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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】端子構造、端子台、組合せ体
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20220125BHJP
   H01R 4/48 20060101ALN20220125BHJP
   H01R 9/22 20060101ALN20220125BHJP
【FI】
H01R9/00 C
H01R4/48 A
H01R9/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018042096
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019160463
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.公開日 平成29年11月29日 2.公開場所 システムコントロールフェア(SCF)2017/計測展 2017TOKYO 東京ビックサイト 東京都江東区有明3丁目11番1号 3.公開者 株式会社パトライト
(73)【特許権者】
【識別番号】312001937
【氏名又は名称】株式会社パトライト
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】菊 地 泰 斗
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-243478(JP,A)
【文献】実開昭55-169008(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 4/48
H01R 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に位置する導電部と前記導電部に接続した絶縁部とを含むフェルールが設けられた導線を保持する端子構造であって、
前記フェルールの前記絶縁部が収容される収容穴部を画成する周壁部を有する筐体と、 前記筐体に設けられた接続導電体と、を備え、
前記周壁部には切欠き部が設けられ、
前記フェルールが所定の位置となるように前記収容穴部内に配置された状態で、前記フェルールの前記導電部が前記接続導電体と電気的に接続し、且つ、前記フェルールが前記切欠き部を介して外部から視認可能であり、
前記筐体は、前記収容穴部への前記フェルールの挿入方向と非平行な方向に広がる確認面を有し、
前記確認面は、前記挿入方向に沿った前記収容穴部の中間部において前記切欠き部を介して前記周壁部と接続し、
前記筐体は、前記切欠き部を介して前記収容穴部に通じる確認穴部を有し、
前記確認穴部を区画する面の一部が前記確認面である、端子構造。
【請求項2】
前記切欠き部は、前記収容穴部の開口部から前記収容穴部への前記フェルールの挿入方向に延びている、請求項1に記載された端子構造。
【請求項3】
前記筐体は、前記収容穴部と前記確認穴部との間に位置する境界壁部を有し、
前記周壁部及び前記境界壁部は、前記導線に設けられたマークチューブの一部を前記収容穴部に収容して前記マークチューブを保持する、請求項1または2に記載の端子構造。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の端子構造を備える、端子台。
【請求項5】
フェルールが設けられた導線と、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の端子構造と、を備える組合せ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線を保持する端子構造、端子構造を有する端子台、及び、導線と端子構造とを有する組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
導線が挿入されることで導線を保持する端子構造が知られている。端子構造は、当該端子構造の内部に挿入された導線と接触することができる接続導電体を有している。すなわち、端子構造は、挿入された導線と接続導電体を電気的に接続させながら、当該導線を保持することができる。
【0003】
このような端子構造では、導線が端子構造の所定の接続位置まで挿入されないと、導線と接続導電体とが適切に接続されないことがある。このため、導線が所定の接続位置まで挿入されていることを確認することが求められている。
【0004】
しかしながら、端子構造の内部は、電気的絶縁のため外部から遮蔽されており、外部から視認され得ない。このため、導線と接続導電体との接続を目視にて直接確認することはできない。そこで、導線を端子構造に挿入する際の導線が接続導電体に接触する手応えによって、導線と接続導電体との接触を確認する方法が考えられた。しかしながら、導線が端子構造の内部の接続導電体以外の部材と接触して同様の手応えが得られることもある。このような場合には、導線と接続導電体との接続を確実に確保することができない。すなわち、導線と接続導電体との接続を不確かにしか確認することができない。
【0005】
そこで、特許文献1のような、端子構造に表示部品を設けることが考えられた。特許文献1の端子構造において、導線が端子構造に挿入されていない状態では表示部品は外部から観察されないが、導線が端子構造に所定の接続位置まで挿入されると、端子構造の内部に設けられた機構によって表示部品が動かされて、表示部品が外部から観察されるようになる。このような端子構造によれば、導線が所定の接続位置まで挿入されているかを、端子構造の外部から目視にて確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-54795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の端子構造では、導線の端子構造への挿入度合いに応じて表示部品が動かされる。したがって、導線が端子構造にある程度の位置まで挿入されると、導線が所定の接続位置まで挿入されていないにもかかわらず、表示部品が外部から観察されてしまうことがあった。このため、導線が所定の接続位置まで挿入されているかを不確かにしか確認することができない。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、導線が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確実に確認することができる端子構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の端子構造は、
端部に位置する導電部と前記導電部に接続した絶縁部とを含むフェルールが設けられた導線を保持する端子構造であって、
前記フェルールの前記絶縁部が収容される収容穴部を画成する周壁部を有する筐体と、
前記筐体に設けられた接続導電体と、を備え、
前記周壁部には切欠き部が設けられ、
前記フェルールが所定の位置となるように前記収容穴部内に配置された状態で、前記フェルールの前記導電部が前記接続導電体と電気的に接続し、且つ、前記フェルールが前記切欠き部を介して外部から視認可能である。
【0010】
本発明の端子構造において、前記切欠き部は、前記収容穴部の開口部から前記収容穴部への前記フェルールの挿入方向に延びていてもよい。
【0011】
本発明の端子構造において、
前記筐体は、前記収容穴部への前記フェルールの挿入方向と非平行な方向に広がる確認面を有し、
前記確認面は、前記挿入方向に沿った前記収容穴部の中間部において前記切欠き部を介して前記周壁部と接続してもよい。
【0012】
本発明の端子構造において、
前記筐体は、前記切欠き部を介して前記収容穴部に通じる確認穴部を有し、
前記確認穴部を区画する面の一部が前記確認面であってもよい。
【0013】
本発明の端子構造において、
前記筐体は、前記収容穴部と前記確認穴部との間に位置する境界壁部を有し、
前記周壁部及び前記境界壁部は、前記導線に設けられたマークチューブの一部を前記収容穴部に収容して前記マークチューブを保持してもよい。
【0014】
本発明の端子台は、上述したいずれかの端子構造を備える。
【0015】
本発明の組合せ体は、
フェルールが設けられた導線と、
上述したいずれかの端子構造と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導線が端子構造の所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確実に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、端子構造を有する端子台を概略的に示す図であって、端子構造に導線が挿入される前の状態を示す図である。
図1B図1Bは、端子構造を有する端子台を概略的に示す図であって、端子構造に導線及びフェルールが挿入された状態を示す図である。
図1C図1Cは、端子構造を有する端子台を概略的に示す図であって、端子構造に導線、フェルール及びマークチューブが挿入された状態を示す図である。
図2図2は、導線に設けられているフェルールを示す図である。
図3図3は、図1Aに示した端子台の端子構造を拡大して示す図である。
図4図4は、図1Bに示した端子台の端子構造を拡大して示す図である。
図5図5は、図4の端子構造の一部を示す図である。
図6図6は、マークチューブが固定された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張している場合がある。
【0019】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0020】
図1A図6は、本発明による端子構造の一実施の形態を説明するための図である。図1A図1Cには、一例として、3つの端子構造を有する端子台(電気接続装置)が概略的に示されている。図1A図1Cに示された端子台は、ネジ等の別途の固定部材を用いることなく端子構造に挿入された導線を固定可能な、いわゆるネジ無し端子台である。このような端子台は、複数重ねられた状態でレール等に連結固定されて用いられることが多い。
【0021】
図1A図1Cに示されている端子台5は、複数の端子構造10を有する。端子台5は、各端子構造10に導線31を含む被保持体30を所定の接続位置まで挿入することで、各導線31を電気的に接続することができる。図1A図1Cには、端子構造10へ導線31(被保持体30)が挿入される過程が順に示されている。図1Aは、端子構造10に導線31を挿入する前の端子台5が示されている。図1Bは、1つの端子構造10に導線31及び導線31に設けられたフェルール40が挿入されている端子台5が示されている。図1Cには、1つの端子構造10に導線31及び導線31に設けられたフェルール40とマークチューブ35が挿入されている端子台5が示されている。端子構造10が導線31を挿入されて保持することで、導線31と端子構造10との組合せ体1となる。すなわち、組合せ体1は、導線31と、端子構造10と、を有している。以下、導線31と端子構造10について説明する。
【0022】
導線31は、例えば2つの電子部品を電気的に接続するために用いられる。導線31は、金属線と絶縁体によって形成されている。金属線は絶縁体で被覆されているが、導線31の両端部において金属線は絶縁体で被覆されていない。導線31の両端部において他の電子部品等と接続することで、2つの電子部品等を電気的に接続することができる。導線31には、フェルール40と、マークチューブ35と、が設けられている。そして、導線31、フェルール40及びマークチューブ35を含む被保持体30が、端子構造10の保持されるようになる。
【0023】
フェルール40は、導線31の端部において絶縁体で被覆されていない金属線をまとめ、導線31の取り扱いを容易にすることができる。図2には、導線31に設けられたフェルール40が拡大して示されている。図1A及び図2に示されているように、フェルール40は、導線31の端部に位置する導電部41と、導電部41に接続した絶縁部42と、を含んでいる。導電部41は、筒形状を有し、筒形状の内部で導線31の絶縁体で被覆されていない金属線と電気的に接続するよう、圧着されている。絶縁部42は、導電部41に接続する錐台筒部44と、錐台筒部44に接続する筒部43と、を含んでいる。すなわち、筒部43は、錐台筒部44を介して導電部41に間接的に接続している。図2に示された例では、錐台筒部44は、円錐台形状を有している。筒部43は、導電部41より大きな穴径を有する円筒形状を有している。したがって、錐台筒部44は、導電部41の側より筒部43の側で大きな穴径を有している。筒部43の錐台筒部44に接続する側とは反対側の端面が、フェルール40の導電部41とは逆側の端面45となっている。フェルール40は、例えば全体の長さが14mm、導電部41の長さが8mm、絶縁部42の長さが6mm、導電部41の穴径が1.5mm、筒部43の穴径が3mmである。
【0024】
マークチューブ35は、端子台5の端子構造10に導線31を挿入する際に、誤った端子構造10に導線31を挿入してしまうことを防止するための識別片であり、例えば導線31の接続先を示す文字、数字または記号等が表示されている。マークチューブ35は、例えばナイロン等の可撓性を有する材料で形成されている。マークチューブ35は、円筒形状を有し、例えば穴径が3.6mm、長さが20mmである。
【0025】
端子構造10は、挿入された導線31(被保持体30)を保持する。図3及び図4は、端子台5の端子構造10の1つを拡大して示す図であり、図3図1Aに示された端子構造10に導線31が挿入されていない状態を、図4図1Bに示された端子構造10に導線31が挿入された状態を、それぞれ示している。図3及び図4によく示されているように、端子構造10は、筐体20と、接続導電体11と、保持部材13と、解除部材15と、を有している。
【0026】
図示された例において、1つの端子台5が3つの端子構造10を含んでいる。3つの端子構造10の筐体20は互いに一体的に形成されている。また、1つの端子台5に含まれる3つの接続導電体11は、互いに電気的に接続している。したがって、1つの端子台5に含まれる3つの端子構造10に保持された導線31は、互いに電気的に接続されるようになる。
【0027】
筐体20には、接続導電体11及び保持部材13を設けることができるように、突出部や溝部が適宜に設けられている。筐体20は、外部との電気的な絶縁のため、例えばナイロン等の絶縁性を有する材料で形成されている。図示された例において、筐体20は、略直方体形状を有しており、例えば幅4mm、長さ60mm、高さ32mmである。図3及び図4に示されているように、筐体20は、周壁部22と、収容空間24と、確認面25と、確認穴部26と、境界壁部28と、を有している。また、周壁部22は、収容穴部21を画成している。
【0028】
なお、図1A等に示すように、収容穴部21及び収容空間24は、略直方体状の筐体20の一方の主面20a側に開口している。ただし、この端子台5は、使用に際して、略直方体状の筐体20の主面20aが重なるようにして、複数配列されることを想定されている。したがって、実際の使用において、収容穴部21及び収容空間24内での導線31及びフェルール40の位置を、筐体20の一方の主面20aの側から観察することはできない。
【0029】
図4に示すように、収容穴部21は、導線31が端子構造10に挿入された状態で、フェルール40の絶縁部42を収容する。収容穴部21は、導線31の挿入方向、言い換えるとフェルール40の挿入方向d1に延びている略円柱形状の空間である。収容穴部21の深さ、言い換えると収容穴部21の延びる方向d1の長さは、例えば9mmである。図3に示すように、収容穴部21の両端は、第1開口部21a及び第2開口部21bとなっている。収容穴部21は、第1開口部21aを介して端子構造10の外部と連通し、第2開口部21bを介して収容空間24と連通している。第1開口部21aの穴径は、例えば3.5mmであり、第2開口部21bの穴径は、例えば2mmである。
【0030】
周壁部22は、収容穴部21を画成するよう、フェルール40の収容穴部21への挿入方向d1に延びている。図3に示すように、第2開口部21bの周囲の周壁部22は、フェルール40の絶縁部42の錐台筒部44の形状に対応したすり鉢状の斜面を含んでいる。また、周壁部22には、切欠き部23が設けられている。切欠き部23は、収容穴部21に収容されたフェルール40、とりわけフェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45を外部から視認可能な位置に設けられる。切欠き部23は、収容穴部21の第1開口部21aからフェルール40の収容穴部21への挿入方向d1に延びている。したがって、導線31及びフェルール40が、どの程度、収容穴部21に挿入されているかを、切欠き部23を介して確認することができる。
【0031】
図4に示すように、収容空間24は、導線31が端子構造10に挿入された状態で、フェルール40の導電部41を収容する。また、収容空間24は、接続導電体11及び保持部材13を収容している。収容空間24において、接続導電体11が保持部材13によって導電部41と接触して導電部41と電気的に接続する。
【0032】
確認面25は、フェルール40の収容穴部21への挿入方向d1と非平行な方向に広がる面であり、好ましくはフェルール40の収容穴部21への挿入方向d1と直交する方向に広がる平面である。図5は、図4の端子構造10の確認面25の付近の図である。図5によく示されているように、確認面25は、フェルール40の収容穴部21への挿入方向d1に沿った中間部において切欠き部23を介して周壁部22と接続している。ここで、フェルール40の収容穴部21への挿入方向d1に沿った中間部とは、収容穴部21の両端の第1開口部21aと第2開口部21bとの間の一部分を意味する。確認面25は、切欠き部23を介して外部から視認可能である。確認面25は、導線31が接続導電体11と電気的に接続するようになる所定の接続位置まで端子構造10に挿入されていることを確認するために設けられる。また、確認面25は、導線31の位置を容易に確認することができるよう十分な広さを有している。
【0033】
確認穴部26は、収容穴部21に隣り合って設けられ、切欠き部23を介して収容穴部21に通じている。図5に示された例では、確認穴部26を区画する面の一部である底面が確認面25となっている。確認穴部26は、確認面25の位置を容易に視認するために設けられている。確認穴部26を介して外部から確認面25を視認することができる。確認穴部26の穴径は、例えば3mmであり、確認穴部26の深さは、例えば2mmである。
【0034】
境界壁部28は、収容穴部21と確認穴部26との間に位置する。図6に示されているように、境界壁部28は、導線31に設けられたマークチューブ35の一部を収容穴部21に対して固定可能なように変形させて、周壁部22と合わせてマークチューブ35の一部を収容穴部21に挿入して保持する。言い換えると、マークチューブ35の一部が収容穴部21に内接するようにして挿入され且つマークチューブ35のその他の部分が周壁部22と境界壁部28との間に挟まれることで、マークチューブ35が筐体20に保持される。境界壁部28は、収容穴部21と確認穴部26との間を例えば0.7mmの長さ延びている。
【0035】
接続導電体11は、図3及び図4によく示されているように、筐体20の収容空間24に設けられ、端子構造10に挿入された導線31のフェルール40の導電部41と接触して導電部41と電気的に接続するようになる。接続導電体11は、他の端子構造の接続導電体と電気的に接続している。したがって、端子構造10に挿入された導線31は、接続導電体11を介して、他の端子構造に挿入された導線と電気的に接続する。接続導電体11は、例えば板状の金属である。
【0036】
保持部材13は、端子構造10に挿入された導線31を接続導電体11に電気的に接続した状態で保持する。保持部材13は、例えば弾性体であり、図示された例では、帯状の金属薄板を略U字状に屈曲させてなるばねである。図3に示すように、導線31に設けられたフェルール40が筐体20の収容空間24に収容されていない状態では、保持部材13は、フェルール40が収容される位置にまで延びている。図4に示されているように、導線31に設けられたフェルール40が筐体20の収容空間24に収容された状態では、フェルール40によって保持部材13が変形する。変形による保持部材13の弾性力によってフェルール40を接続導電体11に向けて押圧する。このようにして、フェルール40が接続導電体11と保持部材13との間に挟持されることで、端子構造10は導線31を保持することができる。
【0037】
解除部材15は、端子構造10の導線31(被保持体30)の保持を解除するための部材であり、保持部材13による導線31の保持を解除するための種々の形式を採用することができる。図示された例では、解除部材15は、保持部材13の変形にともなって動作する。解除部材15は、外部から操作力としての押圧力を入力される押圧部15aと、押圧部15aに接続し保持部材13に接触する接触部15bと、を含んでいる。導線31が端子構造10に挿入されていない状態では、図1A及び図3に示すように、解除部材15の押圧部15aの大部分は、筐体20から突出する。導線31が端子構造10に挿入されている状態では、図1B及び図4に示すように、保持部材13の変形によって接触部15bが移動し、接触部15bの移動にともなって押圧部15aの大部分は、筐体20の内に収容される。導線31が端子構造10に挿入されている状態で、解除部材15の押圧部15aが筐体20内にさらに押されることで、接触部15bが当該接触部15bと接触した保持部材13の一部とともに押し下げられる。これにより、保持部材13と接続導電体11との間での導線31の保持(挟持)を解除することができる。また、端子構造10の大型化を回避することができるため、解除部材15の押圧部15aが筐体20の確認穴部26に設けられていることが好ましい。
【0038】
次に、端子構造10に導線31(被保持体30)が挿入され、端子構造10が導線31を保持する作用について説明する。
【0039】
まず、図1A及び図3に示すように、導線31の端部に設けられたフェルール40が、筐体20の収容穴部21に第1開口部21aから挿入される。次に、図1B及び図4に示すように、フェルール40の導電部41は、第2開口部21bを通過して収容空間24に収容され、フェルール40の絶縁部42は、収容穴部21に収容される。その後、図1C及び図6に示すように、マークチューブ35が収容穴部21に挿入され、固定される。
【0040】
フェルール40の絶縁部42が収容穴部21に収容された状態で、第2開口部21bの周囲のすり鉢状の斜面となっている周壁部22と絶縁部42の錐台筒部44とは、対応した形状となっているため、嵌合することができる。これにより、フェルール40の導電部41を収容空間24の接続導電体11と接続可能な位置に適切に導くことができる。
【0041】
図4によく示されているように、収容空間24の収容された導電部41は、収容空間24に設けられている保持部材13を変形させる。そして、導電部41は、保持部材13の先端と接続導電体11との間に延び入る。保持部材13の変形による弾性力によって、導電部41は、接続導電体11に向けて押圧される。導電部41は、接続導電体11と保持部材13との間に挟持され、保持部材13によって接続導電体11に電気的に接続した状態で保持される。
【0042】
導電部41を介して保持されている導線31について、解除部材15を作動させることで、保持部材13による導線31の保持を解除することができる。図示された例では、解除部材15の押圧部15aが押されることで、接触部15bが押し下げられ、保持部材13による導線31の保持が解除される。保持部材13による導線31の保持を解除することで、導線31を端子構造10から容易に引き抜くことが可能となる。
【0043】
ところで、上述したように、従来の端子構造では、導線が接続導電体と接続する接続位置まで挿入されていることを外部からは不確かにしか確認することができなかった。一方、本実施の形態の端子構造10では、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確実に確認することができる。以下、本実施の形態の端子構造10における、導線31が所定の接続位置まで挿入されていることの確認方法について説明する。
【0044】
導線31が端子構造10の所定の接続位置まで挿入されると、フェルール40の導電部41が収容空間24の接続導電体11と電気的に接続可能な位置に適切に収容される。一方、フェルール40の絶縁部42は、収容穴部21に収容される。フェルール40の導電部41と絶縁部42は、互いに接続している。したがって、フェルール40の絶縁部42が所定の位置まで挿入されていること、より詳しくは図5に示すようにフェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が所定の位置まで挿入されていることを確認することで、導線31が端子構造10の所定の接続位置まで挿入されていることを確認することができる。すなわち、フェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が所定の位置まで挿入されていることを外部から目視にて確認することで、導線31が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確認することができる。
【0045】
フェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45は、収容穴部21を画成する周壁部22に設けられた切欠き部23を介して、外部から視認することができる。とりわけ、切欠き部23は、収容穴部21の第1開口部21aからフェルール40の収容穴部21への挿入方向d1に延びているため、切欠き部23を介して端面45の挿入方向d1における位置を容易に視認することができる。
【0046】
また、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されているときに端面45が位置すべき所定の位置は、例えば周壁部22に設けられたマーク等を基準としてきていされてもよい。さらに、導線31が所定の接続位置まで挿入されているときに端面45が位置すべき所定の位置は、切欠き部23を介して周壁部22と接続している確認面25を基準として規定されることが好ましい。確認面25は切欠き部23や確認穴部26を介して外部から視認可能であるため、確認面25を基準として規定すれば、端面45が所定の位置まで挿入されていることを容易かつ確実に確認することができる。例えば、端面45が確認面25と同一面となっている場合に、フェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が所定の位置まで挿入されているとすれば、外部から目視にて容易かつ確実に確認することができる。また、確認面25がフェルール40の収容穴部21への挿入方向d1と直交する方向に広がる平面であれば、確認面25とフェルール40の端面45が連続した平面となるため、端面45が確認面25と同一面となっていることをさらに容易かつ確実に確認することができる。
【0047】
すなわち、フェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が所定の位置となるように配置された状態で、フェルール40の導電部41が接続導電体11と電気的に接続し、且つ、フェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が切欠き部23を介して外部から視認可能であると、導線31が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて容易に確認することができる。
【0048】
また、上述した実施の形態の端子構造10では、特許文献1に記載された端子構造に比べて、確認のための機構を設ける必要が無いため、低コストかつ省スペースで導線31が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確実に確認することができる。
【0049】
さらに、上述した実施の形態の端子構造10では、導線31が端子構造10に挿入されていない状態では、解除部材15の押圧部15aの大部分が筐体20から突出し、導線31が端子構造10に挿入されている状態では、解除部材15の押圧部15aの大部分が筐体20の内に収容される。したがって、導線31が端子構造10に挿入されていない状態では、導線31を確認穴部26に誤って挿入することなく収容穴部21へ適切に挿入することができる。また、導線31が端子構造10に挿入されている状態では、挿入方向d1におけるフェルール40の端面45の位置を、確認穴部26を介して容易に確認することができる。
【0050】
また、周壁部22及び境界壁部28は、導線31に設けられたマークチューブ35の一部を収容穴部21に対して固定可能なように変形させて収容穴部21に挿入することで、マークチューブ35を保持することができる。マークチューブ35を筐体20の付近に固定して保持することで、マークチューブ35の移動を防止して、マークチューブ35に表示された記号等を筐体20の付近で容易に確認することができる。すなわち、誤った端子構造10に導線31を挿入してしまうことを効果的に防止することができる。なお、図6に示されているように、マークチューブ35は、周壁部22及び境界壁部28だけでなく、隣り合って設けられた他の端子構造の筐体と合わせて、収容穴部に対して固定されて収容されてもよい。
【0051】
以上のように、本実施の形態の端子構造10は、端部に位置する導電部41と導電部41に接続した絶縁部42とを含むフェルール40が設けられた導線31を保持する端子構造であって、フェルール40の絶縁部42が収容される収容穴部21を画成する周壁部22と、を有する筐体20と、筐体20に設けられた接続導電体11と、を備え、周壁部22には切欠き部23が設けられ、フェルール40が所定の位置となるように収容穴部21内に配置された状態で、フェルール40の導電部41が接続導電体11と電気的に接続し、且つ、フェルール40が切欠き部23を介して外部から視認可能である。このような端子構造10によれば、フェルール40、とりわけフェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45が所定の位置まで挿入されていることを外部から目視にて確認することで、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて確認することができる。
【0052】
また、本実施の形態の端子構造10において、切欠き部23は、収容穴部21の第1開口部21aから収容穴部21へのフェルール40の挿入方向d1に延びている。このような端子構造10によれば、切欠き部23を介してフェルール40の導電部41の側とは逆側の端面45の挿入方向d1に沿った位置を容易に視認することができる。したがって、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて容易に確認することができる。
【0053】
さらに、本実施の形態の端子構造10において、筐体20は、収容穴部21へのフェルール40の挿入方向d1と非平行な方向に広がる確認面25を有し、確認面25は、挿入方向d1に沿った収容穴部21の中間部において切欠き部23を介して周壁部22と接続する。このような端子構造10によれば、確認面25を基準として端面45が所定の位置まで挿入されていることを容易かつ確実に確認することができる。したがって、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にて容易かつ確実に確認することができる。
【0054】
また、本実施の形態の端子構造10において、筐体20は、切欠き部23を介して収容穴部21に通じる確認穴部26を有し、確認穴部26を区画する面の一部が確認面25となっている。このような端子構造10によれば、確認穴部26を介して確認面25を外部から視認可能である。したがって、導線31(被保持体30)が所定の接続位置まで挿入されていることを外部から目視にてより容易かつ確実に確認することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態の端子構造10において、筐体20は、収容穴部21と確認穴部26との間に位置する境界壁部28を有し、周壁部22及び境界壁部28は、導線31に設けられたマークチューブ35の一部を収容穴部21に収容してマークチューブ35を保持する。このような端子構造10によれば、マークチューブ35の移動を防止してマークチューブ35に表示された記号等を筐体20の付近で容易に確認することができる。したがって、誤った端子構造10に導線31(被保持体30)を挿入してしまうことを効果的に防止することができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、端子構造10は端子台5に適用されているが、端子構造10が適用されるのは、端子台5に限らない。端子構造10は、フェルール40が設けられた導線31が挿入されて保持される任意の機器(例えば、開閉器や測定器)に適用され得る。この場合、端子構造10に挿入された導線31は、例えば端子構造10を有する機器の内部の電子部品と電気的に接続するようになり得る。
【0057】
本発明の態様は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 組合せ体
5 端子台
10 端子構造
11 接続導電体
13 保持部材
15 解除部材
20 筐体
21 収容穴部
21a 第1開口部
21b 第2開口部
22 周壁部
23 切欠き部
24 収容空間
25 確認面
26 確認穴部
28 境界壁部
30 被保持体
31 導線
35 マークチューブ
40 フェルール
41 導電部
42 絶縁部
43 筒部
44 錐台筒部
45 端面
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6