211は、使用者の手指Yを引っ掛かり易くするために形成されたものであり、上部に下向き傾斜面kmが形成されている。
【0039】
右側壁22は、長手方向中央部に定規本体1の右側壁12側に向かって突出する係止凸部221を備えている。そして、離脱補助部材2の係止凸部221は、基本姿勢(V)において、定規本体1の側内壁153に設けられた凹欠部rの縁部に当接し得るように構成されている。換言すれば、定規Hは、基本姿勢(V)における離脱補助部材2が、一方向の回動すなわち右側壁22が上側に移動する方向の回動を規制する回動規制手段3を設けている。回動規制手段3は、離脱補助部材2に設けられた係止凸部221と、定規本体1に設けられた凹欠部rとを主体に構成されている。
【0040】
前壁23は、左側壁21近傍の下部に、外方すなわち定規本体1の前内壁151側に向かって突出する軸jを備えている。前壁23の軸jは、前内壁151の軸受凹部nと係り合うように構成されている。
【0041】
後壁24は、左側壁21近傍の下部に、外方すなわち定規本体1の後内壁152側に向かって突出する軸jを備えている。後壁24の軸jは、後内壁152の軸受凹部nと係り合うように構成されている。
【0042】
つまり、離脱補助部材2は、定規本体1の下端縁1eに近い位置であり、且つ、定規本体1の一側端縁に近い位置において、当該離脱補助部材2の長手方向に直交する方向に回転可能に軸支持されている。
【0043】
なお、前壁23と後壁24にはそれぞれ上下方向に延びるスリットslが形成されている。前壁23と後壁24にスリットslが形成されているため、離脱補助部材2の軸jを定規本体1の軸受凹部nに係合させる際に、前壁23と後壁24が一時的に弾性変形し易いものとなっている。
【0044】
以上の構成をなす定規Hは、離脱補助部材2が、第二の外向面Tに対する操作力を受けて定規本体1を磁石吸着面である上向面mに対して傾かせる傾斜変換機構4を備えている。すなわち、傾斜変換機構4は、離脱補助部材2の一部を、定規本体1における上向面mに当接し得る端部である下端縁1eに対して突出させるものである。より具体的に言えば、傾斜変換機構4は、離脱補助部材2に設けられた第二の外向面Tと、離脱補助部材2に設けられ第二の外向面Tに対する押圧操作によって連動し定規本体1の下端縁1eに対して下方に突出する右側壁22と、定規本体1に対する離脱補助部材2の所定の相対動作を許容し得る軸支持部たる軸j及び軸受凹部nとを主体に構成されている。
【0045】
続いて、定規Hの作動について、特に、図6及び図11を参照して説明する。
【0046】
使用者は、上向面mに磁力によって止着している定規Hを当該上向面mから離脱させるため、まず、定規Hの長手方向中間部に設けられた第一、第二の外向面S、Tを互いに相寄る方向に手指Yを用いて摘む操作を行う。すなわち、使用者は、定規Hの第一、第二の外向面S、Tを互いに近接する方向に付勢する。
【0047】
使用者の操作力を受けて、定規本体1に枢着した離脱補助部材2は、内壁となる右側壁22が下方に向かって回動する。この結果、図11に示すように、離脱補助部材2における右側壁22の下端縁2eが、これに近接した定規本体1の下端縁1eよりも下方に突出する。これにより、離脱補助部材2は、上向面mから定規本体1の一端側を押し上げることになり、当該定規本体1及び磁石M1、M2の全体が傾くことになる。換言すれば、操作者が、第一の外向面S及び第二の外向面Tを手指Yによって相寄る方向に摘むことによって、第一、第二の磁石M1、M2のそれぞれ全体が上向面mに対して傾き、当該上向面mに対する吸着力が弱まるようになっている。
【0048】
上向面mに対する吸着力が減少した定規Hは、上向面mから比較的軽微な力で持ち上げることができるものとなっている。このとき、使用者は、第一、第二の外向面S、Tを摘んだ当初の状態のまま、定規Hを持ち上げることができるものとなっている。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る定規Hは、磁石吸着面である上向面mに吸着し得る第一、第二の磁石M1、M2と、磁石M1、M2を保持するとともに外部に表出する第一の外向面Sを設けた止着具本体である定規本体1と、この定規本体1に取り付けられ第一の外向面Sに対して反対の方向を向く第二の外向面Tを設けた離脱補助部材2とを備えてなる。そして、定規Hは、第一の外向面S及び第二の外向面Tを手指Yによって相寄る方向に摘むことによって、磁石M1、M2の全体が上向面mに対して傾き、当該上向面mに対する吸着力が弱まり得るように構成されている。このため、上向面mから離脱する操作を好適に行い得る定規Hを提供することができるものとなる。
【0050】
つまり、定規Hは、第一、第二の外向面S、Tが互いに相反する方向を向いているものであるため、使用者が手指Yによる摘み操作を自然に行い得るものとなっている。しかも、定規Hは、第一、第二の外向面S、Tが互いに相反する方向を向いているものであるため、定規Hを上向面mから離脱させようとして摘んだ当初の摘み位置を何ら変更することなく、そのままの状態で上向面mから引き上げる操作を実施することができるものとなっている。換言すれば、本実施形態に係る定規Hは、ワンタッチ的な操作で、上向面mとの磁石吸着力を減少させ得るものとなっているため、上向面mに対して離脱する操作や上向面mに対して位置調整する作業をスムーズに実施し得るものとなっている。
【0051】
離脱補助部材2が、第二の外向面Tに対する操作力を受けて定規本体1を上向面mに対して傾かせる傾斜変換機構4を備えている。すなわち、離脱補助部材2は、定規本体1を上向面mに対して傾かせ得るための定規本体1に対する所定の動作をし得るものとなっている。
【0052】
より具体的に言えば、傾斜変換機構4が、離脱補助部材2の一部である右側壁22の下端縁2eを、定規本体1における上向面mに当接し得る端部である下端縁1eに対して突出させるものである。このため、離脱補助部材2が、定規本体1を上向面mに対して好適に傾斜させ得るものとなっている。
【0053】
離脱補助部材2が、定規本体1に対して回動可能に取り付けられているものであるため、離脱補助部材2の一部を定規本体1に対して突出させるための設計の自由度に優れたものとなっている。
【0054】
離脱補助部材2の一方向の回動すなわち右側壁22が所定の位置から上方向に回動することを規制する回動規制手段3を設けている。このため、離脱補助部材2の基本姿勢(V)を適切に設定し得るものとなっている。
【0055】
定規本体1が長尺状のものであり、離脱補助部材2が定規本体1の長手方向中間部に配されている。このため、定規本体1は、用紙Pを位置決めし得るための適切な機能を好適に発揮し得る形態をなしているものとなっている。しかも、離脱補助部材2が、定規本体1の長手方向中間部に配されているため、定規本体1を上向面mから離脱させる操作をバランスよく実施し得るものとなる。
【0056】
定規本体1が、第一の外向面Sを含んでなる外側を向く側壁たる右側壁12を備えている。そして、右側壁12が、用紙Pの端縁peを当接させて当該用紙Pを位置決めし得る定規面Gを備えている。このため、裁断機A等において用紙Pを位置決めする作業を簡便に行い得るものとなっている。
【0057】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0060】
止着具は、止着具本体又は止着具に設けられた磁石の少なくとも一方を磁石吸着面に対して磁力により密着させ得るものであればよい。換言すれば、磁石や止着具本体は、磁石吸着面に対して直接的に添接していないものであってもよい。
【0062】
第一の外向面及び第二の外向面を手指によって相寄る方向に摘む操作は、片手に限られず両手の手指によって行うものであってもよい。
【0063】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…定規本体(止着具本体)
2…離脱補助部材
H…定規(止着具)
m…上向面(磁石吸着面)
M1、M2…第一の磁石、第二の磁石(磁石)
S…第一の外向面
T…第二の外向面
Y…手指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11