(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】電装品モジュール
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20220125BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
F24F1/24
F25B1/00 321L
(21)【出願番号】P 2018052889
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】特許業務法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】菅原 有理
(72)【発明者】
【氏名】畠山 幸子
(72)【発明者】
【氏名】眞砂 秀基
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏之
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299957(JP,A)
【文献】特開2010-078305(JP,A)
【文献】特開2014-240727(JP,A)
【文献】特開2016-109314(JP,A)
【文献】特開2019-128117(JP,A)
【文献】実開昭50-139548(JP,U)
【文献】実開昭61-109195(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0133423(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3163186(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、
前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載され且つ前記パワーデバイスが裏面側に露出する第1開口が形成されたパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載され且つ前記第1開口と対面する第2開口が形成された固定板とを備え、前記固定板が前記メイン基板の前記正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられ、前記パワーデバイスが前記冷却器にネジ止めされる電装品モジュールであって、
前記メイン基板は、前記固定板の前記第2開口を前記サービスパネルの方向に露出させるためのメイン基板退避機構を備えることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、
前記メイン基板退避機構は前記メイン基板を前記固定板に着脱する基板クランパであることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、
前記メイン基板退避機構は前記メイン基板の前記裏面に固定される基板ホルダであり、
該基板ホルダは前記メイン基板が前記第2開口を覆い又は露出させるようヒンジにより前記固定板に回動自在に取り付けられていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の電装品モジュールにおいて、
前記基板ホルダは前記メイン基板の裏面の回路パターンとの接触をさけるための第3開口が形成されていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項5】
サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、
前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載され且つ前記パワーデバイスが裏面側に露出する第1開口が形成されたパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載され且つ前記第1開口と対面する第2開口が形成された固定板とを備え、前記固定板が前記メイン基板の前記正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられ、前記パワーデバイスが前記冷却器にネジ止めされる電装品モジュールであって、
前記メイン基板は前記固定板の前記第2開口を塞がない形状とサイズに形成されていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電装品モジュールにおいて、
前記固定板は前記機械室に取り付けられた上フレームと下フレームにネジ止めされ、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の電装品モジュールにおいて、
前記冷却器は、前記パワーデバイスがネジ止めされるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管に結合させるカバーとを有することを特徴とする電装品モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機の正面のサービスパネルの奥側の機械室に取り付けられる電装品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、
図17に示すように、室外に設置される室外機10と室内に設置される室内機20を備えている。室外機10と室内機20は、冷媒配管30によって接続され、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0003】
室外機10には、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、圧縮機12から吐き出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器13、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁14、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁16などが設けられている。また、室内機20には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器21、送風ファン21Fなどが設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16、及び室内熱交換器21を接続している。冷媒配管30は、液側冷媒配管30Lとガス側冷媒配管30Gとを含む。
【0004】
室外機10は、
図18に示すように、仕切板171によって、筐体17の内部が左右方向に熱交換器室10Aと機械室10Bに区画され、熱交換器室10Aには前述した室外熱交換器11と送風ファン11Fが配置されている。機械室10Bには、前述した圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16などが収容され、これらは
図13に示すように筐体17の前面の図示しないサービスパネルを取り外すことにより、外部から視認可能となっている。
【0005】
この機械室10Bには、さらに、その上下方向のほぼ中間位置に電装品モジュール40が配置されている。この電装品モジュール40は、空気調和機の全体の動作を制御する制御回路、空気調和機の各種設定を行うための設定回路、空気調和機の状態を表示する表示回路、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路、コンバータ回路から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路、その他の回路などを搭載したモジュールであり、プリント基板41にそれらの回路を実現するための複数の電子部品が搭載されている。プリント基板41は、機械室10Bの奥側に配管スペースを確保できるように、1枚で構成されている。
【0006】
図19に電装品モジュール40の正面を示す。プリント基板41は、機械室10B内に起立した姿勢で取り付けられている。このプリント基板41は上下方向に弱電領域41Aと強電領域41Bに分割されて配置されている。
【0007】
弱電領域41Aには、前記した制御回路の一部を構成するマイコン等の電子部品、設定回路を構成するスイッチ41A1やプラグを抜き差しする小電力用コネクタ41A2などの操作のための電子部品やLED41A3などの表示のための電子部品が搭載される。また、強電領域41Bには、前記した制御回路の残りを構成する電力変換を行うための強電系の複数の電子部品、例えばコンバータ回路のIC、インバータ回路のICなどのパワーデバイス41B1、平滑用の大容量電解コンデンサ41B2、大電力用コネクタ41B3などの部品が搭載される。
【0008】
強電領域41Bには、さらに、パワーデバイス41B1で発生する熱を冷却するための冷却器50が配置されている。この冷却器50は冷媒配管30の液側冷媒配管30Lに取り付けられるような形状の図示しないヒートシンクを備える。そのヒートシンクはパワーデバイス41B1が発生する熱が伝わるようにプリント基板41の正面側に図示しないサービスパネル側に向けて配置されている。液側冷媒配管30Lには、冷房運転時には室外熱交換器11で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には室内熱交換器21で凝縮され膨張弁14で減圧された冷媒が流れるので、その冷媒温度によって冷却器50のヒートシンクが冷却され、パワーデバイス41B1の温度が所定値以下に保持される。以上説明した空気調和機については、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した室外機10では、1枚のプリント基板41にすべての電子部品を搭載し、冷却器50をそのプリント基板41の表側、つまり筐体17の正面を向く側に取り付けている。ここで、プリント基板41の上下方向サイズを小さくする場合は、プリント基板41を弱電系電子部品を搭載したメイン基板とパワーデバイス41B1を含む強電系電子部品を搭載したパワー基板に分割し、そのメイン基板とパワー基板を背合わせ状態で且つ非接触で重ねて機械室10B内に配置することが考えられる。
【0011】
このときは、操作や表示のための電子部品が搭載されるメイン基板が筐体17の前面を向き、パワーデバイス等が搭載されるパワー基板が奥側を向くように、それらメイン基板とパワー基板を配置することになる。そして、パワー基板に半田付けされたパワーデバイスを冷却器50にネジ止めしておいて、その冷却器50を機械室の奥側において冷媒配管30Lに取り付けることになる。
【0012】
このため、組み立てた後に電装品モジュールを取り外す必要が生じた場合は、電装品モジュールを冷却器を一体として取り外し、その後に電装品モジュールを冷却器から取り外さなければならない。つまり、電装品モジュールばかりか冷却器50までも冷媒配管30Lから取り外す作業が必要となり、作業が複雑となる。
【0013】
本発明の目的は、メイン基板とパワー基板を背合わせ状態に非接触で重ねて機械室内に配置し、奥側のパワー基板のパワーデバイスを冷却器にネジ止めする電装品モジュールにおいて、電装品モジュールを冷却器から簡単に取り外すことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載され且つ前記パワーデバイスが裏面側に露出する第1開口が形成されたパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載され且つ前記第1開口と対面する第2開口が形成された固定板とを備え、前記固定板が前記メイン基板の前記正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられ、前記パワーデバイスが前記冷却器にネジ止めされる電装品モジュールであって、前記メイン基板は、前記固定板の前記第2開口を前記サービスパネルの方向に露出させるためのメイン基板退避機構を備えることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、前記メイン基板退避機構は前記メイン基板を前記固定板に着脱する基板クランパであることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、前記メイン基板退避機構は前記メイン基板の前記裏面に固定される基板ホルダであり、該基板ホルダは前記メイン基板が前記第2開口を覆い又は露出させるようヒンジにより前記固定板に回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の電装品モジュールにおいて、前記基板ホルダは前記メイン基板の裏面の回路パターンとの接触をさけるための第3開口が形成されていることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載され且つ前記パワーデバイスが裏面側に露出する第1開口が形成されたパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載され且つ前記第1開口と対面する第2開口が形成された固定板とを備え、前記固定板が前記メイン基板の前記正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられ、前記パワーデバイスが前記冷却器にネジ止めされる電装品モジュールであって、前記メイン基板は前記固定板の前記第2開口を塞がない形状とサイズに形成されていることを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の電装品モジュールにおいて、前記固定板は前記機械室に取り付けられた上フレームと下フレームにネジ止めされ、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられていることを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の電装品モジュールにおいて、前記冷却器は、前記パワーデバイスがネジ止めされるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管に結合させるカバーとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メイン基板の側からパワー基板のパワーデバイスに直接アクセスすることができるので、電装品モジュールを冷却器から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】サービスパネルを取り外した同室外機の斜視図である。
【
図3】機械室から電装品モジュールを取り外した状態の同室外機の斜視図である。
【
図4】電装品モジュールと冷却器の展開斜視図である。
【
図5】上フレームと下フレームを仕切板へ取り付ける取付説明図である。
【
図8】室外機の天面パネルを取り外した平面図である。
【
図9】室外機の右側面パネルを取り外した右側面図である。
【
図12】第1実施例のメイン基板退避機構を示すメイン基板の固定板への取付状態の横断面図である。
【
図13】第2実施例のメイン基板退避機構を示す基板ホルダと固定板の平面図である。
【
図14】(a)は第2実施例の基板ホルダにメイン基板を取り付けた平面図、(b)は(a)の断面図である。
【
図15】(a)は第2実施例の基板ホルダとメイン基板と固定板のの通常時の断面図、(b)は基板ホルダとメイン基板を回動させたときの断面図である。
【
図18】従来の室外機のサービスパネルを取り外した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施例>
本発明の第1実施例のメイン基板退避機構を有する室外機について説明する。室外機100は、
図1~
図3に示すように、その筐体110が、前面パネル111、その前面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備え、底面パネル117にはスタンド118が取り付けられている。
【0018】
この筐体110は仕切板119によって、正面パネル111の奥側が熱交換器室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。この仕切板119は機械室110Bの壁面一部を構成している。そして、熱交換器室110Aに前述した室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。また、機械室110Bに、前述した冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁14、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁16などが収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の前面側から視認可能となっている。
【0019】
200は電装品モジュールであり、
図4~
図11に示すように、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部にネジ止めされる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部にネジ止めされる長尺形状の下フレーム230と、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されるメイン基板260と、制御回路の残りの部分を構成する電子部品やその他の電子部品、後記するパワーデバイス274が搭載されるパワー基板270を備える。
【0020】
このように、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分割されていて、メイン基板260は裏面260bが固定板210の後記する正面211aに対面するように固定板210に搭載され、パワー基板270は裏面270bが固定板210の後記する裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される。
【0021】
300は冷却器であり、冷媒配管30LのU字折曲部31が取り付けられた状態で上フレーム220と下フレーム230に跨るように、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0022】
固定板210は、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その折曲片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213を備える。また、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。その下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0023】
そして、本体部211の
図4における右側には、縦方向に長い開口216が形成されている。また、本体部211の4ヶ所の角部付近には基板クランパ280がそれぞれ取り付けられている。この基板クランパ280は本実施例のメイン基板退避機構を構成する。
【0024】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、その縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の上横片222と、縦片211の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0025】
下フレーム230は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0026】
冷却器300は、
図7に示すように、パワー基板270の正面270aに搭載された後記するパワーデバイス274がネジ止めされるアルミニウム製のヒートシンク310と、そのヒートシンク310に形成された断面が半円形状の2個の溝311に嵌め込まれる液側冷媒配管30LのU字折曲部31と、そのU字折曲部31をヒートシンク310に固定するための板金製のカバー320とで構成されている。
【0027】
ヒートシンク310は、溝311に加えて、パワーデバイス274がネジ止めされて熱的に結合する厚板部312と、その厚板部312の両側に形成されたカバー取付部313、314を有する。
【0028】
カバー320は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31をヒートシンク310に押し付ける中央の押え部321と、その押え部321の一端から折り曲げられたフック部322と、押え部321の他端からフック部322と向き合うように折り曲げられた取付部323とを備える。
【0029】
メイン基板260には、その正面260aに、前記したように制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されている。即ち、
図10に示すように、表示器としてのLEDランプ261a、操作部としてのディップスイッチ261bやボタンスイッチ261cなどを含む表示設定回路261、制御回路の一部を構成するマイクロコンピュータ等の制御IC262、周辺部に配置される複数のコネクタ263、コンデンサ264aやコモンモードチョークコイル264bを含む外来ノイズ及び自発ノイズの対策用のEMC(ElectroMagnetic Compatibillity)フィルタ回路264、膨張弁14や四方弁16を駆動する駆動回路265、配管30の温度を検出する図示しないサーミスタに接続される温度検出回路266などが搭載されている。260bはメイン基板260の裏面である。260cは上端、260dは下端、260eは左端、260fは右端である。このメイン基板260は、裏面260bが固定板210の本体部211の正面211aと対面するように、その正面211aに搭載される。
【0030】
パワー基板270には、その正面270aに、前記したように制御回路の残りの部分を構成する後記するパワーデバイス274を含む電子部品が搭載されている。即ち、
図11に示すように、整流用のダイオードブリッジ271a、バイポーラトランジスタのゲート部分にMOSFETを組み込み動作抵抗を小さくしたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子271b、高速動作用のFRD(Fast Recovery Diode)素子271c、力率改善用のPFC(Power Factor Correction)コイル271d、大電力平滑用の電解コンデンサ271eが搭載される。これらダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、PFCコイル271d、電解コンデンサ271eなどは、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路271を構成する。さらに、駆動回路や自己保護機能が組み込まれコンバータ回路271から供給される直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路を構成するIPM(Intelligent Power Module)素子272も搭載されている。さらに、スイッチング電源回路273を構成するスイッチングトランス273aやスイッチングIC273bなどの素子も搭載されている。270bはパワー基板270の裏面である。270cは上端、270dは下端、270eは左端、270fは右端である。ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272などは、発熱の大きなパワーデバイス274であり、左端270eの近傍に縦並びで搭載されている。このパワー基板270は、裏面270bが固定板210の本体部211の裏面211bと対面するように、その裏面211bに搭載される。
【0031】
そして、このパワー基板270には、
図4にも示したように、パワーデバイス274が配置される領域に縦方向に長い開口270gが形成されている。パワーデバイス274はパワー基板270の正面270aに半田付けされ、開口270gから挿入した図示しないドライバによって後記するように冷却器300のヒートシンク310にネジ止めされる。
【0032】
さて、電装品モジュール200を室外機100の機械室110Bに配置するには、まず仕切板119に斜面241を有する取付金具240と、斜面251を有する取付金具250を予め取り付けておく。そして、
図5に示すように、上フレーム220の取付片223を取付金具240の斜面241にネジ止めし、下フレーム230の取付片234を取付金具250の斜面251にネジ止めする。これにより、固定板210の上下にネジ止めされている上フレーム220と下フレーム230が、仕切板119に片持ち支持の形で横姿勢で取り付けられる。
【0033】
次に、
図6に示すように、上フレーム220の縦片221の端部224と下フレーム230の上部縦片233の端部235の間に跨るように、冷却器300のヒートシンク310をネジB1,B2で取り付ける。また、
図7に示すように、このヒートシンク310の溝311に冷媒配管30LのU字折曲部31を押し当ててから、カバー320のフック部322をヒートシンク310の一方のカバー取付部313に係合し、押え部323をヒートシンク310の他方のカバー取付部314に押し付けて、その押え部323をカバー取付部314にネジB3、B4で固定する。この作業は室外機100の背面パネル116を取り外した状態で行われる。以上によって、冷却器300は、上フレーム220の端部224と下フレーム230の端部235の間に跨るように、且つヒートシンク310の厚板部312がサービスパネル112の方向を向くように、取り付けられる。
【0034】
また、固定板210の本体部211の裏面211bにパワー基板260を搭載しておく。そして、パワー基板270が搭載された固定板210を、その上縦片213が上フレーム220の縦片221に、その下縦片215が下フレーム230の下縦片231に合わさるように、ネジB5、B6によって取り付ける。また、パワー基板270のパワーデバイス274、つまりダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272を、固定板210の開口216からドライバを差しこみ、ネジB7~B12によって冷却器300のヒートシンク310の厚板部312に結合する。これにより
図6、
図7に示すように、パワーデバイス274はヒートシンク310に熱的に結合される。
【0035】
次に、固定板210の本体部211の正面211aの4ヶ所の基板クランパ280に、メイン基板260の4ヶ所の角部を結合させると、
図12に示すように、本体部211の正面211aにメイン基板210が取り付けられる。以上のようにして機械室110Bに電装品モジュール200が取り付けられた後に、その電装品モジュール200のメイン基板260のコネクタ263に所要の配線が接続されたプラグが接続され、端子板400に所要の別の配線が接続される。
【0036】
このように本実施例では、メイン基板260とパワー基板270を、上フレーム220と下フレーム230にネジ止めされる固定板210を介在して裏面合わせでその固定板210に搭載するので、それらメイン基板260とパワー基板270の上下方向サイズを、メイン基板260とパワー基板270を上下に並べて1枚とした場合のプリント基板の上下方向サイズと比較して、大幅に小さくすることができ、上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができる。
【0037】
また、電装品モジュール200を冷却器300から取り外すときは、まずサービスパネル112を取り外して電装品モジュール200を露出させる。そして、固定板210に取り付けた基板クランパ280の爪281を外側に広げて、固定板210からメイン基板260を取り外す。
【0038】
この結果、固定板210の開口216とメイン基板270の開口270gが、サービスパネル112の側に露出する。そこで、ドライバを開口216、270gに差しこみ、ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272等のパワーデバイス274のネジB7~B12を取り外す。これにより、そのパワーデバイス274が冷却器300のヒートシンク310から外れる。よって、固定板210を上フレーム220としたフレーム230から取り外せば、固定板210をパワー基板270と一体として外部に取り出すことができ、電装品モジュール200の交換や修理等のメンテナンスが可能となる。
【0039】
このようにメイン基板260を固定板210から退避させるためのメイン基板退避機構の第1の実施例である基板クランパ280を使用すれば、その基板クランパ280から取り外して固定板210から退避させたメイン基板260の取り付けられていた側から、パワー基板270のパワーデバイス274に直接アクセスすることができるので、電装品モジュール200を冷却器300から簡単に取り外すことができる。
【0040】
<第2実施例>
図13~15は電装品モジュール200を冷却器300から取り外す際のメイン基板退避機構の第2実施例を示す図である。290はメイン基板退避機構としての鋼板製の基板ホルダであり、メイン基板260の裏面260bにネジ止めされる。この基板ホルダ290は、中央に形成された開口291と、
図13の左端部に上下に並んで形成され先端292aが下向きのL字形状の2個のヒンジ292と、右端部に形成された2個の張出部293と、メイン基板260に取り付けるために4ヶ所の角部近くに形成された4個のネジ孔294と、固定板210に取り付けるために2個の摘み部293にそれぞれ形成された2個の通孔295を備える。
【0041】
固定板210には、
図13の本体部211の左端部に基板ホルダ290の2個のヒンジ292が係合する2個のスリット217が形成され、右端部には基板ホルダ290を着脱するための2個のネジ穴218が形成されている。
【0042】
基板ホルダ290は、
図14に示すように、メイン基板260の裏面260bに取り付けられる。この取り付けは、メイン基板260の4ヶ所の角部の図示しない通孔から挿通したネジB13を基板ホルダ290の各ネジ穴294にネジ止めして行う。このとき、メイン基板260の裏面260bの回路パターンが基板ホルダ290の開口291内に位置決めされ、メイン基板260と基板ホルダ290が電気的に接触することはない。以上により、メイン基板260が基板ホルダ290に一体化される。
【0043】
次に、基板ホルダ290のヒンジ292を固定板210のスリット217に押し込んでから基板ホルダ290全体を押し下げると、ヒンジ292の先端292aがスリット217に係合して、基板ホルダ290がヒンジ292を支点に回動可能に固定板210に保持される。この状態で基板ホルダ290を固定板210の本体部211に対して押し付けると、
図15(a)に示すように、メイン基板260が固定板210の開口216を塞ぐ。よってこの後、基板ホルダ290の通孔295からネジB14を固定板210のネジ穴218にネジ込むと、メイン基板260が固定板210に対して固定される。空気調和機の運転中はこの状態が保持される。
【0044】
電装品モジュール200を冷却器300から取り外すときは、第1実施例と同様に、サービスパネル112を取り外して電装品モジュール200を露出させる。そして、ネジB14を緩めて取り外すと基板ホルダ290の張出部293が自由端となる。そこで、その張出部293を正面方向に引っ張ると、基板ホルダ290が回動して、固定板210の開口216とメイン基板270の開口270gが正面に露出する。この後、第1実施例と同様に、ドライバによって、ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272等のパワーデバイス274のネジB7~B12を取り外せば、そのパワーデバイス274が冷却器300のヒートシンク310から外れる。そして、固定板210を取付金具240、250から取り外せば、電装品モジュール200の残っている固定基板210とパワー基板270を完全に取り外すことができ、電装品モジュール200の交換や修理等のメンテナンスが容易となる。
【0045】
このように第2実施例によれば、メイン基板260の側からパワー基板270のパワーデバイス274に直接アクセスすることができるので、電装品モジュール200を冷却器300から簡単に取り外すことができる。
【0046】
<第3実施例>
以上の第1及び第2実施例では、メイン基板260が固定板210の本体部211の正面211aをほぼ覆う程度の面積をもつ場合に、メイン基板退避機構を使用する例について説明したが、
図16に示すように、固定板210の開口216やパワー基板270の開口270gを覆わない程度のサイズと形状のメイン基板260Aを使用すれば、特別な退避機構を設ける必要はない。本実施例では、固定板210の開口216やパワー基板270の開口270gがサービスパネル112の方向に常時露出するので、サービスパネル112を取り外すのみで、直ちにパワーデバイス274のネジB7~B12をドライバにより取り外して、そのパワーデバイス274を冷却器300のヒートシンク310から外すことができる。
【0047】
なお、本実施例ではメイン基板260Aのサイズが小さくなるので、そのメイン基板260Aに搭載できる電子部品の数が制限される。この制限を緩和するためにメイン基板260にも固定板210の開口216やパワー基板270開口270gと同様な開口を設けてもよい。つまり、メイン基板260自体を開口216、270gを塞がない形状やサイズにしてもよい。
【0048】
このように第3実施例によれば、メイン基板260の側からパワー基板270のパワーデバイス274に直接アクセスすることができるので、電装品モジュール200を冷却器300から簡単に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0049】
30L:液側冷媒配管、31:U字折曲部
100:室外機、110:筐体、110A:熱交換器室、110B:機械室、111:正面パネル、112:サービスパネル、113:右側面パネル、114:左側面パネル、115:天面パネル、116:背面パネル、117:下面パネル、118:スタンド、119:仕切板
200:電装品モジュール
210:固定板、211:本体部、211a:正面、211b:裏面、212:上横片、213:上縦片、214:下横片、215:下縦片、216:開口、217:スリット
220:上フレーム、221:縦片、222:横片、223:取付片、224:端部
230:下フレーム、231:下縦片、232:上横片、233:上縦片、234:取付片、235:端部
240:取付金具、241:斜面
250:取付金具、251:斜面
260:メイン基板、260a:正面、260b:裏面
270:パワー基板、270a:正面、270b:裏面、270g:開口、274:パワーデバイス
280:基板クランパ
290:基板ホルダ、291:開口、292:ヒンジ、293:張出部
300:冷却器、310:ヒートシンク、320:カバー
400:端子板