(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9035 20190101AFI20220125BHJP
G06F 16/906 20190101ALI20220125BHJP
G06F 16/907 20190101ALI20220125BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220125BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/906
G06F16/907
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2018004699
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウ カイギョク
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-058636(JP,A)
【文献】特開2008-146170(JP,A)
【文献】水野 信也,医療機関選択に対するベイジアンネットワークを用いた患者意識の分析,日本ソーシャルデータサイエンス学会論文誌 [online],日本ソーシャルデータサイエンス学会,2017年03月30日,第1巻 第1号,pp.37~47,Internet<URL:http://www.jsdss.org/wp-content/uploads/2017/03/jjsdss_v1n1_p37.pdf>
【文献】仁藤 慎也,地域医療データバンクのレセプトデータを活用した病院選択行動のロジット分析,医療情報学,一般社団法人日本医療情報学会 株式会社篠原出版新社,2013年12月26日,第33巻 第5号,pp.243~251,ISSN 0289-8055
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含むシステムにおける医療機関検索方法であって、
前記検索装置は、
医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索処理と、
前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定処理と、
前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索処理と、
前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する提示処理と、を実行する、
ことを特徴とする医療機関検索方法。
【請求項2】
前記検索装置は、更に、
前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向を取得し、予め取得した複数の患者のバックグラウンド情報と前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向とに基づき、予め決定したタイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けに従って、前記患者のバックグラウンド情報から当該患者のタイプを判定するための前記機械学習モデルを構築する機械学習モデル構築処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療機関検索方法。
【請求項3】
前記検索装置は、更に、
前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関が利用された後に、当該医療機関に対する評価の入力を受け付けるフィードバック処理を実行し、
前記機械学習モデル構築処理では、前記入力された評価に基づいて、前記タイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けを変更することにより、前記機械学習モデルを改善する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療機関検索方法。
【請求項4】
前記提示処理では、前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関に対する追加要求の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の医療機関検索方法。
【請求項5】
前記追加要求は、ビザの取得、宿泊施設の予約、航空券の発券、通訳の手配の内の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項4に記載の医療機関検索方法。
【請求項6】
前記バックグラウンド情報は、国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業の中から選択され、国籍、宗教、収入の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の医療機関検索方法。
【請求項7】
医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含むシステムにおける前記検索装置で動作する医療機関検索プログラムであって、
前記検索装置に、
医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索処理、
前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定処理、
前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索処理、
前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する提示処理、を実行させる、
ことを特徴とする医療機関検索プログラム。
【請求項8】
前記検索装置に、更に、
前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向を取得し、予め取得した複数の患者のバックグラウンド情報と前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向とに基づき、予め決定したタイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けに従って、前記患者のバックグラウンド情報から当該患者のタイプを判定するための前記機械学習モデルを構築する機械学習モデル構築処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項7に記載の医療機関検索プログラム。
【請求項9】
前記検索装置に、更に、
前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関が利用された後に、当該医療機関に対する評価の入力を受け付けるフィードバック処理を実行させ、
前記機械学習モデル構築処理では、前記入力された評価に基づいて、前記タイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けを変更することにより、前記機械学習モデルを改善する、
ことを特徴とする請求項8に記載の医療機関検索プログラム。
【請求項10】
前記提示処理では、前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関に対する追加要求の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の医療機関検索プログラム。
【請求項11】
前記追加要求は、ビザの取得、宿泊施設の予約、航空券の発券、通訳の手配の内の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項10に記載の医療機関検索プログラム。
【請求項12】
前記バックグラウンド情報は、国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業の中から選択され、国籍、宗教、収入の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一に記載の医療機関検索プログラム。
【請求項13】
医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含む医療機関検索システムであって、
前記検索装置は、
医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索部と、
前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定部と、
前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索部と、
前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する入出力制御部と、を備える、
ことを特徴とする医療機関検索システム。
【請求項14】
前記検索装置は、更に、
前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向を取得し、予め取得した複数の患者のバックグラウンド情報と前記バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向とに基づき、予め決定したタイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けに従って、前記患者のバックグラウンド情報から当該患者のタイプを判定するための前記機械学習モデルを構築する機械学習モデル構築部を備える、
ことを特徴とする請求項13に記載の医療機関検索システム。
【請求項15】
前記入出力制御部は、前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関が利用された後に、当該医療機関に対する評価の入力を受け付け、
前記機械学習モデル構築部は、前記入力された評価に基づいて、前記タイプの数及び前記バックグラウンド情報の各要素に対する重み付けを変更することにより、前記機械学習モデルを改善する、
ことを特徴とする請求項14に記載の医療機関検索システム。
【請求項16】
前記入出力制御部は、前記二次検索した1又は複数の医療機関の中から選択された医療機関に対する追加要求の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一に記載の医療機関検索システム。
【請求項17】
前記追加要求は、ビザの取得、宿泊施設の予約、航空券の発券、通訳の手配の内の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項16に記載の医療機関検索システム。
【請求項18】
前記バックグラウンド情報は、国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業の中から選択され、国籍、宗教、収入の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一に記載の医療機関検索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システムに関し、特に、患者のバックグラウンド情報に基づいて適切な医療機関を検索する医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高度な治療や手術を受ける際、患者自らが多数の医療機関の中から適切な医療機関を見つけるのは難しい。このような問題を解決するため、例えば、検索対象地域、診療科、医療機関の設備や特徴、症状等を入力すると、適切な医療機関を検索して出力するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、利用者が利用する利用者端末と、医療機関検索サーバとがネットワークを介して接続された医療機関検索システムにおいて、前記医療機関検索サーバが、前記ネットワークに接続して情報の授受を行う通信装置と、データ制御装置と、前記医療機関検索サーバの内部または外部にあってアクセス可能な、前記利用者の健康に関わる定量的な値や定性的な値を日時と共に健康履歴として保存する健康履歴保存装置と、前記医療機関の施設情報を保存する施設情報保存装置とを有し、前記データ制御装置が、前記利用者からの医療機関検索要求を受け付ける検索要求受付手段と、前記検索要求の内容と前記健康履歴保存装置に保存された前記利用者の前記健康履歴とをもとに、前記利用者の疾患や症状を推定し、前記利用者の要求及び疾患及び症状に合致する医療機関を抽出する医療機関検索手段と、抽出した前記医療機関の施設情報の一部又は全部を前記利用者に提示する検索結果提示手段とを有する医療機関検索システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のシステムは、患者の健康に関わる定量的な値や定性的な値を日時と共に記録した健康履歴と、医療機関の施設情報を記録した施設情報と、に基づいて、患者の要求及び症状に合致する医療機関を検索するものであり、患者が自国内で治療や手術を受ける場合は適切な医療機関を検索することは可能である。一方、近年、各種分野の国際化が進んでおり、医療の分野においても、他国で治療や手術を受けることを希望する患者が増加している。このようなケースでは、患者によって医療に望む傾向が異なるため、従来のシステムでは適切な医療機関を検索することは難しくなっている。
【0006】
すなわち、従来のシステムは、単純に患者の疾患や症状などの健康に関する情報と医療機関の施設に関する情報とを比較して医療機関を検索するだけであり、患者の国籍、宗教、収入などの患者の実際の状況(バックグラウンド情報)を考慮していないため、検索される医療機関が患者に適合しない場合も多い。例えば、キリスト教の病院はイスラム教の患者に対しては不適であり、医療費用が高い病院は収入が低い患者に対しては不適である。また、渡航には期間や費用がかかるため、患者の希望とのマッチングが困難な場合もある。このように、患者の国籍、宗教、収入などのバックグラウンド情報により医療に望む傾向が異なるため、他国で治療や手術を受ける場合には、患者のバックグラウンド情報を考慮しなければ、適切な医療機関を検索することはできない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、患者のバックグラウンド情報に基づいて適切な医療機関を検索する医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含むシステムにおける医療機関検索方法であって、前記検索装置は、医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索処理と、前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定処理と、前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索処理と、前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する提示処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面は、医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含むシステムにおける前記検索装置で動作する医療機関検索プログラムであって、前記検索装置に、医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索処理、前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定処理、前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索処理、前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する提示処理、を実行させることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、前記データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含む医療機関検索システムであって、前記検索装置は、医療に対する患者の要求を受け付け、前記データベースに登録された医療機関の中から、前記患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索部と、前記患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、前記患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定部と、前記一次検索した複数の医療機関の中から、前記患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索部と、前記二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に前記患者に提示する入出力制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システムによれば、患者のバックグラウンド情報に基づいて適切な医療機関を検索することができる。
【0012】
その理由は、医療機関に関する情報をデータベースとして記憶する記憶装置と、データベースを利用して医療機関を検索する検索装置と、を含むシステムにおいて、検索装置は、医療に対する患者の要求を受け付け、データベースに登録された医療機関の中から、患者の要求に合致する複数の医療機関を一次検索する第1検索処理と、患者のバックグラウンド情報の入力を受け付け、予め作成した機械学習モデルを利用して、患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定するタイプ判定処理と、一次検索した複数の医療機関の中から、患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する第2検索処理と、二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に患者に提示する提示処理と、を実行するからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】医療ツーリストの居住地別渡航先の割合を示すテーブルである。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムの概念図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムの全体動作を示すフローチャート図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(ログイン画面)の一例である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(バックグラウンド入力画面)の一例である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(要求入力画面)の一例である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(詳細入力画面)の一例である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(医療機関提示画面)の一例である。
【
図10】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(オプショナルサービス設定画面)の一例である。
【
図11】本発明の一実施の形態に係る医療機関検索システムに表示される画面(フィードバック画面)の一例である。
【
図12】本発明の一実施例に係る医療機関検索システムの構成を示す模式図である。
【
図13】本発明の一実施例に係る医療機関検索システムの他の構成を示す模式図である。
【
図14】本発明の一実施例に係るクライアント装置の構成を示す模式図である。
【
図15】本発明の一実施例に係るサーバの構成を示す模式図である。
【
図16】本発明の一実施例に係るサーバの動作(機械学習モデル構築動作)を示すフローチャート図である。
【
図17】本発明の一実施例に係るサーバの動作(医療機関検索動作)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、患者の健康履歴と医療機関の施設情報とに基づいて医療機関を検索するシステムが提案されているが、近年の国際化に伴って、他国で治療や手術を受けることを希望する患者が多くなり、このようなケースでは患者によって医療に望む傾向が異なるため、従来のシステムでは適切な医療機関を検索することは難しくなっている。すなわち、従来のシステムは、患者の疾患に着目し、その疾患の治療が可能な医療機関を検索することを目的としており、患者の国籍、宗教、収入などの患者の実際の状況(バックグラウンド情報)を考慮していないため、検索される医療機関が患者に適合しない場合も多い。
【0015】
図1は外国で治療や手術を受ける患者(医療ツーリスト)の居住地別の渡航先の割合を示すデータ(Mckinsey「Mapping the market for medical travel(08年5月)」から引用)の一例であり、患者の国籍によって医療に望む傾向(渡航理由)が異なる。例えば、オセアニア地域の患者は低コスト医療を望む傾向が強く、アフリカ地域の患者は先進医療を望む傾向が強く、ヨーロッパ地域の患者は待機期間が短い医療を望む傾向が強いなどの傾向があることが分かっている。また、患者が信仰する宗教や患者の収入などによっても医療に望む傾向が異なることが分かっている。このような傾向が現れるのは患者の自国で提供される医療の状況が異なるからであり、近年の国際化社会では、患者の国籍、宗教、収入などのバックグラウンド情報を考慮しなければ、適切な医療機関を検索することはできない。
【0016】
そこで、本発明の一実施の形態では、
図2の概念図に示すように、患者が利用するクライアント装置20と医療機関を検索するサーバ30と医療機関に関する情報をデータベース(DB:Data Base)として記憶する記憶装置40とが通信可能に接続された医療機関検索システム10において、サーバ30は、データベースに登録された医療機関の中から、医療に対する患者の要求(医者の経験や病院のタイプ、地域、費用など)に合致する複数の医療機関を一次検索する。そして、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、患者のバックグラウンド情報(国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業など)に対応する患者のタイプを判定し、一次検索した複数の医療機関の中から、患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索して、その検索結果を患者に提示する。
【0017】
以下、
図3のフローチャート図、及び、
図4乃至
図11の画面例(webサーバとして機能するサーバ30によってwebクライアントとして機能するクライアント装置20に表示される画面)を参照して、本実施形態の医療機関検索システム10の概略動作について説明する。なお、バックグラウンド情報から患者のタイプを判定するための機械学習モデルは予め構築されているものとし、機械学習モデルは深層学習(ディープラーニング)のモデルとする。
【0018】
まず、患者はクライアント装置20を操作して、医療機関検索システム10にログインする(S101)。例えば、サーバ30は、
図4に示すようなログイン画面50をクライアント装置20に表示させて、医療機関検索システム10へのログインを受け付ける。その際、患者が医療機関検索システム10を利用するためのアカウントを持っていない場合は、ログイン画面50の新規登録ボタンを選択してアカウントを作成する。
【0019】
次に、患者はクライアント装置20を操作して、患者の国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業などのバックグラウンド情報を入力する(S102)。例えば、サーバ30は、
図5に示すようなバックグラウンド入力画面51をクライアント装置20に表示させて、バックグラウンド情報の入力を受け付ける。なお、バックグラウンド情報は、患者の実際の状況を示す情報(患者自身の背景に関する情報)であり、国籍、宗教、収入の中から選択される1つの要素を含んでいればよく、表示する要素の数や表示順などは図の構成に限定されない。
【0020】
次に、患者はクライアント装置20を操作して、医療に対する要求を入力する(S103)。例えば、サーバ30は、
図6に示すような要求入力画面52や
図7に示すような詳細入力画面53をクライアント装置20に表示させて、医者の経験、病院のタイプ、費用、地域などの医療に対する要求の入力を受け付ける。
【0021】
次に、サーバ30は、記憶装置40に記憶したデータベースに登録された医療機関の中から要求に合致する医療機関の一次検索を行って、ある程度患者の希望に沿った複数の医療機関を抽出する(S104)。例えば、データベースに医療機関が100000個登録されている場合、まず患者の希望によりスクリーニングを行い、その結果、例えば2000個の医療機関を抽出する。
【0022】
次に、サーバ30は、予め作成した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向(例えば、低コスト医療を望む傾向、先進医療を望む傾向、待機期間が短い医療を望む傾向など)を表す複数のタイプの中から、患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定する(S105)。
図8は、患者のバックグラウンド情報から患者のタイプを判定するための機械学習モデルを示す模式図である。機械学習(特に、ディープラーニング)は、多数のデータとDNN(Deep Neural Network)やCNN(Convolutional Neural Network)などのニューラルネットワークの構造を利用して学習を行うものであり、入力データ(多数の患者のバックグラウンド情報及びバックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向)から特徴を抽出し、抽出した特徴を隠れ層(HIDDEN LAYERS)において入力データに畳み込むことによって学習し、推論(タイプ)を出力する。
図8の機械学習モデルでは、タイプの数を2つ(タイプ1とタイプ2)に設定し、特徴の畳み込みに際してバックグラウンド情報の各要素に対する重み付けを行っている。
【0023】
次に、サーバ30は、一次検索によって抽出された複数の医療機関の中から、患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索し(S106)、二次検索によって絞り込んだ1又は複数の医療機関を患者に推奨する医療機関として提示する(S107)。例えば、サーバ30は、
図9に示すような医療機関提示画面54をクライアント装置20に表示させて、医療機関の選択を受け付ける。ここでは、上記の一次検索で抽出した2000個の医療機関の中から3個の医療機関を抽出して提示している。
【0024】
次に、必要に応じて、患者はクライアント装置20を操作して、選択した医療機関に対する追加要求(オプショナルサービス)を入力する(S108)。例えば、サーバ30は、
図10に示すようなオプショナルサービス設定画面55をクライアント装置20に表示させて、オプショナルサービス(ここでは、ビザの取得、宿泊施設の予約、航空券の発券、通訳の手配など)を設定する。
【0025】
そして、患者は医療機関を利用した後、クライアント装置20を操作して、利用した医療機関に対する評価を入力する(S109)。例えば、サーバ30は、
図11に示すようなフィードバック画面56をクライアント装置20に表示させて、医療機関に対する評価の入力を受け付け、この評価を機械学習モデルに反映させて機械学習の精度を高めたり、医療機関を提示する際に評価やレビューを表示したりすることによって評価結果をフィードバックする。
【0026】
このように、医療に対する患者の要求に基づいて医療機関を一次検索した後、患者のバックグラウンド情報に基づいて患者のタイプを判定し、一次検索された医療機関の中から患者のタイプに合致する医療機関を二次検索することにより、他国で治療や手術を受ける場合であっても、患者に適した医療機関を効率的に提示することができる。
【実施例】
【0027】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る医療機関検索方法、医療機関検索プログラム及び医療機関検索システムについて、
図12乃至
図17を参照して説明する。
図12及び
図13は、本実施例の医療機関検索システムの構成を示す模式図であり、
図14は、クライアント装置の構成を示すブロック図、
図15は、サーバの構成を示すブロック図である。また、
図16及び
図17は、サーバの動作を示すフローチャート図である。
【0028】
図12に示すように、本実施例の医療機関検索システム10は、各国に設置されたクライアント装置20とサーバ30と記憶装置40などで構成され、これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークを介して接続されている。
【0029】
なお、
図12では、クライアント装置20とサーバ30とを別々の装置としているが、例えば、
図13に示すように、いずれかのクライアント装置20をサーバ30として機能させる構成としてもよい。また、
図12及び
図13では、記憶装置40を独立した装置としているが、記憶装置40は、クライアント装置20やサーバ30に含まれる構成としてもよい。以下、
図12のシステム構成を前提にして、各装置について説明する。
【0030】
[クライアント装置]
クライアント装置20は、サーバ30に医療機関の検索を指示するコンピュータ装置であり、
図14(a)に示すように、制御部21、記憶部25、ネットワークI/F部26、表示部27、操作部28などで構成される。
【0031】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)22とROM(Read Only Memory)23やRAM(Random Access Memory)24などのメモリとで構成され、CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶した制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、クライアント装置20全体の動作を制御する。また、
図14(b)に示すように、上記制御部21は、入出力制御部21aなどとして機能する。
【0032】
入出力制御部21aは、クライアント装置20をWebクライアントとして機能させる部分であり、Webサーバとして動作するサーバ30にWebサービスの利用要求を出力し、サーバ30からWebページ(前述したログイン画面50やバックグラウンド入力画面51、要求入力画面52、詳細入力画面53、医療機関提示画面54、オプショナルサービス設定画面55、フィードバック画面56など)を受信してWebブラウザに表示させる。
【0033】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU22が各部を制御するための各種プログラムや各種情報を記憶する。
【0034】
ネットワークI/F部26は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、クライアント装置20を通信ネットワークに接続し、サーバ30との通信を可能にする。
【0035】
表示部27は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、上述したWebページなどを表示する。
【0036】
操作部28は、マウスやキーボードなどで構成され、Webページに対する各種操作(例えば、ログイン画面50におけるログイン操作やアカウント作成操作、バックグラウンド入力画面51におけるバックグラウンド情報の入力操作、要求入力画面52や詳細入力画面53における医療に対する要求の入力操作、医療機関提示画面54における医療機関の選択操作、オプショナルサービス設定画面55におけるオプショナルサービスの設定操作、フィードバック画面56における医療機関に対する評価の入力操作)などを受け付ける。
【0037】
[サーバ]
サーバ30は、機械学習モデルの構築や機械学習モデルを利用した患者のバックグラウンドに基づく医療機関の検索などを行うコンピュータ装置(検索装置)であり、
図15(a)に示すように、制御部31、記憶部35、ネットワークI/F部36などで構成される。
【0038】
制御部31は、CPU32とROM33やRAM34などのメモリとで構成され、CPU32は、ROM33や記憶部35に記憶した制御プログラムをRAM34に展開して実行することにより、サーバ30全体の動作を制御する。また、
図15(b)に示すように、上記制御部31は、機械学習モデル構築部31a、第1検索部31b、タイプ判定部31c、第2検索部31d、入出力制御部31eなどとして機能する。
【0039】
機械学習モデル構築部31aは、公知の手法を用いて、患者のバックグラウンド情報から患者のタイプを判定するための機械学習モデルを構築する。具体的には、バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向を取得し、予め取得した複数の患者のバックグラウンド情報とバックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向とに基づき、予め決定したタイプの数及びバックグラウンド情報の各要素に対する重み付けに従って、患者のバックグラウンド情報から当該患者のタイプを判定するための機械学習モデルを構築する。また、機械学習モデル構築部31aは、患者が医療機関を利用した後に、当該医療機関に対する評価を入力するフィードバックを行った場合に、入力された評価に基づいて、タイプの数及びバックグラウンド情報の各要素に対する重み付けを変更することにより、機械学習モデルを改善する。なお、機械学習モデルの構築に際して、医療に対する患者の要求を加味してもよい。
【0040】
第1検索部31bは、記憶装置40のデータベースに登録された医療機関の中から、医療に対する患者の要求(医者の経験、病院のタイプ、費用、地域など)に合致する複数の医療機関を一次検索する。
【0041】
タイプ判定部31cは、機械学習モデル構築部31aが構築した機械学習モデルを利用して、医療に望む傾向を表す複数のタイプの中から、患者のバックグラウンド情報に対応する患者のタイプを判定する。
【0042】
第2検索部31dは、第1検索部31bが一次検索した複数の医療機関の中から、タイプ判定部31cが判定した患者のタイプに合致する1又は複数の医療機関を二次検索する。
【0043】
入出力制御部31eは、サーバ30をWebサーバとして機能させる部分であり、Webクライアントとして動作するクライアント装置20からのWebサービスの利用要求を受け付け、クライアント装置20にWebページを提供してWebブラウザで閲覧できるようにする。このWebページ(例えば、ログイン画面50やバックグラウンド入力画面51、要求入力画面52、詳細入力画面53、医療機関提示画面54、オプショナルサービス設定画面55、フィードバック画面56など)により、各種情報の閲覧及び入力が可能になる。特に、医療機関提示画面54により、第2検索部31dが二次検索した1又は複数の医療機関を選択可能に患者に提示することができる。また、オプショナルサービス設定画面55により、選択された医療機関に対するオプショナルサービスを設定することができる。また、フィードバック画面56により、選択された医療機関を利用した患者が、当該医療機関に対する評価を入力することができる。
【0044】
なお、上記機械学習モデル構築部31a、第1検索部31b、タイプ判定部31c、第2検索部31d、入出力制御部31eはハードウェアとして構成してもよいし、制御部31を、機械学習モデル構築部31a、第1検索部31b、タイプ判定部31c、第2検索部31d、入出力制御部31e(特に、第1検索部31b、タイプ判定部31c、第2検索部31d、入出力制御部31e)として機能させる医療機関検索プログラムとして構成し、当該医療機関検索プログラムをCPU32に実行させるようにしてもよい。
【0045】
記憶部35は、HDDやSSDなどで構成され、CPU32が各部を制御するための各種プログラムや各種情報(バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向など)を記憶する。
【0046】
ネットワークI/F部36は、NICやモデムなどで構成され、サーバ30を通信ネットワークに接続し、クライアント装置20及び記憶装置40との通信を可能にする。
【0047】
[記憶装置]
記憶装置40は、クライアント装置20やサーバ30が利用する各種情報をデータベースとして記憶する装置である。本実施例では、特に、医療機関に関する情報(医療機関と、当該医療機関が存在する地域、当該医療機関に従事する医者、当該医療機関に設けられている診療科や設備、当該医療機関の利用に要する費用などとを関連付けた情報など)を記憶し、この情報をサーバ30に提供して医療機関の検索を可能にする。
【0048】
なお、
図12乃至
図15は本実施例の医療機関検索システム10の一例であり、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0049】
例えば、上記では、
図12のシステム構成を前提にして、クライアント装置20に表示される画面で入力された情報をサーバ30に送信し、サーバ30で医療機関の検索を行い、その結果をクライアント装置20に送信する構成としたが、
図13のシステム構成の場合は、いずれかのクライアント装置20を検索装置とし、その制御部21を機械学習モデル構築部、第1検索部、タイプ判定部、第2検索部、入出力制御部として機能させる(CPU22に医療機関検索プログラムを実行させる)構成としてもよい。
【0050】
また、上記では、Webクライアントとして機能するクライアント装置20が、Webサーバとして機能するサーバ30から提供されるWebページを表示する構成としたが、クライアント装置20が各種画面を生成して表示部27に表示させ、画面で入力された情報(バックグラウンド情報や医療に対する要求)をサーバ30に送信して医療機関の検索を依頼し、サーバ30から検索結果を受信して医療機関を選択可能に表示する構成としてもよい。
【0051】
以下、本実施例のクライアント装置20及びサーバ30の動作について具体的に説明する。まず、機械学習モデルを構築する手順について説明する。サーバ30のCPU32は、ROM33又は記憶部35に記憶した医療機関検索プログラムをRAM34に展開して実行することにより、
図16のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0052】
サーバ30の制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、バックグラウンド情報の各要素についての医療に望む傾向(例えば、低コストの医療を望む傾向、先進医療を望む傾向、待機期間が短い医療を望む傾向など)を取得する(S201)。これらの情報を取得する方法は特に限定されないが、例えば、医療に関する情報を提供する会社や個人のWebページなどから取得することができる。
【0053】
次に、制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、患者を分類するタイプの数を決める(S202)。タイプの数は任意に決定することができ、タイプの数が多くなるほど患者を細かく分類することができるが、S201で取得する情報が少ないと機械学習モデルの信憑性が低くなるため、取得する情報の量に応じて決定することが好ましい。
【0054】
次に、制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、S201で取得した傾向に基づいて、分類の基準を決める(S203)。例えば、低コストの医療を望む傾向の場合は、バックグラウンド情報の収入を低いレベルに設定し、先進医療を望む傾向の場合は、収入を高いレベルに設定する。
【0055】
次に、制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、S202で決定したタイプの数とS203で決定した分類の基準とに基づいて、バックグラウンド情報から患者のタイプを判定するために利用する機械学習モデルを構築する(S204)。
【0056】
次に、制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、機械学習モデルにおけるバックグラウンド情報の各要素の重み付けを調整する(S205)。
【0057】
次に、上記フローで構築した機械学習モデルを利用して、医療機関を検索する手順について説明する。サーバ30のCPU32は、ROM33又は記憶部35に記憶した医療機関検索プログラムをRAM34に展開して実行することにより、
図17のフローチャート図に示すS401~S404の各ステップの処理を実行する。
【0058】
まず、クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、表示部27にサーバ30から提供されるログイン画面(
図4参照)を表示させる。ユーザは、サーバ30が提供する医療機関検索サービスに対するアカウントがあるかを判断し(S301)、アカウントがない場合は(S301のNo)、新規登録ボタンを選択するなどしてアカウント登録を行う(S302)。その後、ユーザはログイン画面にID及びパスワードなどを入力してログインを行う(S303)。
【0059】
次に、クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、表示部27にサーバ30から提供されるバックグラウンド入力画面(
図5参照)を表示させ、ユーザはそのバックグラウンド入力画面を用いて、患者の国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業などのバックグラウンド情報を入力する(S304)。
【0060】
次に、クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、表示部27にサーバ30から提供される要求入力画面や詳細入力画面(
図6及び
図7参照)を表示させ、ユーザはその要求入力画面や詳細入力画面を用いて、医者、病院、費用、地域などに対する要求を入力する(S305)。なお、医療の対する要求の入力は必須ではなく、バックグラウンド情報で医療機関を絞り込むことができる場合は、医療の対する要求の入力は省略することができる。
【0061】
サーバ30の制御部31(入出力制御部31e)は、クライアント装置20からバックグラウンド情報や医療の対する要求を受信すると、制御部31(第1検索部31b)は、記憶装置40のデータベースに登録された医療機関の中から、患者の要求に合致する医療機関を一次検索する(S401)。例えば、データベースには、医療機関と、当該医療機関が存在する地域、当該医療機関に従事する医者、当該医療機関に設けられている診療科や設備、当該医療機関の利用に要する費用などとが関連付けて登録されているため、要求入力画面や詳細入力画面で患者が医者の経験、病院のタイプ、費用、地域などを設定した場合は、その設定に適合する医療機関を検索する。
【0062】
次に、制御部31(タイプ判定部31c)は、
図16のフローチャートに従って作成した機械学習モデルを利用して、患者のバックグラウンド情報に対応するタイプを判定する(S402)。そして、制御部31(第2検索部31d)は、S401で一次検索した医療機関の中から、患者のタイプに合致する医療機関を二次検索し(S403)、制御部31(入出力制御部31e)は、検索結果をクライアント装置20に出力する。
【0063】
クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、表示部27にサーバ30から提供される医療機関提示画面(
図9参照)を表示させ、ユーザは所望の医療機関を選択する(S306)。次に、クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、必要に応じて、表示部27にサーバ30から提供されるオプショナルサービス設定画面(
図10参照)を表示させ、ユーザはオプショナルサービス設定画面を用いて、選択した医療機関に対するオプショナルサービスを設定する(S307)。そして、ユーザが選択した医療機関を利用して治療や手術を行った後、制御部21(入出力制御部21a)は、表示部27にサーバ30から提供されるフィードバック画面(
図11参照)を表示させ、ユーザはフィードバック画面を用いて、選択した医療機関を利用した結果を入力する(S308)。この入力操作が行われると、クライアント装置20の制御部21(入出力制御部21a)は、サーバ30にフィードバック情報を送信する。
【0064】
サーバ30の制御部31(入出力制御部31e)は、クライアント装置20からフィードバック情報を受信すると、制御部31(機械学習モデル構築部31a)は、フィードバック情報に基づいて機械学習モデルを改善する(S404)。例えば、機械学習モデルに対して、バックグラウンド情報の各要素の重み付けを調整したり、タイプの数を調整したりする。
【0065】
以上、説明したように、データベースに登録された医療機関の中から、医療に対する患者の要求に合致する医療機関を一次検索した後、予め作成した機械学習モデルを利用して患者のバックグラウンド情報に対応するタイプを判定し、一次検索した医療機関の中から患者のタイプに合致する医療機関を二次検索することにより、他国で治療や手術を受ける場合であっても、患者に適した医療機関を効率的に提示することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、クライアント装置20やサーバ30の構成や制御は適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上記実施例では、サーバ30が機械学習モデルの構築や機械学習モデルを利用した医療機関の検索を行う場合について記載したが、クライアント装置20が機械学習モデルの構築や機械学習モデルを利用した医療機関の検索を行う場合に対しても、本発明の医療機関検索方法を同様に適用することができる。
【0068】
また、上記実施例では、バックグラウンド情報として、患者の国籍、宗教、収入、病名、年齢、性別、ビザの有無、学歴、職業を例示したが、バックグラウンド情報は、国籍、宗教、収入の少なくとも1つを含んでいればよく、他の情報を利用してもよい。また、上記実施例では、医療に関する要求として、医者の経験、病院のタイプ、費用、地域を例示したが、医療に関する要求はこれらに限定されない。また、上記実施例では、オプショナルサービスとして、ビザの取得、宿泊施設の予約、航空券の発券、通訳の手配を例示したが、オプショナルサービスはこれらに限定されない。
【0069】
また、上記実施例では、患者がクライアント装置20を操作して各種情報を入力する場合を例示したが、患者の関係者(家族や介護者など)が患者に代わって各種情報を入力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、患者のバックグラウンドに基づいて適切な医療機関を検索する医療機関検索方法、医療機関検索プログラム、当該医療機関検索プログラムを記録した記録媒体及び医療機関検索システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 医療機関検索システム
20 クライアント装置
21 制御部
21a 入出力制御部
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 記憶部
26 ネットワークI/F部
27 表示部
28 操作部
30 サーバ
31 制御部
31a 機械学習モデル構築部
31b 第1検索部
31c タイプ判定部
31d 第2検索部
31e 入出力制御部
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 ネットワークI/F部
40 記憶装置
50 ログイン画面
51 バックグラウンド入力画面
52 要求入力画面
53 詳細入力画面
54 医療機関提示画面
55 オプショナルサービス設定画面
56 フィードバック画面