(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】留置型医療機器、これを含む留置型医療機器セット、留置型医療機器に使用される標識部セット及びカバー部材
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20220125BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61M39/02 102
(21)【出願番号】P 2018054175
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】平賀 智
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526198(JP,A)
【文献】特表2015-513932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0319399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 37/00
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、
前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、
留置型医療機器であって、
前記カバー部材は、少なくとも第一カバーと、当該第一カバーと共に前記本体を覆う第二カバーと、を含み、
前記第一カバーは、前記基部の少なくとも一部を覆い、前記第二カバーは、少なくとも前記蓋体を覆う、留置型医療機器。
【請求項2】
貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、
前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器であって、
前記カバー部材は、少なくとも第一カバーと、当該第一カバーと共に前記本体を覆う第二カバーと、を含み、
前記第一カバーは、前記貯留空間の底面と交わる交差面を境界にして前記留置型医療機器の一方の側の少なくとも一部を覆い、前記第二カバーは、前記一方の側と異なる他方の側の少なくとも一部を含む範囲を
覆う、留置型医療機器。
【請求項3】
貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、
前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器であって、
前記本体は、前記貯留空間の底面に平行な横断面が前記蓋体から前記基部に向かって大きくなる部分を有し、前記標識部は、前記部分を覆う前記カバー部材に形成されている
、留置型医療機器。
【請求項4】
貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、
前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器であって、
前記包含部に圧入される隔膜部をさらに有し、
前記カバー部材は、前記隔膜部が露出される上面視において略円形の露出領域を有し、
前記標識部は、上面視において、前記略円形の径方向の外向きに前記蓋体よりも延出する
、留置型医療機器。
【請求項5】
貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、
前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、
前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器であって、
前記カバー部材は、前記本体から取り外し可能である
、留置型医療機器。
【請求項6】
前記標識体は、前記本体よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されている請求項1
から5のいずれか一項に記載の留置型医療機器。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の
留置型医療機器と、
複数の標識部と、を備え、
複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示し、少なくともいずれか一つが前記
留置型医療機器のカバー部材に取り付けられて用いられる、留置型医療機器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被術者の体内に留置して使用される留置型医療機器、これを含む留置型医療機器セット、留置型医療機器に使用される標識部セット及びカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、数ヶ月から年単位で人体の内部に留置される留置型医療機器がある。このような留置型医療機器の一つに、抗癌剤投与等に用いられる薬液注入ポートが挙げられる。薬液注入ポートは、皮膚の下に埋設して用いられ、その中央部分に気密性の高い圧縮されたシリコーンゴム等で形成された隔壁(セプタム)が設けられており、このセプタムに専用の穿刺針を刺して薬液を注入することができる。注入された薬液は薬液注入ポートと共に皮膚下に埋設されたカテーテルを介して、血管内に投与される。
この種の薬液注入ポートとして、例えば、下記の特許文献1、2が例示される。
【0003】
特許文献1には、薬液が貯留される空洞が画定された本体を有するアクセスポート(留置型医療機器)が記載されている。特許文献1に記載のアクセスポートは、このアクセスポートの形式や様式の他、製造年月日やロット等を識別可能に構成されている。特許文献1の構成では、アクセスポート本体の外面の形状をアクセスポート識別のための特徴に用いている。
特許文献2には、識別特徴部を有するアクセスポートが記載されている。特許文献2に記載の識別特徴部は、基部の下面(底面)に左右反転されて例えば「CT」等の文字を彫ることによって形成される。術者は、X線撮像等を行って識別特徴部を視認し、アクセスポートが被術者の身体内にある間に裏返しになっているまたは向きが誤っているかどうかなど、埋め込み後のポートに問題があるかどうかを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-236040号公報
【文献】特表2012-523284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のアクセスポートは、アクセスポートの外面に凹凸や開口等の特徴的な形状を形成し、このような形状を識別の特徴に利用している。また、特許文献2のアクセスポートは、上記したように、基部の底面に文字を形成している。このように、特許文献1及び特許文献2に記載のアクセスポートは、いずれもアクセスポート本体にアクセスポート識別のための特徴を付与したものといえる。
ところで、留置型医療機器は、機器が埋め込まれる被術者の負担軽減の観点から小型であることが望ましい。小型の機器にあっては、本体の識別の特徴を付与するための領域が小さくなり、識別の特徴も小さくなって識別し難くなるものと思われる。また、当然のことながら、アクセスポートの本体においては、医療機器としての目的が優先される。このため、識別のための特徴の付与を考慮して本体の構成を変更することは望ましくない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、医療機器の小型化を妨げることがなく、体内に埋め込まれた後に容易に識別できる標識部を有する留置型医療機器、これを含む留置型医療機器セット、留置型医療機器に使用される標識部セット及びカバー部材に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の留置型医療機器は、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す。
【0007】
本発明の留置型医療機器セットは、上記標識部は前記カバー部材に装着して用いられ、前記標識部を複数備え、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示し、少なくともいずれか一つが前記カバー部材に取り付けられて用いられる。
【0008】
本発明の標識部セットは、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体を有する留置型医療機器を覆うカバー部材に取り付けられる標識部を複数含む標識部セットであって、前記標識部は、前記留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示し、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる前記標識体を示す。
【0009】
本発明のカバー部材は、貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体に装着して用いられるカバー部材であって、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、医療機器の小型化を妨げることがなく、体内に埋め込まれた後に容易に識別できる標識部を有する留置型医療機器、これを含む留置型医療機器セット、留置型医療機器に使用される標識部セット及びカバー部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態の留置型医療機器の斜視図である。
【
図2】
図1に示した留置型医療機器を図中に示したx、y、z座標のx方向に見た右側面図である。
【
図3】
図2に示した留置型医療機器の上面図である。
【
図4】
図2に示した留置型医療機器の縦断面図である。
【
図5】
図2に示した留置型医療機器の縦断面図である。
【
図6】(a)は、第一実施形態の標識部を説明するための図である。(b)、(c)は、標識部の他の例を説明するための図である。
【
図7】第一実施形態の第一カバー、第二カバーの他の例を説明するための図である。
【
図8】本発明の第二実施形態の留置型医療機器を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、図面は、本実施形態の構成、部材間の位置関係及び機能を説明するためのものであって、長さ、高さ及び幅等を正確に示すものとは限らない。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の留置型医療機器1の斜視図である。
図2は、
図1に示した留置型医療機器1を
図1中に示したx、y、z座標のx方向に見た右側面図である。
図3は、留置型医療機器1を-z方向に見た上面図であり、
図4は、留置型医療機器1を
図3中に示した矢線I-Iの方向に見た縦断面図である。
図5は、留置型医療機器1を
図3中に示した矢線II-IIの方向に見た縦断面図である。第一実施形態では、以下、留置型医療機器1を、薬液注入ポートとして構成した例を挙げて説明する。
【0014】
図1から
図5に示したように、留置型医療機器1は、本体100を備えている。本体100は、被術者の体内に埋設される部材であって、適宜血管に接続されるカテーテルを除く部分である。
図1から
図3に示すように、本体100の外観からは、蓋体12と、隔膜部20と、ロックトップ32が視認される。蓋体12は、基部14(
図4、
図5)と共に包含部10を構成する部材であって、隔膜部20は圧縮されて包含部10(
図4、
図5)に押し込まれている。隔膜部20には、図示しない穿刺針によって薬液が注入される。ロックトップ32は、本体100のコネクタ部85(
図4参照)とカテーテルとの接続部を保護する部材である。
なお、第一実施形態では、本体100において、
図1から
図5に示した隔膜部20の側を「上」、下面21の側を「下」と記す。また、下面21(
図2)から隔膜部20に向かう方向を「上方」と記し、反対に隔膜部20から下面21に向かう方向を「下方」と記す。また、上下方向を「縦」とも記し、縦と直交する方向を「横」とも記す。
【0015】
<全体構成>
第一実施形態の留置型医療機器1は、貯留空間である液溜り部50を内包する基部14と、この基部14と共に包含部10を構成する蓋体12と、を含む本体100を備えている。また、留置型医療機器1は、本体100に装着されたカバー部材として、第一カバー112および第二カバー111(
図3、
図4)を有している。カバー部材、すなわち第一カバー112または第二カバー111の少なくとも一方は、留置型医療機器1に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体271を示す標識部270を有している。標識部270が標識体271を示すとは、標識部270において標識体271がX線観察下で視認可能であることをいう。標識部270は、X線の透過率が標識体271とその周囲領域とで異なることによって標識体271を示す。標識部270においては、標識体271がその周囲よりもX線の透過率が低く、すなわちX線を標識体271で局所的に遮蔽するように構成されていてもよく、逆に、標識体271はその周囲よりもX線の透過率が高く、すなわちX線を標識体271で局所的に透過させるように構成されていてもよい。
【0016】
標識部270において標識体271とその周囲とでX線の透過率を相違させるため、標識部270のうち標識体271またはその周囲領域のいずれか一方が選択的に、X線遮蔽材料で作成されてX線の透過率が低い低透過率部材を含むとよい。このうち本実施形態においては、標識体271が、留置型医療機器1の本体100よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されており、標識体271において局所的にX線を遮蔽する。そして標識体271の周囲領域は実質的に低透過率部材を含んでいない。
ここで、標識体271の周囲とは、標識部270のうち、標識体271の外周縁によって標識体271と隔てられた隣接領域である。
【0017】
さらに、本体100には、糸掛部23や繋止部材200等が設けられている。
上記の「留置型医療機器に関する」とは、例えば、留置型医療機器1の仕様、性能(耐圧等)、型式、製造あるいは販売元及び留置状態等を指す。また、文字は情報を伝達する機能を有する記号であり、数字も含むものとする。マークとは、上記留置型医療機器1に関する情報を表す文字の組み合わせ、文字と線図の組み合わせ、さらには文字と図形の組み合わせをいう。さらに、図形は幾何学模様、物の形を表したもの及びそれらの組み合わせをいう。
【0018】
図1から
図3に示すように、第一実施形態の留置型医療機器1は、基部14の一部を覆う第一カバー112、基部14の一部と共に蓋体12を覆う第二カバー111を有し、第一カバー112、第二カバー111が標識部270を有している。標識部270は、第二カバー111に接続される上側張出部272a、第一カバー112に接続される下側張出部272bを有し、上側張出部272a、下側張出部272bが重なって張出部272を構成する。上側張出部272a、下側張出部272bは、互いに固定されていてもよく、固定されずにただ重なっているものであってもよい、また、第一実施形態は、下側張出部272bがなく、上側張出部272aのみを有するであってもよい。なお、上側張出部272a、下側張出部272bの固定は、例えば、上側張出部272a、下側張出部272bが対向する対向面の一方に凸部、あるいは凸溝を設け、他方に凹部、あるいは凹溝を設け、両者を嵌合することによって実現することができる。
【0019】
標識部270に形成される標識体271は、標識部270に低透過率部材を混入し、標識部270を切り欠いて形成してもよい。このほか、低透過率部材を実質的に含まない樹脂材料で張出部272を形成し、低透過率部材を含むペーストによって張出部272に標識体を描画することによって標識部を構成してもよい。さらに、第一実施形態は、張出部272に低透過率部材で形成されるプレート、あるいは低透過率部材を含む部材で形成されたプレートを埋め込み、このプレートを切り欠いて標識体を形成するものであってもよい。
【0020】
標識体271は、留置型医療機器1の機能、特性または識別番号などの情報を示す文字、マークまたは図形(以下、「文字等」という場合がある)の少なくとも一つであり、文字等それ自体の形態を為す領域を標識体271と呼称する。標識部270は、かかる標識体271を包含する領域であり、カバー部材(第一カバー112または第二カバー111)に設けられている。第一実施形態の留置型医療機器1では張出部272が標識部270にあたる。本実施形態の張出部272のようにカバー部材における他部(張出部272以外の部分)と区別可能な形状を有する一部分を標識部270と呼称してもよいし、後述する第二実施形態の留置型医療機器3のようにカバー部材(第二カバー131)の略全体が標識部250を構成してもよい。
【0021】
第一実施形態では、張出部272が張り出す方向を、本体100の横断面と平行とする。このようにすれば、被術者の正面からX線写真を撮影する場合、張出部272が撮影機に正対する。張出部272が撮影機に正対することにより、標識体271は撮影機に正対した文字の画像としてX線写真に写る。このことから、第一実施形態は、留置型医療機器1の被術者の体内における状態(向き)を体外から知ることができる。
以下、このような留置型医療機器1の各構成について以下に説明する。
【0022】
<本体>
本体100は、全体に厚さ(z軸に沿う方向の長さ)を持った略円盤状の形状を有していて、本体100の径は、厚さが最大厚さの略1/2になる位置p1(
図1、
図2)において最大となる。また、本体100の径は、下面21から位置p1に向かって順次大きくなり、位置p1から隔膜部20に向かって順次小さくなる。このような形状の本体100は、液溜り部50の底面に平行な横断面が、蓋体12から基部14に向かって大きくなる拡大部分19を有している。
【0023】
本体100にはサブ標識部22、糸掛部23が形成されている。サブ標識部22は、例えば社名や製品名といった文字や、マークや図形といった識別情報を有することができる。サブ標識部22により、本体100が使用目的に適した製品であることの確認や、本体100の表裏や方向を容易に確認することが可能となる。また、本体100を半透明な材料で構成することにより、裏返しにしても識別情報を読取ることができる。なお、識別情報を示す位置は、サブ標識部22の外側表面に限定されず、サブ標識部22と本体100の接触面である内側表面に設けてもよい。その場合、サブ標識部22において識別情報を構成する構成材料が被術者の体内と非接触となるので、構成材料が接触することで被術者に及ぼす影響を考えなくてもよく、材料の選択肢が増える。さらに、サブ標識部22はX線透過率が低い部材を含んでいてもよく、その場合はX線写真においても識別情報を読み取ることができる。
【0024】
糸掛部23は、いずれも留置型医療機器1を体内に縫い止めるための糸が掛けられる部位である。糸掛部23は、上孔部23a、下孔部23b及び貫通孔23cを含んでいる。
第一実施形態では、生体に適合性の高いシリコンや、ヘパリン化親水性材料がコーティングされたポリウレタンを本体100の材料としている。このような材料はいずれも樹脂材料であって、X線の高い透過率を有している。このため、X線写真において、本体100は半透明あるいは白色の像となる。
【0025】
また、
図4、
図5に示すように、本体100は、外部から注入された薬液を貯留する液溜り部50を包含する包含部10を有している。包含部10は、開口部59を有する基部14と、開口部59の少なくとも一部を閉じる蓋体12とを有している。また、留置型医療機器1は、蓋体12及び基部14内に圧入される隔膜部20と、隔膜部20を介して注入された薬液を血管に注入する図示しないカテーテルを保護するロックトップ32と、を有している。第二カバー111は、隔膜部20が露出される上面視において略円形の露出領域Sを有している。
【0026】
留置型医療機器1は、コネクタ部85及び複数の剛性フレーム(上方フレーム60及び下方フレーム70)を備えている。コネクタ部85は、液溜り部50から包含部10の外方に連通している。上方フレーム60及び下方フレーム70は、包含部10より高い剛性を有しており、互いに組み合わされて環状の枠体を構成している。隔膜部20は、枠体の中に押し込められている弾性体によって形成され、開口部59を覆っている。
【0027】
液溜り部50は、隔膜部20に刺した穿刺針(図示せず)を介して注液された薬液等が貯留される部位である。第一実施形態の基部14と液溜り部50は、前記したように、一材で形成されている。従って、液溜り部50の底面52は樹脂材料で形成されている。このように液溜り部50を形成することにより、薬液を注入するための穿刺針(図示せず)が液溜り部50の内壁に衝突して破損するリスクが低減されている。また、破損した穿刺針を隔膜部20から引き抜いて隔膜部20が損傷するリスクも低減されている。
【0028】
なお、第一実施形態では液溜り部50が基部14と一材となっている態様で説明したが、個別の部材であってもよい。このとき、液溜り部50は、樹脂材料で形成されてもよいし、その他の材料で形成されていてもよい。
また、液溜り部50は、下方フレーム70と一材になっている態様であってもよい。この態様である場合、液溜り部50は下方フレーム70と同一の金属製となる。この場合、液溜り部50を囲っている壁面に穿刺針(図示せず)が衝突しても当該壁面に穿刺針が刺さらないので、液溜り部50が破損し難くなる。
【0029】
留置型医療機器1は、以上説明した本体100の他、本体100にカテーテルを繋止する繋止部材200を有している。繋止部材200は、本体100において薬液を外部に流出させる流路孔36と接続される第一繋止カバー80と、第一繋止カバー80と嵌合する第二繋止カバー90と、を備えている。
さらに、留置型医療機器1は、コネクタ部85を有している。コネクタ部85は、図示しないカテーテルに挿通されて留置型医療機器1にカテーテルを装着するための部材である。このため、コネクタ部85の先端は鏃形状になっていて、図示しないカテーテルが抜け落ちることを防いでいる。
また、図示しないカテーテルの外径は嵌合凸部116の第一孔部116aの内径に一致している。このため、カテーテルを第一孔部116aに挿入してコネクタ部85を挿通させることにより、第一孔部116aの内壁とコネクタ部85の外周との間に図示しないカテーテルが入り込み、コネクタ部85は第一孔部116aの内部で固定される。
【0030】
また、ロックトップ32は、可視光線を透過し、第一繋止カバー80に嵌合された状態の第二繋止カバー90の少なくとも一部を覆うカバー状の軟質樹脂部材である。軟質樹脂部材は、軟質樹脂を材料にしている。ロックトップ32に使用される軟質樹脂材としては、例えば、ポリ塩化ビニルやオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー及び酢酸ビニル、シリコーンゴム等がある。ロックトップ32の材料を軟性樹脂とすることにより、繋止部材200及び被術者の体内の両方を傷つけることを防ぐことができる。また、ロックトップ32が可視光を透過することにより、ロックトップ32の内部が術者から目視で確認できてカテーテルの接続作業が容易になる。
【0031】
<カバー部材>
第一実施形態のカバー部材(第一カバー112、第二カバー111)は、液溜り部50を内包する基部14と、この基部14と共に包含部10を構成する蓋体12と、を含む本体100に装着して用いられるカバー部材である。カバー部材、すなわち第一カバー112または第二カバー111の少なくとも一方は標識部270を有している。標識部270は、上述したようにX線の透過率が標識体271とその周囲領域とで異なることによって標識体271を示す部位である。第一実施形態では、第二カバー111が、本体100よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含み、留置型医療機器1に関する文字、マークまたは図形(文字等)の少なくとも一つである標識体271を示す標識部270を有している。より具体的には、標識体271が低透過率部材を含んで構成されている。
つまり、
図1、
図2に示した留置型医療機器1は、第一カバー112と、第一カバー112と共に本体を覆う第二カバー111と、を含んでいる。第一カバー112、第二カバー111は、上記したように、低透過率部材を含む標識部270を備えている。低透過率部材としては、本体100の材料として先に例示したシリコン等よりX線の透過率が低い部材をいう。このような部材には、金属部材と非金属部材とが含まれる。金属部材としては、例えば、鉛、ステンレス、マグネシウム及びアルミニウム等が考えられる。また、非金属部材としては、例えば、金属の酸化物、金属の化合物及びハロゲンの少なくとも一つを含むものがある。第一実施形態では、金属の酸化物(MO
x)として、例えば、酸化ビスマス(Bi
2O
3)が使用できる。金属塩としては、例えば、硫酸バリウム(BaSO
4)が使用できる。さらに、ハロゲンとしては、例えば、臭素(Br)やヨウ素(I)が使用できる。
【0032】
第一実施形態では、第一カバー112、第二カバー111の境界に凸マーク112a、111aを形成し、凸マーク112a、凸マーク111aを嵌め合わせることによって第一カバー112、第二カバー111の位置合わせを容易にしている。凸マーク112aは、第一カバー112の縁部に形成された第二カバー111の側に向かう凸部分であり、凸マーク111aは、第二カバー111の縁部に形成された第一カバー112の側に向かう凸部分である。
【0033】
第一カバー112、第二カバー111は、本体100を覆って外れることがなく、被術者の体内を傷つけることがなく、かつ、被術者の体内に影響を及ぼす成分を発生することがない部材を材料にすることが好ましい。このような材料には、例えば、軟性樹脂がある。第一カバー112、第二カバー111として使用される軟質樹脂材としては、例えば、ポリ塩化ビニルやオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー及び酢酸ビニル、シリコーンゴム等がある。また、第一カバー112、第二カバー111は、100と同様に、シリコンや、ヘパリン化親水性材料がコーティングされたポリウレタンによって形成することが可能である。
第一カバー112、第二カバー111は、本体100の細かな凹凸や曲面に完全に密着する必要はなく、本体100に大凡沿い、ロックトップ32の取り付けや糸掛部23の使用を阻害することがないものであればよい。
【0034】
また、第一実施形態においては、第一カバー112が基部14の少なくとも一部を覆い、第二カバー111が少なくとも蓋体12を覆うように構成される。つまり、第一実施形態では、第一カバー112、第二カバー111が本体100を上下方向から覆うように構成されている。また、第一実施形態では、
図3、
図4に示すように、第二カバー111が蓋体12を越えて基部14の一部までを覆っている。第一カバー112は、基部14のうち、第二カバー111によって覆われている部分を除く部分を覆っている。このような構成により、第一実施形態は、蓋体12と基部14とが被術者の体内で離れることを防止し、留置型医療機器1の信頼性を高めることができる。
【0035】
第一実施形態においては、上記したように、カバー部材を第一カバー112、第二カバー111に分けて構成することにより、第一カバー112、第二カバー111を本体100から取り外し可能にすることができる。このように構成することにより、第一実施形態では、本体100と第一カバー112、第二カバー111を別々にユーザに提供することができる。本体100と第一カバー112、第二カバー111を別々にユーザに提供すると、ユーザは、第一カバー112、第二カバー111の着脱、留置型医療機器1に装着される第一カバー112、第二カバー111の種別を任意に選択することができるようになる。第一カバー112、第二カバー111の種別を選択可能にした場合、第一実施形態は、第一カバー112、第二カバー111に着色し、この色に情報を付与するようにしてもよい。
【0036】
なお、第一実施形態では、カバー部材を第一カバー112、第二カバー111に分けて構成しているが、本発明はこのような構成に限定されるものでなく、第一カバー112のみ、第二カバー111のみを留置型医療機器1に装着するものであってもよい。また、第一カバー112は、基部14の一部を覆うものであってもよいし、第二カバー111は、基部14の全部を覆うものであってもよい。
【0037】
<標識部>
図6(a)は、標識部270を説明するための図である。
図6(b)、
図6(c)は、標識部の他の例を説明するための図である。
図6(a)は、前記した低透過率部材を混合した軟性樹脂で標識部270を構成し、標識部270全体のX線透過性を低下させ、標識部270を切り欠くことによって「CT」の標識体271を形成する例を示している。このようにすると、文字等は、X線写真中に黒地に白色の像としてX線写真に写る。ただし、第一実施形態は、標識部が
図6(a)に示した標識部270に限定されるものでなく、例えば、標識部を
図6(b)、
図6(c)のように構成することができる。
【0038】
図6(b)は、張出部272を第一カバー112と同様の柔軟性樹脂で構成し、張出部272に張出部272よりもX線の透過性の低い部材を練り込んだペースト等を使って標識体261を描画することによって形成される標識部260を示している。このようにすると、文字等は、X線写真中に白地に黒色の像としてX線写真に写る。
【0039】
図6(c)は、張出部272を第一カバー112と同様の柔軟性樹脂で構成し、張出部272の一部を切り欠き、切り欠き部分に低透過率部材を含むプレート115を嵌め込んだ標識部280を示している。張出部272へのプレート115の嵌合は、例えば、弾性を有する張出部272に図示しない溝を設け、この溝にプレート115を嵌め込むことによっても実現できる。また、プレート115の側に図示しない溝を設け、この溝に張出部272に形成された図示しない凸部を圧入するようにしても実現できる。
プレート115は、低透過率の金属部材であってもよいし、非金属製の低透過率部材をペースト等の他の部材と混合して形成されるものであってもよい。また、プレート115の標識体281は、「CT」の文字に沿う切り欠きにより形成することができる。
図6(c)に示した標識部280は、プレート115の交換が可能である。このため、術者は、プレート115に形成された標識体281を任意に選択し、第二カバー111に取り付けることができる。
なお、第一実施形態の標識体261、271、281は、いずれも「CT」の文字を表すことに限定されるものでなく、留置型医療機器1にかかる機能等(例えば耐圧)を示す情報にかかるものであればどのような文字や記号等であってもよい。
【0040】
また、標識部270は、
図2に示した上面視において、露出領域Sの略円形の径方向の外向きに蓋体12よりも延出している。このため、標識部270は、蓋体12に隠れることがなく、蓋体12の上方から撮影されたX線写真において視認することができる。
【0041】
以上説明した第一実施形態の留置型医療機器1は、標識部270を第一カバー112、第二カバー111境界において水平方向に延出するように形成しているので、標識部270を設けたことによって留置型医療機器1の上下方向の長さ(高さ)が長くなることをなくし、留置型医療機器1の大型化を防ぐことができる。
【0042】
以上説明した第一実施形態の第一カバー112、第二カバー111は、留置型医療機器1の上方と下方とでカバー部材を分割する構成である。しかし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、留置型医療機器1の前方と後方とでカバー部材を分割するものであってもよい。
図7は、このような第一カバー122、第二カバー121を説明するための図である。第一カバー122は、液溜り部50の底面52と交わる交差面Pを境界にして留置型医療機器2の一方の側の少なくとも一部を覆い、第二カバー121は、第一カバー122によって覆われる一方の側と異なる他方の側の少なくとも一部を含む範囲を覆っている。
図7に示した例では、第一カバー122が本体100の前方を覆い、第二カバー121が本体100の後方を覆っている。第一カバー122は、第二カバー121の側に凸の凸マーク122aを有している。第二カバー121は、第一カバー122の側に凸の凸マーク121aを有している。凸マーク122a、121aを嵌めこむようにして第一カバー122、第二カバー121を本体100に装着することにより、本実施形態は第一カバー122と第二カバー121とを簡単に位置合わせすることができる。
このような構成によれば、第一カバー122、第二カバー121のそれぞれが蓋体12及び基部14を一体的に覆うので、蓋体12と基部14とが離れることをいっそう確実に防ぐことができる。
【0043】
<留置型医療機器セット>
第一実施形態の留置型医療機器セットは、例えば、
図6(a)で説明した標識部270が第一カバー112、第二カバー111に装着して用いられる。留置型医療機器セットは、このような標識部270を複数備え、複数の標識部270の少なくとも一部が、それぞれ異なる標識体271を示し、少なくともいずれか一つが第二カバー111に取り付けられて用いられる。第一カバー112、第二カバー111への標識部270の着脱は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、第一実施形態では、第一カバー112、第二カバー111の外表面にそれぞれ図示しない凸部を設け、上側張出部272aの第一カバー112に向かう面及び下側張出部272bの第二カバー111に向かう面にそれぞれ図示しない凹部を設ける。そして、対応する凸部と凹部とをそれぞれ嵌合することによって第一カバー112、第二カバー111に標識部270を取り付けることができる。
【0044】
このような留置型医療機器セットによれば、術者は、留置型医療機器1と複数の標識部280とを別々に入手し、複数の標識部270のうちの任意のものを第二カバー111に装着することができる。このような構成は、例えば、留置型医療機器1を被術者の体内に留置型医療機器1を埋め込む状況に応じて留置型医療機器1に付与すべき情報が異なる場合、状況に応じて適正な標識部270を選択し、装着することができる。
また、込む状況に応じて異なる留置型医療機器1に付与すべき情報とは、例えば、留置型医療機器1を埋め込んだ年や月日、液溜り部50に貯留されている薬液の種類等が考えられる。
【0045】
<標識部セット>
第一実施形態の標識部セットは、液溜り部50を内包する基部14と、この基部14と共に包含部10を構成する蓋体12と、を含む本体100を有する留置型医療機器を覆う第二カバー111に取り付けられる標識部270(
図5(a))を複数含む標識部セットである。標識部270は標識体271を示す部位であり、X線の透過率が標識体271とその周囲領域とで異なることによって標識体271を示す。具体的には標識部270は、第二カバー111よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含み、この低透過率部材によってさらに、複数の標識部270の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体271を示す。低透過率部材は、標識体271またはその周囲領域のいずれか一方に選択的に設けられている。
例えば、留置型医療器セットに含まれる標識体が「チタンリング」等の留置型医療機器1のタイプを示している場合、術者は、留置型医療機器1の耐圧を判定するのにチタンリングタイプの留置型医療機器1に関する知識が必要になる。第一実施形態の標識部セットによれば、留置型医療器セットに含まれる標識部に代えて高圧対応が可能であることを直接示す「CT」の標識体271を有する標識部270を選択し、留置型医療機器1の特性をより明確に示すことができる。
つまり、本実施形態の標識部セットは、術者が任意に標識部270を選択し、留置型医療機器1の後のケアに必要な情報を留置型医療機器1の埋め込み時に付与しておくことができる。
【0046】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態の留置型医療機器3を説明するための斜視図である。第二実施形態の留置型医療機器3は、第一カバー132、第二カバー131を有し、第二カバー131内に標識部250が形成されている。カバー部材、すなわち第一カバー132または第二カバー131の少なくとも一方は標識部250を有し、そして標識部250はX線の透過率が標識体251とその周囲領域とで異なることによって標識体251を示す。標識部250は、例えば、第二カバー131の全体に低透過率部材を混合し、これを標識体251に沿って切り欠くものであってもよい。すなわち、本実施形態はカバー(第二カバー131)の略全体が標識部250を構成してもよい。
また、標識部250は、
図6(b)に示したように、X線の透過率の高い部材で形成された第二カバー131に、低透過率部材とペーストとを混合した材料で標識体251を描画したものであってもよい。さらに、標識部250は、
図6(c)に示したように、第二カバー131の一部を切り欠いて低透過率部材を含むプレートを嵌め込むものであってもよい。標識体251は、このようなプレートを切り欠くことによって形成することができる。
【0047】
また、第二実施形態では、標識部250が、
図1から
図4及び
図8に示した拡大部分19を覆う第二カバー131に形成されている。拡大部分19は、上面視において、隔膜部20の外側に向かって広がっている部分である。このため、拡大部分19を覆う第二カバー131に形成された標識部250は、隔膜部20に隠れることがなく、隔膜部20の上方から撮影されたX線写真において視認することができる。
【0048】
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
<1> 貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体と、前記本体に装着されたカバー部材と、を有し、前記カバー部材は、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、留置型医療機器。
<2> 前記標識体は、前記本体よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されている<1>に記載の留置型医療機器。
<3> 前記カバー部材は、少なくとも第一カバーと、当該第一カバーと共に前記本体を覆う第二カバーと、を含む、<1>または<2>の留置型医療機器。
<4> 前記第一カバーは、前記基部の少なくとも一部を覆い、前記第二カバーは、少なくとも前記蓋体を覆う、<3>の留置型医療機器。
<5> 前記第一カバーは、前記貯留空間の底面と交わる交差面を境界にして前記留置型医療機器の一方の側の少なくとも一部を覆い、前記第二カバーは、前記一方の側と異なる他方の側の少なくとも一部を含む範囲を覆う、<3>の留置型医療機器。
<6> 前記本体は、前記貯留空間の底面に平行な横断面が前記蓋体から前記基部に向かって大きくなる部分を有し、前記標識部は、前記部分を覆う前記カバー部材に形成されている、<1>から<5>のいずれか一つの留置型医療機器。
<7> 前記包含部に圧入される隔膜部をさらに有し、前記カバー部材は、前記隔膜部が露出される上面視において略円形の露出領域を有し、前記標識部は、上面視において、前記略円形の径方向の外向きに前記蓋体よりも延出する、<1>から<6>のいずれか一つの留置型医療機器。
<8> 前記カバー部材は、前記本体から取り外し可能である、<1>から<7>のいずれか一つの留置型医療機器。
<9> <1>から<8>のいずれか一つの前記標識部は前記カバー部材に装着して用いられ、前記標識部を複数備え、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる標識体を示し、少なくともいずれか一つが前記カバー部材に取り付けられて用いられる、留置型医療機器セット。
<10> 貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体を有する留置型医療機器を覆うカバー部材に取り付けられる標識部を複数含む標識部セットであって、前記標識部は、前記留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示し、複数の前記標識部の少なくとも一部は、それぞれ異なる前記標識体を示す、標識部セット。
<11> 貯留空間を内包する基部と、当該基部と共に包含部を構成する蓋体と、を含む本体に装着して用いられるカバー部材であって、留置型医療機器に関する文字、マークまたは図形の少なくとも一つである標識体を示す標識部を有し、前記標識部は、X線の透過率が前記標識体と該標識体の周囲領域とで異なることによって該標識体を示す、カバー部材。
【符号の説明】
【0049】
1、2、3・・・留置型医療機器
10・・・包含部
12・・・蓋体
14・・・基部
19・・・拡大部分
20・・・隔膜部
21・・・下面
22・・・サブ標識部
23・・・糸掛部
23a・・・上孔部
23b・・・下孔部
23c・・・貫通孔
32・・・ロックトップ
36・・・流路孔
50・・・液溜り部
52・・・底面
59・・・開口部
60・・・上方フレーム
70・・・下方フレーム
80・・・第一繋止カバー
85・・・コネクタ部
90・・・第二繋止カバー
100・・・本体
111、121、131・・・第二カバー
111a、112a、121a、122a・・・凸マーク
112、122、132・・・第一カバー
115・・・プレート
116・・・嵌合凸部
116a・・・第一孔部
200・・・繋止部材
250、260、270、280・・・標識部
251、261、271、281・・・標識体
272・・・張出部
272a・・・上側張出部
272b・・・下側張出部
P・・・交差面
S・・・露出領域
p1・・・位置